説明

情報共有システム

【課題】共有情報の配信を行うサーバに接続される情報端末の実質的な数を減らすことにより、情報伝送の遅延と通信障害の発生の減少を図り、サーバの負荷の軽減を図る。
【解決手段】各情報端末が、利用者が使用状態であることを示す状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定部と、アイドル状態であると判定された場合、サーバに同一拠点内の代表端末の検出を要求する検出要求を送信し、かつサーバから代表端末の情報を受信する代表端末検出要求部と、アイドル状態と判定された場合にサーバ又は、代表端末から配信されるストリーミング情報を受信するストリーミング受信部とを備え、サーバが、第1の情報端末から代表端末の検出要求を受信した場合、第1の情報端末と同一の拠点に属する代表端末を検出し、その代表端末の情報を第1の情報端末に送信する代表端末検出部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報共有システムに関し、特に、ネットワークを介して接続された複数の情報端末間で、共通の映像や音声等の情報を伝送する情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からネットワークを介して、複数の情報端末間で映像や音声等の情報の伝送を行う通信システムや、専用のサーバ等を介して遠隔地にある複数の情報端末間で音声会議やビデオ会議を行う通信システムが利用されている。
たとえば、従来のビデオ会議システムでは、多地点接続装置(MCU:Multi−point Control Unit)および、MCU機能を有したサーバに、各地点ごとに設置された情報端末や参加者ごとの情報端末が、インターネット,LAN,あるいは専用回線等のネットワークを介して接続され、情報端末毎に入力された映像,音声,文書などの情報がMCUに集積され、MCUにおいて各情報のデコード(復号化),ミキシング(合成),エンコード(符号化)等の一連の処理が行われ、各情報端末に共通の情報として配信される。
一般的に、各情報端末を利用している会議への参加者は、共通の映像を見て、共通の音声を聞きながら会議を行うものとする。
【0003】
また、利用者が自ら遠隔会議装置(情報端末)の主電源を切断する操作をすることなく、動画像符号化機構の動き検出機構から動きベクトル値を取得して利用者の退席を判定し、自動的に安全に回線及び電源を切断することのできる自動回線切断機能付遠隔会議システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ユーザの在席または退席に係る情報(プレゼンス情報)を他のユーザの通信端末で表示するプレゼンスサービスを有する通信システムにおいて、ユーザが自己のプレゼンス情報の設定や変更を忘れることがあることを考慮して、ユーザの通信端末の周囲で撮影された撮影画像又はその通信端末の周囲で取得された音声を、プレゼンス情報として相手ユーザの通信端末へ送信し、相手ユーザのプレゼンス状態を正確に把握するようにしたプレゼンス情報処理端末(特許文献2参照)や、プレゼンス情報のユーザによる設定操作だけでなく、マイクにより集音される音に基づいてユーザの在席/退席を判定して、プレゼンス情報を更新する通信端末が、提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、サーバ装置とデータの送受信を行う通信端末装置において、その通信端末装置及び利用者の状態情報を示すプレゼンス情報が特定の条件に合致した際に、端末装置の動作の変更及び通信データの加工を行う機能を備え、プレゼンス情報を基にして端末装置側で動作変更やデータの加工処理を行うことにより、サーバ側の負荷を軽減することのできる通信システムが提案されている(特許文献4参照)。
また、この特許文献4には、サーバ装置が、通信端末装置から送信されたプレゼンス情報を使用して、設定された特定条件(たとえば、特定地域内にある端末)に適合する端末群情報を収集して、端末装置の新規グループを自動的に作成する通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−336122号公報
【特許文献2】特開2004−214934号公報
【特許文献3】特開2007−129411号公報
【特許文献4】国際公開WO2006/054778
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のMCUを利用した多地点会議システムでは、MCUに同時に接続される情報端末の数が増加すればするほど、MCUと各情報端末間の通信回線で送受信されるトラフィックが増加するので、情報伝送の遅延や、ノイズの発生による通信エラー等の通信障害が起こりやすくなり、円滑な会議の進行ができなくなる場合もある。
さらに、MCUでは、接続される情報端末が増加すればするほど、エンコード(符号化)、デコード(複号化)等の処理をすべき情報量が増加するので、MCUにかかる負荷が大きくなり、それにより各情報端末への情報伝送に遅延をもたらすことになる。
【0008】
また、MCUにおいて、情報端末から送信されてくる在席または退席を示す情報を基にして、各端末の動作管理や、通信回線の接続や切断処理を一元的に一括管理する場合は、利用者は一時的に中座しただけなのに、MCUによって通信回線を切断されてしまう場合や、その利用者の情報端末への電源供給が停止されてしまう場合もある。
このような場合、利用者は、会議に再び参加するためには、回線接続処理や電源投入等の一連の操作をやり直す必要があるので、利用者にとって不便であり、操作負担が大きかった。
【0009】
また、特許文献1,2および3に記載されたシステム等においても、端末の動作制御が自動的に行われ、あるいはプレゼンス状態が正確に把握できたとしても、利用者にとって意図しない通信回線や電源の切断が行われる場合もあり、利用者が自ら再起動操作等を行う必要があった。
また、いずれの特許文献に開示された技術も、ネットワークに接続される情報端末の数が増加した場合において、伝送遅延や通信障害等の問題を軽減させることを目的とするものではなく、そのような軽減措置については考慮されていない。
【0010】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、サーバに接続されている複数の情報端末のうち、実質的にサーバと情報通信を行う情報端末の数を抑制して、情報伝送の遅延および、通信エラー等の通信障害の発生の減少、サーバが処理する情報量の低減によるサーバの負荷の軽減を図り、さらに情報端末の動作状態の段階的な制御を行うことによる情報端末側の利用者の操作負担の軽減を図ることのできる情報共有システムを提供することを課題とする。ここで、サーバとは、ビデオ会議の制御機能のうち、少なくともMCU機能を有する装置を指すこととする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、サーバと、複数の情報端末とがネットワークを介して接続され、前記情報端末において入力された情報をサーバに送信し、前記サーバが、各情報端末から送信された情報を用いて共有情報を生成し、前記共有情報を前記情報端末へ配信する情報共有システムであって、前記情報端末が、その情報端末を利用者が使用状態であることを示す状態情報を生成する情報入力部と、前記情報入力部によって生成された状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であることを判定するアイドル状態判定部と、アイドル状態であることが判定された場合に、情報端末の現在の動作状態に対応して、段階的に動作状態を変更する端末モード切替部と、情報端末の現在の動作状態を、サーバへ送信する端末状態通知部と、アイドル状態であると判定された場合に、サーバに、同一拠点内の代表端末の検出を要求する検出要求を送信し、かつサーバから代表端末の情報を受信する代表端末検出要求部と、アイドル状態であると判定された場合に、サーバあるいは前記代表端末から配信されるストリーミング情報を受信するストリーミング受信部とを備え、前記サーバが、前記情報端末から送信されてきた動作状態に基づいてその情報端末との通信方法を切り替える通信方法切替部と、第1の情報端末から代表端末の検出要求を受信した場合に、前記第1の情報端末と同一の拠点に属する情報端末の中から代表端末を検出し、その代表端末の情報を前記第1の情報端末に送信する代表端末検出部と、情報端末にストリーミング情報を送信するストリーミング配信部とを備え、前記情報端末の動作状態に従って、各情報端末ごとにサーバと各情報端末との間の通信状態を変更させることを特徴とする情報共有システムを提供するものである。
【0012】
これによれば、アイドル状態であると判定された情報端末は、サーバあるいは同一拠点内の代表端末から配信されるストリーミング情報を受信する一方向的な通信状態となるので、サーバと情報端末間の通信状態を情報伝送量の少ない状態とすることができ、さらに情報伝送量が減少することにより伝送遅延の減少と通信障害の発生の減少を図り、サーバの負荷を軽減することができる。
また、情報端末の動作状態を段階的に変更しているので、たとえば、変更後の動作状態から変更前の動作状態への復帰のための操作を比較的容易にすることができ、利用者の操作負担を軽減でき、その復帰を短時間で行うことができる。
【0013】
また、前記代表端末検出部が、前記代表端末を検出できた場合に、前記第1の情報端末のストリーミング受信部は、検出された代表端末から、ストリーミング情報を受信することを特徴とする。
これによれば、アイドル状態である第1の情報端末は、代表端末からストリーミング情報を受信するので、サーバから第1の情報端末へ直接映像等の共有情報が送信されることがなく、より伝送遅延の減少と通信障害の発生を減少させ、サーバの負荷もより軽減させることができる。
【0014】
また、前記代表端末検出部が、前記第1の情報端末と同一拠点に属する代表端末を検出できなかった場合、代表端末の未検出通知を、前記第1の情報端末に送信し、前記第1の情報端末が、前記未検出通知を受信した場合、前記第1の情報端末の端末状態通知部が、自己が代表端末となることをサーバに通知し、その後、ストリーミング受信部は、サーバから、ストリーミング情報を受信することを特徴とする。
これによれば、アイドル状態である第1の情報端末は、サーバからストリーミング情報を一方向的に受信するので、サーバの負荷の軽減と、伝送遅延の減少および通信障害の減少を図ることができる。
【0015】
この発明において、前記同一拠点内の代表端末は、前記第1の情報端末と同一グループに属する情報端末として予め設定された情報端末の中から、選択されることを特徴とする。
また、前記同一グループに属する情報端末は、同一の拠点IDを持つ情報端末、同一ルータに接続されそのルータの配下のネットワークに属する情報端末、および同一ドメイン内の情報端末のいずれかとしてもよい。
さらに、前記代表端末は、前記第1の情報端末と同一の拠点IDを持ち、アイドル状態ではない情報端末とすることができる。
【0016】
また、前記情報端末の動作状態は、サーバと双方向通信を行う第1モード、サーバから音声および映像を含む情報を受信して片方向通信を行う第2モード、情報端末の主機能を停止してサーバとの通信を中止した状態の第3モード、情報端末の電源を切断した状態の第4モードを含み、前記アイドル状態判定処理により、アイドル状態であることが検出されるごとに、情報端末の動作状態を前記第1モードから第4モードの順に段階的に変更させることを特徴とする。
【0017】
ここで、第1モードにおいて、サーバと情報端末間で、映像および音声の双方向通信が行われるのに対し、第2モードでは、サーバから情報端末の方向へ、映像および音声の片方向送信が行われるので、第1モードよりも伝送される情報量は少ない。第3および第4モードでは、サーバと情報端末間の通信が中止されているので、サーバとその情報端末間で伝送される情報はなくなる。したがって、アイドル状態の検出により、情報端末の動作状態を第1モードから第2モード、第3モード、第4モードのように段階的に変更していけば、情報端末とサーバ間の情報伝送量が減少する方向に動作状態を変更できるので、サーバに接続される実質的な情報端末数を減少させることができる。これにより、サーバおよび情報端末における映像および音声のエンコード、デコードといった処理負荷の軽減だけでなく、通信伝送量の削減に伴ない、伝送遅延や、通信障害の発生を減少させることができる。
また、アイドル状態を検出するごとに、第1モードから第4モードへ順に、情報端末の動作状態を段階的に変更するので、変更前の動作状態への復帰が、アイドル状態を検出したときにいきなり情報端末の電源を切断してしまう場合よりも、より短時間に、より容易な操作で可能となり、利用者の負担を軽減できる。
【0018】
また、前記情報入力部は、利用者の操作による入力信号を入力する入力部と、カメラにより撮影された映像を入力する映像入力部と、マイクから音声を入力する音声入力部とを備え、前記入力信号、入力映像および入力音声を用いて、前記状態情報を生成することを特徴とする。
また、前記アイドル状態判定部は、所定の設定時間中に継続して、前記入力信号の入力がないこと、前記入力音声の入力がないこと、および前記入力映像に所定の変化がないことのいずれもが検出された場合、その情報端末が使用されていない可能性があるアイドル状態であると判定することを特徴とする。
【0019】
ここで、利用者が情報端末を使用していることを示す状態情報として、利用者の操作の有無と利用者の音声の入力の有無と、利用者を撮影した映像の変化の有無を利用する。
たとえば、利用者がマウスを動かした場合、マウスを動かしたことを示す入力信号により、入力信号があったことを示す状態情報が生成される。
そして、利用者の操作入力、利用者の音声入力および映像変化という3つの情報を総合的に利用して、利用者がその情報端末を使用していない可能性があると判定するので、利用者の不在の判断を、より確実にすることができる。
【0020】
さらに、利用者の音声特徴データと、利用者の顔の特徴を示す顔画像特徴データを含む認識データベースを記憶した記憶部と、前記入力音声と音声特徴データとを用いた音声認識と、前記入力映像と顔画像特徴データとを用いた画像認識とを利用して、利用者を特定する人物認識を行う人物認識部とをさらに備え、前記アイドル状態判定部は、所定の設定時間中に継続して、前記人物認識部により人物認識が失敗した場合に、その情報端末が使用されていない可能性があるアイドル状態であると判定することを特徴とする。
これにより、利用者を特定したアイドル状態の判定を行うので、利用者の不在の判断をより確実に行うことができる。
【0021】
