説明

情報入力装置

【課題】配置が容易であり、かつ、操作情報の誤入力を抑制することができる情報入力装置を提供する。
【解決手段】運転者が操舵部60の把持部62または接続部63を叩くことによって発生した振動のうち、少なくとも2つ以上の接続部63を伝わる振動を測定部10によって測定する。制御部40は、測定された振動の態様と、被制御機器70に対する操作情報との対応に基づいて、被制御機器70に対する操作情報を選択して、選択した操作情報に係る制御信号を被制御機器70に出力する。このように、運転者が把持部62または接続部63を叩くことによって発生された振動を、接続部63に設けられた測定部10によって測定するため、測定部10の配置が容易となる。さらに、測定部10に測定された振動の態様に基づいて、被制御機器70に対する操作情報を選択して、選択した操作情報に係る制御信号を出力するため、被制御機器70に対して運転者の意図と異なる操作情報に係る制御信号が出力されることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置に関し、特に、車両の操舵に用いられるステアリングに設けられて好適な情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両には、カーステレオや、カーナビゲーションシステムなどの搭載される車載機器の種類が増加するとともに、これら車載機器を操作する情報の入力方法も複雑化しつつある。例えば、車載機器に対する操作の種類に応じた複数のボタンが設けられている場合には、車載機器を操作する車両の運転者は、操作の順序に沿って複数のボタンを順に押下する必要があり、運転者への負担が大きいという問題があった。さらに、運転者の一方の手は車載機器への操作情報の入力に用いられ、他方の手は車両の操舵に用いられるという状況が長く続くことにもなり、運転者への負担が更に大きくなるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、運転者がステアリングホイールから手を離すことなく、車載機器に対する操作情報を入力することができる情報入力装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【0004】
特許文献1には、ステアリングホイールの把持部(運転者が握る部分)内に圧電センサが設けられたステアリング入力装置が開示されている。このステアリング入力装置では、ステアリングホイールに対する荷重のかけ方や、荷重の大きさに基づいて入力される操作の情報を区別し、車載機器へ複数の操作情報を出力することができる。
【0005】
特許文献2には、ステアリングホイールを伝わる音波を検出する音波検出手段が設けられた情報入力装置が開示されている。この情報入力装置では、ステアリングホイールにおける叩かれた(タップされた)位置を、ステアリングホールを右回りに伝わる音波が検出されるタイミング、および、左回りに伝わる音波が検出されるタイミングの時間差に基づいて求めることができる。そして、ステアリングホイールをタップした位置と、車載機器へ出力する操作情報とを対応付けることにより、特許文献2の情報入力装置は、車載機器へ所望の操作情報を出力することができる。
【0006】
また、特許文献2の情報入力装置は、音波検出手段がステアリングホイールに対して取り付けること(いわゆる後付けすること)ができる。そのため、従来のステアリングホイールに対して改造や、設計変更を行うことなく、特許文献2の情報入力装置を容易に取り付けることができる。また、不要な場合には、ステアリングホイールから特許文献2の情報入力装置を取り外すこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−228126号公報
【特許文献2】特開2009−262710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載のステアリング入力装置では、ステアリングホイールの把持部の中に圧電センサを設置する必要があるため、従来のステアリングホイールの設計を大幅に変更する必要があり、かつ、運転者が現在所有している車両へ適用する際には、大幅な改造が必要であるという問題があった。
【0009】
また、特許文献1に記載のステアリング入力装置のように、ステアリングホイールに対する荷重のかけ方や、荷重の大きさに基づいて入力される操作の情報を区別する方法では、誤入力が発生しやすいという問題があった。つまり、運転者が車両の操舵のために行う動作、例えばステアリングホイールを回す動作によってステアリングホイールに加わる荷重をステアリング入力装置が検出し、操作情報の入力と誤って判定しやすいという問題があった。
【0010】
特許文献2に記載された情報入力装置は、ステアリングホイールに着脱可能に取り付けられるものであるため、情報入力装置がステアリングホイールから突出して配置されている。そのため、運転者が車両の操舵のためにステアリングホイールを回す際に、突出した情報入力装置が邪魔になるという問題があった。
【0011】
その一方で、特許文献2に記載された情報入力装置のように、ステアリングホイールを叩いた際に発生する音波であって、ステアリングホイールを右回りで伝わる音波と、左回りで伝わる音波が音波検出手段に到達する時間差(最初に音波検出手段に到達する音波である第1波と、次に到達する音波である第2波との時間差)に基づいて、ステアリングホイールを叩いた位置を判別する方法では、叩いた位置の判別が難しいという問題があった。
【0012】
つまり、ステアリングホイールには、一般的にステアリングホイールの中心に位置する車軸と、ステアリングホイールとをつなぐスポークが設けられており、このスポークがステアリングホイールを伝わる音波を減衰させている。そのため、ステアリングホイールを伝わる距離が比較的長い第2波の振幅は、第1波に対して小さくなりやすく、音波検出手段により検出されにくい。その結果、第1波および第2波が検出される時間差の測定が困難になり、ステアリングホイールを叩いた位置の判別が難しい。
【0013】
また、第2波の検出が困難な場合でも、音波検出手段により検出される音波の波形に対してパターンマッチングを行うことで、ステアリングホイールを叩いた位置を判別する方法が特許文献2に記載されている。しかしながら、ステアリングホイールの同じ場所を叩いても、音波検出手段により検出される音波の波形にはバラツキが含まれ、かつ、車両の振動などのノイズも含まれるため、ステアリングホイールを叩いた位置の判別は難しいという問題があった。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、配置が容易であり、かつ、操作情報の誤入力を抑制することができる情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の情報入力装置は、運転者が操舵部の把持部または接続部を叩くことによって発生した振動のうち、少なくとも2つ以上の接続部を伝わる振動を測定部によって測定する。本発明の情報入力装置の制御部は、測定された振動の態様と、被制御機器に対する操作情報との対応に基づいて、被制御機器に対する操作情報を選択して、選択した操作情報に係る制御信号を被制御機器に出力する。
【0016】
このように、運転者が把持部または接続部を叩くことによって発生された振動を、接続部に設けられた測定部によって測定するため、測定部の配置が容易となる。つまり、接続部に伝わる振動の測定は、振動を測定するセンサである測定部を、接続部の表面に密着させる等、比較的簡易な方法で配置することで可能となる。例えば、特許文献1のステアリング入力装置における圧電センサのように、把持部の内部にセンサを埋め込む場合と比較して、接続部の表面に測定部を密着させる方法は、測定部の配置が容易である。さらに、把持部や接続部の構成を変更することなく、または、特許文献1のステアリング入力装置と比較してより少ない変更で、測定部を配置することができる。
【0017】
さらに、測定部に測定された振動の態様に基づいて、被制御機器に対する操作情報を選択して、選択した操作情報に係る制御信号を出力するため、被制御機器に対して運転者の意図と異なる操作情報に係る制御信号が出力されることが防止される。具体的には、運転者が車両を操舵する(車両の進行方向を操る)動作を行った際に操舵部に加える力を、制御部が、被制御機器に対する操作情報の入力と誤り、誤った制御信号を出力することが防止される。例えば、運転者が把持部を回転させる際に、把持部や接続部に荷重を加えたとしても、接続部が振動しない限り、制御部は被制御機器に対して制御信号を出力することはなく、誤った制御信号は出力されない。
【0018】
また、少なくとも2つ以上の測定部により測定された振動の態様に基づいて、被制御機器に対する操作情報を選択するため、運転者が意図する被制御機器に対する操作情報の選択を容易にかつ正確に行うことができる。具体的には、それぞれの測定部により測定された振動の態様を対比し、対比した結果に基づいて、運転者が把持部や接続部のどの部分を叩いて発生した振動かを判別することができる。その結果、制御部は、運転者が把持部や接続部の特定の部分を叩くことにより入力した操作情報を判別することができる。
【0019】
ステアリングホイールを右回り、および、左回りした音波を1箇所の音波測定部で測定する特許文献2の情報入力装置に対して、本発明では、2箇所以上に設置した測定部で振動を測定しているため、測定されるまでに振動が伝わる距離が短くなる。そのため、振幅が大きい状態で振動を測定することができ、運転者が意図する操作情報の判別が容易となる。
【0020】
それぞれの測定部により測定された振動の態様を対比し、対比した結果に基づいて判別を行うことにより、例えば、測定された振動に車両の振動などのノイズが含まれても、運転者が意図する操作情報の判別を行いやすい。例えば、特許文献2の情報入力装置のように、測定された音波の波形に対してパターンマッチングを行う方法では、上述のノイズが測定された音波に含まれると、運転者が意図する操作情報の判別は困難となる。これと比較して、それぞれの測定部により測定された振動の態様を対比する方法では、ノイズの影響を抑えて運転者が意図する操作情報の判別を行うことができる。
【0021】
被制御機器としては、カーオーディオや、携帯型音楽プレーヤや、カーナビゲーションシステム(以下、「ナビ」と表記する。)や、遠隔操作が可能なドアミラーや、エアーコンディショナー(以下、「エアコン」と表記する。)や、クルーズコントロールシステムや、電動で開閉される窓や、ワイパや、アイドリングストップシステム(以下、「IS」と表記する。)などを例示することができる。
