説明

情報処理システム、および位置情報提示方法

【課題】衛星測位システムを利用したシステムにおいて、位置測位が難しい環境でも、正確な現在位置を提示する。
【解決手段】移動端末装置20に、被写体30を撮影する手段と、GPS衛星からの位置情報を受信する手段と、撮影された被写体の画像情報に受信した位置情報を対応付けた端末情報をサービス業者システム70に送信する手段と、を設ける。また、サービス業者システム70に、施設毎に、該施設の位置情報と施設の画像情報とを対応付けたデータベースを記憶させ、移動端末装置20からの端末情報を受信する手段と、受信した端末情報に対応する施設の位置情報をデータベースから検索して、検索した位置情報を移動端末装置20に送信する手段と、を設ける。そして、移動端末装置20は、送信した端末情報に応答してサービス業者システム70が送信する位置情報を受信して利用者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末装置(人を含めて移動体に使う端末装置で携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)を含む)の技術に関し、特に、移動端末装置が存在する位置(現在位置)を求める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
位置を測位する技術として、衛星測位システムが知られている。衛星測位システムは、地球の衛星軌道に配置された測位衛星と衛星を地上から制御する制御局、測位衛星からの電波を地上で受信する受信装置から構成される。この衛星測位システムにより測位される位置測位精度は、位置測位衛星からの電波を受信装置で受取る際の衛星の捕捉数や受信感度などに大きく依存し、数十mから数百mの測位誤差が発生することがある。特に、衛星測位システムは、都心部のビル陰や屋内、地下施設のような環境下では、現在位置を精度よく測位できないという問題を有している。
【0003】
特許文献1には、衛星測位システムの測位誤差を補う技術が提案されている。具体的には、特許文献1では、測位衛星からの信号を利用して、利用者の移動端末が自己位置を測位すると共に、その測位誤差を算出する。そして、移動端末は、測位した現在位置を算出した誤差範囲と共に表示するようにしている。このように、特許文献1の技術によれば、利用者は、現在位置とその現在位置の誤差範囲を視覚的に捉えることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−215228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、以下の問題を有している。具体的には、特許文献1は、測位された現在位置を誤差範囲と共に示すだけであり、測位された現在位置を補正するものではない。そのため、特許文献1は、測位誤差が大きい環境下(例えば、ビル等が多い繁華街や屋内)において、正確な現在位置を利用者に提示することができない。したがって、特許文献1では、例えば、利用者が目的地(店舗等)を探している際、基準となる現在位置を正確に把握できないことがあるため、利用者を目的地に誘導するというナビゲーションとしての機能を十分果たせないことがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、衛星測位システムを利用した現在位置の測位において、位置測位が難しい環境でも、正確な現在位置を利用者に提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、移動端末と、該移動端末にネットワークを介して接続されている情報処理装置とを有する情報処理システムに適用される。
【0008】
そして、前記移動端末は、被写体を撮影する撮影手段と、測位衛星から送信される位置情報を受信する受信手段と、前記撮影された被写体の画像情報に前記受信した位置情報を対応付けた端末情報を前記情報処理装置に送信する通信手段と、各種の情報を利用者に提示する提示手段と、を有し、前記情報処理装置は、施設毎に、該施設の位置情報と、該施設を識別する画像情報とを対応付けた情報を登録したデータベースを記憶する手段と、前記移動端末から送信された前記端末情報を受信する受信手段と、前記受信した前記端末情報の中の画像情報と前記データベースに登録されている画像情報との同一性を認証する認証手段と、前記認証手段が前記同一性を認証した場合、前記データベースの中から前記認証された画像情報に対応付けられている位置情報を検索する情報検索手段と、前記端末情報を送信した前記移動端末に対し、前記検索した位置情報を含む施設情報を送信する情報送信手段と、を有し、前記移動端末の前記提示手段は、前記通信手段を介して前記情報送信手段が送信した前記施設情報を受信し、該受信した施設情報に含まれる位置情報を利用者に提示する。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明では、移動端末が、撮影した施設の存在する正確な位置情報を、情報処理装置からネットワークを介して取得できるようにしている。そのため、本発明では、衛星測位システムにより精度の高い位置測位が難しい環境でも、利用者に正確な現在の位置を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、位置測位システムとして、GPS(Global Positioning System)を用いた単独測位による位置測位システムを例にするが、特にこれに限定するものではない。例えば、GPSを用いた単独測位による位置測位システムに代えて、ディファレンシャル方式やRTK(Real Time Kinematic)方式などの補正情報利用型の位置測位方式や無線基地局を利用した位置測位方式を適用してもかまわない。
【0011】
先ず、本実施形態の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態が適用された情報処理システムの概略構成を説明するための図である。
【0013】
図示するように、本実施形態の情報処理システムは、移動端末装置20と、移動端末装置20にネットワークを介して接続されるサービス業者システム70とを有する。ここで、移動端末装置20と、サービス業者システム70とは、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。なお、ネットワークの具体的な構成については、特に限定しないが、以下では、携帯電話の基地局40、携帯電話局50、およびインターネット60によりネットワークを構成する場合を例にする。
