説明

情報入力装置

【課題】 車両内における限定されたスペースを有効に利用することによって、視認性が高い状態で選択肢の内容を提示して、操作負担を少なく煩雑感を与えることがない情報入力装置を提供する。
【解決手段】 各種の車両搭載機器の動作を制御するに際して操作される情報入力装置であって、ステアリングホイール4の車両前部側に設置され、複数の選択肢を表示する表示装置11と、ステアリングホイール4と表示装置11との間に設けられ、表示装置11に表示された選択肢と略相似状に分割された操作領域を有し、操作者の操作指の触圧位置を検出するタッチリング6と、タッチリング6への触圧位置が、何れかの操作領域に該当しているかを判定し、判定した操作領域に対応した選択肢を決定する。タッチリング6は、ステアリングホイール4の形状に沿った略円弧形状となっており、操作者の視線上で表示装置11の表示画面上の選択肢と重畳される位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の指先で所定の触圧位置を接触させることによって、各種情報機器の動作を制御する情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車の運転者によって複数の車載機器を操作させる場合のように、少数のスイッチで構成された操作スイッチパネルの操作入力に応じて各種の情報機器を制御する多機能操作システムとしては下記の特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、複数の選択肢が表示された表示画面を提示し、当該表示内容を参照させながら、操作パネル内の位置と表示画面上に表示された目的の選択肢の表示位置との対応関係を設定しておき、操作パネル内の電気的スイッチの操作を検出する多機能操作システムである。
【0004】
また、特許文献2に記載された技術は、特許文献1に記載された多機能操作システムを構成する操作パネルをステアリングホイール上に設置することによって、自動車内において短時間の停止時間中であっても有効な操作を実現していた。
【0005】
このような特許文献1や特許文献2を始めとする小型の操作パネルを有する多機能操作システムが搭載される自動車においては、車室内空間の拡大に対する要求が増加していることや、高年齢者等の焦点調整をし易くするために表示画面と運転者の眼位置との距離を1m程度とすることが望ましく、このため、インストルメントパネルが運転者の眼位置から距離を置いて設計される傾向にある。
【0006】
一方、テレマテイックスや情報インフラの発達によって車内で入手可能な情報量が拡大する傾向にあり、必要とする情報を選択するための情報操作に対する要求も増加している。更に、駐車中のみならず、道路信号機による停止時等の短時間にステアリングホイール上に設置された操作入力デバイスを用い、ステアリングホイールから手を離さずに多くの機能を操作することに対する要求が増加している。
【特許文献1】特開2001−113981号公報
【特許文献2】特開2003−063326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようにステアリングホイールに設けたスイッチは、運転者のハンドリーチの観点からは有効な情報入力装置ではあるが、ステアリングホイールには、エアバッグ装置が内蔵され、更には、操作時間の短縮を図り、自動車両速度設定装置や自動レーン検出走行装置等の走行関連装置の操作系もステアリングホイール近辺に設けられることなどから、新たな操作パネルを設置できる面積が限られている。また、運転者がステアリングホイールに手を掛けた状態で操作させる場合を考えると、比較的自由度の高い親指によって操作させることが一般的であるが、通常の親指の長さを考慮しても親指の操作範囲が狭く操作パネルの面積を限定せざるを得ず、ステアリングホイール上のパッド上に限られた部分に限定されてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、車両内における限定されたスペースを有効に利用することによって、視認性が高い状態で選択肢の内容を提示して、操作負担を少なく煩雑感を与えることがない情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、各種の車両搭載機器の動作を制御するに際して操作者に操作される情報入力装置であって、ステアリングホイールの車両前部側に設置され、車両搭載機器の動作を示す複数の選択肢を表示する表示手段と、ステアリングホイールと表示手段との間に設けられ、表示手段に表示された選択肢と略相似状に分割された操作領域を有し、操作者の操作指の触圧位置を検出するタッチリング入力手段と、タッチリング入力手段により検出された触圧位置が、分割された操作領域のうち何れかの操作領域に該当しているかを判定し、判定した操作領域に対応した選択肢を決定する操作制御手段とを備える。
