情報再生装置および情報再生方法
【課題】高い周波数の局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を有する変動抑圧信号処理を得る。
【解決手段】再生波形の直流および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、N(N:自然数)番目トラック再生時に前記変動検出部出力である変動成分を記憶し、記憶した変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、前記変動記憶部出力により再生波形の直流および/または振幅変動を補償する補償部と、を有することを特徴とする情報再生処理装置で解決できる。
【解決手段】再生波形の直流および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、N(N:自然数)番目トラック再生時に前記変動検出部出力である変動成分を記憶し、記憶した変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、前記変動記憶部出力により再生波形の直流および/または振幅変動を補償する補償部と、を有することを特徴とする情報再生処理装置で解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体から情報を再生する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、BD(Blu−ray Disc(商標))規格では最大2層、また多層BD規格では最大4層のように多層化することにより光ディスクの容量を向上させている。このような多層ディスクにおいて、層間干渉などのようにディスク構造に起因するなどしてディスク上の広範囲において再生性能を劣化させる現象が存在する。この再生信号の特徴は、局所的な直流成分の変動を伴うことである。
【0003】
このような現象に対して、例えば特許文献1の0018段落に記載のように、「再生信号の微係数から再生信号のエッジ位置を同定し、ある区間長中に出現するエッジの数を計数し、それを用いて平均直流振幅を算出」し、「直流成分振幅の大きさによって再生チャネル中の各要素の動作を制御する」ことにより、「2層ディスクの層間干渉やディスク表面上の指紋などに起因する再生信号の局所直流成分変動に対し性能劣化を少なくすること」を可能としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−282506公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、層間干渉などに起因する局所直流成分変動は高い周波数の変動を有することから、その変動除去に際して演算遅延時間が課題となる。特許文献1においても0029段落に記載のように、「瞬時直流成分の移動平均を求め」ている。これは種々のノイズを低減するためには必要な処理であるが、移動平均算出に遅延が生じるなどの理由により充分に直流成分変動を抑圧できないという課題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、高い周波数の局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を有する変動抑圧信号処理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図2】本発明の第1の実施例におけるディスクの構成を表す概略図
【図3】直流変動を有する再生波形および直流変動成分の例を表す図
【図4】振幅変動を有する再生波形および振幅変動成分の例を表す図
【図5】本発明の第1の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図6】本発明の第1の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図7】本発明の第1の実施例におけるメモリ制御のタイミングチャート
【図8】本発明の第1の実施例における直流変動を補償する手段を表す概略図
【図9】本発明の第1の実施例における振幅変動を補償する手段を表す概略図
【図10】本発明の第2の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図11】本発明の第2の実施例における変動情報を加算する手段を表す概略図
【図12】本発明の第3の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図13】本発明の第3の実施例における変動情報を記憶する制御信号を生成する過程を表す図
【図14】本発明の第3の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図15】本発明の第3の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図16】本発明の第4の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図17】本発明の第4の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する手順を表すフローチャート
【図18】本発明の第5の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する手順を表すフローチャート
【図19】本発明の第6の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図20】本発明の第6の実施例におけるPR符号値を補正する手段を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例は、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報をN+1番目トラック再生時に使用する情報再生装置および方法を提供する(N:自然数)。図1乃至図9を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0012】
ここで、課題としている局所直流成分変動とは、主に層間干渉・指紋などに起因するものであり、これらは隣接トラック間で急峻に変化するものではない。よって、本実施例はN番目トラック再生時の変動情報を保存しておき、N+1番目トラック再生時に利用することにより変動抑圧を行うものである。
【0013】
図1に本実施例における情報再生装置の構成を示す。
【0014】
ディスク101はBDなどの光ディスクを想定し以降説明するがこれに限定するものではなく、磁気ディスク、光磁気ディスク、ホログラムディスクなどにも適用可能である。図2にディスク101の構造を示す。ディスク101において、図2(a)の点Aから点Bのように螺旋状にディスク全面にトラックの呼ばれる溝、もしくはそれに類するガイドが刻まれている。通常このトラックに沿ってピックアップ102によりデータを記録・再生する。なお、このトラックは図2(b)のように同心円状であってもよい。ここで、図2(a)の点Aから点BをN番目のトラック、点Bから点CをN+1番目のトラックとし、N番目を再生した後にN+1番目を再生するものとして以降説明する。
【0015】
ディスク101よりピックアップ102を介して読み取った信号は、AFE104においてアナログ処理を行い、A/Dコンバータ105に入力する。A/Dコンバータ105でデジタル化した信号は、直流変動検出部106で信号帯域と比較して直流に近い周波数成分である直流変動成分を抽出し、直流変動記憶部107に入力する。この直流変動検出部106はLPF(Low Pass Filter)で通常構成するが、別の方法でもよい。
【0016】
図3に直流変動検出部106の入出力波形の例を示す。図3(a)はA/Dコンバータ105出力波形であり、直流変動検出部106により図3(b)の直流変動成分が得られる。
【0017】
図5に直流変動記憶部107の詳細を示す。まず直流変動成分の記憶時動作について述べる。直流変動検出部106から出力される信号は通常、再生波形と同一のクロックでサンプリングされた信号であるためデータ量が多い。そこで、ダウンサンプリング部501でA/Dコンバータ105におけるクロックよりも低い周波数のクロックでリサンプリングを行うことによりデータ量を削減し、N番目トラックの直流変動成分をメモリ502に格納する。このリサンプリング周波数は想定される直流変動周波数の2倍以上の周波数であることが望ましいが、限定するものではない。
【0018】
