説明

情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法

【課題】ユーザの位置や移動に使用している乗り物等ばかりでなく、ユーザの行動の目的をも推定することができる対象行動推定装置を提供する。
【解決手段】対象の位置、移動速度、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を収集する対象情報取得部3、対象情報取得部3によって収集された情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定し、移動中であると判定された場合には対象の移動手段を判定する移動手段抽出部202、判定された対象の移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定する行動情報構築部201、推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供する情報配信サーバ1によって情報サービス提供システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法に係り、特に対象の行動の目的を推定し、推定された目的に沿った情報を対象に提供する情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、情報端末装置等の携帯可能な情報端末装置を介してユーザに例えば地図情報や時刻表といった情報を提供するサービスがある。このようなサービスにおいては、ユーザに提供するのに適正な情報を判定するため、現在ユーザがどのような状況にあるのかを、より正確に推定することが必要である。
ユーザの状況を自動的に推定する従来技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1が挙げられる。特許文献1は、行動を推定する対象の移動状態を検出し、移動を、対象が静止状態から移動状態へ一連の動作として移行するものと定義している。特許文献1には、推定の精度をより高めるため、対象の移動の状態によって位置検出のサンプリング間隔を変更することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2は、各対象の履歴情報の他、グループ化された複数の他の対象の履歴情報にも対象の移動を対照して行動を推定する。特許文献2は、履歴のサンプル数を増やすことによって行動の推定精度を高めることを目的にしたものである。
さらに、非特許文献1には、対象の位置にかかる情報に加え、加速度センサや歩数計といったセンサ類によって取得された情報を使って対象の行動を推定することが記載されている。
【0004】
上記した従来技術は、いずれもユーザが単に移動中であるか否か、あるいは電車で移動中であるか等の情報のみを判定し、現在ユーザに必要であると思われるサービスを選択している。このような従来技術によれば、例えば、ユーザが移動中であるか否か、移動の手段、現在地を取得し、現在地に近い飲食店や地図情報を提供することができる。
【特許文献1】特開2001−14297号公報
【特許文献2】特開2001−56805号公報
【非特許文献1】田村大他:コンテキストセンシティブなコンテンツ配合の実現に向けて プロジェクト・MODEの取り組み、情報処理学会 研究報告 2003−UBI−1 p41−p47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザにとって必要な情報は、ユーザの移動の手段や位置によってのみ決まるものではない。すなわち、ユーザがA地点を徒歩で移動中である場合にあっては、ユーザが通勤や通学といった目的で移動している場合、A地点はユーザにとってよく知った地域であり、飲食店の情報等は不要であると思われる。また、別の日にユーザがA地点を通ってさらに先の他の場所に行く場合、ユーザが予め行く先の地図にかかる情報を必要とすることも考えられる。
【0006】
ユーザの位置や移動の手段だけを使って情報提供の判断をする従来技術は、上記の場合、ユーザが情報を必要としているか否かを誤判断する場合がある。誤判断によって不要な情報が提供された場合、ユーザが情報提供のサービスを停止し、必要である場合には停止したサービスを再開する操作等をすることが必要になる。このため、従来技術は、ユーザが必要とする情報を自動的に提供する発明の目的を充分果たせないばかりでなく、ユーザにシステムの利用が煩わしいと感じさせることにもなりかねない。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ユーザの位置や移動に使用している乗り物等ばかりでなく、ユーザの行動の目的をも推定することができる情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の情報サービス提供システムは、対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を収集する移動情報収集装置と、前記移動情報収集装置によって収集された情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定し、移動中であると判定された場合には対象の移動手段を判定すると共に、前記移動情報及び判定された対象の移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定する対象行動推定装置と、前記対象行動推定装置によって推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供するサービス提供装置と、を含むことを特徴とする。
【0008】
このような発明によれば、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能である。さらに、推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供することができる。
また、請求項2に記載の対象行動推定装置は、対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定する移動判定手段と、前記移動判定手段によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定手段と、前記移動情報と、前記移動手段判定手段によって判定された対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような発明によれば、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能である。
また、請求項3に記載の対象行動推定装置は、請求項2に記載の発明において、前記移動情報を特定の対象ごとに収集し、前記移動判定手段に供給する移動情報収集手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
このような発明によれば、移動中の対象の移動情報をリアルタイムで収集し、移動しているか否かを判定することができる。
また、請求項4記載の対象行動推定装置は、請求項3に記載の発明において、前記移動情報収集手段が通信システムによって対象の位置を緯度及び経度として収集することを特徴とする。
【0011】
このような発明によれば、対象の位置をリアルタイムで、かつ正確に取得することができる。
また、請求項5に記載の対象行動推定装置は、請求項3または4に記載の発明において、前記移動情報収集手段が、前記移動情報に基づいて前記移動情報を取得する時間的間隔を調整することを特徴とする。
【0012】
このような発明によれば、移動情報収集手段が、例えば対象が高速度で移動する場合には短い間隔で移動情報を取得し、対象の移動速度が低速である場合には移動情報の取得の間隔を延ばすことができる。このような調整により、必要な場合に移動情報の精度を高め、また、不要な場合には位置情報の取得にかかるエネルギーを省力化することができる。
また、請求項6に記載の対象行動推定装置は、請求項2から5のいずれか1項に記載の発明において、前記移動手段判定手段が、前記移動判定手段によって対象が移動していると判定された場合、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の交差の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況の少なくとも1つに基づいて、対象の移動手段を判定することを特徴とする。
