説明

情報処理システム、ジョブ処理装置、ジョブ処理装置の制御方法、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法

【課題】ユーザの生体情報を用いてセキュアプリントを実行する場合、情報処理装置に生体情報を入力する装置を備えていなくても、印刷装置に生体情報を入力する装置を備えていればジョブを実行する仕組を提供する。
【解決手段】ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、そのジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、情報処理装置は、ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、そのジョブを実行するために、記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報をジョブ処理装置に送信する。ジョブ処理装置は、情報処理装置からジョブと、その送信された情報とを受信し、ユーザの生体情報を入力する。そしてジョブと情報とを受信した場合に、入力された生体情報と、記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、その認証に成功した場合に、受信したジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、ジョブ処理装置、ジョブ処理装置の制御方法、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パスワードが入力されるまでジョブの実行を行わず、パスワードが入力されたことに応じてジョブを実行するジョブ処理装置がある。例えば、ジョブ処理装置の一例である印刷装置が、情報処理装置の一例であるPCから受信した印刷ジョブを実行して印刷する場合に、印刷する前に操作部を介してパスワードの入力を要求し、正しいパスワードが入力された場合に印刷を開始する印刷方法がある。このような印刷方法はセキュアプリントと呼ばれる。
【0003】
セキュアプリントを実行する場合、PCは、ユーザからパスワードの入力を受付け、受付けたパスワードと画像データとをジョブとして印刷装置に送信する。そして印刷装置は、PCから送信されたジョブを保持しておき、当該ジョブに対応するパスワードが入力された場合に、ユーザの認証を行って当該ジョブに対応する画像データの印刷を開始する。
【0004】
また、パスワードを用いる方法以外に、指紋情報などの個人固有の生体情報を用いてセキュアプリントを実行する方法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−146665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザの生体情報を用いて、上述したセキュアプリントを実行する場合、例え、印刷装置が生体情報を入力する装置を備えていても、PCが生体情報を入力する装置を備えていなければ、実行することができなかった。
【0007】
また、PCに生体情報を入力する装置を備える場合、コストがかかってしまう。
【0008】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものである。
【0009】
本発明は、ジョブ処理装置が生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合にジョブを実行する仕組みを情報処理装置が、生体情報を入力する装置を備えていなくとも実現できる提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る情報処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報を、前記ジョブ処理装置に送信する送信手段を備え、
前記ジョブ処理装置は、
前記情報処理装置から前記ジョブと前記情報とを受信する受信手段と、
ユーザの生体情報を入力する入力手段と、
前記受信手段によって前記ジョブと前記情報とを受信した場合に、前記入力手段によって入力された生体情報と、前記記憶手段に記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ジョブ処理装置が生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合にジョブを実行する仕組みを、情報処理装置が生体情報を入力する装置を備えていなくても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る印刷装置101の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る印刷装置102の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る印刷装置103の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る印刷装置の操作部の外観図である。
【図7】本実施形態に係るPCが印刷装置にジョブを送信する際の手順を説明するフローチャートである。
【図8】本実施形態でPCの表示部に表示されるプリンタドライバの印刷設定画面の一例を示す図である。