次に直流変動成分の使用時動作について述べる。N+1番目トラック再生時には、メモリ502よりN番目トラックの直流変動成分を読み出し、オーバーサンプリング部504で再生波形と同一のクロックにリサンプリングする。なお、N番目トラックとN+1番目トラックは半径位置が異なることからディスク1周の長さが異なり、N番目トラックの直流変動成分をそのままではN+1番目トラックに使用できない。そこで、図1の再生動作制御部112において、再生箇所のアドレスなどの情報より半径位置を計算し、N番目とN+1番目のデータ数が一致するようにダウンサンプリング部501および/またはオーバーサンプリング部504におけるリサンプリング周波数を制御する。但し、N番目とN+1番目のデータ数差が小さいと判断する場合には、このデータ数調整動作を省略してもよい。さらに、本実施例ではN番目トラックのデータをN+1番目トラックで使用する場合を想定しているが、直流変動記憶部107におけるデータ数調整動作があれば隣接トラックでなくても直流変動成分を使用することは可能である。
【0019】
図6にメモリ502に格納するデータについて示す。ダウンサンプリング部501から出力された直流変動成分は勿論であるが、ダウンサンプリング部501によるリサンプリング周波数や、記憶したトラックの開始点(例:図2(a)A点)、終了点(例:図2(a)B点)の情報(アドレス、ウォブル数、データ数など)を再生動作制御部112より取得するなどして記録する。なお、これらは必要に応じて取捨選択可能である。
【0020】
以上の直流変動記憶部107における直流変動成分の記憶および使用動作は、メモリ制御部503により同時に実行される。図7にメモリ制御部503のタイミングチャートを示す。図7点Aより点BまでのN番目トラックのA/Dコンバータ105出力波形において、図7点AよりNデータ目(図7斜線網掛け部)に着目すると、直流変動検出部106がLPFなどで構成されることなどから出力が遅延する。遅延量をLとする。この遅延した直流変動成分をメモリ502に格納するが、直流変動成分使用時における読み出しはメモリ制御部503により遅延量Lに相当する時間だけ先に読み出すようにする。この動作により直流変動抑圧の効果が高くなる。
【0021】
図8に直流補償部108の詳細について示す。N+1番目トラック再生時には、直流変動記憶部107より得られるN番目トラックの直流変動成分および直流変動検出部106より得られるN+1番目トラックの直流変動成分を直流補償部108に入力する。乗算器801により直流変動記憶部107出力をα倍、乗算器802により直流変動検出部106出力をβ倍した後、加算器803で乗算器801出力と乗算器802出力を加算し、減算器804によりA/Dコンバータ105出力から加算器803出力を減算することで直流変動成分の補償を行う。
【0022】
α=1、β=0とすればN番目トラックの情報のみで補償を行うが、直流変動成分が隣接トラック間で異なる可能性もあることから、α、βは適切な比率とする方が望ましい。隣接トラック間で使用しない場合、例えばN番目トラックの情報をN+100番目で使用したりする場合には、αの比率を下げてβの比率を上げる設定とするのがよい。
【0023】
さらに、直流変動検出部106において直流変動記憶部107へ出力する直流変動成分を算出する時定数と、直流補償部108へ出力する直流変動成分を算出する時定数とを異なるものとするのも有効である。
【0024】
ここまで直流変動について述べてきたが、層間干渉・指紋などに起因する変動は直流変動だけでなく振幅変動も同時に発生している可能性も高く、この振幅変動を抑圧する動作について述べる。
【0025】
基本的には直流変動における場合と同一の処理で実現できる。上記説明の直流変動検出部106、直流変動記憶部107、直流補償部108を、それぞれ振幅変動検出部109、振幅変動記憶部110、振幅補償部111に置き換え、直流を振幅に読み替えればよい。異なるのは、振幅変動検出部109および振幅補償部111の詳細動作である。
【0026】
振幅変動検出部109ではA/Dコンバータ105出力波形の包絡線を求めることで振幅を計算し、目標とする振幅との比を演算する。この振幅算出方法は例であり、この方法に限定するものではない。図4に振幅変動検出部109の入出力波形の例を示す。図4(a)はA/Dコンバータ105出力波形であり、振幅変動検出部109により図4(b)の振幅変動成分が得られる。
【0027】
図9に振幅補償部111の詳細について示す。N+1番目トラック再生時には、振幅変動記憶部110より得られるN番目トラックの振幅変動成分および振幅変動検出部109より得られるN+1番目トラックの振幅変動成分を振幅補償部111に入力する。乗算器901により振幅変動記憶部110出力をα倍、乗算器902により振幅変動検出部109出力をβ倍した後、加算器903で乗算器901出力と乗算器902出力を加算し、乗算器904により直流補償部108出力を加算器803出力に応じてγ倍することで振幅変動成分の補償を行う。
【0028】
この振幅補償部111出力を2値化部113に入力し、例えばビタビ復号などの2値化方法により復号した後、復調処理、誤り訂正処理、デスクランブル処理などを施し、外部へとデータを出力する。
【0029】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【0030】
なお、本実施例はN番目トラックとN+1番目トラックを例に説明したが、これに限定するものではなく、任意のトラック間で使用してもよい。但し、全く相関のないトラックの情報を使用しても効果が少ないため、例えばN番目トラックとN+1番目トラックの間隔を、ディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内とすることが望ましい。
【0031】
このことは以降の実施例においても同様である。
【実施例2】
【0032】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック再生時情報を基に直流変動および振幅変動を除去した後に、N+1番目トラック再生時情報によりさらに変動を抑圧する点である。
【0033】
図10、図11を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0034】
図10に本実施例における情報再生装置の構成を示す。図1と相違するのは第1直流補償部1001、第2直流補償部1002、直流変動加算部1003、第1振幅補償部1004、第2振幅補償部1005、振幅変動加算部1006である。
【0035】
まず、第1直流補償部1001においてA/Dコンバータ105出力から直流変動記憶部107出力を減算することで直流変動成分の補償を行う。次に第1直流補償部1001出力の直流変動成分を直流変動検出部106で抽出する。第2直流補償部1002において第1直流補償部1001出力から直流変動検出部106出力を減算することで更なる直流変動成分の補償を行う。これらの補償には、例えば図8の減算器804が使用できるが、限定するものではない。
【0036】
図11に直流変動加算部1003の詳細を示す。直流変動検出部106で検出された直流変動はN番目トラックの直流変動を補償した後のものであるから、直流変動記憶部107に保存するのは、N番目トラックの直流変動成分にN+1番目トラックの直流変動成分を加算する必要がある。また直流変動記憶部107出力は図7に示すように遅延調整を行っているため、遅延量Lだけ遅延させる必要がある。よって、遅延部1101により遅延させた直流変動記憶部107出力と、直流変動検出部106出力とを、加算器1104により加算する。図11の乗算器1102、1103におけるαとβの比率は通常は同じとしてよい。
【0037】
さらに、直流変動検出部106において直流変動記憶部107へ出力する直流変動成分を算出する時定数と、第2直流補償部1002へ出力する直流変動成分を算出する時定数とを異なるものとするのも有効である。
【0038】
同様に振幅変動に対しても、第1振幅補償部1004、第2振幅補償部1005、振幅変動加算部1006、振幅変動検出部109、振幅変動記憶部110を用いて構成できる。振幅変動加算部1006の構成は直流変動加算部1003と同じであり、第1振幅補償部1004および第2振幅補償部1005における振幅補償には、例えば図9の乗算器904が使用できるが、限定するものではない。
【0039】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、N番目トラックおよびN+1番目トラックの情報を使用することから読み取り精度を向上させることが可能である。
【実施例3】
【0040】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報を常に記憶するのではなく、変動の状態に応じて記憶するか否かを決定する点である。
【0041】
図12乃至図15を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0042】
実施例1と相違するのは直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110である。
