説明

情報コード読取システム

【課題】可視光が照射される通常の環境下で認識、読み取りが困難な情報コードと、このような通常の環境下において認識、読み取りを行いうる第2の情報コードとを併用しうる情報コード読取システムにおいて、各情報コードの解読をより確実に行うことができ、且つ各情報コードの撮像、解読処理をより短時間で行うことが可能な構成を提供する。
【解決手段】情報コード読取システム1において、撮像部42には、情報コード形成媒体10からの像を受光して受光信号を出力する受光センサ60と、第1時期に受光センサ60で生成される受光信号の中から第1所定領域(第1の情報コードCを含んだ領域)に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2時期に受光センサ60で生成される受光信号の中から第2所定領域(第2の情報コードCaを含んだ領域)に対応する第2対応信号を抽出して出力する信号選択部82とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードが様々な用途で使用されており、その使用目的も多様化しつつある。特に、近年では、情報コードのセキュリティ性向上のニーズが高まってきており、特定の条件を満たした場合にのみ情報コードを読み取ることができるような構成が求められている。なお、情報コードにセキュリティ機能を付加した技術としては、例えば特許文献1のようなものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−146461公報
【特許文献2】特開平11−338966公報
【特許文献3】特開平1−217687公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、紫外線下でのみ視認可能な印刷液で鍵情報(3)を本データ(2)と重ねて印刷している。この技術では、通常の可視光条件下では鍵情報(3)を視認することができないため、一定条件下で暗号化された本データ(2)のセキュリティ性が担保されることになる。
【0005】
しかしながら、この特許文献1の技術は、鍵情報(3)を数値データとして付し、これを紫外線環境下で操作者に目視させようとするものであるため、操作者が鍵情報(3)を目視して確実に確認できるか否かが環境(印刷環境、読取環境等)や構成(情報コードの大きさや鍵情報の構成)に大きく左右されてしまうという問題がある。特に、情報コードの小型化を図ろうとした場合、読取装置によって当該情報コード自体は認識できたとしても、操作者が鍵情報(3)を視認できなくなるという事態が生じやすく、このような場合には、操作者が鍵情報を得られることができず、情報コードの解読が成り立たなくなってしまう。また、本データ(2)と鍵情報(3)を重ねたものを操作者に読み取らせる方法では、最終的な解読の成否を操作者の熟練度等に依存してしまうため、迅速かつ安定的な解読が難しいという問題もある。
【0006】
このような問題を解消すべく、発明者らは、例えば、図3のような情報コードC及びこれを読み取る読取システムを想定するに到った。このシステムでは、図4(A)のように情報コードCに可視光が照射されている場合には情報コードが背景に埋没して把握できないようになり、図4(B)のように情報コードCに赤外光が照射されている場合には情報コードCが背景から浮き出て認識可能となるように構成されている。このような構成によれば、通常時においては、人による情報コードCの視認を困難とするとともに一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができ、その一方で、特定の読取装置(赤外光を照射しつつ撮像可能な読取装置)を用いて読み取りを行う場合には情報コードCを容易に且つ確実に読み取ることが可能となる。
【0007】
ところで、上述した情報コードCのような特殊な情報コードは、可視光で読み取りうる情報コード(例えば、一般的なQRコード(登録商標)等)と併用することで利便性、有用性が増すことが期待される。そして、このように2種類の情報コードを併用する場合、赤外光で読み取りうる特殊な情報コードについては、より明瞭に撮像するために当該情報コードに赤外光が照射されている状態で撮像することが望ましく、可視光で読み取りうる情報コードについては、より明瞭に撮像するために可視光が支配的な環境下で撮像することが望ましいといえる。しかしながら、このような要求を満たすべく撮像を2回に分けて行い、2フレーム分の撮像画像の出力及び記憶しつつこれら2フレーム分の撮像画像の解読を行うようにすると、画像の転送処理や解読処理に要する時間が大きくなってしまい、解読の遅延を招いてしまうことになる。
【0008】
一方、上記問題を解消しようとする技術は見当たらないが、関連技術としては、特許文献2、3のようなものが提供されている。例えば、特許文献2の技術では、複数種類のカラーフィルタを用い、読取対象に対してカラーフィルタを切り替えて読み取りを行う手法が開示されている。また、複数種類のセンサを使用し、各色毎に割り当てられたエリアセンサで撮像する手法も提案されている。もう一方の特許文献3の技術では、赤外光に対する郵便物からの反射光を光電変換する手段と、可視光に対する郵便物からの反射光を光電変換する手段とが設けられ、2種類のセンサによって文字情報を認識しようとする技術が開示されている。しかしながら、特許文献2、3のいずれの技術も、撮像条件を変更するという特徴を有してはいるものの、撮像条件毎に画像フレームを転送、記憶し、撮像条件毎に得られた画像フレームをそれぞれ解読するものであるため、変更される撮像条件の数だけ画像フレームが必要となってしまう。このような方法では、画像の転送処理や解読処理に要する時間が大きくなるという問題を解消することはできない。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、通常時に人による情報コードの視認や一般的な読取装置による認識が困難となり、特定の読取装置を用いた場合に確実に読み取ることができるような特殊な情報コードを用い、更に、可視光が照射される通常の環境下で認識、読み取りを行いうる第2の情報コードを併用するような情報コード読取システムにおいて、各情報コードの解読をより確実に行うことができ、且つ各情報コードの撮像、解読処理をより短時間で行うことが可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる第1の情報コードと、前記第1の情報コードとは異なる第2の情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、
前記情報コード形成媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体に対して照明光を照射する照明手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記情報コード形成媒体の画像から前記第1の情報コード及び前記第2の情報コードを抽出して解読する解読手段と、を有する情報コード読取装置と、
を備え、
前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成されており、
且つ、前記第1の情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされたものであり、
前記照明手段は、前記保持手段によって前記情報コード形成媒体が保持されているときの所定の第1時期に、前記情報コード形成媒体における前記第1の情報コードを含んだ第1所定領域に対して前記第2波長帯の照明光を照射するように構成され、
前記第1時期と異なる又は同一の第2時期に、前記情報コード形成媒体における前記第2の情報コードを含んだ第2所定領域に対して前記第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されるように構成されており、
前記撮像手段は、
前記情報コード形成媒体からの像を受光して受光信号を出力する受光手段と、
前記第1時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ前記第2時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力する信号選択手段と、
を備え、
前記解読手段は、
前記信号選択手段によって出力される前記第1対応信号の画像において前記反転領域と前記非反転領域とを区別して検出することで前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて前記第1の情報コードを解読し、
且つ前記信号選択手段によって出力される前記第2対応信号の画像に基づいて前記第2の情報コードを解読することを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる第1の情報コードと、前記第1の情報コードとは異なる第2の情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、
前記情報コード形成媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体に対して照明光を照射する照明手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記情報コード形成媒体の画像から前記第1の情報コード及び前記第2の情報コードを抽出して解読する解読手段と、を有する情報コード読取装置と、
を備え、
前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成されており、
且つ、前記第1の情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされたものであり、
前記撮像手段は、前記情報コード形成媒体からの像を受光する複数の受光素子を備えると共に、所定素子領域毎の露光タイミングを順次異ならせて素子領域毎に露光タイミングの異なる受光信号を順次出力する順次露光方式の受光手段を有し、
前記保持手段によって前記情報コード形成媒体が保持されているとき、前記受光手段において前記第1の情報コードを含んだ第1所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第1時期に、前記照明手段が少なくとも前記第1所定領域に対して前記第2波長帯の照明光を照射するように構成され、前記受光手段において前記第2の情報コードを含んだ第2所定領域からの像を受光する部分を露光対象となる第2時期に、前記照明手段が前記第2波長帯の照明光を照射せず、前記第2所定領域に可視光が照射されるように構成されており、
前記解読手段は、
前記第1時期に前記受光手段で生成される第1対応信号の画像において前記反転領域と前記非反転領域とを区別して検出することで前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて前記第1の情報コードを解読し、
且つ前記第2時期に前記受光手段で生成される第2対応信号の画像に基づいて前記第2の情報コードを解読することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、第1の情報コードの明色モジュール及び暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の他方の領域とされている。即ち、第1の情報コードは、明色モジュールが反転領域とされ暗色モジュールが非反転領域とされる構成であるか、又は明色モジュールが非反転領域とされ暗色モジュールが反転領域とされる構成となっている。
このように、情報コード形成媒体では、第1の情報コードに可視光が照射されているときに、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すか、又はいずれも明色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による前記情報コードの視認を困難とすることができ、且つ一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができる。
一方、情報コード読取装置側には照明手段が設けられており、保持手段によって情報コード形成媒体が保持されているときの所定の第1時期に、情報コード形成媒体における第1の情報コードを含んだ第1所定領域に対して第2波長帯の照明光を照射するように構成されている。
