説明

情報交換促進方法及び装置

【課題】ネットワーク上で情報交換するユーザ間の関係から発生するユーザグループでの緊密なコミュニケーションを促進する。
【解決手段】 交換関係DB12は、ユーザ間のアウェアネス情報の交換関係を蓄積する。ユーザの任意の1対において交換関係が成立しているユーザグループを、蓄積されている交換関係に基づいて検索する。検索のタイミングは、交換関係DB12の更新時、所定時間毎など、特に限定されない。検索したユーザグループ内のユーザに対し、ユーザグループの存在を通知する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク上でのユーザ間のコミュニケーションを促進する技術に関する。さらに詳しくは、ユーザ間でアウェアネス情報を交換する技術に関する。
【0002】本発明において、アウェアネス情報とは、ユーザの状態や気持ちを表すテキストデータ、イメージデータ及び音声データや、ショートメッセージなど、ユーザに関する全ての個人情報を含む。
【0003】また、バディリストとは、ユーザにより作成される他のユーザ、いわゆるバディの一覧である。ユーザは、他のユーザとの合意の上で、そのユーザのアウェアネス情報を参照するために、バディリストに他のユーザを記述する。
【0004】
【従来の技術】近年、社会のネットワーク化が急速に進み、コンピュータネットワークや電話回線などのデータ通信路を用いたコミュニケーションシステムや、ニュース配信、広告配信システムなどが普及している。コミュニケーションシステムの1つであるアウェアネスシステムは、遠隔地にいるユーザ同士のコミュニケーションを円滑にするシステムとして、期待されている。
【0005】アウェアネスシステムは、ユーザが現在の状態や気持ちを情報化し、他のユーザと、これらの情報を常時交換する関係を結び、情報を通知しあうシステムである。アウェアネスシステムは、一般的に、サーバとクライアントとがネットワークにより接続されて構成されている。サーバには、1)ユーザ毎のアウェアネス情報を蓄積するアウェアネス情報DB(データベース)と、2)ユーザ間でアウェアネス情報を交換するために締結されている交換関係を蓄積する交換関係DBと、が設けられている。
【0006】一方、クライアントには、ユーザが作成するバディリストが蓄積されている。バディリストには、ユーザがアウェアネス情報を交換する他のユーザが記述されている。個々のユーザは、他のユーザと個別にアウェアネス情報の交換関係を確立し、アウェアネス情報の発信単位でバディリストを作成する。
【0007】あるユーザAからサーバに対し、他のユーザBとの間でアウェアネス情報の交換関係の確立/解除が要求されると、ユーザAとユーザBとの交換関係が交換関係DBに蓄積される。また、ユーザAからサーバに対し、自身のアウェアネス情報の更新要求や、他のユーザのアウェアネス情報の参照要求が来ると、サーバは、アウェアネス情報DBを更新したり、アウェアネス情報DBから必要情報を取得したりする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】もしもアウェアネスシステム上のユーザA,B,Cのそれぞれが互いに、すなわち1対1の組み合わせの全てにアウェアネス情報の交換関係が成立しているとすると(以下、これを共有関係と呼ぶ)、これらのユーザはアウェアネス情報を共有可能である。しかし、前述のアウェアネスシステムでは、ユーザAには自分以外のユーザB及びC間の関係がどうなっているのか分からない。もしユーザAが、ユーザB及びCの間でもアウェアネス情報を交換していることを知っていれば、ユーザAはこの前提に基づいてアウェアネス情報を発信することができる。
【0009】システムによっては、共有関係を作成する機能を用意し、ユーザに一括して生成させることもある。一方で、個々のユーザ同士の交換関係から偶然に共有関係が発生することもある。従来のアウェアネスシステムでは、偶然に発生した共有関係を、個々のユーザは知ることができない。それゆえ、アウェアネス情報の交換関係はあくまでユーザの1対1の関係にとどまり、同じ情報内容について、グループでコミュニケーションをする機会の発生が押さえられ、緊密な多人数コミュニケーションの発生の機会が失われるというデメリットがある。
【0010】本発明は、ネットワーク上で個別に設定された情報交換するユーザ間の関係から偶然に発生する共有関係を検出して、共有関係にあるユーザ全員に偶然に発生している共有関係を提示し、ユーザグループでの緊密なコミュニケーションを促進することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本願第1発明は、ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、A;ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶し、B;前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化し、C;グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換促進方法を提供する。