【0022】
被制御機器に対する操作情報には、複数の被制御機器に対する切替えを指示する操作情報や、被制御機器に対する設定を行う操作情報も含まれる。さらには、設定を行う状態から、被制御機器の機能を発揮する状態への復帰を指示する操作情報も含まれる。
【0023】
制御部に予め記憶された対応は、複数の測定部により測定された振動の態様を、運転者が把持部または接続部を叩いた位置によって分類したものであって、この分類と被制御機器に対する操作情報との対応を定めたものであることが望ましい。
【0024】
このようにすることで、把持部または接続部における複数の特定の領域を、被制御機器に対する複数の操作情報に対応づけることができる。運転者は、上述の特定の領域を叩くことで、対応する操作情報を情報入力装置に入力し、被制御機器に対応する操作情報に応じた動作を行わせることができる。
【0025】
測定部により測定される振動の態様は、測定部における振動の測定タイミングの順番か、測定された振動の振幅の大きさの順番であることが望ましい。
複数の測定部により振動が測定され、振動の測定タイミングが異なる場合には、運転者が把持部の一部を叩いたと判断される。具体的には、運転者が叩いた位置で発生した振動は、把持部に沿って叩いた位置から離れる方向に伝わり、把持部から接続部に伝わった後にそれぞれの測定部に測定される。測定されるまでに振動が伝わった経路は、測定部によって異なる。そのため、振動の測定のタイミングがずれることになる。このことから、振動の測定タイミングが異なる場合には、運転者が把持部を叩いたと判断される。
【0026】
振動の測定のタイミングが同じ場合には、振動を検出した測定部が取り付けられた複数の接続部を、運転者が同時に叩いたと判断することができる。特に、3つ以上の接続部のそれぞれに測定部が設けられた場合には、運転者が同時に叩いたと判断される。上述のように、運転者が把持部を叩いた場合、振動が測定部に測定されるまでに伝わる経路は、測定部ごとに異なるため、振動の測定タイミングがずれる。これに対して、運転者が複数の接続部を同時に叩いた場合、叩かれた接続部に設けられた測定部は同時に振動を測定する。叩かれていない接続部に設けられた測定部は、把持部および回転軸を介して叩かれた接続部とつながっているが、振動が伝わる距離が長く、また、振動が伝わりにくい構成のため、振動を測定することがない、または、測定しても弱い振動しか測定できない。このことから、振動の測定タイミングが同じ場合には、運転者が振動を測定した測定部の設けられた接続部を同時に叩いたと判断される。なお、振動の検出のタイミングが同じとは、時間差がなく完全に同時である場合だけでなく、運転者が左右の手で同時に叩くことを意図して叩いた際に生じる時間差を含むものである。
【0027】
上述と同様に、測定されるまでに振動が伝わった経路は測定部によって異なり、経路の長さによって振動の振幅が減衰する量が変わるため、複数の測定部により測定された振動の振幅が異なる場合には、運転者が把持部の一部を叩いたと判断される。
【0028】
また、振動の振幅が同じ場合には、振動を検出した測定部が取り付けられた複数の接続部を、運転者が同時に叩いたと判断することができる。例えば、振動を検出した測定部と、振動を検出していない測定部とが存在した場合であって、検出された振動の振幅が同じときには、振動を検出した測定部が設けられた接続部を運転者が同時に叩いたと判断できる。特に、3つ以上の接続部のそれぞれに測定部が設けられた場合には、運転者が同時に叩いたと判断される。
【0029】
なお、振動の振幅が同じとは、振幅に差がなく完全に同じである場合だけでなく、運転者が左右の手で同じ強さで叩くことを意図して叩いた際に生じる振幅の差を含むものであり、測定部による測定感度の差をも含むものである。さらに、振動の振幅の大きさとは、振幅の積分値、振幅の最大値(片振幅値)、振幅の最大値から最小値までの値(全振幅値)などに基づいて定められるものである。
【0030】
上述の場合と異なり、一部の測定部において振動が測定されず、残りの測定部により振動が測定された場合には、振動を検出した測定部が取り付けられた接続部を、運転者が叩いたと判断される。具体的には、運転者が叩いた接続部に設けられた測定部のみが振動を測定する一方で、叩かれていない接続部に設けられた測定部は、振動が伝わりにくいため、十分な大きさの振動を測定することができない。このことから、一部の測定部において振動が測定されず、残りの測定部により振動が測定された場合には、振動を検出した測定部が取り付けられた接続部が叩かれたと判断される。
【0031】
接続部における把持部の近傍に測定部が配置されていることが望ましい。例えば、接続部における回転軸の近傍に配置される場合と比較して、測定部はより大きな振幅の振動を測定することができる。振動は叩かれた位置に近い位置で測定するほど大きくなるため、運転者により叩かれる把持部の近くに測定部を配置することで、把持部が叩かれた際に発生する振動が減衰する前に測定することができる。
【0032】
接続部の上面に測定部を配置することが望ましい。例えば、接続部の側面に測定部を配置した場合と比較して、接続部の上面に測定部を配置することにより、測定部により測定される振動の振幅の値が大きくなる。さらに、補助部を設けることにより、測定部と接続部との間の振動が伝達可能な接触面積を増やす(最大で測定部における接続部と対向する面の全て)ことにより、振動の伝達可能な面積が狭い場合と比較して接続部の振動をより確実に測定することができる。
【0033】
測定部としては、接続部の振動を電気信号に変換する圧電素子や、接続部の振動による加速度を検出する加速度センサであることが望ましい。また、加速度センサは、交差する二つの方向の加速度を検出するものであることが望ましい。
【0034】
操作情報を入力する被制御機器を選択する情報を入力する選択部を設けて、操作情報に係る制御信号が入力される被制御機器を切り替える選択情報を、選択部から制御部に入力させることが望ましい。このように選択部を設けることで、被制御機器を選択する情報の入力が容易、かつ確実になる。
【0035】
車両の走行状態を検出する走行状態検出部を設けて、走行状態検出部から入力される検出信号に基づいて、制御部は被制御機器に対する制御信号の出力および出力停止を制御することが望ましい。このようにすることで、被制御機器に対して制御を行うことが好ましい状態、例えば、車両が停止している状態にのみ、被制御機器に対して操作情報を入力させることができる。
【0036】
運転者に情報を伝達する情報伝達部を設けて、制御部は、制御信号を出力した被制御機器から動作状態に係る動作信号が入力されると、情報伝達部に被制御機器の動作状態を運転者に伝達する制御信号を出力することが望ましい。このようにすることで、運転者は入力した操作情報に対して被制御機器がどのように動作したか容易に知ることができる。動作状態を運転者に伝達する方法としては、音声など、聴覚を刺激することによって伝達する方法、振動など、触覚を刺激することによって伝達する方法、光の点滅や画像の表示など、視覚を刺激することによって伝達する方法などを例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報入力装置の概略を説明する模式図である。
【図2】図1のステアリング部の構成およびセンサ部の配置状態を説明する模式図である。
【図3】図2のセンサ部の配置状態を説明する斜視図である。
【図4】図2のセンサ部の取り付け状態を説明する断面視図である。
【図5】図1の情報入力装置における車載機器の制御を説明するフローチャートである。
【図6】図5の感度変更処理の処理内容を説明するフローチャートである。
【図7】図5のスポーク叩き推定処理の処理内容を説明するフローチャートである。
【図8】図7のスポーク叩き推定処理の内容を表を用いて説明する図である。
【図9】図7のノイズ成分を取り除く処理について説明するグラフである。
【図10】図7の車載機器制御処理における処理内容を説明するフローチャートである。
【図11】図5のホイール叩き推定処理における処理内容を説明するフローチャートである。
【図12】ステアリングホイールが叩かれた位置と、入力用センサ部が振動を測定した順番を説明する表を示す図である。
【図13】図11の車載機器制御処理におけるステアリングホイールの叩き位置と制御対象等との対応を定めた表を示す図である。
【図14】図5の安全状況判断処理における処理内容を説明するフローチャートである。
【図15】図5の制御対象切替処理における車載機器の切替えを説明する図である。
【図16】図5の設定内容変更処理における処理内容を説明するフローチャートである。
【図17】入力用センサ部の配置位置に関する試験について説明する模式図である。
【図18】図17に示す位置に配置された入力用センサ部から出力された測定信号の電圧を説明する表の図である。
【図19】入力用センサ部とスポークとの接触面積に関する試験について説明する模式図である。
【図20】図19に示す入力用センサ部から出力された測定信号の電圧を説明する表の図である。
【図21】図2のステアリング部における他の実施例を説明する模式図である。
【図22】図21のステアリング部における叩き位置と入力用センサ部が振動を測定する順番を説明する表の図である。
【図23】本発明の第2の実施形態におけるホイール叩き推定処理の処理内容を説明するフローチャートである。
【図24】図23の振幅値計算処理の処理内容を説明するフローチャートである。
【図25】図24における振幅値計算処理の処理内容を説明するグラフである。
【図26】図24の振幅値の算出を説明するグラフである。
【図27】図24の振幅値の算出を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
〔第1の実施形態〕
この発明の第1の実施形態に係る情報入力装置1について、図1から図22を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る情報入力装置1の概略を説明する模式図である。図2および図3は、図1のステアリング部60の構成およびセンサ部の配置状態を説明する模式図である。図4は、スポーク63に対するセンサ部の取り付け状態を説明する断面視図である。
【0039】
本実施形態の情報入力装置1は、図1に示すように、車両の操舵に用いられるステアリング部(操舵部)60に設けられたものであり、車両のさまざまな車載機器(被制御機器)70の操作に用いられるものである。
【0040】
