説明

情報コード読み取り装置

【課題】二次元情報コードから情報を読み取れないことが減少する情報コード読み取り装置を提供する。
【解決手段】画像走査方向が互いに90度ずれた2つの受光センサ23A、23Bを備えておき、それら2つの受光センサ23A、23Bから出力される画像信号から、それぞれ切り出しシンボルを検索することができるようにする。これにより、切り出しシンボルの一部が欠損していたりして、第1の受光センサ23Aの画像信号からは切り出しシンボルが検出できないとしても、第2の受光センサ23Bの画像信号を用いると切り出しシンボルが検出できる可能性がある。よって、切り出しシンボルを検出できないことが減少するので、二次元情報コードから情報を読み取れないことが減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元情報コードから情報を読み取る情報コード読み取り装置に関し、特に、位置検出パターンを備えた二次元情報コードから情報を読み取る情報コード読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次元情報コードには、その二次元情報コードの位置を検出するために用いるパターンである位置検出パターンを備えたものが知られている。たとえば、QRコード(登録商標)は、位置検出パターンとして切り出しシンボルを備えている。位置検出パターンを備えた二次元情報コードから情報を読み取る場合、二次元情報コードに光を照射した状態で、二次元情報コードを含む画像を取り込み、取り込んだ画像から位置検出パターンを検索する。そして、位置検出パターンの位置に基づいて二次元情報コードの全体の位置を決定する。よって、位置検出パターンが欠損等により不明瞭になっていて、位置検出パターンが検出できないと、二次元情報コードから情報を読み取ることができない。
【0003】
ここで、取り込んだ画像の一部が不明瞭となっている場合に対応する技術として、たとえば、特許文献1の技術が知られている。特許文献1の技術は、光沢面の画像を撮像すると、反射により画像の一部のコントラストが低下することがあるという問題を解決するために、カメラを複数台備えておき、異なる角度から同じ位置の画像を撮像する。そして、2つの画像を合成する。異なる角度から画像を撮像すると、画像の一部に反射によりコントラストが低下してしまう位置があるとしても、その位置は互いに異なる可能性が高くなる。よって、複数の画像を合成することで、コントラストが低下している部分を少なくすることができる。
【0004】
また、情報コード読み取り装置として、二次元情報コードを含む画像を取り込むときに、同時に、位置検出パターンを検索するタイプの装置が知られている。このタイプの装置は、画像を取り込むときに同時に位置検出パターンを検索することから、高速に情報を読み取ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−98789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像の取り込みは、画像取り込み手段の取り付け位置により定まる一定の方向から行う。そのため、画像を取り込むときに、同時に、位置検出パターンを検索するタイプの装置では、画像取り込み手段の取り込み方向に位置検出パターンの欠損があると、別の方向からは位置検出パターンを認識できる場合であっても、位置検出パターンを検出することができず、その結果、二次元情報コードから情報を読み取ることができない場合があった。
【0007】
ここで、特許文献1の技術のように複数の画像を合成したとしても、位置検出パターン自体に欠損がある場合には、合成画像における位置検出パターンにも欠損があることになる。また、複数の画像を合成しなければならないので、そもそも、画像を取り込むときに同時に位置検出パターンを検索するタイプの情報コード読み取り装置には、特許文献1の技術を適用することができない。
【0008】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、二次元情報コードから情報を読み取れないことが減少する情報コード読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、二次元情報コードに光を照射する光源と、光源により光が照射された二次元情報コードを含む画像を取り込み、取り込んだ画像を示す画像信号を出力する画像取り込み手段と、画像取り込み手段から出力される画像信号を記憶する記憶手段と、記憶手段に画像信号を記憶するときに、その画像信号を用いて二次元情報コードの位置検出パターンを検索する検索手段と、記憶手段に記憶されている画像信号から、検索手段が検索した位置検出パターンに基づいて二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取る情報読み取り手段と、を備えた情報コード読み取り装置であって、