【0012】例えば、ユーザAは、ユーザB及びユーザCとそれぞれ別々に交換関係を結んでいるとする。また、ユーザB及びユーザCも、交換関係を結んでいるとする。この場合、三者間ではいかなる組み合わせをとっても交換関係が成立している。以下、この関係を共有関係という。共有関係の成立を各ユーザに通知することにより、ユーザ同士が、互いに全員を知っているグループに属しているという共通の認識の元に、アウェアネス情報を交換することができる。共有関係が成立しているユーザグループを抽出するタイミングは、特に限定されない。例えば、蓄積されている交換関係に変更があったときや、一定時間間隔で行うことが挙げられる。
【0013】本願第2発明は、前記第1発明において、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係及び前記交換関係の属性情報を記憶する情報交換促進方法を提供する。この方法では、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しており、かつ設定されている属性が類似しているユーザを抽出してグループ化する。さらに、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する。
【0014】交換関係の属性とは、例えばバディリストのタイトルである。共有関係が成立しているユーザグループに属するユーザのバディリストの中で、このユーザグループを形成するためのバディリストのタイトルが互いに類似している場合、ユーザグループの存在がユーザに通知される。
【0015】本願第3発明は、ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムを提供する。このシステムは、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する手段と、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを提示する手段と、を有している。
【0016】本願第4発明は、ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムを提供する。このシステムは、ユーザ間に設定された情報交換関係を記憶する手段;前記記憶されている情報交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段;グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザと、当該グループのコミュニケーションを可能とするコミュニケーション手段とを提示する手段;を有している。
【0017】所定のコミュニケーション手段としては、例えばメーリングリストサービスやIRC(Internet Relay Chat)などのチャットサービスを挙げることができる。アウェアネスシステムでは、1対1の情報交換しかできないが、他のコミュニケーション手段を用いることにより、グループ内での情報交換が可能になる。他のコミュニケーション手段を用いるためのクライアント側アプリケーションがユーザ端末2上にない場合も考えられるが、その場合にはそのユーザ端末2に必要なアプリケーションをダウンロードすることも可能である。
【0018】本願第5発明は、ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法を実行するためのプログラムが記憶された記録媒体を提供する。このプログラムは、下記A〜Cの段階を実行する。
A;ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する処理、B;前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する処理、C;グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザに通知する処理。
【0019】ここで、記録媒体としては、コンピュータが読み書き可能なフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、半導体メモリ、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク(MO)、その他のものが挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】<発明の概要>本発明は、1対1のユーザ間で設定された交換関係の連鎖から自然にアウェアネス情報の共有関係が生成されているユーザグループに共有関係の存在を知らせ、共有関係にあるユーザグループ間での情報交換を支援する。ここで共有関係とは、ユーザグループに含まれる全てのユーザの相互間にアウェアネス情報の交換関係が成立している関係をいう。以下、共有関係が成立するユーザグループを、単に共有グループという。
【0021】図1は、共有関係の説明図である。図1(a)は共有関係がユーザ間で成立している場合であり、(b)は成立していない場合である。図1(a)では、例えばユーザAのバディリストLaには、他の全てのユーザB,C,Dが記述されている。他のユーザB,C,DのバディリストLb、Lc、Ldについても同様である。この場合、ユーザA,B,C,Dには共有関係が成立している。図1(b)では、ユーザA,B,Cには共有関係が成立しているが、ユーザA,B,C,Dには共有関係が成立しない。