情報入力装置1には、図1に示すように、操作情報の入力に用いられる入力用センサ部(測定部)10RU,10LU,10RD,10LDと、ノイズのキャンセルに用いられるノイズ用センサ部20と、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDおよびノイズ用センサ部20から出力された信号の処理を行う信号処理部30と、処理された信号に基づいて上述の振動に対応する操作情報を判別し、車載機器70へ制御信号を出力する制御部40と、車載機器の動作状態を運転者に伝えるフィードバック部(情報伝達部)50と、が主に設けられている。
【0041】
ステアリング部60には、図1から図3に示すように、軸線まわりに回転可能に支持されたステアリングシャフト(回転軸)61と、円環状に形成されたステアリングホイール(把持部)62と、ステアリングシャフト61およびステアリングホイール62をつなぐスポーク(接続部)63と、が主に設けられている。本実施形態では、スポーク63がπの字型に4本設けられたステアリング部60に情報入力装置1が設けられている例に適用して説明する。
【0042】
ステアリングホイール62は運転者が把持するものであり、ステアリングホイール62をステアリングシャフト61まわりに回転させることにより車両の操舵を行うものである。ステアリングホイール62やスポーク63は、その断面における中心に鉄などの金属製の骨組みが配置され、骨組みの周囲にウレタンなどの弾力性を有する材料が配置され、外面にカバーが配置されている。ステアリングホイール62の回転は、スポーク63によりステアリングシャフト61に伝えられ、ステアリングシャフト61から、車両の操舵機構(図示せず)に伝達される。
【0043】
入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDおよびノイズ用センサ部20は、図1に示すように、共に振動を電気信号に変換する圧電素子を用いたものであり、変換した電気信号を測定信号として信号処理部30へ出力するものである。
【0044】
入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDは、図1および図2に示すように、ステアリング部60のスポーク63のそれぞれに設けられたものであり、スポーク63の振動を測定するものである。入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDは、ステアリングホイール62からスポーク63に伝わる振動を測定するために、スポーク63におけるステアリングホイール62とつながる部分の近傍に配置されていることが望ましい。さらに、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDは、振動の測定感度を高めるために、図3および図4に示すように、スポーク63における骨組み63Bの上面に配置されている。そのため、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDは、カバー63C等に覆われて外部から目視することができない(図4では、入力用センサ部10RUを例示している。)。
【0045】
さらに、骨組み63Bから入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDへの振動の伝達を補助する補助部10Aが設けられている。補助部10Aは、骨組み63Bに振動の伝達が可能に取り付けられ、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDに振動の伝達が可能に取り付けられている。本実施形態では、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDにおける骨組み63Bに対向する面全体と、補助部10Aとが振動の伝達が可能とされている例に適用して説明する。補助部10Aとしては、例えば、接着剤を挙げることができる。
【0046】
また、本実施形態では、図4に示すように、骨組み63Bから入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDに向かって、断面積が広がる形状の補助部10Aに適用して説明しているが、断面積が略一定の形状であってもよく、特に限定するものではない。さらに、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDにおける骨組み63Bと対向する面の全体が補助部10Aと振動の伝達が可能に接触していてもよいし、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDにおける骨組み63Bと対向する面の一部であって、骨組み63Bと接触する面積よりも広い面積において、補助部10Aと振動の伝達が可能に接触してもよい。
【0047】
さらに、振動の測定感度を高めるために、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDの全面がスポーク63と接触してスポーク63の振動が入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDに伝わるように配置されていることが望ましい。
【0048】
本実施形態では運転者から見て、右横に向かって延びるスポーク63に入力用センサ部10RU、左横に向かって延びるスポーク63に入力用センサ部10LU、右下に向かって延びるスポーク63に入力用センサ部10RD、左下に向かって延びるスポーク63に入力用センサ部10LDが配置されている例に適用して説明する。
【0049】
ノイズ用センサ部20は、図1に示すように、ステアリング部60のステアリングシャフト61に設けられたものであり、ステアリングシャフト61の振動を測定するものである。ステアリングシャフト61における振動は、主に、駆動系統から発生する振動や、走行時に路面から受ける衝撃等による振動などであり、運転者が車載機器70の操作を意図して発生させる振動とは異なるノイズとなる振動が大半を占めているものである。
【0050】
信号処理部30は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDおよびノイズ用センサ部20から出力された測定信号を、制御部40に入力できる形式の信号に処理するものである。信号処理部30には、図1に示すように、測定信号の振幅を増幅させる増幅部31と、アナログ信号である測定信号をデジタル信号に変換するA/D変換部32と、が設けられている。増幅部31およびA/D変換部32としては、公知のものを用いることができ、その種類を特に限定するものではない。
【0051】
制御部40は、内蔵された記憶装置に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。本実施形態では、制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから出力された測定信号に基づいて、運転者がステアリング部60のステアリングホイール62およびスポーク63のどの部分を叩いたか判別するものであり、かつ、判別した叩いた位置に対応する操作情報を特定し、特定した操作情報に係る制御信号を車載機器70に出力するものである。さらに、制御部40は、制御信号を出力した車載機器70から動作状態を示す信号を受け取り、当該動作状態を運転者に知らせる制御信号をフィードバック部50に出力するものである。
【0052】
制御部40には、上述の信号処理部30の他に、フットレストスイッチ41、感度スイッチ42、および、キャンセルスイッチ43から信号が入力されるとともに、CAN(Controller Area Network)44を介して車速に係る信号など車両に関する信号が入力されている。
【0053】
フットレストスイッチ41は、車載機器70に対する操作の内容を、動作の制御および設定の変更の間で選択するスイッチである。運転者がフットレストスイッチ41を足で踏むことにより、車載機器70における動作の制御を行うモード、または、設定の変更を行うモードに切り替える選択信号が制御部40に出力される。例えば、フットレストスイッチ41を踏む毎に、動作の制御を行うモードおよび設定の変更を行うモードに交互に切り替わる。
【0054】
感度スイッチ42は、情報入力装置1における操作情報の入力感度を制御するスイッチである。具体的には、情報入力装置1が検知できるステアリングホイール62やスポーク63の振動の振幅の大きさ、言い換えると、情報入力装置1へ操作情報を入力する際に必要な叩く力の大きさを制御するものである。
【0055】
感度スイッチ42は、入力感度の設定を手動設定モード、および自動設定モードの間で切り替えるものである。手動設定モードに切り替えられた場合、情報入力装置1は、操作情報が入力される最低限の入力感度を設定することができる。言い換えると、操作情報を入力する際に必要な叩く力の最小値を設定することができる。その一方で、自動設定モードに切り替えられた場合、情報入力装置1は、車両の走行速度に応じて、操作情報が入力される最低限の入力感度が自動的に変更される。
【0056】
キャンセルスイッチ43は、車載機器70が入力された操作情報に基づいて動作を開始する前に、当該動作の開始をキャンセルする信号を出力するものである。例えば、運転者がキャンセルスイッチ43を押下すると、キャンセル信号がキャンセルスイッチ43から制御部40に出力される。制御部40は、車載機器70に操作情報に関する制御信号を出力する前であるならば、当該制御信号の出力を中止し、制御信号を出力した後であるならば、車載機器70に操作情報に基づく動作を中止する制御信号を出力する。
【0057】
CAN44は車載ネットワークであり、車両に搭載された各種部品の間における信号の通信に用いられる多重通信が可能なネットワークである。本実施形態では、車両の走行速度を測定する車速センサ(走行状態検出部)が出力する速度信号が、CAN44を経由して制御部40に入力される例に適用して説明する。
【0058】
さらに、制御部40と車載機器70との間には制御用バス45が設けられ、制御部40から出力される制御信号を車載機器70に伝えるとともに、車載機器70から出力される動作状態を示す信号を制御部40に伝えることが可能とされている。
【0059】
フィードバック部50は、運転者に対して種々の情報を伝達するものであり、制御部40から出力される制御信号に基づいて動作するものである。本実施形態では、フィードバック部50には、車載機器70の動作状態を画像として表示するディスプレイ51と、画像以外のものであって運転者の視覚に訴えて(例えば光の点滅など)車載機器70の動作状態を伝える光源などの視覚刺激装置52と、音声など運転者の聴覚に訴えて車載機器70の動作状態を伝えるスピーカなどの聴覚刺激装置53と、振動など運転者の触覚に訴えて車載機器の動作状態を伝えるステアリングホイール62に設けられた振動発生部などの触覚刺激装置54が含まれている。なお、ここに列記したものは例示であって、これら全てを含む必要はない。さらに、ここに列記したもの以外のものが含まれていてもよい。
