説明

情報作成装置、情報作成方法及びプログラム

【課題】プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて、正確な退避場所の情報を作成することが可能となる情報作成装置、情報作成方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報配信センタ3のCPU11は、各プローブカー6から収集したプローブ情報(例えば、日時、車両位置、車両方位、車速等である。)に基づいて、車速の低下した地点を検出する。そして、各プローブカー6から収集したプローブ情報の中に、この検出した地点において、車速の低下した対向車(対向プローブカー6)からほぼ同時刻にほぼ同地点で受信したプローブ情報がある場合には、CPU11は、当該検出した地点を対向車両とすれ違うための退避場所を表す退避場所情報として更新用地図情報14Aに記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向車両とすれ違うための退避場所の情報を作成する情報作成装置、情報作成方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、対向車とすれ違うための退避場所の情報を提供する技術に関し種々提案されている。
例えば、地図情報メモリに記憶されている地図データから道路の道幅、自車両及び他の各種車両の車幅とに基づいてすれ違い困難な道路区間とすれ違いポイントとを検出し、これらを地図画像上に表示するように構成されたナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−245610号公報(段落(0013)〜(0083)、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載される構成では、地図情報メモリに記憶されている地図データにすれ違いポイントや道幅の情報が無い場合や、道路上の障害物の出現等によりすれ違い困難な地点が新たに発生し、実際の道路状況に地図情報が適さなくなった場合には、当該すれ違いポイントにおける対向車とすれ違うための退避場所を案内することができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて、正確な退避場所の情報を作成することが可能となる情報作成装置、情報作成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る情報作成装置は、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集手段(17)と、前記プローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出手段(10)と、前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定手段(10)と、前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る情報作成装置は、請求項1に記載の情報作成装置(3)において、地図情報を記憶する地図情報記憶手段(14)と、前記地図情報に基づいて前記地点検出手段によって検出された地点が細街路又は一車線の道路であるか否かを判定する道路判定手段(10)と、を備え、前記退避場所情報作成手段(10)は、前記地点が細街路又は一車線の道路であると判定された場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る情報作成装置は、請求項2に記載の情報作成装置(3)において、前記地図情報に基づいて前記地点検出手段によって検出された地点が交差点から所定距離以上離れているか否かを判定する交差点判定手段(10)を備え、前記退避場所情報作成手段(10)は、前記地点が交差点から所定距離以上離れていると判定された場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る情報作成方法は、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出工程と、前記地点検出工程で検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定工程と、前記対向車両判定工程で前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
更に、請求項5に係るプログラムは、コンピュータに、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出工程と、前記地点検出工程で検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定工程と、前記対向車両判定工程で前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係る情報作成装置では、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集することによって、車両のすれ違っている地点を退避場所とし、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することが可能となる。これにより、退避場所を簡易に検出して正確な退避場所情報を作成することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係る情報作成装置では、地図情報に基づいて地点検出手段によって検出された地点が細街路又は一車線の道路の場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することによって、退避場所情報の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
更に、請求項3に係る情報作成装置では、地図情報に基づいて地点検出手段によって検出された地点が交差点から所定距離以上離れている場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することによって、退避場所情報の信頼性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0013】
また、請求項4に係る情報作成方法では、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集することによって、車両のすれ違っている地点を退避場所とし、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することが可能となる。これにより、退避場所を簡易に検出して正確な退避場所情報を作成することが可能となる。
【0014】
