説明

情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法

【課題】複数の情報処理装置の間で公開鍵方式を採用して情報を移行する場合に、作業が簡易であり、また、作業時間を短縮させることで、作業者の作業負担を軽減させることができる。
【解決手段】情報処理システムは、移行元情報処理装置と移行先情報処理装置との間で着脱可能な外部記憶装置を介して設定情報を移行させる構成である。移行先情報処理装置は、初期セットアップが開始されることに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、公開鍵を出力した後に外部記憶装置が装着されることに伴い、その外部記憶装置から暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行手段と、復号化された設定情報を反映する反映手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法に関し、特に、情報処理装置の設定に関する設定情報を別の情報処理装置に移行させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一の情報処理装置において設定されている設定情報を、USBメモリなど可搬型の外部記憶装置を介して他の情報処理装置に移行させる技術が良く知られている。例えば、特許文献1には、第1の通信装置において通信端末との通信経路を確立するためのアソシエーション情報を外部記憶媒体に記憶し、その外部記憶媒体を第2の通信装置に装着することで、第2の通信装置において通信端末との通信経路を確立する通信システムが開示されている。これにより、ユーザは、例えば、第1の通信装置から第2の通信装置への入れ替え時、又は、第2の通信装置の増設時などに、第2の通信装置において通信経路を確立するための設定を一から行う手間が省ける。
【0003】
また、特許文献1に開示された通信システムは、第1の通信装置においてアソシエーション情報を公開鍵で暗号化し、その暗号化されたアソシエーション情報を第2の通信装置において秘密鍵で復号化するように構成されている。これにより、アソシエーション情報のセキュリティが担保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−55201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、ユーザからの指示入力に応じて公開鍵を作成するものであるため以下のような問題が生じる。すなわち、一般に公開鍵は、重要なデータや秘密データなどを移行する場合になどに用いられるものである。そのため、公開鍵を作成するためには、一般ユーザが容易に作成することが出来ないように複雑な手続が要求されることが多い。例えば、公開鍵を作成するための画面が安易に表示されないようにメニューの深い階層に設けられていたり、又は、ユーザが誤って公開鍵を作成しないように長く複雑なセキュリティIDやパスワードなどが求められたりする。そのため、設定情報を移行させようとする作業者は、公開鍵を作成するための画面を表示させるまでに時間がかかったり、セキュリティIDやパスワードなどを入力するのに時間がかかったりする。また、上述したように要求されるセキュリティIDやパスワードなどは長く複雑であるため、それに伴い入力ミスをしてしまうことも多い。仮に入力ミスをしてしまうと、作業者は、入力ミスした箇所を探し出すのに更に時間がかかってしまう。
【0006】
このように、従来では、複数の情報処理装置の間で公開鍵方式を採用して情報を移行するための作業は複雑であり、また、それに伴い時間もかかるので、作業者にとっては作業負担が大きいという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決するため、複数の情報処理装置の間で公開鍵を採用して情報を移行する場合に、作業が簡易であり、また、作業時間を短縮させることで、作業者の作業負担を軽減することのできる情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、情報処理装置の設定に関する設定情報を、移行元である移行元情報処理装置から移行先である移行先情報処理装置に移行させる情報処理システムであって、前記移行元情報処理装置は、設定情報を記憶する設定情報記憶装置と、前記移行先情報処理装置によって公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、前記設定情報記憶装置から設定情報を読出し、読出した設定情報を前記公開鍵で暗号化する暗号化実行手段と、暗号化された設定情報を着脱可能な外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御手段と、を備え、前記移行先情報処理装置は、初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、前記外部記憶装置が装着されることに伴い前記外部記憶装置から暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行手段と、復号化された設定情報を反映する反映手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0009】
