説明

情報ビット系列伝送システム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル自動車電話システムや携帯電話システムの如き移動無線システムを典型例とする、情報ビット系列伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】ランダム誤りとバースト誤りとが混在して頻繁に発生する情報システムの一つに、ディジタル自動車電話システムや携帯電話システムの如き移動無線システムがある。このような伝送システムにおいては、伝送路上で、ランダム誤りとバースト誤りとが混在して頻繁に発生する。このような伝送システムにおいては、ランダム誤り訂正復号だけでは、効率的な誤り訂正の実現が難しい。このため、この種の伝送システムでは、効率的な誤り訂正を実現するために、ビットインタリーブとランダム誤り訂正符号とを併用する技法が適用されることがある。
【0003】一方、巡回符号においては、ある符号語を巡回置換した系列もまた符号語である、という性質がある。Mabey は、この巡回符号の性質を利用して、この種の伝送システムにバースト誤り訂正復号を適用する試みを提案している( " Mobile Digital Transmission with Soft Decision Decoding ", IEEE Veh.Tech.Conf.,1985,pp197-199 ) 。このMabey のバースト誤り訂正復号技法は、受信機から得られる信頼度情報を利用する。すなわち、この受信機から得られる信頼度情報を用いて、受信語の中から、最も信頼度の高い巡回的に連続するkビットを抽出する。この抽出したkビットを符号化することにより、送信系列を再生する。但し、このMabey が提案しているバースト誤り訂正復号技法は、最も信頼度の高い巡回的に連続するkビットに、誤りが無いことを前提としている。
【0004】また、上述したビット・インタリーブとランダム誤り訂正符号とを併用する技法においては、ビット・インタリーブ長を十分に長くすることにより、バースト誤りはランダム化される。従って、この種の伝送システムに、ビット・インタリーブとランダム誤り訂正符号とを併用する技法を適用して、効果的なランダム誤り訂正符号を達成することは可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したビット・インタリーブとランダム誤り訂正符号とを併用する技法は、誤り訂正能力と遅延時間の短縮化とを同時に満足させることはできない。何故ならば、高い誤り訂正能力を発揮させるためには、ビット・インタリーブ長を十分に長くする必要があるからであり、これにより、遅延時間の短縮は望めなくなる。従って、この技法を、ディジタル自動車電話システムや携帯電話システムの如き移動無線システムに適用することは、次の点で不具合である。すなわち、この種の移動無線システムにおいては、送受信される信号は、制御信号と音声信号とからなる。この制御信号と非制御信号(音声信号)とのうちで、特に、回線接続の如き各種制御を司る制御信号は、送信側と受信側とにおける送受信遅延時間は極力短縮されるべきものである。また、双方向通信においては、非制御信号(音声信号)の送受信遅延時間が増大すると、間延した会話となり、またテンポの遅い会話となる。従って、制御信号及び/又は非制御信号(音声信号)の送受信遅延時間は、極力短縮化が要請される。それ故、たとえ高い誤り訂正能力を発揮できる技法であっても、遅延時間の短縮が望めない前記技法は、この種の移動無線システムには好ましくない。逆に、遅延時間の短縮を図るために、ビットインタリーブ長を数十ms程度の長さに抑えると、バースト誤りのランダム化は十分に行なえなく、このため、前記技法のランダム誤り訂正符号能力を効率的に利用することができなく、この種の移動無線システムには好ましくない。。
【0006】また、上述したMabey が提案しているバースト誤り訂正復号技法では、最も信頼度の高い巡回的に連続するkビットに誤りが無いことを前提としているため、このkビット中に符号誤りが存在した場合には、誤って訂正(誤訂正)することになる。すなわち、上述したMabey が提案している技法では、信頼度情報だけを用いてバースト誤り訂正を行うので、誤訂正の確率が増大するという欠点がある。 さらに、上述したMabey が提案しているバースト誤り訂正復号技法は、符号の中にバースト誤りが1つだけ含まれている場合は、誤りを訂正することが可能である。しかし、符号の中に、複数のバースト誤り及び/又はランダム誤りが混在する場合には、誤りを訂正することが難しい。特に、移動無線システムの伝送路では、ランダム誤りとバースト誤りとが混在し、同一符号の中に、複数の誤りが存在することになるので、バースト誤り訂正復号のみでは誤りを訂正することが難しい。
【0007】そこで本発明の目的は、情報ビット系列の伝送に際し、誤訂正の確率の増加を抑えつつ、より効率的な誤り訂正復号を実現する、情報ビット系列伝送システム伝送を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明に係る情報ビット系列伝送システムは、情報ビットと誤り検出符号化のための冗長ビットとからなるB系列を生成するべく、A系列として与えられる情報ビット系列を誤り検出符号化する誤り検出符号部と、 Bi 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記B系列をk個に分割する分割部と、Ci 系列を生成するべく、前記Bi 系列夫々を巡回符号の誤り訂正符号化する誤り訂正符号部と、D系列を生成するべく、前記Ci 系列をインターリービングするインターリービング部と、前記D系列を所定伝送路に伝送する伝送部と、Ei 系列を生成するべく、前記伝送路より受けた前記D系列に対応するE系列をデ・インターリービングし、このデ・インターリービングされた系列を前記巡回符号に対応してk個に分割するデ・インターリービング部及び分割部と、Fi,1 系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々に巡回符号のランダム誤り訂正符号化するランダム誤り訂正符号部と、Hi,J(i)系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々を巡回符号のバースト誤り訂正復号化するバースト誤り訂正復号部と、前記Fi,1 系列とHi,1 ,Hi,2 〜Hi,j(i)系列との合計(1+j(i))個の中から1個を選択して前記Bi 系列に対応する第1復号候補Ji を生成し、この第1復号候補Ji を組合わせて前記B系列に対応する第2復号候補Il (l=1 〜k 、kの最大はΠi,(1+j(i))(i=1〜k)) を生成し、前記第2復号候補Il を誤り検出復号して前記A系列に対応する情報ビット系列の復号結果を生成する、最終復号手段と、を具備する。
