説明

情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法

【課題】複数のネットワークを介して装置を制御する際、制御装置が故障しても対象装置の制御を可能にした情報処理システムを提供する。
【解決手段】通信規格の異なる第1および第2のネットワークと接続され、処理開始要求信号を受信すると、その信号を第1のネットワークに接続された装置に転送し、処理開始許可信号を受信すると、その信号を第2のネットワークの通信規格に変換して制御対象装置に送信する通信変換装置と、第1のネットワークに接続され、処理条件が入力されると、処理開始要求信号を通信変換装置に送信し、処理開始要求信号を通信変換装置より受信すると、処理条件を表示し、処理開始の指示の入力により処理開始許可信号を通信変換装置に送信する情報処理端末と、第1のネットワークに接続され、処理開始要求信号を受信すると、処理条件を表示し、処理開始の指示の入力により処理開始許可信号を通信変換装置に送信する制御装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信規格の異なる複数のネットワーク間における情報処理についての情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンスタンドには、給油量を自動計測して情報処理端末で精算を可能にした情報処理システムを利用しているものがある。その情報処理システムでは、給油量を制御する計量機が接続されるネットワークと、給油条件の入力および給油料金の精算に用いられる外設機が接続されるネットワークとが別々に設けられているものがある(特許文献1参照)。近年、国内でも増えてきたセルフサービス式のガソリンスタンドでも2種類のネットワークが用いられているものがある。
【0003】
セルフサービス式のガソリンスタンドの情報処理システムの一例を説明する。図12は関連する情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【0004】
図12に示すように、情報処理システムは、油種および給油量の情報を含む給油条件を入力するための外設機120と、外設機120からの給油条件にしたがって計量機60に制御信号を送信する計量機制御装置150とを有する。
【0005】
外設機120はハブ90を介してイーサネット(登録商標)に接続されている。計量機制御装置150および計量機60はSS(Service Station)−LAN(Local Area Network)に接続されている。SS−LANは、石油連盟規定の通信ネットワーク規格である。
【0006】
イーサネット(登録商標)とSS−LANとの接続点に通信変換装置140が設けられている。通信変換装置140は、イーサネット(登録商標)およびSS−LANのネットワークのうちいずれか一方のネットワークを介して受信する信号を他方のネットワークの規格に合うように変換して他方のネットワークに送出する。
【0007】
また、イーサネット(登録商標)にハブ90を介してPOS(Point Of Sales)端末100およびルータ80が接続されている。POS端末100は、登録された顧客の情報および燃料の販売量などを管理するための情報処理装置である。ルータ80は、ガソリンスタンドの外部との通信を中継する。
【0008】
同じ系列のガソリンスタンドの全ての販売量を管理する集中管理サーバが設けられていれば、POS端末100はルータ80を介して集中管理サーバに顧客の利用実績を送ることが可能となる。この場合、登録された顧客は同じ系列の複数のガソリンスタンドのうちいずれのスタンドを利用しても、集中管理サーバに顧客の利用実績が記録される。
【0009】
なお、給油料金の精算は、プリペイドカードまたはクレジットカードを利用して外設機120で行ってもよく、ガソリンスタンドの建物内に設置されたPOS端末100で行ってもよい。
【0010】
次に、図12に示す情報処理システムにおける給油処理について説明する。図12に示す矢印の番号は信号の送信順序を示す。
【0011】
利用者が車の給油口に給油ノズルを差し込み、外設機120を操作して給油条件を入力する。外設機120は、給油条件と給油開始を要求する旨の情報を含む給油要求信号をイーサネット(登録商標)を介して通信変換装置140に送信する(図に示す1番の矢印)。通信変換装置140は、外設機120から給油要求信号を受信すると、給油要求信号をSS−LANの規格の信号に変換し、変換後の給油要求信号をSS−LANを介して計量機制御装置150に送信する(図に示す2番の矢印)。
【0012】
計量機制御装置150は、通信変換装置140から給油要求信号を受信すると、給油開始を要求する旨のメッセージを画面に表示する。そのメッセージを見た店員は監視カメラで給油操作における安全性を調べ、問題がないことを確認すると、給油許可を通知するために計量機制御装置150を操作して給油開始の指示を入力する。計量機制御装置150は、給油開始の指示が入力されると、給油条件と給油開始を許可する旨の情報を含む給油許可信号を計量機60に送信する(図に示す3番の矢印)。計量機60は、給油許可信号を受信すると、給油許可信号に含まれる給油条件にしたがって給油ポンプを動作させる。