【0043】
図12に本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の詳細を示す。図5と相違するのは記憶制御部1201である。この記憶制御部1201の動作について図13を用いて説明する。
【0044】
A/Dコンバータ105出力(図13(a))を直流変動検出部106に入力し、直流変動成分を算出した結果(図13(b))を記憶制御部1201に入力する。記憶制御部1201では、直流変動成分を絶対値化し(図13(c))、予め設定された閾値Tと比較を行い、絶対値化直流変動成分が閾値を上回る期間はHI、それ以外の期間はLOとする記憶制御信号(図13(d))を生成する。記憶制御信号はこのまま使用してもよいが、ノイズ等の影響を低減するため信号立ち上がりを一定時間前倒し、立ち下りを後倒しとすることが望ましい(図13(e))。
【0045】
以上の動作により生成した記憶制御信号をメモリ制御部503に入力し、記憶制御信号がHIの期間のみN番目トラックの直流変動成分を実施例1と同様の動作によりメモリに格納する。N番目トラック再生中に記憶制御信号がHIとなる事象が複数回発生することを考慮し、例えば図13の事象がN番目トラック再生開始後M(M:自然数)番目であるとすると、記憶制御信号がHIとなる開始位置(図13(f)M−A)、終了位置(図13(f)M−B)、その間の直流変動成分を図14に示すように第M領域の情報としてメモリ502に格納する。
【0046】
N+1番目トラック再生時には、メモリ502に格納されている各領域の開始位置、終了位置の情報を基に、変動成分を記憶した期間のみメモリ502から変動成分を読み出すようにメモリ制御部503が制御する。
【0047】
以上の動作は、直流変動記憶部107中の記憶制御部1201について述べたが、振幅変動記憶部110中の記憶制御部1201についても、直流を振幅に読み替えれば同様に実現可能である。
【0048】
また、上記説明は記憶制御信号により記憶する/しないを切り替えるものであったが、記憶制御信号によりメモリ502に格納する変動成分のサンプリング周波数を変更してもよい。例えば、図14(e)の記憶制御信号がHIの期間はダウンサンプリング部でリサンプリングに使用するクロックの周波数を上げ、記憶制御信号がLOの期間はクロックの周波数を下げる動作に変更する。この際には、記憶制御信号がHIおよびLOとなる開始位置(図13(f)M−A)、終了位置(図13(f)M−B)、その間の変動成分、リサンプリング周波数を図15に示すように第M領域の情報としてメモリ502に格納する。なお、記憶制御信号を2値でなく多値とし、絶対値化直流変動成分(または振幅変動成分)が閾値Tを超えた量に応じて記憶制御信号を変化させることで、より細かくリサンプリング周波数を変更するようにしてもよい。
【0049】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらにメモリの使用量を抑圧することが可能である。
【0050】
本実施例は実施例1に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例4】
【0051】
本実施例が実施例3と異なるのは、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報を常に記憶するのではなく、前回記憶した変動情報との差異の量に応じて記憶するか否かを決定する点である。
【0052】
図16、図17を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0053】
実施例3と相違するのは直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110である。
【0054】
図16に本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の詳細を示す。図12と相違するのは差分演算部1601である。差分演算部1601は、直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110の入力と出力の差分を演算するものである。
【0055】
本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の動作について図17を用いて説明する。以降は直流変動成分について説明するが振幅変動成分についても同様の処理で実現可能である。
【0056】
初めに、N+1番目トラックの再生を開始し(S1701)、N+1番目トラックが終了するまで以降の処理を実施する(S1702)。まず、直流変動検出部106出力であるN+1番目トラックの直流変動成分、および直流変動記憶部107出力であるN番目トラックの直流変動成分を差分演算部1601に入力し、N番目およびN+1番目変動量の差分を演算する(S1703)。差分演算部1601出力を記憶制御部1201に入力し、実施例3の図13説明と同様に絶対値化(S1704)し、閾値Tとの比較により記憶制御信号を生成する(S1705)。記憶制御信号がLOの期間は実施例1などと同様にメモリ502にN+1番目トラックの情報を格納し(S1706)、記憶制御信号がHIの期間はN番目およびN+1番目変動量の差が大きいことから、N+1番目トラック再生波形に特異的なノイズが重畳している可能性があるとし、メモリの内容を書き換えない(S1707)。
【0057】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらに急峻な変化を除外することでエラーが伝播するのを抑圧することが可能である。
【0058】
本実施例は実施例3に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例5】
【0059】
本実施例は、N+1番目トラックのリトライ時にN番目トラック直流変動および/または振幅変動情報を使用するのではなく、N+1番目トラック直流変動および/または振幅変動情報を使用する情報再生装置および方法を提供する。
【0060】
本実施例における動作について図18を用いて説明する。以降は直流変動成分について説明するが振幅変動成分についても同様である。
【0061】
初めに、実施例1に示すようなN番目トラックの変動情報を使用してN+1番目トラックの再生を行う(S1801)。通常はこの動作を維持するが、訂正不能エラーを検出した場合以降の処理を実施する(S1802)。訂正不能エラーを検出したセクタの先頭に移動した後、再度再生を実施するリトライ動作に移行(S1803)、但し途中まで再生していたことからメモリ502に格納されている変動情報はN+1番目のものに上書きされており、リトライ動作における再生にはN番目でなく、N+1番目トラックの情報を使用することとなる(S1804)。このリトライ動作により訂正不能エラーが発生しなくなれば(S1805)、再生終了するまで通常再生を実施する(S1806)。
【0062】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらにリトライ時には再生波形自身の変動情報を使用して変動抑圧を実施するため、読み出し精度を向上させることが可能である。
【0063】
本実施例は実施例1に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例6】
【0064】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック直流変動および/または振幅変動情報をN+1番目トラック再生波形を補正するのに使用するのではなく、ビタビ復号におけるPR符号値を補正するのに使用する点である。
【0065】
このビタビ復号とは、PRMLで使用される復号処理の一種でPR(1,2,2,1)などのPR特性に対して求められるPR符号値と、PR特性を有するように等化された再生波形との比較を行い、その比較結果を評価することで復号するものである。よって、再生波形に直流および/または振幅変動がある場合には、実施例1乃至5のように再生波形の変動を除去するか、PR符号値に再生波形が有する変動を加算するなどして、再生波形とPR符号値のマッチングを取ることで復号性能を向上させることが可能となる。本実施例では後者のPR符号値を補正する方法について述べる。
【0066】
図19、図20を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0067】
図19に本実施例における情報再生装置の構成を示す。図1と同番号のものは実施例1における説明に準じる。
【0068】
A/Dコンバータ105でデジタル化した信号を、波形等化部1901に入力し後段の