このような構成によれば、移行先情報処理装置は、初期セットアップが開始されることに伴い自動的に公開鍵を作成して記録媒体に記録するようになっているので、作業者は、特別な操作をすることなく公開鍵を出力することが可能になる。その結果、情報処理システムは、移行元情報処理装置から移行先情報処理装置への設定情報の移行に伴う操作を作業者に簡易に行なわせることが可能になる。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記記録媒体は、印刷用紙であり、前記公開鍵出力制御手段は、前記印刷用紙に公開鍵を印刷出力させるものであり、前記公開鍵取得手段は、公開鍵が印刷された印刷用紙を読み取って得られる画像データを解析して公開鍵を取得することを特徴とする構成である。
【0011】
このような構成によれば、記録媒体が印刷用紙であるので、簡易な構成で公開鍵を出力することが可能になる。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理システムにおいて、前記記録媒体は、前記外部記憶装置であり、前記公開鍵出力制御手段は、公開鍵を前記外部記憶装置に記録するものであり、前記公開鍵取得手段は、前記外部記憶装置から公開鍵を読出して取得することを特徴とする構成である。
【0013】
このような構成によれば、1つの外部記憶装置を移行元情報処理装置と移行先情報処理装置とにそれぞれ装着することで設定情報が移行できるので、作業者にとっては、設定情報の移行に伴う作業が簡易になる。
【0014】
請求項4にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記記録媒体は、前記外部記憶装置又は印刷用紙であり、前記公開鍵出力制御手段は、前記外部記憶装置が装着されている場合に前記外部記憶装置に公開鍵を出力し、前記外部記憶装置が装着されていない場合に前記印刷用紙に公開鍵を印刷出力させるものであり、前記公開鍵取得手段は、前記外部記憶装置から公開鍵を読出して取得するか又は公開鍵が印刷された印刷用紙を読み取って得られる画像データを解析して公開鍵を取得する構成である。
【0015】
このような構成によれば、外部記憶装置が装着されている場合と外部記憶装置が装着されていない場合とで公開鍵の出力先を自動で振分けることが可能である。これにより、作業者は、特別な操作を必要としないで公開鍵を出力させることが可能である。
【0016】
請求項5にかかる発明は、請求項3又は4に記載の情報処理システムであって、前記反映手段は、設定情報を反映させた後に、前記外部記憶装置に記憶されている、暗号化された設定情報を消去することを特徴とする構成である。
【0017】
このような構成によれば、外部記憶装置に記憶されている設定情報を消去するので設定情報が外部記憶装置に残ってしまうことを防止できる。これにより、情報処理システム1は、セキュリティを向上させることが可能である。
【0018】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の情報処理システムであって、前記移行先情報処理装置は、当該移行先情報処理装置の機能に関する移行先機能情報を記憶する機能情報記憶装置を更に有し、前記公開鍵出力制御手段は、前記記録媒体に公開鍵を記録すると共に、前記機能情報記憶装置から移行先機能情報を読出して前記記録媒体に更に記録するものであり、前記設定情報記憶装置は、前記移行元情報処理装置の機能に関する移行元機能情報を更に記憶するものであり、前記公開鍵取得手段は、前記記録媒体から公開鍵と移行先機能情報とを取得するものであり、前記移行元情報処理装置は、前記公開鍵取得手段から移行先機能情報を受け取ると共に、前記設定情報記憶装置から移行元機能情報を読出し、それら移行先機能情報と移行元機能情報とを比較し、その比較結果に基づき、前記設定情報記憶装置に記憶される設定情報のうちから前記移行先情報処理装置の機能に対応する情報のみを移行情報として抽出する比較手段を更に備え、前記暗号化実行手段は、前記公開鍵取得手段から公開鍵を受け取って、その公開鍵で前記移行情報を暗号化することを特徴とする構成である。
【0019】
このような構成によれば、情報処理システムは、移行先情報処理装置の機能に対応する移行情報を抽出するので、移行先情報処理装置にとって不要な設定情報を暗号化しなくて済む。これにより、情報処理システムは、処理すべきデータ量を軽減でき、システム全体の処理時間を短くさせることが可能である。
【0020】
請求項7にかかる発明は、請求項2乃至6の何れかに記載の情報処理システムであって、前記移行先情報処理装置は、画像が付された用紙を読み取る画像読取手段を更に備え、前記公開鍵出力制御手段は、画像が付された位置以外に公開鍵を付して印刷出力させることを特徴とする構成である。
【0021】
このような構成によれば、移行先情報処理装置は、画像が付されている場所以外に公開鍵を付すように印刷出力を実行するので、画像と公開鍵とが重なってしまうことで、後に移行元情報処理装置において公開鍵が識別できなくなるような不具合を未然に防止することが可能である。
【0022】
請求項8にかかる発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の情報処理システムであって、複数の前記移行先情報処理装置を備え、前記記録媒体は、各移行先情報処理装置によって作成される公開鍵のそれぞれを記録するものであり、前記公開鍵取得手段は、前記記録媒体から各公開鍵を取得するものであり、前記暗号化実行手段は、前記公開鍵取得手段によって取得される各公開鍵のそれぞれに対応して設定情報を暗号化することを特徴とする構成である。
【0023】
このような構成によれば、情報処理システムは、移行先情報処理装置が複数ある場合に、各移行先情報処理装置によって作成される公開鍵のそれぞれに対応して設定情報を暗号化するので、移行元情報処理装置から各移行先情報処理装置に対して設定情報を安全に移行させることが可能である。
