説明

情報伝送方法、基地局装置及び移動局装置

【課題】キャリアアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うこと。
【解決手段】複数の異なるキャリアを用いる情報伝送方法であって、システムで用いる帯域に第1のキャリア及び第2のキャリアが含まれ、前記第1のキャリアにのみシステム制御情報を割り当て、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちらか又は双方に共有チャネルを割り当てるステップと、前記システム制御情報を前記第1のキャリアで伝送し、前記共有チャネルを前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちら又は双方で伝送するステップと、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝送方法、基地局装置及び移動局装置に関し、特に、スペクトルアグリゲーションを利用した情報伝送方法、基地局装置及び移動局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいては、周波数利用効率の向上、データレートの向上を目的として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)を採用することにより、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)をベースとしたシステムの特徴を最大限に引き出すことが行われている。このUMTSネットワークについては、更なる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
第3世代のシステムは、概して5MHzの固定帯域を用いて、下り回線で最大2Mbps程度の伝送レートを実現できる。一方、LTE方式のシステム(LTEシステム)においては、1.4MHz〜20MHzの可変帯域を用いて、下り回線で最大300Mbps及び上り回線で75Mbps程度の伝送レートを実現できる。また、UMTSネットワークにおいては、更なる広帯域化及び高速化を目的として、LTEの後継のシステムも検討されている(例えば、LTEアドバンスト(LTE−A))。
【0004】
例えば、LTE−A方式のシステム(LTE−Aシステム)においては、LTE仕様の最大システム帯域である20MHzを、100MHz程度まで拡張することが予定されている。また、LTE−Aシステムのシステム帯域においては、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つの基本周波数ブロックとすることが予定されている。LTE−Aでは、この基本周波数ブロックをコンポーネントキャリア(CC)と呼ぶ。このように複数の基本周波数ブロックを結合して広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP, TR25.912 (V7.1.0), "Feasibility study for Evolved UTRA and UTRAN", Sept. 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したキャリアアグリゲーションにおいては、周波数的に隣接するコンポーネントキャリアを集めることで、例えば、100MHz程度以上の送信帯域幅を確保し、広帯域伝送を実現するものである。しかしながら、複数の通信キャリアが共通する無線リソースを利用する環境においては、100MHz程度以上の連続した周波数スペクトルを確保することは簡単なことではない。このため、LTE−Aにおいては、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトル(例えば、コンポーネントキャリア)を集めて広帯域の送信帯域幅を確保するスペクトルアグリゲーションもサポートしている。このスペクトルアグリゲーションの導入により、連続した周波数スペクトルが確保できない場合においても、広帯域伝送が実現可能となっている。
【0007】
しかしながら、このスペクトルアグリゲーションにおいては、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトルを利用することに起因して種々の問題が指摘されている。例えば、スペクトルアグリゲーションにおいては、情報伝送に利用される周波数スペクトルによって伝搬路損失(パスロス)が異なることから、制御情報が所要の受信品質を満たす範囲が異なり、効率的にセルを配置することができないという問題がある。また、異なる周波数スペクトルの全ての制御情報を復調する必要があることから、移動局装置UEにおいて、異なる周波数スペクトルに割り当てられる制御情報を受信回路でモニタリングする必要があり、電力消費が大きくなるという問題もある。このような問題を有する結果、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが困難となっている。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことができる情報伝送方法、基地局装置及び移動局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の異なるキャリアを用いる情報伝送方法であって、システムで用いる帯域に第1のキャリア及び第2のキャリアが含まれ、前記第1のキャリアにのみシステム制御情報を割り当て、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちらか又は双方に共有チャネルを割り当てるステップと、前記システム制御情報を前記第1のキャリアで伝送し、前記共有チャネルを前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちら又は双方で伝送するステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】LTE及びLTE-Aシステムのシステム帯域を説明するための図である。
【図2】スペクトルアグリゲーションの概要について説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る移動通信システムの構成を説明するための図である。
【図4】上記実施の形態に係る基地局装置の送信部を示すブロック図である。
【図5】上記実施の形態に係る移動局装置の受信部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明に係るスペクトルアグリゲーションを利用した情報伝送方法を説明する前に、LTE-Aシステムのシステム帯域について説明する。図1は、LTE及びLTE-Aシステムのシステム帯域を説明するための図である。なお、図1においては、複数の基本周波数ブロックで構成されるLTE−Aシステムと、一つの基本周波数ブロックで構成されるLTEシステムが併存する場合の階層型帯域幅構成のシステム帯域を示している。
【0013】