画像取り込み手段として、画像の走査方向が互いに異なる複数の画像取り込み手段を備え、検索手段は、複数の画像取り込み手段から出力される画像信号から、それぞれ位置検出パターンを検索することができるようになっており、情報読み取り手段は、位置検出パターンが検索できた画像を用いて二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取ることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、画像の走査方向が互いに異なる複数の画像取り込み手段を備えており、検索手段は、それら複数の画像取り込み手段から出力される画像信号から、それぞれ位置検出パターンを検索することができるようになっている。そのため、位置検出パターンの一部が欠損していたりして、1つの画像取り込み手段から出力される画像信号を用いると位置検出パターンが検出できないとしても、本発明では、画像の走査方向が異なる別の画像取り込み手段の画像信号を用いて位置検出パターンを検索することができる。よって、位置検出パターンを検出できないことが減少するので、二次元情報コードから情報を読み取れないことが減少する。
【0011】
請求項2記載の発明では、検索手段は、全ての画像取り込み手段から出力される画像信号から、それぞれ前記位置検出パターンを検索し、情報読み取り手段は、検索手段により位置検出パターンが検索できた画像を1つ用いて、位置検出パターンに基づいて二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取る。
【0012】
このように、位置検出パターンの検索については全ての画像取り込み手段から出力される画像信号を用いて行い、情報の読み取りは、位置検出パターンが検索できた画像を1つ用いるようにしてもよい。また、これとは異なり、請求項3のように、検索手段は、複数の画像取り込み手段から出力される画像信号を予め定められた順序で順番に用いて位置検出パターンを検索するようになっており、位置検出パターンが検索できなかった場合に、次の画像取り込み手段の画像信号を用いて位置検出パターンを検索するようにしてもよい。
【0013】
請求項4記載の発明では、情報読み取り手段は、位置検出パターンが検索できた画像を用いたが、その画像の二次元情報コードから情報を読み取ることができなかった場合に、位置検出パターンが検索できた別の画像を用いて二次元情報コードから情報を読み取る。このようにすれば、より、二次元情報コードから情報を読み取れないことが減少する。
【0014】
請求項5記載の発明は、画像取り込み手段を2つ備えており、それら2つの画像取り込み手段は、画像の走査方向が互いに90度異なっていることを特徴とする。このようにすれば、画像取り込み手段の数を2つとする場合において、情報コードから情報が読み取れない場合が特に減少する。また、画像取り込み手段が2つのみとすることから、装置を小型にすることもできる。
【0015】
請求項6記載の発明は、情報コード読み取り装置が固定型であることを特徴とする。固定型である場合には、携帯型と異なり、操作者が装置の姿勢を変えることにより、読み取り方向を変更することができないことから、本発明のように、互いに画像走査方向が異なる複数の画像取り込み手段を備える意義が大きい。
【0016】
また、画像取り込み手段としては、請求項7のように、たとえばエリアセンサを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】情報コード読み取り装置のハウジング等の構成概要を示す部分縦断面図である。
【図2】図1に示す情報コード読み取り装置中の光学系のA矢視図である。
【図3】情報コード読み取り装置の回路部の構成概要を示すブロック図である。
【図4】2個の受光センサ23A、23Bの撮像エリアの重なりを示す図である。
【図5】(A)は、2つの受光センサ23A、23Bの受光面24A、24Bの配置を示す図であり、(B)は受光センサ23A、23Bの画像操作方向を図示する図である。
【図6】QRコードの切り出しシンボルの検索方向を示す図である。
【図7】マイコン系が行う処理の要部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の情報コード読み取り装置を、QRコード用であって、携帯型の情報コード読み取り装置に適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る情報コード読み取り装置10の構成概要を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、情報コード読み取り装置10のハウジング等の構成概要を示す部分縦断面図であり、図2は、図1に示す情報コード読み取り装置中の光学系のA矢視図であり、図3は、情報コード読み取り装置10の回路部20の構成概要を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、QRコードQを読み取る情報コード読み取り装置10は、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11を備える。ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に読取口11aを備えている。この読取口11aは、図2中に示す2個の受光センサ23A、23Bに入射する入射光を導入可能な開口部である。図1に示すようにハウジング11の他端側には、二次電池49が収容されている。ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、情報コード読み取り装置10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成してある。ハウジング11の内部には、後述する回路部20が収容されている。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15、16が図示されている。
