説明

情報処理システム、及び視聴効果測定方法

【課題】不特定多数の視聴者の属性を収集して視聴効果を測定すること。
【解決手段】映像又は音声を含むコンテンツを再生するコンテンツ再生部、を備える視聴装置と、自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶している記憶部、及び、前記コンテンツについての前記ユーザによる操作に関する情報を伴うことなく、前記記憶部に記憶している前記ユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データを送信するデータ送信部、を備える無線通信装置と、前記視聴者データに基づいて前記視聴装置により再生された前記コンテンツの視聴効果を解析する解析部、を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及び視聴効果測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン番組の広告効果を測る指標として、又は放送される番組内で扱われる事物に対する視聴者の関心度を表す指標として、視聴率測定装置により測定された視聴率が広く用いられている。一般的な視聴率測定装置は、視聴チャンネルに対応するテレビジョン信号が受像機のアンテナ線に漏洩する現象を利用して当該アンテナ線から視聴チャンネルを検出し、検出した視聴チャンネルに関する情報を通信網を介してセンタへ送信する。
【0003】
また、上記視聴チャンネルの検出と共に、視聴者がテレビ放送を視聴する際に自身の属性を手動で通知することにより、視聴者階層別の視聴率情報を収集するシステムも実用化されている。視聴者階層別の視聴率情報は、視聴者の階層ごとの視聴傾向を把握できる点で、テレビジョン番組の編成やスポンサーの広告戦略の決定のために有益な情報となる。しかし、こうしたシステムでは、個人の属性を視聴者自身が通知しなければならず、視聴者の操作負担が大きいこと、また正確な情報の収集が難しいことなどの問題があった。
【0004】
これに対し、下記特許文献1には、視聴者を撮像して得た画像を、事前に登録しておいた辞書画像と照合することにより、視聴者による操作を必要とすることなく視聴者の属性を収集する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3974953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の手法では、予め視聴者の候補が限定された一世帯内での視聴などには有効であるものの、例えば街頭の大型テレビジョンの場合など、不特定多数の視聴者が想定される状況下では視聴者の特定が困難であり有効ではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、不特定多数の視聴者の属性を収集して視聴効果を測定することのできる、新規かつ改良された情報処理システム、及び視聴効果測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、映像又は音声を含むコンテンツを再生するコンテンツ再生部、を備える視聴装置と、自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶している記憶部、及び、上記コンテンツについての上記ユーザによる操作に関する情報を伴うことなく、上記記憶部に記憶している上記ユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データを送信するデータ送信部、を備える無線通信装置と、上記視聴者データに基づいて上記視聴装置により再生された上記コンテンツの視聴効果を解析する解析部、を備える情報処理装置と、を含む情報処理システムが提供される。
【0009】
かかる構成によれば、映像又は音声を含むコンテンツが、視聴装置のコンテンツ再生部により再生される。また、再生されたコンテンツの視聴者の保有する無線通信装置の記憶部には、当該視聴者と関連付けられたユーザデータが記憶されており、無線通信装置のデータ送信部からユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データが送信される。そして、視聴者データを受信した情報処理装置の解析部は、当該視聴者データに基づいて視聴装置により再生されたコンテンツの視聴効果を解析する。
【0010】
また、上記データ送信部は、上記視聴者データを一定の周期で継続的に送信してもよい。
【0011】
また、上記視聴者データは、ユーザを識別するユーザ識別子を含み、上記情報処理装置は、各ユーザの属性データを上記ユーザ識別子と関連付けて保持しているユーザデータ保持部、をさらに備え、上記解析部は、上記視聴者データから上記ユーザ識別子を抽出し、抽出した当該ユーザ識別子と関連付けられた上記属性データを上記ユーザデータ保持部から取得して上記コンテンツの視聴効果を解析してもよい。
【0012】
また、上記視聴者データは、ユーザを識別するユーザ識別子を含み、上記視聴装置は、上記コンテンツ再生部により再生された上記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、上記情報処理装置は、各ユーザの顔画像データを上記ユーザ識別子と関連付けて保持している顔画像データ保持部、をさらに備え、上記解析部は、上記視聴者データから上記ユーザ識別子を抽出し、抽出した当該ユーザ識別子と関連付けられた顔画像が上記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている視聴者データのみに基づいて、上記コンテンツの視聴効果を解析してもよい。
【0013】
また、上記視聴装置は、上記コンテンツ再生部により再生された上記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、上記解析部は、上記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている人物の顔の向きに基づいて判定された当該人物の上記コンテンツに対する関心度を用いて、上記コンテンツの視聴効果を解析してもよい。
【0014】
また、上記視聴装置は、上記コンテンツ再生部により再生された上記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、上記解析部は、上記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて判定された当該画像に含まれている人物の性別及び/又は年齢層を含む属性データを用いて、上記コンテンツの視聴効果を解析してもよい。
【0015】
また、上記情報処理装置は、各ユーザの顔画像データを上記属性データと関連付けて保持している顔画像データ保持部、をさらに備え、上記解析部は、上記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている人物の顔領域を上記顔画像データ保持部により保持されている上記顔画像データと照合して特定した当該人物の上記属性データを用いて、上記コンテンツの視聴効果を解析してもよい。
【0016】