【0010】
このような情報入力装置において、タッチリング入力手段は、ステアリングホイールの形状に沿った略円弧形状のタッチセンサ部を備え、当該タッチセンサ部が、操作者の視線上で表示手段の表示画面に表示されている選択肢と重畳される位置に配設されていることにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る情報入力装置によれば、タッチセンサ部の位置と選択肢の表示位置とを操作者の視線上としたので、操作者にタッチセンサ部と選択肢とを重畳させて視認させることができ、車両内における限定されたスペースを有効に利用して選択肢の視認性を向上させると共に、操作負担を少なく煩雑感を与えることがない操作インターフェースを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
本発明は、例えば図1に示すように構成された第1実施形態に係る情報入力装置に適用される。
【0014】
[情報入力装置の構成]
この情報入力装置は、図1及び図2に示すように、車両内のインストルメントパネル1の略中央にメータ機器2が設けられ、インストルメントパネル1からステアリングホイール基部21を介して設けられたステアリングホイール4が自動車シートに着座した運転者によって把持された状態で、フロントガラス3よりも手前側であってステアリングホイール4の車両前部側に配置された表示盤5を視認可能な構成となっている。この情報入力装置は、運転者に対する操作インターフェースとして、タッチリング6、表示盤5に表示させる複数の選択肢7からなるメニューを表示開始させるメニュー呼出スイッチ6a、選択肢7の位置調整スイッチ6bを備える。
【0015】
また、この情報入力装置は、図2に示すように、ステアリングホイール4と表示盤5との間のステアリングホイール基部21であって、ステアリングポスト22よりも運転者側にタッチリング6が設けられている。
【0016】
タッチリング6は、運転者がステアリングホイール4を把持した状態において、人差し指や中指(操作指)で接触可能な位置に設けられている。このタッチリング6は、詳細は後述するが、その表面がタッチセンサとなっており、図3に示すように、ステアリングホイール4が運転者に把持された状態において、タッチリング6が操作指(親指)で触圧され当該タッチセンサにより操作指の触圧位置を検出する。また、このタッチリング6は、例えば決定操作時には、操作指によって図中矢印方向に押し込み操作がなされる。
【0017】
このタッチリング6は、ステアリングホイール4と略相似形状である略円弧状に形成されている。また、タッチリング6の半径がステアリングホイール4の半径よりも小さく、且つ運転者が運転席に着座した状態において運転者の眼位置と、表示盤5の表示領域とを繋ぐ視線上に略円弧状にタッチリング6が配設されているので、表示盤5を視認した場合に、同時にタッチリング6も重畳して視認される状態となる。
【0018】
また、タッチリング6は、レバー31及びレバー動作検出部32を介してステアリングホイール基部21に固定されている。このステアリングホイール基部21は、ステアリングポスト22と回転自在に接合されており、車両の操舵輪の操向操作を行う。したがって、タッチリング6及び表示盤5は、ステアリングホイール4と同じステアリングホイール基部21に固定されていることになり、ステアリングホイール4の回転と一体になって回転する。
【0019】
表示盤5は、ステアリングホイール4とインストルメントパネル1の間に略扇状に形成された表示領域を有している。この表示盤5は、例えば液晶表示装置や有機EL等のフラットパネルデイスプレイや、プロジェクタ表示装置とスクリーンとを組み合わせた構成の表示装置11が組み込まれている。この表示盤5には、後述する画像発生装置からの画像信号を入力して、各種の車両搭載機器の処理内容を決定するための選択肢7が表示される。この表示盤5は、図2に示すように、ステアリングホイール基部21の上方部分が表示領域となっており、内部に表示装置11が設けられ表示領域に選択肢7が表示されるようになっている。
【0020】