【図9】図8の状態でプロパティキーが指示されて印刷の種別を選択するための画面例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るPCにおいて、表示部に表示されるユーザ認証画面の一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係るPCにおいて、表示部に表示されるセキュアプリントの設定画面の一例を示す図である。
【図12】本実施形態に係るPCにおいて、表示部に表示されるセキュアプリントの確認画面の一例を示す図である。
【図13】本実施形態に係る印刷装置において、セキュアプリントを実行する際の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システム(情報処理システム)の概略構成を示す図である。
【0015】
ネットワーク107には、情報処理装置の一例であるPC105,106及びジョブ処理装置の一例である印刷装置101,102,103及び104が接続されている。PC105,106は、これら印刷装置と通信可能である。印刷装置101乃至104は、PC105或いはPC106から印刷ジョブを受信して印刷を行う。また印刷装置101〜103は、生体情報に基づいてユーザを認証するための認証装置を備える。印刷装置101は指紋認証装置を備え、指紋によるユーザ認証機能を備える。印刷装置102は指紋認証装置と虹彩認証装置を備え、指紋及び虹彩といった複数種類の生体情報によってユーザを認証可能な機能を有する。印刷装置103は静脈認証装置を備え、静脈のパターンによるユーザの認証機能を有する。そして印刷装置104は、これら生体情報を取得及び認証するための装置を有していない。PC105はクライアントコンピュータであり、印刷データを作成し、印刷装置101〜104のうちのいずれかに、その印刷データを送信して印刷させる。PC106はサーバコンピュータであり、印刷装置101〜104の機器情報を管理しており、PC105からの機器情報の問合せに対して応答する。ここで、PC105,106はいずれも、ユーザの生体情報を入力するために用いる指紋認証装置、虹彩認証装置や静脈認証装置等の装置を有していない。尚、本実施形態では、ジョブが画像データを印刷する印刷ジョブの場合で説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、PCから受けたデータをFAX送信するジョブ、データの通信により外部に送信するジョブ、後述するHDDに格納するジョブなどの場合にも適用できる。
【0016】
図2は、本実施形態に係るPC105の構成を示すブロック図である。尚、PC106もPC105と同様の構成を有している。
【0017】
CPU201は、PC105を統括的に制御している。ROM202は、CPU201によって読み出されて実行されるブートプログラム等を格納する。RAM203は、CPU201の作業領域として用いられる。表示部204は、CRT或いは液晶表示パネルを有し、CPU201からの指示に従って画像を表示する。操作部205はキーボードやポインティングデバイスを含み、ユーザによる操作を受付ける。外部I/F206は、ネットワーク107と接続するためのインタフェースであり、ネットワーク107との間でデータの送受信を制御する。HDD207は、CPU201によって読み出されて実行されるOSやアプリケーションプログラムや画像データを記憶する。このアプリケーションプログラムには、例えば、画像データを作成するための描画ソフトや、プリンタドライバ等がある。そして操作部205からアプリケーションの実行が指示されると、そのプログラムがHDD207から読み出されてRAM203に格納され、CPU201の制御の下に実行される。
【0018】
図3は、本実施形態に係る印刷装置101の構成を示すブロック図である。
【0019】
この印刷装置101は、CPU301、ROM302、RAM303、スキャナ304、プリンタ部305、画像圧縮伸張部306及び指紋認証部311とを有する。更に、操作部(UI部)307、TEL308、HDD309、外部I/F310を有する。CPU301は、ROM302に格納されたプログラムに従って各種制御を行う。ROM302は、CPU301によって実行されるプログラムを格納している。これには、例えばプリンタ部305に印刷処理を行わせるための印刷プログラムや、操作部307にメッセージや画像を表示させるための表示制御プログラム等が含まれる。RAM303は、SRAM、DRAM等で構成され、CPU301がプログラムを実行する際の変数やデータ等を格納し、主にCPU301の作業用バッファとして利用される。
【0020】
スキャナ304は、CPU301からの指示に基づいて原稿を読み取り、画像データを生成する。またプリンタ部305は、CPU301からの指示により、画像データに基づいてシートに画像を印刷する。スキャナ304やプリンタ部305は、複数のユーザがジョブ処理のために共通に用いるものである。圧縮伸張部306は、画像データの圧縮、伸張処理を実行する。操作部307はキーボード、タッチパネル、LCD、LED等を有し、使用者(ユーザ)が印刷の設定や、印刷ジョブの実行指示等の各種操作を行うのに使用される。またユーザに対して印刷状況や警告等の表示、通知を行う。この操作部307は、UI部、表示部ともいう。詳しくは、図6を参照して後述する。