【0060】
本実施形態における車載機器70には、図1に示すように、ワイパ71や、電動で開閉される窓72や、エアコン73や、カーステレオ74および電子音源75や、ナビ76や、ウインカ77や、遠隔操作が可能なドアミラー78や、ACC(Adaptiv Cruise Control)79や、ステアリング位置変更部80や、IS81が含まれる。なお、ここに列記したものは例示であって、これら全てを含む必要はない。さらに、ここに列記したもの以外のものが含まれていてもよい。
【0061】
次に、本実施形態に係る情報入力装置1における車載機器70の制御方法について説明する。図5は、図1の情報入力装置1における車載機器70の制御を説明するフローチャートである。
【0062】
まず、情報入力装置1に対して電力が供給されているか否かを判定し(S11)、電力が供給されていない場合(NOの場合)には、電力が供給されるまで待機し続ける。情報入力装置1に対して電力が供給されると(YES)、制御部40は、情報入力装置1による操作が禁止(ロック)されているか否かを判定する(S12)。
【0063】
情報入力装置1による操作がロックされている場合(YESの場合)には、操作のロックが解除されるまで待機し続ける。情報入力装置1による操作がロックされていない場合(NOの場合)には、制御部40は、その時点における操作対象の(制御部40から制御信号が出力される)車載機器70をディスプレイ51に表示させる制御信号を出力するとともに、その車載機器70における動作状態に係る信号を車載機器70から受け取り、当該動作状態をディスプレイ51に表示させる制御信号を出力する。例えば、操作対象の車載機器70がエアコン73の場合には、ディスプレイ51に操作対象がエアコン73であることを示す表示と、エアコン73の動作状態を示す表示がされる(エアコン_温度25℃_風量弱)(S13)。
【0064】
その後、制御部40は、フットレストスイッチ41が操作される(ONされる)ことにより車載機器70に対する操作の内容を選択する選択信号が入力されたか否かを判定する(S14)。フットレストスイッチ41が操作されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、次に感度スイッチ42が操作される(ONされる)ことにより入力感度を変更させる信号が入力されたか否かを判定する(S15)。
【0065】
感度スイッチ42が操作された場合(YESの場合)には、制御部40は、感度変更処理を開始する(S16)。その一方で、感度スイッチ42が操作されていない場合には、感度変更処理(S16)を飛ばして、次のスポーク叩き推定処理を開始する(S17)。
【0066】
図6は、図5の感度変更処理の処理内容を説明するフローチャートである。
制御部40は感度変更処理を開始すると、図6に示すように、感度変更を指示する信号が入力されたか否かの確認を行う(S101)。感度変更を指示する信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は感度変更処理を終了する。
【0067】
感度変更を指示する信号が入力された場合(YESの場合)には、車両が停車中か否かの判定を行う(S102)。判定は、例えばCAN44を介して入力される車速センサから出力される速度信号に基づいて行われる。車速が0の場合には、車両が停車している(YES)と判定され、制御部40は、運転者が手動で入力感度の設定を行う手動設定モードの制御を行い(S103)、設定が終了すると図5に示すスポーク叩き推定処理を開始する(S17)。
【0068】
その一方で、車速が0でない場合には、車両が走行している(NO)と判定され、制御部40は、振動の測定感度が低感度モードであるか否かの判定を行う(S104)。低感度モードによる測定が行われていた場合(YESの場合)には、制御部40は、車両の走行速度(車速)の上昇に伴い、振動の測定感度を更に低くする処理を行う(S105)。
【0069】
低感度モードによる測定が行われていなかった場合(NOの場合)には、制御部40は、ノイズキャンセル処理(S106)を行い、その後、車両の走行速度(車速)の上昇に伴い、振動の測定感度を高くする処理を行う(S107)。その後、制御部40は、図5に示すスポーク叩き推定処理を開始する(S17)。
【0070】
図7は、図5のスポーク叩き推定処理の処理内容を説明するフローチャートである。図8は、図7のスポーク叩き推定処理の内容を、表を用いて説明する図である。
スポーク叩き推定処理が開始されると、制御部40は、図7に示すように、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのうち、一つ以上のセンサが振動を検出したか否かを判定する(S111)。振動を検出したセンサがない場合(NOの場合)には、図5に示す運転者がスポーク63を叩いたと推定されたと記憶部に記憶されたか否かの確認(S18)を行う。
【0071】
一つ以上のセンサが振動を検出した場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのうち、一つ以上のセンサにおいて振動が検出されていないか否かを判定する(S112)。振動を検出していないセンサがない場合(NOの場合)には、図5に示す運転者がスポーク63を叩いたと推定されたと記憶部に記憶されたか否かの確認(S18)を行う。
【0072】
一つ以上のセンサにおいて振動が検出されていない場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されているか否かを判定する(S113)。入力用センサ部10RUから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されたと判定し、入力用センサ部10RUが振動を検出したことを記憶部(図示せず)に記憶させる(S114)。
【0073】
入力用センサ部10RUから測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10LUから測定信号が入力されているか否かを判定する(S115)。入力用センサ部10LUから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10LUから測定信号が入力されたと判定し、入力用センサ部10LUが振動を検出したことを記憶部に記憶させる(S116)。
【0074】
入力用センサ部10LUから測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RDから測定信号が入力されているか否かを判定する(S117)。入力用センサ部10RDから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RDから測定信号が入力されたと判定し、入力用センサ部10RDが振動を検出したことを記憶部に記憶させる(S118)。
【0075】
入力用センサ部10RDから測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10LDから測定信号が入力されているか否かを判定する(S119)。入力用センサ部10LDから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10LDから測定信号が入力されたと判定し、入力用センサ部10LDが振動を検出したことを記憶部に記憶させる(S120)。
【0076】
その後、制御部40は、振動が検出されたセンサに基づいて、振動が検出されたスポーク63を特定し、特定したスポーク63を記憶部に記憶させる(S121)。特定したスポーク63を記憶させると、制御部40は、振動を検出したセンサから出力された測定信号に含まれるノイズ成分を取り除くノイズキャンセル機能が起動(ON)されているか、停止(OFF)されているか判定する(S122)。
【0077】
なお、制御部40は、所定の閾値よりも大きな値を示す測定信号が入力されて初めて測定信号が入力されたと判定する。そのため、各入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから入力された測定信号の値が、閾値よりも小さな値の場合には、制御部40に測定信号が入力された判定されない。これにより、スポーク63の微弱な振動、例えば車両の走行に伴う振動など運転者がスポーク63やステアリングホイール62を叩いて発生させた振動以外の振動を、各入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDが測定して測定信号を出力しても、測定信号の値が閾値を超えない限り、制御部40はこの制御信号が入力されたと判定することがない。
【0078】
ノイズキャンセル機能がONされている場合(YESの場合)には、制御部40は入力された測定信号に対してノイズ成分を取り除く処理を行う(S123)。その一方で、ノイズキャンセル機能がOFFされている場合(NOの場合)には、制御部40は、測定信号に対してノイズ成分を取り除く処理を行うことなく、車載機器制御処理を開始する(S124)。
【0079】
測定信号に対するノイズ成分を取り除く処理は、次のように行われる。
制御部40は、図1に示すように、ステアリングシャフト61に設けられたノイズ用センサ部20から出力された測定信号を取りこみ、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのいずれかから入力された測定信号から、ノイズ用センサ部20から出力された測定信号と同じ成分の信号を除去する処理を行う。つまり、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのいずれかに測定された振動から、ノイズ用センサ部20により測定された振動を取り除く処理を行う。
【0080】
図9は、図7のノイズ成分を取り除く処理における遅延時間ついて説明するグラフである。