さらに、この発明は、サーバと、複数の情報端末とがネットワークを介して接続され、前記情報端末において入力された情報をサーバに送信し、前記サーバが、各情報端末から送信された情報を用いて共有情報を生成し、前記共有情報を前記情報端末へ配信する情報共有システムの情報共有方法であって、前記情報端末が、その情報端末を利用者が使用状態であることを示す状態情報を生成する情報入力ステップと、前記状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定ステップと、アイドル状態であると判定された場合に、情報端末の現在の動作状態に対応して、段階的に所定の動作状態に変更する端末モード切替ステップと、情報端末の現在の動作状態を、サーバへ送信する端末状態通知ステップと、アイドル状態であると判定された第1の情報端末が、サーバに、同一拠点内の代表端末の検出を要求する検出要求送信ステップと、前記サーバが、前記代表端末の検出要求を受信した場合に、検出要求を送信してきた前記第1の情報端末と同一の拠点に属する情報端末の中から代表端末を検出するステップと、検出された代表端末の情報を前記第1の情報端末に送信するステップと、前記第1の情報端末が、受信した代表端末の情報を用いて、その代表端末に、ストリーミング配信を要求する配信要求送信ステップと、前記代表端末が、受信した配信要求に基づいて、前記第1の情報端末に、ストリーミング情報を送信するステップとを備えたことを特徴とする情報共有方法を提供するものである。
また、コンピュータに、前記したような情報共有方法の各ステップを実行させるための情報共有システムのプログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、アイドル状態であると判定された情報端末は、サーバあるいは同一拠点内の代表端末から配信されるストリーミング情報を受信する一方向的な通信状態となるので、サーバと情報端末間の通信状態を情報伝送量の少ない通信状態とすることができ、伝送遅延を減少させ、通信障害の発生を減少させることができ、さらにサーバが共有情報を生成するときの負荷を減少させることができる。
また、情報端末の動作状態を段階的に変更させるので、変更後の動作状態から変更前の動作状態へ復帰するための利用者の操作負担が軽減でき、その復帰にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の情報共有システムの一実施例の概略構成図である。
【図2】情報端末の第1実施例の構成ブロック図である。
【図3】サーバの第1実施例の構成ブロック図である。
【図4】サーバ端末間通信状態(アクティブモード)の一実施例の説明図である。
【図5】サーバ端末間通信状態(スリープモード)の一実施例の説明図である。
【図6】サーバ端末間通信状態(ログオフモード)の一実施例の説明図である。
【図7】サーバ端末間通信状態(シャットダウンモード)の一実施例の説明図である。
【図8】サーバと端末間の通信シーケンスの一実施例の説明図である。
【図9】第1実施例の端末におけるモード移行処理のフローチャートである。
【図10】第1実施例の端末におけるアイドル状態判定処理のフローチャートである。
【図11】第1実施例のサーバにおける端末状態判断制御処理のフローチャートである。
【図12】記憶部に格納されるデータベースの一実施例の説明図である。
【図13】情報端末の第2実施例の構成ブロック図である。
【図14】サーバの第2実施例の構成ブロック図である。
【図15】第2実施例のサーバにおけるモード移行制御処理のフローチャートである。
【図16】第2実施例のサーバにおけるアイドル状態判定処理のフローチャートである。
【図17】第2実施例の端末における端末状態制御処理のフローチャートである。
【図18】情報端末の第3実施例の構成ブロック図である。
【図19】サーバの第3実施例の構成ブロック図である。
【図20】第3実施例で用いられる端末データベースの一実施例の説明図である。
【図21】第3実施例の端末におけるグループ化処理のフローチャートである。
【図22】第3実施例の代表端末のストリーミング配信処理のフローチャートである。
【図23】第3実施例の端末におけるアイドル状態判定処理のフローチャートである。
【図24】第3実施例のサーバにおける端末状態検出制御処理のフローチャートである。
【図25】第3実施例のサーバと端末間の通信シーケンスの説明図である。
【図26】第3実施例のサーバ端末間通信状態(アクティブモード)の説明図である。
【図27】第3実施例のサーバ端末間通信状態(スリープモード)の説明図である。
【図28】第3実施例のサーバ端末間通信状態(スリープモード)の説明図である。
【図29】第3実施例のサーバ端末間通信状態(スリープモード)の説明図である。
【図30】第3実施例のサーバ端末間通信状態(スリープモード)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<本発明の情報共有システムの構成>
図1に、本発明の情報共有システムの一実施例の概略構成図を示す。
ここでは、映像,音声,文書などの情報を共有して、複数の情報端末間で画像音声等による会議を行う情報共有システム(以下、会議システムとも呼ぶ)について、説明する。
【0025】
図1において、情報共有システムは、主として、1台のサーバ1と、複数台の情報端末(以下、会議端末、または単に端末とも呼ぶ)2とから構成される。
サーバ1と、各情報端末2とは、ネットワークを介して接続される。
サーバ1は、従来の会議システムでも利用されている会議制御機能のうち、少なくとも多地点接続装置(MCU)と同等の機能を有する装置であり、主として、接続された端末の状態監視、接続制御、各種情報の通信制御、映像や音声の符号化、映像や音声の復号化処理、ユーザ認証、機器認証、通信暗号化等を行うものである。
また、端末2は、会議に参加する利用者が在席する部屋(オフィスや会議室など)に設置される装置であり、主として、映像および音声による利用者自身の認識処理、端末の動作状態や入力操作の確認処理、入力される各種情報の加工変換や通信制御処理を行うものである。
【0026】
情報端末2では、会議に必要な情報が入力され、入力された情報はサーバに送信される。入力される情報としては、後述するが、主として、キーボードやマウス等の入力信号、マイクからの入力音声、カメラからの入力映像である。これらの入力された情報は、符号化(エンコード)処理をした後、サーバに送信してもよい。また、通信経路における機密性、秘匿性を考慮し、暗号化処理を行ってもよい。
サーバ1は、上記のようなサーバに送信された情報を用いて共有情報を生成し、この共有情報を、各情報端末へ配信する。
【0027】
サーバ1と端末2(TE1〜TEn)との接続は、たとえば有線の通信ケーブルによって直接接続してもよく、また、いわゆる無線LAN等の無線通信方式によって接続してもよい。
また、各種のネットワーク(LAN(N1),インターネット(N2),専用通信網(N3)など)を介して、サーバ1と端末2とを接続してもよい。
ある端末(TE1)を利用する利用者が会議に参加する場合、その端末TE1とサーバ1との間の通信回線を接続し、リンクを確立させた後、端末TE1に付属したカメラやマイクからその利用者の画像や音声あるいは会議に必要な文書や図面データなどを、サーバ1に送信する。
このとき、通信路における伝送量軽減や、リアルタイム(低遅延)通信を行うために、所定の規格のコーデック(例えば、映像であればMPEG4、H.263、H.264、音声であればG.711、G.722、G.729等)を利用して、送信されるデータ量を圧縮符号化する処理(エンコード)が行われる。
【0028】
サーバ1では、端末TE1から送られてきた映像,音声等の情報と、その他の端末2(TE2,…TEn)から送られてきた同様の情報を復号化(デコード)した後、合成(ミキシング)する処理を行う。この合成処理を行った情報(合成情報)が、共有情報となる。共有情報は、現在接続が確立されている複数の端末2に向かって、配信される。
サーバ1では、受信した複数の映像のミキシングを行う前に、各端末2から送られてきた映像の復号化処理(デコード)を行い、さらに画像サイズの調整(リサイズ)を行い、その後1つの共有情報として配信するために複数の映像を合成する処理が行われる。
たとえば、4人の利用者が会議に参加していたとすると、4台の端末2から送信されてきた各利用者の人物画像の映像データをそれぞれデコードし、1画面に分割表示できるようにリサイズし、4つの映像を合成(ミキシング)する。
さらに、ミキシングした後の合成映像は、サーバで符号化処理(エンコード)が行われた後、共有情報としてサーバ1から端末2へ送信される。
【0029】
このようなミキシングされた共有情報が送信されてきた各端末2では、受信情報の復号化処理(デコード)が行われ、その端末に付属した表示装置やスピーカから、画像や音声が出力される。
たとえば、現在接続が確立されている端末2が4台であれば、ミキシングされた後の共有情報は、サーバ1から時分割多重化処理等を用いてリアルタイムで、4つの端末にそれぞれ配信される。
【0030】
しかし、接続が確立されている端末数がさらに増加した場合、たとえばその端末数が20台の場合、円滑に会議を進行させるためには、20台のそれぞれの端末2で、同じようにリアルタイムで、共有情報の画像や文書を見て、共有情報の音声を開く必要があるので、サーバ1はより高速に情報の配信処理を行う必要がある。
【0031】
一般に、通信回線として電話回線を用いたADSLやISDNによる通信、光ファイバーを用いたFTTHによる通信、無線通信、その他のより高速の専用回線を用いた通信が利用できるが、いずれも回線そのものの通信速度や一定時間に伝送できる通信量に限界があるので、円滑な会議の進行にほとんど問題がなく、情報伝送の遅延が問題とならずに、リアルタイムで情報配信ができる最大端末数も、利用する通信回線の太さ(通信帯域)や、通信に用いられる映像や音声のデータ量および、端末そのもののCPU性能等によって上限値が決まってくる。
【0032】
この発明は、情報共有システムの会議に参加可能な端末が非常に多数存在する場合でも、サーバ1に対して同時に接続が確立され、サーバから直接的に共有情報の配信が行われる端末の実質的な数をできるだけ減少させて、リアルタイム性を保持した情報の配信を行い、円滑な会議の進行をさまたげることのないようにする。
【0033】
この発明では、上記のようなサーバに接続される実質的な端末数の減少は、次のような処理によって実現させることを特徴とする。
(1)端末ごとの段階的動作制御
実質的に端末が使用されていない可能性のある動作状態(以下、アイドル状態と呼ぶ)であると判定された場合、その端末の動作状態のモードを、段階的に変更し、その端末とサーバとの通信状態を所定の順序で切り替え、最終的に端末の電源を切断する。
ここでは、端末の動作状態に従って、サーバと各端末との通信状態が動的に変更される。
【0034】
(2)端末のグループ化によるサーバから見た接続端末数の減少化
同一ルータに接続されたネットワーク上に複数の端末が存在する場合など、複数の端末が属するグループを設定し、そのグループの中の1台の端末を代表端末に設定し、サーバと直接通信する端末を代表端末のみに制限することにより、サーバと直接共有情報の通信を行う端末の数を減少させる。
代表端末以外のグループ内に属する端末は、共有情報を受信した代表端末から、その受信情報を配信してもらうようにする。
【0035】
上記(1)の処理において、端末がアイドル状態であるか否かの判定は、たとえば、画像による人物認識や音声認識による利用者自身に関する情報の取得や、端末の動作状態(電源のON/OFF)や入力操作の有無等の検出により行うことができる。
また、アイドル状態の判定処理は、サーバ側又は端末側のどちらで行ってもよい。
【0036】
さらに、(1)の処理において、段階的に変更される端末の動作状態のモード(動作モードとも呼ぶ)とは、たとえば、順に、アクティブモード,スリープモード,ログオフモード,およびシャットダウンモード(電源切断状態)が考えられる。ただし、この4つのモードは例示であり、これに限定されるものではない。
前記した第1モードがアクティブモードに相当し、第2モードがスリープモードに相当し、第3モードがログオフモードに相当し、第4モードがシャットダウンモードに相当する。
たとえば、第2モード(スリープモード)の動作状態のときに、アイドル状態であると判定された場合、第3モード(ログオフモード)に切り替え、第3モードのときにアイドル状態であると判定された場合、第4モード(シャットダウンモード)に切り替える。
【0037】
ここで、アクティブモードとは、その端末に搭載されたすべての機能が実行可能な状態を意味し、たとえば、サーバと映像および音声の双方向通信を行う状態を意味する。
スリープモードとは、サーバからの映像および音声の受信のみ(片方向通信)を行っている状態を意味し、その端末で実行可能な機能を実行するためには、利用者がマウスやキーボード等の端末操作等を行ったり、利用者が端末の前にいることでカメラ入力画像を変化させたり、利用者が発言することでマイク入力音声を発生させることで、アイドルモードからアクティブモードに移行させる必要がある。
【0038】
また、ログオフモードとは、端末の画面上に利用者へのログイン操作を促す画面が表示されるような状態を意味し、たとえば、利用者がログイン認証をしなければ、その端末の機能を実行させることができないような状態を意味する。
また、ログオフモードでは、情報端末の主機能が停止した状態で、サーバとの通信を中止した状態である。
シャットダウンモードとは、端末の電源が切断されている状態を意味し、端末を動作させるためにたとえば、利用者が電源ボタンを押し、端末にインストールされているOS等のソフトウェアを起動させなければならない状態を意味する。
以下の実施例では、アイドル状態が検出されるごとに、情報端末の動作状態を、第1モード(アクティブモード)から、第2モード(スリープモード)、第3モード(ログオフモード)、第4モード(シャットダウンモード)の順に、段階的に変更させるようにする。
【0039】
ここで、上記4つのモードは、利用者が所定の機能を実行させるために、行わなければならない操作手順と、実行できるようになるまでの時間が異なる。
利用者の操作に関して、アクティブモードが最も容易であるのに対し、シャットダウンモードが最も多くの操作手順を必要とし、利用者が所望の機能を実行させるようになるまでに最も時間がかかる。
このように、4つのモードを設けたのは、所定の機能を実行させるアクティブモードに端末を復帰させるのに必要な利用者の操作負担をできるだけ少なくするように考慮したためである。
【0040】
たとえば、従来のように利用者が不在であることを確認したときに、一律に端末の電源を切断するようにした場合において、その不在は一時的なものであって利用者は会議に参加する意思がまだある場合でも、利用者は端末の電源投入から始めて一連の操作をすべて実行しなければならず、操作負担が大きく、また、なかなか会議に復帰することができないことになる。
したがって、利用者の不在が確認された場合は、サーバとの間の情報通信は一旦中断し、伝送遅延や通信障害の発生が少なくなるようにするが、その不在が会議への不参加(退席)によるものと確実に認識できない場合は、たとえば端末を単にスリープモードにするようにすれば、比較的容易な操作でアクティブモードに復帰できるので、利用者の操作負担は軽く、短時間で会議へ復帰できるようになる。
以下に、上記(1)および(2)の処理を実現する構成および具体的な処理内容の実施例について説明する。