【0021】
TEL308は、モデム(変復調装置)、NCU(網制御装置)等であり、電話回線を介してFAXの送受信を行う。HDD309は、印刷処理や認証処理に関する種々のデータを記憶する。例えば、スキャナ304で読み取った原稿の画像データや、外部I/F310を介して外部装置から受信した画像データを記憶する。また、ユーザを認証するため、ユーザごとにユーザID、パスワード等を記憶できる。更に、ユーザごとに、ログイン時に表示する初期画面(ジョブ設定画面、印刷設定画面ともいう)を生成するための設定情報を格納する。CPU301は、その設定情報に基づいて、CPU301は、ログイン時の初期画面を操作部307の表示部に表示する。この設定情報は、ユーザごとの初期画面情報として、ユーザごとに異なるものを記憶しておくことができる。詳しくは、後述する。
【0022】
外部I/F310は、ネットワーク107に接続された外部装置、例えば、PC105,106と通信するためのインタフェース制御を行う。この印刷装置101は、外部I/F310を介してPCから印刷データを受付ける。また、この印刷装置101は、外部I/F310を介してHDD309に記憶された画像データを外部装置に送信することができる。指紋認証部311は、ユーザの指紋を読み取り、HDD309などの不揮発メモリに登録されている指紋と照合することによって、ユーザを認証する。
【0023】
図4は、本実施形態に係る印刷装置102の構成を示すブロック図である。
【0024】
尚、図4において、参照番号401〜411で示す部分は、図3のCPU301〜311と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0025】
図4の印刷装置102は、指紋認証部411と虹彩認証部412の2種類の認証部を備える点が図3の印刷装置101と異なっている。虹彩認証部412は、ユーザの虹彩のパターンを基に虹彩データを生成し、その生成した虹彩データと、登録されている虹彩データとを照合することによりユーザを認証する。
【0026】
図5は、本実施形態に係る印刷装置103の構成を示すブロック図である。
【0027】
尚、図5において、参照番号501〜510で示す部分は、図3のCPU301〜外部I/F310と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0028】
図5の印刷装置103は、指紋認証部311の代わりに静脈認証部511を備える点が図3の印刷装置101と異なっている。この静脈認証部511は、人間の手のひらや指先の静脈パターンを読み取って静脈データを生成し、その生成した静脈データと、登録されている静脈データとを照合することによりユーザを認証する。
【0029】
以上説明した印刷装置101〜103は、ユーザの生体情報を、そのユーザのID(識別情報)やパスワードと対応付けてHDDなどのメモリに不揮発に記憶している。
【0030】
図6は、これら印刷装置の操作部の外観図である。ここでは図3の印刷装置101の操作部307の場合で説明するが、他の印刷装置102,103,104の操作部も同じである。
【0031】
この操作部307は、ハードキーによるユーザ操作を受付けるキー入力部602、及び、ソフトキー(表示キー)を表示可能で、そのソフトキーによるユーザ操作を受付けるタッチパネル部601を有する。
【0032】
まず、キー入力部602について説明する。キー入力部602は、電源スイッチ603を備える。この電源スイッチ603がユーザによって押されることに応じて、CPU301は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(消費電力を抑えている状態)を選択的に切換える。CPU301は、この電源スイッチ603のユーザによる操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がオンの状態で受付ける。
【0033】
スタートキー605は、スキャナ部304及びプリンタ部305を用いたコピー動作や、HDD309に記憶された画像データを外部I/F310を介して外部装置に送信する動作等の処理を、印刷装置101に開始させるためのキーである。ストップキー604は、受付けたジョブの処理を中断する指示をユーザから受付けるためのキーである。テンキー608は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行するためのキーである。クリアキー609は、テンキー608を使用してユーザにより入力された、例えばユーザIDやパスワード等の入力値を削除するためのキーである。リセットキー606は、印刷対象のジョブに対して、ユーザにより設定された各種設定を無効にし、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付けるためのキーである。ユーザモードキー607は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。IDキー610は、ユーザの認証の際に用いられるキーであり、このIDキー610が押されると、CPU301は、タッチパネル部601にログイン画面を表示する。そして、CPU301は、そのログイン画面を介して入力されたユーザIDとパスワードとを用いてユーザの認証を行う。