【0022】本発明は、所定のタイミング、例えばアウェアネス情報の交換関係が更新されるたびに、共有関係の成立の有無を判断する。共有関係が成立していれば、そのことをユーザに通知し、共有関係にあるユーザグループ内でコミュニケーションができるように通信手段を提供する。
【0023】また、共有関係だけでなく、類似の情報を交換しているユーザグループや、類似の行動をとるユーザグループの存在をユーザに知らしめ、ユーザグループ内でのコミュニケーション手段を提供する。
【0024】<第1実施形態例>(1)構成図2は、第1実施形態例に係る情報交換促進システムの全体構成図である。このシステムは、アウェアネスサーバ1と複数のユーザ端末2とがネットワーク3を介して接続されて構成されている。なお、図ではユーザ端末2を1つしか示していないが、通常は複数のユーザ端末2がネットワーク3に接続されている。
【0025】ユーザ端末2は、アウェアネス情報管理モジュール21と交換関係管理モジュール22とを有している。アウェアネス情報管理モジュール21は、ユーザのアウェアネス状態の設定や変更を受け付けてアウェアネスサーバ1に送信したり、他のユーザのアウェアネス情報をアウェアネスサーバ1から受信してユーザに通知したりする。交換関係管理モジュール22は、バディリストの作成や変更を受け付け、サーバにその内容を通知する。これらのモジュールは、通常のアウェアネスシステムにおけるユーザ端末2が有している機能と同様である。
【0026】アウェアネスサーバ1は、アウェアネス情報DB11、交換関係DB12、アウェアネスサービスモジュール13及び情報交換促進モジュール14を有している。図3は、アウェアネス情報DB11に蓄積される情報の概念説明図である。アウェアネス情報DB11には、ユーザのアウェアネス情報がユーザ毎及びバディリスト毎に蓄積されている。
【0027】図4は、交換関係DB12に蓄積される情報の概念説明図である。交換関係DB12には、バディリストの属性およびバディの一覧がユーザ毎に蓄積されている。本例では、バディリストの属性として、バディリストのタイトルを用いている。
【0028】アウェアネスサービスモジュール13は、交換関係DB12に蓄積された交換関係に基づいて、ユーザに他のユーザのアウェアネス情報を提供するサービスを行う。アウェアネス情報DB11、交換関係DB12及びアウェアネスサービスモジュール13の機能は、通常のアウェアネスサーバ1が有する機能と同様である。
【0029】情報交換促進モジュール14は、ユーザ間の共有関係を推進し、共有グループ内での情報交換を促進する役割を示す。具体的には、情報交換促進モジュール14は、行動DB141、共有関係モジュール142、類似情報モジュール143、類似属性モジュール144、類似行動モジュール145、表示制御モジュール146及び付加サービスモジュール147を有している。
【0030】図5は、行動DB141に蓄積される情報の概念説明図を示す。行動DB141には、ユーザの所定の行動とその行動を起こした時間とが、ユーザ毎に蓄積されている。本例では、ユーザがURLにアクセスした場合に、そのURLとアクセス時間とが行動DB141に蓄積される。
【0031】共有関係モジュール142、類似情報モジュール143、類似属性モジュール144及び類似行動モジュール145の機能については、詳細を後述する。表示制御モジュール146は、前記各モジュールが生成するグループ関係をユーザ端末2上に表示させる。付加サービスモジュール147は、存在を通知したユーザグループ内で、本システム以外の別の通信システムを使ったコミュニケーションの開始を促進する。
【0032】(2)処理の流れ次に、情報交換促進モジュール14が行う処理の流れについて具体的に説明する。
【0033】(2―1)共有関係生成処理[処理の流れ]図6は、共有関係モジュール142が行う共有関係生成処理の流れを示すフローチャートである。共有関係モジュール142は、交換関係DB12に蓄積されている情報から共有関係を見い出し、ユーザに通知する。今、ユーザDがバディリストLdにユーザBを追加したことにより、ユーザA、B、C、D間の交換関係が前記図1(b)の状態になったとする。
【0034】ステップS1:共有関係モジュール142は、ユーザDがバディリストLdにユーザBを加えた場合、バディリストLbにもユーザDは登録されているかどうかを確認する。言い換えれば、ユーザBとDとの間に交換関係が成立しているか否かを判断する。“Yes”と判断するとステップS2に移行し、“No”と判断すると次のバディリストの変化を待機する。なお、この例では、いずれかのユーザのバディリストに変化があった場合に以下の処理を行うが、一定時間毎など他のイベントにより以下の処理を行っても良い。
【0035】ステップS2:共有関係モジュール142は、バディリストLbの他のユーザA及びCと、ユーザDとの間に、交換関係が成立しているか否かを判断する。この例では、ユーザD及びC間には交換関係が成立している。しかし、ユーザD及びA間には交換関係は成立していない。バディリストLbの中に、ユーザDと交換関係が成立している他のユーザが1つでもあれば、ステップS3に移行する。交換関係が全く成立しない場合には、ステップS1に戻り、次のバディリストの変化を待機する。