【0009】また、上記目的を達成するために本発明に係る情報ビット系列伝送システムは、前記システムにおける前記ランダム誤り訂正復号部は、受信側で得られる信頼度情報を用いた軟判定復号を用いることにより、前記Ei 系列夫々に対する復号候補としてFi,1 ,Fi,2 〜Fi,f(i)系列を生成する手段を含み、前記システムにおける前記バースト誤り訂正復号部は、前記Ei 系列における巡回的に連続するni ビットと,前記Ei 系列における信頼度の相対的に低いビットを反転して新たに得られたni ビット系列とにより,前記巡回符号の生成多項式を用いてHi,1 ,Hi,2 〜Fi,j2(i) 系列を生成する手段を含み、前記システムにおける前記合成部は、前記Ei 系列に対応して復号候補を(f(i)+j2(i))個生成し、この(f(i)+j2(i))個の復号候補からj3(i) 個を選択することにより、前記B系列に対応する復号候補Il (l=1 〜k 、k の最大はΠi,j3(i) (i=1〜k) )を生成する手段を含み、前記CRC符号誤り検出復号部及び最尤復号選択部は、前記復号候補Il を誤り検出復号化した結果、誤り無しと判定された復号候補が単一の場合には、その復号候補を前記情報ビット系列の復号結果として選択し、誤り無しと判定された復号候補が複数の場合には、それらの復号候補の信頼度を比較して最も高い復号候補を前記A系列の情報ビット系列の復号結果として選択する手段を含む。
【0010】さらに、上記目的を達成するために本発明に係る情報ビット系列伝送システムは、情報ビットと誤り検出符号化のための冗長ビットとからなるB系列を生成するべく、A系列として与えられる情報ビット系列を誤り検出符号化する誤り検出符号部と、Bi 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記B系列をk個に分割する分割部と、Ci 系列を生成するべく、前記Bi 系列夫々を巡回符号の誤り訂正符号化する誤り訂正符号部と、D系列を生成するべく、前記Ci 系列をインターリービングするインターリービング部と、前記D系列を所定伝送路に伝送する伝送部と、Ei 系列を生成するべく、前記伝送路より受けた前記D系列に対応するE系列をデ・インターリービングし、このデ・インターリービングされた系列を前記巡回符号に対応してk個に分割するデ・インターリービング部及び分割部と、前記Bi 系列に対応するランダム誤り訂正復号候補であるFi,f4(i) 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々に巡回符号のランダム誤り訂正復号化するランダム誤り訂正復号部と、前記Bi 系列に対応するバースト誤り訂正復号候補であるHi,j4(i) 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々を巡回符号のバースト誤り訂正復号化するバースト誤り訂正復号部と、ランダム誤り訂正復号部により生成されたFi 系列におけるランダム誤り訂正復号候補数がf4(i)(i=1 〜k )個であり、バースト誤り訂正復号部により生成されたHi 系列におけるバースト誤り訂正復号の候補数がj4(i)(i=1 〜k )個である場合に、前記Fi (i=1 〜k )を用いてIKo系列を構成し、このIKo系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された系列の冗長ビットRo を記憶する第1処理部と、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i番目以外の情報ビットを全て零とし、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i番目はCi 系列に対応する復号候補と前記Fi 系列とのビット毎に排他的論理和処理を施してIK 系列を構成し、このIK 系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された冗長ビットRi,j(i)(i=1 〜k ,j(i)=1〜(f4(i)+j4(i)-1) )を記憶する第2処理部と、下記の論理処理を前記復号候補の全ての組合せに対して適用し、この論理処理の結果が零になることを判定する第3処理部と、Ro ER1,J(i)ER2,J(i)ER3,J(i)ERk,J(i)(但し、ERはビット毎の排他的論理和を示す。)前記Ro 又は上記論理処理の結果が零の場合には、前記Ikoと前記Ik との排他的論理和処理の結果が、誤りの含まれない最終復号結果であると判断する第4処理部と、を具備する。
【0011】
【作用】本発明では、送信側において情報ビット系列にCRC符号などにより誤り検出符号化処理を施してから、巡回符号により誤り訂正符号化して伝送路へ伝送し、受信側においては符号系列に対し巡回符号のランダム誤り訂正復号処理とバースト誤り訂正復号処理を同時に適用して、その結果得られた復号結果に対してCRC符号などを用いて誤り検出チェックを行うことで、最終的な復号結果を得る。これら一連の処理によれば、基本的に巡回符号のランダム誤り訂正復号処理とバースト誤り訂正復号処理によって出来るだけ復号しておき、この際に増加する誤り見逃しを軽減する目的で、強力なCRC符号化等の誤り検出復号化を併せて用いるため、移動無線システムのようなランダム誤りとバースト誤りが混在する伝送路へ適用した場合、効率的な誤り訂正が実現され、かつ誤りの見逃し率が小さく抑えられる。
【0012】
【実施例】図1を参照することにより、本発明が適用される移動無線システムは、概要的に把握され得る。図1に示すように、移動網10は、制御局11及び基地局12からなる基地局側設備と、伝送路と、移動局側設備(携帯電話の如き移動局13)とで定義される。移動網10は、一般に、一般加入電話網の如き固定網14に接続されている。空中線である無線伝送路を介して基地局11と移動局13とは相互通信が行われる。一の移動局と他の移動局との通信、又は一の移動局と固定網の一般加入電話との通信は、前記移動局と、制御局及び基地局からなる地上設備の通信との間における信号授受で行われる。このような移動電話システムを典型例とする移動無線システムでは、情報ビット系列の低遅延伝送(遅延時間の短縮)及び高精度伝送が要請される。本発明は、符号/復号技法を用いて情報ビット系列信号の低遅延伝送(遅延時間の短縮)及び高精度伝送を達成する。