【0020】
図3に示すように、回路部20は、主に、一対の赤色発光ダイオード21及び集光レンズ52、受光センサ23A、23B、結像レンズ27A、27B等の光学系と、FPGA(Field Programmable Gate Array)34、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ12、14、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されており、前述したプリント配線板15,16に実装あるいはハウジング11内に内装されている。
【0021】
マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31A、31B、A/D変換回路33A、33B、FPGA34、メモリ35、アドレス発生回路36A、36B、同期信号発生回路38A、38B、制御回路40、操作スイッチ12、14、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像等の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該情報コード読み取り装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0022】
光学系の受光センサ23A、23Bから出力される画像信号(アナログ信号)は、それぞれ増幅回路31A、31Bに入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33A、33Bに入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号はFPGA34A、34Bに入力される。FPGA34A、34Bは、入力された画像信号を解析して切り出しシンボルを検索する。よって、本実施形態では、切り出しシンボルの検索はハードウェア的に行われる。そして、切り出しシンボルの位置が検出できた場合、FPGA34A、34Bは、その切り出しシンボルの位置をメモリ35内に格納する。また、FPGA34A、34Bは、画像信号をメモリ35内に格納させる処理も行う。なお、メモリ35は、特許請求の範囲の記憶手段として機能する。
【0023】
同期信号発生回路38A、38Bは、受光センサ23A、23Bおよびアドレス発生回路36A、36Bに対する同期信号を発生可能に構成されており、アドレス発生回路36A、36Bは、この同期信号発生回路38A、38Bから供給される同期信号に基づいて、メモリ35への画像信号の格納アドレスを発生させて、その格納アドレスをFPGA34A、34Bに出力する。
【0024】
制御回路40は、情報コード読み取り装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、FPGA34、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本施形態では、電源スイッチ41、操作スイッチ12、14、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0025】
光学系を構成する赤色発光ダイオード21は、照明光Lfを照射可能な光照射器であり、特許請求の範囲の光源として機能する。この赤色発光ダイオード21からの照明光Lfは、拡散レンズと凸レンズとを組み合わせた集光レンズ52により集光される。また、本実施形態では、受光センサ23A、23Bを挟んだ両側に赤色発光ダイオード21が設けられており、ハウジング11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。なお、この読取対象物Rには、二次元情報コードであるQRコードQが貼付されている。
【0026】
受光センサ23A、23Bは、読取対象物RやQRコードQに照射されて反射した反射光Lrを結像レンズ27A、27Bを介して受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子から成る二次元イメージセンサ(すなわちエリアセンサ)により構成されている。この受光センサ23A、23Bは特許請求の範囲の画像取り込み手段に相当する。また、以下、この2個の受光センサ23A、23Bを区別するときは、第1の受光センサ23A、第2の受光センサ23Bという。
