説明

情報コード読取装置

【課題】情報コードをデコード可能な情報コード読取装置に関して、相対的に誤読が生じる可能性が高い場合に確認回数を増やして誤読を抑えることができ、相対的に誤読が生じる可能性が低い場合に確認回数を減らして読み取り速度を高め得る構成を提供する。
【解決手段】情報コード読取装置1は、デコード処理の確認回数を設定する確認回数設定手段を備えた判断手段を有している。この判断手段は、領域幅測定手段によって測定された明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅に応じて得られる実測データを、予め定められた基準データと比較し、その比較結果に基づいてデコード処理の確認回数を設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコード等の情報コードを読み取る情報コード読取装置は、例えば、白色パターンと黒色パターンとからなる情報コードに対しLEDやレーザ光源などによって照明光を照射し、その反射光を受光、解析することでコード情報を読み取る構成のものが広く提供されている。この種の情報コード読取装置では、情報コードをより精度高く読み取ることが要望されており、そのような課題を解決しようとする技術としては例えば特許文献1のような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−134130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような情報コード読取装置では、読取対象として様々な種類の情報コードが想定され、情報コード自体の状態や読取環境なども様々な状態が想定される。例えば、バー幅が受光センサの分解能に近くなるような細かい情報コードを読み取る場合もあれば、印字品質が悪く、一部に「欠け」や「かすれ」が生じた情報コードが読取対象となる場合もある。このような事情があるため、情報コード読取装置によって情報コードをデコードするに際しては、多種の情報コードに対応できるように、且つ様々な読み取り状態でも誤読が生じないように、デコード処理を複数回行い、それらのデコード結果が一致するか否かを複数回確認することが望ましい。
【0005】
上記のようにデコード処理に際してデコード結果の一致を複数回確認すれば、誤読が生じる可能性が低くなり、デコードの精度が格段に向上することになる。しかしながら、このようにデコード結果の一致を複数回確認する構成では、確認回数を必要以上に多くするとデコード処理に時間が費やされ、読み取り速度の低下を招く懸念がある。逆に、確認回数が少なくなると、デコード結果の妥当性を判断するためのデータが少なくなるため、誤読が生じる可能性が高くなってしまう。従って、確認回数の設定に関しては、上記のような事情に対応し得るバランスの良い設定方法が求められる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、情報コードをデコード可能な情報コード読取装置に関して、相対的に誤読が生じる可能性が高い場合に確認回数を増やして誤読を抑えることができ、相対的に誤読が生じる可能性が低い場合に確認回数を減らして読み取り速度を高め得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
明色モジュールと暗色モジュールとが配列されてなる情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段からの受光信号に基づいて、前記情報コードを前記明色モジュールに対応する明色領域と前記暗色モジュールに対応する暗色領域とに区分けした配列データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成される前記配列データに基づいて前記明色領域及び前記暗色領域の領域幅を測定する領域幅測定手段と、
前記領域幅測定手段による測定結果に基づき、前記配列データを構成する各領域をサイズ別に分類する分類手段と、
前記分類手段による分類結果に基づき、前記配列データに対しデコード処理を複数回行うデコード手段と、
前記デコード処理の確認回数を設定する確認回数設定手段を備え、前記確認回数設定手段によって設定された回数の前記デコード処理の結果に基づいて、前記デコード手段によるデコードの成否を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記領域幅測定手段によって測定された前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅に応じて得られる実測データを、予め定められた基準データと比較し、その比較結果に基づいて前記デコード処理の確認回数を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、デコード処理の確認回数を設定する確認回数設定手段を備えた判断手段を有しており、この判断手段は、領域幅測定手段によって測定された明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅に応じて得られる実測データを、予め定められた基準データと比較し、その比較結果に基づいてデコード処理の確認回数を設定している。
明色領域又は暗色領域の測定領域幅は誤読が生じる可能性に密接に関連しており、このような測定領域幅を反映した実測データを基準データと比較すれば、誤読が生じるか否かの目安を把握しやすくなる。そして、このような比較結果に基づいてデコード処理の確認回数を設定すれば、相対的に誤読が生じる可能性が高い場合に確認回数を増やして誤読を抑え、相対的に誤読が生じる可能性が低い場合に確認回数を減らして読み取り速度を高めるといった構成を実現し易くなる。
【0009】
請求項2の発明において、判断手段は、領域幅測定手段によって測定された明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅、及び分類手段によって分類されたいずれか複数サイズにおける測定領域幅の比率、の少なくともいずれかを実測データとして算出し、当該実測データを基準データと比較した比較結果に基づいて確認回数を設定している。
測定領域幅が小さい場合(即ち、領域自体が小さい場合)、或いは測定領域幅の比率が小さい場合(即ち、複数サイズにおいてサイズ差が小さい場合)には、各明色領域及び各暗色領域を正確に検出、解読できなくなる可能性が高まるため、このような実測データを基に確認回数を設定すれば、誤読が生じやすい状態か否かを的確に把握した上で、確認回数を適切に設定し易くなる。
【0010】
請求項3の発明において、判断手段は、明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅を実測データとし、当該測定領域幅が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定している。
測定領域幅が小さい場合(即ち、領域自体が小さい場合)には、分解能との関係で各明色領域及び各暗色領域の幅を正確に検出できなくなる可能性が高まるが、測定領域幅が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定すれば、誤読の可能性がより大きい配列データを読み取るときほど、確認回数を増やして確実性を増すことができ、一層の誤読低減効果が期待できる。
