説明

情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム

【課題】ネットワークの技術的な知識のない一般ユーザでも簡単に移動通信端末をホームネットワークに参加させることを可能にする情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】ID管理装置100は第2端末120から接続要求があった場合、第2端末120と共通の識別子の端末を選択し接続要求を送信し、第1端末(131〜135)は接続要求があった場合、第1ネットワーク130内に割り当てた第1仮想アドレスを第2端末に送信し、第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する第1制御部を備え、第2端末は第2仮想ネットワーク・インタフェース、第1仮想アドレスに基づき自端末内に第1仮想アドレスを有する第2仮想ネットワーク・インタフェースを生成して第2仮想ネットワーク・インタフェースを用いて第1ネットワークに接続する第2制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な3G(第3世代移動通信システム)回線より高速な通信規格を採用した移動通信端末が利用され始めている。
また、ホームネットワーク・サービスもDLNA(Digital Living Network Alliance)といったガイドラインを中心とした様々なサービスが可能な製品がある。なお、DLNAとは、ホームネットワーク(家庭内LAN(Local Area Network))に接続された機器やコンテンツの相互接続方式のガイドラインである。ただし、3G回線より高速な通信規格は、通信キャリアのネットワークを介した通信であり、直接ホームネットワークに接続することはできない。
【0003】
例えば、移動通信端末がそのキャリア経由のネットワーク・デバイス(Network device)の他に、LANのソケット、または無線LAN機能を有している場合、移動通信端末のホームネットワークへの参加は、家庭内にその端末が存在する状態の時にネットワークを、それらのLANや無線LAN経由で利用するように設定を変更して行う。
利用者が移動通信端末を持って宅外に出た場合、接続していたキャリア経由のネットワークへの通信接続に戻るため、ホームネットワークとの接続性は失われてしまう。
【0004】
利用者が移動通信端末を持って宅外に出た場合でも、非特許文献1に記載のPacketiX(登録商標)や特許文献1に記載の技術を用いることで、移動通信端末は、ホームネットワークと接続することができる。PacketiX(登録商標)は、インターネットなどの TCP/IPネットワーク上に、仮想ハブ等の仮想ネットワーク機器を構築して、VPN(仮想プライベートネットワーク) を構築するためのソフトウェアである。また、特許文献1に記載の技術では、仮想ハブ等の仮想ネットワーク機器を用いず、端末のみで仮想LANを構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4529144号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】PacketiX VPN 3.0商品情報、[online], [2011/11/04 検索]、インターネット<URL:http://www.softether.co.jp/jp/vpn3/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの方式でホームネットワークにアクセス可能になるためには、ホームネットワーク内の全てのネットワーク・デバイスが、PacketiX(登録商標)や特許文献1に記載の技術に基づいたソフトウェアまたはハードウェアの機能を有している必要がある。
また、PacketiX(登録商標)においては、ソフトウェア上で仮想的なネットワークを構築するため、実際のネットワークを構築するように仮想ハブ(Hub)、仮想スイッチといったネットワーク機材を設計通りに配置する必要がある。また、特許文献1に記載の技術において、仮想LANを構築するための初期化情報をユーザが設計及び作成する必要がある。
【0008】
そして、仮想ハブ、仮想スイッチといったネットワーク機材を設計通りに配置したり、仮想LANを構築するための初期化情報を設計及び作成したりするためには、ネットワークに関して技術的な知識が必要である。このため、このようなネットワークの構築は、ネットワークの技術的な知識を有しない一般的なユーザには困難であるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ネットワークの技術的な知識のない一般ユーザでも簡単に移動通信端末をホームネットワークに参加させることを可能にする情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理システムは、第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置と、を備え、前記ID管理装置は、前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第2端末と共通の識別子の前記第1端末を選択し、選択した前記第1端末に前記接続要求を送信し、前記第1端末は、仮想的に構築された第1仮想ネットワーク・インタフェースと、前記接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当て、割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信し、前記第1ネットワーク内に前記第1仮想アドレスを有する前記第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する第1制御部と、を備え、前記第2端末は、仮想的に構築された第2仮想ネットワーク・インタフェースと、前記第1端末から受信した前記第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第2仮想ネットワーク・インタフェースを生成し、生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する第2制御部と、を備えることを特徴としている。