ノイズ成分を取り除く処理を行う際に、ノイズとなる振動が各センサ部に到達する時間差を考慮した処理を行う。ノイズ用センサ部20により測定されたノイズである振動が、その後、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDが配置された位置に伝わり、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDに測定されるまでには時間的に遅れがある。この時間遅れは、各センサ部の配置位置と、振動が伝わる速さによって決まるため、演算によって求めることもできるし、予め測定して把握することもできる。制御部40は、ノイズ用センサ部20から出力された測定信号に対して上述の時間遅れを反映させる処理を行い、その後に、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのいずれかから入力された測定信号から、ノイズ用センサ部20から出力された測定信号と同じ成分の信号を除去する処理を行う。
【0081】
例えば、図9では、ノイズとなる振動が、ステアリングシャフト61からスポーク63に伝わる例について説明している。つまり、ノイズとなる振動Vnがステアリングシャフト61を伝わっている際に、ノイズ用センサ部20がノイズとなる振動Vnを検出する。ここの時点を時刻0とする。その後、ノイズとなる振動Vnが、右横方向に延びるスポーク63や、左横方向に延びるスポーク63に伝わり、入力用センサ部10RUや入力用センサ部10LUに検出される。図9では、振動Vnがノイズ用センサ部20から入力用センサ部10RUや入力用センサ部10LUに伝わるまでに時間t1だけ要した例が示されている。また、ノイズとなる振動Vnが右下方向に延びるスポーク63や、左下方向に延びるスポーク63に伝わり、入力用センサ部10RDや入力用センサ部10LDに検出される。図9では、振動Vnがノイズ用センサ部20から入力用センサ部10RDや入力用センサ部10LDに伝わるまでに時間t2だけ要した例が示されている。
【0082】
制御部40は、入力用センサ部10RUや入力用センサ部10LUから出力された測定信号に対してノイズを除去する処理を行う場合には、ノイズ用センサ部20から出力された測定信号に時間t1だけ遅延させる処理を行うと共にノイズを除去する処理を行う。また、入力用センサ部10RDや入力用センサ部10LDから出力された測定信号に対してノイズを除去する処理を行う場合には、ノイズ用センサ部20から出力された測定信号に時間t2だけ遅延させる処理を行うと共にノイズを除去する処理を行う。
【0083】
図10は、図7の車載機器制御処理における処理内容を説明するフローチャートである。
ノイズ除去処理が終わると、制御部40は、車載機器制御処理を開始する(S124)。制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのいずれから測定信号が入力されたかにより、運転者がどのスポーク63を叩いたか、および、測定信号の振幅の判別を行い、車載機器70対して出力する制御内容および制御量の選択を行う(S131)。なお、叩かれたスポーク63の位置および測定信号の振幅と、制御内容および制御量との関係を予め定めたテーブルが制御部40に記憶されている。
【0084】
その後、制御部40は、選択された制御内容および制御量に係る制御信号を生成し、生成した制御信号を対応する車載機器70に向けて出力する(S132)。なお、この制御信号のみでは、車載機器70は動作を実行することがなく、後述する制御の実行に係る制御信号が入力されて、初めて、車載機器70は制御内容を実行する。
【0085】
制御信号を出力すると制御部40は、図7に示すように、運転者がスポーク63を叩いたと推定されたことを記憶部(図示せず。)に記憶させる(S125)。言い換えると、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDのうち、一つが測定信号を出力したか否かを記憶する。
【0086】
そして、図5に示すフローチャートに戻り、制御部40は、運転者がスポーク63を叩いたと推定されたと記憶部に記憶されたか否かの確認を行う(S18)。記憶部にスポーク63が叩かれたと記憶されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、ステアリングホール叩き推定処理を開始する(S19)。その一方で、スポーク63が叩かれたと記憶されている場合(YESの場合)には、制御部40は、ステアリングホール叩き推定処理を行うことなく、次の安全状況判断処理を開始する(S20)。
【0087】
図11は、図5のホイール叩き推定処理における処理内容を説明するフローチャートである。
ホイール叩き推定処理が開始されると、制御部40は図11に示すように、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されたか否かの判定(S141)を行い、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されていた場合(YESの場合)には、当該測定信号の波形を記憶部(図示せず)に記憶させる(S142)。波形の記憶とは、振動が測定された時刻と、振動の振幅を記憶することである。
【0088】
同様に、入力用センサ部10LU,10RD,10LDから、測定信号が入力されたか否かの判定(S143,S145,S147)を行い、入力用センサ部10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されていた場合(YESの場合)には、当該測定信号の波形を記憶部(図示せず)に記憶させる(S144,S146,S148)。
【0089】
S141,S143,S145,S147において測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、測定信号の波形の記憶を行わずに、ノイズキャンセル機能が起動(ON)されているか、停止(OFF)されているかの判定を行う(S149)。
【0090】
ノイズキャンセル機能がONされている場合(YESの場合)には、制御部40は入力された測定信号に対してノイズ成分を取り除く処理を行う(S150)。なお、S150におけるノイズ成分を取り除く処理は、上述のS116におけるノイズ成分を取り除く処理と同じ処理を行うため、その説明を省略する。
【0091】
S149において、ノイズキャンセル機能がOFFされていると判断された場合(NOの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDの全てから測定信号が入力されているか否かを判定する(S151)。全ての入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、ホイール叩き推定処理を終了する。
【0092】
S151において、全ての入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、測定信号における振幅の値が、所定の閾値以上であるか否かを判定する(S152)。測定信号における振幅の値が、所定の閾値未満の場合(NOの場合)には、制御部40は、ホイール叩き推定処理を終了する。
【0093】
測定信号における振幅の値が所定の閾値以上の場合には、運転者から操作情報の入力を意図した叩きがあったとして、制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから入力された測定信号に基づいて各センサ部が振動を測定した順番を判別し、運転者がステアリングホイール62のどの部分を叩いたかを識別する(S153)。
【0094】
図12は、ステアリングホイール62が叩かれた位置と、入力用センサ部が振動を測定した順番を説明する表を示す図である。
具体的には、制御部40には、図12に示すようなテーブルが予め記憶されている。例えば、ステアリングホイール62の上(図2参照。)が叩かれた場合には、叩かれた位置から等しい距離にある左右の入力用センサ部10RU,10LUにおいて最初に振動が測定され、次いで、等しい位置にある右下、左下の入力用センサ部10RD,10LDにおいて振動が測定される。ステアリングホイール62の右上が叩かれた場合には、叩かれた位置に最も近い右の入力用センサ部10RUにおいて最初に振動が測定され、そして、距離の近い順に、右下の入力用センサ部10RD、左の入力用センサ部10LU、左下の入力用センサ部10LDにおいて振動が測定される。ステアリングホイール62におけるその他の部分についても、同様に、各センサ部が振動を測定した順番に基づいて、ステアリングホイール62における叩かれた位置を識別することができる。
【0095】
ステアリングホイール62の叩かれた位置が識別されると、制御部40は、振幅の値が最も大きな測定信号(通常は叩かれた位置に最も近いセンサ部から出力された測定信号)における振幅の最大値を測定する(S154)。
【0096】
図13は、図11の車載機器制御処理におけるステアリングホイール62やスポーク63の叩き位置と制御対象、および、制御量との対応を定めた表を示す図である。
その後、制御部40は上述の処理結果に基づいて、車載機器制御処理を開始する(S155)。制御部40には、図13に示すようなステアリングホイール62やスポーク63の叩き位置と、制御対象および制御量との対応を定めた表(テーブル)が予め記憶されている。制御部40は、上述のS153において識別されたステアリングホイール62やスポーク63の叩き位置および図13の表に基づいて、制御対象を選択する。更に制御部40は、選択された制御対象の制御量がonやoff以外の程度を指定するもの(音量など)の場合には、S154で測定された振幅の最大値に応じた制御量を定める。
【0097】
具体的には、カーステレオ(図13では「カーステ」と表記されている。)74を制御する場合には、アルバムの選曲や、曲の変更や、音量の変更が制御対象となり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。ACC79を制御する場合には、車両の走行速度を上げる(スピードUPする)ことや、走行速度を落とす(スピードDOWNする)ことが制御対象となり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。ウインカ77を制御する場合には、右折を意味するウインカの点滅や、左折を意味するウインカの点滅や、ハザードを意味する左右のウインカの同時点滅などが制御対象となり、制御対象の動作を行う(onする)こと、停止する(off)ことが制御量となっている。
【0098】
エアコン73を制御する場合には、空調された空気の吹き出し口の変更や、車室内の目標温度の変更や、吹き出される空気の風量の変更などが制御対象となり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。ナビ76を制御する場合には、表示される画像(例えば地図画像)のスクロール方向(上、下、右、左等)が制御対象であり、制御対象の動作を行う(スクロールする)ことが制御量となっている。