ビタビ復号部1902で使用するPR特性へと等化する。直流変動検出部106において、波形等化部1901出力から直流変動成分を抽出し、直流変動記憶部107に入力する。同様に、振幅変動検出部109において、波形等化部1901出力から振幅変動成分を抽出し、振幅変動記憶部110に入力する。ここで、N+1番目トラック再生時には、直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110からN番目トラックの変動情報を基準値生成部1903に入力し、PR符号値に対して変動情報を用いて補正を行った後、ビタビ復号部1902に補正PR符号値を入力する。また、波形等化部1901出力をビタビ復号部1901に入力し、基準値生成部1903から得た補正PR符号値を基にビタビアルゴリズムにより復号処理を実施し2値信号を出力、その後復調処理、誤り訂正処理、デスクランブル処理などを施し、外部へとデータを出力する。
【0069】
図20に基準値生成部1903の詳細を示す。
【0070】
PR(1,2,2,1)のような拘束長4のPR特性を例にすると、図20のREF1111乃至0000のように10のPR符号値がある。このそれぞれの値に対して、まず振幅変動記憶部110より得られる振幅変動情報に応じて乗算器2001によりγ倍し、次に直流変動記憶部107より得られる直流変動情報を加算器2002により加算し、ビタビ復号部1901に入力する。
【0071】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
101・・・ディスク、102・・・ピックアップ、103・・・スピンドルモータ、104・・・HPF(High Pass Filter)、105・・・A/Dコンバータ、106・・・直流変動検出部、107・・・直流変動記憶部、108・・・直流補償部、109・・・振幅変動検出部、110・・・振幅変動記憶部、111・・・振幅補償部、112・・・再生動作制御部、113・・・2値化部、501・・・ダウンサンプリング部、502・・・メモリ、503・・・メモリ制御部503、504・・・オーバーサンプリング部、801・・・乗算器、802・・・乗算器、803・・・加算器、804・・・加算器、901・・・乗算器、902・・・乗算器、903・・・加算器、904・・・乗算器、1001・・・第1直流補償部、1002・・・第2直流補償部、1003・・・直流変動加算部、1004・・・第1振幅補償部、1005・・・第2振幅補償部、1006・・・振幅変動加算部、1101・・・遅延部、1102・・・乗算器、1103・・・乗算器、1104・・・加算器、1201・・・記憶制御部、1601・・・差分演算部、1901・・・波形等化部、1902・・・ビタビ復号部、1903・・・基準値生成部、2001・・・乗算器、2002・・・加算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体から情報を再生する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、BD(Blu−ray Disc(商標))規格では最大2層、また多層BD規格では最大4層のように多層化することにより光ディスクの容量を向上させている。このような多層ディスクにおいて、層間干渉などのようにディスク構造に起因するなどしてディスク上の広範囲において再生性能を劣化させる現象が存在する。この再生信号の特徴は、局所的な直流成分の変動を伴うことである。
【0003】
このような現象に対して、例えば特許文献1の0018段落に記載のように、「再生信号の微係数から再生信号のエッジ位置を同定し、ある区間長中に出現するエッジの数を計数し、それを用いて平均直流振幅を算出」し、「直流成分振幅の大きさによって再生チャネル中の各要素の動作を制御する」ことにより、「2層ディスクの層間干渉やディスク表面上の指紋などに起因する再生信号の局所直流成分変動に対し性能劣化を少なくすること」を可能としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−282506公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、層間干渉などに起因する局所直流成分変動は高い周波数の変動を有することから、その変動除去に際して演算遅延時間が課題となる。特許文献1においても0029段落に記載のように、「瞬時直流成分の移動平均を求め」ている。これは種々のノイズを低減するためには必要な処理であるが、移動平均算出に遅延が生じるなどの理由により充分に直流成分変動を抑圧できないという課題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、高い周波数の局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を有する変動抑圧信号処理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図2】本発明の第1の実施例におけるディスクの構成を表す概略図
【図3】直流変動を有する再生波形および直流変動成分の例を表す図
【図4】振幅変動を有する再生波形および振幅変動成分の例を表す図
【図5】本発明の第1の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図6】本発明の第1の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図7】本発明の第1の実施例におけるメモリ制御のタイミングチャート
【図8】本発明の第1の実施例における直流変動を補償する手段を表す概略図
【図9】本発明の第1の実施例における振幅変動を補償する手段を表す概略図
【図10】本発明の第2の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図11】本発明の第2の実施例における変動情報を加算する手段を表す概略図
【図12】本発明の第3の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図13】本発明の第3の実施例における変動情報を記憶する制御信号を生成する過程を表す図
【図14】本発明の第3の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図15】本発明の第3の実施例におけるメモリフォーマットの例を表す図
【図16】本発明の第4の実施例における変動情報を記憶する手段を表す概略図
【図17】本発明の第4の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する手順を表すフローチャート
【図18】本発明の第5の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する手順を表すフローチャート
【図19】本発明の第6の実施例における直流変動および振幅変動を抑圧する装置および方法を表す概略図
【図20】本発明の第6の実施例におけるPR符号値を補正する手段を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例は、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報をN+1番目トラック再生時に使用する情報再生装置および方法を提供する(N:自然数)。図1乃至図9を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0012】
ここで、課題としている局所直流成分変動とは、主に層間干渉・指紋などに起因するものであり、これらは隣接トラック間で急峻に変化するものではない。よって、本実施例はN番目トラック再生時の変動情報を保存しておき、N+1番目トラック再生時に利用することにより変動抑圧を行うものである。
【0013】
図1に本実施例における情報再生装置の構成を示す。
【0014】
ディスク101はBDなどの光ディスクを想定し以降説明するがこれに限定するものではなく、磁気ディスク、光磁気ディスク、ホログラムディスクなどにも適用可能である。図2にディスク101の構造を示す。ディスク101において、図2(a)の点Aから点Bのように螺旋状にディスク全面にトラックの呼ばれる溝、もしくはそれに類するガイドが刻まれている。通常このトラックに沿ってピックアップ102によりデータを記録・再生する。なお、このトラックは図2(b)のように同心円状であってもよい。ここで、図2(a)の点Aから点BをN番目のトラック、点Bから点CをN+1番目のトラックとし、N番目を再生した後にN+1番目を再生するものとして以降説明する。
【0015】
ディスク101よりピックアップ102を介して読み取った信号は、AFE104においてアナログ処理を行い、A/Dコンバータ105に入力する。A/Dコンバータ105でデジタル化した信号は、直流変動検出部106で信号帯域と比較して直流に近い周波数成分である直流変動成分を抽出し、直流変動記憶部107に入力する。この直流変動検出部106はLPF(Low Pass Filter)で通常構成するが、別の方法でもよい。