【0034】
次に、タッチパネル部601について説明する。タッチパネル部601は、液晶表示部と、その表示部上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有する。このタッチパネル部601は、ユーザからの各種設定を受付ける機能と、ユーザに情報を提示する機能を有する。例えば、表示部に表示された表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたことを検知すると、CPU301は、ROM302に記憶された表示制御プログラムに従って、その表示キーに応じた処理を実行する。尚、タッチパネル部601に表示される画面の詳細については後述する。
【0035】
図7は、本実施形態に係るPC105が印刷装置にジョブを送信する際の手順を説明するフローチャートである。尚、図7のフローチャートの各ステップで示す処理は、CPU201が、HDD207にインストールされているプログラムをRAM203にロードして実行することによって行われる。従って、図7のフローチャートの各ステップの動作主体をCPU201として説明する。図7に示すフローチャートの処理は、PC105で起動されたアプリケーションソフトからプリンタドライバの起動指示があった場合に開始される。
【0036】
まずステップS201で、プリンタドライバの印刷設定画面(図8)を表示し、ユーザによりプリンタが選択されるのを待つ。ここでは印刷装置102が選択されるものとする。
【0037】
図8は、本実施形態でPCの表示部204に表示されるプリンタドライバの印刷設定画面の一例を示す図である。
【0038】
ここでは、選択可能な印刷装置として印刷装置101〜104に対応する「Printer 101」、「Printer 102」、「Printer 103」、「Printer 104」が表示されている。また、カーソル801で印刷装置102に対応する「Printer 102」が選択されている。
【0039】
ここでユーザは更に、プロパティキー802をクリック(指示)することによって、印刷の詳細設定を行うことができる。セキュアプリントをするか否かも、このプロパティキー802を指示することによって設定できる。尚、本実施形態におけるセキュアプリントとは、PC105が、画像データと印刷設定、ユーザID等のユーザ識別情報、パスワードを印刷装置に送信し、印刷装置で当該パスワードと生体情報が入力されたことに応じて当該画像データを印刷するものである。印刷装置は、パスワードと生体情報が入力されるまで、画像データを印刷せずに保持しておくことによって、当該画像データが印刷されたシートが第三者によって見られることを防ぐことができる。
【0040】
図9は、図8の画面でプロパティキー802が指示された場合に、表示部204に表示される画面の例を示す図である。
【0041】
図9では、プルダウンメニューによって「セキュアプリント」が選択された状態を示している。
【0042】
ユーザは、操作部205を操作して、プルダウンメニューから出力方法「セキュアプリント」を選択し、印刷設定を行った後、OKキーを押すことによって、出力方法を含めて印刷設定を行うことができる。
【0043】
そして、OKキーが押されると、CPU201は、ステップS202で、セキュアプリントが指示されたと判定し、ステップS203に処理を進め、図10に示すような認証画面を表示部204に表示させる。
【0044】
図10は、本実施形態に係るPCにおいて、表示部204に表示されるユーザ認証画面の一例を示す図である。
ステップS203で、この画面を使用してユーザ名(ID)とパスワードとが入力されるとステップS204に進んで、その選択した印刷装置(ここでは印刷装置102)に設けられている認証装置による認証方法の一覧画面を表示する。
【0045】
図11は、本実施形態に係るPCにおいて、表示部204に表示されるセキュアプリントの設定画面の一覧画面を表示する画面の一例を示す図である。
図11において、1101は、印刷装置102を使用したセキュアプリントの対象となる文書データのドキュメント名を示す。1102,1103は、このセキュアプリントを指示したユーザのID及びパスワードを示す。1102,1103は、図10に示す画面を介して入力された値を引き継いで表示される。但し、パスワードの表示は、実際のパスワードに代えて「******」が表示される。1104は、セキュアプリントを実行する、選択された印刷装置102に該当する「Printer 102」が表示される。
【0046】
更に「認証方法」では、「パスワード」「指紋」「静脈」「虹彩」「顔」等の複数種類の認証方法が用意されており、印刷装置102は、その中の「パスワード」「虹彩」「指紋」を用いた認証を行うことができる。そのため、「パスワード」「指紋」「虹彩」に対応するチェックボックス1106,1107が有効になっており(指定可能になっており)、他の項目は、グレイアウトされている(指定できないようになっている)。ここで、印刷装置102によって実行可能な認証機能は、PC105によって印刷装置から取得されてもよいし、PC105に予め印刷装置102の構成情報として登録しておいてもよい。そして図11では、「指紋」のチェックボックス1106だけがチェックされていて、指紋による認証が選択されている。尚、この例では、指紋による認証だけを選択しているが、複数のチェックボックスを指定することにより、認証方法Nの組み合わせを複数にしたり、認証順番も登録したりすることも可能である。あるいは、チェックボックスの代わりにラジオボタンを設け、複数の認証方法のうちの、いずれか1つの認証方法のみ指定できるようにしてもよい。