【0014】
移動端末装置20は、利用者からの各種要求を受付け、受付けた要求に応じて利用者に現在位置等の各種情報を提示する情報処理装置である。移動端末装置20には、GPS衛星10が送信するGPS信号に含まれる位置情報を受信して自身の存在する位置を利用者に提示する位置測位機能(位置測位機能については後述する図2で説明する)と、被写体を撮影する撮影機能と、通信機能とが設けられている。移動端末装置20は、ネットワークを介して、サービス業者システム70にサービス要求(施設30の現在位置を示す位置情報を含む「施設情報」の送信要求等)を行い、サービス業者システム70が上記の要求に応答して送信する位置情報を含む「施設情報」を受信して利用者に提示する。なお、移動端末装置20には、携帯電話端末、PDA、PC等の情報処理装置を用いることができるが、本実施形態では、移動端末装置20にカメラ機能付きの携帯電話端末を適用する場合を例にする。また、本実施形態の移動端末装置20には、各種情報を提示する液晶パネル等のディスプレイ210と、利用者からの各種要求を受付ける操作パネル220とが設けられているものとする。
【0015】
サービス業者システム70は、ネットワークを介して、移動端末装置20からの要求(「施設情報」送信要求)を受付け、受付けた要求に応じた「施設情報」を移動端末装置20に送信する。具体的には、サービス業者システム70は、情報処理装置701と、ハードディスク装置等の記憶装置702とを有する。記憶装置702には、施設毎(ハンバーガーショップ、コンビニエンスストア等の施設毎)に位置情報(緯度(北緯)、経度(東経)示す情報)および施設等の識別するための画像情報(看板、広告人形等の画像情報)を対応付けた施設情報と、サービス業者システム70が提供するサービスを受ける利用者の顧客情報(氏名、電話番号等)とを登録するデータベースが格納されている。情報処理装置701は、データベースに格納されている情報を基に所望の情報処理を実行する。
【0016】
続いて、本実施形態の情報処理システムが行う処理の概略について、利用者に施設30の位置を案内する場合を例に説明する。なお、施設30は、GPSでは、精度の高い位置測位が困難な環境(例えば、高層ビル街や屋内にある店舗等)にあるものとする。すなわち、移動端末装置20は、施設30の周辺において、GPS衛星10からのGPS信号だけでは正確な現在位置を利用者に提示できないものとする。
【0017】
このような場合において、利用者は、移動端末装置20の撮影機能(カメラ機能)により施設30を識別するための看板等を撮影する。図示する例では、移動端末装置20は、施設名31(「ハンバーガーショップA」)、および、施設のマーク32を示す画像情報を撮影して取得する。移動端末装置20は、撮影して得られた施設30の画像情報と、GPS衛星10から得られたGPS信号に含まれる位置情報とを対応付けた情報(以下「端末情報」)をネットワーク経由(携帯電話の基地局40、携帯電話局50、およびインターネット60経由)でサービス業者システム70に送信する。
【0018】
サービス業者システム70は、ネットワーク経由で移動端末装置20が送信した「端末情報」を受信する。サービス業者システム70は、記憶しているデータベースと、受信した「端末情報」との照合を行う。具体的には、サービス業者システム70は、データベースを検索して、受信した「端末情報」に含まれている「位置情報」から所定範囲内にある施設の情報を抽出する。サービス業者システム70は、抽出した施設の情報の中に「端末情報」に含まれる「画像情報」と同じ「画像情報」が在るか否かを判定する。サービス業者システム70は、施設の情報の中に同じ「画像情報」が在る場合、その「画像情報」に対応付けられている「位置情報」を特定し、特定した「位置情報」を含む「施設情報」を移動端末装置20に送信する。
【0019】
移動端末装置20は、サービス業者システム70が送信した「位置情報」を含む「施設情報」を受信し、その受信した「位置情報」を含む「施設情報」をディスプレイ210に表示する。この結果、利用者は、高層ビル街や屋内等のように測位衛星による位置測位が困難な環境においても、正確な位置を把握することができるようになる。
【0020】
続いて、移動端末装置20が有する位置測位機能について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態の移動端末装置20の位置測位機能を説明するための図である。
【0021】
図示するように、移動端末装置20は、GPS衛星10からのGPS信号を受信するGPS受信機能(図2の(a)図参照)、或いはGPS受信装置11と連動して機能し、GPS受信装置11で受信した信号を通信によって受取る機能(図2(b)参照)を有する。なお、図2(b)に示すように、移動端末装置20とGPS受信装置11は、放送や通信により、電子基準点12により位置補正情報を取得する機能を有する場合もある。移動端末装置20もしくはGPS受信装置11は、屋内でも屋外でも位置を測位し表示することが可能である。
【0022】
また、GPS衛星10からのGPS信号およびGPS受信装置11からの信号のいずれも、「位置情報(緯度(北緯)、経度(東経)示す情報を含む)」および「測位精度を示す情報」が含まれているものとする。そして、移動端末装置20は、受信した「位置情報」および「測位精度を示す情報」を表示部21に表示する。本実施形態では、移動端末装置20は、受信した「位置情報」および「測位精度を示す情報」を用いて、現在位置を示すマークを地図上に示す画像と、測位精度を示す情報とを示した表示画面をディスプレイ210に表示する(例えば、図11(a)に示す表示画面211を表示する)。
【0023】
なお、移動端末装置20がGPS衛星10からのGPS信号(或いはGPS受信装置11からの信号)を利用し、地図上に現在位置を表示するための具体的な手段については特に限定しないが、以下のようにしてもよい。
【0024】
例えば、移動端末装置20は、受付けたGPS信号に含まれる位置情報を図示しないサービスセンタに送信する。サービスセンタは、移動端末装置20からの位置情報を受付けた場合、受付けた位置情報周辺の地図上に、現在位置(その位置情報が示す位置)を示すマーク付した地図情報を生成し、当該地図情報を移動端末装置20に送信する。そして、移動端末装置20は、サービスセンタからの地図情報を受信し、その受信した地図情報をディスプレイ210に表示する。