図1に示すように、LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信し、LTEシステムにおいては、20MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする、少なくとも一つの基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア(CC))で構成されている。そして、複数のコンポーネントキャリアを結合することにより広帯域化が実現されている(キャリアアグリゲーション)。
【0014】
例えば、図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を一つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1において、移動局装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動局装置であり、100MHzまでのシステム帯域に対応可能である。UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動局装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)までのシステム帯域に対応可能である。UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動局装置であり、20MHz(ベース帯域)までのシステム帯域に対応可能である。
【0015】
上述したキャリアアグリゲーションにおいては、周波数的に隣接するコンポーネントキャリアを集めることで、例えば、100MHz程度以上の送信帯域幅を確保し、広帯域伝送を実現するものである。しかしながら、複数の通信キャリアが共通する無線リソースを利用する環境においては、100MHz程度以上の連続した周波数スペクトルを確保することは簡単なことではない。特に、周波数スペクトルの利用認可が厳しい欧米等において、独立した通信キャリアが100MHz程度以上の連続した周波数スペクトルを確保することが困難である。
【0016】
このため、LTE−Aにおいては、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトル(例えば、コンポーネントキャリア)を集めて広帯域の送信帯域幅を確保するスペクトルアグリゲーションもサポートしている。ここで、スペクトルアグリゲーションの概要について説明する。図2は、スペクトルアグリゲーションの概要について説明するための図である。なお、以下においては、説明の便宜上、スペクトルアグリゲーションの対象となる周波数スペクトルを含む送信帯域として、2GHzを中心周波数とし、100MHzの送信帯域幅を有する2GHz帯域と、3.5GHzを中心周波数とし、100MHzの送信帯域幅を有する3.5GHz帯域とを示している。さらに、2GHz帯域を構成するコンポーネントキャリア(CC)をCC#1〜#5と呼び、3.5GHz帯域を構成するコンポーネントキャリアをCC#11〜#15と呼ぶものとする。
【0017】
図2に示すように、100MHzの送信帯域幅を確保する場合、スペクトルアグリゲーションにおいては、例えば、2GHz帯域を構成する周波数スペクトルであるCC#2、#3と、3.5GHz帯域を構成する周波数スペクトルであるCC#13〜#15とを利用することができる。スペクトルアグリゲーションにおいては、このように周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在するCC#2、#3と、CC#13〜#15とで構成される100MHzの送信帯域を利用して情報伝送を行うことで、連続した周波数スペクトルが確保できない場合においても、広帯域伝送が実現可能となっている。
【0018】
しかしながら、スペクトルアグリゲーションにおいては、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトルを利用することに起因して種々の問題が指摘されている。例えば、スペクトルアグリゲーションにおいては、情報伝送に利用される周波数スペクトルによって伝搬路損失(パスロス)が異なることから、制御情報が所要の受信品質を満たす範囲が異なり、効率的にセルを配置することができないという問題がある。
【0019】
図2に示す例を用いると、2GHz帯域の周波数スペクトルを用いて情報伝送を行う場合と、3.5GHz帯域の周波数スペクトルを用いて情報伝送を行う場合とでは、パスロスが大きく異なり、後者の方が大きくなる。一般にセルラシステムにおけるセルの配置は、制御情報(制御チャネル信号等)を所要の受信品質で通信可能な範囲(以下、適宜「制御情報通信可能範囲」という)で決定される。しかしながら、図2に示すスペクトラムアグリゲーションにおいては、3.5GHz帯域の周波数スペクトルにおけるパスロスが2GHz帯域の周波数スペクトルよりも大きいことから、制御情報通信可能範囲が2GHz帯域の周波数スペクトルの制御情報通信可能範囲よりも狭くなる。このため、2GHz帯域の周波数スペクトルに合わせてセルを配置すると、3.5GHz帯域の周波数スペクトルにおける制御情報を復調することができない事態が生じ得る。一方、3.5GHz帯域の周波数スペクトルに合わせてセルを配置すると、セル半径が小さくなり、基地局装置eNodeBの数が増大してコストが上昇する。スペクトラムアグリゲーションにおいては、これらの実情を考慮しなくてはならず、効率的にセルを配置することができない。
【0020】
また、スペクトルアグリゲーションにおいては、異なる周波数スペクトルの全ての制御情報を復調する必要があることから、移動局装置UEにおいて、異なる周波数スペクトルに割り当てられる制御情報を受信回路でモニタリングする必要があり、この受信回路の駆動に伴って電力消費が大きくなるという問題もある。図2に示す例を用いると、移動局装置UEにおいては、2GHz帯域の周波数スペクトルに割り当てられる制御情報と、3.5GHz帯域の周波数スペクトルに割り当てられる制御情報とを常にモニタリングし、検出時に復調を行うという処理が必要となることから、このような受信回路の駆動に伴って電力消費が大きくなる。
【0021】
これらの問題点は、スペクトルアグリゲーションにおいて、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのパスロスが異なる点に起因する。すなわち、異なる周波数スペクトルのパスロスが異なることから、制御情報通信可能範囲に広狭が生じ、効率的にセルを配置することができない事態や、異なる周波数スペクトルにおける制御情報のモニタリングに要する受信回路の消費電力が増大する事態が発生すると考えられる。本発明者は、スペクトルアグリゲーションを利用して広帯域伝送を行う場合における種々の問題が、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのパスロスが異なる点に起因する点に着目し、本発明に至ったものである。
【0022】
このような観点から、本発明に係る情報伝送方法においては、スペクトルアグリゲーションにおいて、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのうち、パスロスが小さい周波数スペクトルに通信品質が要求される第1の情報を割り当てる一方、パスロスが大きい周波数スペクトルに第1の情報より通信品質が要求されない第2の情報を割り当てるようにしたものである。これにより、例えば、制御情報などの高い通信品質(受信品質)が要求される第1の情報がパスロスの小さい周波数スペクトルに限定して伝送されることから、移動局装置UEでこの第1の情報を活用することで、異なる周波数スペクトル間のパスロスが異なる点に起因する種々の問題を解消できるので、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0023】