また、上記情報処理装置は、上記コンテンツを再生するためのコンテンツデータを上記視聴装置へ配信するコンテンツ配信部と、上記解析部による視聴効果の解析結果に応じて上記コンテンツ配信部により配信されるコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、をさらに備えてもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、視聴装置において、映像又は音声を含むコンテンツを再生するステップと、再生された上記コンテンツの視聴者の保有する無線通信装置から、上記コンテンツについての当該視聴者による操作に関する情報を伴うことなく、当該視聴者と関連付けられたユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データを送信するステップと、情報処理装置において、上記視聴者データを受信し、受信した当該視聴者データに基づいて上記視聴装置により再生された上記コンテンツの視聴効果を解析するステップと、を含む視聴効果測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る情報処理システム、及び視聴効果測定方法によれば、不特定多数の視聴者の属性を収集して視聴効果を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る視聴装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る信号の送受信タイミングの一例を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態の変形例に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態に係る視聴装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態に係る無線通信装置及び通信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係る信号の送受信タイミングの一例を示す説明図である。
【図11】第3の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す模式図である。
【図12】第3の実施形態に係る視聴装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第3の実施形態に係る信号の送受信タイミングの一例を示す説明図である。
【図15】第4の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す模式図である。
【図16】第4の実施形態に係る視聴装置の構成を示すブロック図である。
【図17】第4の実施形態に係る属性検出部の処理の一例を説明するための説明図である。
【図18】第4の実施形態において集計される視聴者データの一例を示す説明図である。
【図19】第4の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図20】汎用コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
〔1〕第1の実施形態
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム100の概要について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム100の構成を示す模式図である。図1を参照すると、情報処理システム100は、情報処理装置110、視聴装置140、及び無線通信装置170を含む。
【0023】
情報処理装置110は、典型的には、汎用的なコンピュータを用いて実現される。情報処理装置110は、例えば、視聴装置140に映像データ又は音声データを含むコンテンツデータを配信する。また、情報処理装置110は、例えば、視聴装置140から後に詳しく述べる視聴者データを受信し、当該視聴者データの解析結果に応じて視聴装置140に配信するコンテンツを選択する。
【0024】
情報処理装置110と視聴装置140は、任意の通信網により相互に接続される。情報処理装置110と視聴装置140の間の通信網は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、又はVPN(Virtual Private Network)などにより実現され得る。
【0025】
視聴装置140は、典型的には、表示装置を備える端末装置として実現される。視聴装置140は、例えば、情報処理装置110から配信されたコンテンツデータを受信し、コンテンツを表示装置上に再生する。例えば、視聴装置140の備える表示装置が街頭の大型テレビジョンであった場合には、視聴装置140の再生するコンテンツの視聴者は、不特定多数の視聴者となり得る。
【0026】
視聴装置140と無線通信装置170は、任意の無線通信網により相互に接続される。視聴装置140と無線通信装置170の間の無線通信網は、例えば、IEEE802.11a、b、g、nなどに準拠する無線LAN、IEEE802.15.1に準拠するBluetooth(登録商標)、又はIMT(International Mobile Telecommunication)2000等に準拠する携帯電話用の通信プロトコルなどにより実現され得る。
【0027】
無線通信装置170は、典型的には、無線通信機能を備えた通信端末として実現される。無線通信装置170は、例えば、自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶しており、所定のタイミングで当該ユーザデータの一部又は全部を前述の無線通信機能を用いて送信する。ここで、ユーザデータを記憶するための記録媒体は、必ずしも無線通信装置170と一体に構成されていなくてもよい。即ち、ユーザデータを記憶する記録媒体は、例えば使用時に無線通信装置170に装着されるICカードやRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどであってもよい。
【0028】
図1では視聴装置140を1つのみ示しているが、本実施形態において、1つの情報処理装置110に対し視聴装置140は複数存在してもよい。また、図1では無線通信装置170として無線通信装置170Aと無線通信装置170の2つの装置を示しているが、本実施形態において、1つの視聴装置140に対し無線通信装置170の数は1つ以上の任意の数であってよい。
【0029】
次に、図2〜図5を用いて、本実施形態に係る情報処理装置110、視聴装置140、及び無線通信装置170の論理的な構成を詳細に説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置110の論理的な構成を示すブロック図である。図2を参照すると、情報処理装置110は、コンテンツ保持部112、コンテンツ配信部114、解析部116、及びコンテンツ選択部118を備える。
【0031】
コンテンツ保持部112は、典型的にはハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置を用いて、情報処理装置110から配信されるコンテンツのコンテンツデータ、及びコンテンツの特徴を表す特徴データなどを保持している。
【0032】
コンテンツ配信部114は、コンテンツ保持部112に保持されている前述のコンテンツデータを取得し、例えば映像データを映像パケットに分割した後、通信網を介して視聴装置140へ配信する。コンテンツ配信部114により配信されるコンテンツは、動作開始後の初期段階では、事前に定義された配信スケジュールに従って順次選択される。また、動作開始後一定の時間が経過すると、コンテンツ配信部114により配信されるコンテンツは、後述するように、視聴効果の解析結果に応じてコンテンツ選択部118によって選択される。