【0016】
図3に直流変動検出部106の入出力波形の例を示す。図3(a)はA/Dコンバータ105出力波形であり、直流変動検出部106により図3(b)の直流変動成分が得られる。
【0017】
図5に直流変動記憶部107の詳細を示す。まず直流変動成分の記憶時動作について述べる。直流変動検出部106から出力される信号は通常、再生波形と同一のクロックでサンプリングされた信号であるためデータ量が多い。そこで、ダウンサンプリング部501でA/Dコンバータ105におけるクロックよりも低い周波数のクロックでリサンプリングを行うことによりデータ量を削減し、N番目トラックの直流変動成分をメモリ502に格納する。このリサンプリング周波数は想定される直流変動周波数の2倍以上の周波数であることが望ましいが、限定するものではない。
【0018】
次に直流変動成分の使用時動作について述べる。N+1番目トラック再生時には、メモリ502よりN番目トラックの直流変動成分を読み出し、オーバーサンプリング部504で再生波形と同一のクロックにリサンプリングする。なお、N番目トラックとN+1番目トラックは半径位置が異なることからディスク1周の長さが異なり、N番目トラックの直流変動成分をそのままではN+1番目トラックに使用できない。そこで、図1の再生動作制御部112において、再生箇所のアドレスなどの情報より半径位置を計算し、N番目とN+1番目のデータ数が一致するようにダウンサンプリング部501および/またはオーバーサンプリング部504におけるリサンプリング周波数を制御する。但し、N番目とN+1番目のデータ数差が小さいと判断する場合には、このデータ数調整動作を省略してもよい。さらに、本実施例ではN番目トラックのデータをN+1番目トラックで使用する場合を想定しているが、直流変動記憶部107におけるデータ数調整動作があれば隣接トラックでなくても直流変動成分を使用することは可能である。
【0019】
図6にメモリ502に格納するデータについて示す。ダウンサンプリング部501から出力された直流変動成分は勿論であるが、ダウンサンプリング部501によるリサンプリング周波数や、記憶したトラックの開始点(例:図2(a)A点)、終了点(例:図2(a)B点)の情報(アドレス、ウォブル数、データ数など)を再生動作制御部112より取得するなどして記録する。なお、これらは必要に応じて取捨選択可能である。
【0020】
以上の直流変動記憶部107における直流変動成分の記憶および使用動作は、メモリ制御部503により同時に実行される。図7にメモリ制御部503のタイミングチャートを示す。図7点Aより点BまでのN番目トラックのA/Dコンバータ105出力波形において、図7点AよりNデータ目(図7斜線網掛け部)に着目すると、直流変動検出部106がLPFなどで構成されることなどから出力が遅延する。遅延量をLとする。この遅延した直流変動成分をメモリ502に格納するが、直流変動成分使用時における読み出しはメモリ制御部503により遅延量Lに相当する時間だけ先に読み出すようにする。この動作により直流変動抑圧の効果が高くなる。
【0021】
図8に直流補償部108の詳細について示す。N+1番目トラック再生時には、直流変動記憶部107より得られるN番目トラックの直流変動成分および直流変動検出部106より得られるN+1番目トラックの直流変動成分を直流補償部108に入力する。乗算器801により直流変動記憶部107出力をα倍、乗算器802により直流変動検出部106出力をβ倍した後、加算器803で乗算器801出力と乗算器802出力を加算し、減算器804によりA/Dコンバータ105出力から加算器803出力を減算することで直流変動成分の補償を行う。
【0022】
α=1、β=0とすればN番目トラックの情報のみで補償を行うが、直流変動成分が隣接トラック間で異なる可能性もあることから、α、βは適切な比率とする方が望ましい。隣接トラック間で使用しない場合、例えばN番目トラックの情報をN+100番目で使用したりする場合には、αの比率を下げてβの比率を上げる設定とするのがよい。
【0023】
さらに、直流変動検出部106において直流変動記憶部107へ出力する直流変動成分を算出する時定数と、直流補償部108へ出力する直流変動成分を算出する時定数とを異なるものとするのも有効である。
【0024】
ここまで直流変動について述べてきたが、層間干渉・指紋などに起因する変動は直流変動だけでなく振幅変動も同時に発生している可能性も高く、この振幅変動を抑圧する動作について述べる。
【0025】
基本的には直流変動における場合と同一の処理で実現できる。上記説明の直流変動検出部106、直流変動記憶部107、直流補償部108を、それぞれ振幅変動検出部109、振幅変動記憶部110、振幅補償部111に置き換え、直流を振幅に読み替えればよい。異なるのは、振幅変動検出部109および振幅補償部111の詳細動作である。
【0026】
振幅変動検出部109ではA/Dコンバータ105出力波形の包絡線を求めることで振幅を計算し、目標とする振幅との比を演算する。この振幅算出方法は例であり、この方法に限定するものではない。図4に振幅変動検出部109の入出力波形の例を示す。図4(a)はA/Dコンバータ105出力波形であり、振幅変動検出部109により図4(b)の振幅変動成分が得られる。
【0027】
図9に振幅補償部111の詳細について示す。N+1番目トラック再生時には、振幅変動記憶部110より得られるN番目トラックの振幅変動成分および振幅変動検出部109より得られるN+1番目トラックの振幅変動成分を振幅補償部111に入力する。乗算器901により振幅変動記憶部110出力をα倍、乗算器902により振幅変動検出部109出力をβ倍した後、加算器903で乗算器901出力と乗算器902出力を加算し、乗算器904により直流補償部108出力を加算器803出力に応じてγ倍することで振幅変動成分の補償を行う。
【0028】
この振幅補償部111出力を2値化部113に入力し、例えばビタビ復号などの2値化方法により復号した後、復調処理、誤り訂正処理、デスクランブル処理などを施し、外部へとデータを出力する。
【0029】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【0030】
なお、本実施例はN番目トラックとN+1番目トラックを例に説明したが、これに限定するものではなく、任意のトラック間で使用してもよい。但し、全く相関のないトラックの情報を使用しても効果が少ないため、例えばN番目トラックとN+1番目トラックの間隔を、ディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内とすることが望ましい。
【0031】
このことは以降の実施例においても同様である。
【実施例2】
【0032】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック再生時情報を基に直流変動および振幅変動を除去した後に、N+1番目トラック再生時情報によりさらに変動を抑圧する点である。
【0033】
図10、図11を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0034】
図10に本実施例における情報再生装置の構成を示す。図1と相違するのは第1直流補償部1001、第2直流補償部1002、直流変動加算部1003、第1振幅補償部1004、第2振幅補償部1005、振幅変動加算部1006である。
【0035】
まず、第1直流補償部1001においてA/Dコンバータ105出力から直流変動記憶部107出力を減算することで直流変動成分の補償を行う。次に第1直流補償部1001出力の直流変動成分を直流変動検出部106で抽出する。第2直流補償部1002において第1直流補償部1001出力から直流変動検出部106出力を減算することで更なる直流変動成分の補償を行う。これらの補償には、例えば図8の減算器804が使用できるが、限定するものではない。
【0036】
図11に直流変動加算部1003の詳細を示す。直流変動検出部106で検出された直流変動はN番目トラックの直流変動を補償した後のものであるから、直流変動記憶部107に保存するのは、N番目トラックの直流変動成分にN+1番目トラックの直流変動成分を加算する必要がある。また直流変動記憶部107出力は図7に示すように遅延調整を行っているため、遅延量Lだけ遅延させる必要がある。よって、遅延部1101により遅延させた直流変動記憶部107出力と、直流変動検出部106出力とを、加算器1104により加算する。図11の乗算器1102、1103におけるαとβの比率は通常は同じとしてよい。
【0037】
さらに、直流変動検出部106において直流変動記憶部107へ出力する直流変動成分を算出する時定数と、第2直流補償部1002へ出力する直流変動成分を算出する時定数とを異なるものとするのも有効である。
【0038】