以下においては、説明の便宜上、パスロスの小さい相対的に低い周波数スペクトルを「アンカースペクトル」と呼び、パスロスの大きい相対的に高い周波数スペクトルを「ペイロードスペクトル」と呼ぶものとする。図2に示す例においては、2GHz帯域に含まれるCC#2、#3で構成される周波数スペクトルがアンカースペクトルを構成し、3.5GHz帯域に含まれるCC#13〜#15で構成される周波数スペクトルがペイロードスペクトルを構成する。これらのアンカースペクトル及びペイロードスペクトルは、LTEシステムのシステム帯域を構成するコンポーネントキャリアで構成しても良いし、コンポーネントキャリア内の一部の周波数スペクトルで構成しても良い。また、アンカースペクトル及びペイロードスペクトルは、それぞれ単一の周波数スペクトルで構成しても良いし、複数の周波数スペクトルで構成しても良い。
【0024】
本発明の第1の態様に係る情報伝送方法においては、伝送される情報に要求される受信品質に応じて割り当てる周波数スペクトル(アンカースペクトル、ペイロードスペクトル)を選択するものである。具体的には、アンカースペクトルに第1の情報として、相対的に受信品質の要求が高い情報を割り当てる一方、ペイロードスペクトルに第2の情報として、相対的に受信品質の要求が低い情報を割り当てる。
【0025】
第1の態様に係る情報伝送方法においては、例えば、伝送対象とされる情報の種別に応じて割り当てられる周波数スペクトルが選択される。例えば、アンカースペクトルに割り当てられる第1の情報には、ユーザデータの通信制御に必要となる制御情報が含まれる。一方、ペイロードスペクトルに割り当てられる情報には、ユーザデータ(共有チャネル信号(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel))が含まれる。
【0026】
なお、アンカースペクトルに割り当てられる制御情報には、例えば、システム固有又はセル固有の制御情報を送信する報知チャネル信号(BCH:Broadcast Channel)、ページングのためのページングチャネル信号、セルサーチのための同期信号(SS:Synchronization Signals)、下りリンク用のLayer1(L1)/Layer2(L2)制御情報(DCI:Downlink Control Information)及び上りリンク用の制御情報が含まれる。ここで、DCIには、リソースブロック(RB:Resource Block)割り当て情報、変調方式、トランスポートブロック(TB:Transport Block)サイズ、HARQ(Hybrid ARQ)関連情報、MIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送関連情報が含まれる。また、上りリンク用の制御情報には、HARQのACK(Acknowledgement)/NACK(Negative-Acknowledgement)情報が含まれる。
【0027】
第1の態様に係る情報伝送方法によれば、制御情報などの受信品質の要求が高い情報がアンカースペクトルで伝送されることから、受信品質の要求が高い情報を安定して移動局装置UEに伝送することができるので、重要性が高い情報を高精度に移動局装置UEに伝えることが可能となる。
【0028】
特に、受信品質の要求が高い情報として制御情報が伝送される場合には、制御情報がアンカースペクトルのみで伝送されることから、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのパスロスの相違を考慮することなく、アンカースペクトルの制御情報通信可能範囲に合わせてセルを配置することができるので、効率的にセルを配置することが可能となる。
【0029】
また、第1の態様に係る情報伝送方法において、受信品質の要求が高い情報として制御情報が伝送される場合には、制御情報がアンカースペクトルのみで伝送されることから、アンカースペクトルに割り当てられる制御情報をモニタリングする受信回路のみを駆動すれば済むので、アンカースペクトル及びペイロードスペクトルの双方に割り当てられる制御情報をモニタリングする場合に比べて電力消費を低減することが可能となる。
【0030】
特に、第1の態様に係る情報伝送方法においては、移動局装置UEにおけるハンドオーバー処理をアンカースペクトルで送信される参照信号(パイロット信号)の受信品質測定により行うこともできる。このようにアンカースペクトルで送信される参照信号の受信品質測定によりハンドオーバー処理を行う場合には、待ち受け時における周辺セルサーチに要する消費電力を低減することが可能となる。
【0031】
さらに、第1の態様に係る情報伝送方法を適用する場合、アンカースペクトルを世界共通の周波数スペクトルに設定しておくことにより、ローミング処理も柔軟に対応することが可能となる。この場合には、ペイロードスペクトルを地域又は国固有の周波数スペクトルに設定する場合においても、アンカースペクトルの制御情報を復調することにより、ペイロードスペクトルの情報を取得することができるので、ローミング処理を柔軟に実現することが可能となる。
【0032】
なお、以上の説明においては、アンカースペクトルで制御情報のみを伝送する場合について説明しているが、アンカースペクトルで伝送する対象は、これに限定されるものではない。例えば、ユーザデータの一部をアンカースペクトルで伝送するようにしても良い。すなわち、アンカースペクトルで伝送される情報に制御情報が含まれていれば、制御情報以外の情報を伝送するようにしても良い。この場合には、アンカースペクトルもユーザデータの一部の伝送に利用することができるので、スペクトルアグリゲーションを利用してより効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0033】
本発明の第2の態様に係る情報伝送方法においては、伝送される情報に要求されるサービス品質(QoS:Quality of Service)に応じて割り当てる周波数スペクトル(アンカースペクトル、ペイロードスペクトル)を選択するものである。具体的には、アンカースペクトルに第1の情報として、相対的にQoSの要求が高いユーザデータ(共有チャネル信号(PDSCH))を割り当てる一方、ペイロードスペクトルに第2の情報として、相対的にQoSの要求が低いユーザデータ(共有チャネル信号(PDSCH))を割り当てる。
【0034】
第2の態様に係る情報伝送方法においては、例えば、伝送対象とされるユーザデータの遅延要求条件の程度に応じて割り当てる周波数スペクトルが選択される。すなわち、アンカースペクトルに割り当てられるユーザデータには、音声データ(Voiceデータ)やストリーミングデータなどの遅延要求条件の厳しい実時間(RT:Real Time)型トラヒックデータが含まれる。一方、ペイロードスペクトルに割り当てられるユーザデータには、移動局装置UEで表示されるウェブサイトにおけるダウンロードデータなどの遅延の要求条件の緩やかな非実時間(NRT:Non-Real Time)型トラヒックデータが含まれる。
【0035】