【0033】
解析部116は、視聴装置140又は無線通信装置170から視聴者データを受信し、受信した視聴者データに基づいて視聴装置140により再生されたコンテンツの視聴効果を解析する。ここで、解析部116による視聴効果の解析に用いられる視聴者データには、コンテンツを識別するためのコンテンツ識別子、視聴者の性別や年齢層などの属性、コンテンツの再生時刻若しくは視聴時刻などが含まれる。そして、解析部116は、かかる視聴者データに基づいて、例えばコンテンツ識別子ごとの視聴者数、又は属性若しくは視聴時刻ごとの視聴者数などを計算し、それらを解析結果としてコンテンツ選択部118及び外部システム(図示せず)へ出力する。
【0034】
コンテンツ選択部118は、解析部116から出力される視聴効果の解析結果に応じて、コンテンツ配信部114に配信させるべきコンテンツを選択し、選択指示信号を出力する。例えば、視聴効果の解析結果により若い女性層の視聴者の割合が多いことが示されている場合には、コンテンツ選択部118は、コンテンツ保持部112に保持されている前述した特徴データから若い女性層向きであると判断されるコンテンツを、より多く選択してもよい。
【0035】
また、解析部116から出力される視聴効果の解析結果を受信した外部システムでは、当該解析結果を用いて、例えば広告費を算定し又は広告戦略を策定する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る視聴装置140の論理的な構成を示すブロック図である。図3を参照すると、視聴装置140は、コンテンツ受信部142、コンテンツ再生部144、駆動部146、及び視聴者データ中継部148を備える。
【0037】
コンテンツ受信部142は、例えば、情報処理装置110のコンテンツ配信部114により配信されるコンテンツデータを受信し、コンテンツ再生部144にコンテンツを再生させる。また、コンテンツ受信部142は、コンテンツデータの中からコンテンツの切れ目を検出し、駆動部146に駆動信号を出力する。例えば、コンテンツ受信部142は、コンテンツ配信部114により配信されるコンテンツデータに含まれるコンテンツ識別子が変化した時点を、コンテンツの切れ目と判断することができる。
【0038】
コンテンツ再生部144は、コンテンツ受信部142から入力されたコンテンツデータを復調、復号化して、視聴装置140の有する表示装置上にコンテンツを再生する。コンテンツ再生部144により再生されたコンテンツは、例えば、図1に示した無線通信装置170を保有又は携行する視聴者により視聴される。
【0039】
駆動部146は、コンテンツ受信部142から駆動信号を入力されると、一定の周期(例えば15秒ごと)で自装置の周囲の装置に視聴者データの提供を促す問合せ信号を無線で出力する。本実施形態において、駆動部146から出力される問合せ信号には、駆動信号に含まれるコンテンツ識別子及びコンテンツの再生時刻が含まれるものとする。
【0040】
視聴者データ中継部148は、前述した駆動信号を受信した無線通信装置170から送信される視聴者データを受信し、受信した視聴者データを情報処理装置110へ中継する。また、視聴者データ中継部148は、視聴者データを中継する際、例えばコンテンツ識別子、視聴者の属性若しくは視聴時刻ごとに視聴者数などを集計し、集計後の視聴者データを情報処理装置110へ送信してもよい。
【0041】
図4は、本実施形態に係る無線通信装置170の論理的な構成を示すブロック図である。図4を参照すると、無線通信装置170は、無線通信部172、記憶部174、及びデータ送信部176を備える。
【0042】
無線通信部172は、無線通信装置170が周囲の装置との間で無線通信をするための通信インタフェースである。無線通信部172は、例えば、視聴装置140の駆動部146から送信された前述の問合せ信号を受信し、復調、復号化する。また、無線通信部172は、例えば、後述するデータ送信部176から送信される視聴者データを符号化、変調し、視聴装置140又は情報処理装置110へ送信する。
【0043】
記憶部174は、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置、又は使用時に無線通信装置170に装着されるICカードやRFIDタグなどを用いて、自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶している。ここで、記憶部174に記憶されるユーザデータには、例えばユーザを識別するユーザ識別子、及びユーザの性別や年齢、嗜好などを示す属性データが含まれる。そして、かかるユーザデータの一部又は全部は、視聴装置140の駆動部146から送信された問合せ信号を検知したデータ送信部176により取得される。
【0044】
データ送信部176は、無線通信部172により前述の問合せ信号が受信されると、記憶部174から前述のユーザデータの一部又は全部を取得し、それらを視聴者データとして無線通信部172から視聴装置140又は情報処理装置110へ送信させる。また、データ送信部176は、受信した問合せ信号に含まれるコンテンツ識別子やコンテンツの再生時刻(即ち視聴時刻)などを、視聴者データに含めて送信してもよい。
【0045】
図5は、本実施形態において情報処理システム100内で送受信される信号又は情報の送受信タイミングを示す説明図である。
【0046】
図5の例では、時間軸に沿って、情報処理装置110から視聴装置140へ、コンテンツC1、コンテンツC2、及びコンテンツC3が順に配信されている(A)。また、情報処理装置110から視聴装置140へ配信されるコンテンツデータには、コンテンツ識別子“C1”、“C2”、及び“C3”がそれぞれ含まれる(B)。
【0047】
そして、各コンテンツデータを受信した視聴装置140では、コンテンツ受信部142によりコンテンツ識別子が変化した時点が検出され、駆動信号が出力される(C)。また、駆動信号の入力をきっかけとして、駆動部146により周期的に問合せ信号が無線で送信される。(D)
【0048】
さらに、駆動部146から問合せ信号を受信した無線通信装置170は、問合せ信号に対する応答として、自装置が記憶しているユーザデータの一部又は全部を視聴者データとして送信する(E)。
【0049】
そして、例えば2つの無線通信装置170A及び170Bから視聴者データを受信した視聴装置140は、視聴者データ中継部148により視聴者データを集計した後、集計後の視聴者データを情報処理装置110へ送信する(F)。
【0050】
ここまで、図1〜図5を用いて、本発明の第1の実施形態について説明した。本実施形態によれば、コンテンツの再生/視聴タイミングに同期して送信される視聴装置140からの問合せ信号に応じて、視聴者が携行する無線通信装置170から視聴者データが収集される。それにより、どのような属性を持つ視聴者がコンテンツを視聴しているかを判別することができるため、不特定多数の視聴者が想定される場所においても視聴効果を測定することが可能となる。
【0051】
なお、図2では、無線通信装置170から送信される視聴者データに含まれる属性データ等を用いて、情報処理装置110により視聴効果を解析する例を示した。しかしながら、その代わりに、情報処理装置110にユーザ識別子と関連付けられる属性データを保持しておき、その属性データを用いて視聴効果を解析してもよい。
