説明

情報システム、車載装置およびプログラム

【課題】様々なアプリケーションがインストールされている携帯端末を車載装置側から制御することができる情報システム、車載装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】車載端末10は、車両に接続される機器であり、車両から走行パルス、パーキングブレーキの状態などの車両情報が取得できる。車載端末10は、情報端末20から送られた映像データを表示する表示部11と、表示部11から入力されたボタン押下、タッチパネル押下にあわせて処理を制御し、アプリケーション情報格納部14に格納されたアプリケーション情報データベース(DB)に合わせてアプリケーションの起動・終了、規制を制御する制御部12と、情報端末20よりアプリケーション情報DBを取得するアプリケーション情報取得部13と、情報端末20との送受信を行う送受信部15と、車載端末10ごとの固有情報を格納する車載端末情報格納部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報システム、車載装置およびプログラムに関し、特に、様々なアプリケーションがインストールされている携帯端末を車載装置側から制御することができる情報システム、車載装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器として携帯に適した構成で音楽や映像などのメディアを再生・記録可能な携帯メディアプレーヤが広く知られている。また、車両にはオーディオ装置が搭載されているが、車両の乗員は乗車時にこの携帯メディアプレーヤに記憶された音楽の再生を所望することがあるため、携帯メディアプレーヤとオーディオ装置とを接続して、携帯メディアプレーヤをオーディオ装置で操作する技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、携帯メディアプレーヤは各メーカーによって機能および操作方法が異なるため、「再生」「選曲」など基本的な操作以外の操作をオーディオ装置から実行するのは困難である。そこで、オーディオ装置から携帯メディアプレーヤを操作する場合に、携帯メディアプレーヤに応じた分かりやすい外部機器用画面を表示する車載端末が知られている。
【0004】
図6は、車載端末に接続された携帯メディアプレーヤを識別して当該携帯メディアプレーヤの専用の外部機器用画面を車載端末の表示部に表示するために、車載端末に記憶される多様な携帯メディアプレーヤ毎の外部機器用画面の画面情報を示す。この画面情報は、外部機器用画面テーブルと形状情報DBから成る。外部機器用画面テーブルでは、表示パーツIDに対応づけて配置情報、形状情報、制御情報が記憶されている。形状情報DBには、外部機器用画面を構成する表示パーツの形状情報(例えばビットマップデータ)が、表示パーツIDに対応づけて記憶されている。
【0005】
この先行技術では車載端末内で携帯端末(携帯メディアプレーヤ)ごとの画面情報を持たせ、接続された携帯端末ごとの画面を表示させている。また、携帯端末内に画面情報を持たせ、画面情報を車載端末が取り込むことで携帯端末に合わせた画面を出させている。さらに、画面情報には車載端末の制御ボタンを押したときに情報端末に送る制御情報(コマンド)も持たせている。
【0006】
この先行技術によれば、車載端末に接続される様々な情報端末のハード的な概観を車載端末に表示させることができる。また、主に情報端末としてオーディオをターゲットにしており、ユーザが接続した(オーディオ)情報端末を普通に操作するときと、見た目上違和感がないように車載端末に情報端末の画面を出すことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−269482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の車載端末では、アプリケーションの動作に対して個別に規制をかけることができない。すなわち、車両が走行状態になったときに画面を見せてはいけないアプリケーションと見せてよいアプリケーションがあり、例えば、単純なオーディオのような画面は表示するが、ブラウザなど多くの文字情報を表示する画面は表示させないように個別に規制をかけることができない。
【0009】
また、車載端末には、4スピーカのうち全スピーカから音声を出すアプリケーションと、右前の1スピーカのみから音声を出すアプリケーションがあり、例えば、オーディオアプリケーションでは全スピーカから音声を出力するが、ナビゲーションアプリケーションの案内音声は右前の1スピーカだけから音声を出力するように個別に規制をかけることができない。
【0010】
また、従来の車載端末では、アプリケーションごとの音量設定値、画質調整値を保存することができない。例えば、携帯端末のオーディオアプリケーションの音量値10、動画アプリケーションの音量値20、画質調整値の明るさ+10のようなデータを保存することができない。
【0011】
また、従来の車載端末では、子供には使用させないアプリケーションの設定を行うためのペアレンタルロックをかけることができない。また、車速100kmを超えたらアプリケーションを起動させるなどの特定条件で自動起動するアプリケーションの設定が困難である。