【0041】
<情報端末の構成>
図2に、情報端末の第1実施例の構成ブロック図を示す。
情報端末2(TE)は、主として、入力部11,映像入力部21,表示部31,音声入力部41,音声出力部45,通信部51,認証部55,記憶部61,信号処理部71,および制御部80から構成される。
【0042】
ここで、上記した情報入力部は、入力部11と、映像入力部21と、音声入力部41とを含むものに相当し、情報端末を利用者が使用状態であることを示す状態情報を生成する部分である。
入力部11は、キーボード12,マウス13,タブレット14などのポインティングデバイスに加え、人検知センサ15を備え、これらの入力を受信し、制御部80へ送信するための信号に変換する入力処理部16とを備える。
人検知センサ15は、たとえば、熱感知センサ,赤外線センサ,超音波センサなどを用いることができる。人検知センサの代わりに、後述するカメラ22やマイク42の入力信号を元に端末の前に人がいるかどうかを検知するようにしても良い。
入力部11からは、主として利用者の操作による入力信号が入力され、この入力信号が、状態情報の生成に用いられる。たとえば、この入力信号が入力されている場合、情報端末が使用状態であることを示す状態情報が生成される。
【0043】
映像入力部21は、端末の近傍の映像や、端末の前にいる会議に参加している者(利用者)の映像を入力する部分であり、カメラ22と、カメラで撮影された映像をデジタル信号に変換する映像処理部23とを備える。入力された映像66は、記憶部61に一時記憶される。この入力映像66も、上記した状態情報の生成に用いられる。
【0044】
表示部31は、利用者の自画像を表示したり、会議に参加している他者の人物画像等を表示する部分であり、LCD,CRTなどのディスプレイ32と、ディスプレイ32へ表示させる表示信号を生成する表示処理部33とを備える。
【0045】
音声入力部41は、端末TEの近傍の音声を入力する部分であり、マイク42と、マイクから入力された音声をデジタル信号に変換する入力音声処理部43とを備える。入力された音声67は、記憶部61に一時記憶される。
この入力音声67も、上記した状態情報の生成に用いられる。
【0046】
音声出力部45は、スピーカ46,出力音声処理部47とを備え、たとえば、サーバから送られてきた音声を、スピーカから出力する部分である。
【0047】
通信部51は、サーバあるいは他の端末TEとの間で、データ送信やデータ受信を行う部分であり、種々のネットワークを介して所定の通信プロトコル(例えば、H.323、SIP、HTTP等)でデータ通信ができるように、データの通信制御を行う。また、会議システムでは、音声および映像の通信を行うが、必要に応じてデータの秘匿化や、データ量の削減のために、データの暗号化処理(例えば、AES:Advanced Encryption Standard、3DES:Triple−Data Encryption Standard等)、データの圧縮処理(符号化もしくはエンコードとも呼ぶ。例えば、映像であればMPEG4、H.263、H.264、音声であればG.711、G.722、G.729等)を行う。
したがって、通信部51は、通信暗号部52および通信復号部53を備えることが好ましい。
また、通信部51は、端末モード切替部86によって変更された後の動作状態に従って、サーバとの間の通信状態を変更する。
たとえば、映像および音声を双方向に送受信する双方向通信状態や、映像および音声をサーバから一方向的に受信する片方向通信状態に変更する。
【0048】
認証部55は、利用者の特定や端末および会議システムへのログイン認証を行う部分であり、主として事前に登録・管理されているID,パスワード入力により、認証を行う。
【0049】
記憶部61は、各種の入力情報(入力映像66,入力音声67など),表示情報,出力情報,送受信データ,信号処理されたデータなどの情報を記憶する部分であり、音声認識や画像認識などを利用した人物認識を行うために予め格納されている認識データベース62を備える。
認識データベース62は、主として利用者を特定するユーザ名63と、その利用者の音声特徴データ64と、その利用者の顔画像特徴データ65とから構成される。端末TEを複数の利用者が利用する場合、その利用者ごとに、認識情報(63,64,65)が格納される。本稿には図示しないが、認識データベース62には、利用者ごとのパスワード情報(データ自体は暗号化されていることが望ましい)を格納しても良い。
音声認識や画像認識は、人物認識部84により行う。
記憶部61には、ROM,RAMなどの半導体素子,ハードディスク,CD,DVD,USBメモリなどの記憶媒体などが用いられる。
また、記憶部61には、端末TEの各機能を実行させるためのプログラムも記憶される。
【0050】
信号処理部71は、入力された映像および音声を、サーバに対して送信するデータに変換(符号化処理,エンコード処理とも呼ぶ)したり、サーバ等から送信されてきた映像および音声を、ディスプレイに表示およびスピーカから出力できるようにもとのデータに変換(復号化処理,デコード処理とも呼ぶ)したりする部分である。
主として、映像符号化部72,映像復号化部73,音声符号化部74,音声復号化部75から構成される。
信号処理部71には、たとえば、所定の規格のコーデックに適合した符号化および復号化を実行することのできるコーデックLSIが用いられる。符号化および復号化処理はLSIのようなハードウェアコーデックではなく、ソフトウェアコーデックによって実現してもよい。
【0051】
制御部80は、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等を含むマイクロコンピュータに相当する部分であり、CPUが、記憶部61に記憶されたプログラムをRAM(主記憶)に読み出すことにより、各種ハードウェアを有機的に動作させて、端末の各機能を実行させる。
図2では、制御部80の行う機能として、アイドル状態判定部81,端末状態通知部85,端末モード切替部86を示している。
アイドル状態判定部81は、情報入力部によって生成された状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であることを判定する部分であり、主として、時間計測部82,入力信号検知部83,人物認識部84とからなる。
これらの機能ブロック(81〜86)の各機能は、CPUが、その機能ごとのプログラムに基づいて、入力部11、映像入力部21、音声入力部41などから得られた情報を用いて、それぞれ所定の処理を実行することにより実現される。
【0052】
アイドル状態判定部81によって、ネットワークを通じて接続された端末TEの現在の動作状態を判定する処理を行い、端末モード切替部86が、動作モードを、アクティブモード(M1),スリープモード(M2),ログオフモード(M3),シャットダウンモード(M4)のいずれかに変更する。
アイドル状態とは、情報端末が使用されていない可能性がある状態を意味し、利用者が中座や退席などの理由で、会議に参加していない状態あるいは参加していない可能性のある状態を意味する。アイドル状態が検出されると、4つのモードのうちアクティブモード以外のいずれかの状態になる。
この動作状態の判定には、後述するように、入力部11による操作入力の有無の判断と、入力映像および入力音声を利用した人物認識による判断を利用する。
たとえば、所定の設定時間中に継続して(たとえば10分間)、マウス等の操作入力がなく、カメラから入力される映像に変化がなく、かつマイクからの音声の入力がない場合は、アイドル状態であると判定する。
【0053】
時間計測部82は、アイドル状態であるか否かを判断するための設定時間をカウントするものである。設定時間は、予めデフォルト値として固定設定されるか、あるいは利用者によって変更できるようにしてもよい。たとえば、設定時間を10分に設定したとすると、10分間継続して状態を監視する。
入力信号検知部83は、入力部11からの入力信号の有無を検知する部分である。たとえば、キーボード12から何らかの文字入力があることが検知されれば、入力信号ありと判断し、アイドル状態ではないと判定される。
【0054】
人物認識部84は、入力映像66と入力音声67とを用いて、認識データベース62の認識情報(63,64,65)と比較して一致するか否かを判断し、現在の利用者が、予め認識データベース61に登録されている利用者に含まれているか否かを判断する部分である。
人物認識では、入力音声67と音声特徴データ64とを用いた音声認識と、入力映像66と顔画像特徴データ65とを用いた画像認識とを利用して、利用者を特定する。
たとえば、現在会議に参加している利用者の顔画像のデータが、登録されたユーザ名63に対応した顔画像のデータと一致した場合、その利用者が特定でき、人物認識が成功したと判断し、アイドル状態ではないと判定される。逆に、人物認識が失敗した場合は、情報端末が使用されていない可能性があるアイドル状態であると判定される。
【0055】
端末状態通知部85は、情報端末の現在の動作状態を、サーバへ送信する部分であり、検知されたアイドル状態に基づいて、たとえば上記した4つのモード(M1,M2,M3,M4)のうちいずれかの状態であることを示す状態情報を生成し、通信部51を介して、サーバに送信する。
たとえば、直前にアクティブモードであったモードが、その後の判定でアイドル状態になったことが検出された場合、アクティブモードからスリープモードになったと判定し、端末は現在スリープモードであることを示す状態情報を、サーバに送信する。
【0056】
端末モード切替部86は、自己の端末の動作状態のモードを、上記4つのモードのうちいずれかに変更する部分であり、アイドル状態であることが判定された場合に、情報端末の現在の動作状態に対応して、段階的に動作状態を変更する部分である。
たとえば、アイドル状態判定部81によって、動作状態がスリープモードからログオフモードに変化したと判定された場合は、その端末の現在の動作状態を、ログオフモードに変更する。動作状態の変更は、端末の現在の動作状態に対応して、段階的に行われる。
【0057】
以上が、端末の主要な機能ブロックであるが、制御部80によって実現される機能(81,85,86)は、これに限るものではない。
これらの機能は、主としてソフトウェアによって実現されるものであるので、必要に応じて他の機能を実行するプログラムを記憶部61に格納し、そのプログラムに基づいてCPUがハードウェアを有機的に動作させることにより、その機能を実行させてもよい。
また、プログラムは、予めROM等に固定記憶して提供してもよいが、その後に削除,追加,変更,アップデート等をするために、ハードディスク等の書きかえ可能な記憶装置に記憶してもよく、CDやDVDなどの記録媒体によって提供してもよく、あるいはネットワークを介してサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
【0058】
<サーバの構成>
図3に、サーバの第1実施例の構成ブロック図を示す。
サーバ1は、主として、入力部101,表示部111,通信部121,認証部125,MCU部131,記憶部141,信号処理部151,および制御部161から構成される。
【0059】
入力部101は、各種情報を入力する部分であり、キーボード102,マウス103,タブレット104およびこれらの入力デバイスからの入力を、制御部161へ送信することのできる信号に変換する入力処理部105とを備える。
表示部111は、LCD,CRTなどのディスプレイ112と、ディスプレイに表示する表示信号を生成する表示処理部113とからなる。
ただし、サーバ1を完全に無人で運用する場合は、入力部や表示部はなくてもよい。
【0060】
通信部121は、ネットワークを介して、端末TEとデータの送受信をする部分であり、端末と同様に、所定の通信プロトコル(例えば、H.323、SIP、HTTP等)でデータ通信し、映像および音声を所定のコーデック(例えば、映像であればMPEG4、H.263、H.264、音声であればG.711、G.722、G.729等)で符号化し、所定の規格(例えば、AES:Advanced Encryption Standard、3DES:Triple−Data Encryption Standard等)で暗号化処理をする通信暗号部122と通信復号部123とを備える。
認証部125は、端末TEと同様に、利用者の特定や端末および会議システムへのログイン認証を行う部分である。
【0061】
MCU部131は、いわゆる多地点接続装置(MCU)で行われている処理を実行する部分であり、主として、複数の映像信号を合成する映像ミキシング部132,映像のサイズを変更する映像リサイズ部133,複数の音声信号を合成する音声ミキシング部134とから構成される。MCU部131は信号処理部151と共通で構成されていてもよい。
【0062】
記憶部141は、サーバで実行される処理で利用される各種データを記憶する部分であり、さらに、サーバに接続される端末を特定する情報(装置ID143,拠点ID144,IPアドレス145)を格納した端末データベース142や、端末を利用する利用者を特定する情報(ユーザID147,拠点ID144,IPアドレス145,メールアドレス148)を格納したユーザデータベース146を記憶する部分である。
この端末データベース142と、ユーザデータベース146は、サーバと端末との間で、双方向通信するときや、サーバから端末へ映像、音声等の情報を片方向送信するときに利用される。
この他に、サーバの各機能を実行するのに必要なプログラムも、記憶部141に記憶される。
記憶部141には、ROM,RAM,ハードディスク,CDやDVDなどの記録媒体などが用いられる。
【0063】
信号処理部151は、端末から送られてきた映像および音声を、一旦もとの信号に戻す変換処理(復号化処理,デコード処理)をしたり、複数の端末へ映像や音声を送信するためのデータ変換処理(符号化処理,エンコード処理)をする部分である。
この信号処理部151は、端末TEと同様に、主として映像符号化部152,映像復号化部153,音声符号化部154,音声復号化部155から構成され、コーデックLSIもしくはソフトウェアコーデックを用いて実現することができる。
【0064】
制御部161は、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等からなるマイクロコンピュータに相当する部分であり、CPUが、記憶部141に記憶されたプログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させることにより、サーバの各機能が実現される。
図3では、制御部161の機能として、端末状態判断部162と、通信方法切替部163とを示している。
【0065】
端末状態判断部162は、端末から送られてくる動作状態のモードを示す状態情報を受信して、その端末が現在どのモードになっているかを判断する部分である。
通信方法切替部163は、情報端末の端末状態通知部によって送信されてきた端末の動作状態に基づいて、その情報端末に対する通信方法を切り替える部分である。通信方法としては、主として、双方向通信状態、画像音声等の送信をサーバから端末への方向のみとする片方向通信状態、データ通信の中止状態、端末の電源を切断した状態、通信回線を切断してその端末を管理対象外とする状態などがある。
