説明

情報コード読取システム及び情報コード読取装置

【課題】通常時において人による情報コードの視認を困難とするとともに一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とし、その一方で、特定の読取装置を用いて読み取りを行う場合にはその認識困難な情報コードを確実に読み取ることができ、更にその認識困難な情報コードの解読が正常であるか否かをより確実に判定できる構成を提供することを目的とする。
【解決手段】情報コード読取装置において、照明光源44により第2波長帯の照明光(赤外光)が照射された状態で撮像部42により情報コード形成媒体10が撮像されたときの撮像画像において第1情報コードCの個数を検出する個数検出手段(制御部41)と、個数検出手段によって検出された第1情報コードCの個数と第2情報コードCaの非公開領域に記録された第1情報コードCの総数とに基づいて正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段(制御部41)とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取システム及び情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードが様々な用途で使用されており、その使用目的も多様化しつつある。特に、近年では、情報コードのセキュリティ性向上のニーズが高まってきており、特定の条件を満たした場合にのみ情報コードを読み取ることができるような構成が求められている。なお、情報コードにセキュリティ機能を付加した技術としては、例えば特許文献1のようなものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−146461公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、紫外線下でのみ視認可能な印刷液で鍵情報(3)を本データ(2)と重ねて印刷している。この技術では、通常の可視光条件下では鍵情報(3)を視認することができないため、一定条件下で暗号化された本データ(2)のセキュリティ性が担保されることになる。
【0005】
ところが、この特許文献1の技術は、鍵情報(3)を数値データとして付し、これを紫外線環境下で操作者に目視させようとするものであるため、操作者が鍵情報(3)を目視して確実に確認できるか否かが環境(印刷環境、読取環境等)や構成(情報コードの大きさや鍵情報の構成)に大きく左右されてしまうという問題がある。特に、情報コードの小型化を図ろうとした場合、読取装置によって当該情報コード自体は認識できたとしても、操作者が鍵情報(3)を視認できなくなるという事態が生じやすく、このような場合には、操作者が鍵情報を得られることができず、情報コードの解読が成り立たなくなってしまう。また、本データ(2)と鍵情報(3)を重ねたものを操作者に読み取らせる方法では、最終的な解読の成否を操作者の熟練度等に依存してしまうため、迅速かつ安定的な解読が難しいという問題もある。
【0006】
このような問題を解消すべく、発明者らは、例えば、図2のような情報コードC及びこれを読み取る読取システムを想定するに到った。このシステムでは、図3(A)のように情報コードCに可視光が照射されている場合には情報コードが背景に埋没して把握できないようになり、図3(B)のように情報コードCに赤外光が照射されている場合には情報コードCが背景から浮き出て認識可能となるように構成されている。このような構成によれば、通常時においては、人による情報コードCの視認を困難とするとともに一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができ、その一方で、特定の読取装置(赤外光を照射しつつ撮像可能な読取装置)を用いて読み取りを行う場合には情報コードCを容易に且つ確実に読み取ることが可能となる。
【0007】
ところで、上記のような読取システムを想定した場合、情報コード形成媒体に形成される情報コードC(不可視コード)が全て確実に読み取られたか否かを確認し難いという問題がある。例えば、上記のような視認困難な情報コードCを用いる場合、媒体上に形成される情報コードCの総数を視認によって確認することができないため、情報コードCが複数存在する場合などにおいて一部の情報コードCを読みこぼすような事態が生じても、読みこぼしが生じているか否かを判別できないという問題がある。一方、情報コードCについては秘匿性が求められるため、情報コードCに関する情報(例えば情報コードCの総数の情報等)を容易に把握させたくない事情もあり、この事情を考慮しつつ上記問題を解消し得る技術が求められている。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通常時において人による情報コードの視認を困難とするとともに一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とし、その一方で、特定の読取装置を用いて読み取りを行う場合にはその認識困難な情報コードを確実に読み取ることができ、更にその認識困難な情報コードの解読が正常であるか否かをより確実に判定できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる1又は複数の第1情報コードと、前記第1情報コードとは異なる第2情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、前記第1情報コード及び前記第2情報コードを読み取る情報コード読取装置と、を備え、前記情報コード形成媒体は、可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成され、前記第1情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされ、前記第2情報コードは、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードとして構成され、前記非公開領域に、少なくとも前記第1情報コードの総数が記録されており、前記情報コード読取装置は、前記情報コード形成媒体に対して少なくとも前記第2波長帯の照明光を照射可能な照明手段と、前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、前記撮像手段によって前記情報コード形成媒体が撮像された場合に、前記第2情報コードの前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域のデータを解読する非公開領域解読手段とを備えたコード解読手段と、前記照明手段により前記第2波長帯の照明光が照射された状態で前記撮像手段により前記情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において前記第1情報コードの個数を検出する個数検出手段と、前記個数検出手段によって検出された前記第1情報コードの個数と、前記非公開領域に記録された前記第1情報コードの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、第1情報コードの明色モジュール及び暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の他方の領域とされている。即ち、第1情報コードは、明色モジュールが反転領域とされ暗色モジュールが非反転領域とされる構成であるか、又は明色モジュールが非反転領域とされ暗色モジュールが反転領域とされる構成となっている。