【0012】
さらに、近年の携帯情報端末の多様化に伴い、オーディオ情報端末だけではなく、iPhone(登録商標)端末やANDROID(登録商標)端末のように情報端末内に様々なアプリケーションがインストールされている情報端末を車載端末でコントロールすることが望まれている。
【0013】
このような情報端末内にインストールされるアプリケーションは様々なメーカーが作成しており、起動に必要なIDの変更などが予想される。かつ車載端末は1度出荷してしまうと変更が難しいため、頻繁に更新が繰り返される情報端末内のアプリケーションに適切に追従することが求められる。
【0014】
また、車載端末には安全上の法規もあるため、走行状態など車両の状態に合わせてアプリケーションの動作に制限をかける必要もある。
【0015】
さらに、情報端末、特にiPhone(登録商標)端末では車載端末との間で特別の通信規約(プロトコル)は存在するものの、車載端末は、情報端末、特にiPhone(登録商標)端末内に存在するアプリケーションを知る術がない。このような状況では接続されても車載端末は何ら情報端末のアプリケーションを取り込むこと等が出来ない。
【0016】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、様々なアプリケーションがインストールされている携帯端末を車載装置側から制御することができる情報システム、車載装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の情報システムは、アプリケーションを実行する携帯端末と、前記アプリケーションの映像および音声を出力する固定装置からなる情報システムであって、前記携帯端末は、実行可能なアプリケーションごとのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記固定装置に送信し、前記固定装置からコマンドを受信し、前記コマンドに対応するアプリケーションの映像データおよび音声データを前記固定装置に送信し、前記固定装置は、前記携帯端末から取得した前記アプリケーション情報データベースと、前記固定装置ごとの固有情報を参照して前記アプリケーションの実行を制御するコマンドを生成し、前記コマンドを前記携帯端末に送信し、前記携帯端末から前記コマンドに従って実行されるアプリケーションの映像データおよび音声データを受信する。
【0018】
本発明の情報システムによれば、固定装置は、携帯端末が実行可能なアプリケーションごとのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを取得するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを固定装置側から制御することができる。
【0019】
また、本発明の情報システムにおいて、前記携帯端末から前記固定装置へ、前記固定装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを送信し、当該起動コマンドを受けて前記携帯端末は、アプリケーション情報データベースを前記固定装置に送信するように設定されるのが望ましい。
【0020】
本発明の情報システムによれば、予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドが固定装置から携帯端末へ送信されるので、固定装置は携帯端末に格納されたアプリケーションが把握できなくても、携帯端末のアプリケーション情報データベースを取得することができる。
【0021】
また、本発明の車載装置は、アプリケーションを実行する携帯端末と通信し、前記アプリケーションの映像および音声を出力する車載装置であって、前記アプリケーションを制御するためのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得するアプリケーション情報取得部と、前記アプリケーション情報データベースを格納するアプリケーション情報格納部と、前記車載装置ごとの固有情報を格納する車載装置情報格納部と、前記アプリケーション情報データベースおよび前記固有情報を参照して前記アプリケーションの実行を制御するコマンドを生成する制御部と、前記コマンドを前記携帯端末に送信し、前記携帯端末から前記コマンドに従って実行されるアプリケーションの映像データおよび音声データを受信する送受信部と、を備える。
【0022】
本発明の車載装置によれば、アプリケーション情報データベースおよび固有情報を参照してアプリケーションの実行を制御するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを固定装置側から車両の状態に応じて制御することができる。
【0023】
また、本発明の車載装置において、前記アプリケーション情報データベースは、前記車載装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを含み、前記制御部および前記送受信部が当該起動コマンドを前記携帯端末に送信することにより、前記アプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得するのが望ましい。