同様に振幅変動に対しても、第1振幅補償部1004、第2振幅補償部1005、振幅変動加算部1006、振幅変動検出部109、振幅変動記憶部110を用いて構成できる。振幅変動加算部1006の構成は直流変動加算部1003と同じであり、第1振幅補償部1004および第2振幅補償部1005における振幅補償には、例えば図9の乗算器904が使用できるが、限定するものではない。
【0039】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、N番目トラックおよびN+1番目トラックの情報を使用することから読み取り精度を向上させることが可能である。
【実施例3】
【0040】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報を常に記憶するのではなく、変動の状態に応じて記憶するか否かを決定する点である。
【0041】
図12乃至図15を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0042】
実施例1と相違するのは直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110である。
【0043】
図12に本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の詳細を示す。図5と相違するのは記憶制御部1201である。この記憶制御部1201の動作について図13を用いて説明する。
【0044】
A/Dコンバータ105出力(図13(a))を直流変動検出部106に入力し、直流変動成分を算出した結果(図13(b))を記憶制御部1201に入力する。記憶制御部1201では、直流変動成分を絶対値化し(図13(c))、予め設定された閾値Tと比較を行い、絶対値化直流変動成分が閾値を上回る期間はHI、それ以外の期間はLOとする記憶制御信号(図13(d))を生成する。記憶制御信号はこのまま使用してもよいが、ノイズ等の影響を低減するため信号立ち上がりを一定時間前倒し、立ち下りを後倒しとすることが望ましい(図13(e))。
【0045】
以上の動作により生成した記憶制御信号をメモリ制御部503に入力し、記憶制御信号がHIの期間のみN番目トラックの直流変動成分を実施例1と同様の動作によりメモリに格納する。N番目トラック再生中に記憶制御信号がHIとなる事象が複数回発生することを考慮し、例えば図13の事象がN番目トラック再生開始後M(M:自然数)番目であるとすると、記憶制御信号がHIとなる開始位置(図13(f)M−A)、終了位置(図13(f)M−B)、その間の直流変動成分を図14に示すように第M領域の情報としてメモリ502に格納する。
【0046】
N+1番目トラック再生時には、メモリ502に格納されている各領域の開始位置、終了位置の情報を基に、変動成分を記憶した期間のみメモリ502から変動成分を読み出すようにメモリ制御部503が制御する。
【0047】
以上の動作は、直流変動記憶部107中の記憶制御部1201について述べたが、振幅変動記憶部110中の記憶制御部1201についても、直流を振幅に読み替えれば同様に実現可能である。
【0048】
また、上記説明は記憶制御信号により記憶する/しないを切り替えるものであったが、記憶制御信号によりメモリ502に格納する変動成分のサンプリング周波数を変更してもよい。例えば、図14(e)の記憶制御信号がHIの期間はダウンサンプリング部でリサンプリングに使用するクロックの周波数を上げ、記憶制御信号がLOの期間はクロックの周波数を下げる動作に変更する。この際には、記憶制御信号がHIおよびLOとなる開始位置(図13(f)M−A)、終了位置(図13(f)M−B)、その間の変動成分、リサンプリング周波数を図15に示すように第M領域の情報としてメモリ502に格納する。なお、記憶制御信号を2値でなく多値とし、絶対値化直流変動成分(または振幅変動成分)が閾値Tを超えた量に応じて記憶制御信号を変化させることで、より細かくリサンプリング周波数を変更するようにしてもよい。
【0049】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらにメモリの使用量を抑圧することが可能である。
【0050】
本実施例は実施例1に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例4】
【0051】
本実施例が実施例3と異なるのは、N番目トラック再生時の直流変動および/または振幅変動情報を常に記憶するのではなく、前回記憶した変動情報との差異の量に応じて記憶するか否かを決定する点である。
【0052】
図16、図17を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0053】
実施例3と相違するのは直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110である。
【0054】
図16に本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の詳細を示す。図12と相違するのは差分演算部1601である。差分演算部1601は、直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110の入力と出力の差分を演算するものである。
【0055】
本実施例における直流変動記憶部107、振幅変動記憶部110の動作について図17を用いて説明する。以降は直流変動成分について説明するが振幅変動成分についても同様の処理で実現可能である。
【0056】
初めに、N+1番目トラックの再生を開始し(S1701)、N+1番目トラックが終了するまで以降の処理を実施する(S1702)。まず、直流変動検出部106出力であるN+1番目トラックの直流変動成分、および直流変動記憶部107出力であるN番目トラックの直流変動成分を差分演算部1601に入力し、N番目およびN+1番目変動量の差分を演算する(S1703)。差分演算部1601出力を記憶制御部1201に入力し、実施例3の図13説明と同様に絶対値化(S1704)し、閾値Tとの比較により記憶制御信号を生成する(S1705)。記憶制御信号がLOの期間は実施例1などと同様にメモリ502にN+1番目トラックの情報を格納し(S1706)、記憶制御信号がHIの期間はN番目およびN+1番目変動量の差が大きいことから、N+1番目トラック再生波形に特異的なノイズが重畳している可能性があるとし、メモリの内容を書き換えない(S1707)。
【0057】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらに急峻な変化を除外することでエラーが伝播するのを抑圧することが可能である。
【0058】
本実施例は実施例3に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例5】
【0059】
本実施例は、N+1番目トラックのリトライ時にN番目トラック直流変動および/または振幅変動情報を使用するのではなく、N+1番目トラック直流変動および/または振幅変動情報を使用する情報再生装置および方法を提供する。
【0060】
本実施例における動作について図18を用いて説明する。以降は直流変動成分について説明するが振幅変動成分についても同様である。
【0061】
初めに、実施例1に示すようなN番目トラックの変動情報を使用してN+1番目トラックの再生を行う(S1801)。通常はこの動作を維持するが、訂正不能エラーを検出した場合以降の処理を実施する(S1802)。訂正不能エラーを検出したセクタの先頭に移動した後、再度再生を実施するリトライ動作に移行(S1803)、但し途中まで再生していたことからメモリ502に格納されている変動情報はN+1番目のものに上書きされており、リトライ動作における再生にはN番目でなく、N+1番目トラックの情報を使用することとなる(S1804)。このリトライ動作により訂正不能エラーが発生しなくなれば(S1805)、再生終了するまで通常再生を実施する(S1806)。
【0062】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、さらにリトライ時には再生波形自身の変動情報を使用して変動抑圧を実施するため、読み出し精度を向上させることが可能である。
【0063】
本実施例は実施例1に適用する場合について説明したが、その他の実施例においても同様に適用することが可能である。
【実施例6】
【0064】
本実施例が実施例1と異なるのは、N番目トラック直流変動および/または振幅変動情報をN+1番目トラック再生波形を補正するのに使用するのではなく、ビタビ復号におけるPR符号値を補正するのに使用する点である。
【0065】