【0047】
また、ステップS204で認証方法の一覧画面を表示する際は、それぞれの認証方法に対応する生体情報が、1104で選択された印刷装置に登録されているか否かを印刷装置に問合せ、登録されている生体情報に対応する認証方法のみ指定可能にしてもよい。この場合、CPU201は、ステップS203で入力されたユーザIDを用いて印刷装置102に問い合わせ、印刷装置102は受信したユーザIDに対応する生体情報を確認し、その結果登録されている生体情報をPC105に通知すればよい。
【0048】
こうしてステップS205で、認証方法がユーザにより設定されてOKボタンが指示されるとステップS206に進み、印刷ジョブを印刷装置102に送信する前に、セキュアプリントの設定確認画面(図12)を表示する。
【0049】
図12は、本実施形態に係るPCにおいて、表示部204に表示されるセキュアプリントの確認画面の一例を示す図である。
ここでは、印刷対象の文書名、ユーザ名、パスワード、および図11の画面で設定された認証方法である「指紋」が表示されている。ここでOKボタンが指示されるとステップS206からステップS207に進む。ステップS207では、印刷対象の画像データと、印刷設定、ユーザIDと、パスワード、ジョブを実行するために生体情報を用いた認証が必要であることを示すデータ(選択された認証方法を含む)を付加したジョブを、選択された印刷装置102に送信する。印刷装置102は、受信したデータをHDD409に格納する。尚、S205で、生体情報ではなくパスワードを用いて認証するよう指定された場合、S207で、PC105は印刷装置102に、ジョブを実行するために生体情報を用いた認証が必要であることを示すデータを送信しなくてもよい。また、S205で、複数の認証方法が選択された場合や、複数の認証方法の順番が指定された場合には、ジョブを実行するために生体情報を用いた認証が必要であることを示すデータに、選択された複数の認証方法を示す情報や、認証順を示す情報を含ませる。それによって、印刷装置102は、受信したジョブを実行する際に、複数の認証方法の実行が必要であることや、複数の認証方法による認証順を認識することができる。
【0050】
図13は、本実施形態に係る印刷装置において、セキュアプリントを実行する際の処理を説明するフローチャートである。尚、印刷装置102の場合は、この処理を実行するプログラムは、ROM402に記憶されているプログラム、或いは、RAM403にロードされたプログラムであり、このプログラムをCPU401が実行することにより、この処理が実現される。尚、他の印刷装置の場合も、その印刷装置のCPUの制御の下に実行されることは言うまでもない。従って、図13のフローチャートの各ステップの動作主体をCPU401として説明する。図13に示すフローチャートは、セキュアプリントを受信して実行する場合のフローであり、セキュアプリント以外のジョブ(通常のジョブ)を受信した場合には、通常のジョブ処理を行う。
【0051】
先ずステップS801で、CPU401は、セキュアプリントを行うためのジョブを受信したか否かを判定する。具体的に、CPU401は、受信したジョブにセキュアプリントであることを示すデータ(例えば、パスワード)が付加されているかどうかを判定する。セキュアプリントである場合はステップS802に進み、ユーザを特定するための入力画面を操作部407のタッチパネル部601に表示して、ユーザ名(ユーザID)とパスワードの入力を要求する。こうしてステップS803で、キー入力部602からユーザ名とパスワードが入力されるとステップS804に進み、その入力されたユーザ名とパスワードが、その印刷ジョブに付されているユーザ名とパスワードと一致しているかどうか判断する。ここで一致しないと判定するとステップS810に進み、タッチパネル部601にメッセージ「認証できませんでした」を表示して、印刷せずに処理を終了する。
【0052】
一方、ステップS804で、キー入力部602から入力されたユーザ名とパスワードが、印刷ジョブのユーザ名とパスワードと一致すると判断するとステップS805に進む。ステップS805では、受信した印刷ジョブに含まれる認識方法を示すデータを取得する。次にステップS806に進み、タッチパネル部601に、その印刷ジョブで指定された認証装置により認証を行うことを促すメッセージ(例えば、「認証を行ってください」)を表示する。
【0053】
次にステップS807に進み、ジョブで指定された認証方法に対応する認証装置により認証が行われる。前述の例(図11、図12)では、印刷装置102の指紋認証部411を使用した認証が指示されているため、指紋認証部411によりユーザの指紋データを取得する。次にステップS808に進み、ステップS807で入力された指紋データが、印刷装置102に登録されている、そのユーザの指紋データと一致するか否かを判定する。一致する(認証できた)と判定した場合はステップS809に進んで、その印刷ジョブによる印刷を開始する。一方、認証できないときはステップS810に進んで、この処理を終了する。ここで、複数の認証方法が選択されている場合、CPU401は、選択された複数の認証方法による認証に成功するまでは、S809に処理を進めず、複数の認証方法による認証に成功した場合にS809に処理を進めるようにしてもよい。また、複数の認証方法の認証順が指定されている場合、CPU401は、指定された認証順に従って複数の認証に成功するまでは、S809に処理を進めず、認証順に従って複数の認証方法による認証に成功した場合にS809に処理を進めるようにしてもよい。
