説明

情報サーバ装置および情報サービス方法

【課題】通信元または通信先についての情報を第三者にわかりやすく伝達する情報を生成する。
【解決手段】ネットワークを介して通信元端末と通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信し、受信した音声に基づく第2の声紋情報を生成し、予め記憶している人物の音声に基づく第1の声紋情報と比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定し、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、通信元端末と通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成し、予め記憶している地図画像における、生成した位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話通信に基づく情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、なりすまし詐欺や振り込め詐欺といわれるような、親族などを装って高齢者等に電話をかけ、困窮した状況を訴えて金銭をだまし取る行為が社会問題となっている。このような電話をかけられた高齢者等が、電話の相手方が親族本人であるか否かを確認するためには、発信者番号通知機能によって判断したり、電話における会話の中で相手方の声質や話し方、会話内容などによって判断したりすることしかできなかった。そこで、特許文献1には、親族等の声紋情報を予め取得しておき、電話通信を行う相手方の音声に基づく声紋情報と比較して、電話通信の相手方が親族本人であるか否かを判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−38955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電話をかけられた高齢者等の本人にとっては振り込め詐欺の防止効果が期待できるとしても、上述したようにこのような振り込め詐欺は社会問題化しているものである。このため、より広く第三者にとっても振り込め詐欺を防止したり、振り込め詐欺の発信者の特定を行ったりすることが望ましい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、例えば振り込め詐欺の疑いがあるような電話通信が発生したような場合、通信元または通信先についての情報を第三者にわかりやすく伝達する情報を生成する情報サーバ装置および情報サービス方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、ネットワークを介して電話通信を行う通信元端末と通信先端末とに、ネットワークを介して接続された情報サーバ装置であって、予め定められた人物の音声に基づく第1の声紋情報が予め記憶されている声紋情報記憶部と、地図画像が予め記憶されている地図画像記憶部と、ネットワークを介して通信元端末と通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信する音声受信部と、音声受信部によって受信された音声に基づいて第2の声紋情報を生成する声紋情報生成部と、声紋情報記憶部に記憶されている第1の声紋情報と、声紋情報生成部によって生成された第2の声紋情報とを比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する判定部と、判定部によって、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、通信元端末と通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、地図画像記憶部に記憶されている地図画像を読み出し、読み出した地図画像における、位置情報生成部によって生成された位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成する通信位置地図画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、固定電話の電話番号と、電話番号による通信を行う電話端末の設置位置を示す位置情報とが対応付けられて予め記憶された固定電話位置情報記憶部と、携帯電話通信網において携帯電話端末と通信を行う基地局と、基地局の設置位置を示す位置情報とが対応付けられて予め記憶された基地局位置情報記憶部と、を備え、位置情報生成部は、通信元端末と通信先端末との少なくともいずれかの電話番号が、定められた固定電話番号であるか携帯電話番号であるかを判定し、固定電話番号である場合には、電話番号に対応付けられた位置情報を固定電話位置情報記憶部から読み出し、携帯電話番号である場合には、電話番号に対応する基地局に対応付けられた位置情報を基地局位置情報記憶部から読み出すことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、位置情報生成部によって生成された複数の位置情報が記憶される通信履歴記憶部を備え、通信位置地図画像生成部は、地図画像における、通信履歴記憶部に記憶された複数の位置情報のそれぞれに対応する複数の位置に指標を付した通信位置地図画像を生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