また、サーバと情報端末との間の通信状態は、情報端末の動作状態に従って、各情報端末ごとに変更させられる。
【0066】
<端末の動作モードの説明>
以下に、サーバと端末間における通信状態を切替える実施例として、端末の4つの動作状態のモードについて説明する。
図4に、端末のアクティブモード(M1)の一実施例の説明図を示す。
ここでは、サーバ1に対して、4台の情報端末(TE1〜TE4)が、直接接続されている場合を示す。
図4では、4つの端末(TE1〜TE4)の動作状態は、いずれもアクティブモードであるとする。
アクティブモードM1とは、ここでは、端末TEが、サーバとの間で、データの双方向通信を行うことが可能な状態を意味する。
たとえば、端末TE1では、カメラで撮影した自画像(送信画像データSD1)を、サーバへ送信し、サーバから受信画像RD1を受信することを示している。
【0067】
ここで、受信画像RD1は、サーバが4台の端末(TE1〜TE4)から送られてきたそれぞれの自画像(SD1,SD2,SD3,SD4)を受信した後、デコード,リサイズ,ミキシング,エンコードの各処理をして、1つの画面上に、4つの自画像を4分割表示できるようにした画像データである。
各受信画像(RD1,RD2,RD3,RD4)は、すべて同一画像であり、図4では、表示部の画面上において、その左上に端末TE1で撮影された画像(SD1)、右上に端末TE2で撮影された画像(SD2)、左下に端末TE3で撮像された画像(SD3)、右下に端末TE4で撮影された画像(SD4)を4分割表示するような受信画像を示している。
この受信画像は、サーバに接続された端末で共有される共有情報の1つであり、共有情報としては、他に、いずれかの端末で入力された音声や、各端末に予め配信された文書情報も含まれる。
【0068】
図5に、端末のスリープモード(M2)の一実施例の説明図を示す。
スリープモードM2とは、ここでは、端末TEとサーバ間において、映像や音声などの情報の通信に関して、サーバから端末TEへ、一方向の通信が行われる片方向通信状態を意味する。
図5では、端末TE1のみがスリープモードM2であり、他の端末(TE2,TE3,TE4)はアクティブモードM1である状態を示している。
【0069】
端末TE1がアクティブモードM1からスリープモードM2に切替わる条件としては、たとえば、所定の設定時間の間、入力部のキーボード等からの入力が全くなく、かつ入力映像の変化もなく、音声の入力もない状態(アイドル状態)が継続したことが検出された時などが挙げられる。
すなわち、アクティブモードM1においてこのようなアイドル状態が検出されたとき、すぐに端末をシャットダウンするのではなく、段階的に動作モードを変更(ここではスリープモードM2に変更)することで、中座等で席をはずしていた利用者が戻ってきた時に復帰しやすくする。
スリープモードM2では、中座していた利用者が端末の前に着席(カメラの入力映像やマイクの入力音声に変化が起きる)し、何らかの入力操作をすれば、アイドル状態判定部81および制御部80を通じ、自動的にアクティブモードに復帰できる。
【0070】
また、スリープモードM2となった端末TE1では、自画像SD1を送信することはなく、サーバから、受信画像RD1を受信することを行う。
サーバでは、3つの端末(TE2,TE3,TE4)から送られてくる自画像(SD2,SD3,SD4)に対して、デコード,リサイズ,ミキシングおよびエンコードなどの一連の処理を実行し、3つ画像を合成した画像を生成する。この場合、サーバでは、端末TE1の自画像SD1に対するデコード処理にかかる負荷が軽減されることになる。
たとえば、図5に示すように、もともと端末TE1の自画像を表示していた左上の領域を空白として4分割表示した合成画像が生成される。この合成画像は、サーバから4つの端末へ送信され、それぞれ受信画像(RD1,RD2,RD3,RD4)として受信され、各端末の表示部に表示される。
【0071】
図6に、端末のログオフモード(M3)の一実施例の説明図を示す。
ログオフモードM3とは、ここでは、端末TEとサーバとの間で、映像や音声等の情報通信をしない状態(通信中止状態)を意味する。
図6では、端末TE1のみが、ログオフモードM3であり、他の端末(TE2,TE3,TE4)はアクティブモードM1である状態を示している。
端末TE1がログオフモードM3となっているのは、たとえば、スリープモードM2になっていた端末TE1が、所定の設定時間を経過してもアイドル状態が継続的に検出されていることを意味する。
すなわち、スリープモードM2の状態のときに、さらに継続してアイドル状態が検出されたとき、すぐに端末をシャットダウンするのではなく、段階的に動作モードを変更(ここではログオフモードM3に変更)することで、中座等で席をはずしていた利用者が戻ってきた時に復帰しやすくする。
【0072】
ログオフモードM3の状態で、利用者が端末をアクティブモードに復帰させるためには、たとえば、ユーザ認証およびログイン操作をすればよい。スリープモードM2より操作手順が必要となるが、シャットダウンモードM4よりは容易に、会議に復帰することができる。
また、ログオフモードM3となった端末TE1では、通信中止状態となるので、自画像SD1の送信および、受信画像RD1の受信は行われなくなる。図示しないが、この場合、端末TE1の表示部1には、利用者に対するユーザログイン画面を表示してもよい。
一方、他の3つの端末(TE2,TE3,TE4)では、アクティブモードの通常の動作が行われ、それぞれの自画像がサーバに送信されるので、図5のスリープモードと同様に、4分割された画面に、3つの端末のそれぞれの自画像を合成した受信画像が生成されて、サーバから3つの端末へ送信される。この場合、サーバでは、端末TE1の自画像SD1に対するデコード処理および、合成画像RD1の送信にかかる負荷が軽減されることになる。すなわち、サーバでは、端末TE1を除く実質3つの端末(TE2,TE3,TE4)のみの通信処理に負荷が軽減される。
【0073】
図7に、端末のシャットダウンモード(M4)の一実施例の説明図を示す。
「シャットダウンモード」M4とは、ここでは、電源切断状態を意味し、端末とサーバとの間の回線が接続されていない状態である。電源切断は、原則、端末側で自動的に行われるものとするが、サーバからの指示を受けた後に、自動的に切断してもよい。
図7では、端末TE1のみがシャットダウンモードM4であり、他の端末(TE2,TE3,TE4)は、アクティブモードM1である状態を示している。
端末TE1がシャットダウンモードM4となるのは、たとえば、ログオフモードM3になった後、所定の設定時間の間、継続的にアイドル状態であることが検出されたことを意味する。
すなわち、端末TE1におけるログオフモードM3の状態になって以降も、継続的にアイドル状態であることが検出されつづければ、実質的に利用者が不在となったと判断し、端末の電源を切断する。
シャットダウンした後において、利用者が会議に再度参加したい場合には、通常どおりの操作手順(電源投入、ログイン認証等)を実行して端末を起動させることになる。
【0074】
図7において、各端末での自画像の送信と、受信画像の受信は、図6のログオフモードと同様であり、3つの端末(TE2,TE3,TE4)とサーバ間での双方向通信が行われる。
【0075】
以上のように、図5のスリープモードM2の場合では、映像、音声等の情報通信がサーバから端末TE1への一方向の通信のみとなるので、サーバにおける通信処理にかかる負荷が軽減される。図6のログオフモードM3と、図7のシャットダウンモードM4の場合では、サーバは4台の端末のうち、端末TE1に対する映像や音声等の情報通信は行われないため、通信処理にかかる負荷が軽減される。
【0076】
また、現実には、サーバに接続される端末の台数は、5台以上の場合もあり、さらに、端末の動作モードも各端末ごとに変化するので、端末からサーバに送信される情報や、サーバから端末へ送信される合成画像も、図4〜図7以外に種々のパターンが考えられる。
また、サーバに接続された複数の端末がすべてアクティブモードであれば、サーバと各端末間で伝送されるデータ量は多く、サーバで処理すべきデータ量も多いため、伝送遅延や通信障害が起こる可能性は高くなるが、本実施例のように、利用者が不在となっている可能性のある端末の状態を検出し、段階的に動作モードを変更することで、サーバに接続された映像、音声等の情報の通信を行う端末の実質的な数を減少させられるため、伝送遅延の減少と通信障害の発生を低減させることができる。また、利用者の不在を検出した際、すぐに端末の電源を切断する場合よりも、端末が利用できる状態(アクティブモード)への復帰にかかる利用者の操作負担を軽減できる。
【0077】
<情報端末とサーバ間の通信シーケンス>
図8に、情報端末とサーバとの間で行われる通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
図8(a)は、端末TE1が、アクティブモードM1のときの通信シーケンスの概要を示したものである。
まず、端末TE1で、その端末の状態がアイドル状態であるか否か判定し、たとえば、マウスや人検知センサによる入力があることが検出された場合、アイドル状態ではないと判定する。
このとき、端末TE1からサーバへ、端末TE1が現在アクティブモードM1であるということを示す端末状態情報を通知する。
一方、サーバは、通知された端末状態情報を確認して、その送信元の端末TE1が「アクティブモード」であることを判断したとすると、映像や音声等の情報を、その端末TE1とサーバとの間で、相互に双方向に通信するようにする。
【0078】
図8(b)は、端末TE1が、スリープモードM2となった場合の通信シーケンスの概要を示したものである。
ここでは、端末TE1において、アクティブモードのときに、アイドル状態であるか否かの判定を行い、アイドル状態になっていると判定されたとする。
このとき、端末TE1は、動作モードをスリープモードM2に移行する。その後、端末TE1からサーバへ、端末TE1が現在スリープモードM2となっていることを示す端末状態情報を通知する。
一方、サーバでは、通知された端末状態情報を確認して、その送信元の端末TE1が「スリープモード」M2になったと判断する。そして、スリープモードになった端末TE1に対する通信を、双方向通信から片方向通信に切りかえる。
すなわち、映像、音声等の情報通信に関して、サーバから端末TE1への送信のみをする一方向通信に切りかえる。
【0079】
ここで、片方向通信への切替えは、主として、次のような2つの方法のうち、いずれかの方法が考えられる。
(1)通信プロトコルを固定したまま、所定の通信シーケンスは継続するが、スリープモードとなった端末TE1から送信されてきた映像および音声についての一連の信号処理を中止する。具体的には、サーバにおいて、その端末TE1についての映像復号化処理(デコード)と、音声復号化処理(デコード)を停止する。
この場合、たとえば通信プロトコルとして、SIPやH.323、HTTP等の規格が採用されていたとすれば、その通信プロトコルを利用した通信シーケンスは継続して行う。
【0080】
(2)通信プロトコルを、別の通信プロトコルに変更する。
たとえば、SIPやH.323、HTTP等の通信プロトコルを中止し、映像、音声に関するストリーミング配信の通信プロトコルに変更する。ストリーミング配信とは、サーバから端末TE1へ、一方向的に映像、音声等のデータを送信する通信方式である。
ストリーミング配信としては、所定の規格(mms,http,rtmp,rtsp等)のいずれかを採用することが望ましい。
【0081】
上記いずれの方法も、端末とサーバ間で所定の通信プロトコルに基づいて、データの送信と受信が行われるが、サーバから端末に対して、一方向的に、映像および音声の送信が行われるものであるので、通信回線を流れるトラフィックを減少させることができる。したがって、データ伝送の遅延を減少させ、通信エラー等の通信障害も削減させることができ、その結果実質的にサーバに接続された端末の数を減少させることができるので、円滑な会議の進行が可能となる。
【0082】
図8(c)は、端末TE1が、ログオフモードM3となった場合の通信シーケンスの概要を示したものである。
ここで、端末TE1は、図8(b)のスリープモードM2のときに、アイドル状態であるか否かの判定を行い、継続してアイドル状態になっていると判定されたとする。
このとき、端末TE1では動作モードを、ログオフモードM3へ移行する。ログオフモードM3にする場合、端末TE1では、たとえば、具体的には、端末およびサーバとのユーザログインの解除や、端末とサーバとの通信処理を終了させるような処理を行う。
その後、端末TE1からサーバへ、端末TE1が現在ログオフモードM3となっていることを示す端末状態情報を通知する。
【0083】
一方、サーバでは、通知された端末状態情報を確認して、その送信元の端末TE1がログオフモードM3になったと判断する。その後、サーバは、端末TE1との間で行っていた片方向通信を停止し、映像および音声の通信を中止する。
ここで、通信の中止は、たとえば、通信プロトコルはそのまま継続し、一方向の映像、音声等の通信を停止してもよく、あるいは、通信プロトコルに従ってシーケンスそのものを停止し、確立していたリンクを解除(ユーザログイン待ち状態)してもよい。
【0084】
図8(d)は、端末TE1が、シャットダウンモードM4となった場合の通信シーケンスの概要を示したものである。
ここでは、端末TE1において、図8(c)のログオフモードM3のときに、アイドル状態か否かの判定を行い、継続的にアイドル状態となっていると判定されたとする。
このとき、端末TE1では通信プロトコルが継続されている場合は、サーバに対して、シャットダウンモードM4へ移行することを示す端末状態情報を通知する。
その後、端末TE1では、所定のシャットダウンの一連の動作を自動的に行い、回線を切断して、自己の電源を切断する。
一方、サーバ側では、通知された端末状態情報を確認し、端末TE1がシャットダウンモードM4になったと判断する。その後、サーバは、端末TE1を管理対象外とするための処理たとえば、具体的には、サーバと端末TE1との間の通信プロトコル終了、端末TE1およびサーバにおけるユーザ認証の解除(ログオフ)のような処理を行う。
【0085】
以上が、端末の4つの動作モードに対するシーケンスの説明である。
ただし、動作モードはこれらの4つに限定されるものではなく、これら4つ以外の他のモードを設定する場合は、その他のモードについて設定された所定のシーケンスを実行するようにすればよい。
この他のモードとしては、たとえば、映像のみによる通信,音声のみによる通信,共有ドキュメントデータのみの通信,および、これらの双方向通信,片方向通信などのモードが考えられる。
【0086】
<端末のモード移行処理>
図9に、情報端末のモード移行処理の第1実施例のフローチャートを示す。
ここでは、上記したように図4から図8に示したように、端末のモードを段階的に移行させる処理について説明する。