【0013】
このような発明によれば、対象の移動の速度ばかりでなく、移動についてのより詳細な状態を表す情報を使って移動手段を判定することができる。したがって、対象が使っている移動手段をより正確に判定することができる。
また、請求項7に記載の対象行動推定装置は、請求項2から6のいずれか1項に記載の発明において、複数の対象についての前記移動手段判定手段による移動手段の判定結果を一括して保存する移動手段用一般データ保存手段、前記移動手段判定手段による移動手段の判定結果を、対象ごとに保存する移動手段用個人データ保存手段の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする。
【0014】
このような発明によれば、移動手段の判定結果を一括して保存することによって保存される判定のサンプル数を増やしてばらつきを低減し、保存された判定結果を使った後の判定の精度を高めることができる。また、移動手段の判定結果を対象ごとに保存することによって特定の対象についての後の判定の精度を高めることができる。
また、請求項8記載の対象行動推定装置は、請求項2から7のいずれか1項に記載の発明において、複数の対象についての前記目的推定手段による推定の結果を一括して保存する目的用一般データ保存手段、前記目的推定手段による推定の結果を、対象ごとに保存する目的用個人データ保存手段の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする。
【0015】
このような発明によれば、目的推定手段による推定の結果を一括して保存することによって保存される判定のサンプル数を増やしてばらつきを低減し、保存された判定結果を使った後の判定の精度を高めることができる。また、目的推定手段による推定の結果を対象ごとに保存することによって特定の対象についての後の判定の精度を高めることができる。
【0016】
また、請求項9に記載の対象行動推定装置は、請求項2から8のいずれか1項に記載の発明において、前記目的推定手段が、予め設定された行動情報データベースに前記移動情報及び前記移動手段情報を対照して対象の行動の目的を推定することを特徴とする。
このような発明によれば、移動情報の設定や装置の使用の実情に適した行動情報データベースを任意に設定することができる。
【0017】
また、請求項10に記載の対象行動推定装置は、請求項9に記載の発明において、前記行動情報データベースが、対象が存在する環境の温度、湿度、天候の少なくとも1つを含む環境情報さらに含み、前記目的推定手段は、前記環境情報が入力された場合には、入力された環境情報を移動情報と共に前記行動情報データベースに対照して対象の行動の目的を推定することを特徴とする。
このような発明によれば、対象の行動目的を推定するにあたって移動情報ばかりでなく環境情報をも使うことができる。このため、対象の行動目的をより詳細な情報に基づいて推定することができ、対象の目的に沿った情報を選択して提供することができる。
【0018】
また、請求項11に記載の対象行動推定方法は、対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を入力する移動情報入力ステップと、前記移動情報入力ステップで入力された移動情報に基づいて、対象が移動中であるか否かを判定する移動判定ステップと、前記移動判定ステップにおいて対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定ステップと、前記移動情報と、前記移動手段判定ステップにおいて判定された対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報と、に基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定ステップと、を含むことを特徴とする。
このような発明によれば、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上説明した本発明によれば、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定するばかりでなく、対象の行動の目的をも推定することができる。このため、対象の状態をより詳細に検出することができ、検出結果に基づいて提供すべきサービスを選択することにより、ユーザにとって必要な情報を適切に選択して提供することができる情報サービス提供システム、対象行動推定装置及び対象行動推定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を参照して本発明に係る情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法の実施形態1、実施形態2を説明する。実施形態1について説明する。
・実施形態1
(システムの概略)
図1は、本発明の情報サービス提供システムの概略を説明するための図であって、後に示す図2と共に、実施形態1、実施形態2に共通の構成である。図示したように、本発明の情報サービス提供システムは、情報配信サーバ1、対象行動推定部2、対象情報取得部3によって構成されている。実施形態1では、情報サービス提供システムを情報端末装置と情報端末装置にサービスを提供する情報配信サーバ1とによって構築するものとし、情報端末装置が対象行動推定部2、対象情報取得部3を備えるものとする。
【0021】
情報端末装置を利用した情報サービス提供システムは、情報端末装置と情報端末装置のユーザとが同時刻に同じ位置に存在するものとし、ユーザを行動推定の「対象」とするものとした。
このような実施形態1では、対象情報取得部3が対象の位置、移動速度、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報(移動情報)を収集する移動情報収集装置として機能する。対象行動推定部2は、収集された情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定し、移動中であると判定された場合には対象の移動手段を判定すると共に、移動情報及び判定された対象の移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定する対象行動推定装置として機能する。
【0022】
さらに、情報配信サーバ1は、推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供するサービス提供装置として機能する。情報配信サーバ1は、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、Webブラウザ等のクライアントソフトウェアの要求に応じて蓄積された情報を送信するコンピュータである。
対象情報取得部3は、情報端末装置に備えられている既存のGPS(Global Positioning System)端末303と、位置情報DB302を備えている。GPS端末303は、通信システムによって対象の位置を、対象ごとに緯度及び経度として収集する。位置情報DB302には、GPS端末303によって収集されたデータが蓄積されている。
【0023】
さらに、実施形態1では、情報端末装置が備えるGPS端末303の他、センサー・デバイス301を備えている。実施形態1では、センサー・デバイス301を対象の移動速度や加速度を検出するものとした。移動速度や加速度の検出は、ドップラー効果や光学フィルタ等を使って情報端末装置の移動速度や情報端末装置にかかる加速度を直接測定するものであってもよい。また、例えば、GPS端末303から得た対象の位置を時刻と対応させて記録し、速度や加速度を算出するものであってもよい。
【0024】
また、センサー・デバイス301は、当然のことながら、速度や加速度を検出するものに限定されるものでなく、例えば、対象がいる地域の温度、湿度、紫外線強度等を検出するものであってもよい。また、直接検出された温度、湿度、紫外線強度等に基づいて現在地の天候を演算によって求めるものであってもよい。