、判定部によって、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、定められた宛先に警告を出力する警告部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ネットワークを介して電話通信を行う通信元端末と通信先端末とに、ネットワークを介して接続され、予め定められた人物の音声に基づく第1の声紋情報が予め記憶されている声紋情報記憶部と、地図画像が予め記憶されている地図画像記憶部とを備えた情報サーバ装置の情報サービス方法であって、ネットワークを介して通信元端末と通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信するステップと、受信した音声に基づいて第2の声紋情報を生成するステップと、声紋情報記憶部に記憶されている第1の声紋情報と、生成した第2の声紋情報とを比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定するステップと、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、通信元端末と通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成するステップと、地図画像記憶部に記憶されている地図画像を読み出し、読み出した地図画像における、生成した位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワークを介して通信元端末と通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信し、受信した音声に基づく第2の声紋情報を生成し、予め記憶している人物の音声に基づく第1の声紋情報と比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定し、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、通信元端末と通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成し、予め記憶している地図画像における、生成した位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成するようにしたので、電話通信における通信元または通信先の位置を示す地図画像により、通信元または通信先についての情報を第三者にわかりやすく伝達する情報を生成する情報サーバ装置および情報サービス方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるユーザ情報記憶部に記憶されているユーザ情報のデータ例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による声紋情報記憶部に記憶されている登録情報のデータ例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による固定電話位置情報記憶部に記憶される固定電話位置情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による基地局の通信領域の概念を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による基地局位置情報記憶部に記憶されている基地局位置情報のデータ例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による通信履歴記憶部に記憶される通信履歴情報のデータ例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による通信位置地図画像生成部が生成する固定電話の通信位置地図画像のデータ例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による通信位置地図画像生成部が生成する携帯電話端末の通信位置地図画像のデータ例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による通信位置地図画像生成部が生成する複数の指標を付した通信位置地図画像のデータ例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による情報サーバ装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による通信システム1の構成を示すブロック図である。通信システム1は、通信元端末10と、通信先端末20と、複数の通信端末30−N(通信端末30−1、通信端末30−2、通信端末30−3、・・・)と、情報サーバ装置100とのコンピュータ装置を備えており、これらのコンピュータ装置はネットワークを介して接続される。ここでネットワークとは、いわゆるインターネットプロトコル技術を利用したNGN(Next Generation Network)網を想定して説明する。複数の通信端末30−Nは、同様の構成であるため、特に区別しない場合には通信端末30として説明する。
【0014】
通信元端末10は、通信先端末20に対して電話通信の発信を行う通信元の電話端末である。
通信先端末20は、通信元端末10からの電話通信の発信を受ける通信先の電話端末である。