【0011】
請求項4の発明において、判断手段は、測定領域幅の比率を実測データとして算出し、当該測定領域幅の比率が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定している。
測定領域幅の比率が小さい場合(即ち、複数サイズにおいてサイズ差が小さい場合)には、分解能との関係で各明色領域及び各暗色領域のサイズを正確に分類できなくなる可能性が高まるが、測定領域幅の比率が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定すれば、誤読の可能性がより大きい配列データを読み取るときほど、確認回数を増やして確実性を増すことができ、一層の誤読低減効果が期待できる。
【0012】
請求項5の発明は、外部操作可能な操作手段と、操作手段に対する外部操作に応じて、判断手段による確認のモードを第1モードと第2モードとに切り替える切替手段とが設けられている。
そして、判断手段は、切替手段により第1モードに設定されている場合には、確認回数を所定回数に設定し、切替手段により第2モードに設定されている場合において、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、確認回数を所定回数よりも多く設定している。
この構成では、ユーザが操作手段を操作することで確認のモードを切り替えることができる。特に、確認回数を変動させたくない場合には、第1モードとなるような外部操作を行うことで、確認回数を相対的に低い所定回数に設定することができ、この場合には処理の迅速化を図ることができる。一方、誤読をより低減したい場合には、第2モードとなるような外部操作を行えばよく、この場合、誤読が生じやすい場合(測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合)に確認回数を所定回数よりも多く設定して読み取りの確実性を増すことができる。
【0013】
請求項6の発明は、デコード手段によるデコード処理がチェックデジットを用いた読み取り方式で行われるか否かを判別する判別手段を備えている。
そして、判断手段は、判別手段によりチェックデジットを用いた読み取り方式であると判別された場合には、確認回数を所定回数に設定し、判別手段によりチェックデジットを用いた読み取り方式でないと判別された場合において、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、確認回数を所定回数よりも多く設定している。
チェックデジットを用いた読み取り方式を採用する場合には誤読の発生を抑えることができるため、このような読み取り方式か否かを判別できるように構成し、チェックデジットを用いた読み取り方式の場合に確認回数を相対的に低い所定回数に設定すれば、読み取りの確実性を担保しつつ、処理の迅速化を図ることができる。
一方、チェックデジットを用いた読み取り方式でない場合には誤読が生じる可能性が相対的に大きく、更に、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低いとき又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れたときには、誤読が発生する可能性がより大きくなるため、このような場合に確認回数を所定回数よりも多く設定すれば、誤読の発生を防止する上でより効果的となる。
【0014】
請求項7の発明において、デコード手段は、情報コードに含まれる複数のキャラクタを順次デコードすると共に、一部のキャラクタのデコードが失敗した場合に、その失敗したキャラクタを特定する特定手段を備えている。
そして、領域幅測定手段は、特定手段によって特定されたデコード失敗キャラクタの明色領域及び暗色領域の領域幅を測定し、判断手段は、領域幅測定手段によって測定されたデコード失敗キャラクタにおいて、明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅、及び分類手段によって分類されたいずれか複数サイズにおける測定領域幅の比率、の少なくともいずれかを実測データとして算出し、当該実測データを基準データと比較した比較結果に基づいて確認回数を設定している。
この構成では、デコード失敗キャラクタを特定した上で、当該デコード失敗キャラクタにおける測定領域幅又は測定領域幅の比率に基づいて確認回数を設定しているため、デコード失敗の原因となったキャラクタに適した確認回数を設定し易くなる。従って、再度デコードする際に、デコード失敗キャラクタが正確に読み取られる可能性が高まり、ひいてはコード全体のデコードが成功する可能性が高まることになる。
【0015】
請求項8の発明において、判断手段は、情報コードの全キャラクタ数よりも少ない1又は複数のキャラクタを参照すると共に、当該参照キャラクタに含まれる明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかにおいて分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の参照キャラクタに占める比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっていない場合、又は当該参照キャラクタにおいて互いに隣接する明色領域及び暗色領域によって構成される各隣接領域の領域幅が予め設定された基準領域幅内に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも確認回数を多く設定している。
測定領域幅の比率又は隣接領域の領域幅が基準に収まっていない場合には、誤読が生じる可能性が高いため、このようなデータを判断材料として確認回数を設定すれば、より適切な設定が可能となる。また、一部のキャラクタに着目して測定領域幅の比率又は隣接領域の領域幅を取得しているため、データ取得に要する処理時間を低減でき、処理の迅速化を図ることができる。
【0016】
請求項9の発明において、判断手段では、基準比率範囲として、明色領域についての第1基準比率範囲と、暗色領域についての第2基準比率範囲とがそれぞれ別個に設定可能とされており、判断手段は、参照キャラクタに含まれる明色領域において、分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の参照キャラクタに占める比率が、予め設定された第1基準比率範囲内に収まっていない場合、又は、参照キャラクタに含まれる暗色領域において、分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の参照キャラクタに占める比率が、予め設定された第2基準比率範囲内に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも確認回数を多く設定している
このように、1又は複数サイズの測定領域幅の比率が基準に収まっているか否かを判断を、明色領域及び暗色領域について別々に判断すれば、誤読が発生し易い状態となっているか否かをより正確に判断することができ、確認回数の設定をより適切に行うことができる。また、このように明色領域及び暗色領域のそれぞれについて判断する構成とすると、データ取得及び解析に要する時間がより大きくなるが、全キャラクタの内の一部のキャラクタに着目してこのような処理を行っているため、処理時間の増大が抑えられることになる。