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理方法は、第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける情報処理方法であって、前記第1端末の第1制御部が、前記ID管理装置を介して、前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当てる手順と、前記第1端末の第1制御部が、割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信する手順と、前記第1端末の第1制御部が、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、第2端末の第2制御部が、前記第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第2仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、第2端末の第2制御部が、生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する手順と、を含むことを特徴としている。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプログラムは、第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける第1端末のコンピュータに、前記ID管理装置を介して、前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当てる手順と、割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信する手順と、前記第1ネットワーク内に前記第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、を実行させることを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプログラムは、第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける第2端末のコンピュータに、前記第1端末が前記第1ネットワーク内に割り当てた第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、生成した前記第1仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する手順と、を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、第1端末、第2端末、及びID管理装置が、第2端末を、第1端末が接続されている第1ネットワークに自動的に接続するようにした。この結果、ネットワークの技術的な知識のない一般ユーザでも簡単に移動通信端末をホームネットワークに参加させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係るネットワークシステム1の構成の一例を説明する図である。
【図2】本実施形態に係るホームネットワーク130の各装置、及び移動通信端末120が備えるソフトウェアの構成の一例を説明する図である。
【図3】本実施形態に係るホームネットワーク130の各装置と移動通信端末120との通信手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図4】本実施形態に係るホームネットワーク130に割り当てられたアドレスの一例を説明する図である。
【図5】本実施形態に係るホームネットワーク130内の装置から、移動通信端末120の向きにパケットを送信する手順の一例を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る移動通信端末120から、ホームネットワーク130内の装置の向きにパケットを送信する手順の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の概要を説明する。
本実施形態において、移動通信端末は、通信キャリアの通信網(以下、移動通信キャリア網という)を介してインターネットに接続されている。一方、ホームネットワーク内の各装置は、例えばホームネットワーク内のルータを介し、さらにインターネット・プロバイダのネットワークを介してインターネットと接続されている。このような接続関係において、移動通信端末が、ホームネットワークに参加し、ホームネットワーク各装置とデータの送受信を行う。
そのために、移動通信端末とホームネットワーク内の装置は、接続ソフトウェア(プログラム)を実装している。また、移動通信端末とホームネットワーク内の装置は、予めID登録サーバに、利用者またはホームネットワークの識別子等を登録しておく。そして、移動通信端末が、ホームネットワーク内の装置とデータのやり取りを行う場合、登録した識別子を用いて、移動通信端末とホームネットワーク内の装置とは、登録サーバにログインする。ログイン後、ホームネットワーク内の装置の接続ソフトウェアは、ホームネットワーク内に、移動通信端末のためのIPアドレスを割り当て、割り当てたIPアドレスを移動通信端末に送信する。そして、移動通信端末は、このように割り当てられたIPアドレスを用いて、ホームネットワークに参加する。
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るネットワークシステム1の構成の一例を説明する図である。
図1に示すように、ネットワークシステム1は、ID管理サーバ100(ID管理装置)、リレーサーバ110、移動通信端末120(第2端末)、ホームネットワーク130(第1ネットワーク)により構成されている。
【0018】
ISP(インターネットサービスプロバイダ)−Aネットワーク140は、インターネットサービスのプロバイダのネットワークである。ISP−Aネットワーク140は、インターネット150に接続されている。
インターネット150(第2ネットワーク)は、インターネット・プロトコル技術を利用したネットワークである。
移動通信キャリア網160は、移動通信キャリアのネットワークである。移動通信キャリア網160は、移動通信キャリアの関門交換機(図示せず)を介してインターネット150に接続されている。なお、関門交換機は、移動通信キャリア網160とインターネット150との間で、プロトコル変換等を行う。
【0019】