【0054】
このように、PCは、生体情報をユーザから取得して、取得した生体情報を印刷装置に送信する代わりに、印刷装置に予め記憶されている生体情報を識別させるための識別情報を、キーボードにより受付け、印刷装置に送信する。そして、印刷装置は、ジョブと識別情報とを受信し、受信された識別情報によって、ユーザの生体情報を当該ジョブを実行するために必要な情報として特定する。そして、ユーザから、当該特定した生体情報の入力があった場合に、印刷装置は、そのジョブを実行する。 以上説明したように本実施形態によれば、PC(情報処理装置)が生体情報を入力するための特殊な装置を備えていなくても、認証装置を備えている印刷装置を使用したセキュアプリントを実行できる。また、パスワードの入力と、生体情報の入力による二重の認証を行うため、どちらか一方による認証によってジョブを実行する場合と比較して、セキュリティを向上させることができる。
【0055】
上述した実施形態では、印刷装置がPC105からジョブを受信した後、受信したジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであると判定したことに応じて、ユーザを特定するための入力画面を操作部に表示する例について説明した。
【0056】
しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、次のように制御してもよい。印刷装置のCPUは、PC105からセキュアプリントジョブを受信した場合に、その時点では、ユーザを特定するための画面を表示せず、図7に示す標準画面を表示しておく。そして、受信したセキュアプリントジョブ以外のジョブの設定を、当該標準画面を介して受付けることができるようにしておく。ここで受付けたジョブの設定を受付け、操作部を介してジョブの実行指示を受付けた場合、CPUは、セキュアプリントジョブがあり、当該セキュアプリントジョブが実行されていない状態であっても、実行指示を受付けたジョブを先に実行する。それによって、ジョブの実行効率を向上させることができる。
【0057】
その後、ユーザによって、HDD309に記憶されたジョブの状況を示すジョブ状況画面を表示するための指示を受けた場合に、印刷装置のCPUは、操作部にジョブ状況画面を表示する。このジョブ状況画面には、HDD309に記憶されたジョブが複数存在する場合には、複数のジョブを示す情報が表示される。なお、通常のジョブ(実行するためにパスワードの入力を必要としないジョブ)もセキュアプリントジョブも表示される。表示されたジョブの中から、ユーザによって特定のジョブが選択されると、印刷装置のCPUは、当該選択されたジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであるか否かを判定する。選択されたジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであると判定した場合、印刷装置のCPUは、操作部を介して、選択されたジョブに対応する生体情報の入力をユーザに要求し、ユーザに生体情報を入力させる。そして、ユーザの生体情報が入力されると、入力された生体情報と、当該ジョブに対応する生体情報とを比較し、一致している場合にユーザの認証に成功したと判定し、当該ジョブを実行するよう制御する。一方、一致していない場合に、ユーザの認証に失敗したと判定し、当該ジョブを実行しないよう制御する。このように、ジョブが選択された場合に、生体情報に基づく認証のみを行うことによって、上述のような、パスワードと生体情報による二重のユーザ認証を行う場合と比較して、ユーザの負担を軽くすることができる。
【0058】
また、ユーザの指示により、印刷装置のCPUが操作部にジョブ状況画面を表示する場合に、ユーザID等のユーザ識別情報を入力させ、入力されたユーザIDに対応するジョブのみを表示するようにしてもよい。また、ユーザIDに加えて、生体情報の種類を指定させ、指定された生体情報の入力が、実行の際に必要なジョブのみを抽出して表示するようにしてもよい。あるいは、表示するだけでなく、抽出されたジョブを実行するようにしてもよい。それによって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0059】
また、上述の実施の形態においては、認証処理に指紋情報、虹彩情報、静脈情報を用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、認証処理にあたり、ユーザから顔情報、または声紋情報、または掌形情報、または網膜情報、または虹彩情報等の生体情報を取得するようにしてもよい。この場合、CPUは、予めHDDに、生体情報を登録しておいて、ユーザから取得した生体情報と比較することによって認証処理を行なうように制御すればよい。
【0060】