更に、請求項5に係るプログラムでは、コンピュータは当該プログラムを読み込むことによって、該コンピュータは、プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集することによって、車両のすれ違っている地点を退避場所とし、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することが可能となる。これにより、コンピュータは、退避場所を簡易に検出して正確な退避場所情報を作成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る情報作成装置、情報作成方法及びプログラムをナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0017】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、各プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や各ナビゲーション装置2から収集したプローブ情報に基づいて各リンクの旅行時間(リンクコスト)等を統計処理して作成した交通情報(以下、「統計交通情報」という。)を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0018】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(LocalArea Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。
【0019】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側交通情報データベース(センタ側交通情報DB)16と、センタ側通信装置17とを備える。
【0020】
また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、現況の交通情報をネットワーク4を介して配信する現況交通情報配信処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ19等を備えている。
【0021】
また、ROM13には、後述のようにプローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2から収集したプローブ情報(例えば、車両位置、車両位置を検出した日時、車両方位、車速等である。)に基づいて退避場所の情報を作成する退避場所情報作成処理(図3参照)等を行うための制御プログラムが格納されている。
【0022】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0023】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(道路リンク)に関するリンクデータ、リンクの道路種別、退避場所に関する退避場所データ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Pointof Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0024】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0025】
また、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道から構成される高規格道路区分と、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道から構成される一般道路区分と、細街路から構成される細街路区分の3つの配信道路区分に区分されて、それぞれバージョン毎に更新用地図情報14Aに格納されて管理されている。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0026】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。
【0027】
また、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータが高規格道路区分、一般道路区分及び細街路区分の3つの配信道路区分毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0028】
また、センタ側交通情報DB16には、プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2により収集されるプローブ情報や道路交通情報センタ5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。
【0029】
また、このセンタ側交通情報DB16には、各プローブカー6から収集したプローブ情報に基づいて、各リンクのリンクコストを道路種別毎に統計処理して生成された統計交通情報16Bが格納されている。そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報16Aや統計交通情報16B等を選択して配信する。
【0030】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0031】
図2に示すように本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作部24と、液晶ディスプレイ25と、スピーカ26と、通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0032】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、方位センサ32、距離センサ33等からなり、現在の車両位置、車両方位、走行距離等を検出することが可能となっている。
【0033】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報データベース(ナビ側交通情報DB)36、ナビ側地図情報データベース(ナビ側地図情報DB)37、走行履歴データベース(走行履歴DB)38及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0034】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ5から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞度(渋滞/混雑/空き道等である。)、所要時間、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等から作成した現況交通情報36Aが格納される。