このように、情報コード形成媒体では、第1情報コードに可視光が照射されているときに、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すか、又はいずれも明色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による前記情報コードの視認を困難とすることができ、且つ一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができる。
一方、第1情報コードは、いずれかのモジュールの領域が反転領域であり、もう片方のモジュールの領域が非反転領域であるため、照明手段により第2波長帯の照明光が照射される時には、明色モジュール及び暗色モジュールの一方が暗色の反射特性を示し他方が明色の反射特性を示すか、又は一方が明色の反射特性を示し他方が暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光を照射し得る上記情報コード読取装置(特定の読取装置)には第1情報コードの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
更に、照明手段により第2波長帯の照明光が照射された状態で撮像手段により情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において第1情報コードの個数を検出する個数検出手段と、個数検出手段によって検出された第1情報コードの個数と、非公開領域に記録された第1情報コードの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段とが設けられている。
この構成によれば、通常状態では視認できない第1情報コードが全て確実に読み取られたか否かを正確に確認でき、第1情報コードの読みこぼしなどを確実に防止できるようになる。また、秘匿性の要求される第1情報コードの情報(第1情報コードの総数等)については、第2情報コードの非公開領域において暗号化されており、暗号化キーに対応する解読キーを記憶している特定の読取装置によってのみ解読可能に構成されているので、第三者による視認や解読キーを記憶していない汎用の読取装置などによって第1情報コードの情報(第1情報コードの総数等)が読み取られることがなく、高いセキュリティ性を担保することができる。
【0011】
請求項2の発明では、情報コード形成媒体は、シート状のリライタブル部材によって構成されている。そして、少なくとも第2情報コードは書き換え可能に構成されている。
このように、情報コード形成媒体において第2情報コードが書き換え可能(繰り返して印字や消去が可能)に構成されているので、利便性や省資源化を図ることができる。例えば、第1情報コードの記録内容を変化させたり、第1情報コードの個数を追加する場合(例えば、印刷やスタンプなどによって第1情報コードを追加する場合等)において、この変更に合わせて第2情報コードの内容を容易に書き換えることができる。従って、第1情報コードの状態を変更させるような使用方法が可能となり、このように変更があった場合に、第2情報コードの内容(特に、非公開領域に記録される内容)を第1情報コードの新たな状態に正確に対応させることができるようになる。
【0012】
請求項3の発明では、情報コード形成媒体は、第1情報コードが書き換え可能に構成されている。このように、第2情報コードだけでなく、第1情報コードも書き換え可能に構成することで、より利便性を高めることができる。例えば、情報コード形成媒体の第1情報コードを書き直して新たな個数、内容として用いることができるようになり、このような場合に、第2情報コードを書き直して正確に対応付けることができる。
【0013】
請求項4の発明では、第2情報コードの非公開領域には、情報コード形成媒体での第1情報コードの位置を示す位置情報が記録されている。そして、コード解読手段は、非公開領域に記録される位置情報に基づいて第1情報コードの位置を特定し、当該第1情報コードの解読を行うようにしている。このように、第2情報コードの非公開領域に記憶される位置情報に基づいて第1情報コードの位置を特定し、解読を行うようにすることで、正規の第1情報コードを漏れなく正確に検出しやすくなり、第1情報コードの読み取りに要する時間も短縮しやすくなる。
【0014】
請求項5の発明では、第2情報コードの非公開領域には、情報コード形成媒体での第1情報コードの位置を示す位置情報が記録されており、コード解読手段には、照明手段により第2波長帯の照明光が照射された状態で撮像手段により情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において、第1情報コードの位置を検出する位置検出手段が設けられている。そして、判定手段は、位置検出手段によって検出された第1情報コードの位置と、非公開領域に記録された位置情報とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定するようにしている。この構成によれば、撮像画像から特定される第1情報コードの実際の位置と、非公開領域に記録されている第1情報コードの位置情報とを比較して正常な解読状態であるか否かを判定できるようになる。このように第1情報コードの個数だけでなく位置をも加味して正常状態か否かを判定する構成とすれば、第1情報コードや第2情報コードが偽造される等の不正がなされた場合に、その不正状態をより確実に検出できるようになり、よりセキュリティ性を高めることができる。
【0015】
請求項6の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する情報コード読取装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取システムを概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体の一例を概略的に説明する説明図である。