通信端末30は、通信先端末20のユーザの親族等であり、通信先端末20のユーザに電話をかける可能性があることが予め定められたユーザのコンピュータ端末である。通信端末30は、情報サーバ装置100と通信を行うことにより、ユーザの音声を予め情報サーバ装置100に登録する。通信端末30は、例えばブラウザ等の機能を備えたPC(パーソナルコンピュータ)のようなコンピュータ装置であるとして、情報サーバ装置100により提供されるウェブ画面のガイダンスに応じて音声を登録するようにしても良い。あるいは、通信端末30は、電話端末であるとして、情報サーバ装置100から送信されるIVR(Interactive Voice Response)のガイダンスに合わせて音声を登録するようにしても良い。ここで、例えば、通信先端末20のユーザには予めユーザIDが発行されており、通信先端末20のユーザは、親族等に対して、自身のユーザIDに対応付けて音声を登録することを頼む。音声登録を頼まれた親族等は、通信端末30を用いて、情報サーバ装置100に音声を登録する。情報サーバ装置100には、通信先端末20のユーザIDに対応付けられて音声情報が記憶される。
【0015】
情報サーバ装置100は、ユーザ情報記憶部101と、声紋情報記憶部102と、ユーザ情報登録部103と、音声受信部104と、声紋情報生成部105と、判定部106と、警告部107と、固定電話位置情報記憶部108と、基地局位置情報記憶部109と、位置情報生成部110と、通信履歴記憶部111と、地図画像記憶部112と、通信位置地図画像生成部113とを備えている。
【0016】
ユーザ情報記憶部101には、本実施形態による通信システム1によるサービスを利用するユーザに関するユーザ情報が記憶されている。図2は、ユーザ情報記憶部101に記憶されているユーザ情報のデータ例を示す図である。ユーザ情報には、ユーザIDと、電話番号と、氏名と、住所と、年齢などの情報が含まれる。ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。電話番号、氏名、住所、年齢は、それぞれ対応するユーザの電話番号、氏名、住所、年齢である。このようなユーザ情報は、例えば後述するユーザ情報登録部103によって提供されるウェブサービスなどによって入力され、記憶される。
【0017】
声紋情報記憶部102には、予め定められた人物の音声に基づく第1の声紋情報が予め記憶されている。図3は、声紋情報記憶部102に記憶されている登録情報のデータ例を示す図である。登録情報には、ユーザIDに対応付けて、相手ユーザID、続柄、住所、登録日時、音声情報、声紋情報などの情報が記憶される。ユーザIDは、本実施形態によるサービスを利用するユーザを識別する識別情報である。情報サーバ装置100は、このユーザに対して電話がかかってきた場合に声紋情報の照合処理を行う。相手ユーザIDは、対応するユーザIDのユーザに電話をかける可能性があることが予め定められた親族等の人物のユーザIDである。
【0018】
登録情報に含まれる続柄は、ユーザIDからみた相手ユーザIDの続柄である。登録日時は、音声情報が登録された日時である。情報サーバ装置100は、このような登録日時と現在日時とを比較し、登録日時から現在日時までの経過期間が一定期間を超えている場合には、登録された情報が古く、更新することを促す警告文を通信先端末20に送信するようにしても良い。音声情報は、相手ユーザIDが示す相手ユーザの音声のデータである。例えば、「もしもし」、「こんにちは」、「こんばんは」、「うん」、「はい」、「おじいちゃん」、「おばあちゃん」などの言葉を相手ユーザが発声し、記憶しておく。音声情報は、例えば、wavやmp3などの一般的な音声ファイルである。声紋情報は、対応する音声情報音声情報の声の質と文章を読むイントネーションの変化を組み合わせて生成された三次元のヒストグラムである。例えば、録音された音声情報から人の発声に近い周波数のみをヒストグラム化し、奇声を発したような高い声の周波数帯、極端に低い声の周波数帯、人間の耳に聞こえない周波数帯は声紋情報の対象外とする。
【0019】
ユーザ情報登録部103は、通信端末30から、ユーザ情報やユーザの音声の登録を受付ける。例えば、ブラウザ等の機能を備えたPC(パーソナルコンピュータ)のようなコンピュータ装置である通信端末30に対しては、音声を登録するウェブ画面を提供してユーザの音声を受信し、電話端末である通信端末30に対しては、IVRのガイダンスを送信してユーザの音声を受信する。ユーザ情報登録部103は、受信した音声情報を声紋情報記憶部102に記憶させる。また、ユーザ情報登録部103は、ユーザの氏名や住所等とともに、音声情報を対応付けて声紋情報記憶部102に記憶させる。
【0020】
音声受信部104は、ネットワークを介して通信元端末および通信先端末の間で行われる電話通信の音声を受信する。
声紋情報生成部105は、音声受信部104によって受信された音声に基づいて、第2の声紋情報を生成する。また、声紋情報生成部105は、声紋情報記憶部102に記憶されている親族等の音声情報に基づいて声紋情報を生成し、声紋情報記憶部102に記憶させる。ここでは、声紋情報記憶部102に記憶されている音声情報に基づいて声紋情報を生成する処理は、声紋情報記憶部102に音声情報が記憶される度にリアルタイムに行っても良いし、管理者からの要求に応じて行うようにしても良いし、一定時間毎に行うようにしても良いし、例えば業務処理の少ない夜間にバッチ処理などで行うようにしても良い。