【0099】
電子音源75を制御する場合には、合いの手(特願2010−049324参考。)や、各音源(音源A,音源B,…,音源G)が制御対象であり、合いの手を入れる、入れない(on,off)や、各音源の音量が制御量となっている。音量はステアリングホイール62を叩く強さ、言い換えると各センサ部により測定される振動の振幅の大きさに基づいて制御される。ワイパ71を制御する場合には、フロントワイパの選択や、リアワイパの選択や、ワイパを動かす速さを上げる(スピードUP)や、速さを落とす(スピードDOWN)が制御対象であり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。
【0100】
窓72を制御する場合には、制御する窓の位置(運転手側、助手席側など)や、窓の上げ下げ(UP,DOWN)等が制御対象であり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。また、窓の上げ、下げについては、ステアリングホイール62やスポーク63を叩く強さ、言い換えると各センサ部により測定される振動の振幅の大きさに基づいて上げ、下げされる量が定められてもよい。
【0101】
ステアリング位置変更部80を制御する場合には、ステアリング部60の位置を上げる、下げる(UP,DOWN)が制御対象であり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。IS81を制御する場合には、アイドリングストップ(IS)機能を実行する、停止する(on,off)や、エンジンの始動、停止などが制御対象であり、制御対象の動作を行う(onする)ことが制御量となっている。
【0102】
図14は、図5の安全状況判断処理における処理内容を説明するフローチャートである。
車載機器制御処理が終了すると、制御部40は、図5に示すように、安全状況判断処理を開始する(S20)。制御部40は、図14に示すようにステアリング角度が所定の閾値以上か否かの判定を行う(S161)。例えば、制御部40には、ステアリングシャフト61の回転位相を測定するセンサが出力した測定信号が入力され、制御部40は予め記憶された閾値と測定信号の値とを比較する。当該測定信号と操舵輪の向きであるステアリング角度とは相関関係にあるため、閾値と測定信号の値とを比較することで、制御部40はステアリング角度が所定の閾値(例えば45°)以上か否かの判定を行うことができる。
【0103】
ステアリング角度が所定の閾値未満と判定された場合(NOの場合)、次に制御部40は、車両が走行(前進)中であり、かつ、ウインカ77が作動しているか否かを判定する(S162)。例えば、制御部40は、車速センサから出力される速度信号に基づいて車両が走行中か否かを判定するとともに、ウインカ77に対して出力した制御信号の履歴を確認することにより、ウインカ77が作動しているか否かを判定する。
【0104】
車両が走行しておらず、かつ、ウインカ77が作動していない場合(NOの場合)、次に制御部40は、車両が後退(後進)中か否かを判定する(S163)。例えば、制御部40は、車速センサから出力される速度信号に基づいて車両が後退中か否かを判定する。車両が後退していない場合(NOの場合)、制御部40は安全状況判断処理を終了し、図5のフローチャートに戻り、安全状況であるか否かの判定を行う(S21)。
【0105】
S161においてステアリング角度が所定の閾値以上であると判定された場合(YESの場合)、S162において車両が走行中であり、かつ、ウインカ77が作動中と判定された場合(YESの場合)、S163において車両が後退中であると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、操作情報の入力を行うには安全でない状況であると判定し(S164)、判定結果を記憶部(図示せず)に記憶させる。
【0106】
その後、制御部40は、安全状況判断処理を終了し、図5のフローチャートに戻り、安全状況であるか否かの判定を行う(S21)。具体的には、記憶部にS164において安全でない状況であると判定された結果が記憶されているか否かの確認を行う。記憶部に安全でない状況であると判定された結果が記憶されている場合(NOの場合)には、制御部40は、ディスプレイ51にエラー表示を行う制御信号を出力し(S22)、上述のS20に戻り安全状況判断処理を繰り返し行う。
【0107】
記憶部に安全でない状況であると判定された結果が記憶されていない場合、言い換えると安全状況であると判定された結果が記憶されている場合(YESの場合)には、制御部40は、制御状況の更新を行う(S23)。具体的には、制御部40は、それまで出力していた制御信号に基づいて、車載機器70の動作を開始させる制御信号を出力する。
【0108】
その後、制御部40は、キャンセルスイッチ43が操作されたか否かの判定を行う(S24)。具体的には、上述のS23の制御状況の更新により、入力された操作情報に基づく動作を開始した車載機器70に対して、当該動作をキャンセルする操作情報が入力されたか否かの判定を行う。
【0109】
例えば、運転者がキャンセルスイッチ43を押下することにより、キャンセルの操作情報が入力されると、キャンセルスイッチ43からキャンセルに係る信号が制御部40に入力される(YES)。制御部40は、上述の動作を開始した車載機器70に対して動作を中止するとともに、当該動作を開始する直前の状態に戻る制御信号を出力する(S25)。
【0110】
このようにすることで、操作情報の誤入力によって車載機器70が、運転者が意図しない動作を開始した際に、車載機器70の当該動作を容易に中止し、かつ、誤入力を行う前の状態に戻すことができる。特にキャンセルスイッチ43を設けて、キャンセルスイッチ43に対して1回の操作を行うことで、動作の中止と、誤入力を行う前の状態に戻すこと、の2つの動作を実現することができ、運転者に対する操作の負担を軽減することができる。
【0111】
当該制御信号を出力すると、制御部40は、情報入力装置1の電源がOFFになっているか否かの判定を行う(S26)。また、キャンセルスイッチ43が操作されていない場合(NOの場合)にも、制御部40は、同様の判定を行う(S26)。例えば、S23の制御状況の更新が行われた後、所定の期間、キャンセルスイッチ43に対して操作がされなかった場合に、制御部40は、キャンセルスイッチ43が操作されていないと判定する。
【0112】
電源がOFFされている場合(YESの場合)には、S11に戻り、上述の処理を繰り返して行う。電源がOFFされていない場合(NOの場合)には、S12に戻り、上述の処理を繰り返して行い、S13では、更新された車載機器70の動作状況がディスプレイ51に表示される。これにより、運転者に操作情報の入力結果がフィードバックされる。
【0113】
なお、運転者への入力結果のフィードバックとしては、上述のようにディスプレイ51に動作状況などを表示する方法の他に、聴覚刺激装置53を用いたフィードバックや、触覚刺激装置54を用いたフィードバックや、視覚刺激装置52を用いたフィードバックを行ってもよい。
【0114】
例えば、聴覚刺激装置53が、ステアリングホイール62における上,下,右,左,右上,右下,左上,左下に埋め込まれたスピーカであるときは、運転者によって叩かれたと推定する位置に埋め込まれたスピーカから音を発生させることにより、運転者へ入力結果をフィードバックする。なお、聴覚刺激装置53としては、スピーカであってもよいし、その他の聴覚を刺激するものであってもよく、特に限定するものではない。
【0115】
また、触覚刺激装置54が、ステアリングホイール62における上,下,右,左,右上,右下,左上,左下に埋め込まれた振動発生部であるときは、運転者によって叩かれたと推定する位置に埋め込まれた振動発生部を振動させることにより、運転者へ入力結果をフィードバックする。なお、触覚刺激装置54としては、振動発生部であってもよいし、その他の触覚を刺激するものであってもよく、特に限定するものではない。
【0116】
さらに、視覚刺激装置52が、ステアリングホイール62における上,下,右,左,右上,右下,左上,左下に埋め込まれたLED等の発光部であるときは、運転者によって叩かれたと推定する位置に埋め込まれた発光部を光らせることにより、運転者へ入力結果をフィードバックする。なお、視覚刺激装置52としては、発光部であってもよいし、その他の視覚を刺激するものであってもよく、特に限定するものではない。
【0117】
図15は、図5の制御対象切替処理における車載機器の切替えを説明する図である。
上述のS14における判定において、フットレストスイッチ41が操作されている場合(YESの場合)における処理について説明する。この場合、制御部40は、制御対象の切替え処理を開始する(S27)。例えば、左横に延びるスポーク63が運転者によって叩かれると、制御部40には叩かれたことにより発生した振動を測定した測定信号が入力用センサ部10LUから入力される。すると、制御部40は、図15に示すように、制御信号が入力される度に制御の対象である車載機器70を変更していく。図15では、上側に記載された車載機器70から下側に記載された車載機器70へ、制御の対象が変わる例が示されている。また、図15では、ユーザが制御対象を設定できるユーザ設定1およびユーザ設定2も設けられている。
【0118】
制御対象である車載機器70が切り替えられると、制御部40は、制御対象である車載機器70の設定の変更を行うか否かの判定を行う(S28)。例えば、右横に延びるスポーク63が運転者によって叩かれたか否かにより判定が行われる。設定の変更が行われない場合(NOの場合)には、S12に戻り、上述の制御が繰り返される。
【0119】
その一方で、設定の変更が行われた場合(YESの場合)には、さらに制御部40は、車両が停車中であるか否かの判定を行う(S29)。例えば、制御部40は、車速センサさら出力される測定信号に基づいて、車両が停車しているのか、走行しているのかを判定する。車両が走行していると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、ディスプレイ51にエラーを表示させる制御信号を出力する(S30)。そして、S14に戻って上述の処理を繰り返し行う。
【0120】
車両が停車していると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は設定内容変更処理を開始する(S31)。設定内容変更処理とは、ステアリングホイール62における各部分(上、下、右、左、右上、右下、左上、左下)に割り当てられた制御対象を変更する処理である。