【0035】
また、ナビ側交通情報DB36の統計交通情報36Bには、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された統計交通情報が格納されている。そして、統計交通情報36Bに格納される統計交通情報の各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0036】
また、ナビ側地図情報DB37には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報37Aが格納されている。ここで、ナビ地図情報37Aには、更新用地図情報14Aと同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、退避場所に関する退避場所データ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された更新用地図情報を記憶することによってナビ側地図情報DB37の内容を更新するように構成してもよい。
【0037】
また、走行履歴DB38には、車両の走行に伴い、走行履歴として日時、車両位置、車両方位、車速等が順次記憶される。
そして、プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2は、このプローブカー6が走行している場合には、所定時間毎(例えば、約1秒毎である。)に、情報配信センタ3にプローブ情報を送信した前回の送信時点から、走行履歴DB38に新たに走行履歴として記憶された日時、車両位置、車両方位、車速等をプローブ情報として情報配信センタ3に通信装置27を介して送信する。
【0038】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した統計交通情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、プローブ情報を取得して所定時間毎に、プローブ情報等を情報配信センタ3へ送信するプローブ情報送信処理プログラム等が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
【0039】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27、読取部28の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0040】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
また、液晶ディスプレイ25には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0041】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行案内や、交差点や横断歩道での停止又は安全確認を警告する音声案内等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等である。
【0042】
また、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報や統計交通情報等の送受信を行う。また、通信装置27は情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ5等から送信された渋滞情報やサービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0043】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、情報配信センタ3のCPU11が、プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2から収集したプローブ情報に基づいて退避場所の情報を作成する退避場所情報作成処理について図3及び図4に基づいて説明する。
【0044】
図3は本実施例に係る情報配信センタ3のCPU11が、プローブカー6から収集したプローブ情報に基づいて退避場所の情報を作成する退避場所情報作成処理を示すフローチャートである。図4はプローブカー52が退避場所51に退避し、対向プローブカー53とすれ違う一例を示す図である。
尚、図3にフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
【0045】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU11は、各プローブカー6のナビゲーション装置2から送信されたプローブ情報をセンタ側通信装置17を介して受信し、センタ側交通情報DB16に順次記憶する。
【0046】
そして、S12において、CPU11は、センタ側交通情報DB16に格納したプロープ情報を再度、順次読み出し、各プローブカー6の車速が低下している(例えば、車速が5km/h以下になっている。)プローブ情報を検出してRAM12に順次記憶する。
これにより、CPU11は、各プローブカー6の車速が低下している地点を表す地点情報(例えば、車両位置である。)を含むプローブ情報を抽出してRAM12に記憶することができる。
【0047】
続いて、S13において、CPU11は、プローブカー6の車速が低下している地点があるか否か、つまり、車速が低下している(例えば、車速が5km/h以下になっている。)プローブ情報がRAM12に記憶されているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0048】
そして、プローブカー6の車速が低下している地点が無い場合、つまり、車速が低下している(例えば、車速が5km/h以下になっている。)プローブ情報がRAM12に記憶されていない場合には(S13:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
一方、プローブカー6の車速が低下している地点がある場合、つまり、車速が低下している(例えば、車速が5km/h以下になっている。)プローブ情報がRAM12に記憶されている場合には(S13:YES)、CPU11は、S14の処理に移行する。
【0049】
S14において、CPU11は、プローブカー6の車速が低下している各地点について、当該各地点が退避場所として更新用地図情報14Aに既に格納されているか否かを判定する判定処理を実行する。
具体的には、先ず、CPU11は、RAM12に記憶される各プローブ情報から、各プローブ情報に含まれる車両位置の座標データ(例えば、緯度と経度である。)を順次読み出し、当該各車両位置が、退避場所として更新用地図情報14Aに格納されているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0050】