なお、第2の態様に係る情報伝送方法において、周波数スペクトルを選択する際に判断される基準は、伝送対象とされるユーザデータの遅延要求条件の程度に限定されるものではない。
【0036】
第2の態様に係る情報伝送方法によれば、RT型トラヒックデータなどのQoSの要求が高いユーザデータがアンカースペクトルで伝送されることから、QoSの要求が高いユーザデータを安定して移動局装置UEに伝送することができるので、伝送対象とされるユーザデータのQoSを向上することが可能となる。特に、RT型トラヒックデータが伝送対象となるユーザデータである場合には、トラヒックデータの欠落等を発生し難くすることができるので、精度良くRT型トラヒックデータを伝送することが可能となる。
【0037】
なお、NRT型トラヒックデータなどのQoSの要求が低いユーザデータがペイロードスペクトルで伝送されるが、例えば、HARQによる再送制御を用いた品質補償を行う等の対応策を採用することにより、パスロスが大きいペイロードスペクトルを利用して伝送される場合においても、ユーザデータが適切に受信できない事態は最小限に抑制することが可能である。
【0038】
本発明の第3の態様に係る情報伝送方法においては、基地局装置eNodeBと移動局装置UEとの間の通信状態に応じて割り当てる周波数スペクトル(アンカースペクトル、ペイロードスペクトル)を選択するものである。例えば、第3の態様に係る情報伝送方法においては、通信状態が悪い第3の情報をアンカースペクトルに割り当てる一方、第3の情報よりも通信状態が良好な第4の情報をペイロードスペクトルに割り当てる。具体的には、アンカースペクトルに第3の情報として、相対的に基地局装置eNodeBとの間のパスロスが大きい移動局装置UEに対するユーザデータ(共有チャネル信号(PDSCH))を割り当てる一方、ペイロードスペクトルに第4の情報として、相対的に基地局装置eNodeBとの間のパスロスが小さい移動局装置UEに対するユーザデータを割り当てる。
【0039】
第3の態様に係る情報伝送方法においては、例えば、基地局装置eNodeBが管理するセル内における移動局装置UEの位置に応じて割り当てる周波数スペクトルが選択される。すなわち、アンカースペクトルに割り当てられるユーザデータには、基地局装置eNodeBが管理するセルの端部周辺に位置する移動局装置UEに対するユーザデータが含まれる。一方、ペイロードスペクトルに割り当てられるユーザデータには、基地局装置eNodeBが管理するセルの中央周辺に位置する移動局装置UEに対するユーザデータが含まれる。
【0040】
なお、第3の態様に係る情報伝送方法において、周波数スペクトルを選択する際に判断される基準は、セル内における移動局装置UEの位置に限定されるものではない。
【0041】
第3の態様に係る情報伝送方法によれば、通信状態が悪い第3の情報をアンカースペクトルに割り当てる一方、第3の情報よりも通信状態が良好な第4の情報をペイロードスペクトルに割り当てることから、例えば、通信状態の悪い移動局装置UEに対するユーザデータをアンカースペクトルで伝送できるので、通信状態の悪い移動局装置UEに対する情報伝送を、受信品質を最大限に確保しながら行うことが可能となる。
【0042】
特に、第3の態様に係る情報伝送方法においては、基地局装置eNodeB間のパスロスが大きい移動局装置UEに対するユーザデータがアンカースペクトルで伝送されることから、パスロスが大きい移動局装置UEに対するユーザデータを安定して伝送することができるので、当該ユーザデータの受信品質を最大限に確保しながら情報伝送を行うことが可能となる。特に、セルの端部周辺に位置する移動局装置UEに対するユーザデータが伝送対象である場合には、当該移動局装置UEにおけるスループット特性を向上することができるので、システム全体のスループット特性を向上することが可能となる。
【0043】
なお、基地局装置eNodeB間のパスロスが大きい移動局装置UEに対するユーザデータがペイロードスペクトルで伝送されるが、第2の態様に係る情報伝送方法と同様に、例えば、HARQによる再送制御を用いた品質補償を行う等の対応策を採用することにより、パスロスが大きいペイロードスペクトルを利用して伝送される場合においても、ユーザデータが適切に受信できない事態は最小限に抑制することが可能である。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、LTE−Aシステムに対応する基地局装置及び移動局装置を用いる場合について説明する。
【0045】
図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る移動局装置(UE)10及び基地局装置(eNodeB)20を有する移動通信システム1について説明する。図3は、本発明の一実施の形態に係る移動局装置10及び基地局装置20を有する移動通信システム1の構成を説明するための図である。なお、図3に示す移動通信システム1は、例えば、LTEシステム又はSUPER 3Gが包含されるシステムである。また、この移動通信システム1は、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
【0046】
図3に示すように、移動通信システム1は、基地局装置20と、この基地局装置20と通信する複数の移動局装置10(10、10、10、・・・10、nはn>0の整数)とを含んで構成されている。基地局装置20は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。移動局装置10は、セル50において基地局装置20と通信を行っている。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0047】
各移動局装置(10、10、10、・・・10)は、同一の構成、機能、状態を有するので、以下においては、特段の断りがない限り移動局装置10として説明を進める。また、説明の便宜上、基地局装置20と無線通信するのは移動局装置10であるものとして説明するが、より一般的には移動局装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。
【0048】
移動通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0049】
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクについては、各移動局装置10で共有されるPDSCHと、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とが用いられる。このPDSCHにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。送信データは、このユーザデータに含まれる。なお、基地局装置20で移動局装置10に割り当てたコンポーネントキャリアCCやスケジューリング情報は、L1/L2制御チャネルにより移動局装置10に通知される。
【0050】
上りリンクについては、各移動局装置10で共有して使用されるPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とが用いられる。このPUSCHにより、ユーザデータが伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)等が伝送される。