【図3】図3(A)は、図2の情報コード形成媒体に対して可視光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図であり、図3(B)は、図2の情報コード形成媒体に対して赤外光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図である。
【図4】図4は、図3の情報コード形成媒体の作成方法を概略的に説明する説明図である。
【図5】図5(A)は、図2の情報コード形成媒体の情報コード形成領域及び背景領域等を概念的に説明する説明図であり、図5(B)はその拡大図である。
【図6】図6は、一部非公開コードのデータ構成を例示する説明図である。
【図7】図7は、一部非公開コードのデータ構成を例示する説明図である。
【図8】図8は、情報コード読取装置の要部を概略的に例示するブロック図である。
【図9】図9は、情報コード読取装置での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取システム及び情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(情報コード読取システムの概要)
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取システムを概念的に説明する説明図である。図2は、図1の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体の一例を概略的に説明する説明図である。図3(A)は、図2の情報コード形成媒体に対して可視光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図であり、図3(B)は、図2の情報コード形成媒体に対して赤外光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図である。図4は、図3の情報コード形成媒体の作成方法を概略的に説明する説明図である。図5(A)は、図2の情報コード形成媒体の情報コード形成領域及び背景領域等を概念的に説明する説明図であり、図5(B)はその拡大図である。
【0018】
情報コード読取システム1は、明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる1又は複数の第1情報コードCと、第1情報コードCとは異なる第2情報コードCaとが形成された情報コード形成媒体10と、第1情報コードC及び第2情報コードCaを読み取る情報コード読取装置40とを備えて構成されている。
【0019】
情報コード形成媒体10の用途は様々であり、割引券、駐車券、商品券、地域振興券、入場券、各種チケット、商品ラベル、診察券、定期券、旅券、会員証、住民票や印鑑証明などの各種証明書の台紙など、セキュリティ性が要求される他の用途に適用してもよい。以下の説明では、その一例として、情報コード形成媒体10が店舗などで利用される割引券として構成された例を代表例として説明する。
【0020】
(情報コード形成媒体の構成)
次に、本実施形態の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体10について詳述する。
情報コード形成媒体10は、紙、樹脂部材、金属部材等をシート状に構成した物体に第1情報コードC(以下、単に「情報コードC」とも言う)と第2情報コードCa(以下、単に「情報コードCa」とも言う)が形成されてなるものである。この情報コード形成媒体10は、情報コードCaの形成領域が少なくともリライタブル部材によって構成されており、情報コードCaが書き換え可能に構成されている。また、情報コードCの形成領域も、情報コードCaの形成領域と同様に、リライタブル部材によって構成されていることが望ましい。より望ましくは、情報コード形成媒体1全体がリライタブル部材によって構成されているとよい。なお、情報コード形成媒体10は、「読取対象物」の一例に相当する。
【0021】
図2に示すように、情報コード形成媒体10は、情報コードCが形成された領域(情報コード形成領域C1、C2)と、文字、図形、記号、模様などからなる背景領域(情報コード形成領域C1,C2の周囲のデザイン領域)A2とが隣接して形成されており、後述する赤外光よりも可視光の量が十分大きく可視光が支配的である通常状態では、図3(A)のように、情報コードCの領域C1、C2が背景領域A2に埋没する構成で一体化するように視認及び撮像されるようになっており、情報コードCの領域C1、C2付近を直接視認した場合でも、情報コードCの領域C1、C2付近を撮像した撮像画像においても情報コードCのみを把握することが困難となっている。なお、図2では、情報コード形成領域C1、C2の位置を一点鎖線にて概念的に示している。
【0022】
この情報コード形成媒体10において、文字、図形、記号、模様等が付された領域B1〜B4は、反転領域と非反転領域とに分かれている。そして、反転領域は、少なくとも可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに明色の反射特性を示すように構成されている。また、非反転領域は、可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、第2波長帯の光が照射されたときに暗色の反射特性を示すように構成されている。なお、以下では、第2波長帯の光が「赤外光」である場合を代表例として説明することとする。即ち、以下の構成では、反転領域は、可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、赤外光が照射されたときに明色の反射特性を示すようになっており、具体的には例えば、可視光が照射されたときに黒色等として視認及び撮像されるように反射がなされ、赤外光が照射されたときには白色等として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。また、非反転領域は、可視光が照射されたときには暗色の反射特性を示し、赤外光が照射されたときにも暗色の反射特性を示すようになっており、具体的には例えば、可視光が照射されたときに黒色等として視認及び撮像されるように反射がなされ、赤外光が照射されたときにも黒色等として視認及び撮像される反射がなされるようになっている。
【0023】
情報コード形成媒体10に形成される情報コードCは、暗色モジュール(図3等に示す例では暗色セル)の領域A3が非反転領域とされており、明色モジュール(明色セル:図3)の領域A4が反転領域となっている。また、情報コード形成媒体10において、情報コードCの形成領域C1、C2の周囲には、当該形成領域C1、C2と連続する構成で反転領域からなる背景領域A2が形成されている。このように構成されているため、可視光を照明光として照射する一般的な読取装置では、図3(A)のように明色モジュールの領域A4、暗色モジュールの領域A3、背景領域A2が全て暗色(例えば黒色)で一体化された状態で撮像され、情報コードCが抽出困難となる。一方、第2波長帯の照明光(本実施形態では、赤外光)を照射しつつ撮像する場合には、図3(B)のように明色モジュールの領域A4及び背景領域A2が明色に反転され、暗色モジュールの領域A3が暗色のままとなった撮像画像を得ることができるため、当該撮像画像において情報コードCを抽出することが可能となる。