【0017】
請求項10の発明において、判断手段は、デコード手段が情報コードの全キャラクタをデコードした後に、当該情報コード内の全キャラクタに含まれる明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかにおいて分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の1キャラクタ又は複数キャラクタに占める比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっていない場合、又は当該情報コード内の全キャラクタにおいて互いに隣接する明色領域及び暗色領域によって構成される各隣接領域の領域幅が予め設定された基準領域幅内に収まっていない場合、若しくは当該情報コード内の全キャラクタおける各キャラクタの幅が予め設定された基準キャラクタ幅に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも確認回数を多く設定している。
測定領域幅の比率又は隣接領域の領域幅が基準に収まっていない場合には、誤読が生じる可能性が高いため、このようなデータを判断材料として確認回数を設定すれば、より適切な設定が可能となる。また、全キャラクタに着目して測定領域幅の比率又は隣接領域の領域幅を取得しているため、コード全体の状態に適した確認回数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1実施形態に係る情報コード読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の情報コード読取装置の電気的構成について概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4(A)は、バー幅の計測結果を概念的に説明する説明図であり、図4(B)は、バー幅比率の算出結果を概念的に説明する説明図である。
【図5】図5は、バーコードの1キャラクタ分の構成を概略的に説明する説明図である。
【図6】図6は、第2実施形態の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図7は、第3実施形態の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8(A)は、領域幅の許容範囲の設定について説明する説明図であり、図8(B)は、隣接領域幅の許容範囲の設定について説明する説明図である。
【図9】図9は、図7の変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る情報コード読取装置について図面を参照しつつ説明する。
(全体構成)
まず、図1、図2等を参照し、第1実施形態に係る情報コード読取装置の全体構成について概説する。なお、図1は、第1実施形態に係る情報コード読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。また、図2は、図1の情報コード読取装置の電気的構成について概略的に例示するブロック図である。
【0020】
図1、図2に示す情報コード読取装置1は、バーコード等の情報コードを読み取るコードリーダとして構成されるものであり、図1に示すように、ケース2によって外郭が構成され、このケース2の内部に各種電子部品が収容された構成をなしている。この情報コード読取装置1には、主として、照明光源20、受光センサ26、光学フィルタ28、結像レンズ27等の光学系と、増幅回路31、二値化回路33、A/D変換回路34、制御回路40、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系などが設けられている。
【0021】
光学系は、照明光源20、受光センサ26、光学フィルタ28、結像レンズ27等から構成されている。
照明光源20は、例えば、赤色のLEDと、このLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等を備え、赤色の照明光Lfを照射する構成をなしている。本実施形態では、受光センサ26を挟んだ両側に照明光源20が設けられており、ケースに形成された読取口(図示略)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rとしては、例えば、樹脂材料、金属材料、紙等の様々な物体などが挙げられ、本実施形態に係る情報コード読取装置1では、このような読取対象物Rにおいて、印刷、ダイレクトマーキングなどによる加工、或いは表示装置による表示等によって示された情報コードを読み取るように構成されている。
【0022】
なお、以下の説明では、情報コードとしてバーコードBを例示して説明する。このバーコードBは、図5のように明色モジュール(明色パターン)としてのスペースSpと暗色モジュール(暗色パターン)としてのバーBaとが所定方向に並び且つそれらが交互に配置されてなるものであり、各スペースSpやバーBaの長手方向は、その所定方向(バーやスペースが並ぶ方向)と直交する方向となっている。本実施形態では、スペースSpやバーBaの長手方向と直交する方向をこれらスペースSp及びバーBaの幅方向とする。
【0023】
受光センサ26は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を配列したラインセンサやエリアセンサによって構成されている。この受光センサ26は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面26aで受光し得るように基板18(図1)に実装されている。また、受光センサ26は、制御回路40から設定された周波数のパルス信号(駆動信号)が入力される構成をなしており、制御回路40からの各パルスの入力と同期させて各受光素子の信号が順番に出力される構成となっている。なお、受光センサ26は、「受光手段」の一例に相当する。
【0024】
光学フィルタ28は、照明光Lfに対応する所定周波数帯の光を通過させ、当該所定周波数帯以外の光を抑制する機能を有している。また、結像レンズ27は、ケースに形成された読取口3に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ26の受光面26aにバーコードBのコード画像を結像するように構成されている。
【0025】
マイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ(図示略)を中心として構成され、前述した光学系によって撮像されたバーコードBの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。なお、上記メモリ(図示略)は、半導体メモリ装置であり、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリのうちのRAMには、画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域などが確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源20、受光センサ26等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0026】