【0013】図2に示すように、本発明が適用される移動無線システムにおいては、基地局側設備と、伝送路23と、移動局側設備とが定義される。基地局側設備は、符号器20、送信器21、アンテナ22、受信器29、復号器30を含む。移動局側設備は、アンテナ24、受信器25、復号器26、符号器27、送信器28を含む。そして、基地局側から移動局側への信号伝送は、経路31により達成され、移動局側から基地局側への信号伝送は、経路32により達成される。そして、経路31と経路32のいずれが形成されても、このシステムでは、情報ビット系列の符号/復号と、無線伝送と、符号/復号とが可逆的に行われる。
【0014】図3に示す本発明の第1実施例のシステムは、符号・復号技法を用いて、A系列として情報ビット系列(52ビット)を伝送するものであって、符号器20(又は27)と、無線伝送部45(送信器21、アンテナ22、伝送路23、アンテナ24、受信器25、送信器28、受信器29)と、復号器26(又は30)とを含む。
【0015】第1実施例のシステムにおける符号器20(又は27)は、CRC符号部41と、分割部42と、BCH符号部43と、インターリービング部44とを含む。また、復号器26(又は37)は、デ・インターリービング部及び分割部26と、ランダム誤り訂正復号部47と、バースト誤り訂正復号部48と、合成部49と、CRC誤り検出復号部50と、選択部51とを含む。
【0016】以下第1実施例のシステムを詳細に各部を説明する。先ず、符号器20(又は27)について説明する。すなわち、誤り検出符号部41は、情報ビットと誤り検出符号化のための冗長ビットとからなるB系列を生成するべく、A系列として与えられる情報ビット系列をCRC符号化する。分割部42は、Bi 系列(i=1〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記B系列をk個に分割する。BCH符号部は、Ci 系列を生成するべく、前記Bi 系列夫々をBCH符号化する。インターリービング部44は、D系列を生成するべく、前記Ci 系列をインターリービングする。
【0017】伝送部45は、移動無線システムのための無線伝送部である。
【0018】次に、復号器26(又は37)について説明する。すなわち、デ・インターリービング部46は、Ei 系列を生成するべく、前記伝送路より受けた前記D系列に対応するE系列をデ・インターリービングし、これにより得られた系列を前記巡回符号に対応してk個に分割する。ランダム誤り訂正符号部47は、Fi,1 系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々に巡回符号のランダム誤り訂正符号化する。
【0019】バースト誤り訂正復号部48は、Hi,j(i)系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々を巡回符号のバースト誤り訂正復号化する。ここで、バースト誤り訂正復号部48は、前記Ei 系列夫々の中から巡回的に連続するni 個のビットを選択する処理と、この選択されたビットに前記巡回符号の生成多項式を適用してE1i 系列を生成する処理と、このE1i 系列を巡回シフトして前記Bi 系列に対応するni ビットのE2i 系列を生成する処理とを、ビット位置を順次異ならせて繰返すことにより前記系列Ei に対応するHi,j(i)(i=1 〜k )系列を生成する。
【0020】ここで、Hi を以下のような系列の集合と定義する。
【0021】
1 ={H1,1 ,H1,2 〜H1,j(1)
2 ={H2,1 ,H2,2 〜H2,j(2)
3 ={H3,1 ,H3,2 〜H3,j(3)
……………………Hk ={Hk,1 ,Hk,2 〜Hk,j(k)
最終復号手段として合成部49と、CRC符号誤り検出復号部50と、最尤復号選択部51とを具備する。合成部49及び前記最尤復号選択部51によって、前記Fi,1 系列とHi,1 ,Hi,2 〜Hi,j(i)系列との合計(1+j(i))個の中から1系列を選択して前記Bi 系列に対応する第1復号候補Ji を生成し、この第1復号候補Ji を図15に示すように組合わせて前記B系列に対応する第2復号候補Il (l=1 〜k 、k の最大はΠi,(1+j(i)) (i=1 〜k))を生成する。CRC符号誤り検出復号部によって、前記第2復号候補Il を誤り検出復号して、誤りが検出されなかった前記第2復号候補Il からCRCの冗長ビットを除いた系列を前記A系列に対応する情報ビット系列の復号結果として採用する。
【0022】なお、ランダム誤り訂正復号部47は、受信側で得られる信頼度情報を用いた軟判定復号を用いることにより、前記Ei 系列夫々に対する復号候補として前記Fi 系列をf(i) (Fi,1 ,Fi,2 〜Fi,f(i))個生成する手段を含む。
【0023】ここで、Fi を以下のような系列の集合と定義する。
【0024】
1 ={F1,1 ,F1,2 〜F1,f(1)
2 ={F2,1 ,F2,2 〜F2,f(2)
3 ={F3,1 ,F3,2 〜F3,j(3)
……………………Fk ={Fk,1 ,Fk,2 〜Fk,f(k)
また、バースト誤り訂正復号部48は、前記Ei 系列における巡回的に連続するni 個のビットを選択する処理に加えて、この選択されたビットにおいて信頼度の相対的に低いビットを選択し、そのビットのみを反転して新たなni 個のビットを生成する処理を追加し、前記生成多項式を用いた誤り訂正符号処理及び巡回シフト処理により、前記Hi,j(i)系列をj2(i)個生成する手段を含む。
【0025】合成部49は、前記Ei 系列に対応して生成された(f(i) +j2(i) )個の復号候補から信頼度の高い順にj3(i) 個を前記Ei 系列に対応した第1候補Jiとして選択し、この第1候補Ji を図15に示すように組合せて、前記B系列に対応する復号候補Il (l=1 〜k ,k の最大はΠj3(i) (i=1 〜k )を生成する手段を含む。j3(i) は、(f(i) +j2(i) )よりも小さな値を採ることが一般的であるが、(f(i) +j2(i) )と等しくなることもある。