したがって、この情報入力装置は、運転者が表示盤5の選択肢7を視認しようとした場合に、選択肢7のみならず同時にタッチリング6が重畳して視認されるような位置関係でステアリングホイール4、タッチリング6及び表示盤5が設けられていることになる。
【0021】
また、タッチリング6は、操作指の触圧操作及び押込操作を受け付けるための構成として、図4に示すようなレバー31及びレバー動作検出部32の内部構成、タッチリング6の先端位置であって、略円弧形状のタッチリング6の表面部分を構成するタッチセンサ(タッチセンサ部)33を備えている。このタッチセンサ33によって検出された触圧操作は、レバー31内のリード線41を介してレバー動作検出部32に送られる。
【0022】
レバー動作検出部32は、ステアリングホイール基部21に設けられた筐体内に、基板42、当該基板42上に設けられたガイドレール43、タッチリング6に印加された押し込み操作がレバー31を介して伝達されてガイドレール43上を移動させる台車44、基台46及び台車44と接続されて台車44を所定位置に付勢するスプリング45、スプリング45と接続された基台46、台車44の動作から押し込み操作を検出するためのロッド47、当該ロッド47に押し込まれるボタン48、ボタン48がロッド47に押し込まれたことを検出するプッシュスイッチ49、プッシュスイッチ49の検出信号を入力するプリント基板50及びコネクタ51が設けられて構成されている。
【0023】
このレバー動作検出部32は、タッチリング6が図中矢印方向(下方向)であって、車両前方側に押し込み操作されると、当該押し込み操作の操作力がスプリング45の抗力に逆らった方向に加えられ、台車44がガイドレール43上を摺動し、ステアリングホイール基部21の底面方向に台車44が移動する。そして、台車44に固定されたロッド47がプッシュスイッチ49のボタン48を押し込むまで押し込み操作がなされると、ボタン48の押し込みをプッシュスイッチ49により検出し、押し込み操作の検出信号をプリント基板50、コネクタ51、リード線52、スリップリング回転部53、スリップリング固定部54、コネクタ55及びリード線56を介して、後述の処理回路である押込操作検出回路74等に出力する。
【0024】
また、このレバー動作検出部32は、タッチセンサ33のうち、操作指の触圧した位置を示す信号がレバー31を介してプリント基板50に入力され、プリント基板50、コネクタ51、リード線52を介して、後述の処理回路である抵抗値検出回路71に出力する。ここで、タッチセンサ33は、図5に示すように、基盤61上に一様の電気抵抗分布を有する抵抗体64、柔軟性のある感圧導電体63、導電体膜62の順番に形成され、感圧導電体63を抵抗体64と導電体膜62とによってサンドイッチ構造にして構成されている。この抵抗体64と導電体膜62からはリード線65,66が導き出され、後述の抵抗値検出回路71に接続されている。このようなタッチセンサ33に対して、操作指の触圧が印加されると感圧導電体63が変形することによって、抵抗体64と導電体膜62の両面間に導通状態が生じ、当該導通状態がリード線41を介して伝達される。
【0025】
なお、図5に示したタッチセンサ33は、設置スペースの関係上、導電体膜62,感圧導電体63,抵抗体64が膜状に形成された一例について示したが、これに限らず、導電体膜62は薄くて柔軟性が必要となるが、感圧導電体63は本来柔軟性を持っているので膜状に形成する必要はなく、更には、抵抗体64は感圧導電体64よりも下に一面に形成されていれば厚さに関係なく膜状に形成されていなくても良い。
【0026】
また、タッチセンサ33としては、抵抗値を検出する場合のみならず、機械式のメンブレンスイッチを埋め込んだものであっても良い。また、プッシュスイッチ49に代えて、レバー31の歪みを検出することによってレバー31の押し込み操作を検出するものを設けても良い。
【0027】
また、上述したレバー動作検出部32は、操作指の押し込み操作をプッシュスイッチ49の動作から検出するようにしたが、プッシュスイッチ49に代えて、タッチリング6の歪みを検出する検出機構を設けても良い。そして、このレバー動作検出部32は、押し込み操作のみならず、運転者がステアリングホイール4を把持した状態で車両前方側から運転者側にタッチリング6を引き込む方向に操作された場合であっても、押し込み操作と同様の検出信号を出力することができる。
【0028】
[情報入力装置の機能的な構成]
つぎに、上述したように構成された情報入力装置における機能的な構成について説明する。