制御回路40は、情報コード読取装置1を全体的に制御可能なマイコンであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、操作ボタン等の操作部42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。また、通信インタフェース48には、情報コード読取装置1の上位システムに相当するホストコンピュータHSTなどを接続できるようになっている。
【0027】
増幅回路31は、例えば公知の増幅回路によって構成されており、受光センサ26の出力側に設けられ、受光センサ26から出力される受光信号を入力信号として、この入力信号を増幅した信号を出力するように構成されている。
【0028】
二値化回路33は、受光センサ26における複数の受光素子からの信号波形を二値化する機能を有しており、より詳しくは増幅回路31から出力される増幅信号を二値データに変換するように機能している。この二値化回路は、例えば、増幅回路31からの出力信号を設定された閾値と比較し、閾値以上の場合にはHレベル信号を出力し、閾値未満の場合にはLレベル信号を出力するようになっている。なお、二値化回路33から出力される信号は、バーコードBのパターンデータとして、制御回路40設けられたメモリ、又は制御回路40に接続されたメモリ(図示略)に蓄積されるようになっている。
本実施形態では、二値化回路33が「生成手段」の一例に相当し、受光センサ26からの受光信号に基づいて、情報コードBをスペースSp(明色モジュール)に対応する明色領域とバーBa(暗色モジュール)に対応する暗色領域とに区分けした配列データを生成するように機能する。なお、このような二値化回路33を用いずに、受光センサ26によって得られた画像を制御回路40で解析して上記配列データを生成してもよく、この場合、制御回路40が「生成手段」の一例に相当する。
【0029】
A/D変換回路34は、二値化回路33によって二値化される前の信号波形(即ち、増幅回路31から出力された信号波形)をデジタルデータに変換し、制御回路40に出力している。なお、A/D変換回路34は、制御回路40を主体とするマイクロコンピュータの一部として構成されていてもよく、別部品として構成されていてもよい。
【0030】
また、本実施形態に係る情報コード読取装置1では、商用電源或いは電池などから供給される電力に基づいて電源電圧を発生させる電源回路なども設けられている。なお、図1では、電源回路や電池等については省略して示している。
【0031】
(読取処理)
次に、本実施形態に係る情報コード読取装置1で行われる読取処理について図3〜図5等を参照して説明する。図3は、図1の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図4(A)は、バー幅の計測結果を概念的に説明する説明図であり、図4(B)は、バー幅比率の算出結果を概念的に説明する説明図である。図5は、バーコードの1キャラクタ分の構成を概略的に説明する説明図である。
【0032】
図3に示す読取処理は、例えば電源投入、或いは、操作部42による指示等をトリガとして制御回路40によって実行されるものであり、まず、モードの設定を行う(S10)。本実施形態では、予めユーザがモードを指定することにより、第1モード(通常モード)又は第2モード(精度優先モード)に切り替わるようになっている。S10では、例えばいずれのモードに設定するかをユーザに促し、ユーザが操作部42によっていずれかのモードを指定する操作を行った場合に当該操作に対応するモードに設定する。
【0033】
S10の後には、バーコードの画像を取り込む処理を行う(S20)。そして、バーコードのコード画像を含んだ画像データからバーコードの領域を抽出し(S30)、その抽出された領域において領域幅を計測する(S40)。S40では、バーコードBのコード画像全体において、各バーBaの幅及び各スペースSpの幅を計測すると共に、得られた幅データを基に、各バー及び各スペースをサイズ別に分類する。例えば、バーコードBにおいて4つのサイズのバーが存在し、4つのサイズのスペースが存在しうる場合には、S40で得られた各領域幅がいずれのサイズに属するかを特定し、各バー及び各スペースを各サイズに分類する。なお、サイズの分類は公知の様々な方法を用いることができ、例えば、サイズごとに幅の範囲を定めておき、どの範囲に属するかによって各バー、各スペースのサイズを分類してもよい。或いはサイズごとに基準値を定めておき、どの基準値に近いかによって各バー、各スペースのサイズを分類してもよい。
【0034】
本実施形態では、制御回路40が「領域幅測定手段」の一例に相当し、生成手段によって生成される配列データに基づいて明色領域及び暗色領域の領域幅を測定するように機能する。また、制御回路40は、「分類手段」の一例に相当し、領域幅測定手段による測定結果に基づき、配列データを構成する各領域をサイズ別に分類するように機能する。
【0035】
S40では、更に、各サイズの代表値を算出する。例えば、図4(A)のように、バーBa(暗色モジュール)が4つのサイズに分類される場合、サイズ毎に、各サイズに属するバーの平均値を算出する。例えば、1モジュールと分類されたバーがN個存在する場合いは、これらN個のバーの幅(バー幅)の平均値を算出することになる。同様に、スペースSp(明色モジュール)が4つのサイズに分類される場合、サイズ毎に、各サイズに属するスペースの平均値を算出してもよい。
【0036】
S40の後には、バー幅の比率を計測する。ここでは、例えば予め定められた2つのサイズにおける平均値の比率を算出する。例えば、1モジュールのバー幅の平均値がA1であり、2モジュールのバー幅の平均値がA2である場合、この比率A1/A2を代表値として算出する。なお、この平均値の比率の求め方はあくまで一例であり、このような1モジュールと2モジュールの比率に限られるものではない。例えば、2モジュールのバー幅の平均値と3モジュールのバー幅の平均値との比率を算出してもよく、3モジュールのバー幅の平均値と4モジュールのバー幅の平均値との比率を算出してもよい。或いは、1モジュールのバー幅の平均値と3モジュールのバー幅の平均値との比率を算出してもよい。
【0037】
S50の後には、デコード処理を行う。このデコード処理では、図40で分類されたバーBa、スペースSpの配列に基づき、公知の解読方法で解読がなされる。このデコード処理においてデコードが成功した場合にはS70にてYesに進み、当該読取処理を終了する。この場合、デコード結果は表示部や外部装置などに出力することができる。
【0038】
一方、S70でデコードが失敗したと判断された場合、S70にてNoに進み、S10で設定された現在のモードが第1モード(通常モード)であるか、第2モード(精度優先モード)であるかを判断する。第1モード(通常モード)の場合には、S80にてNoに進み、一致回数(確認回数)を予め定められた規定値(所定回数)とし、その値を設定する(S130)。そして、S130で設定された一致回数(確認回数)だけデコード結果が一致するまで、デコード処理を繰り返す(S140)。なお、S140では、設定された一致回数(確認回数)だけデコード結果が一致した場合にそのデコード結果を表示部や外部装置などに出力してもよい。また、S140では、所定時間内に一致回数に到達しない場合、デコード失敗として終了するようにしてもよい。