【0052】
図6は、本実施形態の一変形例に係る情報処理装置110の論理的な構成を示すブロック図である。図6を参照すると、情報処理装置110は、コンテンツ保持部112、コンテンツ配信部114、解析部117、コンテンツ選択部118、及びユーザデータ保持部120を備える。
【0053】
本変形例において、ユーザデータ保持部120は、情報処理システム100における視聴効果の測定に参加するユーザの属性データをユーザ識別子と関連付けて保持している。ユーザデータ保持部120に保持される属性データとしては、例えばユーザの性別や年齢、嗜好などを示すデータが含まれる。そして、かかる属性データは、視聴者データを受信した解析部117からの要求に応じてユーザデータ保持部120から出力される。
【0054】
ここで、本変形例において、無線通信装置170から送信される視聴者データには、コンテンツの視聴者のユーザデータのうち、ユーザ識別子以外の属性データを含まなくてよい。その代わりに、当該視聴者データを受信した解析部117は、視聴者データからユーザ識別子を抽出し、そのユーザ識別子に関連付けられた属性データをユーザデータ保持部120から取得することができる。その場合には、解析部117は、ユーザデータ保持部120から取得した属性データを用いてコンテンツの視聴効果を解析し、解析結果をコンテンツ選択部118及び外部システム(図示せず)へ出力する。
【0055】
図6を用いて説明した本実施形態の変形例によれば、ユーザの属性データが通信網を介して送受信されないため、視聴効果の測定のための情報収集に伴う情報漏洩のリスクを低減させることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、コンテンツ配信部114により配信されるコンテンツデータにコンテンツ識別子を含めておくこととしたが、その代わりに、コンテンツ識別子は他の通信チャンネルを用いて情報処理装置110から視聴装置140へ送信されてもよい。
【0057】
また、視聴装置140の駆動部146は、無線通信装置170へ送信する問合せ信号に必ずしもコンテンツ識別子を含めなくてもよい。その場合、例えば、問合せ信号を受信した無線通信装置170のデータ送信部176は、自装置の保持するユーザ識別子と視聴時刻とを視聴者データに含めて送信する。そして、かかる視聴者データを受信した情報処理装置110の解析部116は、視聴者データに含まれる視聴時刻と情報処理装置110の保持するコンテンツの配信スケジュールとを照合することにより、どのコンテンツをどのユーザが視聴したのかを把握することができる。
【0058】
また、無線通信装置170は、視聴装置140からの問合せ信号を待つことなく視聴者データを送信してもよい。例えば、無線通信装置170のデータ送信部176が周期的に自装置の保持するユーザ識別子と時刻とを含む視聴者データを送信した場合にも、不特定多数の視聴者が想定される場所において視聴効果を測定することが可能となる。
【0059】
〔2〕第2の実施形態
次に、図7〜図10を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0060】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理システム200の構成を示す模式図である。図7を参照すると、情報処理システム200は、情報処理装置110、視聴装置240、無線通信装置270、及び通信装置290を含む。
【0061】
本実施形態では、視聴装置240の備える表示装置上に再生されたコンテンツは、無線通信装置270を保有するユーザにより視聴される。そして、第1の実施形態と同様、例えば、視聴装置240の備える表示装置が街頭の大型テレビジョンであった場合には、コンテンツの視聴者は、不特定多数の視聴者となり得る。
【0062】
本実施形態において、視聴者データは、コンテンツの視聴時に無線通信装置270から送信されるのではなく、コンテンツの視聴後に無線通信装置270と接続された通信装置290を介して情報処理装置110へ送信される。
【0063】
ここで、無線通信装置270と通信装置290の間は、例えばUSB(Universal Serial Bus)やIEEE1394などの標準規格に従った有線通信、又はNFC(Near Field Communication)などの標準規格に従った無線通信により接続され得る。また、通信装置290と情報処理装置110の間は、例えば、インターネット、LAN、WAN、専用線、又はVPNなど任意の通信網によって接続される。
【0064】
また、図7では視聴装置240を1つのみ示しているが、視聴装置240は複数存在してもよい。また、1つの視聴装置240に対し無線通信装置270は1つ以上の任意の数だけ存在してもよい。
【0065】
図8は、本実施形態に係る視聴装置240の論理的な構成を示すブロック図である。図8を参照すると、視聴装置240は、コンテンツ受信部142、コンテンツ再生部144、及び駆動部146を備える。図8から理解されるように、本実施形態に係る視聴装置240は、図3に関連して説明した第1の実施形態に係る視聴装置140の視聴者データ中継部148を省略した構成を有する。
【0066】
一方、図9は、本実施形態に係る無線通信装置270及び通信装置290の論理的な構成を示すブロック図である。図9を参照すると、無線通信装置270は、無線通信部272、記憶部274、及びデータ送信部276を備える。また、通信装置290は、操作部292及び通信部294を備える。
【0067】
無線通信部272は、無線通信装置270が周囲の装置との間で無線通信をするための通信インタフェースである。無線通信部272は、第1の実施形態と同様に視聴装置240の駆動部146から送信される問合せ信号を受信し、復調、復号化する。
【0068】
記憶部274は、第1の実施形態と同様、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置、又は使用時に無線通信装置270に装着されるICカードやRFIDタグなどを用いて、自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶している。また、記憶部274は、後述するデータ送信部276が情報処理装置110へ送信する視聴者データに含まれるコンテンツ識別子等を一時的に蓄積する。
【0069】
データ送信部276は、無線通信部272により前述の問合せ信号が受信されると、問合せ信号に含まれるコンテンツ識別子やコンテンツの再生時刻などを記憶部274に一時的に蓄積する。そして、データ送信部276は、例えば視聴者データの送信を要求する要求信号が入力されると、記憶部274に蓄積したコンテンツ識別子と記憶部274に記憶しているユーザデータの一部又は全部とを含む視聴者データを、通信装置290の通信部294を介して情報処理装置110へ送信する。
【0070】
ここで、データ送信部276に視聴者データの送信を要求する要求信号は、例えば、コンテンツの視聴後に無線通信装置270と接続された通信装置290の操作部292からデータ送信部276へ入力される。
【0071】
通信装置290の操作部292は、例えばボタン、スイッチ、レバー、マウスやキーボードなどの入力装置を用いてユーザからの指示又は情報入力を受け付け、前述したデータ送信を要求する要求信号などの入力信号を生成する。
【0072】