【特許文献1】特開2003−182799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した方法では、計量機制御装置150が故障すると、それ以外の装置やネットワークが正常に機能していても計量機60に対して給油許可を通知できず、給油ができなくなってしまう。給油動作に限らず、計量機60そのものを制御できなくなってしまう。
【0014】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、複数のネットワークを介して通信により装置を制御する際、制御装置にトラブルがあっても対象装置の制御を可能にした情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明の情報処理システムは、通信規格の異なる第1および第2のネットワークを有する情報処理システムであって、
前記第1および第2のネットワークと接続され、処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して受信すると、該処理開始要求信号を前記第1のネットワークに接続された装置に転送し、前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークに接続された制御対象装置に送信する通信変換装置と、
前記第1のネットワークに接続され、前記処理条件が入力されると、前記処理開始要求信号を前記通信変換装置に送信し、該処理開始要求信号を前記通信変換装置より受信すると、前記処理条件を表示し、処理開始の指示が入力されると、前記処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して前記通信変換装置に送信する情報処理端末と、
前記第1のネットワークに接続され、前記処理開始要求信号を受信すると、前記処理条件を表示し、処理開始の指示が入力されると、前記処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して前記通信変換装置に送信する制御装置と、
を有する構成である。
【0016】
また、本発明の情報処理装置は、通信規格の異なる第1および第2のネットワークに接続される情報処理装置であって、
前記第1のネットワークに接続される情報処理端末および制御装置のアドレスならびに前記第2のネットワークに接続される制御対象装置のアドレスが格納された記憶部と、
処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して前記情報処理端末から受信すると、該処理開始要求信号を前記情報処理端末および制御装置に送信し、該情報処理端末または制御装置より前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークを介して前記制御対象装置に送信する制御部と、
を有する構成である。
【0017】
さらに、本発明の情報処理方法は、通信規格の異なる第1および第2のネットワークに接続される情報処理装置による情報処理方法であって、
前記第1のネットワークに接続される情報処理端末および制御装置のアドレスならびに前記第2のネットワークに接続される制御対象装置のアドレスを格納し、
処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して前記情報処理端末から受信すると、該処理開始要求信号を前記情報処理端末および制御装置に送信し、
前記情報処理端末または制御装置より前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークを介して前記制御対象装置に送信するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御対象装置が接続されたネットワークとは異なるネットワークにその装置を制御する制御装置が接続され、制御装置に故障などのトラブルがあっても、制御装置と同じネットワークに接続された他の装置で制御対象装置を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施例の情報処理システムを説明する。
【0020】
図1は本実施例の情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理端末28および制御装置58が第1のネットワーク95に接続されている。制御対象装置68が第2のネットワーク97に接続されている。第1のネットワーク95と第2のネットワーク97との接続点に情報処理装置48が設けられている。
【0021】
制御対象装置68および情報処理端末28がそれぞれ1つの場合を示しているが、制御対象装置68および情報処理端末28の組は1つに限らず複数であってもよい。以下では、説明を簡単にするために、制御対象装置68および情報処理端末28の組が1つの場合とする。
【0022】
次に、本実施例の情報処理システムの具体例を説明する。ここでは、セルフサービス式のガソリンスタンドにおける情報処理システムの場合で説明する。図2は本実施例の情報処理システムの具体例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示した第1のネットワーク95がイーサネット(登録商標)に相当し、第2のネットワーク97がSS−LANに相当する。情報処理端末28が外設機20に相当し、制御装置58が計量機制御装置50に相当する。また、制御対象装置68が計量機60に相当する。
【0024】