【0021】
判定部106は、声紋情報記憶部102に記憶されている第1の声紋情報と、声紋情報生成部105によって生成された第2の声紋情報とを比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する。判定部106が、第1の声紋情報と第2の声紋情報との一致率が予め定められた閾値を超えていると判定した場合には、電話をかけてきた人物と、予め記憶している親族等とが同一人物であると推定でき、一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合には、電話をかけてきた人物と、予め記憶している親族等とが同一人物ではなく、振り込め詐欺の可能性があると推定できる。閾値は、電話をかけてきた人物と予め記憶している親族等とが同一人物であるか否かが判定できるような適切な閾値を定め、判定部106の記憶領域に予め記憶しておく。
【0022】
警告部107は、判定部106によって、声紋情報記憶部102に記憶されている第1の声紋情報と、声紋情報生成部105によって生成された第2の声紋情報との一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、振込み詐欺の電話通信である可能性があるとして、定められた宛先に警告を出力する。定められた宛先とは、例えば、通信先端末20や、予め定められた通信先端末20のユーザの親族の通信端末30等や、自治体等の公共機関や警察等などでも良い。ここで、警告とは、例えば通信先端末20に対して、定められた警告音を送信するようにしても良いし、通信先端末20のユーザの親族の通信端末30に対して警告文が含まれる電子メールを送信するようにしても良い。警告として、後述する通信位置地図画像を送信するようにしても良い。また、一定の通信地域内に向けて振り込め詐欺の可能性がある電話通信が複数回行われているような場合には、その地域の自治体等に向けて警告を送信するようにしても良い。
【0023】
固定電話位置情報記憶部108には、固定電話の電話番号と、その電話番号による通信を行う電話端末の設置位置を示す位置情報(緯度、経度)とが対応付けられて予め記憶される。図4は、固定電話位置情報記憶部108に記憶される固定電話位置情報のデータ例を示す図である。固定電話位置情報は、固定電話番号と、住所と、緯度と、経度との情報が対応付けられている。住所は、対応する固定電話番号の電話端末が設置された住所を示す。緯度、経度は、対応する住所の緯度、経度を示す。ここで、緯度、経度の情報は、具体的には、TOKYO測地系の値でも良いし、WGS測地系の値でも良いが、地図画像記憶部112に記憶されている地図画像に対応する測地系の値であることとする。
【0024】
基地局位置情報記憶部109には、携帯電話通信網において携帯電話端末と通信を行う基地局と、その基地局の設置位置を示す位置情報(緯度、経度)とが対応付けられて予め記憶される。例えば、通信元端末10または通信先端末20が、携帯電話通信網を介して通信を行う携帯電話端末である場合には、固定電話のように電話番号から通信位置を特定することはできない。ここで、携帯電話端末は、一般的に、3個程度の基地局と通信を行っているものである。例えば、図5は、基地局A、基地局B、基地局Cと、その円状の通信領域を示す図である。携帯電話端末が、基地局A、基地局B、基地局Cと通信を行っている場合には、その携帯電話端末は符号aの領域に存在する。そこで、このような基地局の設置位置に基づいて、携帯電話端末の位置を推定することができる。図6は、基地局位置情報記憶部109に記憶されている基地局位置情報のデータ例を示す図である。基地局位置情報は、基地局を識別する基地局IDと、その基地局の設置位置を示す緯度と、経度とが対応付けられている。ここで、通信可能な基地局の位置から携帯電話端末の位置を推定する際には、例えば基地局が有するアンテナの指向性、基地局周辺に高いビルが多いか少ないか、基地局の設置位置などに基づいて、基地局の電波到達範囲に係数を掛けて通信領域の範囲を決定するようにしても良い。
【0025】
位置情報生成部110は、判定部106によって、声紋情報記憶部102に記憶されている第1の声紋情報と、声紋情報生成部105によって生成された第2の声紋情報との一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、通信元端末10と通信先端末20との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成する。ここで、位置情報生成部110は、通信元端末10と通信先端末20との少なくともいずれかの電話番号が、定められた固定電話番号であるか携帯電話番号であるかを判定し、固定電話番号である場合には、その電話番号に対応付けられた位置情報を固定電話位置情報記憶部108から読み出し、携帯電話番号である場合には、その電話番号に対応する基地局に対応付けられた位置情報を基地局位置情報記憶部109から読み出す。例えば、振り込め詐欺の防止を目的とする場合には、通信先端末20の位置情報を生成し、振り込め詐欺の発信者の特定を目的とする場合には、通信元端末10の位置情報を生成する。本実施形態では、通信元端末10と通信先端末20とその双方の位置情報を生成するとして説明する。
【0026】