【0026】CRC符号誤り検出復号部50及び最尤復号選択部51は、前記復号候補Ilを誤り検出復号化した結果、誤り無しと判定された復号候補が単一の場合には、その復号候補を前記A系列の情報ビット系列の復号結果として選択し、誤り無しと判定された復号候補が複数の場合には、それらの復号候補の信頼度を比較して最も高い復号候補を前記A系列の情報ビット系列の復号結果として選択する手段を含む。
【0027】以上のように構成された本実施例のシステムにおける動作を、誤り訂正・検出符号化・復号化技法を中心に説明する。このシステムでは。53ビット長の情報ビット系列(A系列)を符号化して伝送するものとする。
【0028】まず、送信側においては53ビットの情報ビット系列に対し、誤り検出符号化処理として10ビットのCRC符号を適用してCRC符号化を行い、63ビットのB系列を生成する(CRC符号部41)。
【0029】次に、このB系列をk=3個に分割して、各系列のビット数が21ビットであるBi (i=1 〜3 )系列を生成する(分割部42)。
【0030】次に、このBi 系列を巡回符号として3個のBCH(41,21)符号を用いて夫々符号化処理を行い、Ci 系列を生成する(BCH符号部43)。このBCH符号は、各々情報ビット21ビット、符号長41ビットであり、Ci 系列の各々は41ビットとなる。
【0031】次に、Ci 系列をさらにビット・インタリーブ処理して合成することで、D系列とし、これを伝送路を介して伝送する(インターリービング部44,無線伝送部45)。ここで、ビット・インタリーブ処理は、例えば図4に示すように、2個のCi 系列、つまり第iフレームと第(i+1)フレームとにまたがる構成で、情報ビットの部分と冗長ビットの部分とをまとめて伝送する。インターリービング部44波、図4に示すように、複数(二つ)のフレーム間で情報ビットをビット・インターリービングする技法に限定されない。インターリービング部44は、例えば、一つのフレーム内で情報ビットをビット・インターリービングする技法等の各種のビット・インターリービング技法を採用することができる。
【0032】一方、受信側では伝送路より受信された受信系列に対して、送信側のビット・インタリーブ処理と逆の処理であるデ・インタリーブ処理を施し、さらに前記BCH符号に対応して3個の符号語に分割して、送信側のCi 系列と対応するEi系列(各系列は41ビット長)を生成する(デ・インタリービング部/分割部46)。ここで伝送路上での誤りが無ければ、Ci 系列とEi 系列は完全に一致する。
【0033】次に、Ei 系列に対しランダム誤り訂正復号処理とバースト誤り訂正復号処理の両方を施して、系列の集合Fi 及びHi を生成する(ランダム誤り訂正復号部47及びバースト誤り訂正復号部48)。
【0034】なお、ここでいうバースト誤り訂正復号処理は、次のような処理を行う。すなわち、Ei 系列の各々の中から巡回的に連続するni 個のビットを選択し、該ni 個のビットを情報ビットとしてBCH符号部43での符号化と同じ生成多項式を用いて巡回符号化を行ってGi,1 系列を生成し、このGi,1 系列を巡回シフトしてBi 系列に対応する部分のni 個のビットからなるHi,1 系列を生成する。次いで、Ei 系列の各々の中から巡回的に連続する上記と異なるni 個のビットを選択して同様の処理を行ってGi,2 系列を生成し、このGi,2 に基づきHi,2系列を生成する。以下、同様に上記ni 個のビットの位置を順次異ならせて繰り返し、最終的にEi 系列に対して、下記式の系列の集合Hi を生成する。
【0035】
1 ={H1,1 ,H1,2 〜H1,j(1)
2 ={H2,1 ,H2,2 〜H2,j(2)
3 ={H3,1 ,H3,2 〜H3,j(3)
以上がバースト誤り訂正復号処理である。
【0036】次いで、ランダム誤り訂正復号部47及びバースト誤り訂正復号部48で得られた集合Fi 及び集合Hi の要素を合成する(合成部49)。この合成部49においては、Bi 系列に対する復号候補としてFi,1 及びHi,1 ,Hi,2 〜Hi,j(i)の(1+j(i))個をそれぞれ選択し、これらの復号候補を組み合わせてB系列に対する復号候補であるIl 系列(但し、l=1 〜k 、kの最大はΠi (1+j(i)))を生成する。
【0037】次に、合成部49で得られたIl 系列に対して、CRC符号で誤り検出復号化を行う(CRC誤り検出復号部50)。ここで、この誤り検出復号化の結果、誤り無しと判定された復号候補が単一の場合には、その復号候補を情報ビット系列の復号結果として選択し、誤り無しと判定された復号候補が複数の場合には、それらの復号候補の信頼度を比較して最も高い復号候補を情報ビット系列の復号結果として選択する処理を行って、最終的な復号結果を得る(選択部51)。
【0038】本実施例での主要な構成であるブロック47〜51について、更に詳細に説明する。図5に示すように、復号器は、デインターリービング部46A、符号語分割部46B、ランダム誤り訂正復号部47、バースト誤り訂正復号部48、合成部49、CRC復号チェック部51及び最尤復号語選択部51からなる。
【0039】ランダム誤り訂正復号部47は、巡回符号のランダム用いた誤り訂正復号を行う。このランダム誤り訂正復号の技法は特に限定されないが、ここでは例えば嵩の提案した技法を用いる(“ A Decoding Procedure for Multiple-Error-Correcting Cyclic Codes” IEEE TRANSACTIONS ON INFORMATION THEORY IT10, pp134-139, April, 1964)。この復号法は、受信機の硬判定を前提としている技法のため、軟判定の受信機から得られる信頼度情報を利用する場合には工夫が必要となる。信頼度情報の利用法としてChase の提案している技法を用いる(“ A Classof Algorithms for Decoding Block Codes With Channel Measurement Information” IEEE TRANSACTIONS ON INFORMATION THEORY, VOL. IT-18,NO. 1,JANUARY1972)。