図2に示すように、イーサネット(登録商標)には、ハブ90を介して、外設機20、POS端末10、計量機制御装置50およびルータ80が接続されている。SS−LANには計量機60が接続されている。イーサネット(登録商標)とSS−LANとの接続点に通信変換装置40が設けられている。
【0025】
ここで、各装置のネットワーク上での位置を示すアドレスについて説明する。
【0026】
イーサネット(登録商標)のように巨大なネットワークは、複数の小さなサブネットワークが接続された構成である。そして、イーサネット(登録商標)に接続される各装置には、その装置が所属するサブネットワークを示すネットワークアドレスと、サブネットワーク内で他の装置と区別するためのホストアドレスとが付与されている。
【0027】
図2に示すシステムにおけるイーサネット(登録商標)では、1箇所のガソリンスタンド内では1つのサブネットワークであるものとする。この場合、外設機20、POS端末10、計量機制御装置50およびルータ80は、共通のネットワークアドレスが付与されている。
【0028】
SS−LANについても、アドレスの構成はイーサネット(登録商標)と同様である。計量機60のアドレスは、ネットワークアドレスに相当するユニットアドレスと、ホストアドレスに相当するステーションアドレスからなる。図2に示すシステムでは、同じガソリンスタンド内ではユニットアドレスが共通であるものとする。
【0029】
装置間で送受信される信号には、送信元を示す装置のアドレスと送信先を示す装置のアドレスの情報が含まれている。
【0030】
次に、各構成について詳細に説明する。
【0031】
図3は本実施例における外設機の一構成例を示すブロック図である。外設機20は、表示/入力部21と、通信部23と、制御部25とを有する。
【0032】
制御部25には、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するメモリ(不図示)とが設けられている。メモリには、プログラムの他に、表示画面の情報と、外設機20の識別子として上記アドレスが格納されている。表示/入力部21の一例として、タッチパネルがある。表示/入力部21を介して給油条件が入力されると、制御部25は、自装置のアドレスを送信元とし、計量機制御装置50を宛先とする給油要求信号をイーサネット(登録商標)を介して通信変換装置40に送信する。本発明における処理開始要求信号が給油要求信号に相当する。
【0033】
また、制御部25は、通信部23を介して給油要求信号を受信すると、給油開始を要求する旨のメッセージを表示/入力部21に表示させる。店員が給油操作における安全性を確認し、給油許可を通知するために表示/入力部21を操作して給油開始の指示を入力すると、制御部25は、計量機60を宛先とする給油許可信号を通信変換装置40に送信する。本発明における処理開始許可信号が給油許可信号に相当する。
【0034】
図4は本実施例における通信変換装置の一構成例を示すブロック図である。通信変換装置40は、通信部43と、記憶部44と、制御部45とを有する。制御部45には、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するメモリ(不図示)とが設けられている。メモリには、プログラムの他に、自装置のアドレスが登録されている。登録されているアドレスは、イーサネット(登録商標)用とSS−LAN用の2種類である。
【0035】
記憶部44には、自装置が接続されたサブネットワーク内の各装置のホストアドレスが登録されている。
【0036】
制御部45は、イーサネット(登録商標)およびSS−LANのネットワークのうちいずれか一方のネットワークを介して受信する信号を他方のネットワークの規格に合うように変換して他方のネットワークに送出する。
【0037】
また、制御部45は、計量機制御装置50を宛先とする給油要求信号を受信すると、給油要求信号の送信元のアドレスを調べ、送信元のアドレスが示すネットワークアドレスに接続された全ての装置に対して給油要求信号を転送する。
【0038】
図5は本実施例における計量機制御装置の一構成例を示すブロック図である。計量機制御装置50は、表示/入力部51と、通信部53と、記憶部54と、制御部55とを有する。制御部55には、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するメモリ(不図示)とが設けられている。メモリには、プログラムの他に、自装置のアドレスが登録されている。
【0039】
制御部55は、通信部53を介して給油要求信号を受信すると、給油開始を要求する旨のメッセージを表示/入力部51に表示させる。店員が給油操作における安全性を確認し、給油許可を通知するために表示/入力部51を操作して給油開始の指示を入力すると、制御部55は、計量機60を宛先とする給油許可信号を通信変換装置40に送信する。
【0040】
図6は本実施例におけるPOS端末の一構成例を示すブロック図である。POS端末10は、表示/入力部11と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15には、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するメモリ(不図示)とが設けられている。メモリには、プログラムの他に、自装置のアドレスが登録されている。