第1の情報コードは、いずれかのモジュールの領域が反転領域であり、もう片方のモジュールの領域が非反転領域であるため、照明手段により第2波長帯の照明光が照射される時には、明色モジュール及び暗色モジュールの一方が暗色の反射特性を示し他方が明色の反射特性を示すか、又は一方が明色の反射特性を示し他方が暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光を照射し得る上記情報コード読取装置(特定の読取装置)には第1の情報コードの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
更に、情報コード形成媒体には、第2の情報コードが形成されており、照明手段により第2波長帯の照明光が照射される時期(第1時期)と異なる又は同一の第2時期に、情報コード形成媒体における第2の情報コードを含んだ第2所定領域に対して第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されるように構成されている。そして、撮像手段には、情報コード形成媒体からの像を受光して受光信号を出力する受光手段と、第1時期に受光手段で生成される受光信号の中から第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力する信号選択手段とが設けられている。そして、解読手段は、信号選択手段によって出力される第1対応信号の画像において反転領域と非反転領域とを区別して検出することで明色モジュール及び暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて第1の情報コードを解読し、且つ信号選択手段によって出力される第2対応信号の画像に基づいて第2の情報コードを解読するように構成されている。
この構成によれば、秘匿性の高い第1の情報コードに加え、可視光が照射される通常の環境下で認識、読み取りを行いうる第2の情報コードを併用することができる。更に、第1時期に受光手段で生成される受光信号の中から第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力しているため、第1の情報コードを解読するために1フレーム全体を送信、記憶し、第2の情報コードを解読するためにこれとは別のフレーム全体を送信、記憶するような方式と比較して送信、記憶する画像情報を確実に削減することができる。従って、各情報コードの確実な解読を可能としつつ、各情報コードの撮像、解読処理をより短時間で行うことができる。
【0013】
請求項2の発明は、受光手段において第1所定領域に対応する位置を特定する第1特定情報と、受光手段において第2所定領域に対応する位置を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備えている。そして、信号選択手段は、第1特定情報に基づいて、第1時期に受光手段で生成される受光信号の中から第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2特定情報に基づいて、第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力している。
このように受光手段における第1所定領域に対応する位置を特定する第1特定情報及び第2所定領域に対応する位置を特定する第2特定情報を予め記憶しておけば、実際の読取時などに、生成された受光信号において第1所定領域及び第2所定領域に対応する信号がどの部分であるかを特定する処理を特別に行わずとも、これらの領域に対応する信号を迅速且つ確実に抽出することができる。
【0014】
請求項3の発明は、情報コード形成媒体を用いた事前設定時において、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光が照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第1所定領域に対応する位置を決定し、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第2所定領域に対応する位置を決定する位置決定手段を備えている。そして、信号選択手段は、事前設定時の以後において、位置決定手段によって決定された第1所定領域に対応する位置に基づき、第1時期に受光手段で生成される受光信号の中から第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ位置決定手段によって決定された第2所定領域に対応する位置に基づき、第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力している。
このように構成することで、事前設定時において自動的に第1所定領域に対応する位置及び第2所定領域に対応する位置を決定することができる。従って、このような情報(即ち、受光手段における第1所定領域に対応する位置及び第2所定領域に対応する位置)を得るために予め細かい設定作業等を行う必要が無く、効果的に省力化を図ることができる。また、第1の情報コードや第2の情報コードの位置が変更されるような場合には、事前設定を行って、新たな更新情報(即ち、受光手段における第1所定領域に対応する位置及び第2所定領域に対応する位置)を自動的に取得することができるため、このような変更にも柔軟に対応することができ、汎用性に優れた構成となる。
【0015】
請求項4の発明は、第1の情報コードの明色モジュール及び暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が反転領域又は非反転領域の他方の領域とされている。即ち、第1の情報コードは、明色モジュールが反転領域とされ暗色モジュールが非反転領域とされる構成であるか、又は明色モジュールが非反転領域とされ暗色モジュールが反転領域とされる構成となっている。
このように、情報コード形成媒体では、第1の情報コードに可視光が照射されているときに、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すか、又はいずれも明色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による前記情報コードの視認を困難とすることができ、且つ一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができる。
また、第1の情報コードは、いずれかのモジュールの領域が反転領域であり、もう片方のモジュールの領域が非反転領域であるため、照明手段により第2波長帯の照明光が照射される時には、明色モジュール及び暗色モジュールの一方が暗色の反射特性を示し他方が明色の反射特性を示すか、又は一方が明色の反射特性を示し他方が暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光を照射し得る上記情報コード読取装置(特定の読取装置)には第1の情報コードの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
更に、本実施形態では、情報コード形成媒体からの像を受光する複数の受光素子を備えると共に、所定素子領域毎の露光タイミングを順次異ならせて素子領域毎に露光タイミングの異なる受光信号を順次出力する順次露光方式の受光手段が設けられている。そして、保持手段によって情報コード形成媒体が保持されているとき、受光手段において第1の情報コードを含んだ第1所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第1時期に、照明手段が少なくとも第1所定領域に対して第2波長帯の照明光を照射するように構成され、受光手段において第2の情報コードを含んだ第2所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第2時期に、照明手段が第2波長帯の照明光を照射せず、第2所定領域に可視光が照射されるように構成されている。
この構成では、受光手段において第1の情報コード付近の像を受光する素子領域が露光対象となる時期(第1時期)を狙って第2波長帯の照明光が当てられるため、第2波長帯の照明光が当てられた第1の情報コードの画像を短い時間で選択的に取得することができる。また、第2の情報コード付近の像を受光する素子領域が露光対象となる時期(第2時期)には第2の情報コード付近に可視光が当てられるため、可視光が当てられた第2の情報コードの画像を短い時間で選択的に取得することができる。このようにすると、例えば1フレームにおいて第2波長帯の照明光が当てられた第1の情報コードの画像と、可視光が当てられた第2の情報コードの画像とを含めることができ、各情報コードに適した照射状態の画像を得るために設定を変えて複数フレーム撮像するといった必要がなくなる。従って、各情報コードを適切な照射状態で取得して確実な解読を可能としつつ、各情報コードの撮像、解読処理をより短時間で行うことができる。
【0016】
請求項5の発明では、受光手段における第1所定領域からの像を受光する部分を特定する第1特定情報と、第2所定領域からの像を受光する部分を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備え、照明手段は、第1特定情報及び第2特定情報に基づいて第1時期及び第2時期を設定している。
このように第1特定情報及び第2特定情報を予め記憶しておけば、実際の読取時などに、第1所定領域や第2所定領域からの像を受光する部分がどの部分であるかを特定する処理を特別に行わずとも、これらの領域の像を受光する部分の各露光時において各領域を読み取るのに適した照明光の状態に制御することができる。
【0017】
請求項6の発明では、情報コード形成媒体を用いた事前設定時において、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光を照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第1所定領域からの像を受光する部分を決定し、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第2所定領域からの像を受光する部分を決定する位置決定手段を備え、照明手段は、位置決定手段による決定結果に基づいて第1時期及び第2時期を設定している。
このように構成することで、受光手段における第1所定領域からの像を受光する部分及び第2所定領域からの像を受光する部分を事前設定時において自動的に決定することができる。従って、このような情報(即ち、受光手段における第1所定領域の像を受光する部分及び第2所定領域からの像を受光する部分を特定する情報)を得るために予め細かい設定作業等を行う必要が無く、効果的に省力化を図ることができる。また、第1の情報コードや第2の情報コードの位置が変更されるような場合には、事前設定を行って、新たな更新情報(即ち、第1所定領域の像を受光する部分及び第2所定領域からの像を受光する部分を特定する新たな情報)を自動的に取得することができるため、このような変更にも柔軟に対応することができ、汎用性に優れた構成となる。
【0018】
請求項7の発明では、照明手段は、第1時期に第2波長帯の照明光を照射するように構成され、第1時期と異なる第2時期に第2波長帯の照明光の照射を停止している。
このように、第1時期に第2波長帯の照明光を停止させることで、省電力化を図ることができると共に、第2波長帯の照明光が第2の情報コードの照射(可視光の照射)に干渉することを確実に防ぐことができる。従って、第2の情報コードをより明瞭に撮像し、より正確に解読することが可能となる。
【0019】
請求項8の発明では、第2時期に情報コード形成媒体における第2所定領域に対して可視光を照射する可視光照射手段が設けられている。
このように、第2時期に可視光を積極的に照射することで、第2の情報コードをより一層明瞭に撮像し、解読の精度をより一層高めることができる。
【0020】
請求項9の発明では、照明手段は、第2波長帯の照明光として赤外光を照射する構成をなしており、更に、照明手段によって照射される赤外光の照明光の明るさを、可視光照射手段によって照射される可視光の明るさと異なるように調整する調整手段が設けられている。