通信装置290の通信部294は、通信装置290が情報処理装置110との間で有線通信又は無線通信をするための通信インタフェースである。通信部294は、無線通信装置270のデータ送信部276から情報処理装置110への前述の視聴者データの送信を仲介する。
【0073】
図10は、本実施形態において情報処理システム200内で送受信される信号又は情報の送受信タイミングを示す説明図である。
【0074】
図10の例では、時間軸に沿って、情報処理装置110から視聴装置240へ、コンテンツC1、コンテンツC2、及びコンテンツC3が順に配信されている(A)。また、情報処理装置110から視聴装置240へ配信されるコンテンツデータには、コンテンツ識別子“C1”、“C2”、及び“C3”がそれぞれ含まれる(B)。
【0075】
そして、各コンテンツデータを受信した視聴装置240では、コンテンツ受信部142によりコンテンツ識別子が変化した時点が検出され、駆動信号が出力される(C)。また、駆動信号の入力をきっかけとして、駆動部146により周期的に問合せ信号が出力される(D)。
【0076】
駆動部146により出力された問合せ信号を受信した無線通信装置270は、問合せ信号に含まれるコンテンツ識別子やコンテンツの再生時刻などを記憶部274に一時的に蓄積する。そして、コンテンツを視聴したユーザが例えば自宅などに設置された通信装置290に無線通信装置270を接続し、視聴者データの送信を要求する操作を行うことにより、前述した視聴者データが無線通信装置270から情報処理装置110へ送信される(E)。
【0077】
その後、無線通信装置270から情報処理装置110へ送信された視聴者データは、第1の実施形態と同様、情報処理装置110の解析部116によって解析され、コンテンツの選択又は広告費の算定若しくは広告戦略の策定などに用いられる。
【0078】
ここまで、図7〜図10を用いて、本発明の第2の実施形態について説明した。本実施形態によれば、コンテンツの再生/視聴タイミングに同期して視聴装置240から送信される問合せ信号に応じて、視聴されたコンテンツに関する情報が視聴者により携行される無線通信装置270に蓄積される。そして、視聴者による操作をきっかけとして、無線通信装置270に蓄積されたコンテンツに関する情報とユーザデータとを含む視聴者データが収集される。それにより、不特定多数の視聴者が想定される場所においても視聴効果を測定することが可能となり、また視聴者の意思に応じて視聴者のプライバシーを保護することも可能となる。
【0079】
〔3〕第3の実施形態
次に、図11〜図14を用いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0080】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システム300の構成を示す模式図である。図11を参照すると、情報処理システム300は、情報処理装置310、視聴装置340、及び無線通信装置170を含む。また、視聴装置340には撮像部352が追加的に設けられる。
【0081】
ここで、図11では視聴装置340を1つのみ示しているが、視聴装置340は複数存在してもよい。また、1つの視聴装置340に対し無線通信装置170は1つ以上の任意の数だけ存在してもよい。
【0082】
図12は、本実施形態に係る視聴装置340の論理的な構成を示すブロック図である。図12を参照すると、視聴装置340は、コンテンツ受信部342、コンテンツ再生部144、駆動部146、視聴者データ中継部148、及び撮像部352を備える。
【0083】
コンテンツ受信部342は、情報処理装置310のコンテンツ配信部114により配信されるコンテンツデータを受信し、コンテンツ再生部144にコンテンツを再生させる。また、コンテンツ受信部342は、例えばコンテンツデータに含まれるコンテンツ識別子が変化した時点で、駆動部146及び撮像部352に駆動信号を出力する。
【0084】
撮像部352は、コンテンツを再生する表示装置の周囲に配置され視聴者の存在する方向に向けられた撮像装置を用いて視聴者を撮像し、撮像した画像(以下、撮像画像という)を情報処理装置310へ送信する。例えば、撮像部352による撮像は、コンテンツ再生部144によりコンテンツが再生されている間、駆動部146による問合せ信号の出力と同様の周期で継続的に行われる。
【0085】
図13は、本実施形態に係る情報処理装置310の論理的な構成を示すブロック図である。図13を参照すると、情報処理装置310は、コンテンツ保持部112、コンテンツ配信部114、解析部316、コンテンツ選択部118、及び顔画像データ保持部324を備える。
【0086】
本実施形態において、顔画像データ保持部324は、情報処理システム300における視聴効果の測定に参加するユーザの顔画像データをユーザ識別子と関連付けて保持している。そして、かかる顔画像データは、視聴者データを受信した解析部316からの要求に応じて顔画像データ保持部324から出力される。また、顔画像データ保持部324は、さらにユーザ識別子と関連付けて、例えばユーザの性別や年齢、嗜好などを示す属性データを保持している。
【0087】
解析部316は、視聴装置140又は無線通信装置170から視聴者データを受信すると、視聴者データに含まれるユーザ識別子を抽出する。また、解析部316は、抽出したユーザ識別子に関連付けられた顔画像データを顔画像データ保持部324から取得する。そして、解析部316は、視聴装置340の撮像部352から前述した撮像画像を受信すると、ユーザ識別子に関連付けられた顔画像を受信した撮像画像と照合し、撮像画像に視聴者の顔画像が含まれているかを判定する。ここで、照合の方法としては、画像から人物の顔を切り出す方法及び画像同士を照合する方法として公知のものを組み合わせて適用することができる。
【0088】
解析部316による照合の結果、視聴者データに含まれるユーザ識別子に関連付けられた顔画像が撮像部352から受信した撮像画像に含まれていると判定された場合には、解析部316は、さらに当該ユーザ識別子に関連付けられたユーザの属性データを取得する。そして、解析部316は、取得した属性データ及び視聴者データに含まれるコンテンツ識別子や視聴時刻などを用いて、例えばコンテンツ識別子ごとの視聴者数、又は属性若しくは視聴時刻ごとの視聴者数などを計算し、それらを解析結果として出力する。
【0089】
一方、解析部316による照合の結果、視聴者データに含まれるユーザ識別子に関連付けられた顔画像が撮像部352から受信した撮像画像に含まれていないと判定された場合には、解析部316は、受信した視聴者データを視聴効果の解析対象から除外する。
【0090】
図14は、本実施形態において情報処理システム300内で送受信される信号又は情報の送受信タイミングを示す説明図である。
【0091】
図14の例では、時間軸に沿って、情報処理装置310から視聴装置340へ、コンテンツC1、コンテンツC2、及びコンテンツC3が順に配信されている(A)。また、情報処理装置310から視聴装置340へ配信されるコンテンツデータには、コンテンツ識別子“C1”、“C2”、及び“C3”がそれぞれ含まれる(B)。
【0092】
そして、各コンテンツデータを受信した視聴装置340では、コンテンツ受信部342によりコンテンツ識別子が変化した時点が検出され、駆動信号が出力される(C)。また、駆動信号の入力をきっかけとして、駆動部146により周期的に問合せ信号が出力される(D)。
【0093】