【0024】
請求項9にかかる発明は、情報処理装置の設定に関する設定情報を記憶する設定情報記憶装置を備える移行元情報処理装置から、その設定情報を移行先である移行先情報処理装置に移行させる情報処理システムによって実行される情報処理方法であって、前記移行元情報処理装置において、前記移行先情報処理装置によって公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得ステップと、前記設定情報記憶装置から設定情報を読出し、読出した設定情報を前記公開鍵で暗号化する暗号化実行ステップと、暗号化された設定情報を着脱可能な外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御ステップと、を有し、前記移行先情報処理装置において、初期セットアップが開始されることに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成ステップと、作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御ステップと、前記外部記憶装置が装着されることに伴い前記外部記憶装置から暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行ステップと、復号化された設定情報を反映する反映ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0025】
このような構成によれば、移行先情報処理装置は、初期セットアップが開始されることに伴い自動的に公開鍵を作成して記録媒体に記録するようになっているので、作業者は、特別な操作をすることなく公開鍵を出力することが可能になる。その結果、情報処理システムは、移行元情報処理装置から移行先情報処理装置への設定情報の移行に伴う操作を作業者に簡易に行なわせることが可能になる。
【0026】
請求項10にかかる発明は、初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、着脱可能な外部記憶装置が装着された場合に、その外部記憶装置から、他の情報処理装置によって前記公開鍵に基づき暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行手段と、復号化された設定情報を反映する反映手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0027】
このような構成によれば、情報処理装置は、初期セットアップが開始されることに伴い自動的に公開鍵を作成して記録媒体に記録するようになっているので、作業者は、特別な操作をすることなく公開鍵を出力することが可能になる。
【0028】
請求項11にかかる発明は、着脱可能な外部記憶装置を装着する装着部と、設定情報を記憶する設定情報記憶装置と、他の情報処理装置によって出力され公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、前記設定情報記憶装置に記憶される設定情報から他の情報処理装置に移行すべき移行情報を抽出する抽出手段と、前記公開鍵取得手段によって取得された公開鍵で前記移行情報を暗号化する暗号化実行手段と、暗号化された移行情報を、前記装着部に装着される外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御手段と、初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、前記公開鍵作成手段によって作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、前記公開鍵出力制御手段によって公開鍵が出力された後、前記装着部に外部記憶装置が装着された場合、その外部記憶装置から、他の情報処理装置によって前記公開鍵に基づき暗号化された移行情報を読出して、その移行情報を復号化する復号化実行手段と、前記復号化実行手段によって復号化された移行情報を設定情報として前記設定情報記憶装置に記憶させることにより反映させる反映手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0029】
このような構成によれば、情報処理装置は、初期セットアップが開始されることで移行先の情報処理装置として動作する一方で、他の情報処理装置によって出力される公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得することで設定情報の移行元として動作することが可能である。すなわち、情報処理装置は、設定情報の移行先となる場合と、設定情報の移行元になる場合とで動作を切替えることが可能になる。更に、情報処理装置は、設定情報の移行先として動作する場合には、初期セットアップが開始されることに伴って、自動的に公開鍵を作成して記録媒体に記録するようになっている。これにより、作業者は、特別な操作をすることなく公開鍵を出力することが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数の情報処理装置の間で公開鍵方式を採用して情報を移行する場合に、作業が簡易であり、また、作業時間を短縮させることで、作業者の作業負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態における情報処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】情報処理システムに含まれる移行先情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】移行先情報処理装置における制御部の機能構成の一例を示す図である。