【0029】
この情報入力装置は、図6に示すように、タッチセンサ33の導電体膜62及び抵抗体64とリード線65,66を介して接続された抵抗値検出回路71及び位置判定回路72と、処理回路73と、プッシュスイッチ49とリード線56を介して接続された押込操作検出回路74と、表示装置11と接続された画像発生装置75と、タッチリング6の操作に従った制御を行う制御装置76と、車両搭載機器である空調装置77、ナビゲーション装置78及びオーディオ装置79とを備える。
【0030】
抵抗値検出回路71は、タッチセンサ33に操作指によって触圧が印加されることによって抵抗値が変化した場合に、当該抵抗値の変化を検出する。ここで、感圧導電体63上の導電体膜62は、タッチリング6の長手方向に直交した縞状の電極が薄膜形成されてなり、抵抗体64は、各電極間に所定値の抵抗値を与えている。
【0031】
したがって、抵抗値検出回路71は、タッチセンサ33の操作面に対して操作指によって触圧操作がなされると、電極を介して抵抗値の変化を検出することができ、当該抵抗値の変化を位置判定回路72に送出する。この位置判定回路72は、抵抗値検出回路71からの抵抗値に基づいてタッチリング6の端部から、触圧を加えられた場所(触圧位置)までの位置を示す位置情報を算出し、タッチセンサ33に対する触圧位置である一次元の位置情報を判定する。そして、位置判定回路72は、位置情報を、表示装置11に表示させる各選択肢7の操作領域に対応した信号、すなわち、表示装置11の表示領域を表示装置11に表示させる選択肢7の数で等分して得られる各操作領域に対応する領域情報として処理回路73に送出する。なお、位置判定回路72は、位置情報をクリアして、新たな操作を受け付ける場合には、処理回路73に対してリセット信号を出力する。
【0032】
処理回路73は、位置判定回路72からの領域情報から、現在表示装置11に表示させている選択肢7のうち何れの選択肢7が選択肢候補として選択されたかを判定する。そして、処理回路73は、例えば、判定した選択肢候補を視覚的に識別させるマーキング処理を施した画像を表示装置11に表示させるように画像発生装置75を制御する。
【0033】
これによって、処理回路73は、選択肢候補に相当する表示装置11に表示されている選択肢7の表示部分をブランキング表示とさせる。このとき、選択肢候補となっている選択肢7と、選択肢候補となっていない選択肢7とで輝度変化、反転、色彩変化等を与える。ここで、処理回路73は、決定した選択肢候補を決定し、当該選択肢候補に相当する選択肢7を示す情報を画像発生装置75に送出する処理を行い、実際にブランキング処理を行うのは、画像発生装置75となる。
【0034】
押込操作検出回路74は、プッシュスイッチ49からの信号を検出した場合には、決定操作が行われたことを示す操作入力信号を処理回路73に出力する。これに応じ、処理回路73は、現在選択されている選択肢候補の処理内容を示す制御信号を制御装置76に出力し、制御装置76は、制御信号に応じて空調装置77,ナビゲーション装置78,オーディオ装置79を駆動させる駆動信号を出力する。
【0035】
これにより情報入力装置は、タッチリング6の先に視認される表示盤5に複数の選択肢7を表示させた状態で、当該選択肢に重畳して視認される部分のタッチリング6の触圧操作を検出することにより、選択肢候補を決定させ、ブランキング表示やマーキング表示を行うことができる。そして、運転者によって、選択肢候補としてマーキング表示された選択肢7が所望の選択肢7と一致した場合に、タッチリング6を押し込み操作することによって決定操作された場合には、選択肢候補となっている制御内容を制御装置76で実行させる。
【0036】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した情報入力装置によれば、操作者である運転者の視線上においてタッチリング6のタッチセンサ33と表示装置11に表示させている選択肢7とを重畳させるようなタッチリング6が設けられているので、選択肢7に対応したタッチリング6の操作領域を触圧操作させることによって、当該選択肢7を選択肢候補とすることができると共に、選択肢候補の動作を車両搭載機器に行わせることができる。
【0037】