ID管理サーバ100には、利用者またはホームネットワーク130を識別するための識別子であるIDが登録されている。このIDは、例えば、任意の文字列、メールのアカウント等である。また、IDは、例えば、利用者1人につき1個、またはホームネットワーク毎に1個である。ホームネットワーク130の識別のために用いられ、ホームネットワーク130を共有する家族でIDを共有するようにしてもよい。また、ID登録時に、ホームネットワーク130内の、後述する接続ソフトウェアが実装されている装置が有するCPU、及びメモリなどのシステムリソースによる処理能力も合わせて登録する。
ID管理サーバ100は、移動通信端末120が登録されたIDを用いてログインし、ホームネットワーク130への接続を要求してきた場合、同じIDを有する装置がログインしているか否かを確認する。同じIDを有する装置がログインしている場合、ID管理サーバ100は、ホームネットワーク130内で移動通信端末120とP2Pセッションを開始する端末を選定する。ID管理サーバ100は、装置が有するCPU、及びメモリなどのシステムリソースによる処理能力や、担当しているP2Pセッションの数などを条件として端末を選定する。ID管理サーバ100は、移動通信端末120と、ホームネットワーク130内の装置(131〜135(第1端末))との通信方式を、後述するように選定する。
【0020】
リレーサーバ110は、中継に用いられるサーバである。移動通信端末120とホームネットワーク130内の装置との接続に用いるP2Pの接続(通信)は、例えば、直接TCPまたはUDP(User Datagram Protocol)の接続や通信を行う場合、UPnP IGDを利用する場合、STUNを利用する場合等がある。このような接続のいずれも行えない場合、移動通信端末120と、ホームネットワーク130内の接続ソフトウェア200が実装されている装置とは、各々リレーサーバ110と直接、接続を行う。このように、リレーサーバ110は、移動通信端末120と、ホームネットワーク130内の接続ソフトウェア200が実装されている装置との通信の中継を行う。
なお、ID管理サーバ100とリレーサーバ110とは、インターネット150に接続されている。
【0021】
移動通信端末120は、例えば、3G(第3世代移動通信システム)回線に接続する機能を有する携帯電話、タブレット端末、または通信カードを備えたパソコン等である。移動通信端末120には、後述する接続ソフトウェアが実装されている。また、移動通信端末120は、無線LAN機能を備えている。ホームネットワーク130内にある場合、移動通信端末120は、例えば、無線LAN機能を使って、ルータ131に接続されている。そして、移動通信端末120がホームネットワーク130外にある場合、移動通信端末120は、ルータ131との無線LAN経由の接続が解除し、移動通信キャリア網160に接続する。
【0022】
ホームネットワーク130は、ルータ131、テレビ(TV)132、パソコン(PC)133、デジタルカメラ134、及びレコーダ135を備えている。ルータ131、テレビ(TV)132、PC133、デジタルカメラ134、及びレコーダ135の内、少なくとも1台には、後述する接続ソフトウェアが実装されている。ルータ131、TV132、PC133、デジタルカメラ134、及びレコーダ135は、無線LAN機能、または有線LAN機能を有している。TV132、PC133、デジタルカメラ134、及びレコーダ135は、無線LAN、または有線LANによって、ルータ131に接続されている。TV132、PC133、デジタルカメラ134、レコーダ135は、ルータ131及びISP−Aネットワーク140を介してインターネット150に接続されている。
【0023】
次に、ホームネットワーク130の各装置、及び移動通信端末120が備える接続ソフトウェア200について説明する。
図2は、本実施形態に係るホームネットワーク130の各装置、及び移動通信端末120が備える接続ソフトウェア200の構成の一例を説明する図である。
図2に示すように、接続ソフトウェア200は、ネットワーク・アプリケーション210、リレー・アプリケーション220、ネットワーク・プロトコル・スタック230、実ネットワーク・インタフェース240、及び仮想ネットワーク・インタフェース250を備えている。
ホームネットワーク130の各装置、及び移動通信端末120が備える接続ソフトウェア200は、同じ構成のため、主に移動通信端末120について以下に説明する。
【0024】
ネットワーク・アプリケーション210は、例えば、ウェッブブラウザ、音楽再生プレーヤ、映像再生プレーヤ等の、ホームネットワーク130内の各装置(131〜135)、及び移動通信端末120が備えているアプリケーションである。
【0025】
リレー・アプリケーション220は、利用者、またはホームネットワーク130の識別子であるIDを、ID管理サーバ100に登録する。リレー・アプリケーション220は、ID管理サーバ100に登録したIDを用いて、ID管理サーバ100に、ログインする。リレー・アプリケーション220は、パケットを送信する。リレー・アプリケーション220は、パケットを転送したり、送信されたパケットを受信したりする。リレー・アプリケーション220は、相手先(ホームネットワーク130内の各装置(131〜135)、または移動通信端末120)とのP2Pを用いた通信を制御する。
【0026】
ネットワーク・プロトコル・スタック230は、ホームネットワーク130内の各装置(131〜135)、及び移動通信端末120が備えているOS(オペレーティング・システム)の通常のTCP/IPのプロトコル・スタックである。
【0027】
実ネットワーク・インタフェース240は、物理的なLANのボード、及びネットワーク・ドライバを含むネットワーク・インタフェースである。
【0028】
仮想ネットワーク・インタフェース250は、仮想的に構築されたネットワーク・インタフェースである。また、仮想ネットワーク・インタフェース250は、実ネットワーク・インタフェース240を通ったパケットを受信するだけではなく、リレー・アプリケーション220から通知された転送用のパケットを、ネットワーク・プロトコル・スタック230を介してネットワーク・アプリケーション210に出力する。
【0029】
次に、ホームネットワーク130の各装置と移動通信端末120との通信手順を説明する。以下の説明において、接続ソフトウェア200は、移動通信端末120、ホームネットワーク130のTV132(第3端末)及びPC133(第1端末)に実装されている場合を説明する。
図3は、本実施形態に係るホームネットワーク130の各装置と移動通信端末120との通信手順の一例を説明するシーケンス図である。