このようにすることで、例えば、受光素子が相対的に低い感度で撮像されやすい赤外光の照射時において、より明瞭な撮像結果を得やすくなり、特に、第1の情報コードの解読をより正確に行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取システムを概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の情報コード読取システムが適用される駐車場の構成を概念的に説明する説明図である。
【図3】図3は、図1の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体の一例を概略的に説明する説明図である。
【図4】図4(A)は、図3の情報コード形成媒体に対して可視光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図であり、図4(B)は、図3の情報コード形成媒体に対して赤外光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図である。
【図5】図5は、図3の情報コード形成媒体の作成方法を概略的に説明する説明図である。
【図6】図6(A)は、図3の情報コード形成媒体の情報コード形成領域及び背景領域等を概念的に説明する説明図であり、図6(B)はその拡大図である。
【図7】図7は、図1の情報コード読取システムの一部をなす情報コード読取装置を概略的に説明する説明図である。
【図8】図8は、図7の情報コード読取装置の受光センサ、AD変換器、信号選択部、記憶部等を概略的に説明する説明図である。
【図9】図9は、情報コード読取装置での撮像・解読処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図10は、第1所定領域の画像を撮像する画素領域のアドレス及び第2所定領域の画像を撮像する画素領域のアドレスを説明する説明図である。
【図11】図11は、第2実施形態の情報コード読取システムにおける受光センサを概略的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取システム等を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(情報コード読取システムの概要)
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取システムを概念的に説明する説明図である。図2は、図1の情報コード読取システムが適用される駐車場の構成を概念的に説明する説明図である。本実施形態の情報コード読取システム1(以下、システム1ともいう)は、情報コード形成媒体10と、情報コード読取装置40とを備えており、情報コード形成媒体10に付された情報コードC、Caを情報コード読取装置40によって読み取るシステムとして構成されている。なお、図1では、情報コード形成媒体10の一部の文字等を省略して示している。
【0023】
情報コード形成媒体10の用途は様々であり、図2等のように駐車券として構成してもよく、住民票や印鑑証明などの各種証明書の台紙、商品券、地域振興券、入場券、各種チケットなど、セキュリティ性が要求される他の用途に適用してもよい。以下の説明では、その一例として、情報コード形成媒体10が駐車券として構成され、システム1全体が、情報コード形成媒体10を媒介として駐車場での駐車料金を精算する駐車場精算システム(図2参照)として構成された例を代表例として説明する。
【0024】
駐車場精算システムでは、図2のように駐車場内に発券機101及び精算機102が設けられており、例えば車両が入場ゲート105に近接したとき或いは発券機101にて所定操作が行われたときなどに後述する情報コード形成媒体10が印刷、発行されるようになっている。例えば、竿などの遮断部材によって入場ゲートを開閉する方式(遮断部材による公知の開閉方式)の場合には、通常時には車両の通路に遮断部材が配されて入場ゲートが閉鎖され、車両が近接したときに発券機101に設けられた所定の発券口101c(図7)から情報コード形成媒体10(駐車券)の一部が露出するように送り出され、この発券口101c(排出口)から情報コード形成媒体10が抜き取られたときに、この抜き取りを検出して入場ゲートが開放するようになっている。一方、このように発行された情報コード形成媒体10が精算機102に設けられた所定の挿入口に挿入されたときに、この精算機102にて情報コード形成媒体10の記録内容に基づいて駐車料金が算出され、この駐車料金に応じた金額が投入されたときに退場ゲートが開放されて場外に退出できるようになっている。
【0025】
(情報コード形成媒体の構成)
次に、本実施形態の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体について詳述する。図3は、図1の情報コード読取システムで用いられる情報コード形成媒体の一例を概略的に説明する説明図である。図4(A)は、図3の情報コード形成媒体に対して可視光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図であり、図4(B)は、図3の情報コード形成媒体に対して赤外光を照射して撮像した撮像画像を説明する説明図である。図5は、図3の情報コード形成媒体の作成方法を概略的に説明する説明図である。図6(A)は、図3の情報コード形成媒体の情報コード形成領域及び背景領域等を概念的に説明する説明図であり、図6(B)はその拡大図である。
【0026】
情報コード形成媒体10は、紙、樹脂部材、金属部材等をシート状に構成した物体に第1の情報コードC(以下、単に情報コードCとも言う)が形成されてなるものである。この情報コード形成媒体10に付される情報コードCは、例えばバーコードなどの一次元コードや二次元コード(QRコード、データマトリックスコード、マキシコード等)などによって構成されており、公知の方法でデコード可能な構成となっている。
【0027】
図3に示すように、情報コード形成媒体10は、情報コードCが形成された領域(情報コード形成領域C1、C2)と、文字、図形、記号、模様などからなる背景領域(情報コード形成領域C1,C2の周囲のデザイン領域)A2とが隣接して形成されており、後述する赤外光よりも可視光の量が十分大きく可視光が支配的である通常状態では、図4(A)のように、情報コードCの領域C1、C2が背景領域A2に埋没する構成で一体化するように視認及び撮像されるようになっており、情報コードCの領域C1、C2付近を直接視認した場合でも、情報コードCの領域C1、C2付近を撮像した撮像画像においても情報コードCのみを把握することが困難となっている。なお、図3では、情報コード形成領域C1、C2の位置を一点鎖線にて概念的に示している。
【0028】
この情報コード形成媒体10において、文字、図形、記号、模様等が付された領域B1〜B7は、反転領域と非反転領域とに分かれている。そして、反転領域は、少なくとも可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに明色の反射特性を示すように構成されている。また、非反転領域は、可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、第2波長帯の光が照射されたときに暗色の反射特性を示すように構成されている。なお、以下では、第2波長帯の光が「赤外光」である場合を代表例として説明することとする。即ち、以下の構成では、反転領域は、可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し、赤外光が照射されたときに明色の反射特性を示すようになっており、具体的には例えば、可視光が照射されたときに黒色等として視認及び撮像されるように反射がなされ、赤外光が照射されたときには白色等として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。また、非反転領域は、可視光が照射されたときには暗色の反射特性を示し、赤外光が照射されたときにも暗色の反射特性を示すようになっており、具体的には例えば、可視光が照射されたときに黒色等として視認及び撮像されるように反射がなされ、赤外光が照射されたときにも黒色等として視認及び撮像される反射がなされるようになっている。
【0029】
情報コード形成媒体10に形成される情報コードCは、暗色モジュール(図4等に示す例では暗色セル)の領域A3が非反転領域とされており、明色モジュール(明色セル:図4)の領域A4が反転領域となっている。また、情報コード形成媒体10において、情報コードCの形成領域C1、C2の周囲には、当該形成領域C1、C2と連続する構成で反転領域からなる背景領域A2が形成されている。このように構成されているため、可視光を照明光として照射する一般的な読取装置では、図4(A)のように明色モジュールの領域A4、暗色モジュールの領域A3、背景領域A2が全て暗色(例えば黒色)で一体化された状態で撮像され、情報コードCが抽出困難となる。一方、第2波長帯の照明光(本実施形態では、赤外光)を照射しつつ撮像する場合には、図4(B)のように明色モジュールの領域A4及び背景領域A2が明色に反転され、暗色モジュールの領域A3が暗色のままとなった撮像画像を得ることができるため、当該撮像画像において情報コードCを抽出することが可能となる。
【0030】
情報コード形成媒体10は、最終的に上述のような構成となっていればどのような方法で作成されてもよいが、例えば図5のような手順で作成することができる。
図5の方法では、図5上段のように用意された記録紙Pに対して、第1のインク式プリンタにより、第1のインクによって第1インク領域A1(第1着色領域)を印刷している(図5中段)。このように、第1インク領域A1(第1着色領域)を形成する際には、後に情報コードCを形成するべき領域(情報コード形成対象領域:図5最下段の領域C1、C2)と重なるように第1インク領域A1(第1着色領域)を印刷しておく。この第1インク領域A1の印刷に用いる第1のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時に黒色等の暗色の反射特性を示すと共に波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に非暗色の反射特性を示す赤外線反応式インクとして構成されている。
【0031】
なお、本明細書において「暗色の反射特性」とは、黒色等の暗色として視認及び撮像されるような反射特性であり、第1のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時には暗色(黒色等)として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。また、本明細書において「非暗色の反射特性」とは、黒色等の暗色として視認及び撮像されない反射特性であり、第1のインクは、例えば波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に透明状態或いは透明性の高い状態で視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。図5の例では、記録紙P(記録媒体)に対しこのような第1のインクを用いてインク式プリンタで印刷を行うことで第1インク領域A1を形成している。なお、第1のインクを用いて印刷を行うインク式プリンタの具体的構成としては、インクを用いた公知の印刷方式であればよく、例えば、凸版方式の印刷、ディジタル印刷、オフセット印刷、インクジェット方式の印刷などを行う構成とすることができる。
【0032】
本実施形態では、明色(白色、黄色、或いはこれらに近似する色等の明系色)の記録紙P(紙等)に対して第1のインク及び第2のインクによって文字、図形、記号、模様等が形成されるようになっている。即ち、記録紙Pの地の色が明色となっており、第1のインクが付され且つ第2のインクが付されていない領域では、長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時に当該領域に付された第2のインクが透明状態或いは透明性の高い状態となり、当該領域が地の色又は地の色に近い明色となるように構成されている。
【0033】