このビタビ復号とは、PRMLで使用される復号処理の一種でPR(1,2,2,1)などのPR特性に対して求められるPR符号値と、PR特性を有するように等化された再生波形との比較を行い、その比較結果を評価することで復号するものである。よって、再生波形に直流および/または振幅変動がある場合には、実施例1乃至5のように再生波形の変動を除去するか、PR符号値に再生波形が有する変動を加算するなどして、再生波形とPR符号値のマッチングを取ることで復号性能を向上させることが可能となる。本実施例では後者のPR符号値を補正する方法について述べる。
【0066】
図19、図20を用いて本実施例の装置および方法の概略について説明する。
【0067】
図19に本実施例における情報再生装置の構成を示す。図1と同番号のものは実施例1における説明に準じる。
【0068】
A/Dコンバータ105でデジタル化した信号を、波形等化部1901に入力し後段の
ビタビ復号部1902で使用するPR特性へと等化する。直流変動検出部106において、波形等化部1901出力から直流変動成分を抽出し、直流変動記憶部107に入力する。同様に、振幅変動検出部109において、波形等化部1901出力から振幅変動成分を抽出し、振幅変動記憶部110に入力する。ここで、N+1番目トラック再生時には、直流変動記憶部107および振幅変動記憶部110からN番目トラックの変動情報を基準値生成部1903に入力し、PR符号値に対して変動情報を用いて補正を行った後、ビタビ復号部1902に補正PR符号値を入力する。また、波形等化部1901出力をビタビ復号部1901に入力し、基準値生成部1903から得た補正PR符号値を基にビタビアルゴリズムにより復号処理を実施し2値信号を出力、その後復調処理、誤り訂正処理、デスクランブル処理などを施し、外部へとデータを出力する。
【0069】
図20に基準値生成部1903の詳細を示す。
【0070】
PR(1,2,2,1)のような拘束長4のPR特性を例にすると、図20のREF1111乃至0000のように10のPR符号値がある。このそれぞれの値に対して、まず振幅変動記憶部110より得られる振幅変動情報に応じて乗算器2001によりγ倍し、次に直流変動記憶部107より得られる直流変動情報を加算器2002により加算し、ビタビ復号部1901に入力する。
【0071】
以上で説明した情報再生装置および方法によれば、周波数が高い局所直流成分変動に対しても高い抑圧効果を得ることができ、読み取り精度を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
101・・・ディスク、102・・・ピックアップ、103・・・スピンドルモータ、104・・・HPF(High Pass Filter)、105・・・A/Dコンバータ、106・・・直流変動検出部、107・・・直流変動記憶部、108・・・直流補償部、109・・・振幅変動検出部、110・・・振幅変動記憶部、111・・・振幅補償部、112・・・再生動作制御部、113・・・2値化部、501・・・ダウンサンプリング部、502・・・メモリ、503・・・メモリ制御部503、504・・・オーバーサンプリング部、801・・・乗算器、802・・・乗算器、803・・・加算器、804・・・加算器、901・・・乗算器、902・・・乗算器、903・・・加算器、904・・・乗算器、1001・・・第1直流補償部、1002・・・第2直流補償部、1003・・・直流変動加算部、1004・・・第1振幅補償部、1005・・・第2振幅補償部、1006・・・振幅変動加算部、1101・・・遅延部、1102・・・乗算器、1103・・・乗算器、1104・・・加算器、1201・・・記憶制御部、1601・・・差分演算部、1901・・・波形等化部、1902・・・ビタビ復号部、1903・・・基準値生成部、2001・・・乗算器、2002・・・加算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を再生する情報再生処理装置であって、
再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、
N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分を記憶し、N番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、
前記変動記憶部からの出力により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償する補償部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラックとはN+1番目トラックであることを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
N番目トラックとM番目トラックの距離がディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内であることを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記M番目トラック変動成分の記憶を実行する制御を行う記憶制御部、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動記憶部からの出力であるN番目トラック変動成分と前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分との差分を算出する差分演算部と、
前記差分演算部からの出力である差分信号が予め定められた閾値を下回る場合、前記M番目トラック変動成分の記憶を実行する制御を行う記憶制御部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
前記変動成分記憶部は、N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分をサンプリングして記憶し、記憶したN番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記変動記憶部におけるサンプリング周波数を変更する制御を行う記憶制御部、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動記憶部からの出力であるN番目トラック変動成分と前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分との差分を算出する差分演算部と、
前記差分演算部からの出力である差分信号が予め定められた閾値を下回る場合、前記変動記憶部におけるリサンプリング周波数を変更する制御を行う記憶制御部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
前記変動成分記憶部は、N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力である変動成分を記憶し、記憶した変動成分をリトライ時に出力することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項10】
情報を再生する情報再生処理装置であって、
再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、
N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分を記憶し、記憶したN番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、
前記変動記憶部からの出力によりビタビ復号における基準値を変化させる基準値生成部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項11】
情報を再生する情報再生処理方法であって、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出して記憶し、
M(M:自然数)番目トラック再生時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラックとはN+1番目トラックであることを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項13】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N番目トラックとM番目トラックの距離がディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内であることを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項14】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記M番目トラック変動成分を記憶することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項15】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分と、前記N番目トラック変動成分との差分を算出し、