【0025】
また、例えば、移動端末装置20に予め地図情報を保持させておくようにしてもよい。この場合、移動端末装置20がGPS信号に含まれる位置情報と、保持している地図情報とを用いて、地図上に現在位置を示すマーク付した表示画面を生成し、ディスプレイ210に表示する。
【0026】
続いて、本実施形態の情報処理システムの機能構成について説明する。最初に本実施形態の移動端末装置20の機能構成について図3を用いて説明する。
【0027】
図3は、本発明の実施形態の移動端末装置20の機能構成を説明するための図である。
【0028】
図示するように、移動端末装置20は、アンテナ21、GPS受信部22、カメラとしての機能を有する画像撮影部23、移動端末装置20の全体の動作を制御する制御部24、出力部25、操作部26、通信処理部27、データ処理部28、および記憶部29を有する。制御部24は、GPS受信部22、画像撮影部23、表示部25、操作部26、通信処理部27、データ処理部28、および記憶部29と回路的に繋がっている。
【0029】
GPS受信部22は、GPS衛星10から送信されるGPS信号(或いはGPS受信装置11からの信号)を、アンテナ21を介して受信して復調する処理を行なう。画像撮影部23は、被写体(例えば、施設の看板等)を撮影し、その撮影した被写体の画像情報を取得する。出力部25は、ディスプレイ210やスピーカ(図示しない)に各種情報を出力する。操作部26は、「テンキー」や「ON、OFFキー」などが設けられた操作パネル220(図1参照)から入力される操作情報を受付け、その受付けた操作情報を制御部24に出力する。通信処理部27は、アンテナ21を介してサービス業者システム70との間で行うデータの送受信を行う。記憶部29は、画像撮影部23が撮影した画像情報やサービス業者システム70からの「施設情報」等を記憶する。
【0030】
データ処理部28は、出力部25に出力させるデータを作成する処理や、サービス業者システム70に送信する「端末情報」を作成する処理等の各種の情報処理を行なう。例えば、データ処理部28は、図2で説明したように、GPS受信装部22がGPS信号を受信した際、GPS受信信号に含まれる位置情報を利用して、地図上に現在位置を示した画像を出力部25に表示させる。
【0031】
続いて、サービス情報システム70の機能構成について、図4を用いて説明する。
【0032】
図4は、本発の実施形態のサービス情報システムの機能構成を説明するための図である。
【0033】
サービス業者システム70は、上述した通りで、情報処理装置701および記憶装置702を有する。そして、情報処理装置701は、インターネット60などの外部ネットワークと接続するためのネットワーク接続部71と、各種の情報を送受信するための送受信部72と、画像情報の同一性を認証する画像処理部73と、情報処理装置全体の動作を制御する制御部74と、各種の情報を記憶する記憶部75と、記憶装置702にアクセスして、データベースの検索・更新を行う業務処理部76とを有する。
【0034】
なお、本実施形態では、情報処理装置のハードウェア構成については特に限定しないが、例えば、情報処理装置701には、CPU、メモリ、ネットワークI/F等を有するコンピュータを用いることができる。そして、ネットワーク接続部71の機能は、ネットワークI/Fにより実現され、記憶部75の機能は、メモリにより実現されるものとする。また、記憶部75には、送受信部72、画像処理部73、制御部74、および業務処理部76の機能を実現するためのプログラムが格納されている。そして、送受信部72、画像処理部73、制御部74、および業務処理部76の機能は、CPUが記憶部75に格納されているプログラムを実行することにより実現されるものとする。
【0035】
また、サービス業者システム70の記憶装置702には、施設に関する画像情報や位置情報を格納している施設情報データベース77、サービスの利用者に関する顧客情報を格納している顧客情報データベース78、サービスの利用履歴などを格納する業務情報データベース79が記憶されている。
【0036】
ここで、記憶装置702に記憶されている各データベースのデータ構造について、図5〜7を用いて説明する。
【0037】
先ず、施設情報データベース77について、図5を用いて説明する。
【0038】
図5は、本発明の実施形態の施設情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。なお、図示する例では、施設情報データベース77をリレーショナルデータベースにおける第3正規形の表形式で表現している。
【0039】
施設情報データベース77は、施設毎に、施設の位置情報、施設を識別するための画像情報、施設の名称、施設が提供するサービス情報(割引情報、ホームページ情報)等を対応付けて登録するためのデータベースである。具体的には、施設情報データベース77は、施設情報テーブル770、位置情報テーブル771、画像情報テーブル772、および施設詳細テーブル773を有する。
【0040】
施設情報テーブル770は、施設が存在する位置情報である「北緯」および「東経」を登録するためのフィールド7701および7702と、施設を識別する情報(施設の電話番号)を登録するためのフィールド7703と、を備えて1つのレコードが構成されている。なお、本実施形態では、施設を識別する情報に「施設の電話番号」を利用したがこれは例示に過ぎない。例えば、施設毎に「ID番号」を定めておいて、施設を識別する情報に「施設の電話番号」の代わりに「ID番号」を用いるようにしてもよい。
【0041】
位置情報テーブル771は、施設が存在する位置情報である「北緯」および「東経」を登録するためのフィールド7711および7712と、施設を識別するための画像情報を指定する「画像番号」を登録するためのフィールド7713と、を備えて1つのレコードが構成されている。
【0042】
画像情報テーブル772は、「画像番号」を登録するためのフィールド7721と、「画像」を登録するためのフィールド7722と、を備えて1つのレコードが構成されている。
【0043】
施設詳細テーブル773は、「施設を識別する情報(施設電話番号)」を登録するためのフィールド7731と、「施設の名称(施設名称)」を登録するためのフィールド7733と、施設のホームページの「URL(Uniform Resource Locator)」を登録するためのフィールド7733と、「施設のサービス情報(割り引き情報・クーポン情報)」を登録するためのフィールド7734と、施設を案内するための画像情報である「フロア地図」を登録するためのフィールド7735と、を備えて1つのレコードが構成されている。