図5中段のように記録紙Pに第1インク領域A1を形成した後には、第2のインク式プリンタにより、第1の情報コードCの図形データ、第2の情報コードCaの図形データ、及びその他の文字、図形データを第2のインクによって記録紙Pの所定位置に形成するように印刷を行う。具体的には、図5中段のような記録紙Pにおいて、第1インク領域A1内の領域C1,C2の位置に、第1インク領域A1の上に重なるように第2のインクによって暗色モジュール領域A3(図6参照)を形成する。また、第1インク領域A1以外の領域に、第2の情報コードCaの図形データや他の文字、図形データ(例えば、図5下段に示す各種情報B2〜B7など)を第2のインクによって印刷する。なお、第2のインクを用いて印刷を行うインク式プリンタの具体的構成としても、インクを用いた公知の印刷方式であればよく、例えば、凸版方式の印刷、ディジタル印刷、オフセット印刷、インクジェット方式の印刷などを行う構成とすることができる。
【0034】
第2のインク式プリンタで用いられる第2のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時に暗色の反射特性を示すと共に波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時にも暗色の反射特性を示すインク(例えば赤外線反応式ではない通常の黒色インク等)として構成されている。「暗色の反射特性」は、上述したように黒色等の暗色として視認及び撮像されるような反射特性であり、第2のインクは、波長380nm〜750nmの可視光が照射される時にも、波長750nm以上の赤外光(第2波長帯の照明光)が照射される時にも、暗色(黒色等)として視認及び撮像されるように反射がなされるようになっている。なお、本明細書における「暗色」は、黒色に限られるものではなく、藍色、青色、或いは黒、藍、青に近似する色などの暗系色であってもよい。
【0035】
図6(A)では、このように形成される情報コード形成媒体10において、第1インク領域A1の範囲内に形成された第2着色領域(第2のインクで印刷された領域)を概念的に示しており、図6(B)では、その一部の拡大図を示している。このように、第1インク領域A1の範囲内には第1の情報コードCを構成する暗色モジュール領域A3が第2着色領域として形成されることになるが、図5下段(図4(A)も参照)のように、可視光が照射される通常時にはこの暗色モジュール領域A3は第1インク領域A1に埋没した表示態様となる。また、図5下段、図6等に示す構成では、暗色モジュール(暗色セル)の領域A3は、暗色モジュール領域A3を構成する第2のインクと第1インク領域A1を構成する第1のインクとが重ねられた構成となり、情報コードCの内部領域において暗色モジュールが付されない領域(即ち、明色モジュール(明色セル)の領域A4)は第1のインクのみによって形成されることになる。また、情報コードCの周囲の背景領域A2も第1のインクのみによって構成されることになる。
【0036】
なお、本システム1を駐車場料金精算システムに適用する場合、上述の第1のインク式プリンタや第2のインク式プリンタを、例えば図2に示す発券機101内の印刷部32に設けるようにすれば、駐車券を発券する時期に駐車券として構成される上述の情報コード形成媒体10を好適に作成することができる。或いは、第1のインク式プリンタを発券機101の外部装置として設けておき、第2のインク式プリンタを、図2に示す発券機101内に設けるようにしてもよい。この場合、第1のインク式プリンタで第1インク領域A1が印刷された後の記録紙Pを予め発券機101内に収容しておき、駐車券を発券する時期に第2のインク式プリンタによって第1の情報コードCや第2の情報コードCaを記録するようにすればよい。
【0037】
また、第1の情報コードCと第1インク領域A1の形成の順序は図5の例に限定されるものではなく、例えば、第1の情報コードCを形成してから、この情報コードCの領域に重なるように第1インク領域A1を形成するようにしてもよい。また、上述の例では、第1の情報コードCと第2の情報コードCaを同時期に形成する場合を例示したが、第1の情報コードCと第2の情報コードCaとが第2のインクによって別々の時期に印刷されてもよく、第2の情報コードCaが第1の情報コードCよりも先に印刷されてもよい。
【0038】
また、上述した例では、記録紙Pにおいて第1インク領域A1(第1着色領域)以外の領域に文字情報などの各種情報B2〜B7を第2インクによって印刷したが、このような情報B2〜B7を、第1インクによって印刷するようにしてもよい。
【0039】
また、第1の情報コードCや第2の情報コードCaに記録する情報は様々であり、例えば、上述の第2のインク式プリンタを図2に示す発券機101内に設けて図5のように情報コード形成媒体10を作成する場合、情報コード形成媒体10の作成時の時間(入庫時間)の情報を第1の情報コードCに記録し、第2の情報コードCaに割引情報などを記録するようにしてもよい。或いは、第1の情報コードCに入庫時間の情報を記録すると共に、第2の情報コードCaにもこの入庫時間と同一の入庫時間を記録しておき、両情報コードの内容が一致するか否かを判断できるようにしてもよい。
【0040】
(情報コード読取装置の構成)
次に、本実施形態に係る情報コード読取システムの一部をなす情報コード読取装置について説明する。図7は、図1の情報コード読取システムの一部をなす情報コード読取装置を概略的に説明する説明図である。図8は、図7の情報コード読取装置の受光センサ、AD変換器、信号選択部、記憶部等を概略的に説明する説明図である。
【0041】
図1、図7等に示す情報コード読取装置40(以下、読取装置40ともいう)は、第1の情報コードC及び第2の情報コードCaを撮像し、読み取る機能を有している。この読取装置40は、CPU等からなる制御部41、受光センサ60(例えば、C−MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部42、可視光を照射する第1照明光源43、「第2波長帯の照明光」としての赤外光を照射する第2照明光源44、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶手段からなる記憶部45などを備えている。また、読取装置40には、液晶表示器などからなる表示部46や、各種操作キーなどからなる操作部47なども設けられている。なお、本システム1を図2のような駐車場料金精算システムに適用する場合、この読取装置40は例えば精算機102に設けられることになる。
【0042】
図7に示すように、撮像部42は、例えば一対の照明光源43a,44bの間、及び一対の照明光源44a,44bの間に配置されており、情報コード形成媒体10からの反射光を受光センサ60の受光面に結像させ、情報コード形成媒体10の画像データを生成するように機能している。受光センサ60は、情報コード形成媒体10で反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。また、結像レンズ42aは、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、受光センサ60の受光面に第1の情報コードCや第2の情報コードCaのコード画像を結像するように機能している。なお、撮像部42を更に具体化した構成については後に詳述する。
【0043】
第1照明光源43は、例えば撮像部42(受光光学系)を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。これら一対の照明光源43a,43bは、例えば波長380nm〜750nmの可視光が照射されるLEDなどによって構成されている。なお、図7の例では、照明光源43a、43bのそれぞれにおいて、可視光発光部が1つずつ設けられた例を示したが、それぞれに可視光発光部が2つずつ設けられていてもよい。また、図7のように両側に照明光源が設けられていなくてもよく、いずれか片側のみに照明光源が設けられていてもよい。
【0044】
第2照明光源44は、例えば撮像部42(受光光学系)を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。これら一対の照明光源44a,44bは、例えば波長700nm〜1000nm(具体的には750nm以上)の赤外光を照射するLEDなどによって構成されている。なお、図7の例では、照明光源44a、44bのそれぞれにおいて、赤外光発光部が2つずつ設けられた例を示したが、それぞれに赤外光発光部が1つずつであってもよく、3つずつ設けられていてもよい。また、図6のように両側に照明光源が設けられていなくてもよく、いずれか片側のみに照明光源が設けられていてもよい。
【0045】
記憶部45は、半導体メモリ装置等の記憶媒体であり、例えばROM、RAM(DRAM、SRAM等)、その他の不揮発性メモリなどがこれに相当する。この記憶部45のうちのRAMには、例えば画像データ蓄積領域のほかに、制御部41が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルなども確保可能に構成されている。またROMには、例えば各種処理等を実行可能な所定プログラムや照明光源、受光センサ460等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。また、制御部41は、読取装置40全体を制御可能なマイコン等によって構成され、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を備え、情報処理機能を有している。
【0046】
受光センサ60は、図8のように複数の画素67が複数行且つ複数列に配列されてなる受光部61と、この受光部61の各画素からの受光信号をそれぞれ出力する駆動部とを備えている。駆動部は、主として、水平走査シフトレジスタ62aと、垂直走査シフトレジスタ62bと、これら水平走査シフトレジスタ62a及び垂直走査シフトレジスタ62bによって動作する各検出部67aとを備えている。この駆動部は、図8に示すように、高知のX−Yアドレス型の構成をなし、水平走査シフトレジスタ62aによって選択された列及び垂直走査シフトレジスタ62bによって選択された行の画素から電荷を読み出すように機能している。
【0047】
各画素67は、垂直走査シフトレジスタ62bによって読み出し電極がオン状態に駆動されるようになっており、例えば図8の下図で拡大して示す左下の画素67では、垂直走査シフトレジスタ62bによって信号線65fに電圧が印加されて読み出し電極67bがオン状態に駆動され、且つ水平走査シフトレジスタ62aによってスイッチ63aがオン状態とされたときに信号線64aを介してAD変換器81に信号が出力されるようになっている。このような駆動が画素ごとに順次行われるようになっており、垂直走査シフトレジスタ62bは、所定のクロックに同期して各信号線に順番に電圧を印加しており、信号線(図8の例では信号線65a〜67f)のいずれかに電圧が印加されると、この印加された信号線に接続される同じ行の画素67の読み出し電極67bがオン状態となる。一方、水平走査シフトレジスタ62aは、垂直走査シフトレジスタ62bよりも短い周期のクロックに同期して各信号線(図8の例では信号線64a〜64f)に設けられた各スイッチ(図8の例ではスイッチ63a〜63f)を順番にオン状態に切り替えており、垂直走査シフトレジスタ62bによって選択された行の各画素67の電荷は、水平走査シフトレジスタ62によって各スイッチ(図8の例ではスイッチ63a〜63f)が順番にオン状態に切り替えられることで順番に転送され、AD変換器81に入力されることになる。このようにして各行に設けられた各画素の電荷が順次転送され、このような転送動作が全ての行に対して行われることで全画素の全電荷が順次転送されることになる。
【0048】
(撮像・解読処理)
次に、情報コード読取装置40で行われる撮像・解読処理について説明する。
図9は、情報コード読取装置での撮像・解読処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第1所定領域の画像を撮像する画素領域のアドレス及び第2所定領域の画像を撮像する画素領域のアドレスを説明する説明図である。
【0049】
図9に示す撮像・解読処理では、まず情報コード形成媒体10を所定の撮像位置に位置決めする処理を行う(S1)。図7に示す読取装置40では、例えばユーザによって所定位置に配置された情報コード形成媒体10を所定の撮像位置に送り出して位置決めするようになっている。図7の例では、送り出し装置50が情報コード形成媒体10を送り出すようになっており、情報コード形成媒体10が予め定められた撮像位置に至ったか否かを位置検出センサ51によって検出している。そして、情報コード形成媒体10が撮像位置となったことが位置検出センサ51によって検出されたときに、送り出し装置50の送り出し動作を停止させ、この撮像位置で保持するようになっている。なお、紙等の媒体を送り出し装置によって送り出し、所定位置に位置決めする技術は、プリンタなどの分野で公知であり、公知の様々な技術を用いることができる。