【0024】
本発明の車載装置によれば、予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドが車載装置から携帯端末へ送信されるので、車載装置は携帯端末に格納されたアプリケーションが把握できなくても、携帯端末のアプリケーション情報データベースを取得することができる。
【0025】
また、本発明の車載装置において、前記アプリケーション情報取得部は、前記車載装置と前記携帯端末の接続時、または前記車載装置におけるメニュー画面表示時に、前記アプリケーション情報データベースを取得する。
【0026】
本発明の車載装置によれば、車載装置と携帯端末の接続時、または車載装置におけるメニュー画面表示時にアプリケーション情報データベースを取得するので、ユーザが車両を使用する場合に、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを車載装置側から直ちに制御することができる。
【0027】
また、本発明の車載装置において、前記制御部は、前記アプリケーション情報格納部に格納されているアプリケーション情報データベースに登録されたアプリケーションのアイコンをメニュー画面に表示する。
【0028】
本発明の車載装置によれば、アプリケーション情報データベースに登録されたアプリケーションのアイコンをメニュー画面に表示するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを車載装置側から容易に制御することができる。
【0029】
また、本発明の車載装置において、前記制御部は、ユーザがメニュー画面でアプリケーションを選択した場合、選択したアプリケーションの起動コマンドを前記アプリケーション情報データベースから取得し、前記携帯端末へ送信する。
【0030】
本発明の車載装置によれば、ユーザがメニュー画面でアプリケーションを選択した場合、選択したアプリケーションの起動コマンドを携帯端末へ送信するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを車載装置側から直ちに起動することができる。
【0031】
また、本発明の車載装置は、前記アプリケーションの音声を出力する複数のスピーカを備え、前記制御部は、前記アプリケーション情報データベースに登録されている音声種別に従い、前記アプリケーションの音声を出力するスピーカを選択する。
【0032】
本発明の車載装置によれば、例えば、オーディオアプリケーションでは全スピーカから音声を出力し、ナビゲーションアプリケーションの案内音声は右前の1スピーカだけから音声を出力するように個別に規制をかけることができる。
【0033】
また、本発明の車載装置において、前記制御部は、車両から走行パルスを含む車両情報を取得し、前記車両情報および前記アプリケーション情報データベースに登録されている走行規制データに従い、アプリケーションの実行を制限する。
【0034】
本発明の車載装置によれば、安全上の法規に従い、走行状態など車両の状態に合わせてアプリケーションの動作に制限をかけることができる。
【0035】
また、本発明の車載装置において、前記制御部は、前記アプリケーション情報格納部に格納されているアプリケーション情報、および前記車載装置情報格納部に格納されている前記車載装置ごとの固有情報に従い、アプリケーションの起動を制御する。
【0036】
本発明の車載装置によれば、例えば再生方式(モノラルまたはステレオ)、スピーカの数、チャンネル数(2chまたは5.1ch)、ドルビー規格、画面タッチの分解能、画面タッチの応答速度などの車載装置に固有な情報に合わせたアプリケーションの起動制御が可能となる。
【0037】
また、本発明の車載装置において、前記アプリケーションは、ナビゲーションアプリケーション、音楽再生アプリケーションまたはホームページ閲覧アプリケーションを含む。
【0038】
本発明の車載装置によれば、様々なアプリケーションがインストールされている携帯端末を車載装置側から制御することができる。
【0039】
また、本発明の車載装置において、前記アプリケーション情報データベースは、アプリケーションの起動コマンド、車両の走行状態におけるアプリケーションの制限に関する走行規制データ、音声を出力する形態に関する音声種別、子どもの視聴できる番組やコンテンツを制限するためのペアレンタルロックデータ、車両の特定の条件に対応してアプリケーションを起動するための自動起動条件、またはアプリケーションのアイコンデータを格納する。
【0040】
本発明の車載装置によれば、アプリケーション情報データベースを参照して、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを車載装置側から制御することができる。
【0041】