また、端末およびサーバは、それぞれ図2および図3に示したような機能ブロックを備え、端末側でアイドル状態の判定処理を行うものとする。
【0087】
図9において、まず、ステップS1に示すように、端末が初期状態として、アクティブモードM1になっているものとする。このとき、図8(a)で示したように、端末とサーバとは、双方向通信状態にある。
ステップS2において、端末の端末状態通知部85が、自己の現在の動作モードの状態を確認し、ここでは、アクティブモードM1であることをサーバに通知する(端末状態通知処理)。
【0088】
ステップS3において、端末のアイドル状態判定部81が、入力部11からの入力信号の有無、映像入力部21からの入力映像の変化の有無、音声入力部41からの入力音声の有無等を確認することにより、端末が現在アイドル状態にあるか否かを判定する(アイドル状態判定処理)。
このアイドル状態判定処理の詳細については、図10のフローチャートで説明する。
【0089】
ステップS4において、端末がアイドル状態であると判定された場合は、ステップS5へ進み、そうでない場合は、ステップS14へ進む。
ステップS5において、端末モード切替部86が、端末の動作モードをスリープモードM2に移行する処理を実行する。
ここでは、自己の端末の動作モードをアクティブモードM1からスリープモードM2に設定変更する。具体的には、たとえば、今まで双方向通信をしていた通信状態を、サーバから映像および音声などの情報を受信する片方向通信に切り替える処理や、映像や音声のストリーミング受信処理等を行う。
【0090】
ステップS6において、端末状態通知部85が、スリープモードM2になったことを、サーバへ通知する。
ステップS7において、ステップS3と同じアイドル状態判定処理を実行する。
ここでは、現在スリープモードM2である場合において、さらにアイドル状態が継続しているかどうかをチェックする。
【0091】
ステップS8において、アイドル状態が継続していると判定された場合は、ステップS9へ進み、そうでない場合は、ステップS15へ進む。
ここで、そうでない場合とは、たとえば、マウスや人検知センサ等の入力があった場合を意味する。このとき、ステップS15において、端末モード切替部86が、アクティブモード移行処理を実行する。
アクティブモード移行処理では、たとえば、端末の動作モードを、スリープモードM2からアクティブモードM1に設定変更し、さらに通信状態を片方向通信から双方向通信に戻すようにする。
ステップS15の後は、ステップS14へ進み、端末状態通知部85が、アクティブモードM1になったことを、サーバへ通知する。
【0092】
ステップS9において、端末モード切替部86が、ログオフモード移行処理を実行する。ここでは、端末の動作モードを、スリープモードM2からログオフモードM3へ設定変更し、さらに、図示しないが、端末の画面上にユーザログイン画面を表示するような処理をする。
ステップS10において、端末状態通知部85が、ログオフモードM3になったことを、サーバへ通知する。
ステップS11において、アイドル状態判定部81が、再度アイドル状態判定処理を実行する。
ステップS12において、ログオフモードM3の状態において、アイドル状態がさらに継続している場合は、ステップS13へ進み、そうでない場合は、ステップS16へ進む。
【0093】
ステップS13において、端末モード切替部86が、シャットダウンモード移行処理を実行する。ここでは、端末の動作モードを、ログオフモードM3からシャットダウンモードM4へ設定変更する。この後、ステップS14へ進み、端末がシャットダウンモードM4になったことを、サーバへ通知し、その後、図9には示していないが、端末自身の電源を自動的に切断する。あるいは、ステップS13の処理の中で、サーバにシャットダウンすることを通知した後、自動的に電源を切断し、処理を終了してもよい。
【0094】
一方、ステップS16において、ログオフモードM3の状態で、アイドル状態でないことが検出されたので、ログイン画面を表示する。
このとき、アイドル状態でないことは、利用者がキーボードやマウスを使用して、いわゆるログイン操作をしたことを意味する。
また、ステップS16の処理の後、ステップS15に移行し、端末の動作モードは、ログオフモードM3から、アクティブモードに設定変更される。その後、ステップS14において、動作モードがアクティブモードになったことを、サーバへ通知する。
【0095】
図10に、図9に示した端末で行うアイドル状態判定処理の一実施例のフローチャートを示す。
ステップS21において、時間計測部82による時間計測処理を開始する。ここでは、タイマーを初期値(設定時間)にリセットする。
初期値としては、アイドル状態であるか否かを判断するのに適切な時間、たとえば10分にセットし、カウントダウンをスタートさせる。ただし、アイドル状態であるか否かを判断するのに適切な時間は、一律に予め10分間に固定設定してもよいが、この時間は、利用者や利用形態によって適切な値が異なると考えられるので、利用者もしくはシステム管理者等によって設定変更できるようにすることが好ましい。
【0096】
ステップS22において、入力信号検知部83が、入力部11,映像入力部21,音声入力部41からの入力信号の有無や変化をチェックする。
たとえば、キーボードやマウスからの操作入力がないかチェックする。また、人検知センサからの入力信号がないか、利用者の音声入力がないかをチェックする。
さらに、カメラから入力される映像入力について、所定のしきい値を越えるような変化がないかどうかチェックする。
これらの入力信号をチェックした結果、初期値として設定された設定時間の間に、1回も入力信号と入力音声の入力がなく、かつ映像入力の変化もない場合は、入力信号の検知がなかったと判断される。
一方、入力信号の入力が1回以上ある場合や、あるいは映像入力に所定の変化が検知された場合は、入力信号が検知されたと判断される。
【0097】
ステップS23において、人物認識部84が、音声認識および画像認識のいずれか一方、あるいは両方の認識処理を用いて、利用者の人物認識を行う。
人物認識処理は、利用者が、端末の記憶部61の認識データベース62に予め登録された人物であるか否かを確認する処理である。
たとえば、カメラ22で撮影された入力映像66と、認識データベース62の中に記憶された顔画像特徴データとを比較し、いわゆるパターンマッチングにより、一致する顔画像特徴データが認識データベース62の中に存在する場合は、人物認識が成功し、現在の利用者がだれであるかが正常に特定され、その利用者が端末の前に在席し、会議に参加している状態であると判断される。
【0098】
一方、一致する顔画像特徴データが、認識データベース62の中に存在しなかった場合、利用者を特定することができず、人物認識が失敗したことになる。この場合、利用者が端末のカメラによる撮影範囲に存在せず、会議に参加していない可能性がある状態であると判断される。
ただし、この人物認識処理は、処理に必要な負荷や処理時間、認識精度(カメラに複数の人物が映った場合や、照明環境、眼鏡や服装などの影響による認識誤り発生)等の理由から、必須の処理とはせずに、利用者が必要に応じて実行できるオプションとしてもよい。
ステップS24において、ステップS22とS23の結果、入力信号や入力音声等の検知がなかった場合や、人物認識も失敗した場合は、現在利用者が端末の前には不在の可能性があると判断し、ステップS25へ進む。
【0099】
一方、入力信号のいずれか1つ以上の入力が検知された場合、あるいは、人物認識が成功した場合、またはいずれかの入力信号があり人物認識も成功した場合は、ステップS27へ進み、アイドル状態でないと判定し、処理を終了する。
ステップS25において、設定された設定時間が経過したか否かチェックする。設定時間がまだ経過していないときは、ステップS22へ戻り、再度ステップS22からS24までの処理を繰り返す。
設定時間がすでに経過した場合、その設定時間の間、アイドル状態が継続されていたことになるので、ステップS26へ進み、端末が現在アイドル状態になっていると判定し、処理を終了する。
【0100】
図11に、サーバにおける端末状態判断制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
ステップS31において、サーバの端末状態判断部162が、各端末から送られてくる端末状態情報が受信されたか否か、確認する。受信された場合は、ステップS32へ進む。
ここで、端末状態情報は、たとえば、端末を特定する端末IDと、その端末の動作モード(端末状態)を示すデータとを含むものである。
ステップS32において、受信した端末状態情報に含まれる「端末状態」を示すデータが、アクティブモードM1を示すものであるか否か、チェックする。
ここで、アクティブモードM1であれば、ステップS33へ進み、通信方法切替部163が、その端末との間では、音声および映像の双方向通信ができる状態に設定する。具体的には、たとえば、通信方法切替部163が、所定の通信プロトコル(SIP,H.323,HTTP等)に基づく通信シーケンス処理を行う。
【0101】
ステップS32において、アクティブモードでない場合は、ステップS34へ進む。
ステップS34において、受信した「端末状態」のデータが、スリープモードM2を示すものか否か、チェックする。
スリープモードM2であれば、ステップS35へ進み、そうでない場合は、ステップS36へ進む。
ステップS35において、通信方法切替部163が、その端末との間では、サーバから端末に対して音声および映像の情報を伝送する片方向通信状態に設定する。
具体的には、たとえば、通信方法切替部163が、ストリーミング配信用の規格(mms,http,rtmp,rtsp等)に基づく通信プロトコルへの切替えや、端末からの映像、音声の受信を中止する等の処理を行う。
【0102】
ステップS36において、受信した「端末状態」のデータが、ログオフモードM3を示すものか否か、チェックする。
ログオフモードM3であれば、ステップS37へ進み、そうでない場合はステップS38へ進む。
ステップS37において、通信方法切替部163が、その端末とサーバ間での音声および映像の通信を中止する。
【0103】
ステップS38において、受信した「端末状態」のデータが、シャットダウンモードM4を示すものか否か、チェックする。
シャットダウンモードM4であればステップS39へ進み、そうでない場合は、処理を終了する。あるいは、ステップS31へ戻ってもよい。
ステップS39において、端末がシャットダウンされたことが受信されると、端末との接続が完全に切れたことになるので、その端末を管理対象外に設定する。
管理対象外とするためには、具体的には、端末に対し、所定の通信プロトコルによる通信シーケンスを終了する等の処理をすればよい。
図11に示したサーバによる処理は、サーバに接続された各端末ごとに行われる。
【0104】
図12に、端末およびサーバの記憶部に格納されている各データベースの内容の一実施例の説明図を示す。
図12(a)は、図2の端末の記憶部61に格納されている認識データベース62の一実施例を示している。
ここでは、登録されたユーザごとに、そのユーザ名63と、ユーザの音声特徴データ64と、顔画像特徴データ65とが、関連付けて記憶されている。
【0105】
図12(b)は、図3のサーバの記憶部141に格納されている端末データベース142の一実施例を示している。
ここでは、端末ごとに、装置ID143と、拠点ID144と、IPアドレス145とが、関連付けて記憶されている。
【0106】
図12(c)は、図3のサーバの記憶部141に格納されているユーザデータベース146の一実施例を示している。
ここでは、ユーザ名147と、拠点ID144と、メールアドレス148と、IPアドレス145とが関連付けて記憶されている。
なお、各データベースに格納される情報の項目は、以上のものに限られず、他に必要な項目があれば、追加して記憶してもよい。
【0107】
<情報端末とサーバ間通信の第2実施例>
以下に、第2実施例の構成および処理内容について、説明する。
この第2実施例では、端末が現在アイドル状態であるか否かを判定する処理を、端末側ではなく、サーバで行うことを特徴とする。
図13に、情報端末の第2実施例の構成ブロック図を示す。
ここで、図2の構成とは、記憶部61と制御部81の機能ブロックが一部分異なる。
すなわち、記憶部61には、認識データベース62を備えない。
また、制御部81は、アイドル状態判定部81を備えずに、端末モード変更受付部87を備える。
【0108】
情報端末の端末状態通知部85は、入力部等からなる情報入力部によって生成された状態情報と、情報端末の現在の動作状態とを含む状態監視情報を、サーバへ送信する。
また、端末モード変更受付部87は、サーバから送信される動作状態の移行通知を受信する部分である。
端末モード切替部86は、受信した移行通知に基づいて、段階的に動作状態を変更する。
【0109】
図14に、サーバの第2実施例の構成ブロック図を示す。
ここで、図3の構成とは、記憶部141と、制御部161の機能ブロックが一部分異なる。
記憶部141は、図2の端末に備えられていたのと同じ認識データベース149をさらに備える。
また、制御部161は、端末モード制御部164を備え、図2の端末に備えられていたアイドル状態判定部165をさらに備える。
【0110】
アイドル状態判定部165は、図2の端末で行われるアイドル状態の判定と同様の処理を行うものであるが、そのアイドル状態であることの判定は、接続される各端末から送信される状態監視情報や、端末で入力された映像や音声の情報に基づいて、行われる。
端末モード制御部164は、アイドル状態であると判定された場合に、端末から送信されてきた状態監視情報に含まれる現在の動作状態に対応して、サーバが段階的に移行させるべき動作状態を設定し、端末に対して、設定した動作状態への移行通知を、送信する部分である。
この第2実施例でも、サーバと情報端末との間の通信状態は、その情報端末の動作状態に従って各情報端末ごとに変更させられる。
【0111】
また、認識データベース149は、図2の端末と同様に、アイドル状態判定部165の人物認識処理で用いられ、端末データベース142とユーザデータベース146は、端末とサーバ間の双方向通信および片方向通信をするときや、これらの通信方法の切替をするときに用いられる。
図13と図14の構成のうち、他の機能ブロックについては図2と図3と同様の処理を実行する。
【0112】
図15に、第2実施例におけるサーバのモード移行制御処理のフローチャートを示す。
ここでは、主として、端末から送られてくる各種情報を用いて、その端末がアイドル状態となっているか否かを判定し、その端末の動作モードを移行させるか否かを決定し、その端末に対して動作すべき動作モードを通知する処理を行う。
すなわち、サーバが、各端末の動作モードを管理し、各端末はサーバから通知される動作モードに基づいて、受動的にその動作モードを設定変更する。
図15のフローは、サーバが、各端末ごとにそれぞれ独立に行う処理である。
【0113】
ステップS51において、ここでは、サーバの初期状態として、現在端末との間の通信が双方向通信状態であって、その端末がアクティブモードであったとする。