なお、ホームネットワーク130の装置(131〜135)の内、複数の装置に、接続ソフトウェア200が実装されている場合であっても、図3に示すように、1台の装置の接続ソフトウェア200を使用する。また、本実施形態において、図1に示すように、移動通信端末120は、ホームネットワーク130外にあり、移動通信キャリア網160に接続されている状態について説明する。
【0030】
まず、本実施形態に係るホームネットワーク130の各装置、及び移動通信端末120の初期設定について説明する。
(ステップS1)移動通信端末120に実装されている接続ソフトウェア200のリレー・アプリケーション220は、移動通信キャリア網160及びインターネット150を介してID管理サーバ100にIDを登録する。または、TV132及びPC133に各々実装されている接続ソフトウェア200のリレー・アプリケーション220は、ISP−Aネットワーク140及びインターネット150を介してID管理サーバ100にIDを登録する。
【0031】
なお、移動通信端末120に実装されている接続ソフトウェア200のネットワーク・アプリケーション210を、移動通信端末120のネットワーク・アプリケーション210と称する。以下同様に、リレー・アプリケーション220を、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220と称する。ネットワーク・プロトコル・スタック230を、移動通信端末120のネットワーク・プロトコル・スタック230と称する。実ネットワーク・インタフェース240を、移動通信端末120の実ネットワーク・インタフェース240と称する。仮想ネットワーク・インタフェース250を、移動通信端末120の仮想ネットワーク・インタフェース250と称する。
同様に、TV132、またはPC133に各々実装されている接続ソフトウェア200のネットワーク・アプリケーション210を、TV132、またはPC133のネットワーク・アプリケーション210と称する。以下同様に、リレー・アプリケーション220を、TV132、またはPC133のリレー・アプリケーション220と称する。ネットワーク・プロトコル・スタック230を、TV132、またはPC133のネットワーク・プロトコル・スタック230と称する。実ネットワーク・インタフェース240を、TV132、またはPC133の実ネットワーク・インタフェース240と称する。仮想ネットワーク・インタフェース250を、TV132、またはPC133の仮想ネットワーク・インタフェース250と称する。
【0032】
次に、移動通信端末120がホームネットワーク130に参加する手順を説明する。
(ステップS2)起動時、ホームネットワーク130内のTV132、及びPC133のリレー・アプリケーション220は、登録したIDを指定してID管理サーバ100にログインする。次に、ホームネットワーク130内のTV132、及びPC133のリレー・アプリケーション220は、ISP−Aネットワーク140及びインターネット150を介してID管理サーバ100に機種情報を各々登録する。なお、機種情報とは、各装置が有するCPUの種類、クロックの周波数、及び搭載しているメモリの容量などのシステムリソースによる処理能力や、担当しているP2Pセッションの数などの情報である。
例えば、利用者は、移動通信端末120を、ホームネットワーク130外で使用する場合、ホームネットワーク130に参加して使用したい装置を、外出前に起動させる。この起動時、各装置は、自動的にID管理サーバ100にログインする。なお、各装置における起動時とは、例えば、レコーダ135がタイマー録画を行うためのスタンバイモード(省電力モード)等も含む。
【0033】
(ステップS3)利用者が、移動通信端末120をホームネットワーク130に参加させたいとき、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、ステップS1で登録したIDを指定してID管理サーバ100にログインする。
【0034】
(ステップS4)ログイン後、移動通信端末120のネットワーク・アプリケーション210は、ホームネットワーク130に対するピア・ツー・ピア(以下、P2Pと称する)の接続要求を、ID管理サーバ100に送信する。
【0035】
(ステップS5)ID管理サーバ100は、移動通信端末120の要求に応じて、移動通信端末120がログインのとき用いたIDと同じIDを有する装置がログインしているか否かを確認する。同じIDを有する装置がログインしている場合、ID管理サーバ100は、同じIDを有する装置の中から、移動通信端末120とP2Pセッションを開始する端末を選定する。ID管理サーバ100は、装置が有するCPU、及びメモリなどのシステムリソースによる処理能力や、担当しているP2Pセッションの数などを条件として端末を選定する。なお、P2Pセッションは、ID管理サーバ100が、自装置で割り振っているため、自装置で把握している。
図3に示した例では、ID管理サーバ100は、移動通信端末120とP2Pセッションを開始する端末として、PC134を選定する。
次に、ID管理サーバ100は、移動通信端末120が出力したホームネットワーク130に対するピア・ツー・ピアの接続要求を、選定したPC134へ送信する。
【0036】
(ステップS6)ID管理サーバ100は、PC134と移動通信端末120とのP2P接続方式を選定する。ID管理サーバ100は、接続方式を、例えば、直接接続、UPnP IGD接続、STUN接続、及びリレーサーバ接続の中から選択する。選択の優先順位は、以下の(1)から(3)の順であり、リレーサーバ110を利用せず、直接、PC134と移動通信端末120とが接続できないと判別した場合、リレーサーバ接続を選択する。
なお、STUNは、一つのグローバルなIPアドレスを複数のコンピュータで共有しているNATクライアントの端末と、ローカルネットワーク外の端末との接続である。UPnP IGD接続とは、UPnPフォーラムが定めたネットワークプロトコルを用いて行う接続である。リレーサーバ接続とは、リレーサーバ110を利用した接続である。
【0037】
ID管理サーバ100は、例えば、以下の(1)から(3)の場合、リレーサーバ110を利用せず、直接、PC134と移動通信端末120とが接続可能であると判別する。
(1)PC134がグローバルIPアドレス(IPv6の場合を含む)を保有する場合
(2)ルータ131がUPnP IGD機能を保有し、PC134へのNAT設定が登録可能な場合
(3)ルータ131がUDP hole punchingのようなNAT Traversal機能を利用可能な場合(なお、NAT Traversal(NAT通過)とは、TCP/IPネットワークにおいて、NAT機器を用いた上で、複数ホスト間のネットワーク接続を確立する際に生じる問題を解決するためのアルゴリズムである。)