また、本発明のプログラムは、アプリケーションを実行する携帯端末と通信し、前記アプリケーションの映像および音声を出力する固定装置のプログラムであって、前記固定装置と前記携帯端末の接続時、または前記固定装置におけるメニュー画面表示時に、前記アプリケーションを制御するためのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得する第1のステップと、前記アプリケーション情報データベースに登録されたアプリケーションのアイコンをメニュー画面に表示する第2のステップと、前記メニュー画面でユーザがアプリケーションを選択した場合、選択したアプリケーションの起動コマンドを前記アプリケーション情報データベースから取得し、前記携帯端末へ送信する第3のステップと、車両から走行パルスを含む車両情報を取得し、前記アプリケーション情報データベースに登録されている走行規制データに従い、アプリケーションの実行を制限する第4のステップと、を前記固定装置のコンピュータに実行させる。
【0042】
本発明のプログラムによれば、アプリケーション情報データベースを参照してアプリケーションの実行を制御するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを固定装置側から制御することができる。
【0043】
また、本発明のプログラムにおいて、前記第1のステップの前に、前記車載装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを前記携帯端末に送信するステップを、前記固定装置のコンピュータに実行させるのが望ましい。
【0044】
本発明のプログラムによれば、予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドが車載装置から携帯端末へ送信されるので、車載装置は携帯端末に格納されたアプリケーションが把握できなくても、携帯端末のアプリケーション情報データベースを取得することができる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、本発明にかかる情報システム、車載装置およびプログラムによれば、車載装置は、携帯端末が実行可能なアプリケーションごとのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを取得するので、携帯端末にインストールされている様々なアプリケーションを車載装置側から制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態にかかる車載端末(マスタ端末)10と情報端末(スレーブ端末)20の概略のブロック図
【図2】本発明の実施形態において車載オーディオ装置50および携帯端末51を通信路52で接続し車両情報システムを構成した場合の概念図
【図3】本発明の実施形態にかかるアプリケーション情報DBの例
【図4】本発明の実施形態における車載端末10のメニュー画面イメージ
【図5】本発明の実施形態において規制をかける必要がある場合の画面イメージ
【図6】従来の車載端末に記憶される多様な携帯メディアプレーヤ毎の外部機器用画面の画面情報
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態にかかる情報システム、車載装置およびプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の実施形態にかかる車載端末(マスタ端末)10と情報端末(スレーブ端末)20の概略のブロック図である。車載端末10と情報端末20は通信路30で接続され車両情報システムを構成する。
【0049】
車載端末10は、車両に接続される機器であり、車両から走行パルス、パーキングブレーキの状態などの車両情報が取得できる固定装置である。車載端末10は、画面表示を行い、情報端末20から送られた映像データを表示する表示部11と、表示部11から入力されたボタン押下、タッチパネル押下にあわせて処理を制御し、アプリケーション情報格納部14に格納されたアプリケーション情報データベース(DB)に合わせてアプリケーションの起動・終了、規制を制御する制御部12とを備える。
【0050】
また、車載端末10は、情報端末20よりアプリケーション情報DBを取得するアプリケーション情報取得部13と、RAM,HDDなどの装置にアプリケーション情報を格納するとともに、RAM,HDDなどの装置からアプリケーション情報を取得するアプリケーション情報格納部14と、情報端末20との送受信を行う送受信部15と、音声を出力するスピーカ16と、車載端末10ごとの固有情報を格納する車載端末情報格納部17とを備える。なお、車載端末情報格納部17は、同種の車両端末の違いではなく、派生商品の違いを固有情報として格納する。
【0051】
一方、情報端末20は、アプリケーションを新たにインストールすることができ、通信路30を用いて接続機器と情報のやり取りができる。情報端末20は、情報端末20内にて各種機能、例えばナビゲーションアプリケーション、音楽再生アプリケーション、ホームページ閲覧アプリケーションを実行するアプリケーション部21と、情報端末20内のアプリケーションごとのアプリケーション情報を集めたアプリケーション情報DBを保持し、アプリケーション情報DBを送信するアプリケーション情報提供部22と、車載端末10とコマンド40を送受信し、情報端末20の映像および音声データ41を送信する送受信部23とを備える。