例えば、図4に示すように、CPU11は、車速が5km/h以下になっているプローブカー52の車両位置を含むプローブ情報を受信している場合には、プローブカー52から受信したプローブ情報に含まれる車両位置の座標データが、退避場所として更新用地図情報14Aに格納されているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0051】
そして、プローブカー6の車速が低下している全ての各地点が、退避場所として更新用地図情報14Aに既に格納されている場合には(S14:YES)、CPU11は、当該処理を終了する。
【0052】
一方、プローブカー6の車速が低下している各地点のうち、退避場所として更新用地図情報14Aに格納されていない地点がある場合には(S14:NO)、CPU11は、この退避場所として更新用地図情報14Aに格納されていない地点の座標位置を車両位置とするプローブ情報をRAM12から順次読み出し、「退避場所プローブ情報」として再度RAM12に順次記憶後、S15の処理に移行する。
【0053】
S15において、CPU11は、プローブカー6の車速が低下している(例えば、車速が5km/h以下になっている。)地点であり、且つ、更新用地図情報14Aに退避場所として格納されていない各地点において、ほぼ同時刻(例えば、プローブ情報の日時の時間差が30秒以内〜1分以内である。)にほぼ同地点(例えば、車両位置間の距離が約10m以内である。)で速度が低下する対向車(対向プローブカー6)がいるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0054】
具体的には、CPU11は、センタ側交通情報DB16に格納したプロープ情報を再度、順次読み出し、RAM12に記憶する各「退避場所プローブ情報」について、当該「退避場所プローブ情報」を構成する車両位置、日時とほぼ同じ車両位置、ほぼ同じ日時(例えば、日時の時間差が30秒以内〜1分以内である。)を含み、且つ、この「退避場所プローブ情報」を構成する車両方位に対してほぼ反対方向の車両方位を含み、更に、車速が低下している(例えば、車速が約10km/h以下である。)プローブ情報を検出してRAM12に「対向車プローブ情報」として順次記憶する。
その後、CPU11は、ほぼ同時刻にほぼ同地点で速度が低下する対向車がいるか否か、つまりRAM12に「対向車プローブ情報」が記憶されているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0055】
そして、ほぼ同時刻にほぼ同地点で速度が低下する対向車がいない場合、つまり、RAM12に「対向車プローブ情報」が記憶されていない場合には(S15:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
一方、ほぼ同時刻にほぼ同地点で速度が低下する対向車がいる場合、つまりRAM12に「対向車プローブ情報」が記憶されている場合には(S15:YES)、CPU11は、この各「対向車プローブ情報」に含まれる車両位置とほぼ同じ車両位置を含む「退避場所プローブ情報」をRAM12から順次読み出し、「第2退避場所プローブ情報」としてRAM12に順次記憶後、S16の処理に移行する。
【0056】
例えば、図4に示すように、CPU11は、プローブカー52から受信したプローブ情報を「退避場所プローブ情報」としてRAM12に記憶する。ここで、対向プローブカー53から受信したプローブ情報が、当該「退避場所プローブ情報」に含まれる車両位置、日時とほぼ同じ車両位置、ほぼ同じ日時(例えば、日時の時間差が30秒以内〜1分以内である。)を含み、且つ、車速が約10km/h以下で、更に、当該「退避場所プローブ情報」に含まれる車両方位に対してほぼ反対方向の車両方位を含むため、CPU11は、対向プローブカー53から受信したプローブ情報を「対向車プローブ情報」としてRAM12に記憶する。
【0057】
そして、CPU11は、この対向プローブカー53から受信した「対向車プローブ情報」に含まれる車両位置とほぼ同じ車両位置を含むプローブカー52から受信した「退避場所プローブ情報」をRAM12から再度読み出し、「第2退避場所プローブ情報」としてRAM12に記憶後、S16の処理に移行する。
【0058】
S16において、CPU11は、各「第2退避場所プローブ情報」を再度、RAM12から順次読み出し、各「第2退避場所プローブ情報」について、当該「第2退避場所プローブ情報」を構成する車両位置が位置するリンクの道路種別を更新用地図情報14Aから読み出し、当該車両位置が位置するリンクが、細街路又は一車線の道路か否かを判定する判定処理を実行する。
ここで、道路種別としては、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、2車線以上の国道、1車線の国道、2車線以上の県道、1車線の県道、2車線以上の市町村道、1車線の市町村道、細街路等がある。
【0059】
そして、車両位置が位置するリンクが、細街路又は一車線の国道、県道、市町村道である「第2退避場所プローブ情報」が無い場合には(S16:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
一方、車両位置が位置するリンクが、細街路又は一車線の国道、県道、市町村道である「第2退避場所プローブ情報」がある場合には(S16:YES)、CPU11は、車両位置が位置するリンクが、細街路又は一車線の国道、県道、市町村道である「第2退避場所プローブ情報」をRAM12から順次読み出し、「第3退避場所プローブ情報」としてRAM12に順次記憶後、S17の処理に移行する。
【0060】
例えば、図4に示すように、CPU11は、プローブカー52に対応する「第2退避場所プローブ情報」を構成する車両位置情報としての車両位置が位置するリンク50が、「1車線の県道」である場合には、当該「第2退避場所プローブ情報」を「第3退避場所プローブ情報」としてRAM12に記憶後、S17の処理に移行する。
【0061】
S17において、CPU11は、RAM12に記憶された各「第3退避場所プローブ情報」から車両位置及び車両方位を順次読み出し、更新用地図情報14Aから各車両位置が、進行方向前方の交差点から所定距離以内(例えば、約10m以内である。)に位置しているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0062】
そして、全ての「第3退避場所プローブ情報」の車両位置が、進行方向前方の交差点から所定距離以内(例えば、約10m以内である。)に位置している場合には(S17:YES)、CPU11は、当該処理を終了する。
【0063】