【0027】
結像レンズ27A、27Bは、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光して受光センサ23A、23Bの受光面24A、24Bに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。
【0028】
図2に示すように、2個の受光センサ23A、23Bは、それぞれの撮像エリアの中心軸XA、XBが互いに平行である。また、これら2個の受光センサ23A、23Bは、上記2つの中心軸XA、XBと直交する共通の線分VPを含む同一の仮想平面(線分VPに沿って図から直立する仮想平面)上に配置してある。また、2個の受光センサ23A、23Bは、撮像エリアの中心軸XA、XBが距離d1分離れるようにプリント配線板15上に取り付けられている。また、2個の受光センサ23A、23Bの撮像エリアの中心軸XA、XBと、結像レンズ27A、27Bの中心軸Xa、Xbとをずらして組み付けている。このように組み付けることで、当該2個の受光センサ23A、23Bの撮像エリアは、一定距離D1において、図4に示すように互いに重なっている。
【0029】
図5(A)は、2つの受光センサ23A、23Bの受光面24A、24Bの配置を示す図である。2つの受光センサ23A、23Bは、その構成自体は互いに同じ構成であり、いずれの受光センサ23A、23Bも、受光面24A、24Bが長方形状をしている。ただし、第1の受光センサ23Aと第2の受光センサ23Bとは、受光面24A、24Bの向きが互いに異なっている。具体的には、第1の受光センサ23Aの受光面24Aと第2の受光センサ23Bの受光面24Bは、いずれも、前述の線分VPを含む仮想平面に平行となっているものの、長手方向の辺は、互いに90度ずれている。
【0030】
これら2つの受光センサ23A、23Bは、前述のようにエリアセンサであり、周知のエリアセンサと同様、画像信号を一列ずつ順番に出力する(換言すれば、画素を列単位で一列ずつ順番に走査して画像を取り込む)。画像信号を出力する方向(すなわち画像の走査方向)は、ハードウェア構成により定まっており、本実施形態では、いずれの受光センサ23A、23Bも、受光面24A、24Bの長手方向と平行な方向である。図5(B)は、受光センサ23A、23Bの画像走査方向を図示する図であり、この図5(B)に示すように、画像走査方向は、受光センサ23A、23Bの配置の違いにより、互いに90度ずれた方向となっている。受光センサ23A、23Bから一列毎に出力される画像信号は、受光センサ23A、23B内の転送手段(水平転送素子や水平シフトレジスタ)により、一列ずつ増幅回路31A、31Bへ出力される。そして増幅回路31A、31Bから、A/D変換回路33A、33Bを介してFPGA34A、34Bに順次入力される。そして、FPGA34A、34Bでは、前述のように、切り出しンボルの検索と画像信号のメモリ35への格納が行われる。
【0031】
QRコードQにおける切り出しシンボルは、周知のように、黒セルと白セルの比率が、縦、横、斜めのどの方向からでも、1:1:3:1:1になっている。従って、切り出しシンボルの検索は、黒セルと白セルの比率が、1:1:3:1:1になっている部分を検索する。
【0032】
ところで、図6に示すように切り出しシンボルの一部が欠損していることも考えられる。この場合、図6(A)における矢印方向が切り出しシンボルの検索方向、すなわち、画像の走査方向であると、前述の1:1:3:1:1のパターンが存在しないことになる。よって、図6(A)に示す矢印方向が切り出しシンボルの検索方向となっている場合には、切り出しシンボルを検出することができない。従って、仮に、切り出しシンボルの検索方向が一方向のみであり、図6(A)の方向から検索を行ってしまうと、切り出しシンボルを検出することができず、その結果、QRコードQを読み取れなくなってしまう。
【0033】
しかしながら、本実施形態では、受光センサ23A、23Bの画像走査方向が互いに90度ずれていることから、互いに90度異なる2つの方向から切り出しシンボルを検索することができる。すなわち、一つの検索方向が図6(A)に示す方向である場合、他方の検索方向が図6(B)に示す方向となる。図6(B)における矢印方向が切り出しシンボルの検索方向であると、1:1:3:1:1のパターンが存在するので、切り出しシンボルを検出することができる。従って、本実施形態のように、切り出しシンボルの検索方向を二方向とすることで、切り出しシンボルを検出できない場合が減少する。
【0034】
図7は、本実施形態においてマイコン系(FPGA34や制御回路40)が行う処理の要部を示すフローチャートである。マイコン系は、この図7に示す処理を、露光に続いて実行する。なお、露光は、操作スイッチ12、14の操作によりトリガ信号が入力されたことに基づいて実行するようになっており、露光により、2つの受光センサ23A、23Bは同時に露光される。また、図7に示す各ステップのうち、ステップS1、S5はFPGA34が行い、他のステップは制御回路40が行う。
【0035】