センサー・デバイス301を備える実施形態1は、センサー・デバイス301によって検出、あるいは取得された情報をも位置に関する情報と同様に、位置情報DB302及び対象行動推定部2に送っている。
【0025】
なお、GPS端末303は、基本的には一定の時間的な間隔(周期)でGPS等から位置情報を取得している。ただし、実施形態1では、対象情報取得部3が、取得した位置座標や速度、加速度等によって移動情報を取得する周期を調整することができるものとした。
この調整は、対象の移動速度が大きいほど取得の周期を短くするように行われる。すなわち、対象の位置が大きく変化する場合には短い時間間隔で位置を検出し、位置検出の精度が対象の速度によって変化することを防ぐことができる。
以上の対象情報取得部3は、実施形態1の移動情報収集手段として機能する。
【0026】
対象行動推定部2は、移動情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定すると共に、対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段抽出部202、移動情報及び移動手段抽出部202によって判定された対象の移動手段にかかる情報(移動手段情報)に基づいて対象の行動の目的を推定する行動情報構築部201を備えている。行動情報構築部201は、行動の目的の推定の結果を行動情報として出力するものとする。
【0027】
以上の構成において、移動手段抽出部202は移動判定手段及び移動手段判定手段、行動情報構築部201は目的推定手段として各々機能する。なお、対象情報取得部3によって検出、取得された情報は、移動情報収集・格納部204において収集、格納されている。
移動手段抽出部202、行動情報構築部201によって得られた移動手段に関する情報や行動情報は、移動手段の個人モデルDB210及び一般モデルDB211、行動情報の個人モデルDB208及び一般モデルDB209に保存される。
【0028】
移動手段の個人モデルDB210は移動手段の判定結果を、対象ごとに保存する移動手段用個人データ保存手段、一般モデルDB211は移動手段の判定結果を一括して保存する移動手段用一般データ保存手段として機能する。また、行動情報の個人モデルDB208は行動情報構築部201による推定の結果を対象ごとに保存する目的用個人データ保存手段、一般モデルDB209は行動情報構築部201による推定の結果を一括して保存する目的用一般データ保存手段として機能する。
【0029】
また、対象行動推定部2は、移動手段の個人モデルDB210及び一般モデルDB211に保存された移動手段情報に対象の位置情報を対照して対象が何によって移動しているのかを判定する移動手段判定部213、行動情報の個人モデルDB208及び一般モデルDB209に保存された行動情報に対象の位置情報を対照し、対象の行動の目的を判定する行動情報判定部212、移動手段判定部213、行動情報判定部212判定結果を使い、任意の推定モデルによって対象の行動を推定する行動推定部207を備えている。
【0030】
実施形態1を情報サービス提供システムとして構成する場合、上記した移動手段抽出部202、行動情報構築部201と共に個人モデルDB210、一般モデルDB211、移動手段判定部213、個人モデルDB208、一般モデルDB209、行動情報判定部212が対象行動推定装置として機能する。
以上の対象行動推定部2は、情報端末装置の制御部を構成するコンピュータの一部であって、移動手段抽出部202等の各構成は、いずれもコンピュータを動作させるためのソフトウェアプログラムである。
【0031】
情報配信サーバ1は、行動推定部207によって推定された対象の行動の目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供する。例えば、対象が通勤を目的として移動している場合、対象にとって移動場所はよく知った地域であって、地図や時刻表の情報は不必要であると判断することも可能である。さらに、今日のニュースや電車遅延等のイレギュラーな交通情報については提供すべきであると判断することも可能になる。
また、対象が買い物を目的にして移動中である場合、移動中の地域の時刻表や店舗の情報が有用であると判断して提供することも可能である。反対に、今日のニュース等の情報については不必要であると判断することも可能である。
【0032】
(対象行動推定部による処理)
以下、上記した構成の機能及び動作を、行動推定の処理の手順に沿って説明する。
図2は、対象行動推定部2の各構成によってなされる一連の処理を説明するための図である。図2では、個人モデルDB210、一般モデルDB211、個人モデルDB208、個人モデルDB210に格納される構築モデルを生成するまでの処理を示している。
【0033】
図2に示されたように、移動情報収集・格納部204は、対象の位置P(x,y)、検出時刻t、移動速度v、加速度a、その他センサー・デバイス301によって検出されたデータoを移動情報として対象情報取得部3から収集し、移動手段抽出部202に出力する。
移動情報収集・格納部204は、対象情報取得部3の移動情報を取得する各構成の外部アクセスの状況を示すアクセス情報をDB205によって管理している。アクセス情報は、移動情報収集・格納部204、対象情報取得部3間のアクセス状況、あるいは対象情報取得部3の外部に対するアクセス状況を示す情報であって、アクセスが起こった時刻や日時、さらにはアクセスによって取得された情報の種別等の情報を含むものとする。
【0034】
移動情報収集・格納部204は、アクセス情報を使い、対象情報取得部3によって収集された情報を所定の時間間隔で取り込んでいる。取り込まれた情報は、移動手段抽出部202に出力されると共に、DB206に格納される。この際、GPS端末303によって取得された情報等は移動情報として、湿度や温度等の情報は空間情報として時系列に管理される。なお、移動情報収集・格納部204による移動情報、空間情報の管理は、対象ごとに行うものであっても良い。
移動手段抽出部202は、入力された移動情報に基づいて移動手段を示すデータTraを生成する。生成されたデータTraは、移動情報と共に個人モデルDB210、一般モデルDB211に構築モデルとして格納されると共に、行動情報構築部201に出力される。
【0035】
データTraを生成するため、移動手段抽出部202は、移動情報収集・格納部204によって格納された移動情報あるいは空間情報から対象が移動しているか否かを判断する。そして、対象が移動していると判断した場合、対象が例えば電車、バスといった移動手段のいずれによって移動しているかを判定する。
この判定は、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の交差の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況の少なくとも1つに基づいて行われる。以下に判定の具体例を以下に記す。
【0036】
(移動情報のクラスタ基準データ)
図3は、移動手段抽出部202が移動手段を判定するために使用するクラスタ基準データを示す図であって、クラスタ基準DB203に保存されているデータが示されている。移動手段の判定には、移動情報のうち対象の速度、対象の位置を時系列に記した場合の分布、加速度が使用される。実施形態1では、例えば、速度が30km/h〜80km/hの範囲にあって位置の分布が線形によって示され、加速度が5km/h〜7km/hである一連のデータグループは対象が電車によって移動中であることを示すデータとする。
【0037】
また、例えば、速度が1km/h〜4km/hの範囲にあって位置の分布が集中し、加速度が0km/h〜2km/hである一連のデータグループが、対象が移動していない状態(停留中)を示すものとする。
図3中に示された分布は、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況を示す要素である。また、速度の範囲は対象の移動速度の分散を示している。さらに、実施形態1は、時系列に記された対象の位置同士をつなぐ複数のベクトルを延長し、互いに交差するか否かによって移動手段を判定することも可能である。
【0038】
ベクトル同士が交差しない場合、対象が長い距離を直線に沿って移動していると考えられる。このような場合、対象が電車によって移動している可能性がある。また、ベクトル同士が頻繁に交差する場合、対象は徒歩で移動中、あるいは停留中である可能性がある等の要素を移動手段の推定に利用することが可能になる。