【0041】
制御部15は、通信部13を介して給油要求信号を受信すると、給油開始を要求する旨のメッセージを表示/入力部11に表示させる。店員が給油操作における安全性を確認し、給油許可を通知するために表示/入力部11を操作して給油開始の指示を入力すると、制御部15は、計量機60を宛先とする給油許可信号を通信変換装置40に送信する。
【0042】
なお、顧客の利用実績の管理や燃料の売り上げ計算などの処理は、通常、店舗にあるPOS端末と同様であるため、その動作についての詳細な説明を省略する。
【0043】
図7は本実施例における計量機の一構成例を示すブロック図である。計量機60は、通信部63と、記憶部64と、給油ポンプ66と、流量計67と、制御部65とを有する。制御部65には、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するメモリ(不図示)とが設けられている。メモリには、プログラムの他に、自装置のアドレスが登録されている。また、自装置に対応する外設機20のアドレスが登録されている。
【0044】
制御部65は、通信部63を介して給油許可信号を受信すると、給油許可信号に含まれる給油条件を記憶部64に格納する。続いて、給油条件で指定された油種の給油ポンプ66を動作させる。給油ポンプ66の動作が開始すると、流量計67の値を監視する。記憶部64に格納した給油条件の給油量と流量計67の値が一致すると、給油ポンプ66を停止させる。その後、給油が終了したことを示す給油終了信号を自装置に対応する外設機20を宛先にして送信する。
【0045】
なお、その後の給油料金の精算は、プリペイドカードまたはクレジットカードを利用して外設機20で行ってもよく、ガソリンスタンドの建物内に設置されたPOS端末10で行ってもよい。給油料金の精算に関する方法は、本発明の特徴とは関連していないので、詳細な説明を省略する。また、表示部と入力部については、これらが組み合わされたフラットパネルのような表示/入力部の場合で説明したが、表示部と入力部が別々に設けられていてもよい。
【0046】
また、店員は、利用者の不慣れな給油操作によりガソリンが車の給油口から溢れるなどの危険な状態を察知すると、通常、店員が計量機制御装置50を操作して計量機60の給油動作を停止させることが可能である。このような緊急停止の操作を、POS端末10および外設機20でできるようにしてもよい。
【0047】
次に、本実施例の情報処理システムの動作を説明する。図8は本実施例の情報処理システムの動作手順を説明するための模式図であり、図9はその動作手順を示すフローチャートである。図8に示すステップは図9のフローチャートに対応している。
【0048】
ガソリンスタンドの利用者が外設機20の表示/入力部21を操作して、油種および給油量の情報を含む給油条件を入力すると、外設機20は、給油条件およびアドレスの情報を含む給油要求信号をイーサネット(登録商標)を介して計量機制御装置50宛に送信する(ステップ101)。
【0049】
通信変換装置40は、外設機20から受信した給油要求信号を、イーサネット(登録商標)を介して外設機20、計量機制御装置50およびPOS端末10に転送する(ステップ102)。
【0050】
計量機制御装置50は、通信変換装置40から給油要求信号を受信すると、その送信元をアドレスから特定する。そして、アドレスが示す外設機20から給油要求があった旨のメッセージを表示/入力部51に表示する(ステップ103)。計量機制御装置50と同様に、POS端末10は給油要求のメッセージを表示/入力部11に表示し、外設機20は給油要求のメッセージを表示/入力部21に表示する(ステップ103)。
【0051】
ガソリンスタンドの店員が監視カメラで給油操作における安全性を確認すると、計量機制御装置50の表示/入力部51を操作して、給油開始の指示を入力する。計量機制御装置50は、給油開始の指示が入力されると、計量機60を宛先とする給油許可信号を通信変換装置40に送信する(ステップ104)。
【0052】
通信変換装置40は、計量機制御装置50からイーサネット(登録商標)を介して給油許可信号を受信すると、給油許可信号をSS−LANの規格に合わせて変換し、変換後の給油許可信号をSS−LANを介して計量機60に送信する(ステップ105)。計量機60は、計量機制御装置50から給油許可信号を受信すると、給油許可信号に含まれる給油条件にしたがって給油動作を行う(ステップ106)。
【0053】
本実施例では、通信変換装置40が給油要求信号を計量機制御装置50だけでなく、POS端末10および給油要求信号の送信元の外設機20にも転送している。そのため、店員は、計量機制御装置50、POS端末10および外設機20のうちいずれの装置でも給油許可の入力を行うことが可能となり、これらの装置のうち少なくとも1台が正常に機能していれば給油許可を計量機60に通知することができる。
【0054】
次に、計量機制御装置50が故障している場合において、本実施例の情報処理システムの動作を説明する。
【0055】
図10は本実施例の情報処理システムの別の動作例を説明するための模式図であり、図11はその動作例の手順を示すフローチャートである。ここでは、計量制御装置50の代わりにPOS端末10を操作して計量機60を制御する。また、図8および図9を参照して説明した動作と重複する部分は省略する。
【0056】