ここで、図1に示すように速度計等のメータ機器2である自動車走行に必要な情報を運転者の正面ではなく車両の中央部分に配置したセンターメーターレイアウトを採用した場合には、ステアリングホイール4のインストルメントパネル側に速度計が存在せず、運転者正面のスペースには情報操作表示のために使用可能な領域が増加したと考えることができる。これに対し、この情報入力装置によれば、ステアリングホイール4の内側の広い面積を表示画面とすることができ、各選択肢を大きく表示して視認性を向上させることができる。
【0038】
また、この情報入力装置によれば、ステアリングホイール4の半径よりも小さい半径でタッチリング6を構成したので、ステアリングホイール4から大きく手を離すことなく所望の選択肢7に対応した領域を選択させることができ、視認性のみならず操作性も向上させることができる。
【0039】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る情報入力装置について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0040】
[情報入力装置の構成]
第2実施形態に係る情報入力装置は、図7に示すように、表示盤5がステアリングポスト22に固定されており、ステアリングホイール4の回転操作に拘わらず、固定した位置に選択肢7を表示させる。また、この情報入力装置は、図8に示すように、ステアリングホイール回転接合部分に設置されてステアリングホイール4の回転角度を検出するステアリング角度センサ81と、ステアリング角度算出回路82とを備え、ステアリング角度算出回路82によって算出したステアリングホイール4の角度(操舵角度)を位置判定回路72に出力する。
【0041】
このような情報入力装置は、ステアリング角度センサ81によってステアリングホイール4の操舵角度に比例する情報を取得し、ステアリング角度算出回路82によって演算処理を行うことによって、ステアリングホイール4の中立点を基点としたステアリング操舵角度を計算する。そして、ステアリング角度算出回路82は、ステアリング操舵角度が予め設定された所定角度以内であれば、ステアリングホイール4の操舵角度に比例した情報を位置判定回路72に送出する。一方、ステアリング角度算出回路82は、ステアリングホイール4の操舵角度が所定角度を超えた場合には、大操舵角操作が行われたことを識別する信号を位置判定回路72に送出する。
【0042】
ここで、大操舵角操作とは、タッチリング6の長さ及び表示画面の大きさにもよるが、タッチリング6に操作領域が設定できなくなるような大きな操舵角度に設定する。また、大操舵角操作が行われたことを判定する所定角度は、
高速道路(自動車専用道路)を走行している時に、車線変更等の運転者が意図的に車両の走行方向を変化させるための操舵角の範囲を除き、車両が単一の本線車線内を走行している時であって、曲率半径が小さなカーブ路を含む本線車線に沿って走行している時の操舵角の範囲内で予め設定しておいても良い。具体的には、例えば車速が50〜100km/hで走行している場合には、ステアリングホイール4の中立位置から±50度の範囲が本線車線を走行している時の操舵角度であって、当該操舵角度を所定角度としておく。
【0043】
位置判定回路72は、ステアリング角度算出回路82から送られた信号に基づいて、ステアリングホイール4の操舵角度が所定角度以内である場合には、各選択肢7に対応した操作領域をステアリングホイール4の回転方向及び操舵角度に応じて順次補正する。このとき、位置判定回路72は、例えば左方向にステアリングホイール4が回転操作された場合には、常に表示盤5の各選択肢7と、当該各選択肢7に対応した操作領域とを重畳させるように、右方向に操作領域を移動させる。そして、位置判定回路72は、タッチセンサ33に触圧操作がなされた位置情報を抵抗値検出回路71から入力した場合には、当該位置情報と、位置補正後の各選択肢7の操作領域とを比較することになる。
【0044】
一方、位置判定回路72は、ステアリング角度算出回路82から送られた信号に基づいて、ステアリングホイール4が大操舵角操作されていると判定した場合には、所定時間だけ操作領域を補正する処理を停止させると共に、抵抗値検出回路71からの位置情報をキャンセルさせることによって、タッチリング6に対する操作を停止させる。また、位置判定回路72は、タッチリング6に対する操作を停止させていることを示す信号を処理回路73に出力し、処理回路73は、その旨を示すメッセージを表示装置11に表示させるように画像発生装置75を制御する。