ID管理サーバ100は、選定した接続方式に基づいて、PC134を含むホームネットワーク130と移動通信端末120とを接続するネットワークの経路を形成する。例えば、(1)のPC134がグローバルIPアドレス(IPv6の場合を含む)を保有する場合、ID管理サーバ100は、ホームネットワーク130と移動通信端末120とを、ISP−Aネットワーク140、インターネット150、及び移動通信キャリア網160を用いて接続する。また、リレーサーバ110を利用する場合、ID管理サーバ100は、ホームネットワーク130と移動通信端末120とを、ISP−Aネットワーク140、インターネット150、及び移動通信キャリア網160に加え、リレーサーバ110を用いて接続する。
【0038】
(ステップS7)P2P接続方式を選定後、P2P接続を、PC134と移動通信端末120との間で開始する。
なお、ステップS7で行う接続形態は、ステップS6で選択された接続形態に応じて、例えば、以下の(11)から(14)のいずれかである。
(11)PC134がグローバルIPアドレス(IPv6の場合を含む)を保有する場合
通常のTCP/IP通信が行えるため、なんの制約も受けずP2P通信が行える。
(12)ルータ131がUPnP IGD機能を保有しており、PC134へのNAT設定が登録可能な場合
移動通信端末120から、NAT設定したポートへ接続を開始することにより通信を開始する。必要に応じて、インターネットで使われるプロトコルのUDP、またはTCPのどちらの転送方式を用いてもよい。ただし、接続の向きは移動通信端末120からPC134への片方向となる。
(13)ルータ131がUDP hole punchingのようなNAT Traversal機能を利用可能な場合
STUNのような既知のP2P転送手段を利用してTCP、またはUDPのパケットを転送する。
(14)リレーサーバ110を利用する場合
移動通信端末120、及びPC134から、各々リレーサーバ110にTCP/IPのセッションを開始する。リレーサーバ110は、各々の端末から受信したメッセージを、相手先に伝送して通信を行う。つまり、接続の向きは移動通信端末120、及びPC134からリレーサーバ110の片方向のみである。なお、リレーサーバ110による接続は、サーバへの負荷をかけるため、リレーサーバ接続を最後の手段として利用し、なるべく他の方式でのP2P接続を試みる。
【0039】
(ステップS8)PC134のリレー・アプリケーション220は、仮想ネットワーク・インタフェース250を有効にする。PC134のCPUは、DHCP等のホームネットワーク130内で有効なIPアドレス(第1仮想アドレス)を、仮想ネットワーク・インタフェース250に対して割り当てる。この処理の結果、他の装置(131〜135)には、ホームネットワーク130内に、第1仮想アドレスが割り当てられた仮想的な装置が参加したように見える。
すなわち、この処理は、仮想ネットワーク・インタフェース250を初期化し、この仮想的なIPアドレスを有する仮想ネットワーク・インタフェース250へ、移動通信端末120が参加できるように準備する。
【0040】
(ステップS9)PC134のネットワーク・アプリケーション210は、割り当てたIPアドレスと共に、デフォルトゲートウェイ、ルーティングテーブルなどのネットワーク情報を、移動通信端末120に対して通知する。
【0041】
図4は、本実施形態に係るホームネットワーク130に割り当てられたアドレスの一例を説明する図である。
図4に示す例ではルータ131が、各装置(131〜135)にIPアドレスを割り当てている。割り当てた結果、ルータ131のIPアドレスは「192.168.0.1」であり、TV132のIPアドレスは「192.168.0.2」であり、PC133のIPアドレスは「192.168.0.3」である。また、デジタルカメラ134のIPアドレスは「192.168.0.4」であり、レコーダ135のIPアドレスは「192.168.0.5」である。
PC134のネットワーク・アプリケーション210は、図4に示したホームネットワーク130において、未使用のIPアドレス「192.168.0.6」を移動通信端末120のIPアドレスとして、仮想ネットワーク・インタフェース250に対して割り当てる。
PC134の仮想ネットワーク・インタフェース250が有効になった後、PC134を含むホームネットワーク130を構成する各装置(131〜135)からは、図4に示したように新たなIPアドレス「192.168.0.6」を持つ機器である移動通信端末120が追加されたように見える。
【0042】
(ステップS10)図3に戻って、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、自端末の仮想ネットワーク・インタフェース250を有効にし、ステップS9でPC134から取得した情報を元に、仮想ネットワーク・インタフェース250の設定を行う。具体的には、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、PC134から取得したゲートウェイ・アドレス、割り当てられたIPアドレス等を仮想ネットワーク・インタフェース250に設定する。
この処理により、移動通信端末120は、自端末側でも仮想的なネットワーク・インタフェースである仮想ネットワーク・インタフェース250を生成することにより、ホームネットワーク130内の装置として参加する準備をする。
移動通信端末120の仮想ネットワーク・インタフェース250が有効になった後、移動通信端末120に存在するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)からは、ホームネットワーク130内で有効なアドレス「192.168.0.6」を持つネットワーク・インタフェースが追加されたように見える。
【0043】