まず、ステップS1では、第1の受光センサ23Aから1列ずつ画像信号を取得してメモリ35に記憶しつつ、その画像信号を用いて切り出しシンボルを検索する。続くステップS2では、ステップS1の検索の結果、切り出しシンボルが検出できたか否かを判断する。切り出しシンボルが検出できた場合にはステップS2を肯定判断してステップS3へ進み、切り出しシンボルが検出できなかった場合にはステップS2を否定判断してステップS5へ進む。
【0036】
ステップS3では、第1の受光センサ23Aの画像信号をメモリ35から読み出し、その画像信号のうち、ステップS2で検出できた切り出しシンボルの位置に基づいてデコード範囲(QRコードQの範囲)を決定し、そのデコード範囲に対してデコードを行う。そして、ステップS4では、デコードが成功したか否かを判断する。デコードが成功した場合には、デコードが成功したとしてこの図7に示す処理を終了する。その後は、デコードが成功した場合の所定の処理を行う。一方、デコードが失敗した場合には、ステップS4を否定判断してステップS5へ進む。
【0037】
ステップS5では、第2の受光センサ23Bから画像信号を取得して切り出しシンボルを検索する。なお、このステップS5と前述のステップS1が、特許請求の範囲の検索手段に相当する処理である。続くステップS6では、ステップS5の検索の結果、切り出しシンボルが検出できたか否かを判断する。切り出しシンボルが検出できた場合にはステップS6を肯定判断してステップS7へ進む。一方、第2の受光センサ23Bの画像信号からも切り出しシンボルが検出できなかった場合には、ステップS6を否定判断してデコード失敗として、この図7に示す処理を終了する。デコード失敗の場合には、液晶表示器46に所定のエラーメッセージを表示するなどの所定の処理を行う。
【0038】
ステップS7では、第2の受光センサ23Bの画像信号をメモリ35から読み出し、その画像信号のうち、ステップS5で検出できた切り出しシンボルの位置に基づいてデコード範囲を決定し、そのデコード範囲に対してデコードを行う。このステップS7と前述のステップS3が、特許請求の範囲の情報読み取り手段に相当する処理である。
【0039】
続くステップS8では、デコードが成功したか否かを判断する。デコードが成功した場合には、デコードが成功したとしてこの図7に示す処理を終了する。一方、デコードが失敗した場合には、デコードが失敗したとしてこの図7に示す処理を終了する。
【0040】
以上、説明した本実施形態によれば、画像の走査方向が互いに90度ずれた2つの受光センサ23A、23Bを備えており、それら2つの受光センサ23A、23Bから出力される画像信号から、それぞれ切り出しシンボルを検索することができるようになっている。そのため、切り出しシンボルの一部が欠損していたりして、1つの受光センサ23から出力される画像信号を用いると切り出しシンボルが検出できないとしても、本実施形態では、もう一つ受光センサ23の画像信号を用いて切り出しシンボルを検索する。これにより、切り出しシンボルを検出できないことが減少するので、QRコードQから情報を読み取れないことが減少する。
【0041】
また、本実施形態では、第1の受光センサ23Aの画像信号から切り出しシンボルが検出できなかった場合のみではなく、第1の受光センサ23Aの画像信号から切り出しシンボルが検出でき、その画像信号を用いてデコードを行ったが、デコードに失敗した場合にも(図7ステップS4がNo)、第2の受光センサ23Bの画像信号を用いて、切り出しシンボルの検索、およびデコードを行う。従って、より、QRコードQから情報を読み取れないことが減少する。
【0042】
また、本実施形態では、2つの受光センサ23A、23Bの画像走査方向が互いに90度ずれるようにそれら2つの受光センサ23A、23Bが配置されている。従って、受光センサ23の数を2つとする場合において、QRコードQから情報が読み取れない場合が特に減少する。また、受光センサ23を2つのみとすることから、装置を小型にすることもできる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0044】
たとえば、前述の実施形態では、まず、第1の受光センサ23Aの画像信号を用いて切り出しシンボルを検索し(図7のステップS1)、切り出しシンボルが検出できなかった場合に(ステップS2がNo)、第2の受光センサ23Bの画像信号を用いて切り出しシンボルを検索していた(ステップS5)。しかし、これに限られず、制御回路40が同時処理可能に構成されている場合には、第1の受光センサ23Aの画像信号を用いて切り出しシンボルを検索するとともに、その検索結果によらず、同時平行的に、第2の受光センサ23Bの画像信号を用いて切り出しシンボルを検索するようにしてもよい。この場合、両方の画像信号から切り出しシンボルが検索できた場合には、予め設定された側の画像信号を用いてデコードを行う。
【0045】
また、前述の実施形態の情報コード読み取り装置10は携帯型であったが、所定位置(たとえばベルトコンベアーの周辺)に固定される固定型の情報コード読み取り装置にも本発明は適用できる。
【0046】