【0045】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第2実施形態に係る情報入力装置によれば、表示盤5を固定して設けた場合であっても、ステアリングホイール4の操舵角度に応じて、常にタッチリング6の操作領域と選択肢7とが重畳するように、各選択肢7に対応した操作領域を補正することができるので、確実に運転者の視線上でタッチリング6の操作領域と、選択肢7とを重畳させた状態とすることができる。
【0046】
また、この情報入力装置によれば、ステアリングホイール4が大操舵角操作された場合には、タッチリング6に対する操作を停止すると共に、操作領域の補正を停止するので、ステアリングホイール4の操舵角が大きいためにタッチリング6が表示盤5から外れた場合に、選択肢7の表示位置と、タッチリング6の操作領域との位置ずれが生じることによって、誤操作が行われてしまうことを防ぐことができる。
【0047】
なお、この第2実施形態におけるタッチリング6は、ステアリングホイール4の回転操作に拘わらず表示盤5を固定していることから、ステアリングホイール4が回転した場合であっても、操舵角度が所定値以内である場合には操作領域を補正してタッチリング6と選択肢7とを重畳させるため、少なくとも操舵角度が所定値に至るまでタッチセンサ33が形成されているタッチリング6とする必要がある。
【0048】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る情報入力装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0049】
第3実施形態に係る情報入力装置は、図9に示すように、位置調整スイッチ6bが上方向調整スイッチ91及び下方調整スイッチ92に区分され、当該上方向調整スイッチ91及び下方調整スイッチ92に対する操作者の操作を検出して、スイッチ判定回路93に操作入力信号を出力する。この上方向調整スイッチ91及び下方調整スイッチ92は、上述したタッチセンサ33と同様に導電体膜、感圧導電体及び抵抗体からなり、触圧操作を検出するものとなっている。なお、この上方向調整スイッチ91及び下方調整スイッチ92は、運転者の押し操作が検出できるものであれば良く、単なるプッシュスイッチで構成されていても良い。
【0050】
スイッチ判定回路93は、位置調整スイッチ6bからの操作入力信号を検出すると、当該操作入力信号が上方向調整スイッチ91又は下方調整スイッチ92から供給されたものかを判定し、判定結果を表示位置可変装置94に出力する。
【0051】
表示位置可変装置94は、スイッチ判定回路93の判定結果が選択肢7を上方向に移動させるものであると判定した場合には、画像発生装置75から出力された複数の選択肢7を表示させる表示データを、表示盤5の表示領域から上方に移動させた表示データに変換して、表示装置11で表示させる。同様に、表示位置可変装置94は、スイッチ判定回路93の判定結果が選択肢7を下方向に移動させるものであると判定した場合には、画像発生装置75から出力された複数の選択肢7を表示させる表示データを、表示盤5の表示領域から下方に移動させた表示データに変換して、表示装置11で表示させる。これにより、表示位置可変装置94は、複数の選択肢7の表示位置を上方向又は下方向に移動させる。
【0052】
また、情報入力装置は、所定間隔で位置調整スイッチ6bの操作を検出し、位置調整スイッチ6bに操作指が触圧操作している期間において、連続的且つ所定の速度で選択肢7を上方向又は下方向に移動させる。
【0053】
したがって、この情報入力装置によれば、個々の運転者によってシートポジションが異なり、タッチリング6と選択肢7の表示位置とが運転者の視線上とはならずに、タッチリング6と選択肢7とが重畳して視認されない場合であっても、位置調整スイッチ6bを操作させることによって、タッチリング6と選択肢7とを重畳させるように調整させることができる。したがって、この情報入力装置によれば、運転者の体格によらずに、最適な選択肢7の視認性を得ることができる。
【0054】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る情報入力装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0055】
第4実施形態に係る情報入力装置は、例えば図1に示すようにメータ機器2を車両中央部分に設けた場合とは異なり、表示盤5にメータ機器2で表示させる車両情報を表示させると共に、メニュー画面である複数の選択肢7を表示させる。ここで、メータ機器2で表示させる車両情報としては、所謂車両の運転に関する情報であって、車両速度、エンジン回転数等である。