【0052】
情報端末20内には複数の異なるアプリケーションが存在しうる。そして、アプリケーション固有の情報(アプリケーション名など)はアプリケーション作成者によって自由に変更できる。また、通信路30は、車載端末10、情報端末20間のコマンド40の通信路であり、車載端末10、情報端末20間の映像および音声データ41の通信路である。
【0053】
図2は、本発明の実施形態において車載オーディオ装置50および携帯端末51を通信路52で接続し車両情報システムを構成した場合の概念図である。車載オーディオ装置50、携帯端末51、通信路52は、各々図1の車載端末10、情報端末20、通信路30に対応する。この車両情報システムにおいて、携帯端末51と車載オーディオ装置50が電源オンの状態で接続されたとき、車載オーディオ装置50から携帯端末51へ所定のアプリケーションに関するアプリケーション情報を送る制御をする。ここで所定のアプリケーションは、携帯端末51と車載オーディオ装置50との間で予め共通で使用されるアプリケーションであり、メーカー間やその他の当事者間で事前に決めておくものである。所定のアプリケーションにより、携帯端末51は、通信路52を介して車載オーディオ装置50に接続されたことを認識することができる。
【0054】
所定のアプリケーションは、例えば携帯端末51のメーカーと車載オーディオ装置50のメーカーとの間で共通に起動が可能なように予め決定されており、当然その起動コマンドを両者は持っている。車載オーディオ装置50が、携帯端末51に格納されているアプリケーションが把握できない場合であっても、このような所定のアプリケーションが予め存在すれば、その起動コマンドを用いて、車載オーディオ装置50は携帯端末51に格納されている所定のアプリケーションを呼び出すことができる。
【0055】
尚、一つの態様として、携帯端末51および車載オーディオ装置50は、通信路52を介して機械的に接続されたタイミングで接続自体は認識し、車載オーディオ装置50が携帯端末51内の所定のアプリケーションと通信をした後、携帯端末51内のアプリケーションを認識する場合がある。このとき、所定のアプリケーションと通信し終わるまでは車載オーディオ装置50には携帯端末51のアプリケーションが表示されず、このような場合も本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
これを契機として携帯端末51から車載オーディオ装置50へアプリケーション情報DBが送信され、携帯端末51側のアプリケーションに(たとえ新しいものが出ようが)車載オーディオ装置50が対応可能になる(呼び出すことが可能となる)。
【0057】
例えば、車載オーディオ装置50から携帯端末51のナビゲーションアプリケーションを起動する場合、車載オーディオ装置50の表示画面に表示されたメニューのナビゲーションアイコン53に触れ、ナビゲーション機能を選択する(1)。次に、車載オーディオ装置50は、携帯端末51のナビゲーション機能を呼び出して実行する(2)。そして、携帯端末51上でナビゲーションプログラムが動き、映像と音声を車載オーディオ装置50側に出す(3)。
【0058】
なお、車載オーディオ装置50と携帯端末51は異なるベンダが製造する場合が多く、車載オーディオ装置50はプログラムが通常ROMに書き込まれるので、不具合でもない限り更新されないが、携帯端末51はネットワーク経由でプログラム更新可能であり、機能追加等々更新頻度が高い。
【0059】
図3は、本発明の実施形態にかかるアプリケーション情報DBの例を示す。このアプリケーション情報DBには、情報端末で実行するアプリケーションであるナビゲーションアプリケーション(例えばGoogleMapなど)X1、ブラウザアプリケーション(例えばSafaliなど)X2、メディアプレーヤーアプリケーション(例えばiTunes(登録商標)など)X3の起動コマンドと、車両の走行状態におけるアプリケーションの制限に関する走行規制データと、音声を出力する形態に関する音声種別と、子どもの視聴できる番組やコンテンツを制限するペアレンタルロック(視聴年齢制限)データと、車両の特定の条件に対応してアプリケーションを起動するための自動起動条件と、アプリケーションのアイコンデータとが格納される。
【0060】
走行規制データは、車両が走行状態になったときに画面表示を規制するか否かを設定でき、ナビゲーションアプリケーションX1は規制なし、ブラウザアプリケーションX2およびメディアプレーヤーアプリケーションX3は規制ありに設定される。走行規制ありの場合、車両が走行状態になったときに例えば画面からのタッチ入力が不能になる。
【0061】
また、音声種別は、車両に4つのスピーカが搭載されている場合に、ナビゲーションアプリケーションX1では、他の音声出力に割り込んで右前の1スピーカから音声を出すように設定され、ブラウザアプリケーションX2では音声出力なし、メディアプレーヤーアプリケーションX3では、4スピーカすべてから音声を出すように設定される。
【0062】