【0039】
一方、S80において第2モード(精度優先モード)と判断される場合には、S80にてYesに進み、S40で計測されたバー幅が許容範囲外にあるか否かを判断する。S90では、具体的には、最も小さいモジュールのバー幅が設定された許容範囲内にあるか否かを判断しており、例えば、図4(A)のような場合、1モジュールに分類されるバーの幅の平均値が、設定されたバー幅最大閾値よりも小さく、設定されたバー幅最小閾値よりも大きいか否かを判断する。そして、許容範囲外の場合には、S90でYesに進み、一致回数(確認回数)をS120で用いられる規定値よりも増加させ(S110)、その増加後の値に設定する(S130)。
【0040】
また、S90でNoと判断される場合には、S50で計測されたバー幅比率が許容範囲内にあるか否かを判断する(S100)。S100では、具体的には、最も小さいモジュールのバー幅とその次に小さいモジュールのバー幅の比率が許容範囲内にあるか否かを判断しており、例えば、図4(A)(B)のような場合、1モジュールのバー幅平均値A1と2モジュールのバー幅平均値A2との比率A1:A1(C1))が、設定された比率最大閾値よりも小さく、設定された比率最小閾値よりも大きいか否かを判断する。そして、バー幅比率が許容範囲外の場合には、S100でYesに進み、一致回数(確認回数)をS120で用いられる規定値よりも増加させ(S110)、この値に設定する(S130)。S110、S130のように増加した設定値に設定された場合には、この増加した一致回数(確認回数)だけデコード結果が一致するまで、デコード処理を繰り返す(S140)。
なお、本実施形態では、制御回路40が「デコード手段」の一例に相当し、分類手段による分類結果に基づき、配列データに対しデコード処理を複数回行うように機能する。
【0041】
本実施形態では、制御回路40が「確認回数設定手段」の一例に相当し、デコード処理の確認回数(一致回数)を設定するように機能する。また、制御回路40は、「判断手段」の一例に相当し、確認回数設定手段によって設定された回数のデコード処理の結果に基づいて、デコード手段によるデコードの成否を判断するように機能する。
【0042】
また、本実施形態では、制御回路40が「切替手段」の一例に相当し、操作部42(操作手段)に対する外部操作に応じて、判断手段による確認のモードを第1モード(通常モード)と第2モード(精度優先モード)とに切り替えるように機能する。
【0043】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態の情報コード読取装置1では、デコード処理の確認回数を設定する確認回数設定手段を備えた判断手段を有しており、この判断手段は、領域幅測定手段によって測定された明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅に応じて得られる実測データを、予め定められた基準データと比較し、その比較結果に基づいてデコード処理の確認回数を設定している。
明色領域又は暗色領域の測定領域幅は誤読が生じる可能性に密接に関連しており、このような測定領域幅を反映した実測データを基準データと比較すれば、誤読が生じるか否かの目安を把握しやすくなる。そして、このような比較結果に基づいてデコード処理の確認回数(一致回数)を設定すれば、相対的に誤読が生じる可能性が高い場合に確認回数を増やして誤読を抑え、相対的に誤読が生じる可能性が低い場合に確認回数を減らして読み取り速度を高めるといった構成を実現し易くなる。
【0044】
また、本実施形態において、判断手段は、領域幅測定手段によって測定された明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅、及び分類手段によって分類されたいずれか複数サイズにおける測定領域幅の比率、の少なくともいずれかを実測データとして算出し、当該実測データを基準データと比較した比較結果に基づいて確認回数を設定している。
測定領域幅が小さい場合(即ち、領域自体が小さい場合)、或いは測定領域幅の比率が小さい場合(即ち、複数サイズにおいてサイズ差が小さい場合)には、各明色領域及び各暗色領域を正確に検出、解読できなくなる可能性が高まるため、このような実測データを基に確認回数を設定すれば、誤読が生じやすい状態か否かを的確に把握した上で、確認回数を適切に設定し易くなる。
【0045】
また、本実施形態において、判断手段は、明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅を実測データとし、当該測定領域幅が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定している。
測定領域幅が小さい場合(即ち、領域自体が小さい場合)には、分解能との関係で各明色領域及び各暗色領域の幅を正確に検出できなくなる可能性が高まるが、測定領域幅が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定すれば、誤読の可能性がより大きい配列データを読み取るときほど、確認回数を増やして確実性を増すことができ、一層の誤読低減効果が期待できる。なお、上記実施形態では、確認回数(一致回数)を規定値とこの規定値よりも増加した値とに二段階に切り替えるようにしたが、測定領域幅が小さいほど確認回数(一致回数)を多くするように、確認回数を三段階以上に切り替えるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、判断手段は、測定領域幅の比率を実測データとして算出し、当該測定領域幅の比率が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定している。
測定領域幅の比率が小さい場合(即ち、複数サイズにおいてサイズ差が小さい場合)には、分解能との関係で各明色領域及び各暗色領域のサイズを正確に分類できなくなる可能性が高まるが、測定領域幅の比率が小さいほど回数を多くするように確認回数を設定すれば、誤読の可能性がより大きい配列データを読み取るときほど、確認回数を増やして確実性を増すことができ、一層の誤読低減効果が期待できる。なお、上記実施形態では、確認回数(一致回数)を規定値とこの規定値よりも増加した値とに二段階に切り替えるようにしたが、測定領域幅の比率が小さいほど確認回数(一致回数)を多くするように、確認回数を三段階以上に切り替えるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、「切替手段」が設けられ、操作手段に対する外部操作に応じて、判断手段による確認のモードを第1モード(通常モード)又は第2モード(精度優先モード)に切り替えることができるようになっている。
そして、判断手段は、切替手段により第1モードに設定されている場合には、確認回数(一致回数)を所定回数(規定値)に設定し、切替手段により第2モードに設定されている場合において、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、確認回数を所定回数よりも多く設定している。