【0044】
次に、顧客情報データベース78について、図6を用いて説明する。
【0045】
図6は、本発明の実施形態の顧客情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。なお、図示する例では、顧客情報データベース78をリレーショナルデータベースにおける第3正規形の表形式で表現している。
【0046】
顧客情報データベース78は、サービス業者システム70を利用する顧客情報を管理するためのデータベースである。具体的には、顧客情報データベース78は、顧客情報テーブル780と、顧客詳細テーブル781とを有する。
【0047】
顧客情報テーブル780は、利用者(顧客)を識別するための「ユーザID」を登録するためのフィールド7801と、利用者を認証するための「パスワード」を登録するためのフィールド7802と、利用者の電子メールの「メールアドレス」を登録するためのフィールド7803と、を備えて1つのレコードが構成されている。
【0048】
なお、本実施形態は、移動端末装置20とサービス業者システム70とが電子メールにより情報を送受信することを想定しているため、顧客情報テーブル780に、「メールアドレス」を登録するようにしている。
【0049】
顧客詳細テーブル781は、「メールアドレス」を登録するためのフィールド7811と、顧客の「電話番号」を登録するためのフィールド7812と、顧客の「氏名」を登録するためのフィールド7813と、顧客の「生年月日」を登録するためのフィールド7814と、顧客の「性別」を登録するためのフィールド7814と、顧客の「住所」を登録するためのフィールド7816と、備えて1つのレコードが構成されている。このように、顧客詳細テーブル781を設け、利用者の「生年月日」、「性別」、「住所」などを管理すれば、顧客情報データベース78の情報をサービスの利用傾向を分析するための基本情報とすることができる。
【0050】
次に、業務情報データベース79について、図7を用いて説明する。
【0051】
図7は、本発明の実施形態の業務情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。なお、図示する例では、業務情報データベース79をリレーショナルデータベースにおける第3正規形の表形式で表現している。
【0052】
業務情報データベース79は、移動端末装置20に提供したサービスの履歴情報を登録するためのデータベースである。具体的には、業務情報データベース79は、業務情報テーブル790を有している。
【0053】
業務情報テーブル790は、利用者(顧客)を識別するための「ユーザID」を登録するためのフィールド7901と、サービス業者システム70の業務処理部76が検索処理を行った「検索日時(年月日)」を登録するためのフィールド7902と、業務処理部76が検索した「検索情報」を登録するためのフィールド7903と、を備えて1つのレコードが構成されている。業務情報テーブル790をこのようなデータ構成にすることにより、業務情報テーブル790を課金処理に利用することができるようになる。例えば、「ユーザID」および「検索日時」を基に利用回数をカウントすることにより、利用者への課金処理に利用することができる。また、施設情報の提供元から見れば、検索された情報は施設に関する宣伝と成り得る。したがって、「検索情報」と「検索日時」を基に回数をカウントすることにより、業務情報データベース79は、施設情報の提供元に対する課金処理に利用することも可能となる。
【0054】
続いて、本実施形態の情報処理システムの処理について具体的に説明する。
【0055】
最初に、移動端末装置20で行われる処理を、図8を用いて説明する。
【0056】
図8は、本発明の実施形態の移動端末装置が行う処理のフローを説明するための図である。
【0057】
まず、移動端末装置20の画像撮影部23は、操作部26が受付けた撮影指示にしたがい施設30を撮影し(施設30を識別できる看板等を撮影し)、S22の処理に進む(S21)。具体的には、利用者が操作部26を操作して移動端末装置20に撮影指示を与える。操作部26は、利用者からの撮影指示を制御部24に出力する。制御部24は、操作部26からの撮影指示を受付け、画像処理部24に対象物(施設30を識別できる看板等)を撮影させる。
【0058】
S22では、画像撮影部23は、撮影した対象物の画像情報を制御部24に出力する。制御部24は、画像撮影部23から受付けた画像情報を記憶部29に格納する。なお、記憶部29に格納する画像情報は、画像撮影部23が撮影したものでなく、例えば、電子メールやURLからのダウンロードなどで取得したものでもかまわない。
【0059】
ここで、画像撮影部23が撮影する施設30を識別できる看板等の対象物を、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態の移動端末装置20が撮影する対象物の一例を示す図である。図示する例では、施設の名称を示す文字31および施設のマーク32が記載されている看板を示している。一般的に、施設の名称やマークは、サービスを提供する店舗等が自社のサービスを他社のものと識別するために用いられるものである。すなわち、施設の名称やマークが記載された看板等(店舗の壁面に書かれた文字やマークであってもよい)を撮影した画像情報は、その店舗を識別するための情報として利用することが可能になる。そのため、本実施形態では、施設を識別するための情報として、店舗の名称やマークを撮影した画像情報を利用するようにしている。
【0060】
なお、本実施形態において撮影対象と成り得るものは、店舗名やマーク等に限定されるものではない。商業施設などにおいてシンボルとなりうるものであり、かつ画像としてある程度の精度で同一性の認証が技術的に可能なものであればかまわない。例えば、店頭等に置かれている広告人形を対象物としてもよい。
【0061】
図8に戻り説明を続ける。続いて、移動端末装置20は、GPS信号を受信する処理を行なう(S23)。具体的には、利用者は、対象物(施設30を識別できる看板等)を撮影した後、その撮影した場所で、移動端末装置20が有する位置測位機能を利用して現在位置を測位する。すなわち、利用者は、操作部26を操作し、S21で撮影した対象物の存在する位置において、移動端末装置20にGPS信号(位置情報等)を受信する旨の要求を行う。操作部26は、利用者からの要求を制御部24に出力する。制御部24は、アンテナ21経由で受信したGPS信号をGPS受信部22により復調させる。