【0024】
情報コード形成媒体10は、最終的に上述のような構成となっていればどのような方法で作成されてもよいが、例えば図4のような手順で作成することができる。
図4の方法では、図4上段のように用意された記録紙Pに対して、第1のインク式プリンタにより、第1のインクによって第1インク領域A1(第1着色領域)を印刷している(図4中段)。このように、第1インク領域A1(第1着色領域)を形成する際には、後に情報コードCを形成するべき領域(情報コード形成対象領域:図4最下段の領域C1、C2)と重なるように第1インク領域A1(第1着色領域)を印刷しておく。この第1インク領域A1の印刷に用いる第1のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時に黒色等の暗色の反射特性を示すと共に波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に非暗色の反射特性を示す赤外線反応式インクとして構成されている。
【0025】
なお、本明細書において「暗色の反射特性」とは、黒色等の暗色として視認及び撮像されるような反射特性であり、第1のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時には暗色(黒色等)として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。また、本明細書において「非暗色の反射特性」とは、黒色等の暗色として視認及び撮像されない反射特性であり、第1のインクは、例えば波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に透明状態或いは透明性の高い状態で視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。図4の例では、記録紙P(記録媒体)に対しこのような第1のインクを用いてインク式プリンタで印刷を行うことで第1インク領域A1を形成している。
【0026】
本実施形態では、明色(白色、黄色、或いはこれらに近似する色等の明系色)の記録紙P(紙等)に対して第1のインク及び第2のインクによって文字、図形、記号、模様等が形成されるようになっている。即ち、記録紙Pの地の色が明色となっており、第1のインクが付され且つ第2のインクが付されていない領域では、長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に当該領域に付された第2のインクが透明状態或いは透明性の高い状態となり、当該領域が地の色又は地の色に近い明色となるように構成されている。
【0027】
図4中段のように記録紙Pに第1インク領域A1を形成した後には、第2のインク式プリンタにより、第1情報コードCの図形データ、第2情報コードCaの図形データ、及びその他の文字、図形データを第2のインクによって記録紙Pの所定位置に形成するように印刷を行う。具体的には、図4中段のような記録紙Pにおいて、第1インク領域A1内の領域C1,C2の位置に、第1インク領域A1の上に重なるように第2のインクによって暗色モジュール領域A3(図5参照)を形成する。また、第1インク領域A1以外の領域に、第2情報コードCaの図形データや他の文字等(例えば、図4下段に示す各種情報B2〜B4など)を第2のインクによって印刷する。
【0028】
第2のインク式プリンタで用いられる第2のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時に暗色の反射特性を示すと共に波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時にも暗色の反射特性を示すインク(例えば赤外線反応式ではない通常の黒色インク等)として構成されている。「暗色の反射特性」は、上述したように黒色等の暗色として視認及び撮像されるような反射特性であり、第2のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時にも、波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時にも、暗色(黒色等)として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。なお、本明細書における「暗色」は、黒色に限られるものではなく、藍色、青色、或いは黒、藍、青に近似する色などの暗系色であってもよい。そして、第2のインクは、例えば、特開2011−76362号公報、特開2005−141626号公報、特開2003−266942号公報などに開示されるロイコ染料等によって構成されており、熱などによって書き換え可能となっている。また、第2のインク式プリンタは、サーマルヘッドを有しており、情報コード形成媒体10を所定の加熱温度で加熱することで、印字された情報を消去できるようになっている。
【0029】
図5(A)では、このように形成される情報コード形成媒体10において、第1インク領域A1の範囲内に形成された第2着色領域(第2のインクで印刷された領域)を概念的に示しており、図5(B)では、その一部の拡大図を示している。このように、第1インク領域A1の範囲内には第1情報コードCを構成する暗色モジュール領域A3が第2着色領域として形成されることになるが、図4下段(図3(A)も参照)のように、可視光が照射される通常時にはこの暗色モジュール領域A3は第1インク領域A1に埋没した表示態様となる。また、図4下段、図5等に示す構成では、暗色モジュール(暗色セル)の領域A3は、暗色モジュール領域A3を構成する第2のインクと第1インク領域A1を構成する第1のインクとが重ねられた構成となり、情報コードCの内部領域において暗色モジュールが付されない領域(即ち、明色モジュール(明色セル)の領域A4)は第1のインクのみによって形成されることになる。また、情報コードCの周囲の背景領域A2も第1のインクのみによって構成されることになる。
【0030】
また、第1情報コードCには、セキュリティ性を必要とする情報(例えば、顧客の個人情報)などが記録されている。そして、上述のように、第1情報コードCは、通常時(可視光下)において人による視認が困難且つ一般的な読取装置による認識が困難であるため、この第1情報コードCに記録されている情報が第三者によって容易に取得され難くなっている。
【0031】