【0036】ステップS3:共有関係モジュール142は、ユーザDと交換関係が成立するユーザ群の任意のペアであって交換関係が成立するペアを抽出する。例えば、この例ではDとの交換関係が成立するB及びCのペアについて、交換関係が成立するか否かを判断し、成立すればこのペアを抽出する。本例では、B及びCのペアが抽出される。1つでも交換関係が成立すれば、ステップS4に移行する。交換関係が全く成立しない場合、ステップS1に戻り、次のバディリストの変化を待機する。
【0037】ステップS4:共有関係モジュール142は、共有関係が成立する共有グループを決定する。すなわち、前記抽出したペアに含まれるユーザとユーザDとからなるユーザグループを、共有グループと決定する。今の場合、B、C及びDの3者からなるユーザグループが決定される。
【0038】ステップS5:共有関係モジュール142は、決定した共有グループを表示制御モジュール146によりユーザ端末2上に表示させる。さらに、付加サービスモジュール147により、別の通信手段を用いたグループ内のコミュニケーションを開始させてもよい。例えば、共有グループ用の新たな会話空間をネットワーク3上に設営したり、共有グループ用のメーリングリストを生成し、共有グループ内のユーザのみが参加できるようにする。また、通信手段の選択肢をユーザ端末2上に表示させる。これにより、グループ内のユーザは、ユーザグループ間でのチャットや、メーリングリストによるメールの伝送など、グループ内のコミュニケーションを行うことができる。
【0039】なお、ユーザ端末2上に、別の通信手段を実行するためのアプリケーションがインストールされていない場合には、別サービスモジュールによりユーザ端末2にアプリケーションをダウンロードしても良い。
【0040】[画面例]図7は、前述の共有関係生成処理において共有グループが決定した場合に、ユーザ端末2上で表示される共有関係の表示例及び別サービスの開始画面例である。図7(a)は、バディリストの表示例を示している。同図(b)は、このバディリストにおける共有グループの表示例である。共有グループ1が、ユーザを点線で囲うことにより示されている。
【0041】同図(c)は、共有グループ1内でのコミュニケーションを活発化するために、付加サービスモジュール147により表示される通信手段の選択画面例である。グループ1内のユーザは、グループチャットや同報メールにより、グループ内のコミュニケーションを行うことができる。また、同図(d)は、共有グループが増えた場合の画面例である。
【0042】(2−2)類似情報の共有関係生成処理[処理の流れ]図8は、類似情報モジュール143が行う類似情報の共有関係生成処理の流れを示すフローチャートである。類似情報モジュール143は、共有グループ内のユーザが類似情報を共有している場合、類似情報を共有するユーザグループ(以下、単に類似情報グループという)を決定し、ユーザに通知する。
【0043】処理の流れに先立ち、類似情報の共有について説明する。図9は、類似情報の共有を示す説明図である。この図では、ユーザA、B及びCは、共有グループを形成している。また、3者はそれぞれ車に関する発言をしている。この場合、ユーザA,B,Cは、車に関する類似情報を共有しており、類似情報グループを形成している。
【0044】次に、類似情報グループを決定する処理について、図8に沿って説明する。
ステップS21:類似情報モジュール143は、いずれかのユーザのアウェアネス情報が更新されることにより、以下の処理を開始する。ここでは、前記図1に示すバディリストLbに登録されたユーザAから、アウェアネス情報の更新通知があったとする。
【0045】ステップS22:類似情報モジュール143は、ユーザAを含む共有グループを決定する。この決定方法は、前述の処理の流れと同様である。次いで、類似情報モジュール143は、いずれかの共有グループを特定し、以下の処理を行う。
【0046】ステップS23:類似情報モジュール143は、特定した共有グループ内で通知されているアウェアネス情報を、アウェアネス情報DB11から取得し、アウェアネス情報の任意のペア全てについて、それらの類似度を算出する。
【0047】ステップS24、S25:類似情報モジュール143は、アウェアネス情報の任意の一対の類似度がしきい値を超えるようなアウェアネス情報のグループがあるか否かを判断する(S24)。ある場合には、類似情報の発信者による類似情報の共有関係が生成されていると判断し、類似情報の発信者により形成される類似情報グループを決定する(S25)。
【0048】さらに、類似情報モジュール143は、決定した類似情報の共有グループを、ユーザ端末2上に表示させたり、別の通信手段によるコミュニケーションを開始させたりする。算出された類似度がいずれもしきい値を超えない場合、ステップS26に移行する。
【0049】ステップS26:類似情報モジュール143は、ユーザAを含む全ての共有グループについて、前記ステップS22〜S25の処理を行ったか否かを判断する。“Yes”と判断するとステップS21に戻り、アウェアネス情報の更新通知を待機する。“No”と判断すると、ステップS22に戻り、前述の処理を繰り返す。
【0050】[画面例]図10は、類似情報グループの通知例である。同図(a)はバディリストであり、同図(b)は類似情報グループを示す画面例である。この図では、システム側で類似情報グループに適当なタイトル「車グループ」を付けて表示している。タイトルは、類似情報のキーワードを含むことが好ましい。同図(c)は、類似情報グループのユーザに表示される、通信手段の選択画面例である。この例では、「車グループ」でグループチャットを行うことができる。