【0062】
制御部24は、GPS受信部22により復調させたGPS信号を受付け、そのGPS信号をデータ処理部28に出力する。データ処理部28は、受付けたGPS信号に信号処理を施し、記憶部29に格納する(S24)。具体的には、データ処理部28では、受付けたGPS信号の中から「位置情報(北緯、東経)」と「測位精度を示す情報(測位誤差)」とを取り出し、「位置情報(北緯、東経)」および「測位誤差」をS22で格納されている画像情報に対応付けして記憶部26に格納する。
【0063】
なお、本フローの説明では、最初に対象物(施設30を識別できる看板等)を撮影する処理を行い(S21〜22)、その後で、GPS信号を受信して位置情報を取得する処理を行う(S23〜24)ようにしているが、これは例示に過ぎない。最初にGPS信号を受信して位置情報を取得し(S23〜24)、その後で、対象物を撮影する処理を行ってもよい。撮影した対象物の存在する位置において、GPS信号を受信し、その撮影した画像情報と、受信したGPS信号から得られる「位置情報」および「測位誤差」と、を対応付ける処理が行えればよい。
【0064】
次に、制御部24は、記憶部29に格納している画像情報と、その画像情報に対応付けられている「位置情報(北緯、東経)」および「測位誤差」と、移動端末装置20の利用者情報とを含む「端末情報」を、通信処理部27を介して、サービス業者システム70に送信する(S25)。具体的には、制御部25は、データ処理部28に「端末情報」の作成を指示する。データ処理部28は、記憶部29に格納されている「画像情報」と、その画像情報に対応付けられている「位置情報(北緯、東経)」および「測位誤差」とを読み出す。また、データ処理部28は、読み出した「画像情報」、「位置情報(北緯、東経)」、および「測位誤差」に「顧客情報(ユーザID、電話番号、メールアドレス等)」を対応付けた「端末情報」を作成する。データ処理部28は、作成した「端末情報」を制御部24に送信する。なお、顧客情報は、記憶部29の所定領域に予め格納されているものとする。制御部24は、通信処理部27を制御し、アンテナ21を経由してサービス業者システム70に「端末情報」を送信する(例えば、通信処理部27は、電子メールなどにより「端末情報」を送信する)。
【0065】
サービス業者システム70は、移動端末装置20が送信した「端末情報」を受信する。サービス業者システム70は、受信した「端末情報」と自身が保持している施設情報データベース71のデータの照合を行い、「端末情報」の中の「画像情報」に対応する位置情報を含む「施設情報」を移動端末装置20に送信する(S70)。なお、S70の処理は、後述する図10で説明する。
【0066】
続いて、移動端末装置20は、サービス業者システム70が送信した位置情報を含む「施設情報」を受信し(S26)、受信した「施設情報」を記憶部29に格納する(S27)。具体的には、移動端末装置20の通信処理部27は、アンテナ21を経由してサービス業者システム70が送信した位置情報を含む「施設情報」を受信し、受信した「施設情報」を記憶部29に格納する。
【0067】
最後に、制御部24は、S27で記憶部29に格納した「施設情報」を読出し、出力部25を介して利用者に提示する(S28)。例えば、移動端末装置20のディスプレイ210に「施設情報」を表示する。また、例えば、移動端末装置20は、スピーカを利用して「施設情報」を音声データで出力する。
【0068】
次に、サービス業者システムで行われる処理(上述のS70)の処理について、図10および図5を用いて説明する。
【0069】
図10は、本発明の実施形態のサービス業者システムの処理のフローを説明するための図である。
【0070】
先ず、サービス業者システム70の送受信部72は、ネットワーク接続部71を介して、移動端末装置20からの「端末情報」を受信する(S71)。送受信部72は、受信した「端末情報」を記憶部75に格納する(S72)。なお、「端末情報」には、上述したように、「画像情報」、「位置情報(北緯、東経)」、「誤差(測位誤差)」、及び「顧客情報」が含まれている。ここでは、図5に示す「端末情報800」を受信したものとする。
【0071】
続いて、業務処理部76による検索範囲の絞込み処理が行われる(S73)。具体的には、業務処理部76は、S71で受信した「端末情報800」に含まれる「位置情報(北緯、東経)」および「測位誤差」を用いて、施設情報データベース77の検索範囲を絞込む。
【0072】
次に、画像処理部73により、絞り込んだ検索範囲内において、施設情報データベース77に登録されている「画像情報」とS71で受信した「端末情報800」に含まれている「画像情報」との同一性を認証する処理が行なわれる(S74)。
【0073】
S74の認証処理の結果、施設情報データベース77に登録されている「画像情報」の中に、S71で受信した「端末情報800」に含まれている「画像情報」と合致するデータがあった場合、該当する画像情報に対応する位置情報などを抽出して、S78に進む。一方、合致するデータがなかった場合は、そのまま、S78の処理に進む(S75〜77)。
【0074】
ここで、S74〜S77の処理を図5の例で説明する。図示する例では、「端末情報800」は、「北緯が35421070」、「東経が139344730」、「誤差(測位誤差)が±100」である。この場合、業務処理部76は、施設情報データベース77の検索範囲を、「位置情報(北緯、東経)」および「誤差」を利用して絞り込む。例えば、業務処理部76は、「北緯が35421070±100」、「東経が139344730±100」に該当するレコードに検索範囲を絞り込む。すなわち、施設情報テーブル770および位置情報テーブル771に登録されたレコードの中から、検索範囲を「北緯が35421070±100」であり、かつ「東経が139344730±100」のレコードに絞り込む。次に、業務処理部76は、絞り込んだ候補レコードから位置情報テーブル771の画像番号を抽出する。業務処理部76は、抽出した「画像番号」と、「画像番号」に対応する「画像情報」とを画像情報テーブル7722から読出し、画像処理部73に出力する。
【0075】