ステップS52において、サーバのアイドル状態判定部165により、端末がアイドル状態であるか否か、判定する。
この判定処理の詳細内容は、図16のフローチャートで説明する。
ステップS53において、端末がアイドル状態になったと判定された場合、ステップS54へ進み、そうでない場合は処理を終了する。
ステップS54において、今まで端末の動作モードはアクティブモードであったので、端末モード制御部164が、その端末をスリープモードに移行させる処理を行う(スリープモード移行処理)。
【0114】
ステップS54では、端末に対して、現在の動作モードを「スリープモード」M2へ切りかえることを要求する移行通知を、送信する。さらに、通信方法切替部163により、現在の通信状態を、双方向通信から片方向通信に切りかえる処理をし、サーバから端末に対して、映像や音声の情報の一方向送信が行えるようにする。この移行通知を受信した端末は、動作モードをアクティブモードM1からスリープモードM2へ切り替え、一方向通信ができる通信状態にする。
ステップS55において、アイドル状態判定部165が、ステップS52と同様に、アイドル状態判定処理を行う。
ステップS56において、端末が、さらにアイドル状態が継続している状態であったと判定された場合、ステップS57へ進み、そうでない場合は、ステップS61へ進む。
【0115】
ステップS57において、現在スリープモードM2のときに、アイドル状態であると判定されたので、端末モード制御部164が、その端末をログオフモードM3に移行させる処理を行う(ログオフモード移行処理)。
ここでは、端末に対して、動作モードを「ログオフモード」M3へ切りかえることを要求する移行通知を、送信する。また、通信状態を一方向通信から、通信中止状態に変更する。
【0116】
一方、ステップS61では、端末がアイドル状態ではないと判定された場合なので、端末モード制御部164は、アクティブモード移行処理を行う。
たとえば、端末がスリープモードM2の状態のときに、キーボードや人検知センサからの入力信号が入力されたことを示す状態監視情報が、その端末から送られてきた場合に、アイドル状態ではないと判定され、ステップS61の処理を行う。
ステップS61においては、端末に対して、動作モードをスリープモードM2からアクティブモードM1へ切りかえることを要求する移行通知を、送信する。さらに、通信状態を、一方向通信から双方向通信へ変更する。
【0117】
ステップS58において、アイドル状態判定部165が、アイドル状態判定処理を行う。
ステップS59において、その端末がアイドル状態をまだ継続していると判定された場合、ステップS60へ進み、そうでない場合は、ステップS62へ進む。
ステップS60において、端末が現在ログオフモードM3のときに、アイドル状態であると判定されたので、端末モード制御部164が、その端末をシャットダウンモードM4へ移行させる処理を行う(シャットダウンモード移行処理)。
【0118】
ここでは、端末に対して、動作モードを「シャットダウンモード」M4へ切りかえることを要求する移行通知を、送信する。
この移行通知を受信した端末は、所定のシャットダウン処理を自動的に行い、電源を切断する。
また、サーバは、その端末との間の通信回線を切断し、その端末を管理対象外に設定する。
【0119】
一方、ステップS62において、ログオフモードM3のときにアイドル状態でないと判定された場合は、利用者が何らかの入力操作等をしたことや映像の変化あるいは音声の入力がされたことが検出された場合なので、ログオンへの移行通知処理を行う。
ここでは、たとえば、端末に対して、ログオフ状態から、ログオン状態に変化した可能性のあることを通知し、ステップS61にて、動作モードを、アクティブモードへ移行すべきことを要求する通知を送信する。
この通知を受けた端末は、利用者のログオン操作を受け入れて、たとえば、動作モードをアクティブモードにすればよい。
あるいは、ログオフ状態からログオンへ変更する処理は、端末側での処理なので、サーバ側では、ステップS59でアイドル状態でないと判定した場合には、ステップS62の処理は行わずに、処理を終了してもよい。
【0120】
図16に、サーバにおけるアイドル状態判定処理のフローチャートを示す。
ここで、ステップS72とS73での処理が、端末から送信されてくる情報を基にして行われる点が、図10の処理と異なる。
ステップS71において、時間計測部166が、時間計測処理を開始させ、設定時間を初期値にリセットし、カウントダウンを開始する。
ステップS72において、端末状態判断部162が、端末から送られてくるその端末の状態監視情報を受信する。
状態監視情報とは、たとえば、端末の現在の動作モードを示す情報、端末の入力部から入力された入力信号の情報、端末のカメラによって入力された映像およびマイクから入力された音声などの情報を意味する。
【0121】
ここでは、受信された状態監視情報を用いて、入力信号検知部167が、アイドル状態でないと判定されるような入力信号が入力されていないかどうか、チェックする。
たとえば、人検知センサによる入力の有無が判定され、人検知センサの入力があったことが検知された場合には、後のステップS74において、アイドル状態でないと判断される。
また、この他に、端末のキーボード,マウス,タブレットなどの入力部からの入力信号が1つ以上あったことが検知された場合には、アイドル状態でないという判定に利用される。
さらに、端末から送られてきた映像に変化があるか否か、端末から入力音声が送られてきたか否かチェックされ、映像の変化があったことが検知された場合、入力音声が送られてきた場合、あるいは、映像の変化と入力音声の入力がいずれも検知された場合は、いずれの場合も、アイドル状態でないと判定される。
逆に、上記した入力信号がすべて検知されていない場合には、アイドル状態であると判定される。
【0122】
ステップS73において、人物認識部168が、端末から送られてきた受信映像と受信音声とを用いて、人物認識処理を行う。
ここでは、受信音声と、認識データベース149の音声特徴データとを比較し、音声認識処理を行い、さらに、受信映像と、認識データベース149の顔画像特徴データとを比較し、画像認識処理を行う。
各認識処理は、図10で行われる処理と同様の処理である。
これらの認識処理で、音声および映像が一致するデータが認識データベースに存在した場合には、人物認識が成功したと判断し、アイドル状態ではないと判定される。
一方、一致するデータがないときには、人物認識が失敗したと判断し、アイドル状態であると判定される。
【0123】
ステップS74において、ステップS72とS73との判断結果を利用して、アイドル状態か否かの判定を行う。
ここでは、ステップS72の判断結果により端末で入力信号が検知された場合、あるいはステップS73で人物認識が成功した場合、あるいは入力信号が検知されかつ人物認識が成功した場合のいずれかであれば、ステップS77へ進み、現在端末はアイドル状態ではないと判定する。
また、入力信号が検知されなかった場合、かつ人物認識が失敗した場合に、ステップS75へ進む。
ステップS75において、設定時間が経過したか否かを確認し、まだ経過していない場合は、ステップS72へ戻る。
一方、経過してしまった場合は、その設定時間をこえて、アイドル状態が継続していたことになるので、ステップS76へ進み、アイドル状態であると判定する。
【0124】
図17に、第2実施例における端末の端末状態制御処理のフローチャートを示す。
ここでは、主として、サーバから送られてくる移行通知の内容に基づいて、自己の端末の動作モードを設定変更する。
まず、端末状態通知部85は、ステップS81において、自己の端末状態を監視し、ステップS82において、サーバに、監視によって取得した現在の状態監視情報を通知する。
【0125】
ステップS81においては、入力部11からの入力信号の有無をチェックし、さらに映像入力部21のカメラ22からの入力された映像を、入力映像66として記憶部61に記憶し、マイク42から入力された音声を、入力音声67として記憶する。
ステップS82では、たとえば入力部からの入力信号の有無についての情報、入力映像および入力音声を含む情報をサーバに通知するために、現在の状態監視情報を生成し、サーバに送信する。
【0126】
次に、ステップS83において、端末モード変更受付部87が、サーバからの移行通知情報が受信されたか否か、チェックする。
受信されていない場合はステップS81へ戻り、受信された場合は、ステップS84へ進む。
【0127】
ステップS84,S86,S88において、受信した移行通知の内容が、どの動作モードであるか否か、チェックする。
まず、ステップS84において、受信した移行通知がスリープモードM2への移行を要求するものであった場合、ステップS85へ進み、端末モード切替部86が、動作モードを、スリープモードM2へ切り替え、通信状態を、音声と映像の片方向通信の状態に移行させる。
すなわち、サーバから送られてくる映像と音声を受信する片方向通信に切りかえる。
このとき、端末からサーバへ、映像および音声を送信しないようにしてもよい。
【0128】
ステップS86において、受信した移行通知がログオフモードM3への移行を要求するものであった場合、ステップS87へ進む。
ステップS87では、上記した図9のステップS9と同様のログオフモードへの移行処理を行う。
ステップS88において、受信した移行通知がシャットダウンモードM4への移行を要求するものであった場合、ステップS89へ進み、ステップS13と同様のシャットダウンモード移行処理を行う。
【0129】
一方、ステップS88において、受信した移行通知がシャットダウンモードM4への移行通知でなかった場合は、ステップS90へ進み、ステップS15と同様に、アクティブモードM1への移行処理を実行する。ただし、現在すでにアクティブモードM1になっている場合は、この処理は実行しなくてもよい。
スリープモードM2からアクティブモードM1へ戻る場合には、片方向通信から双方向通信へ切りかえる処理が行われる。
【0130】
以上が第2実施例における端末とサーバの処理内容である。
この第2実施例では、アイドル状態の判定処理をサーバ側で行うので、その判定処理を行うための負荷がサーバにかかることになるが、第1実施例と同様に、段階的に、端末の動作モードを変更するので、サーバに接続される実質的な端末の数を減少させることができ、サーバの負荷の減少と、通信遅延等の減少による円滑な会議の実現と、利用者の操作負担の軽減を図ることができる。
【0131】
<第3実施例、グループ化による端末数の減少>
ここでは、複数の端末をグループ化して、その中の1台を代表端末に設定することにより、サーバに接続される端末の数を実質的に減少させる実施例を説明する。
図18に、情報端末の第3実施例の構成ブロック図を示す。
図18において、端末は、さらに、代表端末検出要求部88と、ストリーミング要求部89と、ストリーミング受信部90と、ストリーミング配信部91とを備える。
代表端末検出要求部88は、サーバに対して、同一拠点内の代表端末を検出するように要求する部分であり、検出された代表端末の情報をサーバから受信する。
ストリーミング要求部89は、代表端末に対して、ストリーミング情報(音声および映像)をその端末に配信するように要求する部分である。
ストリーミング受信部90は、サーバあるいは代表端末から配信されたストリーミング情報を受信する部分である。
【0132】
ストリーミング配信部91は、端末が代表端末である場合に、他の端末に対してストリーミング情報を送信する部分である。
ここで、ストリーミング配信とは、ストリーミング情報である映像や音声を一方向に送信することを意味する。
ストリーミング受信を行う端末は、自端末の映像、音声データの符号化や送信を行わないので、双方向通信を行う場合よりも、端末にかかる負荷は少なくなる。
【0133】
図19に、サーバの第3実施例の構成ブロック図を示す。
図19において、サーバは、さらに、代表端末検出部169と、ストリーミング配信部170とを備える。
代表端末検出部169は、記憶部141の端末データベース142に記憶された拠点ID144を用いて、代表端末とすべき端末が、同一拠点内に存在するか否かを検出する部分である。
ストリーミング配信部170は、サーバから、情報端末に対して、ストリーミング情報を送信する部分である。
このサーバからのストリーミング配信は、代表端末と判断された情報端末に対してのみ行われ、代表端末でない情報端末へは行われない。
【0134】
また、図20に、この第3実施例で用いられる端末データベースの一実施例の説明図を示す。図20において、記憶部141の端末データベース142には、代表端末フラグ150を備える。代表端末フラグ150は、端末が代表端末であるか否かを識別するための情報であり、「ON」のとき、その端末が代表端末であることを意味し、「OFF」のとき、その端末は代表端末でないことを意味する。
図20においては、4つの端末のうち、拠点IDが「関西」となっている2つの端末が、同一拠点の端末であり、この同一拠点に含まれる2つの端末のうち、装置ID=「G53182」の端末の代表端末フラグ150が「ON」であるので、この端末が代表端末であることを意味する。
ここで、同一拠点が1つのグループを形成し、1つのグループには、代表端末は1つだけ存在する。
【0135】
グループ化は、比較的近くの位置に設置されている端末同士を1つのグループとして設定するものであり、たとえば、図20のように、同じ拠点に属する複数の端末は、1つのグループに属するものとして扱う。
また、同一ルータあるいは同一中継サーバの配下のネットワークに属する複数の端末を、1つのグループに属するものとして扱ってもよく、さらに、IPアドレスを構成する数字列のうち、特定の数字列部分が同一の端末(同一ドメイン内の端末)を1つのグループに属するものとして扱ってもよい。
以下の説明では、同一拠点IDを持つ複数の端末は、同一のグループに属するものとして扱うことにする。
【0136】
また、図20の場合、同一拠点に含まれる2つの端末は、1つのグループに属する端末とみなされ、サーバから見た場合、そのグループに属する代表端末のみがサーバに接続されているかのように扱われる。すなわち、サーバから映像音声等の情報を送信する場合、サーバから、同一拠点(同一グループ)に属する代表端末のみにその情報が直接送信され、その同一拠点に属する代表端末でない端末にはサーバから直接送信されない。
代表端末でない端末には、原則として、同一拠点に属する代表端末から、ストリーミング配信で、情報を送信するものとする。
【0137】
また、同一拠点すなわち、1つのグループに属する端末が複数ある場合は、アイドル状態ではない端末、すなわち現在アクティブモードである端末のうち1つの端末が代表端末として選択される。
ただし、1つのグループに属する端末の中に、アクティブモードである端末が1つもない場合は、アイドル状態である端末(たとえば、スリープモードの端末)の中から、1つの端末が代表端末として選択される。
さらに、代表端末となっていた端末がアイドル状態となってしまった場合は、同一拠点内のアクティブモードである他の端末を代表端末に変更し、変更後の代表端末からストリーミング配信を受けるようにしてもよい。