通信履歴記憶部111には、位置情報生成部110によって生成された複数の位置情報が記憶される。図7は、通信履歴記憶部111に記憶される通信履歴情報のデータ例を示す図である。通信履歴には、通信元番号と、通信元の電話種類と、通信元緯度・経度と、通信元A緯度・経度と、通信元B緯度・経度と、通信元C緯度・経度と、通信先番号と、通信先の電話種類と、通信先緯度・経度と、通信先X緯度・経度と、通信先Y緯度・経度と、通信先Z緯度・経度とが対応付けられた情報が含まれる。通信元番号は、通信元端末10の電話番号である。通信元の電話種類は、通信元の電話が固定電話であるか携帯電話であるかを示す。例えば、固定電話であれば「0」が、携帯電話であれば「1」が対応付けられて記憶される。通信元緯度・経度は、通信元端末10が固定電話である場合に、その固定電話番号に対応する緯度・経度である。通信元A緯度・経度と、通信元B緯度・経度と、通信元C緯度・経度とは、通信元端末10が携帯電話である場合に、その携帯電話と通信を行った複数の基地局のそれぞれの緯度・経度である。同様に、通信先番号は、通信先端末20の電話番号である。通信先の電話種類は、通信先の電話が固定電話であるか携帯電話であるかを示す。通信先緯度・経度は、通信先端末20が固定電話である場合に、その固定電話番号に対応する緯度・経度である。通信先X緯度・経度と、通信先Y緯度・経度と、通信先Z緯度・経度とは、通信先端末20が携帯電話である場合に、その携帯電話と通信を行った複数の基地局のそれぞれの緯度・経度である。発信開始日時は、電話通信が開始された日時である。通話終了日時は、電話通信が終了した日時である。このような発信開始日時と通話終了日時との差により、通話時間が算出できる。
【0027】
地図画像記憶部112には、地図画像が予め記憶されている。地図画像は、緯度、経度に応じて任意の箇所の地図が検出できるように記憶されている。
通信位置地図画像生成部113は、地図画像記憶部112に記憶されている地図画像を読み出し、読み出した地図画像における、位置情報生成部110によって生成された位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成する。図8は、通信位置地図画像生成部113が生成する固定電話の通信位置地図画像のデータ例を示す図である。通信位置地図画像には、符号aの箇所に、固定電話の通信位置を示す指標が付されている。図9は、通信位置地図画像生成部113が生成する携帯電話端末の通信位置地図画像のデータ例を示す図である。通信位置地図画像には、符号aの箇所に、携帯電話端末の通信位置を示す指標が付されている。ここで、通信位置地図画像生成部113は、図10に示すように、通信履歴記憶部111に記憶されている複数の位置情報のそれぞれに対応する複数の位置に指標を付した通信位置地図画像を生成するようにしても良い。このような通信位置地図画像は、ユーザからの操作により、拡大、縮小して表示できるようにしても良い。
【0028】
次に、本実施形態による通信システム1の動作例を説明する。図11は、情報サーバ装置100の動作例を示すフローチャートである。
通信元端末10が、通信先端末20に発呼し、通信先端末20が着呼して通信元端末10と通信先端末20との間の電話通信が開始されると、情報サーバ装置100の音声受信部104は、通信元端末10と通信先端末20との間で通信される音声を受信する(ステップS1)。
【0029】
声紋情報生成部105は、音声受信部104が受信した音声情報に基づく声紋情報を生成する(ステップS2)。ここで、声紋情報生成部105は、通信元端末10と通信先端末10との音声情報(通信内容)をそれぞれ別にファイル化して保存し、それぞれの音声に基づいて声紋情報を生成することができる。判定部106は、通信先端末20のユーザIDに対応付けられて声紋情報記憶部102に記憶されている相手ユーザの声紋情報を読み出し、ステップS2で生成された声紋情報(通信元端末10から送信された音声情報に基づいて生成された声紋情報)と、声紋情報記憶部102から読み出した複数の声紋情報とを比較する(ステップS3)。判定部106が、ステップS2において生成された声紋情報と、声紋情報記憶部102から読み出した声紋情報との一致率が閾値を超える登録情報が存在すると判定すると(ステップS3:YES)、処理を終了する。この場合には、予め定められた親族からかかってきた電話であると推定できるため、警告等の処理を行う必要はない。
【0030】
一方、ステップS3において、判定部106が、ステップS2で生成された声紋情報と、声紋情報記憶部102から読み出した声紋情報との一致率が閾値を超える登録情報が存在しないと判定すると(ステップS3:NO)、位置情報生成部110は、通信元端末10の位置情報と通信先端末20の位置情報とを生成し(ステップS4)、通信履歴情報を通信履歴記憶部111に記憶させる(ステップS5)。そして、通信位置地図画像生成部113は、位置情報生成部110によって生成された位置情報に指標を付した通信位置地図画像を生成する(ステップS6)。警告部107は、ステップS6において生成された通信位置地図画像とともに、定められた宛先に警告を出力する(ステップS7)。
【0031】