なお、車載オーディオにおいてCDアプリケーションを実行中に、情報端末から取得した音声種別がオーディオ音声の場合はCDアプリケーションを終了させ、割り込み音声(ナビゲーションアプリケーション)の場合はCD音声が継続される。
【0063】
また、ペアレンタルロックデータは、ナビゲーションアプリケーションX1では無効、ブラウザアプリケーションX2およびメディアプレーヤーアプリケーションX3では有効に設定される。ペアレンタルロックが有効の場合、視聴できる番組やコンテンツが制限される。
【0064】
また、自動起動条件において、ナビゲーションアプリケーションX1は走行開始に伴い自動起動するように設定され、ブラウザアプリケーションX2およびメディアプレーヤーアプリケーションX3ではそのような設定はない。
【0065】
なお、アプリケーション情報DBにアプリケーションごとの音量設定値、画質調整値を保存することにより、例えば、携帯端末のオーディオアプリケーションは音量値10、動画アプリケーションは音量値20、 画質調整値は明るさ+10のようなデータを保存することができる。
【0066】
次に、本発明の実施形態にかかる車載端末10と情報端末20における処理の流れを図1のブロック図を参照して説明する。
【0067】
(1)まず、車載端末10と情報端末20が電源オンの状態で接続されると、車載端末10の制御部12は、アプリケーション情報格納部14のアプリケーション情報DBから、先述した所定のアプリケーションのアプリケーション情報、すなわち起動コマンドを呼び出す。そして、送受信部15が通信路30を介して当該起動コマンドを情報端末20へ送信する。
(2)本実施形態では、所定のアプリケーションは、携帯端末20のアプリケーション情報提供部22に相当する。したがって、車載端末10と情報端末20の接続時、またはメニュー画面表示時に車載端末10のアプリケーション情報取得部13が携帯端末20のアプリケーション情報提供部(所定のアプリケーション)22よりアプリケーション情報DBを取得し、車載端末10のアプリケーション情報格納部14へ格納する。尚、ここでの所定のアプリケーションは、アプリケーション情報提供部22とは異なる、全く別のアプリケーションであっても良い。この別のアプリケーションは、アプリケーション情報提供部22にアプリケーション情報DBを車載端末10に送信させることができるものであればよい。
【0068】
(3)メニュー画面等表示する際に、車載端末10の制御部12がアプリケーション情報格納部14よりアプリケーション情報DBを取得し、アプリケーション情報DBに登録されているアプリケーションを表示部11のメニューに表示する。
【0069】
図4は、本発明の実施形態における車載端末10のメニュー画面イメージを示す。車載端末10のメニュー画面には、情報端末20で実行可能なナビゲーションアプリケーションX1アイコン60、ブラウザアプリケーションX2アイコン61およびメディアプレーヤーアプリケーションX3アイコン62が表示される。なお、車載端末10がもともと持つ機能(ラジオなど)と混在も可能である。
【0070】
(4)ユーザが表示部11を操作してメニューから起動させたいアプリケーションを選択した際に、車載端末10の制御部12はアプリケーション情報DBからユーザが選択したアプリケーションの起動コマンドを取得し、情報端末20へ送信する。
【0071】
情報端末20では送受信部23より起動コマンドにより指定されたアプリケーションの起動が行われる。情報端末20内のアプリケーションは映像・音声データを車載端末10へ送り、車載端末10の制御部12が映像を表示部11へ、音声をスピーカ16へ出力する。
【0072】
この際、例としてアプリケーション情報DBに登録されている音声種別などを制御部12が判断し、音声をどのようにスピーカ16へ出力するかなど制御が可能である。例えば、ナビゲーションアプリケーションなどは右前スピーカ1つから音声をだし、オーディオアプリケーションは全スピーカから出力することができる。
【0073】
(5)走行状態等車両の状態が変化した場合、車載端末10の制御部12はアプリケーション情報DBを参照し、規制をかける必要があれば画面を隠すなど処理を行う。
【0074】
図5は、本発明の実施形態において規制をかける必要がある場合の画面イメージを示す。例えば、図3に示したアプリケーション情報DBでは、ブラウザアプリケーションX2およびメディアプレーヤーアプリケーションX3は走行規制ありに設定されている。このため、車両の停止中は図5(a)に示すような画面が表示され、アプリケーションの操作が可能であるが、車両の走行中は図5(b)に示すような画面が表示され、アプリケーションの操作ができなくなる。
【0075】
(6)車両固有の情報を用いてアプリケーションの起動をコントロールする場合、(2)の処理フローにより情報端末20のアプリケーション情報提供部22より取得し、車載端末10のアプリケーション情報格納部14に格納したアプリケーション情報と、車載端末情報格納部17から取得した固有情報を用いて制御部12がアプリケーションの起動をコントロールすることで実現できる。
【0076】