【0051】
次に、図4を参照して本実施の形態に係る基地局装置20の送信部の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係る基地局装置20の送信部の構成を示すブロック図である。なお、図4に示す基地局装置20においては、説明の便宜上、本発明に係る情報伝送方法に関連する構成のみを示しているが、受信部を含む通常の基地局装置が備える構成は備えているものとする。
【0052】
なお、図4に示す基地局装置20においては、上述した第1、第2の態様に係る情報伝送方法が併せて適用される場合について示している。すなわち、基地局装置20においては、伝送される情報に要求される受信品質に応じて割り当てる周波数スペクトル(アンカースペクトル、ペイロードスペクトル)が選択されると共に、伝送される情報に要求されるQoSに応じて割り当てる周波数スペクトルが選択される場合について示している。前者においては、第1の情報が制御情報であり、第2の情報がユーザデータである場合について示している。後者においては、第1の情報が音声データであるVoiceデータであり、第2の情報がダウンロードデータ等の非Voiceデータである場合について示している。図4においては、移動局装置UE#1〜#Mに対するVoiceデータを「Voiceデータ#1〜#M」と示し、移動局装置UE#1〜#Nに対する非Voiceデータを「非Voiceデータ#1〜#N」と示している。
【0053】
図4に示す基地局装置20の送信部において、スケジューリング対象となるユーザデータ(以下、「スケジューリング対象データ」という)は、不図示の上位局装置30からQoSスケジューラ201に出力される。ここで、スケジューリング対象データには、Voiceデータ及び非Voiceデータが含まれているものとする。QoSスケジューラ201は、割り当て手段を構成するものであり、入力されたユーザデータに要求されるQoSに基づいてスケジューリングを行う(無線リソースの割り当て)。この場合、QoSスケジューラ201は、Voiceデータをアンカースペクトルに対応する無線リソースに優先的に割り当て、非Voiceデータをペイロードスペクトルに対応する無線リソースに割り当てるスケジューリング情報を生成する。ここで、生成されたスケジューリング情報は、後述する共有データチャネル信号生成部203のサブキャリアマッピング部232に出力される。
【0054】
また、スケジューリング対象データの伝送に必要となる制御情報を含む個別制御チャネル信号(PDCCH)は、個別制御チャネル信号生成部202に出力され、スケジューリング対象データに含まれるユーザデータ(Voiceデータ、非Voiceデータ)を含む共有データチャネル信号(PDSCH)は、共有データチャネル信号生成部203に出力される。個別制御チャネル信号生成部202は、各移動局装置UEに対する制御チャネル信号(PDCCH)を生成する部分であり、共有データチャネル信号生成部203は、PDSCHに対応する無線リソースを共有して送信される共有データチャネル信号を生成する部分である。
【0055】
個別制御チャネル信号生成部202において、Voiceデータ#1に関する制御チャネル信号は、チャネル符号化部211に入力される。チャネル符号化部211でチャネル符号化された後、データ変調部221に出力される。そして、データ変調部221にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部231に出力される。同様に、Voiceデータ#Mに関する制御チャネル信号は、チャネル符号化部212に入力される。チャネル符号化部212でチャネル符号化された後、データ変調部222に出力される。そして、データ変調部222にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部231に出力される。不図示のVoiceデータ#2〜#M−1に関する制御チャネル信号についても同様である。
【0056】
また、個別制御チャネル信号生成部202において、非Voiceデータ#1に関する制御チャネル信号は、チャネル符号化部213に入力される。チャネル符号化部213でチャネル符号化された後、データ変調部223に出力される。そして、データ変調部223にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部231に出力される。非Voiceデータ#Nに関する制御チャネル信号は、チャネル符号化部214に入力される。チャネル符号化部214でチャネル符号化された後、データ変調部224に出力される。そして、データ変調部224にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部231に出力される。不図示の非Voiceデータ#2〜#N−1に関する制御チャネル信号についても同様である。
【0057】
サブキャリアマッピング部231においては、データ変調部221、222等から入力されたVoiceデータ#1〜#Mに関する制御チャネル信号と、データ変調部223、224等から入力された非Voiceデータ#1〜#Nに関する制御チャネル信号とをサブキャリアにマッピングする。この場合、これらのVoiceデータ#1〜#Mに関する制御チャネル信号及び非Voiceデータ#1〜#Nに関する制御チャネル信号は、アンカースペクトルにマッピングされ、後述する各物理チャネル多重部205に出力される。
【0058】
共有データチャネル信号生成部203において、Voiceデータ#1は、チャネル符号化部215に入力される。チャネル符号化部215でチャネル符号化された後、データ変調部225に出力される。そして、データ変調部225にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部232に出力される。同様に、Voiceデータ#Mは、チャネル符号化部216に入力される。チャネル符号化部216でチャネル符号化された後、データ変調部226に出力される。そして、データ変調部226にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部232に出力される。不図示のVoiceデータ#2〜#M−1についても同様である。
【0059】
また、共有データチャネル信号生成部203において、非Voiceデータ#1は、チャネル符号化部217に入力される。チャネル符号化部217でチャネル符号化された後、データ変調部227に出力される。そして、データ変調部227にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部232に出力される。非Voiceデータ#Nは、チャネル符号化部218に入力される。チャネル符号化部218でチャネル符号化された後、データ変調部228に出力される。そして、データ変調部228にてデータ変調された後、サブキャリアマッピング部232に出力される。不図示の非Voiceデータ#2〜#N−1についても同様である。
【0060】
サブキャリアマッピング部232においては、データ変調部221、222等から入力されたVoiceデータ#1〜#Mと、データ変調部223、224等から入力された非Voiceデータ#1〜#Nとを、QoSスケジューラ201から与えられたスケジューリング情報に従ってサブキャリアにマッピングする。この場合、非Voiceデータ#1〜#Nは、ペイロードスペクトルを構成するサブキャリアにマッピングされ、後述する逆高速フーリエ変換部(IFFT部)206bに出力される。一方、Voiceデータ#1〜#Mは、アンカースペクトルにマッピングされ、後述する各物理チャネル多重部205に出力される。