図9に示したステップ103において、ここでは、計量機制御装置50は故障しているため、給油要求信号を受信しても何も表示しない。これに対して、図11に示すように、POS端末10は、給油要求があった旨のメッセージを表示/入力部11に表示し、外設機20は給油要求のメッセージを表示/入力部21に表示する(ステップ103’)。
【0057】
ガソリンスタンドの店員が監視カメラで給油操作における安全性を確認すると、POS端末10の表示/入力部11を操作して、給油開始の指示を入力する。POS端末10は、給油開始の指示が入力されると、計量機60を宛先とする給油許可信号を通信変換装置40に送信する(ステップ104’)。
【0058】
このように、計量機制御装置50が故障していても、他の情報端末を操作して給油許可を計量機60に通知することができる。
【0059】
POSシステムを導入している店舗が多いことから、ガソリンスタンドに限らず、POS端末を用いて商品販売を行う店舗であれば店舗内の空調設備や照明設備などの制御対象装置を制御する制御装置が故障したときにPOS端末で操作することができる。制御装置の側にPOS端末を設置しておけば、店員も操作しやすいという利点もある。
【0060】
その反対にPOSシステムを導入していない店舗もある。この場合、通信変換装置40は外設機20から受信する給油要求信号をPOS端末10に転送しなくてもよい。
【0061】
なお、上述の実施例では、給油条件として油種および給油量を入力するとしたが、給油量の代わりに給油料金を入力するようにしてもよい。この場合、入力された給油料金から外設機20が給油可能な量を算出する。
【0062】
また、通信変換装置40の記憶部44に給油要求信号の転送先のアドレスを予め登録していてもよい。この場合、イーサネット(登録商標)に接続された装置のうち計量機60の制御に携わらないルータ80には給油要求信号が送信されない。そのため、ネットワーク内の無駄な通信を減らし、ネットワークの負荷を軽減することができる。
【0063】
また、外設機20が複数設けられている場合、通信変換装置40は、給油要求信号に含まれるアドレスから送信元の外設機20を特定し、給油要求信号の転送先とする外設機20をそのアドレスで特定した外設機20だけにしてもよい。この場合、利用者が給油条件を入力した外設機20に対して給油要求信号が返信され、複数の外設機20のうちその外設機20だけに給油開始を要求する旨のメッセージが表示される。そのため、店員はどの外設機20で給油開始の指示を入力すればよいかがすぐにわかる。
【0064】
また、店員の操作であることを認証するためのパスワードを外設機20の制御部25内のメモリ(不図示)に予め登録していてもよい。外設機20の制御部25は、給油開始の指示が入力されると、パスワードの入力を要求する旨を表示する。そして、パスワードが入力されると、入力されたパスワードと予め登録されたパスワードが一致するか否かを調べる。これらのパスワードが一致する場合、給油許可信号を通信変換装置40に送信する。一方、これらのパスワードが一致しない場合、給油許可信号を通信変換装置40に送信しない。この場合、利用者自身により給油開始の指示が入力されてしまうことを防げる。
【0065】
本発明によれば、第2のネットワークに接続される制御対象装置に対して制御を行う、第1のネットワークに接続された制御装置に故障などによるトラブルが発生しても、第1のネットワークに接続された他の装置で制御対象装置を制御することが可能となる。
【0066】
また、制御装置と制御対象装置が第2のネットワークに接続されていると、これらの装置間では通信がしやすいが、第1のネットワーク側から制御装置とデータ通信するには、ポーリングまたはセレクィングを行わなければならなかった。これに対して、本発明では、制御装置が第1のネットワーク側に設けられているため、不要なポーリングを省くことができ、ネットワークの負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施例の情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施例の情報処理システムの具体例を示すブロック図である。
【図3】本実施例における外設機の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施例における通信変換装置の一構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施例における計量機制御装置の一構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施例におけるPOS端末の一構成例を示すブロック図である。
【図7】本実施例における計量機の一構成例を示すブロック図である。
【図8】本実施例の情報処理システムの動作手順を説明するための模式図である。
【図9】本実施例の情報処理システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施例の情報処理システムの別の動作例を説明するための模式図である。
【図11】図10に示す動作例の手順を示すフローチャートである。
【図12】関連する情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
28 情報処理端末
48 情報処理装置
58 制御装置
95 第1のネットワーク