この構成では、ユーザが操作手段を操作することで確認のモードを切り替えることができる。特に、確認回数を変動させたくない場合には、第1モードとなるような外部操作を行うことで、確認回数を相対的に低い所定回数に設定することができ、この場合には処理の迅速化を図ることができる。一方、誤読をより低減したい場合には、第2モードとなるような外部操作を行えばよく、この場合、誤読が生じやすい場合(測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合)に確認回数を所定回数よりも多く設定して読み取りの確実性を増すことができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。なお、本実施形態は、読取処理の一部のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって、異なる部分について重点的に説明する。
【0049】
図6に示すように、本実施形態では、S75の判断処理が追加された点のみが第1実施形態と異なっている。図6のS75の処理では、チェックデジットを用いた読み取り方式を採用するか否かを判別している。この判別方法は様々であり、例えば、複数種類のバーコードに対して図6の処理を実行可能とし、その中で、チェックデジットを備えた特定種類のバーコード(例えばEAN、UPC、Code128、GS1−128、GS1 Databar等)を読み取ろうとする場合に、S75にてNoに進むようにすることができる。或いは、S60のデコード処理時にチェックデジットの有無を判断できるようにしてもよい。例えば、S60のデコード処理の際に予め想定されているチェックデジットの明暗パターンが確認されたか否かを判断し、確認された場合にS75にてNoに進むようにしてもよい。このようにチェックデジットを用いた読み取り方式の場合、ある程度の精度が担保されるため、一致回数(確認回数)を増やさずに規定値に設定して一致処理を行うことになる。なお、いずれの方法でも、チェックデジットが確認されなかった場合にはS75にてYesに進み、第1実施形態と同様の方法でS80以降の処理を行う。
【0050】
なお、本実施形態では、制御回路40が「判別手段」の一例に相当し、デコード手段によるデコード処理がチェックデジットを用いた読み取り方式で行われるか否かを判別するように機能する。そして、判断手段に相当する制御回路40は、判別手段によりチェックデジットを用いた読み取り方式であると判別された場合には、確認回数(一致回数)を所定回数に設定し、判別手段によりチェックデジットを用いた読み取り方式でないと判別された場合において、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、確認回数を所定回数よりも多く設定している。
【0051】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態に係る構成でも、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態のように、チェックデジットを用いた読み取り方式か否かを判別できるように構成し、チェックデジットを用いた読み取り方式の場合に確認回数を相対的に低い所定回数に設定すれば、読み取りの確実性を担保しつつ、処理の迅速化を図ることができる。
一方、チェックデジットを用いた読み取り方式でない場合において、測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低いとき又は測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れたときには、誤読が発生する可能性がより大きくなるため、このような場合に確認回数を所定回数よりも多く設定すれば、誤読の発生を防止する上でより効果的となる。
【0052】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態の情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図8(A)は、領域幅の許容範囲の設定について説明する説明図であり、図8(B)は、隣接領域幅の許容範囲の設定について説明する説明図である。なお、本実施形態は、読取処理の一部のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって、以下では、第1実施形態と異なる部分について重点的に説明することとし、第1実施形態と同様の部分(特に読取処理以外の部分)については第1実施形態と同一であるものとして詳細な説明は省略する。
【0053】
図7の読取処理では、図3のS90、S100に代えて、S82、S84の処理を行うようにした点が第1実施形態と異なっている。なお、S82、S84以外については、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
図7の処理では、S80にて第2モード(精度優先モード)と判断される場合に、領域幅、比率の検証処理を行っている(S82)。具体的には、図5に示すような任意の1キャラクタを参照キャラクタとし、当該参照キャラクタに含まれる明色領域及び暗色領域のいずれか複数サイズの測定領域幅の比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっているか否かを判断する。
【0055】
例えば、図8(A)のように、各モジュール毎に比率の許容範囲(基準比率範囲)が定められており、バーBaの各幅B1、B3、B5の1キャラクタ幅Bsに占める比率B1/BS、B3/Bs、B5/Bsがいずれかの許容範囲内であるか否かを判断する。
【0056】
また、図8(B)のように、隣接領域幅の比率についても許容範囲が定められており、互いに隣接する領域の領域幅E1、E2、E3、E4,E5の1キャラクタ幅Bsに占める比率E1/Bs、E2/Bs、E3/Bs、E4/Bs、E5/Bsがいずれかの許容範囲内(基準領域幅内)であるか否かを判断する。
【0057】
そして、バーBaの各幅の比率及び各隣接領域幅の比率がいずれも許容範囲に収まっている場合には、S84にてYesに進み、確認回数(一致回数)を規定値に設定する(S120)。この場合、S120、S130、S140の処理は、第1実施形態と同様である。一方、バーBaの各幅の比率(1キャラクタ幅Bsに占める比率)又は各隣接領域幅の比率(1キャラクタ幅Bsに占める比率)のいずれかが許容範囲に収まっていない場合には、S84にてNoに進み、確認回数(一致回数)をS120で用いる規定値よりも増加させる(S110)。なお、S110で確認回数(一致回数)を増加させた後のS130以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0058】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態の構成でも、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