【0056】
また、この情報入力装置は、メニュー呼出スイッチ6aが、上述したように導電体膜、感圧導電体及び抵抗体からなるパッドスイッチ101となっており、触圧操作を検出するものとなっている。
【0057】
更に、情報入力装置は、図10に示すように、上述した第1実施形態に係る情報入力装置に加えて、表示画像切換装置102、メータ画像発生装置103及び車両情報伝送装置104を備える。この情報入力装置は、自車両が走行している場合において、車両速度等のメータ機器2に表示させる車両情報を、車速センサ等と接続された車両情報伝送装置104により取得し、メータ画像発生装置103によって車両情報を示す表示データを作成する。また、画像発生装置75は、上述したように、メニュー画面を表示させる表示データを処理回路73の制御に従って作成する。
【0058】
表示画像切換装置102は、画像発生装置75からの表示データ及びメータ画像発生装置103からの表示データを入力し、当該表示データを用いて表示装置11にメニュー画面及び車両情報を表示させるための表示データを作成する。
【0059】
このとき、表示画像切換装置102は、パッドスイッチ101に触圧操作がなされていることを示す操作入力信号をメニュー呼出スイッチ6aから入力した場合には、車両情報の表示領域よりも複数の選択肢7を含むメニューの表示領域が大きい表示データを作成して、表示装置11に表示させる。そして、タッチセンサ33やプッシュスイッチ49の動作に応じてメニュー画面を遷移させる新たな表示データが画像発生装置75から出力された場合には、新たな表示データを作成して、表示装置11に表示させる。なお、この場合であっても、運転者の視線上でタッチリング6及び選択肢7を重畳させることは勿論である。
【0060】
一方、表示画像切換装置102は、パッドスイッチ101に触圧操作がなされておらず、操作入力信号をメニュー呼出スイッチ6aから入力していない場合には、車両情報のみの表示データ、又は、複数の選択肢7を含むメニューの表示領域よりも車両情報の表示領域が大きい表示データを作成して、表示装置11に表示させる。
【0061】
したがって、この情報入力装置によれば、車両中央部分にメータ機器2が設けられていない車両であっても、メニュー呼出スイッチ6aの操作に従って、必要な場合にのみタッチリング6と選択肢7とを重畳させてメニュー画面を表示させることができる。また、車両情報とメニューとを同一画面で表示させることができ、車両情報及びメニュー画面を表示させるための表示面積を少なくさせることができ、更には、同一画面上でメニュー画面のみならず、車両情報も視認させることができる。
【0062】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置が車両に設けられた様子を示す図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置において、操作者の視線と、タッチリングの設置位置と、選択肢の表示位置との関係を示す側面図である。
【図3】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置におけるタッチリングの操作状態を説明するための図である。
【図4】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置において、レバー動作検出部の構成を示す図である。
【図5】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置におけるタッチセンサの構成を示す断面図である。
【図6】本発明を適用した第1実施形態に係る情報入力装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図7】本発明を適用した第2実施形態に係る情報入力装置において、操作者の視線と、タッチリングの設置位置と、選択肢の表示位置との関係を示す側面図である。
【図8】本発明を適用した第2実施形態に係る情報入力装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図9】本発明を適用した第3実施形態に係る情報入力装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用した第4実施形態に係る情報入力装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