【0040】図6は、このChase の技法の考え方を利用したランダム誤り訂正復号部47の詳細ブロック図である。図6に示すように、ビット反転回路47Aと、複数のランダム誤り訂正復号回路47Bと、順序付け回路47Cと、選択回路47Dとを具備する。まず、受信語r(ここではEi 系列)をランダム誤り訂正復号回路47Bによりそのままバースト誤り訂正復号化する。一方、受信語rの中で信頼度の低いビットをビット反転回路47Aにより反転する。これにより、反転した符号語r1 ,r2 〜が生成される。この反転した符号語r1 ,r2 〜を、ランダム誤り訂正復号回路47Bによりランダム誤り訂正復号化する。ランダム誤り訂正復号回路47Bは、例えば上述した嵩の提案になる技法を用いる。以上によって、I個の復号候補が生成される。次に、順序付け回路47Cによって、これらf(i) 個の復号候補に対して信頼度によって順序付けを行う。そして、選択回路47Dによって、順序付け回路47Cにて選択された復号候補を、前記信頼度の高い順からf(i) 個を選択する。このChase の技法は、CRCを用いることを前提としているため、信頼度の最も高い候補を1つ復号結果として採用する点で、本発明とは異なる。
【0041】図7は、信頼度情報を利用するバースト誤り訂正復号部48の詳細ブロック図である。バースト誤り訂正復号部48は、選択回路48Aと、複数のビット反転回路48Bと、複数のバースト誤り訂正復号回路48Cと、順序付け回路48Dと、選択回路48Eとを具備する。まず、選択回路48によって、A受信語rの41ビットの中から、信頼度が高い巡回的に連続する21ビットを複数個選択する。選択された21ビットを種ビット列と呼ぶこととする。次に、これら21ビットの種ビット列について、相対的に信頼度が低いビットをビット反転回路48Bにより反転させる。これにより反転種ビット列を生成する。これにより得られた種ビット及び反転種ビットを用いてバースト誤り訂正復号回路48Cによりバースト誤り訂正復号化することにより、Jo(i)個の復号候補を生成する。
【0042】バースト誤り訂正復号回路48Cは、例えば「宮川、岩垂、今井“誤り訂正符号”、昭晃堂、1973」に記載された巡回符号のバースト誤り訂正技法をその中で使用する。すなわち、41ビットの中から巡回的に連続する21ビットを選択し、これを情報ビットとして符号化して冗長ビットを生成する。
【0043】次に、順序付け回路48Dによって、このJo(i)個の復号候補に対して信頼度によって順序付けを行う。そして、選択回路48Eによって、順序付けされた復号候補から信頼度の高い順にJo(i)個を選択する。
【0044】以上述べた図6及び図7に示したバースト誤り訂正復号処理とランダム誤り訂正復号処理とにより、Bi 系列各々に対応してf(i)+j2(i) 個の復号候補が生成される。これにより、B系列に対する復号候補は、Π(i)+j2(i) (i +j)(i=1 〜3 )個となる。図3R>3又は図5のCRC誤り検出復号部50では、これらΠ(i)+j2(i) (i +j)(i=1 〜3 )個の復号候補の全てに対して、CRC符号による誤り検出チェックを行う。このチェックの結果、さらに複数個の候補が残った場合には、これらの中で最も信頼度が高い候補を最尤復号選択部51において最終的な復号結果(復号語)として選択する。
【0045】以上説明したように、本発明の第1実施例によれば、受信系列に対し、バースト誤り訂正とランダム誤り訂正を共に適用し、且つその訂正結果に対してCRC符号による誤り検出符号化処理を適用することにより、移動無線システムのようなランダム誤りとバースト誤りとが混在して発生する伝送路においても、効率的な誤り訂正を実現でき、しかも誤り見逃し率を小さく抑えることができる。
【0046】次に、第2実施例のシステムを、図8と、図9〜図11とを参照して説明する。図8に示す第2実施例のシステムは、A系列として情報ビット(144ビット)である。そして、第2実施例のシステムにおいては、図3に示す第1実施例のシステムと、実質的に同一のブロックが存在する。図3におけるCRC符号部41と図8におけるCRC符号部141とは実質的に同一である。図3における分割部42と図8における分割部142とは実質的に同一である。図3におけるBCH符号部43と図8におけるBCH符号部143とは実質的に同一である。図3におけるインターリービング部44は1つのフレーム内のブロック・インターリビングを用いる点以外は図8におけるインターリービング部144とは実質的に同一である。図3における無線伝送部45と図8における無線伝送部145とは実質的に同一である。図3におけるデ・インターリービング部/分割部46は1つのフレーム内のブロック・インターリビングを用いる点以外は図8におけるデ・インターリービング部/分割部146とは実質的に同一である。図3におけるランダム誤り訂正復号部47と図8におけるランダム誤り訂正復号部147とは実質的に同一である。図3におけるバースト誤り訂正復号部48と図8におけるバースト誤り訂正復号部148とは実質的に同一である。また、図3における符号器20と図8における符号器20’とは実質的に同一である。
【0047】しかし、図3における復号器26と図8における復号器26’とは相違する。復号器26’は、絞込み部149を、ランダム誤り訂正復号部147及びバースト誤り訂正復号部148と、合成部150との間に介挿している。
【0048】この絞込み部149は、条件1に従って動作する。すなわち、図9に示すように、合成部149における(f(i) +j2(i) )個の復号候補からj3(i) 個を選択するに先だって、前記B系列に対応するf(i) 個の前記Fi,f(i)系列をf3(i)個(f(i)≧f3(i) )に絞込み、j2(i) 個の前記Hi,j2(i) 系列をj3(i) 個(j2(i)≧j3(i))に絞込む。
【0049】また、絞込み部149は、条件2に従って動作する。すなわち、図10に示すように、(f(i) +j2(i) )個の前記復号候補の信頼度を取得する手段と、前記B系列に対応する候補数を、前記手段により取得した信頼度の大きさ及び相対的な大きさに応じて、f(i) 個の要素を持つ前記集合Fi をf3(i)個(f(i)≧f3(i) )に絞込み、j2(i) 個の前記Hi 系列をj3(i) 個(j2(i)≧j3(i))の要素の集合に絞込む手段とを含む。
【0050】さらに、絞込み部149は、条件3に従って動作する。すなわち、図11に示すように、また、絞込み部149は、適宜に、前記B系列に対応する候補数をΠi (f3(i)+j3(i))を下回る予定個数以下に抑制するべく、f(i) 個の前記Fi 系列をf3(i)個(f(i)≧f3(i) )に絞込み、j2(i) 個の前記Hi 系列をj3(i) 個(j2(i)≧j3(i))に絞込む。