【0121】
図16は、図5の設定内容変更処理における処理内容を説明するフローチャートである。
図16に示すように、まず制御部40は、設定内容の変更を終了するか否かを判定する(S171)。設定内容の変更を終了する情報が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は設定内容変更処理を終了して、図5のS12に戻る。
【0122】
設定内容の変更を終了しない場合(NOの場合)には、制御部40は、運転者により叩かれたステアリングホイール62の部分を推定するホイール叩き推定処理を開始する(S172)。なお、ここで行われる処理は、S19で行われたステアリングホイール叩き推定処理におけるS141からS153までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0123】
ステアリングホイール62の叩かれた部分である叩き位置が推定されると、制御部40は、ディスプレイ51に推定された叩き位置を表示する制御信号を出力し、運転者に確認を求める。運転者はディスプレイ51に表示された叩き位置が正しければ、その叩き位置を選択する操作情報を制御部40に入力する(S173)。
【0124】
その後、制御部40には、選択された叩き位置に対して新しく割り当てる制御内容が入力される(S174)。例えば、運転者が対象である車載機器70における機能(制御内容)を選択するスイッチを押下することにより、新しく割り当てる制御内容が入力される。
【0125】
新しく割り当てられる制御内容が入力されると、制御部40は、選択された叩き位置に、入力された新たな制御内容を割り当て、叩き位置と制御内容との対応を定めた表(テーブル)の内容の更新を行う(S175)。さらに、制御部40は、更新された叩き位置と制御内容とを、ディスプレイ51に表示する制御信号を出力する(S176)。その後、図5に示すS12に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
【0126】
図17は、入力用センサ部10の配置位置に関する試験について説明する模式図である。図18は、図17に示す位置に配置された入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから出力された測定信号の電圧を説明する表の図である。
【0127】
ここで、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDをスポーク63の上側面、外側に配置することにより、振動の測定が行いやすくなることについて説明する。図17には、スポーク63の横正面と上側面に、ステアリングホイール62の近傍である外と、中心側の内と、その間の中に入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDがそれぞれ配置された状態が示されている。スポーク63の横正面とは、運転者と対向する面であり、図17における紙面に相当する位置の面である。スポーク63の上側面とは、スポーク63における上側に形成された面であり、図17の上側の面である。
【0128】
試験では、ステアリングホイール62における上、下、右、左の各部分をそれぞれ指で叩いた際に、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから出力された測定信号における電圧のPk−Pk(Peak to Peak)値が測定された。さらに、測定は、ステアリングホイール62における上、下、右、左の各部分に対して、それぞれ360回行い、全ての測定により得られた値の平均値を測定結果とした(図18の表参照。)。
【0129】
図18に示す試験の結果の表によれば、上側面における外に配置された入力用センサ部10から出力された測定信号のPk−Pk値が最も大きいことが分かる。つまり、上側面における外(ステアリングホイール62に近い位置)は、他の部分と比較して、振動を測定しやすい位置であることが分かる。
【0130】
図19は、入力用センサ部10とスポーク63との接触面積に関する試験について説明する模式図である。図20は、図19に示す入力用センサ部10から出力された測定信号の電圧を説明する表の図である。
【0131】
次に、入力用センサ部10の全面をスポーク63に接触させることにより、振動の測定が行いやすくなることについて説明する。図19には、アルミニウム板に3つの入力用センサ部10が配置され、それぞれの入力用センサ部10は、同一の円周上に等間隔(120°間隔)に配置されている。入力用センサ部10とアルミニウム板との接触面は、図中のハッチングを施した面であり、1つの入力用センサ部10は、その全面においてアルミニウム板と接触している。他の1つの入力用センサ部10は、中心の領域においてアルミニウム板と接触し、残りの1つの入力用センサ部10は、両端の領域においてアルミニウム板と接触している。
【0132】
試験では、入力用センサ部10が配置された円周における中心を叩いて発生させた振動を入力用センサ部10に測定させ、入力用センサ部10から出力される測定信号の電圧のPk−Pk値を測定した。図20の表に示すように、全ての測定回数において、全面がアルミニウム板と接触している入力用センサ部10から出力される測定信号のPk−Pk値が最も大きくなっていることが分かる。つまり、全面がスポーク63と接触している入力用センサ部10は、一部においてスポーク63と接触している入力用センサ部10と比較して、振動を測定しやすいことが分かる。
【0133】
上記の構成によれば、ステアリングホイール62の内部にセンサを埋め込む場合と比較して、本実施形態では、スポーク63における骨組みの表面に入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDを密着させるため、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDの配置が容易である。さらに、ステアリングホイール62やスポーク63の構成を変更することなく、または、ステアリングホイール62にセンサを埋め込む場合と比較してより少ない変更で、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDを配置することができる。
【0134】
運転者がステアリングホイール62を回転させる際に、ステアリングホイール62やスポーク63に荷重を加えたとしても、スポーク63が振動しない限り、制御部40は車載機器70に対して制御信号を出力することがない。言い換えると、本実施形態の情報入力装置1は、車両の操舵を操作情報と誤って認識し、誤った制御信号を車載機器70に対して出力することを防止できる。
【0135】
本実施形態では、2箇所以上に設置した入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDで振動を測定しているため、ステアリングホイール62を右回り、および、左回りした振動を1箇所のセンサで測定する方法と比較して、測定されるまでに振動が伝わる距離が短くなる。そのため、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDは、振幅が大きい状態で振動を測定することができ、運転者が意図する操作情報の判別を容易とすることができる。
【0136】
それぞれの入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDによる振動が測定された順序に基づいて、運転者が意図する操作情報の判別を行うため、測定された振動に車両の振動などのノイズが含まれても、運転者が意図する操作情報の判別を行いやすい。
【0137】
図21は、図2のステアリング部60における他の実施例を説明する模式図である。図22は、図21のステアリング部60における叩き位置と入力用センサ部10が振動を測定する順番を説明する表の図である。
【0138】
なお、上述の実施形態のように、ステアリング部60のスポーク63は4本であってもよいし、図21に示すように、3本のスポーク63をT字状に配置したものであってもよく、特に限定するものではない。図21に示す構成のステアリング部60であっても、スポーク63が4本の場合と同様に、ステアリングホイール62における上、右上、右、右下、下、左下、左、左上のどの部分が叩かれたか判別することができる(図22参照。)。
【0139】
なお、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDとしては、上述のように圧電素子を用いたものであってもよいし、スポーク63の振動による加速度を測定する加速度センサであってもよく、特に限定するものではない。さらに、加速度センサとしては、1軸方向への加速度の変化を測定する加速度センサであってもよいし、直交する2軸方向への加速度の変化を測定する加速度センサであってもよい。このようにすることで、1方向からの叩きだけではなく、直交する2方向からの叩きのそれぞれを判別することができ、上述の実施形態と比較して、2倍の操作情報に係る制御信号を車載機器70に出力することができる。
【0140】
なお、ステアリングホイール62の表面を全て同じ材料で覆っても良いし、上述の上,右上,右,右下,下,左下,左,左上の各部分を運転者が視覚や触覚で識別できるように、異なる材料で覆っても良く、特に限定するものではない。
【0141】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図23から図27を参照して説明する。
本実施形態の情報入力装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、ホイール叩き推定処理における処理内容が異なっている。よって、本実施形態においては、図23から図27を用いてホイール叩き推定処理における処理内容のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0142】
図23は、本実施形態におけるホイール叩き推定処理の処理内容を説明するフローチャートである。本実施形態では、制御部40がホイール叩き推定処理を開始すると、図23に示すように、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されたか否かの判定(S141)を行い、入力用センサ部10RUから測定信号が入力されていた場合(YESの場合)には、当該測定信号の波形、特に振幅を記憶部(図示せず)に記憶させる(S332)。