本実施形態では、送り出し装置50及び位置検出センサ51が、情報コード形成媒体10を保持する保持手段の一例に相当する。
【0050】
図9に示すように、S1の処理の後には、第2照明光源44による赤外光の照射を開始する(S2)。そして、このように赤外光を照射した状態で情報コード形成媒体10を撮像する(S3)。具体的には、赤外光が照射された情報コード形成媒体10からの反射光を受光部61によって受光すると共に、上述の駆動部を駆動させることで各画素67からの受光信号を順次AD変換器81に出力する。なお、S2、S3の処理を行う際には、第1照明光源43による可視光の照射は停止したままで維持される。
【0051】
本実施形態では、撮像部42が撮像手段の一例に相当し、保持手段に保持された情報コード形成媒体10を撮像するように機能する。また、受光センサ60が「受光手段」の一例に相当し、情報コード形成媒体10からの像を受光して受光信号を出力するように機能する。
【0052】
このように、赤外光が照射されているときに各画素67から順次転送される信号(各画素での受光量を示す信号)はAD変換器81にてデジタル信号に変換された後、信号選択部82に入力される。信号選択部82は、このように赤外光が照射される時期(第1時期)に受光部61の各画素67で生成される受光信号の中から第1の情報コードCの画像を含む領域(第1所定領域)に対応する第1対応信号を抽出して出力する。
【0053】
本実施形態では、図3に示すような第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の像が受光部61のどの画素領域で受光されるかが予め定められている。また、図10で概念的に示すように、受光部61の受光部61を構成する各画素67に対して予めアドレスが割り当てられており、第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の像を受光する画素領域を特定するためのアドレス情報が記憶部45などの記憶手段に記憶されている。そして、信号選択部82では、このアドレス情報に基づいて第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の像を受光する画素領域の各画素の信号を抽出し、それぞれを所定クロックで出力する。また、この画素領域以外の画素からの信号については出力せずに破棄する。
【0054】
図10の例では、z行n列で画素67が配列された受光部61の各画素のアドレスを概念的に示しており、a行〜b行までの画素領域であって且つ1列からn列までの画素領域が第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の像を受光する画素領域として定められている。なお、n、a、b、c、d、zは、それぞれ1<n、1<a<b<c<d<zの条件で定められる整数である。信号選択部82では、このような画素領域を特定するアドレス情報(即ち、Sa1〜Sbn)に基づき、a行〜b行までの画素領域であって且つ1列からn列までの画素領域を構成する各画素67からの信号を抽出し、それぞれを所定クロックで出力する。このように信号選択部82から所定クロックで出力される信号は、記憶部45の所定領域において第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の画像として格納されることになる。また、この画素領域以外の画素からの信号については出力せずに破棄する。
【0055】
信号選択部82から各信号(抽出された各画素の信号)を出力する際に各信号を同期させるクロックは、受光部61からAD変換器81に各画素の信号を転送するに各画素信号を同期させるクロックよりも周期が長くなっているため、信号選択部82から記憶部45に信号を転送する際の処理時間の遅延が懸念されるが、本実施形態では、上述のように画素領域(Sa1〜Sbn)以外の信号を破棄しているため、信号選択部82から記憶部45に信号を転送して記憶する時間を短縮することができる。
【0056】
図9に示すように、S3の処理の後には、第2照明光源44による赤外光の照射を停止させ、第1照明光源43による可視光の照射を開始する(S4)。そして、このように可視光を照射した状態で情報コード形成媒体10を撮像する(S5)。具体的には、可視光が照射された情報コード形成媒体10からの反射光を受光部61によって受光すると共に、上述の駆動部を駆動させることで各画素67からの受光信号を順次AD変換器81に出力する。なお、S4、S5の処理を行う際には、第2照明光源44による赤外光の照射は停止したままで維持される。
【0057】
このように、可視光が照射されているときに各画素67から順次転送される信号(各画素での受光量を示す信号)はAD変換器81にてデジタル信号に変換された後、信号選択部82に入力される。信号選択部82は、このように可視光が照射される時期(第2時期)に受光部61の各画素67で生成される受光信号の中から第2の情報コードCaの画像を含む領域(第2所定領域)に対応する第2対応信号を抽出して出力する。
【0058】
本実施形態では、図3に示すような第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の像が受光部61のどの画素領域で受光されるかが予め定められており、図10で概念的に示すように、第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の像を受光する画素領域を特定するためのアドレス情報が記憶部45などの記憶手段に記憶されている。そして、信号選択部82では、このアドレス情報に基づいて第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の像を受光する画素領域の各画素の信号を抽出し、それぞれを所定クロックで出力する。また、この画素領域以外の画素からの信号については出力せずに破棄する。
【0059】
図10の例では、c行〜d行までの画素領域であって且つ1列からn列までの画素領域が第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の像を受光する画素領域として定められている。信号選択部82では、このような画素領域を特定するアドレス情報(即ち、Sc1〜Sdn)に基づき、c行〜d行までの画素領域であって且つ1列からn列までの画素領域を構成する各画素67からの信号を抽出し、それぞれを所定クロックで出力する。このように信号選択部82から所定クロックで出力される信号は、記憶部45の所定領域において第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の画像として格納されることになる。また、この画素領域以外の画素からの信号については出力せずに破棄する。このように、画素領域(Sc1〜Sdn)以外の信号を破棄しているため、信号選択部82から記憶部45に信号を転送して記憶する時間を短縮することができる。
【0060】
本実施形態では、例えば記憶部45が「記憶手段」の一例に相当し、受光部61における第1所定領域AR1に対応する位置(即ち、第1所定領域AR1の像が受光される位置)を特定する第1特定情報(アドレスSa1〜Sbnの情報)と受光部61における第2所定領域AR2に対応する位置(即ち、第2所定領域AR2の像が受光される位置)を特定する第2特定情報(アドレスSc1〜Sdnの情報)とを記憶するように機能する。
【0061】
また、信号選択部82が「信号選択手段」の一例に相当し、赤外光が照射される時期(第1時期)に受光部61で生成される受光信号の中から第1の情報コードCの画像を含む領域(第1所定領域AR1)に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ可視光が照射される第2時期に受光部61で生成される受光信号の中から第2の情報コードCaの画像を含む領域(第2所定領域AR2)に対応する第2対応信号を抽出して出力するように機能する。具体的には、第1特定情報(アドレスSa1〜Sbnの情報)基づき、前記第1時期に受光部61で生成される受光信号の中から、第1所定領域AR1の像が受光される画素領域からの信号(第1対応信号)を抽出して出力し、且つ第2特定情報(アドレスSc1〜Sdnの情報)に基づき、前記第2時期に受光部61で生成される受光信号の中から第2所定領域AR2の像が受光される画素領域からの信号(第2対応信号)を抽出して出力するように機能している。
【0062】
また、第1照明光源43、第2照明光源44は、「照明手段」の一例に相当し、保持手段によって情報コード形成媒体10が保持されているときの所定の第1時期に、少なくとも情報コード形成媒体10における第1の情報コードCを含んだ第1所定領域に対して第2波長帯の照明光(上述の例では赤外光)を照射するように構成されている。また、第1時期と異なる第2時期に、第2波長帯の照明光(赤外光)の照射を停止させ、少なくとも情報コード形成媒体10における第2の情報コードCaを含んだ第2所定領域に対して可視光を照射するように機能している。なお、第1照明光源43は、可視光照射手段の一例に相当している。
【0063】
また、本実施形態では、第2波長帯の照明光として赤外光を照射しているが、第2照明光源44によって照射される赤外光の照明光の明るさを、第1照明光源43によって照射される可視光の明るさと異なるようにに調整している。具体的には、例えば、受光素子の感度特性が第一照明光源よりも赤外光のほうが悪い場合、第1照明光源43を停止させて第2照明光源44によって赤外光を照射したときの情報コード形成媒体10での輝度平均値のほうが、第2照明光源44を停止させて第1照明光源43によって可視光を照射したときの情報コード形成媒体10での輝度平均値よりも大きくなるように、第1照明光源43及び第2照明光源44のそれぞれの出力を公知の方法で調整している。なお、制御部41及び第1照明光源43、第2照明光源44を駆動する駆動回路が「調整手段」の一例に相当する。
【0064】
図9に示すように、S5の処理の後には、各情報コードの解読処理を行う(S6)。本実施形態では、S6の処理を実行する制御部41が「解読手段」の一例に相当しており、この処理では、撮像部42によって撮像された情報コード形成媒体10の画像から第1の情報コードC及び第2の情報コードCaを抽出して解読している。
【0065】
具体的には、S3の処理の際に信号選択部82によって出力される第1対応信号の画像(即ち、第1所定領域AR1の画像)において反転領域と非反転領域とを区別して検出することで明色モジュール及び暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて第1の情報コードCを解読する。赤外光が照射されているときの第1所定領域AR1の画像は、図4(B)のように、第1インク領域A1に付された第1のインクが透明状態或いは透明性の高い状態となるため、情報コードCの明色モジュールの領域A4及び背景領域A2が明色(例えば、白、黄等の明色を地の色とする記録紙Pの地の色に近い色)に反転され、暗色モジュールの領域A3が暗色のままとなる。従って、第1の情報コードCを構成する明色モジュール及び暗色モジュールの領域を明確に特定でき、これら明色モジュール及び暗色モジュールの配列に基づいて公知の方法で第1の情報コードCをデコードすることができる。
【0066】
また、S5の処理の際に信号選択部82によって出力される第2対応信号の画像(即ち、第2所定領域AR2の画像)に基づいて第2の情報コードCaを解読する。この第2の情報コードCaの画像は、可視光を照射して撮像した一般的なコード画像であり、画像内では明色モジュール及び暗色モジュールの領域を明確に特定することができる。従って、S6では、このような明色モジュール及び暗色モジュールの配列に基づいて公知の方法で第2の情報コードCaをデコードすることができる。