前記差分が予め定められた閾値を下回る場合、前記M番目トラック変動成分を記憶することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項16】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出、サンプリングして記憶し、
M(M:自然数)番目トラック再生時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記サンプリングにおける周波数を変更することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項18】
請求項16に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分と、前記N番目トラック変動成分との差分を算出し、
前記差分が予め定められた閾値を下回る場合、前記サンプリングにおける周波数を変更することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項19】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出して記憶し、
リトライ時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項1】
情報を再生する情報再生処理装置であって、
再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、
N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分を記憶し、N番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、
前記変動記憶部からの出力により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償する補償部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラックとはN+1番目トラックであることを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
N番目トラックとM番目トラックの距離がディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内であることを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記M番目トラック変動成分の記憶を実行する制御を行う記憶制御部、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動記憶部からの出力であるN番目トラック変動成分と前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分との差分を算出する差分演算部と、
前記差分演算部からの出力である差分信号が予め定められた閾値を下回る場合、前記M番目トラック変動成分の記憶を実行する制御を行う記憶制御部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
前記変動成分記憶部は、N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分をサンプリングして記憶し、記憶したN番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記変動記憶部におけるサンプリング周波数を変更する制御を行う記憶制御部、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の情報再生処理装置において、
M番目トラック再生時に、前記変動記憶部からの出力であるN番目トラック変動成分と前記変動検出部からの出力であるM番目トラック変動成分との差分を算出する差分演算部と、
前記差分演算部からの出力である差分信号が予め定められた閾値を下回る場合、前記変動記憶部におけるリサンプリング周波数を変更する制御を行う記憶制御部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報再生処理装置において、
前記変動成分記憶部は、N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力である変動成分を記憶し、記憶した変動成分をリトライ時に出力することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項10】
情報を再生する情報再生処理装置であって、
再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分を検出する変動検出部と、
N(N:自然数)番目トラック再生時に、前記変動検出部からの出力であるN番目トラック変動成分を記憶し、記憶したN番目トラック変動成分をM(M:自然数)番目トラック再生時に出力する変動記憶部と、
前記変動記憶部からの出力によりビタビ復号における基準値を変化させる基準値生成部と、
を有することを特徴とする情報再生処理装置。
【請求項11】
情報を再生する情報再生処理方法であって、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出して記憶し、
M(M:自然数)番目トラック再生時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラックとはN+1番目トラックであることを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項13】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N番目トラックとM番目トラックの距離がディスク製造精度による基板厚さ変動の周期以内であることを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項14】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記M番目トラック変動成分を記憶することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項15】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分と、前記N番目トラック変動成分との差分を算出し、
前記差分が予め定められた閾値を下回る場合、前記M番目トラック変動成分を記憶することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項16】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出、サンプリングして記憶し、
M(M:自然数)番目トラック再生時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分が予め定められた閾値を上回る場合、前記サンプリングにおける周波数を変更することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項18】
請求項16に記載の情報再生処理方法において、
M番目トラック再生時に、再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるM番目トラック変動成分を検出し、
前記M番目トラック変動成分と、前記N番目トラック変動成分との差分を算出し、
前記差分が予め定められた閾値を下回る場合、前記サンプリングにおける周波数を変更することを特徴とする情報再生処理方法。
【請求項19】
請求項11に記載の情報再生処理方法において、
N(N:自然数)番目トラック再生時に再生波形の直流変動成分および/または振幅変動成分であるN番目トラック変動成分を検出して記憶し、
リトライ時に、前記N番目トラック変動成分により再生波形の直流変動成分および/または振幅変動を補償することを特徴とする情報再生処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−104166(P2012−104166A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249268(P2010−249268)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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