ここで、本実施形態では、判定部106が1つの閾値を記憶し、一致率が閾値を超えない場合に、振り込め詐欺の可能性があると推定する例を示したが、複数の閾値を設けて、段階的な判定を行うようにしても良い。例えば、第1の閾値(例えば、80%)と、第1の閾値より低い第2の閾値(例えば、30%)とを設け、一致率が第1の閾値を超えた場合(80%以上)には親族等であると判定し、第2の閾値を下回る場合(30%未満)には振り込め詐欺の可能性があると判定する。一致率が第1の閾値と第2の閾値との中間(30%以上80%未満)である場合には、例えば通話時間や電話エリアなどの情報を考慮して、振り込め詐欺の可能性があるか否かを判定する。この場合、例えば判定部106は、通信履歴記憶部111に記憶されている情報に基づいて通話時間を算出し、通話時間と予め定められた閾値とを比較して判定を行う。例えば、通話時間が長ければ(例えば1時間以上)、知人同士の会話である可能性が高いと考えることができる。また、振り込め詐欺の発信元である場合が多い地域から電話がかけられている場合には、相対的に振り込め詐欺の可能性が高いと考えることができる。このような可能性を数値化して、一致率が第1の閾値と第2の閾値との中間である場合の処理を決定する。また、例えば、通話が銀行ATMの稼働時間外である深夜、早朝の時間帯(例えば22:00〜翌朝7:00)である場合には、振り込め詐欺の可能性は低いとして判定処理の対象外としても良い。
【0032】
また、判定部106は、予め定められた親族等の声紋情報との比較を行う他に、例えば宅配便の業者からの電話通信が振り込め詐欺の可能性があると判定されるのを防ぐために、宅配便の業者などの電話番号を予め設定しておき、予め設定された電話番号からかけられた電話通信は、振り込め詐欺の可能性があると判定しないようにしても良い。
また、例えば、他の通信履歴や警察等からの情報に基づき、振り込め詐欺をかけてくる可能性が高い人物の音声に基づく声紋情報が存在する場合には、判定部106は、このような声紋情報と、電話をかけてきた人物の音声に基づく声紋情報とを比較し、一定以上の一致率である場合には、振り込め詐欺の可能性があると判定するようにしても良い。
【0033】
また、通信位置地図画像生成部113は、通信履歴記憶部111に記憶されている複数の通信履歴に基づいて通信位置地図画像を生成する例を説明したが、この際には、定められた条件に基づいて、任意の範囲の通信履歴に対応する位置情報の指標を付した通信位置地図画像を生成するようにしても良い。例えば、発信日時の期間や、通信地域、通話時間などを条件として設定して、条件に合致する通信履歴に基づく位置情報のみに指標を付した通信位置画像を生成するようにしても良い。
【0034】
また、ユーザ情報登録部103は、通信先端末20のユーザに対してパスワード等を発行し、情報サーバ装置100に記憶されているユーザ情報等を確認、編集する管理用ウェブ画面を提供するようにすることができる。例えば、音声情報は登録されているが声紋情報が正しく生成されていない場合や、成長期の子供の声変わりなどで声紋判定の結果が正しく行われなかった場合、声紋診断の結果、正しい判定が行われないと思われる音声情報の録音直しの場合などに有用である。このような管理用ウェブ画面では、登録済音声情報の再生や削除、再登録などを行う機能を有する。ここで、再登録の場合には、ユーザが指定した任意の電話番号宛にコールバックを行い、音声の登録を実施する。
【0035】
また、判定部106は、音声受信部104が電話通信の音声を受信した場合には即座に判定処理を行うようにしても良いが、任意の契機により判定処理を開始するようにしても良い。例えば、家庭用ブロードバンドサービスのホームゲートウェイの、USB(Universal Serial Bus)端子にボタンを有するアダプターを接続し、このボタンが押下されることを契機として判定処理を開始するようにしても良い。この場合、警告の出力は、アダプターがランプを有し、ランプを点灯または点滅することなどにより行っても良い。ここで、警告は、家庭内におけるテレビ画面に警告を示す割り込み画像を表示させたりしても良い。あるいは、任意の契機は、例えば電話端末の特定のボタン(「#」や「*」など)が押下されたプッシュ音としても良い。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、発信元が不確かな電話通信について、自動的、システム的に発信者が親族や関係者であるか否かを判定し、振込み詐欺の発信元の地域や振込み詐欺の発信先の地域を、第三者にとって視覚的にわかりやすく認識することが可能な地図画像を生成することができる。これにより、電話を用いた振り込め詐欺などの発生を防止する効果が期待できる。また、本実施形態によれば、振り込め詐欺の可能性が高い発信元からの通話内容を保存しておくことも可能であるため、保存された通話内容から、振り込め詐欺の電話手口による使われるキーワードなどを検出して振り込め詐欺を行う可能性が高い発信者などを特定することも可能である。
【0037】
また、本発明は、金融業界において、銀行窓口やテレホンバンキングなどにおける本人性確認のセキュリティ強化、スピードアップのようなサービス向上などにも適用できる。あるいは、医療業界において、遠隔地に居住する人を対象にした電話診療の電子カルテ検索や、薬の処方を行う際の本人性確認のスピードアップのようなサービス向上などにも適用できる。あるいは、官公庁において、年金の各種手続き、受給、住民票や印鑑証明等の各種手続きの本人性確認のセキュリティ強化、スピードアップのようなサービス向上などにも適用できる。
【0038】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより通信位置地図画像の生成処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0039】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 通信システム