【0067】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態では、第1の情報コードCにおいて、明色モジュールが反転領域とされ、暗色モジュールが非反転領域とされている。この構成では、情報コード形成媒体10は、第1の情報コードCに可視光が照射されているときに、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による情報コードCの視認が困難となり、且つ一般的な読取装置によっても情報コードCの認識が困難となる。
一方、情報コード読取装置40側には照明手段が設けられており、保持手段によって情報コード形成媒体10が保持されているときの所定の第1時期に、情報コード形成媒体10における第1の情報コードCを含んだ第1所定領域AR1に対して第2波長帯の照明光(赤外光)を照射するように構成されている。第1の情報コードCは、明色モジュールの領域が反転領域であり、もう片方の暗色モジュールの領域が非反転領域であるため、照明手段により第2波長帯の照明光(赤外光)が照射される時には、明色モジュールが明色の反射特性を示し、暗色モジュールが暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードCが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光(赤外光)を照射し得る上記情報コード読取装置40(特定の読取装置)には第1の情報コードCの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
また、本実施形態の構成によれば、秘匿性の高い第1の情報コードCに加え、可視光が照射される通常の環境下で認識、読み取りを行いうる第2の情報コードCaを併用することができる。
更に、信号選択部82が設けられ、第1時期に受光部61で生成される受光信号の中から第1所定領域AR1に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力しているため、第1の情報コードCを解読するために1フレーム全体を送信、記憶し、第2の情報コードCaを解読するためにこれとは別のフレーム全体を送信、記憶するような方式と比較して送信、記憶する画像情報を確実に削減することができる。従って、各情報コードC、Caの確実な解読を可能としつつ、各情報コードC、Caの撮像、解読処理をより短時間で行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、受光部61における第1所定領域AR1に対応する位置を特定する第1特定情報と、受光部61における第2所定領域AR2に対応する位置を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備えている。そして、信号選択部82は、第1特定情報に基づいて、第1時期に受光部61で生成される受光信号の中から第1所定領域AR1に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ第2特定情報に基づいて、第2時期に受光部61で生成される受光信号の中から第2所定領域AR2に対応する第2対応信号を抽出して出力している。
このように受光手段における第1所定領域に対応する位置を特定する第1特定情報及び第2所定領域に対応する位置を特定する第2特定情報を予め記憶しておけば、実際の読取時などに、生成された受光信号において第1所定領域及び第2所定領域に対応する信号がどの部分であるかを特定する処理を特別に行わずとも、これらの領域に対応する信号を迅速且つ確実に抽出することができる。
【0069】
また、照明手段は、第1時期に第2波長帯の照明光を照射するように構成され、第1時期と異なる第2時期に第2波長帯の照明光の照射を停止している。
このように、第1時期に第2波長帯の照明光を停止させることで、省電力化を図ることができると共に、第2波長帯の照明光が第2の情報コードCaの照射(可視光の照射)に干渉することを確実に防ぐことができる。従って、第2の情報コードCaをより明瞭に撮像し、より正確に解読することが可能となる。
【0070】
また、第2時期に情報コード形成媒体10における第2所定領域AR2に対して可視光を照射する第1照明光源43(可視光照射手段)が設けられている。このように、第2時期に可視光を積極的に照射することで、第2の情報コードCaをより一層明瞭に撮像し、解読の精度をより一層高めることができる。
【0071】
また、照明手段は、第2波長帯の照明光として赤外光を照射する構成をなしており、更に、照明手段によって照射される赤外光の照明光の明るさを、第1照明光源43(可視光照射手段)によって照射される可視光の明るさと異なるように調整する調整手段が設けられている。このようにすることで、相対的に低い感度で撮像されやすい赤外光の照射時において、より明瞭な撮像結果を得やすくなり、特に、第1の情報コードCの解読をより正確に行いやすくなる。
【0072】
[第1実施形態の変更例]
次に、第1実施形態の変更例について説明する。この変更例は、上記第1実施形態の構成を全て含み、更に、第1特定情報及び第2特定情報を生成、記憶する手段が設けられている。よって第1実施形態と同様の構成については詳細な説明は省略し、適宜図1〜図10を参照することとする。
【0073】
この変更例では、所定の事前設定時において、情報コード形成媒体10を図9のS1と同様に所定の撮像位置(図9の読取処理のときに定められる撮像位置と同じ位置)に位置決めし、この状態で、第2照明光源44を動作させずに第1照明光源43によって情報コード形成媒体10に対して可視光を照射しつつ撮像部42による撮像を行う。なお、事前設定は、例えば図9のような読取処理を行うモードとして、ユーザの指示操作に応じて実行されるようにしてもよく、電源投入時などに実行されるようにしてもよい。そして、このように情報コード形成媒体10に対して第2波長帯の照明光(赤外光)が照射されずに可視光が照射されているときの撮像部42での撮像結果に基づいて受光部61における第2所定領域AR2に対応する位置を決定する。具体的には、このように赤外光が照射されずに可視光が照射されている状態での撮像画像から第2の情報コードCaを解読し、第2の情報コードCaの位置を特定する。なお、撮像画像内で情報コードの位置を特定し、解読する技術は公知の様々な手法を用いることができる。
【0074】
そして、このような第2の情報コードCaの位置特定結果に基づいて、第2の情報コードCa及びその周辺領域を特定するアドレス情報(第2所定領域AR2に対応する位置の情報)を生成する。例えば、受光部61において第2の情報コードCaが撮像された画素領域(即ち、第2の情報コードCaの像を受光する画素領域)での最小の行と最大の行を特定し(即ち、当該画素領域が及ぶ行の範囲を特定し)、これら行の範囲の全画素、即ち、第2の情報コードCaが撮像された画素領域の最小の行の全画素、最大の行の全画素、及びこれら最小の行と最大の行の間に含まれる各行の全画素を特定するようにアドレス情報を生成する。このアドレス情報は、第2の情報コードCa及びその周辺領域(第2所定領域AR2)の像を受光する画素領域を特定する情報として記憶手段(記憶部45等)に記憶され、第1実施形態と同様、事前設定後に行われる図9の撮像・解読処理の際に、S5の処理にて信号選択部82に用いられることになる。
【0075】
なお、ここでは第2の情報コードCa及びその周辺領域を特定するアドレス情報の生成方法の一例を示したが、第2の情報コードCaが撮像された画素領域を含む領域をアドレスの特定方法であれば他の方法でアドレス情報を生成してもよい。例えば、上記のように特定される行の範囲に加えて上下にある程度のマージンを含めた範囲を特定するようにアドレス情報を生成してもよい。また、上記のように特定された第2の情報コードCaの領域のみを特定するようなアドレス情報を生成してもよく、或いは、上記のように特定された第2の情報コードCaの領域及びその周囲のある程度のマージン領域を特定するアドレス情報を生成してもよい。
【0076】
また、事前設定時には、上述のように、可視光による撮像処理(第2照明光源44を動作させずに第1照明光源43によって可視光を照射しつつ情報コード形成媒体10を撮像する処理)を行った後に、赤外光による撮像処理を行う。具体的には、第1照明光源43を動作させずに第2照明光源44によって赤外光を照射しつつ情報コード形成媒体10を撮像部42によって撮像する。そして、このように情報コード形成媒体10に対して可視光が照射されずに第2波長帯の照明光(赤外光)が照射されているときの撮像部42での撮像結果に基づいて受光部61における第1所定領域AR1に対応する位置を決定する。具体的には、このように可視光が照射されずに赤外光が照射されている状態での撮像画像から第1の情報コードCを解読し、第1の情報コードCの位置を特定する。なお、撮像画像内で情報コードの位置を特定し、解読する技術は公知の様々な手法を用いることができる。また、赤外光照射時の撮像画像では、第2の情報コードCaも解読可能となるが、可視光照射時に既に読み取られた第2の情報コードCaについては無視するようにすれば、第1の情報コードCの位置のみを特定することができる。
【0077】
そして、この第1の情報コードC及びその周辺領域を特定するアドレス情報(第1所定領域AR1に対応する位置の情報)を生成する。例えば、受光部61において第1の情報コードCが撮像された画素領域(即ち、第1の情報コードCの像を受光する画素領域)の最小の行と最大の行を特定し(即ち、当該画素領域が及ぶ行の範囲を特定し)、これら行の範囲の全画素、即ち、第1の情報コードcが撮像された画素領域の最小の行の全画素、最大の行の全画素、及びこれら最小の行と最大の行の間に含まれる各行の全画素を特定するようにアドレス情報を生成する。そして、このアドレス情報は、第1の情報コードC及びその周辺領域(第1所定領域AR1)の像を受光する画素領域を特定する情報として記憶手段(記憶部45等)に記憶され、第1実施形態と同様、事前設定後に行われる図9の撮像・解読処理の際に、S3の処理にて信号選択部82に用いられることになる。
【0078】
本変更例では、上述のような事前設定処理を行う制御部41が「位置決定手段」の一例に相当し、情報コード形成媒体10を用いた事前設定時において、照明手段により情報コード形成媒体10に対して第2波長帯の照明光(赤外光)が照射されているときの撮像部42での撮像結果に基づいて受光部61における第1所定領域AR1に対応する位置を決定し、照明手段により情報コード形成媒体10に対して第2波長帯の照明光(赤外光)が照射されずに可視光が照射されているときの撮像部42での撮像結果に基づいて受光部61における第2所定領域AR2に対応する位置を決定するように機能する。
そして、信号選択部82は、上述の事前設定時の以後に行われる撮像・解読処理(図9)の際に、位置決定手段によって決定された第1所定領域AR1に対応する位置(即ち、事前設定時の赤外光照射時に得られた上記アドレス情報)に基づき、第1時期に受光部61で生成される受光信号の中から第1所定領域AR1に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ位置決定手段によって決定された第2所定領域AR2に対応する位置(即ち、事前設定時の可視光照射時に得られた上記アドレス情報)に基づき、第2時期に受光手段で生成される受光信号の中から第2所定領域AR2に対応する第2対応信号を抽出して出力している。
【0079】
このように構成することで、事前設定時において自動的に第1所定領域AR1に対応する位置及び第2所定領域AR2に対応する位置を決定することができる。従って、このような情報(即ち、受光手段における第1所定領域に対応する位置及び第2所定領域に対応する位置)を得るために予め細かい設定作業等を行う必要が無く、効果的に省力化を図ることができる。また、第1の情報コードCや第2の情報コードCaの位置が変更されるような場合には、事前設定を行って、新たな更新情報(即ち、受光手段における第1所定領域に対応する位置及び第2所定領域に対応する位置)を自動的に取得することができるため、このような変更にも柔軟に対応することができ、汎用性に優れた構成となる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、図面を参照して説明する。
図11は、第2実施形態の情報コード読取システムにおける受光センサを概略的に説明する説明図である。なお、第2実施形態では、撮像部の構成のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、適宜、図1〜図7、図9、図10を参照することとする。