【0051】本実施例におけるランダム誤り訂正復号部147は、以下(1)(2)の処理により、Bi に対する復号候補を最大2個生成する。
【0052】(1) 受信語r(ここではEi )をそのまま復号化する。
【0053】(2) 受信語rの中で信頼度の最も低いビットを反転させ、受信語rの反転ビットr1 を生成し、これを復号化する。ここで、上記(1)(2)の処理による復号結果が異なる場合には、Bi に対する復号候補数は2となり、一致する場合には、復号候補数は1となる。
【0054】本実施例におけるバースト誤り訂正復号部148は、上述した巡回符号のバースト誤り訂正法を用い、復号候補を2個生成する。すなわち、14ビットの中から巡回連続する10ビットを選択して、これを情報ビットとして符号化して冗長ビットを4ビット生成し、この4ビットを復号候補として採用する復号法である。本実施例では、受信器から得られる信頼度情報を利用して、以下(1)(2)(3) の処理により、バースト誤り訂正復号を行う。
【0055】(1) 受信語14ビットの中には巡回連続する10ビットが14個存在する。この中から、信頼度が最も高い巡回連続する10ビットを1個選択する。選択された10ビットを種ビットと呼ぶこととする。
【0056】(2) 上記種ビットについてその中では信頼度が最も低い1ビットを反転して、反転種ビットを生成する。
【0057】(3) 以上の種ビット及び反転種ビットを用いて、バースト誤り訂正復号を行い、2個の復号候補を生成する。
【0058】次に、本実施例における絞込み部149の処理内容を説明する。すなわち、ランダム誤り訂正復号部147及びバースト誤り訂正復号部148の処理により、Bi の候補として夫々最大で2個、合計で最大(2+2)個の復号候補が生成できる。系列Bに対する復号候補数は、最大で(2+2)16個となる。
【0059】系列Bに対する候補の中から、以下(1) 〜(7) の手順で、候補数を所定個数(CA個)以下に絞り込む。
【0060】(1) 16個の受信語を、信頼度の順序にソートする。
【0061】(2) 信頼度の最も低い受信語について、所定条件に従って、残すべき候補を決定する。
【0062】(3) 候補数バッファに、上記の候補数をセットする。
【0063】(4) 次に信頼度の低い受信語について、上記所定条件に従って残す候補を決定する。
【0064】(5) 候補数バッファの値と上記候補数の積を計算し、得られた値を候補数バッファにセットする。
【0065】(6) 候補数バッファの値とCA個とを比較し、候補数バッファの値が大きくなれば、上記(4)で残す候補は信頼度の最も高い候補1個とする。
【0066】(7) 上記 (4)から (6)までの処理を繰返して16個の受信語の全てについて候補を決定する。
【0067】各受信語についての候補数をCWi (i=1,2,3,〜,16)とすると、系列Bに対する候補は、Π(i=1 〜16)×CWi 個となる。
【0068】上記の処理で絞られた系列Bに対する候補について、CRC誤り検出復号部152により、CRC符号による誤り検出チェックをする。そして、CRC誤り検出復号部152の結果を、選択部152を通すことにより、最終復号結果を得る。 次に本発明に係る第3実施例のシステムを、図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13では、図8と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。すなわち、第3実施例のシステムは、CRC復号に必要な処理量の低減を実現する。上記の例では、候補数がΠ(i=1 〜16)×CWi 個あるため、特に工夫しないとCRC復号もΠ(i=1 〜16)×CWi 回必要になるが、以下に示す処理を適用することにより、CRC復号回数を減らすことができ、処理量を削減することができる。図12及び図13に示すように、第1処理部153と、第2処理部154と、第3処理部155と、第4処理部156とにより復号器26”が構成されている。
【0069】第1処理部153は、ランダム誤り訂正復号部147により生成されたFi 系列におけるランダム誤り訂正復号候補数がf4(i) (i=1 〜k )個であり、バースト誤り訂正復号部148により生成されたHi 系列におけるバースト誤り訂正復号の候補数がj4(i) (i=1 〜k )個である場合に、前記Fi (i=1 〜16)を用いてIko系列を構成し、このIko系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された系列の冗長ビットRo を記憶する。
【0070】第2処理部154は、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i 番目以外の情報ビットを全て零とし、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i番目はCi 系列に対応する復号候補と前記Fi 系列とのビット毎に排他的論理和処理を施してIk 系列を構成し、このIk 系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された冗長ビットRi,j(i)(i =1 〜k ,j(i)=1 〜 (f4(i)+j4(i)-1)) を記憶する。
【0071】第3処理部155は、下記の論理処理を前記復号候補の全ての組合せに対して適用し、この論理処理の結果が零になることを判定する。
【0072】
o ER1,J(i)ER2,J(i)ER3,J(i)ERERk,J(i)但し、ERはビット毎の排他的論理和を示す。
【0073】第4処理部156は、前記Ro 又は上記論理処理の結果が零の場合には、前記Ikoと前記Ik との排他的論理和処理の結果が、誤りの含まれない最終復号結果である判断する。
【0074】さらに、第1処理部153、第2処理部154、第3処理部155、第4処理部156を詳細に説明する。
【0075】第1処理部153は、ランダム誤り訂正復号部147により生成されたFi 系列におけるランダム誤り訂正復号候補数がf4(i) (i=1 〜k )個であり、バースト誤り訂正復号部148により生成されたHi 系列におけるバースト誤り訂正復号の候補数がj4(i) (i =1 〜k )個である場合に、Bi 系列(i=1 〜k )に対応する第1候補Ji (Ji =Fi,1 )を図15に示すように組合せてB系列に対応する第2候補Io を得、この第2候補Io を誤り検出復号してシンドロームSoを得、このシンドロームSo を記憶する。