また、駆動部146により出力された問合せ信号を受信した無線通信装置170は、問合せ信号に対する応答として、例えば自装置が記憶しているユーザ識別子及び問合せ信号に含まれるコンテンツ識別子等を視聴者データとして送信する(E)。無線通信装置170から送信された視聴者データは、視聴装置340によって中継され、情報処理装置310により受信される。
【0094】
さらに、駆動部146による問合せ信号の出力と同様のタイミングで、視聴装置340から情報処理装置310へ視聴者を撮像した撮像画像が送信される(F)。
【0095】
そして、情報処理装置310において、視聴者データに含まれるユーザ識別子を用いて取得された顔画像が撮像画像と照合され、照合に成功した視聴者データに基づいて視聴効果の解析が行われる。
【0096】
ここまで、図11〜図14を用いて、本発明の第3の実施形態について説明した。本実施形態によれば、コンテンツの再生/視聴タイミングに同期して送信される視聴装置340からの問合せ信号に応じて、視聴者が携行する無線通信装置170から視聴者データが収集される。そして、収集された視聴者データのうち、視聴装置340により撮像された画像と情報処理装置310の保持している顔画像の照合に成功したデータのみが、視聴効果の解析対象となる。それにより、不正なユーザデータを設定している視聴者や表示装置に顔を向けていない関心度の低い視聴者が視聴効果の解析対象から除外されるため、不特定多数の視聴者についての視聴効果をより高い精度で測定することが可能となる
【0097】
なお、本実施形態では、情報処理装置310の解析部316において視聴者の顔画像と撮像画像とを照合する例について説明した。しかしながら、顔画像の照合機能を情報処理装置310ではなく視聴装置340が有していてもよい。例えば、情報処理装置310の解析部316から視聴装置340に顔画像データ又は顔画像の特徴量を受け渡し、視聴装置340において受け渡された顔画像データ又は顔画像の特徴量を撮像画像と照合することが考えられる。そうした場合には、解析部316は、照合の成功又は失敗を示す照合結果を視聴装置340から受信し、照合に成功した視聴者のみを視聴効果の解析対象とすることができる。
【0098】
〔4〕第4の実施形態
次に、図15〜図19を用いて、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0099】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る情報処理システム400の構成を示す模式図である。図15を参照すると、情報処理システム400は、情報処理装置410、視聴装置440、及び無線通信装置170を含む。また、第3の実施形態と同様、視聴装置440には撮像部452が設けられている。
【0100】
ここで、図15では視聴装置440を1つのみ示しているが、視聴装置440は複数存在してもよい。また、1つの視聴装置440に対し無線通信装置170は1つ以上の任意の数だけ存在してもよい。
【0101】
本実施形態において、視聴装置440は、例えば公共施設、店舗、又は企業や家庭内などに設置される。視聴装置440の備える表示装置は、例えば街頭の大型テレビジョンであってもよい。
【0102】
図16は、本実施形態に係る視聴装置440の論理的な構成を示すブロック図である。図16を参照すると、視聴装置440は、コンテンツ受信部342、コンテンツ再生部144、駆動部146、撮像部452、属性検出部454、及び視聴者データ集計部456を備える。
【0103】
撮像部452は、コンテンツを再生する表示装置の周囲に配置され視聴者の存在する方向に向けられた撮像装置を用いて視聴者を撮像し、撮像画像を属性検出部454へ出力する。例えば、撮像部452による撮像は、コンテンツ再生部144によりコンテンツが再生されている間、駆動部146による問合せ信号の出力と同様の周期で継続的に行われる。
【0104】
属性検出部454は、撮像部452から入力された撮像画像から視聴者の顔領域を特定し、特定した顔領域に含まれる顔の特徴を抽出して視聴者の属性を検出する。
【0105】
例えば、コンテンツ再生部144に広告コンテンツが再生されている場合、当該広告コンテンツの内容への関心度に応じて、視聴者が表示装置の前へ集まり、表示装置の方に顔を向けて視聴することが予想される。その場合、視聴者の顔の向きから推定される関心度を、視聴者の属性の1つとして取り扱うことができる。
【0106】
また、視聴者の年齢層及び性別も視聴者の属性の1つとして取り扱うことができる。例えば、テレビジョン番組の視聴率の分析に用いられる視聴者の年齢層及び性別を組み合わせた8種類の視聴者階層(M1、M2、M3、F1、F2、F3、キッズ、ティーン)を、視聴者の属性の1つとして検出してもよい。
【0107】
図17は、本実施形態に係る属性検出部454による視聴者の属性の検出処理をより具体的に説明するための説明図である。
【0108】
図17(A)は、コンテンツ再生部144によるコンテンツ再生中に撮像部452により撮像された画像の内容を示している。図17(A)を参照すると、撮像画像に4名の視聴者が映っている。一方、図17(B)は、図17(A)に示した撮像画像から推定した顔領域ごとの顔の向き及び検出された属性値を示している。
【0109】
図17(A)に示した撮像画像が入力されると、属性検出部454は、まず撮像画像に映っている視聴者の顔領域を特定する。顔領域の特定は、例えば、特開2007−94633により開示されている、デジタルカメラなどで実用化されている手法などにより行うことができる。図17(A)の例では、撮像画像から4つの顔領域A、B、C、Dが特定されている。
【0110】
さらに、属性検出部454は、顔領域が特定されると、例えば事前に定義された顔の向き、年齢層又は性別などの属性別の参照画像とのマッチング処理により、当該顔領域に含まれる視聴者の属性値を検出する。参照画像とのマッチング処理は、公知の任意のパターン認識法を用いて行うことができる。
【0111】
図17(B)を参照すると、顔領域Aの顔の向きは右45°、下45°と推定され、関心度は0.5を示している。また、顔領域Aの階層は、参照画像とのマッチング処理の結果、M3(50歳以上の男性)と判定されている。同様に、顔領域Bの顔の向きは左45°、下45°と推定され、関心度は0.5を示している。また、顔領域Bの階層はF1(20歳〜34歳の女性)と判定されている。これに対し、顔領域C及びDの顔の向きは正面を向いていると推定され、関心度は積極的な視聴を表す1を示している。また、顔領域Cの階層はM1(20歳〜34歳の男性)、顔領域Dの階層はティーン(13歳〜19歳の男女)と判定されている。
【0112】
属性検出部454は、撮像画像から検出したこのような視聴者の属性値を顔属性データとして視聴者データ集計部456へ出力する。
【0113】
視聴者データ集計部456は、例えば、属性検出部454から出力された顔属性データを集計し、無線通信装置170から送信された視聴者データに含めて情報処理装置410へ送信する。
【0114】
図18は、視聴者データ集計部456による顔属性データの集計処理の一例を説明するための説明図である。図18の左半分には階層別の視聴者数、右半分には階層別の視聴者数のうちコンテンツに高い関心度を示した積極視聴者数が示されている。
【0115】