【0039】
(移動情報のクラスタリング)
図4は、図3に示されたクラスタ基準データを教師データとしてクラスタリングされた移動情報を例示した図であって、実施形態1でいう構築モデルを示している。図4に示された例によれば、時刻5:44、3:23、9:02に収集された位置P1(x,y)の情報は電車通過中に分類されている。このことから、対象は、時刻t3に位置P1(x,y)を電車に乗って通過したという情報が抽出される。
なお、図4に示された例では、対象が存在する環境の温度、湿度、天候の少なくとも1つを含む環境情報(空間情報)が対象情報取得部3によって取得されているから、空間情報をも併せてクラスタリングするものとした。
【0040】
また、実施形態1の移動手段を判定するためのクラスタ基準データは、当然のことながら、図3に示されたものに限定されるものではない。例えば、クラスタ基準データ中のバス、電車といった移動手段の項目は、システムの管理者がさらに飛行機、オートバイ等、任意の項目を追加することもできるし、削除することも可能である。
行動情報構築部201は、行動情報構築部201によって出力されたデータTraと移動情報とを入力し、入力した情報から行動情報Behを構築する。行動情報Behは、個人モデルDB208、一般モデルDB209に格納される
【0041】
(行動情報のクラスタ基準データ)
図5は、行動情報構築部201が対象の行動を判定するために使用するクラスタ基準データを例示した図である。図5に示されたクラスタ基準データは、図2に示されたクラスタ基準データと同様に、クラスタ基準DB203に保存されている。図5に示されたクラスタ基準データは、実施形態1の行動情報データベースにあたる。行動情報構築部201は、図5のクラスタ基準データに移動情報及び移動手段情報を対照して対象の行動の目的を推定する。
【0042】
なお、実施形態1では、行動目的の推定に使用されるクラスタ基準データをシステム管理者が予め設定し、クラスタ基準DBに登録しておくものとした。また、クラスタ基準データによってクラスタリングされたデータ間の関係性の抽出や定義もシステム管理者が任意に設定することが可能である。
図5に示されたクラスタ基準データによれば、例えば、6時から10時にかけて、または18時から20時にかけて対象が徒歩、電車−バス、徒歩によって移動し、さらにこの過程で対象の位置を時系列に記した分布のデータが図5中の通勤行動の分布に一致した場合、この移動は通勤を目的とする通勤行動に分類される。
【0043】
また、例えば、10時から12時にかけて、または16時から19時にかけて対象が徒歩によって移動した後停留し、さらに停留した後に徒歩によって移動し、かつ対象の位置分布のデータが図5中の買い物行動の分布に一致した場合、この移動は買い物を目的とする買い物行動に分類される。
また、クラスタ基準データが空間情報を含む場合、行動情報構築部201は、対象情報取得部3によって取得された空間情報報を移動情報と共にクラスタ基準データに対照し、対象の行動の目的を推定してもよい。
【0044】
(構築モデルの生成)
図6は、図5のクラスタ基準データにしたがってクラスタリングされたデータを例示した図であって、実施形態1でいう構築モデルを示している。クラスタリングされたデータは、移動情報及び移動手段情報に基づいて一の対象の行動の目的を推定し、推定の結果を移動情報及び移動手段情報に対応付けて保存するものとなる。図6に示された例によれば、対象が位置P1から位置P2に移動する行動が通勤行動であると推定されている。
また、実施形態1の行動の目的を推定するためのクラスタ基準データは、当然のことながら、図5に示されたものに限定されるものではない。例えば、クラスタ基準データ中の通勤、通学といった目的の項目は、システムの管理者がさらにジム、旅行といった任意の項目を追加することもできるし、削除することも可能である。
【0045】
(他のクラスタリングの例)
図7は、他の行動の目的を推定するためのクラスタ基準データ及びクラスタ基準データによってクラスタリングされたデータを例示するものであって、図7(a)はクラスタリングに使用されたクラスタ基準データを、(b)は、(a)を使ってクラスタリングされたデータを示している。(a)に示されたクラスタ基準データは、対象がいる位置P(x,y)、位置P(x,y)に対象がいる時刻によってパラメータSmnを決定する。
そして、速度、加速度といった位置情報、移動手段抽出部202により図3に示されたクラスタ基準データを使って抽出された移動手段と共にパラメータSmnを使って対象の行動情報を抽出し、行動の目的を判定する。
【0046】
(対象行動推定方法のプログラム化)
図8は、以上述べた実施形態1の情報サービス提供システムあるいは対象行動推定装置で実行される対象行動推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを説明するためのフローチャートである。
図8のフローチャートでは、移動情報収集・格納部204がGPS端末303やセンサー・デバイス301から位置情報及び空間情報を取得し(S1)、DB206に格納する(S2)。ステップS1、S2は、実施形態1の移動情報入力ステップに該当する。
【0047】
次に、移動手段抽出部202は、移動情報入力ステップで入力された移動情報に基づいて、対象が移動中であるか否かを判断する(S3)。移動中であるか否かを判定するため、移動手段抽出部202は、対象の位置情報に含まれる速度、分布、加速度の情報を図3に示されたクラスタ基準データに対照する。対照の結果、対象の移動情報が停留中以外の状態に該当する場合、移動手段抽出部202は、対象が移動中であると判定する。なお、以上の判定は、実施形態1の移動判定ステップに該当する。
【0048】
移動手段抽出部202は、対象が移動中であると判定した場合、さらに、電車乗車中、徒歩、停留中の移動手段のうちから対象が使用している移動手段を判定する。
より具体的には、移動手段抽出部202は、対象の速度、分布、加速度が電車乗車中のデータに該当するか否か判断する(S4)。該当する場合(S4:Yes)、移動手段抽出部202は対象が電車を利用して移動中であると判断する(S7)。また、電車乗車中のデータに該当しないと判断した場合(S4:No)、徒歩で移動中のデータに該当するか否か判断する(S5)。
【0049】
移動手段抽出部202は、対象の速度、分布、加速度が徒歩のデータに該当する場合(S5:Yes)、対象が徒歩によって移動中であると判断する(S7)。また、ステップ5において徒歩のデータに該当しないと判断された場合(S5:No)、移動手段抽出部202は、対象の速度、分布、加速度が停留中のデータに該当するか否か判断する(S6)。該当する場合(S6:Yes)、移動手段抽出部202は対象が停留中であると判断する(S7)。また、該当しない場合(S6:No)、該当データがないとして次の移動情報の取得に向かう。
【0050】
なお、図8に示されたフローチャートは、説明の簡単のため、図3に示された移動手段の5つの項目のうち、3つについてのみ判断処理を図示したものである。実施形態1は、当然のことながら、対象の移動情報を他の移動手段であるバス、自転車の条件と対照して移動手段を判断することができる。
以上の処理は、実施形態1における移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定ステップとなる。
【0051】
次に、移動手段抽出部202は、ステップS4、ステップS5、ステップS6の判定によって得た移動手段のデータを、対象ごとに格納するか否か判断する(S8)。ステップS8において、対象ごとに格納すると判断された場合(S8:Yes)、移動手段にかかる判断の結果を、個人モデルDB210のうちの該当する対象に対応する領域に格納する(S10)。一方、ステップS8において、移動手段の情報を対象ごとに格納しないと判断した場合(S8:No)、移動手段にかかる判断の結果を、一般モデルDB211に格納する(S9)。
【0052】
行動情報構築部201は、移動手段の判断の結果及び移動情報をクラスタ基準DB203に格納されている図5に示されたクラスタ基準データに対照する。