【0076】第2処理部154は、次のように動作する。すなわち、先ず、系列Li,m (i=1 〜k, m=1〜(f4(i)+j(4(i))を以下のように生成する。
【0077】
i,m =Fi,1 ERi,m (m=1〜f4(i)) Li,m =Fi,1 ERi,(m-f4(i)) ( m=f4(i)+1 〜f4(i)+j4(i))但し、ERはビット毎の排他的論理和を示す。
【0078】そして、或るj(1≦j≦k)に対し、Ji =Li,m (i=j)
i =全ビットが零の系列(i≠j)
の条件の下で、Ji (i=1 〜k )を生成する。このJi を図15に示すように、組合せてI’系列を生成する。このI’系列に、第2候補Io に対する誤り検出復号と同様の処理を適用してシンドロームSj,m を得る。この場合、シンドロームSj,m は、各J(J=1 〜k )及び各 m=1〜(f4(i)+j(4(i))の全てについて生成する。そして、これらシンドロームSj,m を記憶する。
【0079】第3処理部155は次のように動作する。すなわち、m1 ,m2 〜mk を以下のように定義する。
【0080】
1≦m1 ≦(f4(i)+j(4(1))
1≦m2 ≦(f4(i)+j(4(2))
…1≦mk ≦(f4(i)+j(4(k))
このm1 ,m2 〜mk の全ての組合せ(Π(f4(i)+j(4(k)通り)に対し、下記の論理処理を適用する。この結果、得られる系列が全ビット零であることを判定する。
【0081】
o ER1,m1ER2,m2ER3,m3ERERk,mk第4処理部156は、次のように動作する。すなわち、m1 ,m2 〜mk のときに全ビットが零となる系列が、第3処理部155によって、得られた場合に、下記の処理によりJi (i=1 〜k )を生成する。
【0082】
1 =F1,1 ER1,m12 =F2,1 ER2,m2…………Jk =Fk,1 ERk,mkこれらJi を図15に示すように組合せてI”系列を生成する。このI”系列をBに対する誤りの含まれていない最終復号結果であると判断する。
【0083】以上述べた本発明の効果は、図14により確認できる。図14における横軸にビット誤り率、縦軸にフレーム誤り率を示している。図14に示すように、本発明によれば、従来技法(軟判定、硬判定)よりもフレーム誤り率を1/2程度に低減できる。
【0084】本発明は上記実施例に限定されることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できるものである。
【0085】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、送信側において情報ビット系列にCRC符号などにより誤り検出符号化処理を施してから、巡回符号により誤り訂正符号化して伝送路へ伝送し、受信側においては符号系列に対し巡回符号のランダム誤り訂正復号処理とバースト誤り訂正復号処理を同時に適用して、その結果得られた復号結果に対してCRC符号などを用いて誤り検出チェックを行うことで、最終的な復号結果を得る。
【0086】これら一連の処理によれば、基本的に巡回符号のランダム誤り訂正復号処理とバースト誤り訂正復号処理によって出来るだけ復号しておき、この際に増加する誤り見逃しを軽減する目的で、強力なCRC符号化等の誤り検出復号化を併せて用いるため、移動無線システムのようなランダム誤りとバースト誤りが混在する伝送路へ適用した場合、効率的な誤り訂正が実現され、かつ誤りの見逃し率が小さく抑えられる。
【0087】さらに、誤り訂正能力がさらに増大するともに、信頼度の高い復号候補のみが集中的にCRC符号等によってチェックされることで、復号効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される無線伝送システムの一例を示すブロック図。
【図2】図1の無線伝送システムにおける主要部を示すブロック図。
【図3】本発明に係るシステムの第1実施例の主要部を示すブロック図。
【図4】図3におけるインタリーブ部の詳細ブロック図。
【図5】図3における復号器の詳細ブロック図。
【図6】図3及び図5におけるランダム誤り訂正復号部の詳細ブロック図。
【図7】図3及び図5におけるバースト誤り訂正復号部の詳細ブロック図。
【図8】本発明に係るシステムの第2実施例の主要部を示すブロック図。
【図9】図8における復号器の第1例の詳細ブロック図。
【図10】図8における復号器の第2例の詳細ブロック図。
【図11】図8における復号器の第3例の詳細ブロック図。
【図12】本発明に係るシステムの第3実施例の主要部を示すブロック図。
【図13】図12における復号器の詳細ブロック図。
【図14】本発明と従来技法(軟判定、硬判定)との比較特性図。
【図15】Ji とIl との関係を示す図。
【符号の説明】
10…移動網、11…制御局、12…基地局、13…移動局、14…固定網、20,27…符号器、21,28…送信器、22,24…アンテナ、23…伝送路、25,29…送信器、26,30…復号器、41,141…CRC符号部、42,142…分割部、43,143…BCH符号部、41,141…インターリービング、45…無線伝送部、46,146…デ・インターリービング部/分割部、47,147…ランダム誤り訂正符号部、48,148…バースト誤り訂正符号部、49,150…合成部、50,151…CRC誤り検出復号部、51,152…選択部、149…絞込み部、153…第1処理部、154…第2処理部、155…第3処理部、156…第4処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】情報ビットと誤り検出符号化のための冗長ビットとからなるB系列を生成するべく、A系列として与えられる情報ビット系列を誤り検出符号化する誤り検出符号部と、Bi 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記B系列をk個に分割する分割部と、Ci 系列を生成するべく、前記Bi 系列夫々を巡回符号の誤り訂正符号化する誤り訂正符号部と、D系列を生成するべく、前記Ci 