(ステップS11)移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、ステップS10の設定時、ホームネットワーク130上に割り当てられたネットワークアドレスと、移動通信端末120の実ネットワーク・インタフェース240が利用しているネットワークアドレスが同一であるか否かを確認する。ホームネットワーク130上に割り当てられたネットワークアドレスと、移動通信端末120の実ネットワーク・インタフェース240が利用しているネットワークアドレスが同一であった場合、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、ネットワークアドレスのホストIDを1つ加算または減算したアドレス(第2仮想アドレス)を用いて仮想ネットワーク・インタフェース250及びそのネットワーク情報を構成する。なお、ホストIDとは、LSB(再下位ビット)に近い側のアドレスである。この結果、PC134のリレー・アプリケーション220が割り振ったIPアドレスのネットワークアドレスと、移動通信端末120の実ネットワーク・インタフェース240が利用しているネットワークアドレスとの競合を避けることができる。
具体的には、ホームネットワーク130のネットワークアドレスが「192.168.0.0/24」であった場合、移動通信端末120のネットワーク・アプリケーション210は、「192.168.1.0/24」を利用する。この場合、PC134の仮想ネットワーク・インタフェース250がDHCPで取得したIPアドレスが、図3に示したように「192.168.0.6」であれば、移動通信端末120のネットワーク・アプリケーション210が、自端末の仮想ネットワーク・インタフェース250に割り振るIPアドレスは、「192.168.1.6」である。このようにして生成したアドレスを、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220は、NAT変換した後、PC134との通信を行う。
【0044】
(ステップS12)ステップS10、またはステップS11で生成した仮想ネットワーク・インタフェース250を用いて、移動通信端末120は、ホームネットワーク130への接続を行う。
以上で、移動通信端末120のホームネットワーク130への接続処理が終了する。
【0045】
次に、ホームネットワーク130内の装置から、移動通信端末120の向きにパケットを送信する手順の例について説明する。
図5は、本実施形態に係るホームネットワーク130内の装置から、移動通信端末120の向きにパケットを送信する手順の一例を説明する図である。
なお、図5において、ホームネットワーク130内の装置、例えばPC134が備える接続ソフトウェア200aは、ネットワーク・アプリケーション210a、リレー・アプリケーション220a(第1制御部)、ネットワーク・プロトコル・スタック230a、実ネットワーク・インタフェース240a(第1実ネットワーク・インタフェース)、及び仮想ネットワーク・インタフェース250a(第1仮想ネットワーク・インタフェース)を備えている。移動通信端末120が備える接続ソフトウェア200bは、ネットワーク・アプリケーション210b、リレー・アプリケーション220b(第2制御部)、ネットワーク・プロトコル・スタック230b、実ネットワーク・インタフェース240b(第2実ネットワーク・インタフェース)、及び仮想ネットワーク・インタフェース250b(第2仮想ネットワーク・インタフェース)を備えている。
【0046】
(ステップS101)ホームネットワーク130内の装置、例えば、TV132は、移動通信端末120宛のパケットを、PC134の仮想ネットワーク・インタフェース250aに送信する。この場合、ホームネットワーク130には、移動通信端末120に相当する第1仮想アドレスを有するPC134の仮想ネットワーク・インタフェース250aが存在している。このため、TV132は、第1仮想アドレスを有するPC134の仮想ネットワーク・インタフェース250aにパケットを送信することで、移動通信端末120にパケットを送信している。
(ステップS102)PC134の仮想ネットワーク・インタフェース250aは、TV132が送信したパケットを受信する。
【0047】
(ステップS103)PC134のリレー・アプリケーション220aは、仮想ネットワーク・インタフェース250aから受信したパケットをカプセル化して、P2P接続を利用して、移動通信端末120にパケットを、ネットワーク・プロトコル・スタック230a及び実ネットワーク・インタフェース240aを介して転送する。なお、PC134は、ルータ131、ISP−Aネットワーク140、インターネット150、及び移動通信キャリア網160を介して、移動通信端末120との通信を行う。なお、カプセル化とは、データを通信するとき、データ以外に送信先のIPアドレスなどの制御データを付加する過程である。
【0048】
(ステップS104)移動通信端末120のリレー・アプリケーション220bは、ホームネットワーク130から転送されたパケットを実ネットワーク・インタフェース240b及びネットワーク・プロトコル・スタック230bを介して、受信する。
【0049】
(ステップS105)移動通信端末120のリレー・アプリケーション220bは、転送されたパケットのカプセル化により付加された部分を除いて、パケットを仮想ネットワーク・インタフェース250bに通知する。
【0050】
(ステップS106)移動通信端末120の仮想ネットワーク・インタフェース250bは、リレー・アプリケーション220bが出力した受信パケットを、ネットワーク・プロトコル・スタック230bを経由し、ネットワーク・アプリケーション210bへ送信する。すなわち、移動通信端末120のリレー・アプリケーション220bは、あたかも実際にホームネットワーク130上に接続されている移動通信端末120からパケットを受信したように、受信したパケットをネットワーク・アプリケーション210bに出力する。TV132から送信されたパケットが、映像データの場合、ネットワーク・アプリケーション210bは、映像プレーヤのアプリケ−ションを用いて受信したパケットを再生する。
以上で、ホームネットワーク130内の装置から、移動通信端末120の向きにパケットを送信する処理が終了する。
【0051】
次に、移動通信端末120から、ホームネットワーク130内の装置の向きにパケットを送信する手順の例について説明する。
図6は、本実施形態に係る移動通信端末120から、ホームネットワーク130内の装置の向きにパケットを送信する手順の一例を説明する図である。
なお、図6において、ホームネットワーク130内の装置、例えばPC134が備える接続ソフトウェア200a及び、移動通信端末120が備える接続ソフトウェア200bの構成は、図5と同様である。
【0052】
(ステップ201)移動通信端末120のネットワーク・アプリケーション210bは、ネットワーク・プロトコル・スタック230bを介して仮想ネットワーク・インタフェース250bへパケットを送信する。
【0053】