【0061】
共通制御チャネル信号生成部204は、同期信号、報知チャネル信号及びページングチャネル信号を含む共通制御チャネル信号を生成する。生成された共通制御チャネル信号は、各物理チャネル多重部205に出力される。各物理チャネル多重部205は、サブキャリアマッピング部231から入力されたVoiceデータ#1〜#M及び非Voiceデータ#1〜#Nに関する制御チャネル信号、サブキャリアマッピング部232から入力されたVoiceデータ#1〜#M、並びに、共通制御信号生成部204から入力された共通制御信号を多重する。
【0062】
各物理チャネル多重部205で多重された送信信号は、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)206aにて逆高速フーリエ変換して周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。そして、サイクリックプレフィクス(CP)付加部207aにてCPが付加された後、RF送信回路208aへ出力される。そして、RF送信回路208aで無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施された後、送信アンテナTX#1を介してアンカースペクトルにより該当する移動局装置UEに送出される。なお、これらの各物理チャネル多重部205、逆高速フーリエ変換部206a、サイクリックプレフィクス付加部207a、RF送信回路208a及び送信アンテナTX#1は、第1の伝送手段を構成する。
【0063】
一方、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)206bにおいては、サブキャリアマッピング部232から入力された非Voiceデータ#1〜#Nを逆高速フーリエ変換して周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。時間領域の信号に変換された送信信号は、サイクリックプレフィクス(CP)付加部207bにてCPが付加された後、RF送信回路208bへ出力される。そして、RF送信回路208bで無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施された後、送信アンテナTX#2を介してペイロードスペクトルにより該当する移動局装置UEに送出される。なお、これらの逆高速フーリエ変換部206b、サイクリックプレフィクス付加部207b、RF送信回路208b及び送信アンテナTX#2は、第2の伝送手段を構成する。
【0064】
なお、図4に示す基地局装置20の構成においては、アンカースペクトルで送信信号を送信する単一の送信アンテナTX#1と、ペイロードスペクトルで送信信号を送信する単一の送信アンテナTX#2とを備える場合について説明している。しかしながら、これらの送信アンテナTXの数については、これに限定されるものではなく、それぞれ複数の送信アンテナTXを備えるようにしても良い。
【0065】
このように本実施の形態に係る基地局装置20においては、制御チャネル信号がアンカースペクトルのみで伝送されることから、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのパスロスの相違を考慮することなく、アンカースペクトルの制御情報通信可能範囲に合わせてセルを配置することができるので、効率的にセルを配置することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態に係る基地局装置20においては、Voiceデータがアンカースペクトルで伝送されると共に、非Voiceデータがペイロードスペクトルで伝送されることから、QoSの要求が高いVoiceデータを安定して移動局装置10に伝送することができるので、VoiceデータのQoSを向上することが可能となる。
【0067】
次に、図5を参照して本実施の形態に係る移動局装置10の受信部の構成について説明する。図5は、本実施の形態に係る移動局装置10の受信部の構成を示すブロック図である。なお、図5に示す移動局装置10においては、説明の便宜上、本発明に係る情報伝送方法に関連する構成のみを示しているが、送信部を含む通常の移動局装置が備える構成は備えているものとする。
【0068】
図5に示す移動局装置10において、基地局装置20からアンカースペクトルにて送信された送信信号は、受信アンテナRX#1により受信され、RF受信回路101aに出力される。そして、RF受信回路101aにて、無線周波数信号からベースバンド信号に変換する周波数変換処理が施された後、CP除去部102aにより受信信号に付与されたサイクリックプレフィクスが除去され、高速フーリエ変換部(FFT部)103aに出力される。
【0069】
受信タイミング推定部104aは、RF受信回路101aから出力された受信信号を取得し、例えば、この受信信号に含まれるリファレンス信号から受信タイミング(FFT処理タイミング)を推定し、FFT部103aに通知する。RF受信回路101aからの受信信号は、FFT部103aにおいて、受信タイミング推定部104aから通知された受信タイミングに応じてフーリエ変換され、時系列の信号から周波数領域の信号に変換される。そして、受信信号に含まれる制御チャネル信号は、サブキャリアデマッピング部105aに出力される一方、受信信号に含まれるVoiceデータ#1〜#Mは、サブキャリアデマッピング部105bに出力される。なお、これらの、受信アンテナRX#1、RF受信回路101a、CP除去部102a、高速フーリエ変換部103a及び受信タイミング推定部104aは、第1の受信手段の一部を構成する。
【0070】
一方、基地局装置20からペイロードスペクトルにて送信された送信信号は、受信アンテナRX#2により受信され、RF受信回路101bに出力される。そして、RF受信回路101bにて、無線周波数信号からベースバンド信号に変換する周波数変換処理が施された後、CP除去部102bにより受信信号に付与されたサイクリックプレフィクスが除去され、高速フーリエ変換部(FFT部)103bに出力される。
【0071】
受信タイミング推定部104bは、RF受信回路101bから出力された受信信号を取得し、例えば、この受信信号に含まれるリファレンス信号から受信タイミング(FFT処理タイミング)を推定し、FFT部103bに通知する。RF受信回路101baからの受信信号は、FFT部103bにおいて、受信タイミング推定部104bから通知された受信タイミングに応じてフーリエ変換され、時系列の信号から周波数領域の信号に変換される。そして、受信信号に含まれる制御チャネル信号は、サブキャリアデマッピング部105aに出力される一方、受信信号に含まれる非Voiceデータ#1〜#Nは、サブキャリアデマッピング部105cに出力される。なお、これらの、受信アンテナRX#2、RF受信回路101b、CP除去部102b、高速フーリエ変換部103b及び受信タイミング推定部104bは、第2の受信手段の一部を構成する。
【0072】