第2情報コードCaは、暗号化キーを用いずに読み取りが可能となる公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、公開領域に連携識別子(所定情報)が記録されてなる一部非公開コード(以下、第2情報コードCaを「一部非公開コード」とも言う)として構成されている。
【0032】
次に、一部非公開コードのデータ構成について説明する。図6は、一部非公開コードのデータ構成を例示する説明図である。例えば、特開2009−9547公報、特開2008−299422公報などに開示された技術を好適に用いることができる。図6には、これら公報の技術を用いた場合の一部非公開コードのデータ構成を例示しており、このうち、「開示コード」は、「割引券です。」などの開示データをJISの基本仕様(JISX0510:2004)に従って符号化したものである。また、「秘匿コード」は、暗号データをJISの基本仕様(JISX0510:2004)に従って符号化したものであり、本実施形態では、第1情報コードCの総数(例えば、「2」)に関する情報が記録されている。
【0033】
また、一部非公開コードの「秘匿コード」には、図7に示すように、更に、情報コード形成媒体10での第1情報コードCの位置を示す位置情報が記録されていてもよい。例えば、第1情報コードCの位置情報は、第2情報コードCaからの相対距離として記録されている。この相対距離は、具体的に、第2情報コードCaの中心から第1情報コードCの位置情報の中心までの距離(撮像した画像内における画素数相当)を1セル分の画素数で割った数値を用いることができ、例えば、「100」や「150」などの値が第1情報コードCの総数と共に、第1情報コードCの非公開領域に記録されている。このように、第1情報コードCの位置情報を非公開領域に記録しておけば、当該位置情報に基づいて情報コード形成領域C1、C2を特定できるので、当該コードの画像データの情報処理を容易にすることができる。
【0034】
なお、一部非公開コードの生成方法や生成される一部非公開コードの具体的構成はこの例に限られるものではなく、一部領域に暗号化データを記録し、他の領域に非暗号化データを記録した二次元コードを生成可能な方法であれば、これら公報に記載された方法以外の方法で生成されていてもよい。
【0035】
さらに、一部非公開コードには、公開領域のデータとして、所定の公開データや特殊インクを検知するための識別子(第1情報コードCとの連携を示すインジケータ)が記録されており、更に、公開領域のデータに続く構成で公開領域のデータの終端を示す識別子が記録されている。特殊インクとの連携を示すインジケータは、例えば予め定められた配列の数字によって構成されている。このように構成されているため、公開領域のデータ(終端の識別子までのデータ)については、解読キーが存在しなくても解読可能となっており、非公開データについては、非公開データの暗号化を解読するための解読キー及び解読アルゴリズムが存在しなければ、解読できないようになっている。
【0036】
(情報コード読取装置の構成)
次に、本実施形態に係る情報コード読取システムの一部をなす情報コード読取装置について説明する。図8は、図1の情報コード読取装置の要部を概略的に例示するブロック図である。
【0037】
図1、図8に示す情報コード読取装置40(以下、読取装置40ともいう)は、QRコード(登録商標)等の情報コードCを撮像し、読み取る機能を有している。この読取装置40は、CPU等からなる制御部41、受光センサ(例えば、C−MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部42、「第2波長帯の照明光」としての赤外光を照射する照明光源44、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶手段からなる記憶部45などを備えている。また、読取装置40には、液晶表示器などからなる表示部46や、各種操作キーなどからなる操作部47なども設けられている。
【0038】
図8に示すように、撮像部42は、例えば一対の照明光源44a,44bの間に配置されており、情報コード形成媒体10からの反射光を受光センサ42aの受光面に結像させ、情報コード形成媒体10の画像データを生成するように機能している。受光センサ42aは、情報コード形成媒体10で反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。また、結像レンズ42cは、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、受光センサ42aの受光面に情報コードCのコード画像を結像するように機能している。光学系の受光センサ42aから出力される画像信号は、例えば記憶部45の画像データ蓄積領域に蓄積されるようになっている。
【0039】
照明光源44は、例えば撮像部42(受光光学系)を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。これら一対の照明光源44a,44bは、例えば波長700nm〜1000nm(具体的には750nm以上)の赤外光を照射するLEDなどによって構成されている。なお、図8の例では、照明光源44a、44bのそれぞれにおいて、赤外光発光部が2つずつ設けられた例を示したが、それぞれに赤外光発光部が1つずつであってもよく、3つずつ設けられていてもよい。また、図8のように両側に照明光源が設けられていなくてもよく、いずれか片側のみに照明光源が設けられていてもよい。さらに、照明光源44は、可視光を照射するLEDを備えている。
【0040】
記憶部45は、半導体メモリ装置等の記憶媒体であり、例えばROM、RAM(DRAM、SRAM等)、その他の不揮発性メモリなどがこれに相当する。この記憶部45のうちのRAMには、例えば前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御部41が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、例えば各種処理等を実行可能な所定プログラムや照明光源、受光センサ42a等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。また、制御部41は、読取装置40全体を制御可能なマイコン等によって構成され、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を備え、情報処理機能を有している。
【0041】