上述の測定領域幅の比率又は上述の隣接領域幅が基準に収まっていない場合には、誤読が生じる可能性が高いため、このようなデータを判断材料として確認回数を設定すれば、より適切な設定が可能となる。また、本実施形態では、一部のキャラクタに着目して測定領域幅の比率又は隣接領域の領域幅を取得しているため、データ取得に要する処理時間を低減でき、処理の迅速化を図ることができる。
【0059】
[第3実施形態の変更例]
第3実施形態の上記代表例では、S82において、測定領域幅の比率としてバーBaの幅の比率(1キャラクタに占める比率)を算出していたが、バーBaの幅の比率だけでなく、スペースSpの幅の比率(1キャラクタに占める比率)を算出するようにしてもよい。この場合、基準比率範囲として、スペース領域(明色領域)についての第1基準比率範囲と、バー領域(暗色領域)についての第2基準比率範囲とをそれぞれ別個に設定しておけばよい。具体的には、バーに関する第2基準比率範囲については、図8(A)のようにバーのモジュール毎に許容範囲を設定すればよく、スペースに関する第1基準比率範囲についても、図8(A)と同様に、スペースのモジュール毎に許容範囲を別個設定しておけばよい)。
【0060】
このように、バーについても、スペースについても基準範囲を定める構成では、参照キャラクタ(例えば任意の1キャラクタ)に含まれる各スペース幅の比率が、予め設定された第1基準比率範囲内に収まっていない場合、又は、参照キャラクタに含まれるバー幅の比率が、予め設定された第2基準比率範囲内に収まっていない場合にS84にてNoに進むようにすればよい。
このように、測定領域幅の比率が基準に収まっているか否かを判断を、明色領域及び暗色領域について別々に判断すれば、誤読が発生し易い状態となっているか否かをより正確に判断することができ、確認回数(一致回数)の設定をより適切に行うことができる。また、このように明色領域及び暗色領域のそれぞれについて判断する構成とすると、データ取得及び解析に要する時間がより大きくなるが、本実施形態では、全キャラクタ内の一部のキャラクタに着目してこのような処理を行っているため、処理時間の増大が抑えられることになる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
上記いずれの実施形態においても、S60でデコードが失敗した場合に、その失敗したキャラクタを特定した上で、当該キャラクタについてS80Yes以降の処理を行うようにしてもよい。例えば、第1、第2実施形態の場合には、デコード失敗キャラクタの明色領域及び暗色領域の領域幅を測定し、これら明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅、及び測定領域幅の比率が許容範囲外である場合に、S110の処理を行うようにしてもよい。第3実施形態の場合には、デコード失敗キャラクタを図5のようなキャラクタとして、S82、S84の処理を行うようにしてもよい。この場合、制御回路40が「特定手段」の一例に相当し、情報コードに含まれる複数のキャラクタを順次デコードすると共に、一部のキャラクタのデコードが失敗した場合に、その失敗したキャラクタを特定するように機能する。
この構成では、デコード失敗キャラクタを特定した上で、当該デコード失敗キャラクタにおける測定領域幅又は測定領域幅の比率に基づいて確認回数を設定しているため、デコード失敗の原因となったキャラクタに適した確認回数を設定し易くなる。従って、再度デコードする際に、デコード失敗キャラクタが正確に読み取られる可能性が高まり、ひいてはコード全体のデコードが成功する可能性が高まることになる。
【0063】
第3実施形態では、バーコード内の1つの参照キャラクタに着目し、領域幅の比率及び隣接領域幅の比率を求めていたが、バーコード内の複数の参照キャラクタ又は全キャラクタに着目し、同様の判断処理を行うようにしてもよい。この場合、例えば、情報コードの全キャラクタをデコードした後に、当該情報コード内の全キャラクタに含まれる明色領域及び暗色領域の少なくともいずれかにおいて「分類手段」によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の1キャラクタ幅(例えば任意の1キャラクタ幅)又は複数キャラクタ幅(例えば任意の複数キャラクタ幅)に占める比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっていない場合にS84にてNoに進むようにしてもよい。なお、上記「任意の複数キャラクタ幅」は、全キャラクタ幅であってもよい。又は図5のE1〜E5と同様に、当該情報コード内の全キャラクタにおいて互いに隣接する明色領域及び暗色領域によって構成される各隣接領域の領域幅を求め、この領域幅が予め設定された基準領域幅内に収まっていない場合(具体的には、例えば、第3実施形態と同様に、任意の1キャラクタ又は任意の複数キャラクタ(例えば全キャラクタ)に占める各隣接領域の領域幅の比率が許容範囲内(基準領域幅内)に収まっていない場合にS84にてNoに進むようにしてもよい。或いは、S82において更なる基準を設けてもよい。例えば、情報コード内の全キャラクタおける各キャラクタの幅が予め設定された基準キャラクタ幅に収まっていない場合にS84にてNoに進むようにしてもよい。
このように全キャラクタに着目して測定領域幅の比率又は隣接領域幅の比率を取得した上で上記処理を行えば、コード全体の状態に適した確認回数を設定することができる。また、このように全キャラクタに着目する場合であっても、明色領域と暗色領域とで別々の基準を設け、それぞれの種類について条件を判断するようにしてもよい。
【0064】
上記いずれの実施形態も、S60のデコード処理の後にS80以降の処理を行っていたが(図3、図6、図7参照)、S60、S70の処理を省略し、S50の後にS80の判断処理を行うようにしてもよい。この場合、S140においてデコード結果を出力するようにすればよい。なお、図9は、図7の読取処理をこのように変更した例を示している。
【符号の説明】
【0065】
1…情報コード読取装置
26…受光センサ(受光手段)
33…二値化回路(生成手段)
40…制御回路(領域幅測定手段、分類手段、デコード手段、判断手段、切替手段、判別手段、特定手段)
42…操作部(操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明色モジュールと暗色モジュールとが配列されてなる情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段からの受光信号に基づいて、前記情報コードを前記明色モジュールに対応する明色領域と前記暗色モジュールに対応する暗色領域とに区分けした配列データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成される前記配列データに基づいて前記明色領域及び前記暗色領域の領域幅を測定する領域幅測定手段と、
前記領域幅測定手段による測定結果に基づき、前記配列データを構成する各領域をサイズ別に分類する分類手段と、
前記分類手段による分類結果に基づき、前記配列データに対しデコード処理を複数回行うデコード手段と、