(ステップS202)移動通信端末120の仮想ネットワーク・インタフェース250bは、ネットワーク・アプリケーション210bから受信したパケットを、リレー・アプリケーション220bに通知する。
【0054】
(ステップS203)移動通信端末120のリレー・アプリケーション220bは、仮想ネットワーク・インタフェース250bから受信したパケットをカプセル化する。移動通信端末120のリレー・アプリケーション220bは、カプセル化したパケットを、実ネットワーク・インタフェース240b、及びP2P接続を利用して、ホームネットワーク130のPC134に転送する。
【0055】
(ステップS204)PC134のリレー・アプリケーション220aは、移動通信端末120が転送したパケットを、実ネットワーク・インタフェース240a、及びネットワーク・プロトコル・スタック230aを介して受信する。
【0056】
(ステップS205)PC134のリレー・アプリケーション220aは、仮想ネットワーク・インタフェース250aを通じてホームネットワーク130内の装置、例えば、TV132へ非カプセル化したパケットを送信する。すなわち、PC134のリレー・アプリケーション220aは、ホームネットワーク130内の実際の宛先に、移動通信端末120が転送したパケットを出力する。
以上で、移動通信端末120から、ホームネットワーク130内の装置の向きにパケットを送信する処理が終了する。
【0057】
なお、ステップS201からS205の処理において、移動通信端末120がパケットを転送した宛先がPC134の場合、図6において、ネットワーク・アプリケーション210aがステップS205のパケット送信先に対応している。
この場合、異なる点は、実ネットワーク・インタフェース240aと仮想ネットワーク・インタフェース250aが同一機器にあるため、PC134の仮想ネットワーク・インタフェース250aの送受信先がローカル通信となる。
【0058】
以上のように、本実施形態では、移動通信端末120と、ホームネットワーク130内の少なくとも1台の装置に、接続ソフトウェア200を実装した。そして、予めID管理サーバ100に登録してあるIDを用いて、移動通信端末120と、ホームネットワーク130内の装置がログインする。ログイン後、接続ソフトウェア200により、仮想的に、移動通信端末120をホームネットワークに参加させ、パケットの送受信を行うようにした。
この結果、ネットワークの知識のないユーザでも、IDを登録して、ログインするだけの容易な方法で、携帯電話等の移動通信端末が宅外の公衆網からホームネットワーク内にアクセス可能となる。
【0059】
また、ホームネットワーク130を構成する端末の内、少なくとも1台の装置が本発明によるソフトウェアを実装することで移動通信端末との双方向の通信が可能である。
また、仮に、従来技術(例えば、特開2011−101290号公報参照)をモバイル端末に適用した場合、公衆回線である移動通信キャリア網160に仮想デバイスを生成してしまう。このため、生成した仮想的なホームネットワーク130が、移動通信キャリア網160に公開されることとなる。本発明はそのようなホームネットワーク130を含む仮想デバイスを、移動通信キャリア網160内に生成しない。この結果、ホームネットワーク130内の装置が、公衆回線である移動通信キャリア網160に公開されない効果もある。
【0060】
なお、本実施形態では、ホームネットワーク130は、ルータ131、TV132、PC133、デジタルカメラ134、及びレコーダ135を備えている例を説明したが、これに限られない。ホームネットワーク130には、通信機能を備えるゲーム機器、デジタル家電、タブレット端末等、他の装置が接続されるようにしてもよい。また、ホームネットワーク130を構成する装置は、1台でもよい。この場合においても、ホームネットワーク130を構成している装置が、本発明によるソフトウェアを実装していればよい。
【0061】
なお、本実施形態では、移動通信端末120が移動通信キャリア網160に接続されている例を説明したが、これに限られない。例えば、移動通信端末120は、公衆無線LANを介して、移動通信キャリア網160、またはインターネット150に接続されていてもよい。この場合においても、本実施形態によれば、移動通信端末120は、ホームネットワーク130内に仮想的に参加して、データの送受信が可能になる。
【0062】
なお、本実施形態では、移動通信端末120が1台の例を説明したが、移動通信端末120は複数台であってもよい。この場合においても、ホームネットワーク130内には、接続ソフトウェア200を実装した装置が、1台分の仮想IPアドレスを生成する。そして、複数台の移動通信端末120は、このように生成された仮想IPに、本実施形態と同様に接続してP2Pを用いた通信を行うことができる。
【0063】
なお、本実施形態では、端末同士のP2P接続として、直接接続する場合、UPnP IGDを利用する場合、STUNを利用する場合を説明したが、その他のP2P接続を行うようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、ホームネットワーク130内の装置(131〜135)の内、少なくとも1台と移動通信端末120とに、接続ソフトウェア200が実装されている例を説明したが、接続ソフトウェア200をハードウェアで実装するようにしてもよい。この場合、ハードウェアは、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1・・・ネットワークシステム、100・・・ID管理サーバ、110・・・リレーサーバ、120・・・移動通信端末、130・・・ホームネットワーク、140・・・ISP−Aネットワーク、150・・・インターネット、160・・・移動通信キャリア網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークに接続されている第1端末と、
第2ネットワークに接続されている第2端末と、
前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置と、
を備え、
前記ID管理装置は、
前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第2端末と共通の識別子の前記第1端末を選択し、選択した前記第1端末に前記接続要求を送信し、
前記第1端末は、
仮想的に構築された第1仮想ネットワーク・インタフェースと、