なお、照明光源44は、「照明手段」の一例に相当し、可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の照明光(赤外光)を照射可能に構成されている。また、撮像部42は「撮像手段」の一例に相当し、照明光源44(照明手段)によって第2波長帯の照明光(赤外光)が照射された情報コード形成媒体10を撮像可能に構成されている。また、制御部41は「コード解読手段」及び「非公開領域解読手段」の一例に相当し、撮像部42(撮像手段)によって撮像された情報コード形成媒体10の画像から情報コードを抽出して解読するように機能する。具体的には、撮像部42によって撮像された情報コード形成媒体10の画像において反転領域と非反転領域とを区別して検出することで明色モジュール及び暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて情報コードを解読するように機能している。また、記憶部45は、第2情報コードCaの暗号化キーに対応する解読キーを記憶しており、「解読キー記憶手段」の一例に相当する。
【0042】
(読取処理)
次に、上述のように構成される情報コード読取システム1により行われる読取処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図9の読取処理を行う読取装置40は、例えば、コンビニエンスストアや飲食店などの店舗において設けられており、例えば、この読取装置40の操作部47に対して所定操作を行うことで図9の読取処理が開始されるようになっている。
【0043】
まず、ユーザのトリガ操作などに応じて、可視光を照射するLEDが点灯されて、情報コード形成媒体10が撮像され、第2情報コードCa(一部非公開コード)の読み取りが開始される(ステップS1)。そして、第2情報コードCaの公開領域に所定情報(第1情報コードCaとの連携を示すインジケータ)が記録されている場合には、制御部41によりこの所定情報の検出を行う。なお、所定情報を検出する制御部41は、「所定情報検出手段」の一例に相当する。
【0044】
このとき、ステップS2にて、所定情報が検出されなかった場合には(S2でNo)、後述のステップS4からの処理がなされることなく、非公開領域等を有しない通常の情報コードに対する読取処理がなされ(ステップS3)、当該処理が終了する。
【0045】
一方、ステップS2にて、所定情報が検出された場合には(S2でYes)、第2情報コードCaの暗号化キーに対応する解読キーが記憶部45に記憶されていることを条件として、非公開領域のデータの読取処理を行い(ステップS4)、解読された非公開領域の情報を記憶部45へ書き込む(ステップS5)。
【0046】
次に、ステップS6にて、赤外光を照射するLEDが点灯されて、情報コード形成媒体10が撮像されて、第1情報コードCの読み取りが開始される。そして、ステップS7にて、時間Tを経過したか否かが判定される。このステップS7では、例えば、時間Tは1秒に設定されており、この設定された所定時間が経過するまでは(S7でNo)、ステップS6での処理が繰り返される。そして、時間Tを経過すると(S7でYes)、ステップS8にて、赤外光が照射された状態で撮像された情報コード形成媒体10の撮像画像において第1情報コードCの個数が検出される。そして、この撮像画像から検出された第1情報コードCの個数と、第2情報コードCaの非公開領域に記憶されている第1情報コードの総数とを照合する。なお、撮像画像から第1情報コードの個数を検出する制御部41は、「個数検出手段」の一例に相当する。
【0047】
次に、ステップS9にて、撮像画像から検出された第1情報コードの個数と非公開領域に記録された第1情報コードの総数とが一致しているか否かを判定する。このとき、検出された第1情報コードの個数と非公開領域に記録された第1情報コードの総数とが一致していない場合には異常な解読状態であると判定されて(S9でNo)、表示部46にデコードデータが表示される代わりに「異常が発生しました」等のメッセージが表示され、当該読取処理を終了する(ステップS10)。一方、検出された第1情報コードの個数と非公開領域に記録された第1情報コードの総数とが一致している場合には(S9でYes)、ステップS11にて、第2情報コードCaの非公開領域に、情報コード形成媒体10での第1情報コードCの位置を示す位置情報があるか否かが判定される。なお、検出された第1情報コードCの個数と、非公開領域に記録された第1情報コードCの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する制御部41は、「判定手段」の一例に相当する。
【0048】
そして、ステップS11で、第2情報コードCaの非公開領域に位置情報が記録されていると判定された場合には(S11でYes)、ステップS12にて、赤外光が照射された状態で撮像された情報コード形成媒体10の撮像画像において、第1情報コードCの位置を検出する。第1情報コードCの位置の検出は、第1情報コードCがQRコードの場合には、当該QRコードを構成する位置検出パターンを検出することによって当該QRコードの位置を検出することができ、例えば、特開2007−226411公報などに開示された技術を好適に用いることができる。そして、撮像画像から検出された第1情報コードCの位置と、第2情報コードCaの非公開領域に記録されている位置情報とを照合する。なお、第1情報コードの位置を検出する制御部41は、「位置検出手段」の一例に相当する。
【0049】
次に、ステップS13にて、撮像画像から検出された第1情報コードCの位置と、第2情報コードCaの非公開領域に記録されている位置情報とが一致しているか否かを判定する。このとき、撮像画像から検出された第1情報コードCの位置と、第2情報コードCaの非公開領域に記録されている位置情報とが一致していない場合には、異常な解読状態であると判定されて(S13でNo)、表示部46にデコードデータが表示される代わりに「異常が発生しました」等のメッセージが表示され、当該読取処理を終了する(ステップS10)。一方、撮像画像から検出された第1情報コードCの位置と、第2情報コードCaの非公開領域に記録されている位置情報とが一致している場合には(S13でYes)、正常な解読状態であると判定されて、ステップS14にてデコードデータ(第1情報コードC及び第2情報コードCaのデコードデータ)が表示部46に表示された後、ステップS15にて、さらに表示部46に「正常終了」等のメッセージが表示され、当該読取処理を終了する。また、ステップS11で第2情報コードCaの非公開領域に位置情報が記録されていないと判定された場合も(S11でNo)同様に、ステップS14にてデコードデータが表示部46に表示された後、ステップS15にて、表示部46に「正常終了」等のメッセージが表示され、当該読取処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、本第1実施形態に係る情報コード読取システム1では、第1情報コードCの明色モジュール及び暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の他方の領域とされている。即ち、第1情報コードCは、明色モジュールが反転領域とされ暗色モジュールが非反転領域とされる構成であるか、又は明色モジュールが非反転領域とされ暗色モジュールが反転領域とされる構成となっている。