10 通信元端末
20 通信先端末
30 通信端末
100 情報サーバ装置
101 ユーザ情報記憶部
102 声紋情報記憶部
103 ユーザ情報登録部
104 音声受信部
105 声紋情報生成部
106 判定部
107 警告部
108 固定電話位置情報記憶部
109 基地局位置情報記憶部
110 位置情報生成部
111 通信履歴記憶部
112 地図画像記憶部
113 通信位置地図画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して電話通信を行う通信元端末と通信先端末とに、前記ネットワークを介して接続された情報サーバ装置であって、
予め定められた人物の音声に基づく第1の声紋情報が予め記憶されている声紋情報記憶部と、
地図画像が予め記憶されている地図画像記憶部と、
前記ネットワークを介して前記通信元端末と前記通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信する音声受信部と、
前記音声受信部によって受信された前記音声に基づいて第2の声紋情報を生成する声紋情報生成部と、
前記声紋情報記憶部に記憶されている前記第1の声紋情報と、前記声紋情報生成部によって生成された前記第2の声紋情報とを比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、前記通信元端末と前記通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記地図画像記憶部に記憶されている前記地図画像を読み出し、読み出した地図画像における、前記位置情報生成部によって生成された前記位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成する通信位置地図画像生成部と、
を備えることを特徴とする情報サーバ装置。
【請求項2】
固定電話の電話番号と、当該電話番号による通信を行う電話端末の設置位置を示す位置情報とが対応付けられて予め記憶された固定電話位置情報記憶部と、
携帯電話通信網において携帯電話端末と通信を行う基地局と、当該基地局の設置位置を示す位置情報とが対応付けられて予め記憶された基地局位置情報記憶部と、を備え、
前記位置情報生成部は、前記通信元端末と前記通信先端末との少なくともいずれかの電話番号が、定められた固定電話番号であるか携帯電話番号であるかを判定し、固定電話番号である場合には、当該電話番号に対応付けられた位置情報を前記固定電話位置情報記憶部から読み出し、携帯電話番号である場合には、当該電話番号に対応する前記基地局に対応付けられた位置情報を前記基地局位置情報記憶部から読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載の情報サーバ装置。
【請求項3】
前記位置情報生成部によって生成された複数の前記位置情報が記憶される通信履歴記憶部を備え、
前記通信位置地図画像生成部は、前記地図画像における、前記通信履歴記憶部に記憶された複数の前記位置情報のそれぞれに対応する複数の位置に前記指標を付した通信位置地図画像を生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の情報サーバ装置。
【請求項4】
前記判定部によって、前記一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定された場合、定められた宛先に警告を出力する警告部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の情報サーバ装置。
【請求項5】
ネットワークを介して電話通信を行う通信元端末と通信先端末とに、前記ネットワークを介して接続され、予め定められた人物の音声に基づく第1の声紋情報が予め記憶されている声紋情報記憶部と、地図画像が予め記憶されている地図画像記憶部とを備えた情報サーバ装置の情報サービス方法であって、
前記ネットワークを介して通信元端末と通信先端末との間で行われる電話通信の音声を受信するステップと、
受信した前記音声に基づいて第2の声紋情報を生成するステップと、
前記声紋情報記憶部に記憶されている前記第1の声紋情報と、生成した前記第2の声紋情報とを比較して、その一致率が予め定められた閾値を超えているか否かを判定するステップと、
前記一致率が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合、前記通信元端末と前記通信先端末との少なくともいずれかの位置を示す位置情報を生成するステップと、
前記地図画像記憶部に記憶されている前記地図画像を読み出し、読み出した地図画像における、生成した前記位置情報が示す位置に指標を付した通信位置地図画像を生成するステップと、
を備えることを特徴とする情報サーバ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−50034(P2012−50034A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192844(P2010−192844)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【出願人】(510234043)株式会社NTTデータ・ビジネス・システムズ (1)
【Fターム(参考)】