車載端末情報格納部17には車両固有の情報を記憶させる。例えばその車両が再生可能な方式がモノラルなのかステレオなのかといった情報を持たせる。車載端末情報格納部17に格納された再生方式がモノラルの車両にてメニューよりX3アプリケーションが選択された場合、アプリケーション情報からX3アプリケーションの音声種別を取得する。
【0077】
この例ではX3アプリケーションの音声種別はオーディオのため、この車載端末10ではX3アプリケーションを動作させるために十分な性能がないと判断し、X3アプリケーションの起動コマンドを情報端末20へ送信しないことを制御部12で制御することができる。
【0078】
上記の例のように車載端末情報格納部17に車載端末10に固有な情報を格納することで、車載端末10に合わせたアプリケーションの起動制御が可能となる。車載端末10に固有な情報は、例えば、再生方式(モノラルまたはステレオ)、スピーカの数、チャンネル数(2chまたは5.1ch)、ドルビー規格、画面タッチの分解能、画面タッチの応答速度を含む。
【0079】
また、自家用車または社用車の情報を格納しておき、社用車に対してアプリケーションを限定してもよい。また、ハンドルの付いている向きの情報を格納しておき、ハンドルの付いている向きに応じてナビゲーションの割り込み音声の向きを変えることもできる。
【0080】
本実施形態では、有線方式である通信路30を用いて車載端末10と情報端末20が接続されている。しかしながら、車載端末10と情報端末20の接続は無線でもよい。
【0081】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかる車両情報システム、車載端末10およびプログラムによれば、車載端末10は、情報端末20が実行可能なアプリケーションごとのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを取得するので、情報端末20にインストールされている様々なアプリケーションを車載端末10側から制御することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態にかかる車載端末10および情報端末20の間においては、共通に起動可能な所定のアプリケーションが予め定められている。そして、車載端末10は当該所定のアプリケーションを用いて情報端末20からアプリケーション情報データベースを取得することができる。したがって、たとえば車載端末10が、頻繁に更新される情報端末20の最新のアプリケーションおよびその起動コマンドを知らなくても、常に最新のアプリケーションの情報を情報端末20から取得することができ、最新のアプリケーションを起動させることができる。
【0083】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、様々なアプリケーションがインストールされている携帯端末を車載装置側から制御する情報システム、車載装置およびプログラムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 車載端末
11 表示部
12 制御部
13 アプリケーション情報取得部
14 アプリケーション情報格納部
15,23 送受信部
16 スピーカ
17 車載端末情報格納部
20 情報端末
21 アプリケーション部
22 アプリケーション情報提供部
30,52 通信路
40 コマンド
41 映像および音声データ
50 車載オーディオ装置
51 携帯端末
53 ナビゲーションアイコン
60 ナビゲーションアプリケーションX1アイコン
61 ブラウザアプリケーションX2アイコン
62 メディアプレーヤーアプリケーションX3アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションを実行する携帯端末と、前記アプリケーションの映像および音声を出力する固定装置からなる情報システムであって、
前記携帯端末は、
実行可能なアプリケーションごとのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記固定装置に送信し、
前記固定装置からコマンドを受信し、前記コマンドに対応するアプリケーションの映像データおよび音声データを前記固定装置に送信し、
前記固定装置は、
前記携帯端末から取得した前記アプリケーション情報データベースと、前記固定装置ごとの固有情報を参照して前記アプリケーションの実行を制御するコマンドを生成し、
前記コマンドを前記携帯端末に送信し、前記携帯端末から前記コマンドに従って実行されるアプリケーションの映像データおよび音声データを受信する、
情報システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報システムであって、
前記携帯端末から前記固定装置へ、前記固定装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを送信し、当該起動コマンドを受けて前記携帯端末は、アプリケーション情報データベースを前記固定装置に送信する、情報システム。
【請求項3】
アプリケーションを実行する携帯端末と通信し、前記アプリケーションの映像および音声を出力する車載装置であって、