このように、情報コード形成媒体10では、第1情報コードCに可視光が照射されているときに、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すか、又はいずれも明色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による第1情報コードCの視認を困難とすることができ、且つ一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができる。
【0051】
一方、第1情報コードCは、いずれかのモジュールの領域が反転領域であり、もう片方のモジュールの領域が非反転領域であるため、照明光源44により第2波長帯の照明光が照射される時には、明色モジュール及び暗色モジュールの一方が暗色の反射特性を示し他方が明色の反射特性を示すか、又は一方が明色の反射特性を示し他方が暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光を照射し得る上記情報コード読取装置40(特定の読取装置)には第1情報コードCの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
【0052】
更に、照明光源44により第2波長帯の照明光が照射された状態で撮像部42により情報コード形成媒体10が撮像されたときの撮像画像において第1情報コードCの個数を検出する個数検出手段(制御部41)と、個数検出手段によって検出された第1情報コードCの個数と、非公開領域に記録された第1情報コードCの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段(制御部41)とが設けられている。
この構成によれば、通常状態では視認できない第1情報コードCが全て確実に読み取られたか否かを正確に確認でき、第1情報コードCの読みこぼしなどを確実に防止できるようになる。また、秘匿性の要求される第1情報コードCの情報(第1情報コードCの総数等)については、第2情報コードCaの非公開領域において暗号化されており、暗号化キーに対応する解読キーを記憶している特定の読取装置によってのみ解読可能に構成されているので、第三者による視認や解読キーを記憶していない汎用の読取装置などによって第1情報コードCの情報(第1情報コードCの総数等)が読み取られることがなく、高いセキュリティ性を担保することができる。
【0053】
また、情報コード形成媒体10は、シート状のリライタブル部材によって構成されている。そして、少なくとも第2情報コードCaは書き換え可能に構成されている。
このように、情報コード形成媒体10において第2情報コードCaが書き換え可能(繰り返して印字や消去が可能)に構成されているので、利便性や省資源化を図ることができる。例えば、第1情報コードCの記録内容を変化させたり、第1情報コードCの個数を追加する場合(例えば、印刷やスタンプなどによって第1情報コードCを追加する場合等)において、この変更に合わせて第2情報コードCaの内容を容易に書き換えることができる。従って、第1情報コードCの状態を変更させるような使用方法が可能となり、このように変更があった場合に、第2情報コードCaの内容(特に、非公開領域に記録される内容)を第1情報コードCの新たな状態に正確に対応させることができるようになる。
【0054】
また、情報コード形成媒体10は、第1情報コードCが書き換え可能に構成されている。このように、第2情報コードCaだけでなく、第1情報コードCも書き換え可能に構成することで、より利便性を高めることができる。例えば、情報コード形成媒体10の第1情報コードCを書き直して新たな個数、内容として用いることができるようになり、このような場合に、第2情報コードCaを書き直して正確に対応付けることができる。
【0055】
また、第2情報コードCaの非公開領域には、情報コード形成媒体10での第1情報コードCの位置を示す位置情報が記録されており、コード解読手段には、照明光源44により第2波長帯の照明光が照射された状態で撮像部42により情報コード形成媒体10が撮像されたときの撮像画像において、第1情報コードCの位置を検出する位置検出手段(制御部41)が設けられている。そして、判定手段は、位置検出手段によって検出された第1情報コードCの位置と、非公開領域に記録された位置情報とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定するようにしている。この構成によれば、撮像画像から特定される第1情報コードCの実際の位置と、非公開領域に記録されている第1情報コードCの位置情報とを比較して正常な解読状態であるか否かを判定できるようになる。このように第1情報コードCの個数だけでなく位置をも加味して正常状態か否かを判定する構成とすれば、第1情報コードCや第2情報コードCaが偽造される等の不正がなされた場合に、その不正状態をより確実に検出できるようになり、よりセキュリティ性を高めることができる。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
上記実施形態では、情報コード形成媒体10が、シート状のリライタブル部材によって構成された例を示したが、これに限定されず、書き換え不可能な部材によって構成されていてもよい。
【0058】
上記実施形態では、第2情報コードCaの非公開領域に、情報コード形成媒体10での第1情報コードCの位置を示す位置情報が記録されている場合には、第1情報コードCの個数だけでなく位置をも加味して正常な解読状態であるか否かを判定するようにしたが、第1情報コードCの個数のみに基づいて判定するようにしてもよい。この場合、第2情報コードCaの非公開領域に記憶される位置情報に基づいて第1情報コードCの位置を特定し、解読を行うようにすることで、正規の第1情報コードCを漏れなく正確に検出しやすくなり、第1情報コードCの読み取りに要する時間も短縮しやすくなる。
【0059】
上記実施形態では、表示部46にデコードデータが表示された後、さらに「正常終了」等のメッセージを表示するようにしたが、「正常終了」等のメッセージの表示を省略してもよい。
【0060】
上記実施形態では、情報コード形成媒体10において、情報コードCaの形成領域のみを書き換え可能な構成とする場合、この情報コードCaの形成領域を、銀色の印字面に白い文字を印字する白濁式のリライタブル部材によって構成するようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、少なくとも反転領域は、赤外光を照射したときに明色(非暗色)の反射特性を示す赤外線反応式インクを用いて構成した例を示したが、これに限定されない。例えば、紫外光を照射したときに明色(非暗色)の反射特性を示す紫外線反応式インクを用いて構成するようにしてもよい。この場合、第2波長帯の光は、紫外光とすればよい。