【0051】(2−3)類似属性の共有関係生成処理[処理の流れ]図11は、類似属性モジュール144が行う、類似属性の共有関係生成処理の流れを示すフローチャートである。類似属性モジュール144は、共有グループ内に交換関係の属性が類似しているユーザグループ(以下、類似属性グループという)が成立する場合、ユーザに通知する。
【0052】処理の説明に先立ち、類似属性グループについて説明する。図12は、類似属性グループの説明図である。ここでは、ユーザA,B,Cからなる共有グループを定めるバディリストのタイトルを、ユーザAは「飲み仲間」とし、ユーザBは「飲み友達」とし、ユーザCは「カラオケ」としている。このような場合、この共有グループの中で、ユーザAとBとからなる類似属性グループが生成されている。
【0053】次に、処理の流れについて図11に沿って説明する。
ステップS31、S32:類似属性モジュール144は、いずれかのユーザのバディリストのタイトルが新たに設定されたり、変更されたりした場合(S31)、そのユーザを含む共有グループを特定する(S32)。なお、この例では、いずれかのユーザのバディリストの変更を処理開始のイベントとしているが、例えば所定時間間隔毎に以下の処理を行っても良い。
【0054】ステップS33、S34、S35:類似属性モジュール144は、特定した共有グループを定める各ユーザのバディリストについて、タイトルの類似度を算出する。類似度は、タイトルの任意のペア全てについて算出される。なお、本例では交換関係の属性としてタイトルを用いているが、これに限定されない。
【0055】類似属性モジュール144は、任意のペアがしきい値を超えるようなタイトルのグループを検索し、そのタイトルのバディリストの持ち主により形成される類似属性グループを決定する。決定された類似属性グループのユーザには、前述と同様に、類似属性グループの表示や別の通信手段によるコミュニケーションを開始させたりする(S35)。タイトルの類似度がいずれもしきい値を超えない場合には、ステップS36に移行する。
【0056】ステップS36:類似属性モジュール144は、バディリストのタイトルを変更したユーザを含む共有グループの全てについて、前記ステップS32〜S35の処理を行ったか否かを判断し、“No”と判断すると次の共有グループについて処理を行うために、ステップS32に戻る。“Yes”と判断する場合、ステップS31に戻り、いずれかのユーザがバディリストのタイトルを設定又は変更するのを待機する。
【0057】[画面例]図13は、類似属性グループの通知例である。同図(a1)〜(a4)は、4人のユーザ「露崎夏美」、「深田喜子」、「浜崎亜美」、「倉木真弓」からなる共有グループを定めるバディリストである。同図(b1)〜(b3)は、類似属性グループを示す画面例である。この図では、システム側で類似属性グループに適当なタイトル「酒好きグループ」をつけて表示している。タイトルは、図(a1)〜(a3)のバディリストのタイトルに共通する内容を表すことが好ましい。同図(c1)は、類似属性グループのユーザに表示される、通信手段の選択画面例である。
【0058】なお、同図(a4)の「倉木」のバディリストのタイトルは、図(a1)〜(a3)のタイトルと類似していない。そのため、ユーザ「倉木」は、類似属性グループ「酒好きグループ」に含まれないと判断されている。
【0059】(2−4)類似行動の共有関係生成処理[処理の流れ]図14は、類似行動モジュール145が行う、類似行動の共有関係生成処理の流れを示すフローチャートである。この処理では、類似行動モジュール145は、共有グループ内のユーザ間で行動が類似するユーザから形成されるグループ(以下、類似行動グループという)を決定し、ユーザに通知する。
【0060】処理の説明に先立ち、類似行動グループについて説明する。図15は、類似行動グループの説明図である。この図において、ユーザA、B及びCは、共有グループを形成している。ユーザAはステップワゴンに関するURLにアクセスし、Bはホンダの新車情報に関するURLにアクセスし、ユーザCは釣りに関するURLにアクセスしている。この場合、ユーザA、Bは、共に車に関するURLにアクセスしたという類似の行動をとったので、類似行動グループを形成する。
【0061】次に、処理の流れを図14に沿って説明する。
ステップS41:類似行動モジュール145は、ユーザの所定の行動の発生を待機している。本例では、所定の行動とは、URLで特定されるウェブページへのアクセスであるが、これに限定されない。行動が発生した場合、類似行動モジュール145は、行動DB141を更新し、ステップS42に移行する。
【0062】ステップS42:類似行動モジュール145は、一定期間内に所定の行動を行ったユーザの中で、同一の共有グループに属するユーザがあるかどうかを判断する。例えば、類似行動モジュール145は、過去24時間以内にURLにアクセスしたユーザの中で、同一の共有グループに属するユーザがあるかどうかを判断する。“Yes”と判断すると、ステップS43に移行する。“No”と判断すると、再びステップS41に戻り、ユーザの次の行動の発生を待機する。