なお、図5に示す移動局装置10の構成においては、アンカースペクトルで送信された送信信号を受信する単一の受信アンテナRX#1と、ペイロードスペクトルで送信された送信信号を受信する単一の受信アンテナRX#2とを備える場合について説明している。しかしながら、これらの受信アンテナRXの数については、これに限定されるものではなく、それぞれ複数の受信アンテナRXを備えるようにしても良い。
【0073】
受信信号に含まれる制御チャネル信号は、サブキャリアデマッピング部105aにてデマッピングされて時系列の信号に戻された後、共通制御チャネル信号復調部106及び個別制御チャネル信号復調部107に出力される。チャネル推定部108、109は、それぞれサブキャリアデマッピング部105aから出力された受信信号に含まれるリファレンス信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を共通制御チャネル信号復調部106、個別制御チャネル信号復調部107に通知する。
【0074】
サブキャリアデマッピング部105aから入力された制御チャネル信号に対して、共通制御チャネル信号復調部106にて復調処理が施された後、チャネル復号部110にてチャネル復号処理が施されることで共通制御チャネル信号が再生される。これにより、例えば、基地局装置20から送信された同期信号、報知チャネル信号及びページングチャネル信号を含む共通制御信号が再生される。なお、共通制御チャネル信号復調部106は、第1の復調手段の一部を構成する。
【0075】
サブキャリアデマッピング部105aから入力された制御チャネル信号に対して、個別制御チャネル信号復調部107にて復調処理が施された後、チャネル復号部111にてチャネル復号処理が施されることで、本移動局装置10(ここでは、移動局装置UE#kとする)向けの個別制御チャネル信号(個別制御チャネル信号#k)が再生される。なお、再生された個別制御チャネル信号に含まれるリソース割り当て情報は、サブキャリアマッピング部105b、105cに出力され、トランスポートブロックサイズに関する情報等は、後述するデータチャネル信号復調部112、115に出力される。なお、個別制御チャネル信号復調部107は、第1の復調手段の一部を構成する。
【0076】
一方、受信信号に含まれるVoiceデータ#1〜#Mは、通知されたリソース割り当て情報に基づいてサブキャリアデマッピング部105bにてデマッピングされて時系列の信号に戻された後、データチャネル信号復調部112に出力される。チャネル推定部113は、サブキャリアデマッピング部105bから出力された受信信号に含まれるリファレンス信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態をデータチャネル信号復調部112に通知する。
【0077】
サブキャリアデマッピング部105bから入力されたVoiceデータ#1〜#Mに対して、データチャネル信号復調部112にて復調処理が施された後、チャネル復号部114にてチャネル復号処理が施されることで、本移動局装置10(ここでは、移動局装置UE#kとする)向けのVoiceデータ(Voiceデータ#k)が再生される。なお、データチャネル信号復調部112は、第2の復調手段の一部を構成する。
【0078】
また、受信信号に含まれる非Voiceデータ#1〜#Nは、通知されたリソース割り当て情報に基づいてサブキャリアデマッピング部105cにてデマッピングされて時系列の信号に戻された後、データチャネル信号復調部115に出力される。チャネル推定部116は、サブキャリアデマッピング部105cから出力された受信信号に含まれるリファレンス信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態をデータチャネル信号復調部115に通知する。
【0079】
サブキャリアデマッピング部105cから入力された非Voiceデータ#1〜#Nに対して、データチャネル信号復調部115にて復調処理が施された後、チャネル復号部117にてチャネル復号処理が施されることで、本移動局装置10(ここでは、移動局装置UE#kとする)向けの非Voiceデータ(非Voiceデータ#k)が再生される。なお、データチャネル信号復調部115は、第2の復調手段の一部を構成する。
【0080】
このように本実施の形態に係る移動局装置10においては、基地局装置20からアンカースペクトルのみで送信される制御チャネル信号を受信することから、アンカースペクトルの制御情報をモニタリングする受信回路のみを駆動すれば済むので、複数の受信回路を駆動する場合に比べて電力消費を低減することが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態に係る移動局装置10においては、基地局装置20からアンカースペクトルで送信されるVoiceデータを受信すると共に、ペイロードスペクトルで送信された非Voiceデータを受信することから、QoSの要求が高いVoiceデータを安定して基地局装置20から受信することが可能となる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態に係る情報伝送方法においては、スペクトルアグリゲーションにおいて、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのうち、アンカースペクトルに通信品質が要求される第1の情報を割り当てる一方、ペイロードスペクトルに第1の情報より通信品質が要求されない第2の情報を割り当てるようにした。これにより、通信品質が要求される第1の情報がアンカースペクトルで伝送されることから、第1の情報を安定して移動局装置10に伝送することができる。例えば、第1の情報に制御情報を含めることにより、アンカースペクトル、ペイロードスペクトル間のパスロスの相違を考慮することなく効率的にセルを配置できる等、異なる周波数スペクトル間のパスロスが異なる点に起因する種々の問題を解消できるので、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0083】
本明細書には以下の発明の開示を含む。
本発明の情報送信方法は、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトルを集めて広帯域伝送を行うスペクトルアグリゲーションを利用した情報伝送方法であって、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのうち、パスロスが小さい周波数スペクトルに通信品質が要求される第1の情報を割り当てる一方、パスロスが大きい周波数スペクトルに前記第1の情報より通信品質が要求されない第2の情報を割り当てるステップと、前記第1の情報を前記パスロスが小さい周波数スペクトルで伝送する一方、前記第2の情報を前記パスロスが大きい周波数スペクトルで伝送するステップとを具備することを特徴とする。
【0084】
この方法によれば、通信品質が要求される第1の情報がパスロスの小さい周波数スペクトルで伝送されることから、第1の情報を安定して移動局装置に伝送することができる。例えば、第1の情報に制御情報を含めることにより、異なる周波数スペクトル間のパスロスの相違を考慮することなく効率的にセルを配置できる等、異なる周波数スペクトル間のパスロスが異なる点に起因する種々の問題を解消できるので、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0085】