画像処理部73は、業務処理部76から受付けた「画像情報(業務処理部76が絞り込んだ候補レコードの「画像情報」)」と、S71で受信した「端末情報800」に含まれている「画像情報(ハンバーガーショップA)」との同一性を認証する認証処理を行なう。なお、画像処理部73は、業務処理部76から受付けた「画像情報」が複数ある場合には、順次認証処理を行なう。本例では、合致するデータが1つであるため施設情報が一意に確定する。画像処理部73は、一致した「画像情報」に対応する「画像番号(本例では「1」)」を業務処理部76に出力する。
【0076】
業務処理部76は、上記の絞り込んだ候補レコードと、一致した「画像情報」に対応する「画像番号(本例では「1」)」とを用いて、該当する施設の位置情報(北緯35421039、東経139344697)、および、「施設の電話番号」を特定する。そして、業務処理部76は、特定した「施設の電話番号」と、施設詳細テーブル773とを用いて、その施設の割引情報、フロア地図画像等を抽出する。
【0077】
S78では、業務処理部76は、上述の処理結果(特定した「施設の電話番号」)に、S71で受信した「端末情報」に含まれている「顧客情報」と、処理日時(年月日)とを対応付けた処理履歴を業務情報データベース79(図7)に登録する。
【0078】
また、業務処理部76は、S74〜S77の処理結果を記憶部75に格納し(S79)、S80の処理に進む。なお、処理結果は、S75でデータが合致した場合には、位置情報、施設の割引情報、フロア地図画像等の施設情報となり、S75でデータが合致しない場合は、合致するデータが無い旨を示す情報となる。
【0079】
S80では、制御部74は、送受信部72を制御し、ネットワーク接続部71を経由してS79で記憶部75に格納した施設情報(合致した施設の位置情報、施設の割引情報、フロア地図画像等の施設情報)を移動端末装置20に送信する(S80)。なお、S75において、施設情報データベースの中に受信した「画像情報」と合致するデータがなかった場合には、制御部74は、送受信部72を制御し、ネットワーク接続部71を介して「該当するデータがない」旨を示す情報を移動端末装置20に送信する。
【0080】
なお、業務処理部76は、業務情報データベース79に登録されたデータを利用して、施設情報の提供を受けた利用者の利用回数をカウントして、所定期間(例えば、1ヶ月間)の利用回数に応じた課金処理を行うようにしてもよい。また、課金処理を行う場合、サービス業者システム70は、利用者を認証する処理を行なうようにしてもよい。利用者を認証する方法については、特に限定しないが、例えば、「パスワード」を利用するようにしてもよい。この場合、移動端末装置20は、「端末情報」を送信する際、利用者を認証するための「パスワード」をサービス業者システム70に送信する。サービス業者システム70は、顧客情報データベース78(図6参照)と、「端末情報」に含まれる「顧客情報」および「パスワード」を利用して利用者を認証する処理を行う。サービス業者システム70は、利用者を認証できた場合だけ、上述したS73〜S79の処理を行うようにする。
【0081】
さらに、業務処理部76は、業務情報データベース79に登録されたデータを利用して、サービス業者システムに登録されている施設情報の提供者(店舗等の業者)に対して、利用回数に応じた課金処理を行うようにしてもよい。
【0082】
なお、上述したS77の処理において、複数の施設の情報(「位置情報」および「施設の電話番号」)が抽出されることも考えられる。具体的には、業務処理部76は、上記の絞り込んだ候補レコードと、一致した「画像情報」に対応する「画像番号(本例では「1」)」とを用いて、該当する施設の「位置情報」および「施設の電話番号」を特定する場合、複数の施設の「位置情報」および「施設の電話番号」を特定することも考えられる。駅周辺や繁華街には、同じ系列の店(同じ看板のコンビニエンスストアやファーストフード店)が近接して存在することがあるためである。
【0083】
このような場合、業務処理部76は、特定した複数の施設に優先度を付けるようにすればよい。そして、制御部74が送受信部72を介して、優先度を付けた施設の情報を移動端末装置20に送信する。優先度は、例えば、移動端末装置20からの「端末情報」に含まれる「位置情報(北緯、東経)」と、特定した複数の施設の「位置情報(位置情報テーブル771に登録されている北緯、東経)」との差分値により定める。具体的には、特定した施設毎に差分値(「北緯の差分」、「東経の差分」)を求め、その差分値の大小により優先度を決める。差分値が小さい施設の優先度を高く設定する。なお、差分値の大小については、例えば、特定された施設毎に「「北緯の差分」の2乗と、「東経の差分」の2乗とを加算した値」を求め、その値の大小を比較する。
【0084】
そして、移動端末装置20は、複数の施設の「施設情報」を受信した場合、利用者の操作により、優先度の高い施設の「施設情報」から順番に提示する。或いは、移動端末装置20は、複数の施設の位置を優先度が識別できるようにして利用者に提示する(例えば、移動端末装置20のディスプレイ210に施設の位置とその優先度を示す番号を表示する)。
【0085】
最後に、本実施形態の移動端末装置20が利用者に提示する表示画面について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施形態の移動端末装置が利用者に提示する表示画面を例示した図である。
【0086】
図11(a)には、移動端末装置20がサービス業者システム70を利用せずに現在位置を表示させた場合の画面211と、サービス業者システム70からの施設情報を受信して、その施設情報を表示させた場合の画面212、213とを示している。なお、画面211および212において、画面上の「星印」が現在位置を示しているものとする。
【0087】
画面211には、現在位置が示されている地図と共に、測位精度情報とが表示されている。画面211では、測位精度が低いことが示されている。利用者は、画面211により、GPS信号だけでは、正確な位置を確認することができないと判断できる。なお、受信したGPS信号を利用して測位精度を利用者に提示する手法は、既存技術により実現可能である。
【0088】
また、上述したように、本実施形態では、GPS信号での位置測位では正確な位置を確認することができない場合、サービス業者システム70から位置情報を取得することができる。例えば、利用者は、近くの商業施設を探し、その施設(例えば「ハンバーガーショップA」)の看板等を撮影する。また、施設を撮影した位置で、GPS信号を利用して現在位置を取得し、その現在位置および施設を撮影した画像情報を含む「端末情報」をサービス業者システム70に送信する。サービス業者システム70は、上述した図10の処理を行い、「施設情報」を移動端末装置20に送信する。