以上の実施形態の各工程の全部又は一部は、ネットワーク又はコンピュータ読取可能な記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報を、前記ジョブ処理装置に送信する送信手段を備え、
前記ジョブ処理装置は、
前記情報処理装置から前記ジョブと前記情報とを受信する受信手段と、
ユーザの生体情報を入力する入力手段と、
前記受信手段によって前記ジョブと前記情報とを受信した場合に、前記入力手段によって入力された生体情報と、前記記憶手段に記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
情報処理装置から受信したジョブを処理するジョブ処理装置であって、
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段と、
前記情報処理装置から、前記ジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報とを受信する受信手段と、
ユーザの生体情報を入力する入力手段と、
前記受信手段によって前記ジョブと前記情報とを受信した場合に、前記入力手段によって入力された生体情報と、前記記憶手段に記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、複数種類の生体情報によって前記ユーザを認証可能であり、
前記受信手段は、前記ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された前記複数種類の生体情報のうち、いずれの生体情報を用いた認証が必要であるかを示す識別情報を受信し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された複数種類の生体情報のうち、前記識別情報によって示される生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御することを特徴とする請求項2に記載のジョブ処理装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記ジョブと前記情報に加えて、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を受信し、
前記制御手段は、前記ユーザ識別情報に基づいて、表示手段に当該ユーザ識別情報によって識別されるユーザのジョブを表示し、当該表示されたジョブの中から、選択されたジョブを実行するために必要な生体情報の入力を要求することを特徴とする請求項2又は3に記載のジョブ処理装置。
【請求項5】
前記生体情報は、ユーザの顔情報、指紋情報、静脈情報、虹彩情報、声紋情報、掌形情報または網膜情報であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のジョブ処理装置。
【請求項6】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報を、前記ジョブ処理装置に送信する送信手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムの制御方法であって、
前記情報処理装置にて、
前記ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報を、前記ジョブ処理装置に送信し、
前記ジョブ処理装置は、
前記情報処理装置から前記ジョブと前記情報とを受信し、
前記ジョブと前記情報とを受信した場合に、ユーザによって入力された生体情報と、前記記憶手段に記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記ジョブを実行するよう制御することを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項8】
情報処理装置から受信したジョブを処理するジョブ処理装置の制御方法であって、
ユーザの生体情報を記憶手段に記憶させる記憶工程と、
前記情報処理装置から、前記ジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報とを受信する受信工程と、
ユーザの生体情報を入力する入力工程と、
前記受信工程で前記ジョブと前記情報とを受信した場合に、前記入力工程で入力された生体情報と、前記記憶手段に記憶された生体情報とに基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合に前記受信工程で受信したジョブを実行するよう制御する制御工程と、
を備えることを特徴とするジョブ処理装置の制御方法。
【請求項9】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記ジョブ処理装置によって実行されるジョブと、当該ジョブを実行するために前記記憶手段に記憶された生体情報を用いた認証が必要であることを示す情報を、前記ジョブ処理装置に送信する送信工程を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−211531(P2010−211531A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57127(P2009−57127)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】