図18を参照すると、11時〜12時の時間帯(“11−12”)に再生されたコンテンツに対し、階層別の視聴者数は、M1、M3、F1、ティーンがそれぞれ1人、その他の階層は0人であったことが分かる。また、階層別の積極視聴者数は、M1及びティーンがそれぞれ1人、その他の階層は0人であったことが分かる。ここで、視聴者数とは、例えば図17に示した撮像画像内で検出された顔領域の数に対応する。また、積極視聴者数とは、例えば図17に示した撮像画像内で検出された顔領域のうち、顔の向きが正面を向いており関心度が1であった数などに対応する。
【0116】
視聴者データ集計部456は、例えば、このように集計した階層別の視聴者数及び階層別の積極視聴者数を、視聴者データに含めて情報処理装置410へ送信する。但し、本実施形態において、必ずしも無線通信装置170から視聴者データが送信されなくてもよい。その場合には、視聴者データ集計部456は、例えば図18に示したように集計した階層別の視聴者数及び階層別の積極視聴者数のみをコンテンツ識別子と共に視聴者データとして情報処理装置410へ送信する。
【0117】
図19は、本実施形態に係る情報処理装置410の論理的な構成を示すブロック図である。図19を参照すると、情報処理装置410は、コンテンツ保持部112、コンテンツ配信部114、解析部416、及びコンテンツ選択部118を備える。
【0118】
解析部416は、視聴装置440から前述した視聴者データを受信し、受信した視聴者データに基づいて視聴装置440により再生されたコンテンツの視聴効果を解析する。例えば、解析部416は、前述した階層別の視聴者数及び階層別の積極視聴者数を複数の視聴装置440にわたって集計し、視聴効果を階層別に解析してもよい。解析部416による解析結果は、コンテンツ選択部118及び外部システム(図示せず)へ出力する。
【0119】
そして、解析部416による解析結果は、コンテンツ選択部118によるコンテンツの選択、又は外部システム(図示せず)による広告費の算定若しくは広告戦略の策定などに用いられる。例えば、コンテンツ選択部118は、ティーン層の視聴が最も積極的であることが解析結果により示されていれば、ティーン層に効果的な広告コンテンツを視聴装置440への配信対象として選択し、コンテンツ配信部114に指示を与えてもよい。
【0120】
ここまで、図15〜図19を用いて、本発明の第4の実施形態について説明した。本実施形態によれば、視聴者を撮像した撮像画像からコンテンツに対する視聴者の関心度や視聴者の年齢層、性別などの属性を検出し、検出した属性に基づいて集計した視聴者データを収集した。かかる構成によれば、不特定多数の視聴者について視聴の積極度までをも考慮した視聴効果を測定することが可能となり、より効果的なコンテンツ配信サービスが提供され得る。また、本実施形態では、無線通信装置170から必ずしもユーザの属性データを送信しなくてよいため、視聴効果測定に伴う情報漏洩のリスクを低減させることができる。
【0121】
なお、本実施形態では、視聴者の顔の向きから推定される関心度、視聴者の年齢層及び性別を検出する例について説明したが、これら視聴者の属性のうち一部の属性のみを検出することとしてもよい。例えば、視聴者の顔の向きから推定される関心度のみを検出した場合には、性別や年齢層を問わないコンテンツの価値を測ることができる。また、視聴者の年齢層及び性別のみを検出した場合には、コンテンツに対する階層別の視聴度合いを測ることができる。
【0122】
また、本実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてもよい。即ち、例えばユーザの顔画像データと属性データを予め関連付けて保持しておき、撮像画像から特定した顔領域と保持しておいた顔画像とを照合して視聴者の属性を特定することにより、属性検出部454の処理のうち年齢層及び性別の検出を省略することができる。
【0123】
〔5〕その他の変形例
本明細書では、視聴者が保有又は携行する無線通信装置から視聴者データを送信させ、また視聴装置に撮像装置を設けて視聴者を撮像することにより、不特定多数の視聴者の属性を収集して視聴効果を測定する4つの実施形態について説明した。ここで、視聴者データに含める情報は、本明細書で例示した情報に限られず、視聴効果の測定に有効な任意の情報であってよい。
【0124】
例えば、第1の実施形態では問合せ信号にコンテンツ識別子とコンテンツの再生時刻を含める例について説明したが、さらに問合せ信号にコンテンツの再生場所を識別する識別コードを含めてもよい。そして、無線通信装置から送信する視聴者データに問合せ信号から取得した当該識別コードを含めることで、視聴場所ごとの視聴効果の測定が可能となる。
【0125】
また、例えば、問合せ信号に、当該問合せ信号への応答(即ち無線通信装置から送信する視聴者データ)に含まれるべきユーザデータの種類を指定する情報を含めてもよい。例えば、図6に示した例では、ユーザ識別子、年齢層及び性別の3種類のユーザデータのうちユーザ識別子のみを収集すれば視聴効果の解析が可能となる。そうした場合には、問合せ信号においてユーザ識別子のみを視聴者データに含むように指定し、他の情報の出力を制限することで、視聴者のプライバシーの保護をより重視した構成とすることができる。
【0126】
また、例えば、問合せ信号に、当該問合せ信号に対して応答すべき装置を指定する応答条件を含めてもよい。応答条件とは、例えば、特定の年齢層又は特定の性別などユーザの属性を指定する条件などとすることができる。その場合、例えばデータ送信部は、受信した問合せ信号に含まれる応答条件を自装置が満たす場合、即ち、自装置が保持しているユーザデータが応答条件を満たす場合にのみ、視聴者データを送信する。そうすることにより、例えば女性のみを対象とした視聴効果の測定を行いたい場合には、ユーザが女性である装置のみに応答を求める応答条件を指定するなど、対象の視聴者を限定した視聴効果の測定が可能となる。
【0127】
さらに、本明細書において説明した第1〜第4の実施形態に係る一連の処理をハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかは問わない。一連の処理又はその一部をソフトウェアで実行させる場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ、又は例えば図20に示した汎用コンピュータなどを用いて実行される。
【0128】
図20において、CPU(Central Processing Unit)902は、汎用コンピュータの動作全般を制御する。ROM(Read Only Memory)904には、一連の処理の一部又は全部を記述したプログラム又はデータが格納される。RAM(Random Access Memory)906には、CPU902が演算処理に用いるプログラムやデータなどが一時的に記憶される。
【0129】
CPU902、ROM904、及びRAM906は、バス908を介して相互に接続される。バス908にはさらに、入出力インタフェース910が接続される。
【0130】
入出力インタフェース910は、CPU902、ROM904、及びRAM906と、入力装置912、出力装置914、記憶装置916、通信装置918、及びドライブ920とを接続するためのインタフェースである。
【0131】
入力装置912は、例えばボタン、スイッチ、レバー、マウスやキーボードなどの入力装置を介して、ユーザからの指示や情報入力を受け付ける。出力装置914は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの表示装置、又はスピーカなどの音声出力装置を介してユーザに情報を出力する。