【0080】
本実施形態では、図11のように、受光センサ260が順次露光方式(ローリングシャッタ方式)の受光手段として構成されており、情報コード形成媒体10からの像を受光する複数の画素267(受光素子)を備えると共に、所定素子領域毎の露光タイミングを順次異ならせて素子領域毎に露光タイミングの異なる受光信号を順次出力するように構成されている。この受光センサ260は、CMOSセンサとして構成されると共に、各画素行の露光時間がずれるようになっている。例えば、画素行270aの露光時間から遅れて画素行270bの露光時間が設定され、更に、画素行270bの露光時間から遅れて画素行270cの露光時間が設定されるようになっている。なお、順次露光方式のCMOSセンサの構成や信号の転送方法は公知であるので詳細は省略するが、構成は一般的なものであり、各画素267では、フォトダイオードで光を受光すると共に電荷に変換して蓄積し、蓄積された電荷は画素内にある増幅器によって電圧に変換され、増幅されるようになっている。増幅された電圧は各画素に設けられた画素選択スイッチのオンオフにより、ライン毎(行毎)に垂直信号線に転送されるようになっている。そして、このようにライン毎(画素行毎)に転送される各画素267からの信号が順次記憶部45に記憶されるようになっている。なお、図11では受光センサ260の構成を簡略的に示しているが、画素の配列は様々とすることができ、画素の行数や列数も様々とすることができる。
【0081】
この構成では、第1実施形態と同様の保持手段によって情報コード形成媒体10が保持されている場合において、受光センサ260における第1の情報コードCを含んだ第1所定領域AR1からの像を受光する部分が露光対象となる第1時期に、第1照明光源43を停止させると共に第2照明光源44を駆動させ、少なくとも第1所定領域AR1に対して第2波長帯の照明光(赤外光)を照射している。具体的には、上述したように画素行毎に露光タイミングが異なっており、図10に示すように、第1所定領域AR1に対応する画素領域の画素行(a行〜b行)を露光する時期(第1時期)に第2波長帯の照明光(赤外光)を照射している。従って、最終的に得られる撮像画像において、第1所定領域AR1の画像は、赤外光を照射したときの撮像画像となる(図4(B)の当該部分の画像参照)。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に第1所定領域AR1に対応する画素領域の画素行(a行〜b行)が予め定まるため、受光センサ260の撮像開始タイミングが定まれば第1所定領域AR1に対応する画素領域の画素行(a行〜b行)を露光する時期(第1時期)も定まることになる。従って、このような時期(第1時期)に第1照明光源43を停止させると共に第2照明光源44を駆動させるように制御を行えば良い。
【0082】
また、上述の第1時期と同一の画像フレームにおいて、上述の第1時期の後、受光センサ260における第2の情報コードCaを含んだ第2所定領域AR2からの像を受光する部分が露光対象となる時期(第2時期)となったときには、第1照明光源43を駆動させると共に第2照明光源44を停止させ、少なくとも第2所定領域AR2に対して可視光を照射している。具体的には、図10に示すように、第2所定領域AR2に対応する画素領域の画素行(c行〜d行)を露光するときに可視光を照射している。従って、最終的に得られる撮像画像において、第2所定領域AR2の画像は、可視光を照射したときの撮像画像となる(図4(A)の当該部分の画像参照)。なお、第1実施形態と同様、第2所定領域AR2に対応する画素領域の画素行(c行〜d行)が予め定まるため、受光センサ260の撮像開始タイミングが定まれば第2所定領域AR2に対応する画素領域の画素行(c行〜d行)を露光する時期(第2時期)も定まることになる。従って、このような時期(第2時期)に第1照明光源43を駆動させると共に第2照明光源44を停止させるように制御を行えば良い。
【0083】
そして、解読手段に相当する制御部41では、第1時期に受光センサ260で生成される第1対応信号の画像において反転領域と非反転領域とを区別して検出することで明色モジュール及び暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて第1の情報コードCを解読している。また、第2時期に受光センサ260で生成される第2対応信号の画像に基づいて第2の情報コードCaを解読している。
【0084】
(第2実施形態の主な効果)
本実施形態でも、第1の情報コードCに可視光が照射されているときには、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できなくなる。従って、通常時には人による前記情報コードの視認を困難とすることができ、且つ一般的な読取装置による情報コードの認識を困難とすることができる。
また、第1の情報コードは、明色モジュールの領域が反転領域であり、もう片方の暗色モジュールの領域が非反転領域であるため、照明手段により第2波長帯の照明光が照射される時には、明色モジュールが明色の反射特性を示し暗色モジュールが暗色の反射特性を示すことになり、明色モジュールと暗色モジュールとが明確に区別された情報コードが表示されることになる。従って、第2波長帯の照明光を照射し得る上記情報コード読取装置(特定の読取装置)には第1の情報コードの内容を読み取らせることができ、このような特定の読取装置以外に情報コードの内容を把握させ難い秘匿性の高いシステムを構築することができる。
更に、本実施形態では、情報コード形成媒体からの像を受光する複数の受光素子を備えると共に、所定素子領域毎の露光タイミングを順次異ならせて素子領域毎に露光タイミングの異なる受光信号を順次出力する順次露光方式の受光手段が設けられている。そして、保持手段によって情報コード形成媒体が保持されているとき、受光手段において第1の情報コードを含んだ第1所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第1時期に、照明手段が少なくとも第1所定領域に対して第2波長帯の照明光を照射するように構成され、受光手段において第2の情報コードを含んだ第2所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第2時期に、照明手段が第2波長帯の照明光を照射せず、第2所定領域に可視光が照射されるように構成されている。
この構成では、受光手段において第1の情報コード付近の像を受光する素子領域が露光対象となる時期(第1時期)を狙って第2波長帯の照明光が当てられるため、第2波長帯の照明光が当てられた第1の情報コードの画像を短い時間で選択的に取得することができる。また、第2の情報コード付近の像を受光する素子領域が露光対象となる時期(第2時期)には第2の情報コード付近に可視光が当てられるため、可視光が当てられた第2の情報コードの画像を短い時間で選択的に取得することができる。このようにすると、例えば1フレームにおいて第2波長帯の照明光が当てられた第1の情報コードの画像と、可視光が当てられた第2の情報コードの画像とを含めることができ、各情報コードに適した照射状態の画像を得るために設定を変えて複数フレーム撮像するといった必要がなくなる。従って、各情報コードを適切な照射状態で取得して確実な解読を可能としつつ、各情報コードの撮像、解読処理をより短時間で行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、受光センサ260における第1所定領域AR1からの像を受光する部分を特定する第1特定情報と、第2所定領域AR2からの像を受光する部分を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備え、照明手段は、第1特定情報及び第2特定情報に基づいて第1時期及び第2時期を設定している。
このように第1特定情報及び第2特定情報を予め記憶しておけば、実際の読取時などに、第1所定領域や第2所定領域からの像を受光する部分がどの部分であるかを特定する処理を特別に行わずとも、これらの領域の像を受光する部分の各露光時において各領域を読み取るのに適した照明光の状態に制御することができる。
【0086】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態の変形例のように、事前設定により第1所定領域AR1からの像を受光する部分を特定するアドレス情報、及び第2所定領域AR2からの像を受光する部分を特定するアドレス情報を生成し記憶しておくようにしてもよい。
この構成でも制御部41が「位置決定手段」の一例に相当し、情報コード形成媒体10を用いた事前設定時において、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光を照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第1所定領域からの像を受光する部分を決定し、照明手段により情報コード形成媒体に対して第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されているときの撮像手段での撮像結果に基づいて受光手段における第2所定領域からの像を受光する部分を決定するように機能する。この場合、照明手段は、位置決定手段による決定結果に基づいて第1時期(赤外光を照射する時期)及び第2時期(可視光を照射する時期)を設定することになる。
このように構成することで、受光センサ260における第1所定領域AR1からの像を受光する部分及び第2所定領域AR2からの像を受光する部分を事前設定時において自動的に決定することができる。従って、このような情報(即ち、受光センサ260における第1所定領域の像を受光する部分及び第2所定領域からの像を受光する部分を特定するためのアドレス情報)を得るために予め細かい設定作業等を行う必要が無く、効果的に省力化を図ることができる。また、第1の情報コードCや第2の情報コードCaの位置が変更されるような場合には、事前設定を行って、新たな更新情報(即ち、第1所定領域の像を受光する部分及び第2所定領域からの像を受光する部分を特定する新たな情報)を自動的に取得することができるため、このような変更にも柔軟に対応することができ、汎用性に優れた構成となる。
【0087】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0088】
上記実施形態では、第1インク領域を第1のインクを用いたインク式プリンタによって形成したが、記録紙Pを感熱紙として構成し、第1インク領域に相当する領域をサーマル印刷によって形成してもよい。
【0089】
上記実施形態では、第2波長帯の照明光として波長750nm以上の赤外光の波長帯を例示したが、第2波長帯の照明光として波長380nm以下の紫外光であってもよい。この場合、反転領域を紫外光が照射されたときに反転する領域として構成すればよい。この場合、例えば、上記赤外線反応インクに代えて紫外線反応インクを第1のインクとして用い、これによって反転領域を形成するようにすればよい。
【0090】
上記実施形態では、図3のように情報コード形成媒体の大部分が明色(白色等)の領域で構成され、その一部に暗色の背景領域A2(第1インク領域A1などによって構成される、情報コードCの背景となる部分)を設けた構成を例示したが、図3に示す背景領域A2が、情報コード形成媒体10の一方面の略全面に亘って構成されていてもよい。例えば、図3の構成において、背景領域(暗色領域)A2の領域を情報コード形成媒体10の略全体に広がるような構成(例えば、第1インク領域A1が情報コード形成媒体10の略全体に広がるようなブラックカード等としての構成)とすることができ、この場合、通常時に表示すべき情報B2〜B7を当該背景領域内において明色の文字や図形によって構成すればよい。この構成によれば、情報コード形成媒体10の一方面において情報コードCを配置できる領域を多く確保し易く、情報コードの配置の自由度が高まる。
また、このように情報コードCの周囲の背景領域を情報コード形成媒体の一方面の略全体に広がらせ且つ暗色領域として構成する場合、反転領域とせずに非反転領域としてもよい。この場合、情報コードCを明暗反転コードとして構成し、明色モジュールとして構成されるべき部分を非反転領域として構成し、暗色モジュールとして構成されるべき部分を反転領域とすればよい。これにより、第2照明光を照射して読み取る場合に、媒体全体に広がる暗色の背景の中から暗色モジュールとして構成されるべき部分(反転領域)が明暗反転の明色領域として浮き上がり、明色モジュールとして構成されるべき部分が明暗反転の暗色領域として浮き上がるため、読み取りを良好に行うことができる。