【0138】
また、同一拠点の中に、1つしか端末が存在しない場合において、その端末がアイドル状態となった場合、他の拠点に属する代表端末から、ストリーミング配信を受けるようにしてもよい。
あるいは、アイドル状態となった端末自身が、実質的に代表端末となり、サーバから、ストリーミング配信を受けるようにしてもよい。
また、同一拠点内の代表端末は、原則として同じグループ内に属する他の端末に対してのみストリーミング配信を行うが、他の拠点に属する端末TEnからストリーミング配信の要求を受けた場合は、代表端末は、他の拠点のその端末TEnに対して、ストリーミング配信をしてもよい。
【0139】
まず、第3実施例における端末とサーバ間の情報配信の概略について説明する。
図26に、第3実施例におけるサーバ端末間通信状態の1つであるアクティブモードの説明図を示す。
図26では、1つのサーバに対して、4台の端末(TE1〜TE4)が接続されるものとする。
ここでは、4台の端末(TE1〜TE4)は、すべてアクティブモードM1であるとし、端末TE1とTE2とが、同一拠点に属し、同じ拠点IDを持ち、グループ化されているものとする。
また、4つの端末は、いずれもまだ代表端末とはなっておらず、したがって各端末の代表端末フラグは、すべて「OFF」であるとする。
【0140】
このように、すべての端末がアクティブモードM1である場合、サーバと各端末間の通信は、いずれも双方向通信状態にあり、各端末(TE1〜TE4)からサーバへは、その端末のエンコードされた自画像(SD1〜SD4)が送信され、サーバにおいて、4つの自画像が受信されデコード,リサイズ,ミキシング,エンコードという一連の処理が実行されて、合成された画像(RD1〜RD4)が、各端末(TE1〜TE4)へ配信される。
したがって、同一拠点に2つの端末(TE1,TE2)が属する場合であっても、その2つの端末(TE1,TE2)は、それぞれ、サーバに対して双方向通信を行う。
この状態はサーバに最も負荷がかかり、伝送遅延や通信障害が起こりやすい状態であると言える。
【0141】
図27に、第3実施例のサーバ端末間通信状態において、端末TE1がスリープモードM2になった場合の説明図を示す。
ここでは、端末TE1において、利用者が不在となりアイドル状態が検出され、アクティブモードM1からスリープモードM2になり、端末TE1とサーバとの直接通信は行われない。
この場合、端末TE1と同一拠点(同一グループ)に属する端末であって、アクティブモードである端末TE2が、そのグループの代表端末となる。
そして、スリープモードM2となった端末TE1は、代表端末TE2からストリーミング配信を受ける。
【0142】
代表端末TE2は、サーバで生成された受信画像RD2を受信し、この受信画像RD2をそのまま端末TE1へストリーミング配信する。すなわち受信画像RD2と同じ画像RD1を配信する。
端末TE1は、スリープモードM2なので、自画像SD1を送信することなく、端末TE2から送られてくる情報RD1をストリーミング受信するだけである。
ここで、サーバは端末TE1の自画像SD1は送信されてこないので、サーバで生成される合成画像は、自画像SD1は含まれず、3つの端末(TE2,TE3,TE4)から送られてきた自画像(SD2,SD3,SD4)を一画面に分割表示できるようにした画像である。
【0143】
図27の場合、サーバから見ると、図26の場合に比べて、直接接続され、かつ双方向通信を行う端末が1台少なくなり、サーバと端末間で行われる通信データ量が減少し、合成すべき画像も4つから3つに減少するので、サーバでデコード等を行う必要のあるデータ量も少なくなる。
すなわち、共有情報である受信画像を受信する端末は4台であるが、サーバに直接接続される端末は3台となり実質的に減少するので、通信されるデータ量が減少することにより、伝送遅延が少なくなり、通信障害の発生も少なくなり、会議の円滑な進行が可能となる。
【0144】
図28に、第3実施例のサーバ端末間通信状態において、端末TE1とTE2とが、どちらもスリープモードM2となった場合の説明図を示す。
ここでは、同一拠点内のすべての端末(TE1,TE2)が、スリープモードM2となったので、端末TE2は、代表端末になったままで、サーバからのストリーミング配信を受ける。
さらに、端末TE1は、サーバと直接通信は行わず、代表端末TE2からストリーミング配信を受ける。
端末TE3とTE4とは、どちらもアクティブモードM1であるので、サーバとの間では双方向通信が行われ、各端末の自画像(SD3,SD4)がサーバへ送信される。スリープモードM2となった端末TE1とTE2からの自画像(SD1,SD2)はサーバへは送信されない。
したがって、サーバから3つの端末(TE2,TE3,TE4)へ送られる受信画像(RD2,RD3,RD4)は、2つの自画像(SD3,SD4)が含まれるものである。
端末TE1へ配信される受信画像RD1は、端末TE2が受信した画像RD2と同じものである。
【0145】
この場合、サーバと双方向通信を行う端末は2台となり、サーバからのストリーミング配信を受ける端末は1台となり、サーバと端末間で行う通信のデータ量は、図27の場合より少なくなる。
また、サーバでデコード等の一連の処理をすべきデータも2つの自画像(SD3,SD4)となるので、その処理にかかる負荷も少なくなる。
したがって、サーバから、共有情報である受信画像を受信する端末は4台のままであるが、サーバと直接通信を行う端末は3台となり、さらにそのうちの1台の端末(TE2)は、一方向通信であるストリーミング受信のみをする端末であるので、伝送遅延や通信障害を低減でき、サーバの負荷も少なくすることができる。
【0146】
図29に、第3実施例のサーバ端末間通信状態において、端末TE4が、スリープモードM2となった場合の説明図を示す。
ここでは、同一拠点に属する2つの端末(TE1,TE2)と、もう一台の端末TE3とが、アクティブモードM1であり、それぞれ、サーバと双方向通信を行っているものとする。
端末TE4のみがスリープモードM2となっており、端末TE4が属する同一グループには、他に端末が存在しないとする。
すなわち、同一拠点(同一グループ)に、1台の端末TE4しか存在しないとする。この場合、同一グループ内に他に代表端末となるべき端末がないので、端末TE4は自ら代表端末となり、サーバからストリーミング配信を受ける。端末4は、スリープモードM2となっているので、その自画像SD4を送信することなく、サーバから受信画像RD4をストリーミング受信する。
したがって、サーバに送信される自画像は、3つの端末(TE1,TE2,TE3)からの自画像(SD1,SD2,SD3)であるので、サーバから送信される合成画像(RD1〜RD4)は、この3つの自画像を含むものとなる。
【0147】
図29の場合、同一拠点(同一グループ)内に1つの端末しかない場合において、その端末がスリープモードM2となってしまった場合、サーバからのストリーミング配信を受けることにより、受信画像RD4を表示部に表示させることができる。
また、スリープモードM2となった端末TE4については、双方向通信からストリーミング配信を受ける一方向通信に切りかえられるので、データ伝送量を少なくすることができ、サーバの負荷の軽減と、伝送遅延の減少および通信障害の減少を図ることができる。
【0148】
図30に、第3実施例のサーバ端末間通信状態において、3台の端末TE1,TE2,TE4が、スリープモードとなった場合の説明図を示す。
ここでは、図28に示したのと同様に、同一拠点内に属するすべての端末(TE1,TE2)が、スリープモードM2となっているので、一方の端末TE2が代表端末となり、サーバからストリーミング配信を受ける。他方の端末TE1は、この代表端末TE2からストリーミング配信を受ける。
【0149】
また、図29に示したのと同様に、同一拠点に1つの端末しかない端末TE4もスリープモードM2となっているが、図30では、端末TE4は、サーバからストリーミング配信を受けるのではなく、代表端末TE2から、ストリーミング配信を受けるようにした場合を示している。
したがって、代表端末TE2は、まず、サーバからのストリーミング配信を受け、さらに、2つの端末(TE1,TE4)に対して、ストリーミング配信を行っている。
この場合、アクティブモードM1である端末は、TE3のみであるので、サーバに送信される自画像は、端末TE3からの画像SD3のみであり、サーバから端末に送信される合成画像(RD1〜RD4)は、端末TE3の自画像SD3を含むものである。
【0150】
この場合、サーバに直接接続される端末は2台となり、そのうち1台の端末(TE3)が双方向通信を行い、もう1台の端末(TE2)は、ストリーミング配信を行う一方向通信の端末である。
したがって、共有情報である受信画像(RD1〜RD4)は、4台の端末で表示されるが、サーバに直接接続される端末の数は実質的に2台となり、サーバと端末間で通信されるデータ量を減少させることができる。
【0151】
また、サーバで受信される自画像も、1台の端末TE3からのみであり、合成画像を生成するのにかかるサーバの負荷も少なくすることができる。
したがって、図30の場合、代表端末からストリーミング配信を行う相手の端末を、同一拠点に属する他の端末と、他の拠点に属する端末にすることにより、サーバに直接接続される端末の数をより少なくすることができ、サーバの負荷の減少、伝送遅延の減少、および通信障害の減少を図ることができる。
【0152】
図25に、第3実施例における端末とサーバ間の通信シーケンスの概略説明図を示す。
図25(a)は、端末TE1がアクティブモードM1であり、サーバと端末TE1とが双方向通信を行っている場合を示している。これは、図8(a)と同様である。
図25(b)は、端末TE1がスリープモードM2となった場合のシーケンスを示している。
ここで、図26に示すように、端末TE1と端末TE2とが同一拠点(同一グループ)に属するものとする。このシーケンスは、図27の通信状態となる場合を示している。
【0153】
まず、スリープモードM2となった端末TE1から、サーバに対して、端末TE1がスリープモードM2になったことを示す端末状態通知を送信する。この通知により、端末TE1とサーバとの間の通信は双方向通信状態から、片方向通信状態(端末TE1からの映像、音声データをサーバ側で処理しない状態)にする。
さらに、端末TE1から、サーバに対して、代表端末を検出してもらうことを要求する情報を送信する(代表端末検出要求の送信)。
この検出要求を受信したサーバは、サーバの記憶部に記憶された端末データベース142を利用して、端末TE1とグループ化できる代表端末があるか否か調べる。図26の場合、端末TE1とTE2とが同一拠点にあるので、この2つの端末が、同一グループにグループ化される。また、端末TE2がアクティブモードM1であったとすると、代表端末として端末TE2が検出される。
【0154】
代表端末として端末TE2を選択することができるので、サーバは端末データベース142の中の端末TE2の代表端末フラグを「ON」に設定し、端末TE1に対して、代表端末検出通知を送信する。
この代表端末検出通知では、代表端末とした端末TE2の装置IDとIPアドレスとが通知される。
その後、この通知を受信した端末TE1は、端末TE2に対して、ストリーミング要求を送信する。
【0155】
ストリーミング要求を受信した端末TE2は、この要求を検出すると、サーバから送られてきた受信画像RD2を、端末TE1に対してストリーミング配信する。
すなわち、端末TE1は、サーバとの通信は行わず、端末TE2との間で、画像音声等の情報を含むストリーミング配信による片方向通信を行う(ストリーミング受信)。
これにより、スリープモードM2となった端末TE1は、共有情報を受信することができる。
【0156】
図25(c)は、サーバで代表端末が検出されなかった場合のシーケンスを示している。これはつまり、端末TE1がスリープモードM2となったため、サーバに対して代表端末検出要求を行ったが、サーバで代表端末の検出ができなかった場合である。
このとき、サーバから端末TE1に対して、代表端末の未検出通知が送信される。
この未検出通知を受けた端末TE1は、自らを代表端末に設定し、端末TE1を代表端末に移行したことを示す端末状態通知(代表端末モードへの移行)を、サーバに送信する。
この通知を受けたサーバは、端末TE1の動作モードが代表端末になったことを検出して、端末TE1の代表端末フラグを「ON」に設定する。
その後、サーバは、端末TE1に対して、ストリーミング配信を行う。これにより、端末TE1は、サーバからの片方向通信により、共有情報を受信するストリーミング受信をする。
【0157】
この図25(c)は、図29の状態に相当する。
この場合は、端末TE1がスリープモードM2となったため、サーバとの通信が双方向通信から片方向通信に切りかわるが、さらにその片方向通信が、サーバからのストリーミング配信となる。
ストリーミング受信をする端末TE1では、所定の通信プロトコルによる双方向通信時のように受信画像のデコードをする必要はなく、その端末TE1の負荷を少なくすることができる。
【0158】
図21に、第3実施例における端末のグループ化処理のフローチャートを示す。
ここでのグループ化処理は、主として、アイドル状態判定処理と、スリープモード移行処理と、代表端末検出要求処理と、ストリーミング受信処理とからなる。
スリープモードM2へ移行した端末は、同一拠点内に代表端末となるべき他の端末が存在する場合には、その代表端末からストリーミング配信を受け、代表端末となるべき端末が存在しない場合は、自らが代表端末となり、サーバからストリーミング配信を受ける。
【0159】
図21のステップS101において、端末の初期状態がアクティブモードM1であったとする。
ステップS102において、端末状態通知部85が、現在の端末の動作モード(アクティブモード)を、サーバへ通知する。
ステップS103において、アイドル状態判定部81が、自己の端末の状態がアイドル状態となっているか否か判定する(アイドル状態判定処理)。
図23に、この第3実施例のアイドル状態判定処理の詳細フローチャートを示す。ただし、図23のフローは、図10に示したものと同一なので、説明を省略する。
【0160】
ステップS104において、端末がアイドル状態であると判定された場合、ステップS105へ進み、端末モード切替部86がスリープモード移行処理を行う。
スリープモードへの移行処理は、上記したステップS5と同様の処理である。
ステップS106において、サーバに対し、現在の動作モードがスリープモードM2になったことを示す端末状態通知を、送信する。
【0161】
ステップS107において、代表端末検出要求部88が、サーバに対して、代表端末検出要求を送信する。
この要求を受信したサーバは、代表端末を検出する処理を行い、代表端末を検出した場合は、代表端末を検出したことを示す通知を、この端末へ送信する。一方、代表端末が検出されない場合は、未検出であったことを示す通知を端末へ送信する。
ステップS108において、サーバからの通知により、代表端末が検出されたか否か、チェックする。