本発明の基地局装置は、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトルを集めて広帯域伝送を行うスペクトルアグリゲーションを利用して情報伝送を行う基地局装置であって、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのうち、パスロスが小さい周波数スペクトルに通信品質が要求される第1の情報を割り当てる一方、パスロスが大きい周波数スペクトルに第1の情報より通信品質が要求されない第2の情報を割り当てる割り当て手段と、前記第1の情報を前記パスロスが小さい周波数スペクトルで伝送する第1の伝送手段と、前記第2の情報を前記パスロスが大きい周波数スペクトルで伝送する第2の伝送手段とを具備することを特徴とする。
【0086】
この構成によれば、通信品質が要求される第1の情報がパスロスの小さい周波数スペクトルで伝送されることから、第1の情報を安定して移動局装置に伝送することができる。例えば、第1の情報に制御情報を含めることにより、異なる周波数スペクトル間のパスロスの相違を考慮することなく効率的にセルを配置できる等、異なる周波数スペクトル間のパスロスが異なる点に起因する種々の問題を解消できるので、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0087】
本発明の移動局装置は、周波数的に不連続、且つ、異なる周波数帯に存在する周波数スペクトルを集めて広帯域伝送を行うスペクトルアグリゲーションを利用して情報伝送を受ける移動局装置であって、情報伝送に利用される異なる周波数スペクトルのうち、パスロスが小さい周波数スペクトルに割り当てられる、通信品質が要求される第1の情報を受信する第1の受信手段と、パスロスが大きい周波数スペクトルに割り当てられる、第1の情報より通信品質が要求されない第2の情報を受信する第2の受信手段と、前記第1の受信手段で受信した前記第1の情報を復調する第1の復調手段と、前記第2の受信手段で受信した前記第2の情報を復調する第2の復調手段とを具備することを特徴とする。
【0088】
この構成によれば、通信品質が要求される第1の情報がパスロスの小さい周波数スペクトルで伝送されることから、第1の情報を安定して基地局装置から受信することができる。例えば、第1の情報に制御情報が含まれる場合には、パスロスの小さい周波数スペクトルに割り当てられる制御情報をモニタリングする受信回路のみを駆動するだけ良い等、異なる周波数スペクトル間のパスロスが異なる点に起因する種々の問題を解消できるので、スペクトルアグリゲーションを利用して効率的に広帯域伝送を行うことが可能となる。
【0089】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 移動通信システム
10 移動局装置
101a、101b RF受信回路
102a、102b サイクリックプレフィクス(CP)除去部
103a、103b 高速フーリエ変換部(FFT部)
104a、104b 受信タイミング推定部
105a〜105c サブキャリアデマッピング部
106 共通制御チャネル信号復調部
107 個別制御チャネル信号復調部
108、109 チャネル推定部
110、111 チャネル復号部
112、115 データチャネル信号復調部
113、116 チャネル推定部
114、117 チャネル復号部
20 基地局装置
201 QoSスケジューラ
202 個別制御チャネル信号生成部
203 共有データチャネル信号生成部
204 共通制御チャネル信号生成部
205 各物理チャネル多重部
206a、206b 逆高速フーリエ変換部(IFFT部)
207a、207b サイクリックプレフィクス(CP)付加部
208a、208b RF送信回路
211〜218 チャネル符号化部
221〜228 データ変調部
231、232 サブキャリアマッピング部
30 上位局装置
40 コアネットワーク
50 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるキャリアを用いる情報伝送方法であって、
システムで用いる帯域に第1のキャリア及び第2のキャリアが含まれ、前記第1のキャリアにのみシステム制御情報を割り当て、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちらか又は双方に共有チャネルを割り当てるステップと、
前記システム制御情報を前記第1のキャリアで伝送し、前記共有チャネルを前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちら又は双方で伝送するステップと、
を具備することを特徴とする情報伝送方法。
【請求項2】
前記システム制御情報は、報知チャネル信号、ページングチャネル信号、同期信号の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項3】
前記共有チャネルは、特定のリアルタイム型のトラヒックを含む場合は前記第1のキャリアに割り当てられ、伝送されることを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項4】
前記特定のリアルタイム型のトラヒックは、音声データであることを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項5】
複数の異なるキャリアを用いる情報伝送を行う基地局装置であって、
システムで用いる帯域に第1のキャリア及び第2のキャリアが含まれ、前記第1のキャリアにのみシステム制御情報を割り当て、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちらか又は双方に共有チャネルを割り当てるマッピング部と、
前記システム制御情報を前記第1のキャリアで伝送し、前記共有チャネルを前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちら又は双方で伝送する送信部と、
を具備することを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
システムで用いる帯域に第1のキャリア及び第2のキャリアが含まれる場合、前記第1のキャリアからシステム制御情報を受信し、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちら又は双方から共有チャネルを受信する受信部と、
前記第1のキャリアで受信した前記システム制御情報を復調し、当該復調されたシステム制御情報に基づいて、前記第1のキャリア及び第2のキャリアのどちらか又は双方で受信した前記共有チャネルを復調する復調部と、
を具備することを特徴とする移動局装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85297(P2013−85297A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−16736(P2013−16736)
【出願日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【分割の表示】特願2010−40139(P2010−40139)の分割
【原出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】