より具体的には、行動情報構築部201は、対象の移動情報と移動手段の情報とが通勤行動のデータに該当するか否か判断する(S11)。該当する場合(S4:Yes)、行動情報構築部201は対象が通勤を目的として行動中であると判断する(S14)。また、通勤行動のデータに該当しないと判断した場合(S11:No)、通学行動のデータに該当するか否か判断する(S12)。
【0053】
行動情報構築部201は、対象の移動情報と移動手段の情報とが通学行動のデータに該当する場合(S12:Yes)、対象が通学を目的として行動中であると判断する(S14)。また、ステップ12において通学のデータに該当しないと判断された場合(S14:No)、行動情報構築部201は、対象の移動情報と移動手段の情報とが休息行動のデータに該当するか否か判断する(S13)。該当する場合(S13:Yes)、行動情報構築部201は、対象が休息中であると判断する(S14)。また、該当しない場合(S13:No)、該当データがないとして次の移動情報の取得に向かう。
【0054】
なお、図8のフローチャートは、説明の簡単のため、図5に示された行動の目的の5つの項目のうち、3つについてのみ判断処理を図示したものである。実施形態1は、当然のことながら、買い物、仕事といった他の行動の目的についても判断することができる。
以上の処理は、実施形態1において、移動情報と対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定ステップとなる。
【0055】
次に、行動情報構築部201は、ステップS11、ステップS12、ステップS13の判断によって得た行動目的のデータを、対象ごとに格納するか否か判断する(S15)。ステップS15において、対象ごとに格納すると判断された場合(S15:Yes)、行動目的にかかる判断の結果を、個人モデルDB208のうち該当する対象に対応する領域に格納する(S16)。一方、ステップS15において、行動目的を対象ごとに格納しない判断した場合(S16:No)、行動の目的にかかる判断の結果を、一般モデルDB209に格納する(S17)。
【0056】
以上の処理の後、実施形態1では、次の位置情報、空間情報の収集のため、ステップS1に戻る。図8に示されたフローチャートによれば、対象の移動手段、行動の目的を位置情報と対応付けてDBに格納しておくことができる。このようなデータは、対象の位置や速度を実測して得た位置情報基づくものであるから、実際の対象の行動を正確に反映することになる。
なお、この効果は、移動手段、行動の目的を対象ごとに個人モデルDB208、210に格納した場合により高くなる。一方、対象の移動手段、行動の目的を一括して一般モデルDB209、211に格納した場合、格納されるデータ数が多いため、データのばらつき等による誤差を抑えることに有利である。
【0057】
行動推定部207は、以上説明した方法によって構築された移動手段の一般モデルDB211、個人モデルDB210、行動情報の一般モデルDB209、個人モデルDB208に対象の移動情報を対照し、その行動を推定している。
すなわち、行動推定部207は、対象の移動情報を1または複数の移動情報収集・格納部204から取得する。取得された移動情報は、移動情報収集・格納部204における行動の推定に使用されると共に、行動情報判定部212、移動手段判定部213に送られる。
【0058】
移動手段判定部213は、一般モデルDB211あるいは個人モデルDB210から対象の移動手段を推定するのに使用される構築モデルを取得する。そして、移動情報を一般モデルDB211に移動情報を取得した構築モデルに対照して対象の移動手段を判定する。判定した結果は、行動情報判定部212に送られる。
行動情報判定部212は、個人モデルDB208あるいは一般モデルDB209から対象の移動手段を推定するのに使用される構築モデルを取得する。そして、移動手段の判定結果や移動情報を取得した構築モデルに対照して対象の行動目的を含む行動情報を判定する。
【0059】
行動推定部207は、行動情報判定部212の判定結果に基づいて対象の最終的な行動を推定する。行動推定部207による対象の行動の推定は、システム管理者が行動推定のアプリケーションごとに設定可能な推定モデルによって実行される。また、実施形態1の構成は、外部のアプリケーションから推定モデルを受信する機能を備えるよう構成することも可能である。
行動の推定の結果は、行動情報判定部212が判定の結果得られた行動情報及び移動手段判定部213の判定の結果得られた移動手段情報、さらには位置情報等と共に外部のアプリケーションに提供される。この際、推定の確率をも外部アプリケーションに提供してもよく、外部アプリケーションは、提供された情報を保存、記録する。
【0060】
なお、以上説明したプログラムは、コンピュータに、対象の位置、移動速度、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を入力する移動情報入力機能と、前記移動情報入力機能によって入力された移動情報に基づいて、対象が移動中であるか否かを判定する移動判定機能と、前記移動判定機能によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定機能と、前記移動情報と判定された対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定機能とを実現させるためのプログラムである。
このようなプログラムにより、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能になる。
【0061】
・実施形態2
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2の対象行動推定装置及び対象行動推定装置を含む情報サービス提供システムは、対象の移動にかかった時間にかかる移動情報に基づいて、対象の移動の目的を推定するものである。なお、実施形態2の対象行動推定装置及び対象行動推定装置を含む情報サービス提供システムは、実施形態1で説明した構成と同様の構成を有しているため、構成の図示及び説明を省くものとする。
【0062】
先ず、実施形態2の対象行動推定装置が、位置情報や移動に関する情報から行動情報を生成する処理を説明する。対象情報取得部3は、センサー・デバイス301及びGPS端末303、さらには移動情報収集・格納部204から位置情報を取得する。実施形態2でいう位置情報には、GPS端末303によって得られる緯度、経度、センサー・デバイス301によって得られる対象の速度や加速度、角加速度等が含まれる。
実施形態2では、収集された位置情報から対象が移動した位置の履歴と、この履歴に対応して予め設定されている対象の移動時間に基づいて対象の移動の目的を推定している。
【0063】
なお、実施形態2では、センサー・デバイス301、GPS端末303による位置情報の収集間隔は、対象に特有の初期値を、対象の移動の状況に応じて制御することによって調整することができる。調整に必要な取得間隔情報は、移動情報収集・格納部204とセンサー・デバイス301等が協働して折衝し、決定される。取得間隔情報を使った位置情報の取得間隔の変更は、折衝時に行う場合と、折衝による決定後に対象物の位置情報の変化をトリガーにして実行する場合とがある。
また、センサー・デバイス301、GPS端末303による対象の位置情報の取得間隔は、移動情報収集・格納部204、センサー・デバイス301やGPS端末303等の移動情報を収集する機器のいずれもが保有、管理することが可能である。
【0064】
(移動情報の処理)
実施形態2では、収集された移動情報を、2つの処理によって処理する。2つの処理のうち、1つは、収集された移動情報をクラスタ基準データに加工して個人モデルのデータベースとして保存する処理である。クラスタ基準データとは、実施形態2において、対象の移動情報及び行動情報を判定するために使用される情報である。2つめは、対象の移動を解析し、行動情報を推定する処理である。
【0065】
先に説明した実施形態1は、図5に示した情報を対象が予め登録し、センサー・デバイス301やGPS端末302によって取得された移動情報を分類し、行動情報や移動情報の判定基準となるクラスタ基準データを作成していた。そして、さらに、作成されたクラスタ基準データを使い、通勤あるいは休息といった対象の行動の目的を推定していた。