前記デコード処理の確認回数を設定する確認回数設定手段を備え、前記確認回数設定手段によって設定された回数の前記デコード処理の結果に基づいて、前記デコード手段によるデコードの成否を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記領域幅測定手段によって測定された前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅に応じて得られる実測データを、予め定められた基準データと比較し、その比較結果に基づいて前記デコード処理の確認回数を設定することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記領域幅測定手段によって測定された前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかの前記測定領域幅、及び前記分類手段によって分類されたいずれか複数サイズにおける測定領域幅の比率、の少なくともいずれかを前記実測データとして算出し、当該実測データを前記基準データと比較した比較結果に基づいて前記確認回数を設定することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかの前記測定領域幅を前記実測データとし、当該測定領域幅が小さいほど回数を多くするように前記確認回数を設定することを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記測定領域幅の比率を前記実測データとして算出し、当該測定領域幅の比率が小さいほど回数を多くするように前記確認回数を設定することを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項5】
外部操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する外部操作に応じて、前記判断手段による確認のモードを第1モードと第2モードとに切り替える切替手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記切替手段により前記第1モードに設定されている場合には、前記確認回数を所定回数に設定し、前記切替手段により前記第2モードに設定されている場合において、前記測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は前記測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、前記確認回数を前記所定回数よりも多く設定することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記デコード手段によるデコード処理がチェックデジットを用いた読み取り方式で行われるか否かを判別する判別手段を備え、
前記判断手段は、前記判別手段により前記チェックデジットを用いた読み取り方式であると判別された場合には、前記確認回数を所定回数に設定し、前記判別手段により前記チェックデジットを用いた読み取り方式でないと判別された場合において、前記測定領域幅が予め定められた基準幅よりも低い場合又は前記測定領域幅の比率が予め定められた基準比率から外れた場合に、前記確認回数を前記所定回数よりも多く設定することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項7】
前記デコード手段は、前記情報コードに含まれる複数のキャラクタを順次デコードすると共に、一部のキャラクタのデコードが失敗した場合に、その失敗したキャラクタを特定する特定手段を備え、
前記領域幅測定手段は、前記特定手段によって特定されたデコード失敗キャラクタの前記明色領域及び前記暗色領域の領域幅を測定し、
前記判断手段は、前記領域幅測定手段によって測定された前記デコード失敗キャラクタ
において、前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかの測定領域幅、及び前記分類手段によって分類されたいずれか複数サイズにおける測定領域幅の比率、の少なくともいずれかを前記実測データとして算出し、当該実測データを前記基準データと比較した比較結果に基づいて前記確認回数を設定することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記情報コードの全キャラクタ数よりも少ない1又は複数のキャラクタを参照すると共に、当該参照キャラクタに含まれる前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかにおいて、前記分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の前記参照キャラクタに占める比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっていない場合、又は当該参照キャラクタにおいて互いに隣接する前記明色領域及び前記暗色領域によって構成される各隣接領域の領域幅が予め設定された基準領域幅内に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも前記確認回数を多く設定することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項9】
前記判断手段では、前記基準比率範囲として、前記明色領域についての第1基準比率範囲と、前記暗色領域についての第2基準比率範囲とがそれぞれ別個に設定可能とされており、
前記判断手段は、前記参照キャラクタに含まれる前記明色領域において、前記分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の前記参照キャラクタに占める比率が、予め設定された前記第1基準比率範囲内に収まっていない場合、又は、前記参照キャラクタに含まれる前記暗色領域において、前記分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の前記参照キャラクタに占める比率が、予め設定された前記第2基準比率範囲内に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも前記確認回数を多く設定することを特徴とする請求項8に記載の情報コード読取装置。
【請求項10】
前記判断手段は、前記デコード手段が前記情報コードの全キャラクタをデコードした後に、当該情報コード内の全キャラクタに含まれる前記明色領域及び前記暗色領域の少なくともいずれかにおいて前記分類手段によって分類されたいずれか1又は複数サイズの測定領域幅の1キャラクタ又は複数キャラクタに占める比率が予め設定された基準比率範囲内に収まっていない場合、又は当該情報コード内の全キャラクタにおいて互いに隣接する前記明色領域及び前記暗色領域によって構成される各隣接領域の領域幅が予め設定された基準領域幅内に収まっていない場合、若しくは当該情報コード内の全キャラクタおける各キャラクタの幅が予め設定された基準キャラクタ幅に収まっていない場合に、その条件を満たす場合よりも前記確認回数を多く設定することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−212324(P2012−212324A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77729(P2011−77729)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】