【0132】
記憶装置916は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどにより構成され、プログラム、プログラムデータ、コンテンツデータ又はユーザデータなどを記憶する。通信装置918は、LAN又はインターネットなどのネットワークを介する通信処理を行う。ドライブ920は、必要に応じて汎用コンピュータに設けられ、例えばドライブ920にはリムーバブルメディア922が装着される。
【0133】
第1〜第4の実施形態に係る一連の処理をソフトウェアで実行する場合には、例えば図20に示したROM904、記憶装置916、又はリムーバブルメディア922に格納されたプログラムが、実行時にRAM906に読み込まれ、CPU902によって実行される。
【0134】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0135】
例えば、第1〜第4の実施形態では、情報処理装置と視聴装置とを通信網を介して接続される別々の装置として説明したが、情報処理装置と視聴装置とを一体として構成してもよい。
【符号の説明】
【0136】
100、200、300、400 情報処理システム
110、310、410 情報処理装置
112 コンテンツ保持部
114 コンテンツ配信部
116、117、316、416 解析部
118 コンテンツ選択部
120 ユーザデータ保持部
324 顔画像データ保持部
140、240、340、440 視聴装置
142、342 コンテンツ受信部
144 コンテンツ再生部
146 駆動部
148 視聴者データ中継部
352、452 撮像部
454 属性検出部
456 視聴者データ集計部
170、270 無線通信装置
172、272 無線通信部
174、274 記憶部
176、276 データ送信部
290 通信装置
292 操作部
294 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像又は音声を含むコンテンツを再生するコンテンツ再生部、
を備える視聴装置と;
自装置を保有するユーザと関連付けられたユーザデータを記憶している記憶部、
及び、前記コンテンツについての前記ユーザによる操作に関する情報を伴うことなく、前記記憶部に記憶している前記ユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データを送信するデータ送信部、
を備える無線通信装置と;
前記視聴者データに基づいて前記視聴装置により再生された前記コンテンツの視聴効果を解析する解析部、
を備える情報処理装置と;
を含む情報処理システム。
【請求項2】
前記データ送信部は、前記視聴者データを一定の周期で継続的に送信する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記視聴者データは、ユーザを識別するユーザ識別子を含み、
前記情報処理装置は、各ユーザの属性データを前記ユーザ識別子と関連付けて保持しているユーザデータ保持部、をさらに備え、
前記解析部は、前記視聴者データから前記ユーザ識別子を抽出し、抽出した当該ユーザ識別子と関連付けられた前記属性データを前記ユーザデータ保持部から取得して前記コンテンツの視聴効果を解析する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記視聴者データは、ユーザを識別するユーザ識別子を含み、
前記視聴装置は、前記コンテンツ再生部により再生された前記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、
前記情報処理装置は、各ユーザの顔画像データを前記ユーザ識別子と関連付けて保持している顔画像データ保持部、をさらに備え、
前記解析部は、前記視聴者データから前記ユーザ識別子を抽出し、抽出した当該ユーザ識別子と関連付けられた顔画像が前記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている視聴者データのみに基づいて、前記コンテンツの視聴効果を解析する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記視聴装置は、前記コンテンツ再生部により再生された前記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、
前記解析部は、前記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている人物の顔の向きに基づいて判定された当該人物の前記コンテンツに対する関心度を用いて、前記コンテンツの視聴効果を解析する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記視聴装置は、前記コンテンツ再生部により再生された前記コンテンツの視聴者を撮像する撮像部、をさらに備え、
前記解析部は、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて判定された当該画像に含まれている人物の性別及び/又は年齢層を含む属性データを用いて、前記コンテンツの視聴効果を解析する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、各ユーザの顔画像データを前記属性データと関連付けて保持している顔画像データ保持部、をさらに備え、
前記解析部は、前記撮像部により撮像された撮像画像に含まれている人物の顔領域を前記顔画像データ保持部により保持されている前記顔画像データと照合して特定した当該人物の前記属性データを用いて、前記コンテンツの視聴効果を解析する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記コンテンツを再生するためのコンテンツデータを前記視聴装置へ配信するコンテンツ配信部と、
前記解析部による視聴効果の解析結果に応じて前記コンテンツ配信部により配信されるコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、
をさらに備える、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
視聴装置において、映像又は音声を含むコンテンツを再生するステップと;
再生された前記コンテンツの視聴者の保有する無線通信装置から、前記コンテンツについての当該視聴者による操作に関する情報を伴うことなく、当該視聴者と関連付けられたユーザデータの一部又は全部を含む視聴者データを送信するステップと;
情報処理装置において、前記視聴者データを受信し、受信した当該視聴者データに基づいて前記視聴装置により再生された前記コンテンツの視聴効果を解析するステップと;
を含む視聴効果測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−44721(P2012−44721A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260425(P2011−260425)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【分割の表示】特願2008−199595(P2008−199595)の分割
【原出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】