一方、実施形態2は、対象の移動にかかった時間(データ間イニング)によって対象の目的の有無を判定することを目的とするものである。また、実施形態2では、対象が目的を持って行動しているか否かを判断する基準となる時間を、各対象の個性や周囲の状況に則して変更することができる。この点で、実施形態2は、対象の探索行動における目的の有無をより正確に判定することができる。
【0066】
(クラスタ基準データの生成)
図9は、実施形態2のクラスタ基準データの生成について説明するための図である。図9(a)は、所定の範囲に設定された複数のエリアを説明するための図である。また、(b)は、対象のエリア移動の履歴と移動にかかった時間から対象の移動中の状態を推定することを示した図である。なお、実施形態2では、対象の状態を、対象の移動行動(探索行動と記す)を、興味を持って移動しているか否かによって多段階に分類する。そして、興味を持ってなされた探索行動を対象が目的を持って行動していると判定し、興味を持ってなされていない探索行動を目的がない行動と判定する。
【0067】
図9(a)に示したエリアは、地上で規定されるものに限定されるものではない。すなわち、高層の建築物等においては、1階のエリアの上にさらに上階のエリアが設定されることもある。したがって、実施形態2では、同一の緯度、経度によって表される範囲に複数のエリアが設定され、複数のエリアに各々異なるIDが付されることになる。
各エリアに付されたIDをエリアIDと記す。また、エリアIDのうち、地上のエリアと同一の緯度、経度によって表される、さらに上階の他のエリアに付されたIDを空間のエリアIDと記す。
【0068】
エリアIDは、例えば、移動情報収集格納部204において付すよう構成することができる。すなわち、図1に示したDB206には、GPS端末303によって取得された緯度、経度の位置情報とエリアIDとを対応付けるエリアIDデータが保存されている。移動情報収集格納部204は、位置情報をDB206に格納する際、位置情報をエリアIDに変換して格納することもできる。
【0069】
(行動情報の判定)
次に、実施形態2の行動情報の判定の手順について説明する。
実施形態2では、対象の行動の目的を、移動の履歴と移動にかかった時間とに基づいて判定する。対象は、図9(a)に示す空間において、各エリアを順に移動すると考えられる。実施形態2では、対象が移動したエリア及び移動したエリアの順序にしたがって予めパターンを設定する。例えば、図9(b)に示した、エリアIDg→a→b→c→d→e→fの順序の移動を、パターン1とする。
【0070】
エリアIDg→a→b→c→d→e→fといった、対象が移動するエリアの順序を移動情報履歴という。他の移動情報履歴についても各々パターンが設定されていて、この結果、実施形態2では多数のパターンが設定されることになる。
また、(b)に示した例では、移動にかかった時間を5分以下、5〜8分、8分〜15分というように多段階に設定する。そして、時間の各段階を各パターンと対応付けると共に、時間とパターンの各組み合わせについて「あまり興味のない探索行動」、「ぶらぶらしている探索行動」、「興味の対象がある探索行動」といった対象の行動の目的、あるいは対象の移動の手段を設定する。
【0071】
このような設定は、図9(b)に示したように、対象の移動履歴の情報と移動にかかった経過時間情報とを使い、移動中の対象の行動に関する移動行動情報を判定するものといえる。また、時間とパターンの各組合わせと、この組み合わせに対応付けられた行動の目的や移動の手段は、実施形態2のクラスタ基準データとなる。
【0072】
(クラスタ基準データ)
実施形態2では、このようなクラスタ基準データの定義の仕方として、3通りの方法を提案する。以下、3通りの定義方法I、定義方法II、定義方法IIIについて説明する。
【0073】
・1 定義方法I
図10(a)、(b)は、クラスタ基準データの定義方法Iを説明するための図である。図10(a)は、徒歩によって移動している対象の行動の目的を判定するためのクラスタ基準データ、(b)は、対象の移動の手段を判定するためのクラスタ基準データである。いずれのクラスタ基準データも、定義方法Iによって定義されている。
【0074】
(a)に示したクラスタ基準データは、対象の行動の目的(探索行動の状況)を判定するための移動行動情報テーブルAとして保存されている。移動行動情報テーブルAでは、パターン1、パターン2といったパターンごとに、3分以下、5分以下、15分以下、20分以下といった経過時間情報を対応させる。多段階に設定された経過時間情報をまとめて経過時間集合と記す。図示した例によれば、例えば、パターン1の順序で対象が各エリアを移動する間に5分間以上、10分間以下が経過したとすると、対象の行動がぶらぶらしている行動状態に該当すると判定される。
【0075】
(b)に示したクラスタ基準データは、対象の移動手段(移動の状態)を判定するための移動行動情報テーブルBとして保存されている。移動行動情報テーブルBでは、パターン15、パターン34といったパターンごとに、3分以下、5分以下、15分以下、20分以下といった経過時間情報を対応させる。図示した例によれば、例えば、パターン15の順序で対象が各エリアを移動する間に5分間以上、10分間以下が経過したとすると、対象が電車に乗って移動していると判定される。
【0076】
なお、パターンと経過時間との組み合わせに対応する行動の目的や移動手段は、システムの管理側によって予め設定される。設定の方法としては、管理側が歩行者や乗客が各エリアを移動する場合に要する時間を調査して経過時間と目的とを対応付けることが考えられる。調査の方法としては、例えば、空間を利用する歩行者や電車の乗客に対してアンケートを行う、あるいは空間において調査者が歩行者や乗客を観察する、さらには交通機関と連携して回収した切符等の記録から乗客の乗降の時間を判定するといったことが考えられる。
【0077】
図10に示した移動行動情報を判定する方法は、時系列に記録された対象の位置情報の集合(位置情報系列集合(X))と、各位置に対象がいた時間の集合(経過時間集合(Y))とを図10(a)、(b)に示した移動行動を判定するテーブル等の機能に対照することによって対象の行動情報を得るものといえる。この点を、図11に模式的に示す。
また、図10(a)、(b)に示したクラスタ基準データを管理者側で設定するものとしている。このため、本実施形態では、いったん設定されたクラスタ基準データをユーザ側が任意に調整可能にしている。
【0078】
図12は、ユーザによってなされるクラスタ基準データの調整について例示するための図である。図示した例では、パターン1を10分かけて移動した場合には「ぶらぶらしている行動状態」であると判断される設定を、さらに3分長くするよう調整する例を示している。
調整の結果、調整前はパターン1を対象が5分以上10分以下で移動した場合には「興味のある探索行動状態」であると判断されるのに対し、調整後は対象がパターン1を5分以上、13分以下の時間で移動した場合には「ぶらぶらしている行動状態」であると判断されるようになる。
【0079】
このように構成することにより、本実施形態は、対象個々の歩く速さ等の違いやエリアの混雑状況といった周囲の状況をクラスタ基準データに反映させることもできる。なお、調整後のクラスタ基準データは、図1に示した個人モデルDB208、210に保存しておくことも可能である。
なお、このようなクラスタ基準データの調整は、ユーザが情報端末装置の一般的な操作部を使って手動で調整することができる。また、調整を自動的にする場合、予め登録されているユーザの情報のうち、年齢等の情報を抽出して移動時間を自動的に調整することもできる。具体的には、ユーザが高齢者である場合、図12のように移動にかかる時間が長時間になるよう調整する。さらに、エリアに関する交通情報等を情報配信サーバ1から取得して移動時間を自動的に調整することも考えられる。
【0080】
・2 定義方法II
図13は、クラスタ基準データの定義方法IIについて説明するための図である。定義方法IIでは、クラスタ基準データを生成するにあたり、エリアを実際に移動する歩行者の移動速度や乗り物の出発から到着にかかった時間を調査しておく。そして、対象の行動の目的ごとに対象の移動経路の分布とかかった時間の分布とを記録してクラスタ基準データとする。
【0081】