【0091】
上記実施形態で用いられる第2の情報コードCaは、図3等で示した種類以外の公知の情報コードであってもよい。例えば、一次元のバーコードであってもよく、図3とは種類の異なるQRコード(登録商標)、データマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードなどであってもよい。
【0092】
上記実施形態では、第1の情報コードCや第2の情報コードCaを印刷によって形成したが、これらをスタンプなどによって構成してもよい。また、上記実施形態では第1インク領域A1を第1のインクを用いた印刷によって形成したが、この第1のインク領域を第1のインクを用いたスタンプなどによって形成してもよい。
【0093】
第1実施形態では、受光部61や駆動部の一例を示したが、各画素の受光信号を順次AD変換器81に転送しうる構成であれば図8のような構成に限られず、公知の様々な固体撮像素子を用いることができる。例えば、CCDを用いて各画素の信号を転送するCCD転送型(インターライン型CCD、フレーム転送型CCD、フレームインターライン転送型CCD等)の構成を採用してもよく、他の公知の固体撮像素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…情報コード読取システム
10…情報コード形成媒体
40…情報コード読取装置
41…制御部(解読手段、位置決定手段)
42…撮像部(撮像手段)
43…第1照明光源(照明手段、可視光照射手段)
44…第2照明光源(照明手段)
45…記憶部(記憶手段)
50…送り出し装置(保持手段)
51…位置検出センサ(保持手段)
60…受光センサ(受光手段)
82…信号選択部(信号選択手段)
260…受光センサ(順次露光方式の受光手段)
A2…背景領域(反転領域)
A3…暗色モジュールの領域(非反転領域)
A4…明色モジュールの領域(反転領域)
AR1…第1所定領域
AR2…第2所定領域
C…第1の情報コード
Ca…第2の情報コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる第1の情報コードと、前記第1の情報コードとは異なる第2の情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、
前記情報コード形成媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体に対して照明光を照射する照明手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記情報コード形成媒体の画像から前記第1の情報コード及び前記第2の情報コードを抽出して解読する解読手段と、を有する情報コード読取装置と、
を備え、
前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成されており、
且つ、前記第1の情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされたものであり、
前記照明手段は、前記保持手段によって前記情報コード形成媒体が保持されているときの所定の第1時期に、前記情報コード形成媒体における前記第1の情報コードを含んだ第1所定領域に対して前記第2波長帯の照明光を照射するように構成され、
前記第1時期と異なる又は同一の第2時期に、前記情報コード形成媒体における前記第2の情報コードを含んだ第2所定領域に対して前記第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されるように構成されており、
前記撮像手段は、
前記情報コード形成媒体からの像を受光して受光信号を出力する受光手段と、
前記第1時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ前記第2時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力する信号選択手段と、
を備え、
前記解読手段は、
前記信号選択手段によって出力される前記第1対応信号の画像において前記反転領域と前記非反転領域とを区別して検出することで前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて前記第1の情報コードを解読し、
且つ前記信号選択手段によって出力される前記第2対応信号の画像に基づいて前記第2の情報コードを解読することを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項2】
前記受光手段において前記第1所定領域に対応する位置を特定する第1特定情報と、前記受光手段において前記第2所定領域に対応する位置を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備え、
前記信号選択手段は、前記第1特定情報に基づいて、前記第1時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ前記第2特定情報に基づいて、前記第2時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項3】
前記情報コード形成媒体を用いた事前設定時において、前記照明手段により前記情報コード形成媒体に対して前記第2波長帯の照明光が照射されているときの前記撮像手段での撮像結果に基づいて前記受光手段における前記第1所定領域に対応する位置を決定し、前記照明手段により前記情報コード形成媒体に対して前記第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されているときの前記撮像手段での撮像結果に基づいて前記受光手段における前記第2所定領域に対応する位置を決定する位置決定手段を備え、
前記信号選択手段は、前記事前設定時の以後において、前記位置決定手段によって決定された前記第1所定領域に対応する位置に基づき、前記第1時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第1所定領域に対応する第1対応信号を抽出して出力し、且つ前記位置決定手段によって決定された前記第2所定領域に対応する位置に基づき、前記第2時期に前記受光手段で生成される前記受光信号の中から前記第2所定領域に対応する第2対応信号を抽出して出力することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項4】
明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる第1の情報コードと、前記第1の情報コードとは異なる第2の情報コードとが形成された情報コード形成媒体と、
前記情報コード形成媒体を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体に対して照明光を照射する照明手段と、前記保持手段に保持された前記情報コード形成媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記情報コード形成媒体の画像から前記第1の情報コード及び前記第2の情報コードを抽出して解読する解読手段と、を有する情報コード読取装置と、
を備え、
前記情報コード形成媒体は、
可視光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、可視光とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、可視光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示し、前記第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の前記一方の反射特性を示す非反転領域とが形成されており、
且つ、前記第1の情報コードの前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの内、一方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の一方の領域とされ、他方のモジュールの領域が前記反転領域又は前記非反転領域の他方の領域とされたものであり、
前記撮像手段は、前記情報コード形成媒体からの像を受光する複数の受光素子を備えると共に、所定素子領域毎の露光タイミングを順次異ならせて素子領域毎に露光タイミングの異なる受光信号を順次出力する順次露光方式の受光手段を有し、
前記保持手段によって前記情報コード形成媒体が保持されているとき、前記受光手段において前記第1の情報コードを含んだ第1所定領域からの像を受光する部分が露光対象となる第1時期に、前記照明手段が少なくとも前記第1所定領域に対して前記第2波長帯の照明光を照射するように構成され、前記受光手段において前記第2の情報コードを含んだ第2所定領域からの像を受光する部分を露光対象となる第2時期に、前記照明手段が前記第2波長帯の照明光を照射せず、前記第2所定領域に可視光が照射されるように構成されており、
前記解読手段は、
前記第1時期に前記受光手段で生成される第1対応信号の画像において前記反転領域と前記非反転領域とを区別して検出することで前記明色モジュール及び前記暗色モジュールの領域を抽出し、その抽出結果に基づいて前記第1の情報コードを解読し、
且つ前記第2時期に前記受光手段で生成される第2対応信号の画像に基づいて前記第2の情報コードを解読することを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項5】
前記受光手段における前記第1所定領域からの像を受光する部分を特定する第1特定情報と、前記第2所定領域からの像を受光する部分を特定する第2特定情報とを記憶する記憶手段を備え、
前記照明手段は、前記第1特定情報及び前記第2特定情報に基づいて前記第1時期及び前記第2時期を設定することを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取システム。
【請求項6】
前記情報コード形成媒体を用いた事前設定時において、前記照明手段により前記情報コード形成媒体に対して前記第2波長帯の照明光を照射されているときの前記撮像手段での撮像結果に基づいて前記受光手段における前記第1所定領域からの像を受光する部分を決定し、前記照明手段により前記情報コード形成媒体に対して前記第2波長帯の照明光が照射されずに可視光が照射されているときの前記撮像手段での撮像結果に基づいて前記受光手段における前記第2所定領域からの像を受光する部分を決定する位置決定手段を備え、
前記照明手段は、前記位置決定手段による決定結果に基づいて前記第1時期及び前記第2時期を設定することを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取システム。
【請求項7】
前記照明手段は、前記第1時期に前記第2波長帯の照明光を照射するように構成され、前記第1時期と異なる前記第2時期に前記第2波長帯の照明光の照射を停止することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項8】
前記第2時期に前記情報コード形成媒体における前記第2所定領域に対して可視光を照射する可視光照射手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項9】
前記照明手段は、前記第2波長帯の照明光として赤外光を照射する構成をなしており、
前記受光手段の波長帯毎の感度に応じて、前記照明手段によって照射される赤外光の照明光の明るさを、前記可視光照射手段によって照射される可視光の明るさと異なるように調整する調整手段を有することを特徴とする請求項8に記載の情報コード読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−15946(P2013−15946A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147082(P2011−147082)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】