【符号の説明】
【0062】
1…情報コード読取システム
10…情報コード形成媒体
40…情報コード読取装置
41…制御部(コード解読手段、非公開領域解読手段、所定情報検出手段、個数検出手段、判定手段、位置検出手段)
42…撮像部(撮像手段)
44…照明光源(照明手段)
45…記憶部(解読キー記憶手段)
C…第1情報コード
Ca…第2情報コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる1又は複数の第1情報コードと、前記第1情報コードとは異なる第2情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、
前記第1情報コード及び前記第2情報コードを読み取る情報コード読取装置と、
を備え、
前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成され、
前記第1情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされ、
前記第2情報コードは、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードとして構成され、前記非公開領域に、少なくとも前記第1情報コードの総数が記録されており、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コード形成媒体に対して少なくとも前記第2波長帯の照明光を照射可能な照明手段と、
前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、
前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、
前記撮像手段によって前記情報コード形成媒体が撮像された場合に、前記第2情報コードの前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域のデータを解読する非公開領域解読手段とを備えたコード解読手段と、
前記照明手段により前記第2波長帯の照明光が照射された状態で前記撮像手段により前記情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において前記第1情報コードの個数を検出する個数検出手段と、
前記個数検出手段によって検出された前記第1情報コードの個数と、前記非公開領域に記録された前記第1情報コードの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項2】
前記情報コード形成媒体は、シート状のリライタブル部材によって構成され、少なくとも前記第2情報コードが書き換え可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項3】
前記情報コード形成媒体は、前記第1情報コードが書き換え可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取システム。
【請求項4】
前記第2情報コードの前記非公開領域には、前記情報コード形成媒体での前記第1情報コードの位置を示す位置情報が記録され、
前記コード解読手段は、前記非公開領域に記録される前記位置情報に基づいて前記第1情報コードの位置を特定し、当該第1情報コードの解読を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項5】
前記第2情報コードの前記非公開領域には、前記情報コード形成媒体での前記第1情報コードの位置を示す位置情報が記録され、
前記コード解読手段には、前記照明手段により前記第2波長帯の照明光が照射された状態で前記撮像手段により前記情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において前記第1情報コードの位置を検出する位置検出手段が設けられており、
前記判定手段は、前記位置検出手段によって検出された前記第1情報コードの位置と、前記非公開領域に記録された前記位置情報とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項6】
明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる1又は複数の第1情報コードと、前記第1情報コードとは異なる第2情報コードとが形成された情報コード形成媒体を読取対象物として、前記第1情報コード及び前記第2情報コードを読み取る情報コード読取装置であって、
読取対象物の前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成され、
前記第1情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされ、
前記第2情報コードは、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードとして構成され、前記非公開領域に、少なくとも前記第1情報コードの総数が記録されており、
前記情報コード形成媒体に対して少なくとも前記第2波長帯の照明光を照射可能な照明手段と、
前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、
前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、
前記撮像手段によって前記情報コード形成媒体が撮像された場合に、前記第2情報コードの前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域のデータを解読する非公開領域解読手段とを備えたコード解読手段と、
前記照明手段により前記第2波長帯の照明光が照射された状態で前記撮像手段により前記情報コード形成媒体が撮像されたときの撮像画像において前記第1情報コードの個数を検出する個数検出手段と、
前記個数検出手段によって検出された前記第1情報コードの個数と、前記非公開領域に記録された前記第1情報コードの総数とに基づいて、正常な解読状態であるか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする情報コード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58078(P2013−58078A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195975(P2011−195975)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】