1 インストルメントパネル
2 メータ機器
3 フロントガラス
4 ステアリングホイール
5 表示盤
6 タッチリング
6a メニュー呼出スイッチ
6b 位置調整スイッチ
7 選択肢
11 表示装置
21 ステアリングホイール基部
22 ステアリングポスト
31 レバー
32 レバー動作検出部
33 タッチセンサ
41 リード線
42 基板
43 ガイドレール
44 台車
45 スプリング
46 基台
47 ロッド
48 ボタン
49 プッシュスイッチ
50 プリント基板
51,55 コネクタ
53 スリップリング回転部
54 スリップリング固定部
52,56,65,66 リード線
61 基盤
62 導電体膜
63 感圧導電体
64 抵抗体
71 抵抗値検出回路
72 位置判定回路
73 処理回路
74 押込操作検出回路
75 画像発生装置
76 制御装置
77 空調装置
78 ナビゲーション装置
79 オーディオ装置
81 ステアリング角度センサ
82 ステアリング角度算出回路
91 上方向調整スイッチ
92 下方調整スイッチ
93 スイッチ判定回路
94 表示位置可変装置
101 パッドスイッチ
102 表示画像切換装置
103 メータ画像発生装置
104 車両情報伝送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の車両搭載機器の動作を制御するに際して操作者に操作される情報入力装置であって、
ステアリングホイールの車両前部側に設置され、前記車両搭載機器の動作を示す複数の選択肢を表示する表示手段と、
前記ステアリングホイールと前記表示手段との間に設けられ、前記表示手段に表示された選択肢と略相似状に分割された操作領域を有し、前記操作者の操作指の触圧位置を検出するタッチリング入力手段と、
前記タッチリング入力手段により検出された触圧位置が、前記分割された操作領域のうち何れかの操作領域に該当しているかを判定し、判定した操作領域に対応した選択肢を決定する操作制御手段とを備え、
前記タッチリング入力手段は、前記ステアリングホイールの形状に沿った略円弧形状のタッチセンサ部を備え、当該タッチセンサ部が、前記操作者の視線上で前記表示手段の表示画面に表示されている選択肢と重畳される位置に配設されていることを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記タッチセンサ部は、導電体膜と、感圧導電体と、抵抗体とが積層されてなり、前記略円弧形状の表面部分を構成することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記表示手段の前記表示画面が固定して構成されると共に、前記タッチリング入力手段のタッチセンサ部が前記ステアリングホイールの回転操作と共に回転するように構成され、
前記ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角度検出手段を備え、
前記操作制御手段は、前記操舵角度検出手段により検出された操舵角度に基づいて、前記表示手段の表示画面に表示させる選択肢と前記操作領域とが前記操作者の視線上で重畳されるように、前記操作領域を移動させることを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記操作制御手段は、前記操舵角度検出手段により検出された操舵角度が所定値を超えた場合には、前記タッチリング入力手段を用いた操作を停止させることを特徴とする請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記操作者の操作に応じて、前記表示手段の表示画面に表示させている選択肢の表示位置を上下方向に移動させる位置調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記車両の走行に関する車両情報を取得し、当該車両情報よりも複数の選択肢からなるメニューを大きく表示させる状態と、前記車両情報を前記メニューよりも大きく表示させる状態とが前記操作者の操作に応じて切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−117169(P2006−117169A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308773(P2004−308773)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】