【0063】ステップS43、S44:類似行動モジュール145は、共有グループ内のユーザの行動について、類似関係にあるものがあるか否かを判断する(S43)。この判断は、例えばアクセスしたURLの属するカテゴリが同じであるか否か、あるいは類似しているか否かにより判断するとよい。URLのカテゴリは、既存のDBを用いて取得しても良いし、新たにURLをカテゴライズしたDBを構築しても良い。行動が類似するユーザが存在する場合、類似行動グループを決定し、ユーザに通知したり、別の通信手段によるコミュニケーションを提供したりする。
【0064】[画面例]図16は、類似行動グループの通知例である。同図(a1)〜(a3)は、3人のユーザ「露崎夏美」、「深田喜子」、「浜崎亜美」からなる共有グループを定めるバディリストである。同図(b1)〜(b3)は、これらのユーザがアクセスしたウェブページの例である。ユーザ「露崎」はテニス道具を、「深田」はウインブルドンの日程を、「浜崎」は神戸のテニスクラブ一覧を、ウェブページ上でそれぞれ参照している。各ユーザの行動は、テニス関連のウェブページを参照した点で共通している。
【0065】同図(c1)〜(c3)は、類似行動グループを示す画面例である。この図では、システム側で類似行動グループに適当なタイトル「テニスグループ」をつけて表示している。タイトルは、3人のユーザ「露崎夏美」、「深田喜子」、「浜崎亜美」の行動に共通する内容を表すことが好ましい。図示していないが、前記図1313(c1)と同様に、類似行動グループのユーザには通信手段の選択画面が表示される。
【0066】<他の実施形態例>(A)前述した本発明の方法を実行するプログラムを記録した記録媒体は、本発明に含まれる。ここで記録媒体としては、コンピュータが読み書き可能なフロッピーディスク、ハードディスク、半導体メモリ、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク(MO)、その他のものが挙げられる。
【0067】<付記>(付記1)請求項1ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換関係促進方法。
【0068】(付記2)請求項2ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係及び前記交換関係の属性情報を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しており、かつ設定されている属性が類似しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換促進方法。
【0069】(付記3)請求項3ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムであって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する手段と、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを提示する手段と、を有する情報交換システム。
【0070】(付記4)請求項4ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムであって、ユーザ間に設定された情報交換関係を記憶する手段と、前記記憶されている情報交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザと、当該グループのコミュニケーションを可能とするコミュニケーション手段とを提示する手段と、を有する情報交換システム。
【0071】(付記5)請求項5ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法を実行するためのプログラムが記憶された記録媒体であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する処理と、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する処理と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザに通知する処理と、を含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0072】(付記6)ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係及び各ユーザ間で交換されたアウェアネス情報を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しており、かつ、交換されたアウェアネス情報の内容が類似しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換関係促進方法。
【0073】共有関係の成立に加え、互いに類似している情報を交換しているユーザグループを抽出し、グループ内ユーザに通知する。例えば、ユーザA,B,C,Dからなる共有関係のグループがあったとする。この中で、ユーザA,B,Cの間では車関係の情報をそれぞれ1対1で交換しているとする。この場合、車関係の情報の共有関係が、ユーザA,B,Cに成立している。これを、ユーザA,B,Cに通知すれば、これらのユーザはグループ間で車関係の情報を交換することができる。