図13に示した例は、「あまり興味の対象がない探索行動状態」についての分布を示すクラスタ基準データである。図13のx軸は1、2…といったパターン、y軸は時間を示している。また、z軸はパターン1、2…に対応する「あまり興味の対象がない探索行動状態」と判定された頻度を示す。
曲線131は、対象がパターン1、2…の各々を移動した場合、「あまり興味の対象がない探索行動状態」と判定された頻度の集合である。αxiは、パターンxiに対応する頻度αを示すものとする。
【0082】
また、曲線132は、対象の移動の時間に対応する「あまり興味の対象がない探索行動状態」と判定された頻度の集合である。βyiは、時間yiに対応する頻度βを示すものとする。
実施形態2では、αxiとβyiとの値を加算したaiを、対象がパターンxiを、時間yiをかけて移動した場合の行動が、「あまり興味の対象がない探索行動状態」である可能性の指標として使用する。
【0083】
実施形態2では、「ぶらぶらしている行動状態」、「興味の対象がある行動状態」といった他の行動の目的についても同様のクラスタ基準データを保存しておく。また、全ての行動の目的について、対象の移動したパターンに対応する曲線131のz軸の値と移動にかかった時間に対応する曲線132のz軸の値とを加算して得た加算値aiを算出する。そして、最も大きい加算値aiが得られた行動の目的を対象の行動の目的とすることにより、統計的に対象の行動の目的を推定することができる。
【0084】
なお、加算値aiは、「あまり興味の対象がない探索行動状態」、「ぶらぶらしている行動状態」といった行動目的の可能性を示す。このことから、各行動目的による行動が同様に起こり得るものとし、図13に示したように、各行動目的においてaiを全て加算した値Cが一定の値になるよう設定する。
このような定義方法IIは、定義方法Iに比べ、保存しておくべきデータの量を少なくすることができる。したがって、ユーザが携帯しやすい小型の情報端末装置に本発明を適用する場合に特に有利である。
【0085】
また、実施形態2は、歩行者の移動速度や乗り物の出発から到着にかかった時間を調査してクラスタ基準データを設定するものに限定されるものでなく、定義方法Iで述べた図10(a)、(b)のテーブルのデータを教師データとして図13の分布を設定してもよい。この設定は、例えば、「あまり興味の対象がない探索行動状態」のクラスタ基準データにおいて、xiがパターン1、yiが3分、または5分の場合に他の行動目的のクラスタ基準データより大きい加算値が得られるようxi、yiに対応する頻度を設定することによって実現できる。
【0086】
・3 定義方法III
定義方法IIIは、定義方法IIにおいて、2つ以上の行動目的のクラスタ基準データにおいて同じ加算値aiを得た場合に対処するものである。例えば、対象の移動のパターン及びかかった時間をクラスタ基準データに対照し、「あまり興味の対象がない探索行動状態」及び「ぶらぶらしている行動状態」の2つの行動目的のクラスタ基準データで同じ値の加算値aiを得る場合が考えられる。実施形態2では、このような場合、対象の移動時間が相違すれば、この相違によっていずれかの行動目的を選択するものとする。
【0087】
図14は、定義方法IIIを説明するための図である。図14(a)は、対象が移動したエリアの順序を示した図である。実施形態2においても、図14()に示したように、移動したエリアのIDを移動履歴情報とし、移動のパターンを判定する。そして、パターンとパターンを移動するにかかった時間を図13に示したクラスタ規準データに対照して対象の行動目的を判定する。
クラスタ基準データへの対照の結果、例えば、「あまり興味の対象がない探索行動状態」、「興味の対象がある行動状態」において同じ加算値aiを得た場合、実施形態2では、定義方法IIIによって定義されたグラフによって行動の目的を判定する。定義方法IIIによって定義されたグラフを、図14(c)として示す。
【0088】
具体的には、対象の移動にかかった時間を「あまり興味の対象がない探索行動状態」の時間範囲(図中には興味なしと記す)、「興味の対象がある行動状態」の時間範囲(図中には興味ありと記す)をパターンごとに予め設定しておく。そして、定義方法IIによって対象の行動の目的が判定できない場合、移動時間が「あまり興味の対象がない探索行動状態」、「興味の対象がある行動状態」のいずれの時間範囲にあるかによって行動の目的を判定する。
【0089】
さらに、実施形態2では、時間範囲を予め設定するばかりでなく、対象の移動速度といった個人的な特性をも行動目的の判定に反映させるため、図14(c)のように、直線yを予め定めておく。直線yは、y=αt+εの式によって表され、αは傾き、tは移動時間、εは誤差を表している。また、「あまり興味の対象がない探索行動状態」、「興味の対象がある行動状態」の時間範囲に対応するyの値y1も予め設定しておく。
【0090】
実施形態2では、移動時間をそのまま図14(c)のグラフに対照するのではなく、yを表す式のtに代入する。そして、時間tにおいて得られるyの値がy1以下である場合、対象の行動は「あまり興味の対象がない探索行動状態」であると判断する。一方、時間tにおいて得られるyの値がy1以上である場合、対象の行動は「興味の対象がある行動状態」であると判断する。
【0091】
定義方法IIIでは、例えば、歩く速度が早い対象についてはαの値を大きくし、また、歩く速度が遅い対象についてはαの値を小さくすることができる。このような定義方法IIIは、対象個々の特性により適するよう、クラスタ基準データを調整することができる。
図15(a)〜(d)は、以上述べた定義方法I、定義方法II、定義方法IIIによって定義された情報のデータの構造を示した図である。(a)は、定義方法Iによって定義されたクラスタ基準データのテーブルである。このようなクラスタ基準データに対し、実施形態2では、対象の移動したパターンと移動にかかった時間とを対照して「あまり興味の対象がない探索行動状態」等の行動の目的を判定する。
【0092】
図15(b)は、定義方法IIによって定義されたクラスタ基準データを示すための図である。定義方法IIによって定義されたクラスタ基準データは、加算値を求めるための式(モデル化の公式)やαxi、βyiの事前に調査して得た値や定義方法Iのテーブルから推定された値を記録することによって保存される。図15(c)は、定義方法IIIによって定義されたクラスタ基準データを示すための図である。図示したように、定義方法IIIでは、例えば、対象の行動の目的が「あまり興味の対象がない探索行動状態」と「興味の対象がある行動状態」とのいずれであるかを判断する場合に使用される、直線yの傾きαや誤差εを記録することによって定義できる。
【0093】
以上の定義方法I、II、IIIによって定義されたクラスタ基準データは、クラスタ基準データDB203に保存される。さらに、実施形態2では、以上述べたクタスタ基準データと共に、クラスタ基準データを対象の特性や移動の時間帯によって調整するためのデータを個人用のクラスタ基準データとして事前に保存しておくこともできる。
図15(d)は、個人用のクラスタ基準データを例示するものである。図示したように、個人用のクラスタ基準データとしては、個人A、個人Bといった対象個々に対応する、時間帯や場所、状況よって移動速度を調整するためのデータがある。このようなクラスタ基準データを保存している場合、実施形態2では、対象の移動速度を対象個人、移動の時間帯やエリア、状況に合わせて調整する。そして、調整後の移動速度を定義方法Iの移動時間として使用して対象の行動の目的を判定する。
【0094】
また、定義方法IIでは、個人A、個人Bといった対象個々に対応するαxiやβyi、定数Cを個人用のクラスタ基準データとして使用することができる。定義方法IIIでは、個人A、個人Bといった対象個々に対応する、直線yの傾きαや誤差εを個人用のクラスタ基準データとして使用することができる。
以上述べた実施形態2によって判定された対象の行動の目的も、実施形態1と同様に、提供すべき情報の選択に用いることが可能になる。すなわち、対象が「あまり興味を持っていない探索行動」をしている場合、対象にエリアの情報を提供することは適切でないと判断するこが可能である。また、対象が「興味の対象がある行動状態」している場合、エリア内の店舗等の情報を対象に提供するよう判断してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、情報提供サービスにおいて対象の行動の目的をも考慮することにより、対象にとって必要な情報を適正に選択し、ユーザニーズに柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態の情報サービス提供システムの概略を説明するための図である。
