説明

情報入力装置

【課題】本発明は指の動かしやすい方向にのみ動かすことによって負担や疲労を減らした情報入力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】指の動かしやすい方向を入力端とする情報入力装置は、親指の根元から左右あるいは上下に動かすことでその屈曲量を入力源とする第一の機構と、人指し指の先端を前後あるいは上下に動かすことでその移動量を入力源とする第二の機構で構成されたものである。親指および人差し指でそれぞれ2つの移動量を計測するため合計で4つの情報を入力することのできる情報入力装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的なコンピュータ画面上のカーソルを操作する手段としてマウスが利用されている。また指を使用した情報入力装置としては家庭用ゲーム機などの操縦装置にジョイスティックが主に使用されている。しかし指を使ってこれらの装置を操作するには、情報入力装置を机の上に置いたり、情報入力装置を両手で支えたりして操作する必要があった。そのため、動き回りながら、しかも片手を使った作業をしつつ情報入力をするようなことが出来なかった。
【0003】
これに対し、情報入力装置を机などの上に置いて操作するとか、情報入力装置を両手で掴んで操作するなどのことが必要ない情報入力装置も報告がされている。(例えば特許文献1参照。)これは図6のように片手で握って持てるほどの大きさであり、装置に取り付けてあるジョイスティックを親指で操作し、その他の指は握り部分などに取り付けたボタンを操作するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−5335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した図6の入力操作装置では、ジョイスティックを操作するときに、それを操作する親指を広い範囲に動かすことが必要であり、特に親指でジョイスティックを手前に倒す動作は、親指を大きく曲げなければならず操作しづらく疲労しやすい。
【0006】
本発明は、このような従来の情報入力装置の課題に鑑みてなされたものであり、指が自然に動き易い運動をすることで情報入力が可能な装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明では、以下の特徴を擁する入力機構を含む指操作型情報入力装置を提供する。本体と、本体に対して回転センサを有する回転軸で支持される親指リンクと、本体に対して回転センサを有する回転軸で支持される人差し指リンクと、親指リンクに対して回転センサを有する回転軸で支持される親指ロータと、人差し指リンクに対して回転センサを有する回転軸で支持される人差し指ロータから構成され、操作者は主に薬指、小指、中指を使って本体を把持し、操作者の親指は親指リンクにあてがわれて親指の爪座標系z軸方向の動きで親指リンクの回転運動を生成し、親指爪座標系のy軸方向の動きで親指ロータの回転運動を生成し、操作者の人差し指は人差し指リンクにあてがわれて人差し指の爪座標系z軸方向の動きで回転運動を生成し、人差し指爪座標系のx軸方向の動きで人差し指ロータの回転運動を生成するように構成された情報入力装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1から3によれば、指が自然に動きやすい動かし方をすることで情報を入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、指の動かしやすい方向を入力端とする情報入力装置にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は指の座標系を示している。座標系は親指と人差し指でそれぞれxyz軸を定めている。親指については指の指す方向をx軸、爪のある面に垂直な面をz軸、このzxに右手系をなすような軸をy軸と定義したものである。また人差し指においても同様に指の指す方向をx軸、爪の面に垂直な面をz軸、z軸に右手系をなすような軸をy軸と定義する。なお、図1には記されていないが中指、薬指、小指についても同様の座標を定義して扱うこととする。また左手で扱う場合は、指の指す方向をx軸、爪のある面に垂直な面をz軸、z軸と左手系をなす軸をy軸として扱うこととする。
【0010】
図2は指の動かしやすい方向を入力端とする情報入力装置の一例を示す斜視図である。図中の点線は回転入力機構の回転軸を表している。以後1の部分を親指リンク、2の部分を人差し指リンクとする。親指リンクと人差し指リンクはそれぞれひとつの指で操作する。親指リンクと人差し指リンクは装置本体と回転軸によって接続されている。装置本体は親指リンクおよび人差し指リンクを指で操作する時に把持しやすい形状であり、仮に親指リンクを親指、人差し指リンクを人差し指で操作する場合には残りの中指、薬指、小指で握ることにより把持される。この場合の装着例は図3に示す。提案する情報入力装置は親指部分および人差し指部分で使用している。また、図2の場合は親指と人差し指で装着することを想定しているがもちろん中指、薬指、あるいは小指でも操作することができる。
【0011】
図2の親指リンクの構造について説明する。親指リンクは本体と回転軸3(図2における親指リンクと本体にかけて縦にひかれた点線、図4の3)で接続されている。親指リンクの形状は本体との接続部付近の内側に抉れた角のない部分と、その先端に回転軸を介して取り付けられた円柱状の回転機構とに分けられる。図3のように把持した場合親指の中腹があたっている箇所が前者、第一関節が当たっている箇所が後者である。材質は木材やプラスチックなどが挙げられるが、これに限らず手で把持した際に不快感を与えない、重量が大きすぎないものであれば特に特定しなくともよい。
【0012】