【0143】
同様に、入力用センサ部10LU,10RD,10LDから、測定信号が入力されたか否かの判定(S143,S145,S147)を行い、入力用センサ部10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されていた場合(YESの場合)には、当該測定信号の振幅を記憶部(図示せず)に記憶させる(S334,S336,S338)。
【0144】
S141,S143,S145,S147において測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、測定信号の振幅の記憶を行わずに、ノイズキャンセル機能が起動(ON)されているか、停止(OFF)されているかの判定を行う(S149)。
【0145】
ノイズキャンセル機能がONされている場合(YESの場合)には、制御部40は入力された測定信号に対してノイズ成分を取り除く処理を行う(S150)。なお、S150におけるノイズ成分を取り除く処理は、上述のS116におけるノイズ成分を取り除く処理と同じ処理を行うため、その説明を省略する。
【0146】
S149において、ノイズキャンセル機能がOFFされていると判断された場合(NOの場合)には、制御部40は、入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDの全てから測定信号が入力されているか否かを判定する(S151)。全ての入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されていない場合(NOの場合)には、制御部40は、ホイール叩き推定処理を終了する。
【0147】
S151において、全ての入力用センサ部10RU,10LU,10RD,10LDから測定信号が入力されている場合(YESの場合)には、制御部40は、振幅値計算処理を開始する(S342)。
【0148】
図24は、図23の振幅値計算処理の処理内容を説明するフローチャートである。図25は、図24における振幅値計算処理の処理内容を説明するグラフである。振幅値計算処理が開始されると、制御部40は、図24および図25に示すように、時刻t0の設定を行う(S351)。時刻t0は、入力用センサ部10RU,10RD,10LU,10LDから入力された測定信号のいずれかの振幅がノイズエリア(閾値)よりも大きくなった時点である。図25では、入力用センサ部10RUから出力された測定信号の振幅がノイズエリアを超えた時点を時刻t0として設定した例が示されている。
【0149】
時刻t0を設定すると、制御部40は、時刻t0から時刻twまでの間の振幅値の算出を行う(S352)。振幅値としては、時刻t0から時刻twまでの間の振幅値を積分した値や、時刻t0から時刻twの間の振幅値の最大値や、Pk−Pk値を例示することができる。
【0150】
図26および図27は、図24の振幅値の算出を説明するグラフであり、図26は、ステアリングホイール62の右の部分が叩かれた場合、図27は、上の部分が叩かれた場合を説明するグラフである。
【0151】
例えば、振幅値として、時刻t0から時刻twまでの間の振幅値を積分した値を用いる例について、図26および図27を参照しながら説明する。ステアリングホイール62の右の部分を叩いた場合、図26に示すように、入力用センサ部10RUから出力された測定信号の振幅の変動が最も大きく、次いで、入力用センサ部10RDから出力された測定信号の振幅の変動が大きい。その一方で入力用センサ部10LU,10LDから出力された測定信号の振幅の変化は、共に小さい。時刻t0から時刻twまでの間の振幅値の積分値は、入力用センサ部10RUのものが最も大きく、次いで入力用センサ部10RDのものが大きい。さらに、入力用センサ部10LD,10LUの順に積分値は小さくなる。
【0152】
また、ステアリングホイール62の上の部分を叩いた場合、図27に示すように、入力用センサ部10RU,10LUから出力された測定信号の振幅の変動が最も大きく、次いで、入力用センサ部10RD,10LDから出力された測定信号の振幅の変動が大きい。時刻t0から時刻twまでの間の振幅値の積分値は、入力用センサ部10RU,10LUのものが最も大きく、次いで入力用センサ部10RD,10LDのものが大きい。
【0153】
その後、図23に示すフローチャートに戻り、制御部40は、算出された振幅の順序に基づいて、ステアリングホイール62が叩かれた位置の識別を行う(S343)。叩かれた位置の識別は、S153の場合と同様に、叩かれた位置と振幅の順序とが予め記憶されたテーブルに基づいて行われるため、その説明を省略する。また、叩き位置を識別した後の処理内容についても、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0154】
1…情報入力装置、10,10RU,10RD,10LU,10LD…入力用センサ部(測定部)、40…制御部、50…フィードバック部(情報伝達部)、60…ステアリング部(操舵部)、61…ステアリングシャフト(回転軸)、62…ステアリングホイール(把持部)、63…スポーク(接続部)、70…車載機器(被制御機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線まわりに回転可能に支持された回転軸と、運転者が把持し、前記回転軸まわりに回転させることにより車両を操舵する把持部と、前記把持部および前記回転軸の間をつなぐとともに前記把持部との間で振動の伝達を可能とする少なくとも2つ以上の接続部と、を備える操舵部のうち、前記把持部または前記接続部を前記運転者が叩いて入力した情報を検出して、被制御機器に対して操作情報を出力する情報入力装置であって、
少なくとも2つ以上の前記接続部のそれぞれに設けられ、前記接続部を伝わる振動を測定する測定部と、
少なくとも2つ以上の前記測定部により測定される振動の態様と、前記被制御機器に対する操作情報との対応が予め記憶され、前記測定部から出力された前記振動の測定信号に基づいて、予め記憶された前記対応から前記被制御機器に対する操作情報を選択し、選択した操作情報に係る制御信号を出力する制御部と、
が設けられていることを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
予め記憶された前記対応は、複数の前記測定部により測定された振動の態様を、前記運転者が前記把持部または前記接続部を叩いた位置によって分類し、当該分類と前記被制御機器に対する操作情報との対応が定められたものであることを特徴とする請求項1記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記測定部により測定される振動の態様は、前記測定部における前記振動の測定タイミングの順番に基づく態様であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記測定部により測定される振動の態様は、前記測定部において測定された前記振動の振幅の大きさの順番に基づく態様であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、一つ以上の前記測定部により振動が測定されず、かつ、残りの前記測定部により振動が測定された場合には、振動が測定された前記残りの測定部が設けられた接続部が、前記運転者に叩かれたと判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報入力。
【請求項6】
前記測定部は、前記接続部における前記把持部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項7】
前記測定部は、前記接続部の上面に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項8】
前記測定部は、前記接続部の振動を電気信号に変換する圧電素子を用いたものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項9】
前記測定部は、前記接続部の振動による加速度を検出する加速度センサを用いたものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項10】
前記加速度センサは、交差する二つの方向の加速度を検出するものであることを特徴とする請求項9記載の情報入力装置。
【請求項11】
前記運転者が操作情報を入力する前記被制御機器を選択する情報を入力する選択部が、更に設けられ、
選択する情報が入力された前記選択部は、前記制御部から制御信号が入力される前記被制御機器を切り替える選択情報を前記制御部に出力することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項12】
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出部が、更に設けられ、
前記制御部は、前記走行状態検出部から入力される検出信号に基づいて、前記被制御機器に対する制御信号の出力および出力停止を制御することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項13】
前記運転者に情報を伝達する情報伝達部が、更に設けられ、
前記制御部は、制御信号を出力した前記被制御機器から動作状態に係る動作信号が入力されると、前記情報伝達部に前記被制御機器の動作状態を前記運転者に伝達する制御信号を出力することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項14】
前記操作情報は、制御を行う前記被制御機器の切替え情報、前記被制御機器における制御モードの切替え情報を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項15】
前記測定部における前記接続部と対向する面が、前記接続部における前記測定部と対向する面よりも広い場合に、
前記接続部に振動の伝達が可能に配置されるとともに、前記測定部における前記接続部と対向する面に対して振動の伝達が可能に接触する補助部が設けられていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−150714(P2012−150714A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9944(P2011−9944)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】