また、前述の実施形態では、2つの受光センサ23A、23Bの画像走査方向は互いに90度ずれていたが、画像走査方向の違いは90度でなくてもよい。また、3つ以上の受光センサを備えるようにしてもよい。
【0047】
また、FPGA34に代えて、ASIC等、ハードウェア的に切り出しシンボルが検索できるその他の装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10:情報コード読み取り装置、 11:ハウジング、 11a:読取口、 12:操作スイッチ、 14:操作スイッチ、 15:プリント配線板、 16:プリント配線板、 20:回路部、 21:赤色発光ダイオード(光源)、 23:受光センサ(画像取り込み手段)、 24:受光面、 27:結像レンズ、 31:増幅回路、 33:A/D変換回路、 34:FPGA、 35:メモリ(記憶手段)、 36:アドレス発生回路、 38:同期信号発生回路、 40:制御回路、 41:電源スイッチ、 43:LED、 44:ブザー、 46:液晶表示器、 48:通信インターフェース、 49:二次電池、 52:集光レンズ、 Lf:照明光、 Lr:反射光、 Q:QRコード、 VP:線分、 XA、XB:(撮像エリアの)中心軸、 Xa、Xb:(受光レンズの)中心軸、 S1、S5:検索手段、 S3、S7:情報読み取り手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元情報コードに光を照射する光源と、
前記光源により光が照射された二次元情報コードを含む画像を取り込み、取り込んだ画像を示す画像信号を出力する画像取り込み手段と、
前記画像取り込み手段から出力される画像信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に前記画像信号を記憶するときに、その画像信号を用いて前記二次元情報コードの位置検出パターンを検索する検索手段と、
前記記憶手段に記憶されている画像信号から、前記検索手段が検索した位置検出パターンに基づいて前記二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取る情報読み取り手段と、を備えた情報コード読み取り装置であって、
前記画像取り込み手段として、画像の走査方向が互いに異なる複数の画像取り込み手段を備え、
前記検索手段は、前記複数の画像取り込み手段から出力される画像信号から、それぞれ前記位置検出パターンを検索することができるようになっており、
前記情報読み取り手段は、位置検出パターンが検索できた画像を用いて二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取ることを特徴とする情報コード読み取り装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記検索手段は、全ての画像取り込み手段から出力される画像信号から、それぞれ前記位置検出パターンを検索し、
前記情報読み取り手段は、前記検索手段により位置検出パターンが検索できた画像を1つ用いて、位置検出パターンに基づいて前記二次元情報コードの位置を決定して、その二次元情報コードから情報を読み取ることを特徴とする情報コード読み取り装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記検索手段は、前記複数の画像取り込み手段から出力される画像信号を予め定められた順序で順番に用いて位置検出パターンを検索するようになっており、位置検出パターンが検索できなかった場合に、次の画像取り込み手段の画像信号を用いて位置検出パターンを検索することを特徴とする情報コード読み取り装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記情報読み取り手段は、位置検出パターンが検索できた画像を用いたが、その画像の二次元情報コードから情報を読み取ることができなかった場合に、位置検出パターンが検索できた別の画像を用いて二次元情報コードから情報を読み取ることを特徴とする情報コード読み取り装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記画像取り込み手段を2つ備えており、それら2つの画像取り込み手段は、画像の走査方向が互いに90度異なっていることを特徴とする情報コード読み取り装置。
【請求項6】
固定型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項の情報コード読み取り装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記画像取り込み手段としてエリアセンサを備えていることを特徴とする情報コード読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−155609(P2012−155609A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15416(P2011−15416)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】