【0089】
そして、移動端末装置20は、受信した「施設情報」を利用して、画面212および213を表示する。画面212では、画面211と同様、現在位置を示す地図と、測位精度情報とが表示されている。そして、画面212では、測位精度が高いことが示されている。画面212により、利用者は、正確な現在位置を把握することができる。なお、本実施形態では、移動端末装置20は、受信した「施設情報」の中の「位置情報」を高精度の情報として、画面表示する。
【0090】
また、画面213は、受信した「施設情報」の中に「フロア地図(「ハンバーガーショップA」があるビルのフロア地図)」がある場合に、そのフロア地図を画面表示したものである。画面213により、利用者は、ビルの中にいる場合であっても、現在位置を確認することができる(フロア面積が広いビルなどで、現在位置を確認したい場合には便利である)。
【0091】
また、本実施形態の移動端末装置20は、受信した「施設情報」を他の移動端末装置20に送信することも可能である。例えば、移動端末装置20の利用者は、サービス業者システム70から「施設情報(施設があるフロア地図や案内図)」を取得し、その「施設情報」を待ち合わせ相手の移動端末装置20に転送することも可能である。このように、「施設情報」を転送することにより、移動端末装置20の利用者は、相手との待ち合わせをスムーズに行えるようになる。
【0092】
図11(b)には、受信した「施設情報」の中に「施設(ハンバーガーショップA)の割引情報・クーポン情報」がある場合に、その「施設の割引情報・クーポン情報」を表示した表示画面214を示したものである。このように、「施設の割引情報・クーポン情報」を取得して利用者に提示できるようにすることにより、利用者は、施設の前で割引情報等を確認することができるようになる。
【0093】
さらに、利用者が撮影した施設の位置だけでなく、利用者が撮影した施設の周辺にある同じ系列の施設(例えば、AコンビニB駅西口1号店と、AコンビニB駅西口2号店)の位置を利用者に提示できるようにしてもよい。この場合、サービス業者システム70は、「端末情報」を用いて「施設」を検索する際、特定した施設の施設情報に加え、さらに、その施設の周辺(例えば、500m以内)にある同じ系列(施設情報データベースに同じ画像情報が登録されている施設)の施設情報(周辺施設情報)を検索する。サービス業者システム70は、検索した周辺施設情報を移動端末装置20に送信する。
【0094】
そして、移動端末装置20は、受信した周辺施設情報を用いて、例えば、図12に示すような周辺の施設の位置を示す表示画面215を利用者に提示する。表示画面215では、利用者が撮影した施設と同じ系列の施設の位置が「星印」で表示されている。利用者は、表示画面214により、現在位置の周辺にある施設情報を確認することができる。そのため、本実施形態の利用者は、例えば、ある店舗が満員の場合等に、近くにある同じ系列の店舗の位置を確認することができる。
【0095】
このように本実施形態によれば、移動端末装置の利用者は、従来の測位方式において位置測位が難しい環境でも、正確に現在の位置を把握することができる。そのため、本実施形態は、特に、多数の商業施設が密集する都心部の高層ビル街、ビルの屋内、地下施設等のような環境においてその効果が期待できる。
【0096】
また、本実施形態の情報処理システムにより、移動端末装置の利用者は正確に現在の位置を把握することができるため、同様の移動端末装置を保持する第三者との待ち合わせなどにも利用できる。また、移動端末装置で撮影した画像から、対象となる施設に関する各種情報を高速で取得できるため、従来のURLなどによる情報検索と比較してその利用が簡便化できる。
【0097】
さらに、本実施形態の情報処理システムの提供者は、移動端末装置の利用者及び、対象施設に関する各種情報の提供者に課金するようにすれば、経済的な効果が期待できる。また、施設種情報の提供者は、利用者が現在いる位置に立地している施設の情報を即時提供できることから、施設に関する高い宣伝効果が期待できる。
【0098】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、サービス業者システム70は、移動端末装置20の利用者から必要な施設情報の送信要求(例えばフロア地図だけの送信要求)を受付け、要求された施設情報だけを移動端末装置20に送信するようにしてもよい。このようにすることで、サービス業者システム70は、利用者に不要な情報を通信する必要がなり、通信量を軽減できる。
【0099】
また、上述した実施形態の説明では、サービス業者システム70が送信する「施設情報」として、「位置情報(北緯、東経)」、「割引情報・クーポン」、「フロア地図(画像)」、および「URL」について説明したが特にこれに限定するものではない。例えば、サービス業者システム70は、移動端末装置20からの「端末情報」に含まれる「位置情報」と、施設情報データベース77から特定した「位置情報」とから測位誤差を補正するための補正情報を求め、その補正情報を「施設情報」に含めて送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態が適用された情報処理システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態の移動端末装置20の位置測位機能を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態の移動端末装置の機能構成を説明するための図である。
【図4】本発の実施形態のサービス情報システムの機能構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態の施設情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図6】本発明の実施形態の顧客情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図7】本発明の実施形態の業務情報データベースのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図8】本発明の実施形態の移動端末装置が行う処理のフローを説明するための図である。