【図2】図1に示された対象行動推定部の各構成によってなされる一連の処理を説明するための図である。
【図3】図1に示された移動手段抽出部が移動手段を判定するために使用するクラスタ基準データを示す図である。
【図4】図3に示されたクラスタ基準データを教師データとしてクラスタリングされた移動情報を例示した図である。
【図5】図1に示された行動情報構築部が対象の行動を判定するために使用するクラスタ基準データを示した図である。
【図6】図5のクラスタ基準データにしたがってクラスタリングされたデータを例示した図である。
【図7】図5に示されたクラスタ基準データとは異なるクラスタ基準データ及びこのクラスタ基準データによってクラスタリングされたデータを例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態の対象行動推定方法をコンピュータに実行させた場合のプログラムを例示するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの生成について説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの定義方法Iを説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの定義方法Iによって定義されたテーブルを説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態2のユーザによってなされるクラスタ基準データの調整について例示するための図である。
【図13】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの定義方法IIについて説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの定義方法IIIについて説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態2のクラスタ基準データの定義方法I、定義方法II、定義方法IIIによって定義された情報のデータの構造を示した図である。
【符号の説明】
【0097】
1 情報配信サーバ
2 対象行動推定部
3 対象情報取得部
201 行動情報構築部
202 移動手段抽出部
203 クラスタ基準DB
204 移動情報収集・格納部
207 行動推定部
208,210 個人モデルDB
209,211 一般モデルDB
212 行動情報判定部
213 移動手段判定部
301 センサー・デバイス
303 GPS端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を収集する移動情報収集装置と、
前記移動情報収集装置によって収集された情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定し、移動中であると判定された場合には対象の移動手段を判定すると共に、前記移動情報及び判定された対象の移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定する対象行動推定装置と、
前記対象行動推定装置によって推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供するサービス提供装置と、
を含むことを特徴とする情報サービス提供システム。
【請求項2】
対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報に基づいて前記対象が移動中であるか否かを判定する移動判定手段と、
前記移動判定手段によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定手段と、
前記移動情報と、前記移動手段判定手段によって判定された対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定手段と、
を備えることを特徴とする対象行動推定装置。
【請求項3】
前記移動情報を特定の対象ごとに収集し、前記移動判定手段に供給する移動情報収集手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の対象行動推定装置。
【請求項4】
前記移動情報収集手段が、GPSによって対象の位置を緯度及び経度として収集することを特徴とする請求項3に記載の対象行動推定装置。
【請求項5】
前記移動情報収集手段は、前記移動情報に基づいて、前記移動情報を取得する時間的間隔を調整することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の対象行動推定装置。
【請求項6】
前記移動手段判定手段は、前記移動判定手段によって対象が移動していると判定された場合、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況、の少なくとも1つに基づいて、対象の移動手段を判定することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
【請求項7】
複数の対象についての前記移動手段判定手段による移動手段の判定結果を一括して保存する移動手段用一般データ保存手段、前記移動手段判定手段による移動手段の判定結果を、対象ごとに保存する移動手段用個人データ保存手段、の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
【請求項8】
複数の対象についての前記目的推定手段による推定の結果を一括して保存する目的用一般データ保存手段、前記目的推定手段による推定の結果を、対象ごとに保存する目的用個人データ保存手段、の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
【請求項9】
前記目的推定手段は、予め設定された行動情報データベースに前記移動情報及び前記移動手段情報を対照して対象の行動の目的を推定することを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
【請求項10】
前記行動情報データベースが、対象が存在する環境の温度、湿度、天候の少なくとも1つを含む環境情報さらに含み、前記目的推定手段は、前記環境情報が入力された場合には、入力された環境情報を移動情報と共に前記行動情報データベースに対照して対象の行動の目的を推定することを特徴とする請求項9に記載の対象行動推定装置。
【請求項11】
前記目的推定手段は、対象が移動した位置の履歴と、当該位置の履歴に対応して予め設定されている対象の移動時間に基づいて対象の移動の目的を推定することを特徴とする請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
【請求項12】
対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を入力する移動情報入力ステップと、
前記移動情報入力ステップで入力された移動情報に基づいて、対象が移動中であるか否かを判定する移動判定ステップと、
前記移動判定ステップにおいて対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定ステップと、
前記移動情報と、前記移動手段判定ステップにおいて判定された対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定ステップと、
を含むことを特徴とする対象行動推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−152655(P2008−152655A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341630(P2006−341630)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】