97 第2のネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信規格の異なる第1および第2のネットワークを有する情報処理システムであって、
前記第1および第2のネットワークと接続され、処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して受信すると、該処理開始要求信号を前記第1のネットワークに接続された装置に転送し、前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークに接続された制御対象装置に送信する通信変換装置と、
前記第1のネットワークに接続され、前記処理条件が入力されると、前記処理開始要求信号を前記通信変換装置に送信し、該処理開始要求信号を前記通信変換装置より受信すると、前記処理条件を表示し、処理開始の指示が入力されると、前記処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して前記通信変換装置に送信する情報処理端末と、
前記第1のネットワークに接続され、前記処理開始要求信号を受信すると、前記処理条件を表示し、処理開始の指示が入力されると、前記処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して前記通信変換装置に送信する制御装置と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記通信変換装置は、
前記処理開始要求信号の送信先の装置について前記第1のネットワークにおけるアドレスが予め登録され、登録されたアドレスに前記処理開始要求信号を送信する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1のネットワークにおいて、それぞれ異なるアドレスが付与された複数の前記情報処理端末が設けられ、
前記通信変換装置は、
送信元の情報として前記アドレスの情報を含む前記処理開始要求信号を受信すると、該処理開始要求信号の送信元の情報処理端末を前記アドレスで特定し、特定した情報処理端末と前記制御装置に対して前記処理開始要求信号を送信する請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理端末は、
処理開始の指示を認めるか否かを判定するためのパスワードが予め登録され、前記処理開始の指示が入力されると、パスワードの入力を要求する旨を表示し、パスワードが入力されると、入力されたパスワードと予め登録されたパスワードが一致するか否かを調べ、これらのパスワードが一致する場合、前記処理開始許可信号を前記通信変換装置に送信し、これらのパスワードが一致しない場合、前記処理開始許可信号を前記通信変換装置に送信しない、請求項1から3のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1のネットワークに接続され、前記通信変換装置より前記処理開始要求信号を受信すると、前記処理条件を表示し、処理開始の指示が入力されると、前記処理開始許可信号を前記第1のネットワークを介して前記通信変換装置に送信するPOS端末をさらに有する請求項1から4のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項6】
通信規格の異なる第1および第2のネットワークに接続される情報処理装置であって、
前記第1のネットワークに接続される情報処理端末および制御装置のアドレスならびに前記第2のネットワークに接続される制御対象装置のアドレスが格納された記憶部と、
処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して前記情報処理端末から受信すると、該処理開始要求信号を前記情報処理端末および制御装置に送信し、該情報処理端末または制御装置より前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークを介して前記制御対象装置に送信する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
通信規格の異なる第1および第2のネットワークに接続される情報処理装置による情報処理方法であって、
前記第1のネットワークに接続される情報処理端末および制御装置のアドレスならびに前記第2のネットワークに接続される制御対象装置のアドレスを格納し、
処理条件および処理開始を要求する旨の情報を含む処理開始要求信号を前記第1のネットワークを介して前記情報処理端末から受信すると、該処理開始要求信号を前記情報処理端末および制御装置に送信し、
前記情報処理端末または制御装置より前記処理条件および処理開始を許可する旨の情報を含む処理開始許可信号を受信すると、該処理開始許可信号を前記第2のネットワークの通信規格に変換して該第2のネットワークを介して前記制御対象装置に送信する、情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−134405(P2009−134405A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308585(P2007−308585)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】