一方、各「第3退避場所プローブ情報」のうち、当該各「第3退避場所プローブ情報」に含まれる車両位置から進行方向前方の交差点までの距離が、所定距離(例えば、約10mである。)より遠い「第3退避場所プローブ情報」がある場合には(S17:NO)、CPU11は、この車両位置から進行方向前方の交差点までの距離が、所定距離より遠い「第3退避場所プローブ情報」をRAM12から順次読み出し、「第4退避場所プローブ情報」としてRAM12に順次記憶後、S18の処理に移行する。
【0064】
S18において、CPU11は、RAM12に記憶する各「第4退避場所プローブ情報」から「車両位置」(例えば、緯度と経度である。)のデータを順次読み出し、当該「車両位置」のデータを、対向車両とすれ違うための「退避場所」を表す「退避場所情報」として更新用地図情報14Aに順次記憶後、当該処理を終了する。
【0065】
例えば、図4に示すように、CPU11は、「第4退避場所プローブ情報」としてRAM12に記憶されるプローブカー52から受信したプローブ情報から「車両位置」(例えば、緯度と経度である。)を読み出す。そして、当該「車両位置」のデータを、対向車両とすれ違うための退避場所51を表す「退避場所情報」として更新用地図情報14Aに記憶後、当該処理を終了する。
【0066】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、情報配信センタ3のCPU11は、各プローブカー6からプローブ情報を収集して、車速の低下した(例えば、車速が5km/h以下になっている。)プローブ情報を検出することによって、対向車両とすれ違うための退避場所の地点を高精度に検出して、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成して更新用地図情報14に、新たに記憶することが可能となる。また、CPU11は、各プローブカー6の地図情報更新時に、新たに記憶した退避場所に関する退避場所情報を各プローブカー6へ配信することが可能となる。
【0067】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0068】
例えば、上記S14の処理を実行することなく、S15〜S17の処理を実行し、S18において、RAM12に記憶する各「第4退避場所プローブ情報」を構成する「日時、車両位置、車両方位、車速等」のデータから「車両位置」を順次読み出すと共に、この車両位置が位置するリンクのリンクIDを更新用地図情報14Aから順次読み出し、当該「車両位置」と「リンクID」のデータを、対向車両とすれ違うための「退避場所」を表す「退避場所情報」として更新用地図情報14Aの地図情報に上書きするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】情報配信センタのCPUが、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて退避場所の情報を作成する退避場所情報作成処理を示すフローチャートである。
【図4】プローブカーが退避場所に退避し、対向プローブカーとすれ違う一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
6、52 プローブカー
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
14A 更新用地図情報
17 センタ側通信装置
27 通信装置
50 リンク
51 退避場所
53 対向プローブカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集手段と、
前記プローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出手段と、
前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定手段と、
前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成手段と、
を備えたことを特徴とする情報作成装置。
【請求項2】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報に基づいて前記地点検出手段によって検出された地点が細街路又は一車線の道路であるか否かを判定する道路判定手段と、
を備え、
前記退避場所情報作成手段は、前記地点が細街路又は一車線の道路であると判定された場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の情報作成装置。
【請求項3】
前記地図情報に基づいて前記地点検出手段によって検出された地点が交差点から所定距離以上離れているか否かを判定する交差点判定手段を備え、
前記退避場所情報作成手段は、前記地点が交差点から所定距離以上離れていると判定された場合に、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の情報作成装置。
【請求項4】
プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、
前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出工程と、
前記地点検出工程で検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定工程と、
前記対向車両判定工程で前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成工程と、
を備えたことを特徴とする情報作成方法。
【請求項5】
コンピュータに、
プローブカーから該プローブカーの位置情報と車速と時刻を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、
前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて車速の低下している地点を検出する地点検出工程と、
前記地点検出工程で検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在するか否かを判定する対向車両判定工程と、
前記対向車両判定工程で前記地点検出手段によって検出された地点で同時刻に車速の低下した対向車両が存在すると判定された場合には、当該地点が待避場所である旨を表す退避場所情報を作成する退避場所情報作成工程と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−245339(P2009−245339A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93335(P2008−93335)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】