前記アプリケーションを制御するためのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得するアプリケーション情報取得部と、
前記アプリケーション情報データベースを格納するアプリケーション情報格納部と、
前記車載装置ごとの固有情報を格納する車載装置情報格納部と、
前記アプリケーション情報データベースおよび前記固有情報を参照して前記アプリケーションの実行を制御するコマンドを生成する制御部と、
前記コマンドを前記携帯端末に送信し、前記携帯端末から前記コマンドに従って実行されるアプリケーションの映像データおよび音声データを受信する送受信部と、
を備える車載装置。
【請求項4】
請求項3記載の車載装置であって、
前記アプリケーション情報データベースは、前記車載装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを含み、
前記制御部および前記送受信部が当該起動コマンドを前記携帯端末に送信することにより、前記アプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得する、車載装置。
【請求項5】
請求項3記載の車載装置であって、
前記アプリケーション情報取得部は、前記車載装置と前記携帯端末の接続時、または前記車載装置におけるメニュー画面表示時に、前記アプリケーション情報データベースを取得する車載装置。
【請求項6】
請求項3記載の車載装置であって、
前記制御部は、前記アプリケーション情報格納部に格納されているアプリケーション情報データベースに登録されたアプリケーションのアイコンをメニュー画面に表示する車載装置。
【請求項7】
請求項3記載の車載装置であって、
前記制御部は、ユーザがメニュー画面でアプリケーションを選択した場合、選択したアプリケーションの起動コマンドを前記アプリケーション情報データベースから取得し、前記携帯端末へ送信する車載装置。
【請求項8】
請求項3記載の車載装置であって、
前記アプリケーションの音声を出力する複数のスピーカを備え、
前記制御部は、前記アプリケーション情報データベースに登録されている音声種別に従い、前記アプリケーションの音声を出力するスピーカを選択する車載装置。
【請求項9】
請求項3記載の車載装置であって、
前記制御部は、車両から走行パルスを含む車両情報を取得し、前記車両情報および前記アプリケーション情報データベースに登録されている走行規制データに従い、アプリケーションの実行を制限する車載装置。
【請求項10】
請求項3記載の車載装置であって、
前記制御部は、前記アプリケーション情報格納部に格納されているアプリケーション情報、および前記車載装置情報格納部に格納されている前記車載装置ごとの固有情報に従い、アプリケーションの起動を制御する車載装置。
【請求項11】
請求項3記載の車載装置であって、
前記アプリケーションは、ナビゲーションアプリケーション、音楽再生アプリケーションまたはホームページ閲覧アプリケーションを含む車載装置。
【請求項12】
請求項3記載の車載装置であって、
前記アプリケーション情報データベースは、アプリケーションの起動コマンド、車両の走行状態におけるアプリケーションの制限に関する走行規制データ、音声を出力する形態に関する音声種別、子どもの視聴できる番組やコンテンツを制限するためのペアレンタルロックデータ、車両の特定の条件に対応してアプリケーションを起動するための自動起動条件、またはアプリケーションのアイコンデータを格納する車載装置。
【請求項13】
アプリケーションを実行する携帯端末と通信し、前記アプリケーションの映像および音声を出力する固定装置のプログラムであって、
前記固定装置と前記携帯端末の接続時、または前記固定装置におけるメニュー画面表示時に、前記アプリケーションを制御するためのアプリケーション情報を格納するアプリケーション情報データベースを前記携帯端末から取得する第1のステップと、
前記アプリケーション情報データベースに登録されたアプリケーションのアイコンをメニュー画面に表示する第2のステップと、
前記メニュー画面でユーザがアプリケーションを選択した場合、選択したアプリケーションの起動コマンドを前記アプリケーション情報データベースから取得し、前記携帯端末へ送信する第3のステップと、
車両から走行パルスを含む車両情報を取得し、前記アプリケーション情報データベースに登録されている走行規制データに従い、アプリケーションの実行を制限する第4のステップと、
を前記固定装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムであって、
前記第1のステップの前に、前記車載装置と前記携帯端末との間で予め定められた所定のアプリケーションの起動コマンドを前記携帯端末に送信するステップを、前記固定装置のコンピュータに実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208891(P2012−208891A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75835(P2011−75835)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】