系列をインターリービングするインターリービング部と、前記D系列を所定伝送路に伝送する伝送部と、Ei 系列を生成するべく、前記伝送路より受けた前記D系列に対応するE系列をデ・インターリービングし、このデ・インターリービングされた系列を前記巡回符号に対応してk個に分割するデ・インターリービング部及び分割部と、Fi,1 系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々に巡回符号のランダム誤り訂正符号化するランダム誤り訂正符号部と、Hi,J(i)系列(各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々を巡回符号のバースト誤り訂正復号化するバースト誤り訂正復号部と、前記Fi,1 系列とHi,1 ,Hi,2 〜Hi,j(i)系列との合計(1+j(i))個の中から1個を選択して前記Bi 系列に対応する第1復号候補Ji を生成し、この第1復号候補Ji を組合わせて前記B系列に対応する第2復号候補Il (l=1 〜k 、kの最大はΠi,(1+j(i))(i=1〜k)) を生成し、前記第2復号候補Il を誤り検出復号して前記A系列に対応する情報ビット系列の復号結果を生成する、最終復号手段と、を具備する情報ビット系列伝送システム。
【請求項2】前記ランダム誤り訂正復号部は、受信側で得られる信頼度情報を用いた軟判定復号を用いることにより、前記Ei 系列夫々に対する復号候補としてFi,1 ,Fi,2 〜Fi,f(i)系列を生成する手段を含み、前記バースト誤り訂正復号部は、前記Ei 系列における巡回的に連続するniビットと,前記Ei 系列における信頼度の相対的に低いビットを反転して新たに得られたni ビット系列とにより,前記巡回符号の生成多項式を用いてHi,1 ,Hi,2 〜Fi,j2(i) 系列を生成する手段を含み、前記合成部は、前記Ei 系列に対応して復号候補を(f(i)+j2(i))個生成し、この(f(i)+j2(i))個の復号候補からj3(i) 個を選択することにより、前記B系列に対応する復号候補Il (l=1 〜k 、k の最大はΠi,j3(i) (i=1〜k) )を生成する手段を含み、前記CRC符号誤り検出復号部及び最尤復号選択部は、前記復号候補Il を誤り検出復号化した結果、誤り無しと判定された復号候補が単一の場合には、その復号候補を前記情報ビット系列の復号結果として選択し、誤り無しと判定された復号候補が複数の場合には、それらの復号候補の信頼度を比較して最も高い復号候補を前記A系列の情報ビット系列の復号結果として選択する手段を含む、請求項1に記載の情報ビット系列伝送システム。
【請求項3】情報ビットと誤り検出符号化のための冗長ビットとからなるB系列を生成するべく、A系列として与えられる情報ビット系列を誤り検出符号化する誤り検出符号部と、Bi 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記B系列をk個に分割する分割部と、Ci 系列を生成するべく、前記Bi 系列夫々を巡回符号の誤り訂正符号化する誤り訂正符号部と、D系列を生成するべく、前記Ci 系列をインターリービングするインターリービング部と、前記D系列を所定伝送路に伝送する伝送部と、Ei 系列を生成するべく、前記伝送路より受けた前記D系列に対応するE系列をデ・インターリービングし、このデ・インターリービングされた系列を前記巡回符号に対応してk個に分割するデ・インターリービング部及び分割部と、前記Bi 系列に対応するランダム誤り訂正復号候補であるFi,f4(i) 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々に巡回符号のランダム誤り訂正復号化するランダム誤り訂正復号部と、前記Bi 系列に対応するバースト誤り訂正復号候補であるHi,j4(i) 系列(i=1 〜k 、各系列のビット長ni )を生成するべく、前記Ei 系列夫々を巡回符号のバースト誤り訂正復号化するバースト誤り訂正復号部と、ランダム誤り訂正復号部により生成されたFi 系列におけるランダム誤り訂正復号候補数がf4(i)(i=1 〜k )個であり、バースト誤り訂正復号部により生成されたHi 系列におけるバースト誤り訂正復号の候補数がj4(i)(i=1 〜k )個である場合に、前記Fi (i=1 〜k )を用いてIKo 系列を構成し、このIKo 系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された系列の冗長ビットRo を記憶する第1処理部と、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i番目以外の情報ビットを全て零とし、前記CRC誤り訂正復号された系列における第i番目はCi 系列に対応する復号候補と前記Fi 系列とのビット毎に排他的論理和処理を施してIK 系列を構成し、このIK 系列をCRC誤り訂正復号を行い、この復号された冗長ビットRi,j(i)(i=1 〜k ,j(i)=1〜(f4(i)+j4(i)-1) )を記憶する第2処理部と、下記の論理処理を前記復号候補の全ての組合せに対して適用し、この論理処理の結果が零になることを判定する第3処理部と、Ro ER1,J(i)ER2,J(i)ER3,J(i)ERk,J(i)(但し、ERはビット毎の排他的論理和を示す。)前記Ro 又は上記論理処理の結果が零の場合には、前記Ikoと前記Ik との排他的論理和処理の結果が、誤りの含まれない最終復号結果であると判断する第4処理部と、を具備する情報ビット系列伝送システム。

【図4】
image rotate


【図15】
image rotate


【図1】
image rotate


【図14】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【特許番号】第2759043号
【登録日】平成10年(1998)3月13日
【発行日】平成10年(1998)5月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−229197
【出願日】平成5年(1993)9月14日
【公開番号】特開平6−188862
【公開日】平成6年(1994)7月8日
【審査請求日】平成8年(1996)9月5日
【出願人】(392026693)エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社 (5,876)