親指リンクの動作について説明する。仮に親指リンクを図4のように右手親指で使用した場合、第一関節周辺あるいはそれよりも指の付け根部分をあてがい、指全体を指の付け根を回転中心にz方向に動かす動作と、指の先端部分をあてがい、指をy軸方向に動かす動作の二つがある。ただしこれ以外にも、把手部と親指リンクとの間の回転軸のみを回したり、先端部の回転軸のみをまわすことも可能である。前者は先端部分の回転軸3(図4の3)が回転することにより、後者は先端部分の回転軸4(図4の4)が回転することにより、回転軸が回転し、その回転情報を入力情報とし、たとえばパソコンなどの電子機器に伝達される。
【0013】
機構が回転したとき、その回転情報は回転軸にポテンショメータやエンコーダを取り付けて回転角や回転角速度を入手することによって電気回路やパソコンに送信される。また、いずれの回転軸の機構にも、指などによる力がかかっていないときは特定の位置に戻るようにする。方法としては回転軸にぜんまいなどの回転ばねを取り付けるあるいは回転部と本体の間をばねでつないでおくなどである。その他の方法でも無負荷時に特定の位置にとどまる機構であればよい。
【0014】
人差し指リンクの構造について説明する。人差し指リンクは図2の視点から見たとき本体上部と回転軸5(図5の5)で接続された楕円の円盤形状をした部分と、それと回転軸で接続された円柱形状の部分に分けられる。材質は親指リンクと同様に木材やプラスチックなど把持したときに不快感や違和感を与えないものであればよい。図3のような持ち方をした場合円柱形上の部分は人差し指の中腹あるいは第一関節付近にあたる。
【0015】
図2の人差し指リンクの動作について説明する。図5のように右手人差し指で操作する場合、第二関節付近から指の先端までを人差し指リンクの左側回転軸の先端にあてがって操作する。指を動かす方向によって回転させる回転軸を変化させる。たとえば、指の先端をあてがってx方向に動かすと先端部分の回転軸6(図5の6)が回転し、指の中腹あたりをあてがってz方向に押せば右側の回転軸5(図5の5)が回転する。またz方向に押しながら指をx方向に動かせば両方の軸を動かすことが出来る。
【0016】
これらの回転は、回転軸に取り付けられたポテンショメータあるいはエンコーダなどで親指リンクと同様に回転情報が電気回路やパソコンなどに伝えられる。いずれの回転軸も回転した角度を検知する装置が取り付けられている。
【0017】
装置全体を把持する部分は、図2の親指リンクと人差し指リンクがそれぞれ回転軸によって取り付けられている。材質は木材やプラスチックなど手で把持したときに違和感のなく、軽量の材料である。もちろんこのほかの材料でも上記に準ずればよい。本体は親指と人差し指をそれぞれ親指リンク、人差し指リンクの入力に使用する場合、残りの指で図3のように全体を把持する。形状は図3のような把持をしたときに残りの指で握れる形状である。図3のような形状に限らず、片手で握って違和感のない形状であればこれに限らなくともよい。
【0018】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、図2に示すように片手に持てる大きさで、関節を大きく曲げることなく親指および人差し指で4自由度の情報入力操作を行うことが出来る。
【0019】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、同様の入力装置を中指に設けることなども可能であり、さらに補足的に薬指、小指などの動きで操作される入力スイッチを追加するなど、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】指の動かす方向を示すための座標軸を定義した図である。
【図2】指を使用した情報入力装置を使用した入力機構の例を示す図である。
【図3】指を使用した情報入力装置を使用した入力機構の例の装着方法を示す図である。
【図4】指を使用した情報入力装置の親指の操作方法を示す図である。
【図5】指を使用した情報入力装置の人差し指の操作方法を示す図である。
【図6】従来の手持ち型コンピュータ入力操作マウスである。
【符号の説明】
【0021】
1‥‥親指リンク,2‥‥人差し指リンク,3,4,5,6‥‥回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指が自然に動き易い運動をすることで情報入力が可能な情報入力装置。
【請求項2】
親指の爪座標系のz軸方向の動きを検出する部分と、親指の爪座標系のy軸方向の動きを検出する部分を持つ第1の機構と、人差し指の爪座標系のz軸方向の動きを検出する部分と、人差し指の爪座標系のx軸方向の動きを検出する部分を持つ第2の機構を有する情報入力装置。
【請求項3】
本体と、本体に対して回転センサを有する回転軸で支持される親指リンクと、本体に対して回転センサを有する回転軸で支持される人差し指リンクと、親指リンクに対して回転センサを有する回転軸で支持される親指ロータと、人差し指リンクに対して回転センサを有する回転軸で支持される人差し指ロータから構成され、操作者は主に薬指、小指、中指を使って本体を把持し、操作者の親指は親指リンクにあてがわれて親指の爪座標系z軸方向の動きで親指リンクの回転運動を生成し、親指爪座標系のy軸方向の動きで親指ロータの回転運動を生成し、操作者の人差し指は人差し指リンクにあてがわれて人差し指の爪座標系z軸方向の動きで回転運動を生成し、人差し指爪座標系のx軸方向の動きで人差し指ロータの回転運動を生成するように構成された情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−334846(P2007−334846A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189798(P2006−189798)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】