代表端末が検出されたという通知を受けた場合は、ステップS109へ進み、そうでない場合はステップS113へ進む。
【0162】
ステップS109において、ストリーミング要求部89が、代表端末に対し、ストリーミングの配信を要求する情報を送信する。
この要求情報を受信した代表端末は、ストリーミング配信部91によって、ストリーミング情報を、その端末に対して配信する。
【0163】
ステップS110において、ストリーミング受信部90が、代表端末から送られてくるストリーミング情報を受信する。
ステップS111において、再度ステップS107と同じ代表端末検出要求処理を行う。これは、今まで代表端末であった端末が、代表端末でなくなっていないか、あるいは代表端末が変更されていないかをチェックするための処理である。
ステップS112において、サーバからの通知により、代表端末が検出された場合は、処理を終了し、そうでない場合は、ステップS113へ進む。
【0164】
ステップS113において、他に代表端末となるべき端末がなかったので、自らが代表端末に移行する処理を行う。すなわち、その端末の動作モードを、スリープモードから、代表端末モードに移行する。
代表端末となった端末は、他の端末に対して、ストリーミング配信を行える端末となる。また、代表端末となった端末は、サーバからの片方向通信により、ストリーミング情報を受信する。
【0165】
ステップS114において、サーバに対して、自端末の動作モードが代表端末モードになったことを示す端末状態通知を、送信する。
ステップS115において、サーバから送られてくるストリーミング情報を受信するストリーミング受信を行う。
ストリーミング受信された情報は、代表端末の表示部に表示するとともに、グループ化された同一拠点内の他の端末に対して、その受信情報を、ストリーミング配信する。
【0166】
図22に、第3実施例において、代表端末となった端末のストリーミング配信処理の概略フローチャートを示す。
ステップS121において、他の端末から、ストリーミング配信要求を受信したか否か、チェックする。
受信した場合は、ステップS122へ進み、要求を送信してきた端末に対し、受信したストリーミング情報のストリーミング配信を行う。
【0167】
図24に、第3実施例のサーバにおける端末状態検出制御処理のフローチャートを示す。
ステップS131において、端末状態判断部162が、端末から端末状態情報を受信したか否かチェックする。
受信した場合は、ステップS132へ進み、そうでない場合はステップS131をループする。
ステップS132において、端末から受信した端末状態が、アクティブモードか否か、チェックする。
アクティブモードの場合、ステップS133へ進み、そうでない場合は、ステップS134へ進む。
ステップS133において、通信方法切替部163が、サーバと端末との通信状態を、アクティブモードで行われる双方向通信状態に切り替える。
ステップS134において、受信した端末状態がスリープモードか否か、チェックする。
スリープモードの場合、ステップS135へ進み、そうでない場合、ステップS139へ進む。
【0168】
ステップS135において、代表端末検出部169が、代表端末検出処理を行う。
ここでは、記憶部141の端末データベース142をチェックし、端末が属する拠点ID144と同一の拠点IDを持つ他の端末があるか否かチェックする。
同一拠点IDを持つ端末が他に存在する場合、その端末がアクティブモードであれば、その端末を代表端末に設定し、代表端末が検出されたと判断する。
すなわち、その端末の代表端末フラグ150を「ON」にする。
また、同一拠点IDを持つ端末の中に、すでに代表端末フラグ150が「ON」となっているものがあれば、代表端末が検出されたと判断する。
さらに、同一拠点IDを持つ端末が、他に1つもない場合は、代表端末がなかったと判断する。
【0169】
ステップS136において、代表端末が検出された場合、ステップS138へ進み、そうでない場合、ステップS137へ進む。
ステップS138において、端末データベース142から、代表端末の装置IDとIPアドレスを読み出し、代表端末検出通知を作成し、スリープモードとなった端末に対して、送信する。
ステップS137において、代表端末が未検出であったことを示す情報を、スリープモードとなった端末へ送信する。
【0170】
ステップS139において、受信した端末状態が、代表端末モードであるか否か、チェックする。
代表端末モードであれば、ステップS140へ進み、そうでない場合は、処理を終了する。
ステップS140において、代表端末モードになっている端末を、代表端末として設定する処理を行う。具体的には、端末データベース142の中のその端末に対する代表端末フラグ150を、「ON」に設定する。
ステップS141において、ストリーミング配信部170は、代表端末となっている端末に対し、デコード等の処理をした後の映像や音声などの共有情報を、ストリーミング配信する。
なお、端末の代表端末フラグ150は、初期状態では、すべて「OFF」とし、図示していないが、たとえば、端末の電源切断等の理由で代表端末でなくなった場合は、その端末の代表端末フラグを「OFF」に設定する。
【0171】
以上が、第3実施例における端末とサーバの処理内容であるが、サーバに接続された端末数が5台以上の場合や、同一拠点(同一グループ)に属する端末の数が3台以上の場合もあるので、グループ化のパターンは、図26から図30に示したものに限るものではなく、他のパターンも考えられる。
ただし、いずれの場合も、グループ化された端末群の中に、1つの代表端末を設定し、その代表端末のみをサーバに直接接続可能な端末とし、サーバから双方向通信やストリーミング配信を受けるようにしているので、サーバに接続される実質的な端末の数を減少させることができ、接続端末数の減少によって、伝送遅延の減少と、通信障害の減少と、サーバの負荷の軽減を図ることができる。
【符号の説明】
【0172】
1 サーバ
2 情報端末(端末)
11 入力部
12 キーボード
13 マウス
14 タブレット
15 人検知センサ
16 入力処理部
21 映像入力部
22 カメラ
23 映像処理部
31 表示部
32 ディスプレイ
33 表示処理部
41 音声入力部
42 マイク
43 入力音声処理部
45 音声出力部
46 スピーカ
47 出力音声処理部
51 通信部
52 通信暗号部
53 通信復号部
55 認証部
61 記憶部
62 認識データベース
63 ユーザ名
64 音声特徴データ
65 顔画像特徴データ
66 入力映像
67 入力音声
71 信号処理部
72 映像符号化部
73 映像復号化部
74 音声符号化部
75 音声復号化部
80 制御部
81 アイドル状態判定部
82 時間計測部
83 入力信号検知部
84 人物認識部
85 端末状態通知部
86 端末モード切替部
87 端末モード変更受付部
88 代表端末検出要求部
89 ストリーミング要求部
90 ストリーミング受信部
91 ストリーミング配信部
101 入力部
102 キーボード
103 マウス
104 タブレット
105 入力処理部
111 表示部
112 ディスプレイ
113 表示処理部
121 通信部
122 通信暗号部
123 通信複号部
125 認証部
131 MCU部
132 映像ミキシング部
133 映像リサイズ部
134 音声ミキシング部
141 記憶部
142 端末データベース
143 装置ID
144 拠点ID
145 IPアドレス
146 ユーザデータベース
147 ユーザID
148 メールアドレス
149 認識データベース
150 代表端末フラグ
151 信号処理部
161 制御部
162 端末状態判断部
163 通信方法切替部
164 端末モード制御部
165 アイドル状態判定部
166 時間計測部
167 入力信号検知部
168 人物認識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、複数の情報端末とがネットワークを介して接続され、
前記情報端末において入力された情報をサーバに送信し、
前記サーバが、各情報端末から送信された情報を用いて共有情報を生成し、前記共有情報を前記情報端末へ配信する情報共有システムであって、
前記情報端末が、その情報端末を利用者が使用状態であることを示す状態情報を生成する情報入力部と、
前記情報入力部によって生成された状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であることを判定するアイドル状態判定部と、
アイドル状態であることが判定された場合に、情報端末の現在の動作状態に対応して、段階的に動作状態を変更する端末モード切替部と、
情報端末の現在の動作状態を、サーバへ送信する端末状態通知部と、
アイドル状態であると判定された場合に、サーバに、同一拠点内の代表端末の検出を要求する検出要求を送信し、かつサーバから代表端末の情報を受信する代表端末検出要求部と、
アイドル状態であると判定された場合に、サーバあるいは前記代表端末から配信されるストリーミング情報を受信するストリーミング受信部とを備え、
前記サーバが、前記情報端末から送信されてきた動作状態に基づいてその情報端末との通信方法を切り替える通信方法切替部と、
第1の情報端末から代表端末の検出要求を受信した場合に、前記第1の情報端末と同一の拠点に属する情報端末の中から代表端末を検出し、その代表端末の情報を前記第1の情報端末に送信する代表端末検出部と、
情報端末にストリーミング情報を送信するストリーミング配信部とを備え、
前記情報端末の動作状態に従って、各情報端末ごとにサーバと各情報端末との間の通信状態を変更させることを特徴とする情報共有システム。
【請求項2】
前記代表端末検出部が、前記代表端末を検出できた場合に、前記第1の情報端末のストリーミング受信部は、検出された代表端末から、ストリーミング情報を受信することを特徴とする請求項1の情報共有システム。
【請求項3】
前記代表端末検出部が、前記第1の情報端末と同一拠点に属する代表端末を検出できなかった場合、代表端末の未検出通知を、前記第1の情報端末に送信し、
前記第1の情報端末が、前記未検出通知を受信した場合、前記第1の情報端末の端末状態通知部が、自己が代表端末となることをサーバに通知し、その後、ストリーミング受信部は、サーバから、ストリーミング情報を受信することを特徴とする請求項1の情報共有システム。
【請求項4】
前記同一拠点内の代表端末は、前記第1の情報端末と同一グループに属する情報端末として予め設定された情報端末の中から、選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの情報共有システム。
【請求項5】
前記同一グループに属する情報端末は、同一の拠点IDを持つ情報端末、同一ルータに接続されそのルータの配下のネットワークに属する情報端末、および同一ドメイン内の情報端末のいずれかであることを特徴とする請求項4の情報共有システム。
【請求項6】
前記代表端末は、前記第1の情報端末と同一の拠点IDを持ち、アイドル状態ではない情報端末であることを特徴とする請求項5の情報共有システム。
【請求項7】
前記情報端末の動作状態は、サーバと映像および音声の双方向通信を行う第1モード、サーバから映像および音声を含む情報を受信して片方向通信を行う第2モード、情報端末の主機能を停止してサーバとの通信を中止した状態の第3モード、情報端末の電源を切断した状態の第4モードを含み、
前記アイドル状態判定処理により、アイドル状態であることが検出されるごとに、情報端末の動作状態を前記第1モードから第4モードの順に段階的に変更させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの情報共有システム。
【請求項8】
前記情報入力部は、
利用者の操作による入力信号を入力する入力部と、カメラにより撮影された映像を入力する映像入力部と、マイクから音声を入力する音声入力部とを備え、
前記入力信号、入力映像および入力音声を用いて、前記状態情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの情報共有システム。
【請求項9】
前記アイドル状態判定部は、
所定の設定時間中に継続して、前記入力信号の入力がないこと、前記入力音声の入力がないこと、および前記入力映像に所定の変化がないことのいずれかが検出された場合、その情報端末が使用されていない可能性があるアイドル状態であると判定することを特徴とする請求項8の情報共有システム。
【請求項10】
利用者の音声特徴データと、利用者の顔の特徴を示す顔画像特徴データを含む認識データベースを記憶した記憶部と、
前記入力音声と音声特徴データとを用いた音声認識と、前記入力映像と顔画像特徴データとを用いた画像認識とを利用して、利用者を特定する人物認識を行う人物認識部とをさらに備え、
前記アイドル状態判定部は、所定の設定時間中に継続して、前記人物認識部により人物認識が失敗した場合に、その情報端末が使用されていない可能性があるアイドル状態であると判定することを特徴とする請求項8または9の情報共有システム。
【請求項11】
サーバと、複数の情報端末とがネットワークを介して接続され、
前記情報端末において入力された情報をサーバに送信し、
前記サーバが、各情報端末から送信された情報を用いて共有情報を生成し、前記共有情報を前記情報端末へ配信する情報共有システムの情報共有方法であって、
前記情報端末が、その情報端末を利用者が使用状態であることを示す状態情報を生成する情報入力ステップと、
前記状態情報に基づいて、情報端末が使用されていない可能性のあるアイドル状態であるか否かを判定するアイドル状態判定ステップと、
アイドル状態であると判定された場合に、情報端末の現在の動作状態に対応して、段階的に所定の動作状態に変更する端末モード切替ステップと、
情報端末の現在の動作状態を、サーバへ送信する端末状態通知ステップと、
アイドル状態であると判定された第1の情報端末が、サーバに、同一拠点内の代表端末の検出を要求する検出要求送信ステップと、
前記サーバが、前記代表端末の検出要求を受信した場合に、検出要求を送信してきた前記第1の情報端末と同一の拠点に属する情報端末の中から代表端末を検出するステップと、検出された代表端末の情報を前記第1の情報端末に送信するステップと、
前記第1の情報端末が、受信した代表端末の情報を用いて、その代表端末に、ストリーミング配信を要求する配信要求送信ステップと、
前記代表端末が、受信した配信要求に基づいて、前記第1の情報端末に、ストリーミング情報を送信するステップとを備えたことを特徴とする情報共有方法。
【請求項12】
コンピュータに、前記請求項11に記載した情報共有方法の各ステップを実行させるための情報共有システムのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−114699(P2011−114699A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270521(P2009−270521)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】