【0074】(付記7)ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶し、さらに各ユーザの実施した行動を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しており、かつ、記憶されたユーザの行動が類似しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換関係促進方法。
【0075】例えば、共有関係が成立する第1ユーザグループに含まれるユーザA,C,Bが、ある1日においてアクセスしたURL(Uniform Resource Locator)が互いに類似している場合、ユーザA、B、Cからなる第2ユーザグループの存在がユーザに通知される。URLが類似されているか否かは、例えばURLが属するカテゴリが同じか否か、類似か否かなどにより判断することができる。
【0076】
【発明の効果】本発明を用いれば、ネットワーク上で情報交換するユーザ間の関係から偶然に発生する共有関係を用い、ユーザグループでの緊密なコミュニケーションを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)共有関係の成立を示す説明図。
(b)一部の共有関係の成立及び共有関係の不成立を示す説明図。
【図2】第1実施形態例に係る情報交換促進システムの全体構成図。
【図3】アウェアネス情報DBの概念説明図。
【図4】交換関係DBの概念説明図。
【図5】行動DBの概念説明図。
【図6】共有関係生成処理の流れを示すフローチャート。
【図7】共有グループの通知画面例。
【図8】類似情報の共有関係生成処理の流れを示すフローチャート。
【図9】類似情報グループの説明図。
【図10】類似情報グループの通知画面例。
【図11】類似属性の共有関係生成処理の流れを示すフローチャート。
【図12】類似属性グループの説明図。
【図13】類似属性グループの通知画面例。
【図14】類似行動の共有関係生成処理の流れを示すフローチャート。
【図15】類似行動グループの説明図。
【図16】類似行動グループの通知画面例。
【符号の説明】
1;アウェアネスサーバ
2;ユーザ端末
3;ネットワーク
11;アウェアネス情報DB
12;交換関係DB
13;アウェアネスサービスモジュール
14;情報交換促進モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換関係促進方法。
【請求項2】ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係及び前記交換関係の属性情報を記憶し、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しており、かつ設定されている属性が類似しているユーザを抽出してグループ化し、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを通知する、情報交換促進方法。
【請求項3】ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムであって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する手段と、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザを提示する手段と、を有する情報交換システム。
【請求項4】ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムであって、ユーザ間に設定された情報交換関係を記憶する手段と、前記記憶されている情報交換関係に基づいて、全てのユーザの組み合わせについて相互に交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する手段と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザと、当該グループのコミュニケーションを可能とするコミュニケーション手段とを提示する手段と、を有する情報交換システム。
【請求項5】ユーザがアウェアネス情報の交換関係を他のユーザと個別に設定するアウェアネス情報交換システムに用いられる情報交換促進方法を実行するためのプログラムが記憶された記録媒体であって、ユーザ間に設定されたアウェアネス情報の交換関係を記憶する処理と、前記記憶されている交換関係に基づいて、全てのユーザ間の交換関係が成立しているユーザを抽出してグループ化する処理と、グループ化されたユーザに対して、生成されたグループおよびグループを構成するユーザに通知する処理と、を含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2002−73791(P2002−73791A)
【公開日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−259341(P2000−259341)
【出願日】平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】