前記接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当て、割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信し、前記第1ネットワーク内に前記第1仮想アドレスを有する前記第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する第1制御部と、
を備え、
前記第2端末は、
仮想的に構築された第2仮想ネットワーク・インタフェースと、
前記第1端末から受信した前記第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第2仮想ネットワーク・インタフェースを生成し、生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する第2制御部と、
を備える
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2端末は、
前記第1仮想アドレスに関連付けられているネットワークアドレスが、該第2端末が接続されている前記第2ネットワークに、前記ネットワークアドレスが、すでに割り当てられている場合、前記第1仮想アドレスのホストIDのアドレスを加算、または減算して第2仮想アドレスを生成し、生成した前記第2仮想アドレスをネットワークアドレスに変換して、前記第1ネットワークに接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ID管理装置は、
前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第1端末の機種情報に基づいて、前記第1端末と前記第2端末との接続方式を選択し、選択した前記接続方式で前記第1端末と前記第2端末とをピア・ツー・ピアで接続する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1端末は、
物理的に構築されている第1実ネットワーク・インタフェース
を備え、
前記第1端末の前記第1制御部は、
第1ネットワークに接続した後、第3端末から前記第2端末宛のデータを、自端末が生成した前記第1仮想ネットワーク・インタフェースを介して受信し、受信した前記データをカプセル化し、前記カプセル化したデータを、自端末の前記実ネットワーク・インタフェース、前記第1ネットワーク、及び前記第2ネットワークを介して前記第2端末に転送し、
前記第2端末は、
物理的に構築されている第2実ネットワーク・インタフェース
を備え、
前記第2端末の前記第2制御部は、
前記第1端末が転送した前記カプセル化されたデータを、自端末の前記第2実ネットワーク・インタフェースで受信し、受信した前記カプセル化されたデータを非カプセル化し、前記非カプセル化したデータを、自端末が生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを介して受信した前記データに応じて処理を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第2端末は、
物理的に構築されている第2実ネットワーク・インタフェース
を備え、
前記第2端末の前記第2制御部は、
第3端末に送信するデータを、自端末が生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを介してカプセル化し、前記カプセル化したデータを、自端末の実ネットワーク・インタフェース、前記第1ネットワーク、及び前記第2ネットワークを介して前記第1端末に転送し、
前記第1端末は、
物理的に構築されている第1実ネットワーク・インタフェース
を備え、
前記第1端末の前記第1制御部は、
前記第2端末が転送した前記カプセル化されたデータを、自端末の前記第1実ネットワーク・インタフェースで受信し、受信した前記カプセル化されたデータを非カプセル化し、前記非カプセル化したデータを、自端末が生成した前記仮想ネットワーク・インタフェースを介して、前記第3端末に送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記第1端末の第1制御部が、前記ID管理装置を介して、前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当てる手順と、
前記第1端末の第1制御部が、割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信する手順と、
前記第1端末の第1制御部が、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、
第2端末の第2制御部が、前記第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第2仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、
第2端末の第2制御部が、生成した前記第2仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する手順と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける第1端末のコンピュータに、
前記ID管理装置を介して、前記第2端末から前記第1ネットワークへの接続要求があった場合、前記第1ネットワーク内に第1仮想アドレスを割り当てる手順と、
割り当てた前記第1仮想アドレスを前記第2端末に送信する手順と、
前記第1ネットワーク内に前記第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
第1ネットワークに接続されている第1端末と、第2ネットワークに接続されている第2端末と、前記第2ネットワークに接続され、前記第1端末及び前記第2端末に共通の識別子が登録されているID管理装置とを備える情報処理システムにおける第2端末のコンピュータに、
前記第1端末が前記第1ネットワーク内に割り当てた第1仮想アドレスに基づいて、自端末内に前記第1仮想アドレスを有する第1仮想ネットワーク・インタフェースを生成する手順と、
生成した前記第1仮想ネットワーク・インタフェースを用いて前記第1ネットワークに接続する手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115484(P2013−115484A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257542(P2011−257542)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】