【図9】本実施形態の移動端末装置が撮影する対象物の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態のサービス業者システムの処理のフローを説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態の移動端末装置が利用者に提示する表示画面を例示した図である。
【図12】本発明の実施形態の移動端末装置が利用者に提示する表示画面を例示した図である。
【符号の説明】
【0101】
10…GPS衛星、11…GPS受信装置、12…電子基準点、20…移動端末装置、21…アンテナ、22…GPS受信部、23…画像撮影部、24…制御部、25…出力部、26…操作部、27…通信処理部、28…データ処理部、29…記憶部、40…携帯電話の基地局、50…携帯電話局、60…インターネット、70…サービス業者システム、71…ネットワーク接続部、72…送受信部、73…画像処理部、74…制御部、75…記憶部、76…業務処理部、77…施設情報データベース、78…顧客情報データベース、79…業務情報データベース、701…情報処理装置、702…記憶装置、770…施設情報テーブル、771…位置情報テーブル、772…画像情報テーブル、773…施設詳細情報テーブル、780…顧客情報テーブル、781…顧客詳細テーブル、790…業務情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末と、該移動端末にネットワークを介して接続されている情報処理装置とを有する情報処理システムであって、
前記移動端末は、
被写体を撮影する撮影手段と、
測位衛星から送信される位置情報を受信する受信手段と、
前記撮影された被写体の画像情報に前記受信した位置情報を対応付けた端末情報を前記情報処理装置に送信する通信手段と、
各種の情報を利用者に提示する提示手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
施設毎に、該施設の位置情報と、該施設を識別する画像情報とを対応付けた情報を登録したデータベースを記憶する手段と、
前記移動端末から送信された前記端末情報を受信する受信手段と、
前記受信した前記端末情報の中の画像情報と前記データベースに登録されている画像情報との同一性を認証する認証手段と、
前記認証手段が前記同一性を認証した場合、前記データベースの中から前記認証された画像情報に対応付けられている位置情報を検索する情報検索手段と、
前記端末情報を送信した前記移動端末に対し、前記検索した位置情報を含む施設情報を送信する情報送信手段と、を有し、
前記移動端末の前記提示手段は、
前記通信手段を介して前記情報送信手段が送信した前記施設情報を受信し、該受信した施設情報に含まれる位置情報を利用者に提示すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置の認証手段は、
前記データベースの中から、前記受信した前記端末情報に含まれる位置情報から所定範囲の位置情報に対応付けられている画像情報を選択し、該選択した画像情報と前記端末情報の中の画像情報との同一性を認証すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムであって、
前記データベースには、前記施設毎に、前記位置情報および画像情報に加えて、さらに、該施設が提供するサービス情報または該施設を案内するための案内図を含む施設関連情報が対応付けられていて、
前記情報処理装置の情報検索手段は、
前記認証された画像情報に対応付けられている位置情報を検索する際に、さらに該画像情報に対応付けられている施設関連情報を特定し、
前記情報処理装置の情報送信手段は、
前記検索結果の中に前記検索された位置情報に加えて、前記特定された施設関連情報を前記施設情報の中に含めて送信し、
前記移動端末の前記提示手段は、
前記受信した前記施設情報の中に前記施設関連情報が含まれている場合、該施設関連情報を利用者に提示すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理システムであって、
前記移動端末の通信手段は、前記受信した前記施設情報を他の移動端末に送信し、さらに、他の移動端末が送信した前記施設情報を受信し、
前記提示手段は、他の移動端末からの前記施設情報を利用者に提示すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記データベースに登録されている施設情報を前記移動端末に送信する毎に、該施設に対して課金すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記データベースに登録されている情報を前記移動端末に送信する毎に、該移動端末の利用者に課金すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
撮影手段を有する移動端末と、該移動端末にネットワークを介して接続されている情報処理装置とを有する情報処理システムが行う位置情報提示方法であって、
前記情報処理装置は、施設毎に、該施設の位置情報と、該施設を識別する画像情報とを対応付けた情報を登録したデータベースを記憶していて、
前記移動端末は、
前記撮影手段により被写体を撮影するステップと、
測位衛星から送信される位置情報を受信するステップと、
前記撮影した被写体の画像情報に前記受信した位置情報を対応付けた端末情報を前記情報処理装置に送信するステップと、を行い、
前記情報処理装置は、
前記移動端末から送信された前記端末情報を受信するステップと、
前記受信した前記端末情報の中の画像情報と前記データベースに登録されている画像情報との同一性を認証するステップと、
前記認証ステップにより前記同一性が認証された場合、前記データベースの中から前記認証された画像情報に対応付けられている位置情報を検索するステップと、
前記端末情報を送信した前記移動端末に対し、前記検索した位置情報を含む施設情報を送信するステップと、を行い、さらに、
前記移動端末は、
前記情報処理装置が送信した前記施設情報を受信し、該受信した施設情報に含まれる位置情報を利用者に提示するステップを実行すること
を特徴とする位置情報提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−67487(P2007−67487A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247299(P2005−247299)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】