【図4】移行先情報処理装置から移行元情報処理装置に移行される情報の一例を示す図である。
【図5】移行元情報処理装置における制御部の機能構成の一例を示す図である。
【図6】移行元情報処理装置から移行先情報処理装置に移行される情報の一例を示す図である。
【図7】情報処理システムにおいて行われる主たる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】移行先情報処理装置において行われる公開鍵作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】移行先情報処理装置において行われる印刷出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】移行元情報処理装置において行われる暗号化実行処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】移行先情報処理装置において行われる反映処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】情報処理システムに複数の移行先情報処理装置が含まれる場合における処理を模式的に示す図である。
【図13】情報処理システムに複数の移行先情報処理装置が含まれる場合における処理を模式的に示す図である
【図14】情報処理システムに複数の移行先情報処理装置が含まれる場合における処理を模式的に示す図である。
【図15】情報処理システムに複数の移行先情報処理装置が含まれる場合における処理を模式的に示す図である。
【図16】情報処理システムに複数の移行先情報処理装置が含まれる場合において、移行元情報処理装置の制御部によって実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における情報処理システム1の一構成例を示す図である。情報処理システム1には、複数の情報処理装置2が含まれる。図例では、情報処理システム1には、移行元情報処理装置2aと、移行先情報処理装置2bとが含まれている。そして、情報処理システム1は、移行元情報処理装置2aと移行先情報処理装置2bとが、USBメモリ等の可搬型の外部記憶装置11を介して互いに情報の受け渡しを行なう構成である。移行元情報処理装置2a及び移行先情報処理装置2bは、何れもデジタル復号機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される装置であり、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能などを備えている。また、移行元情報処理装置2a及び移行先情報処理装置2bは、パーソナルコンピュータなどのユーザ端末とネットワークを介して印刷ジョブやスキャンデータなど各種データの送受信を実行することが可能な構成である。移行元情報処理装置2a及び移行先情報処理装置2bの基本的な構成は同様であるので、以下の説明では、移行元情報処理装置2a及び移行先情報処理装置2bを特に区別する必要のないときは、単に「情報処理装置2」と称する。
【0034】
情報処理装置2は、原稿を載置する原稿載置台3と、原稿載置台3に載置された原稿を自動搬送して読み取る読取部4と、読取部4によって読み取られた画像データを印刷処理する印刷処理部5と、印刷処理部5によって印刷出力された印刷物を排出する排出口6と、排出口6から排出された印刷物を載置する排出トレイ7と、作業者に各種指示操作を行わせる操作パネル8と、読取部4から排出された原稿を載置するための原稿排出台9と、印刷媒体となる用紙をストックしておくための複数の給紙カセット10と、着脱可能な外部記憶装置11を装着するための装着ポート18と、を備えている。
【0035】
読取部4は、原稿載置台3に載置された原稿を自動搬送して画像の読み取り動作を行ない、画像データを出力する処理部である。読取部4は、そのような原稿を読み取って生成した画像データを出力するために必要な以下の構成を備えている。例えば、読取部4は、原稿載置台3に載置された複数の原稿を先頭から1枚ずつ搬送して原稿排出台9に排出する原稿搬送部、搬送される原稿の先端部から順次、走査光を照射する走査部、原稿からの反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサ、イメージセンサから出力されるアナログ電気信号をデジタル信号である画像データに変換して出力する画像データ出力部などを備えている。
【0036】
印刷処理部5は、例えば、読取部4によって出力される画像データに基づいて印刷処理を実行することで印刷物を出力する処理部である。印刷処理部5は、画像データに基づいて印刷出力を行なうために必要な以下の構成を備えている。例えば、印刷処理部5は、給紙カセット10から用紙を1枚ずつ給紙する給紙部、給紙部から給紙された用紙に対して、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を排出口6まで搬送する印刷物搬送部、画像形成部にトナーを補充するトナーボトルなどを備えている。
【0037】
このように、情報処理装置2は、原稿載置台3に載置された原稿を読取部4によって読み取り画像データを出力する。そして、情報処理装置2は、読取部4によって出力される画像データに基づいて印刷処理部5が印刷出力を行なう構成である。
【0038】
操作パネル8は、液晶パネルなどで構成され各種情報を表示する表示部と、いわゆるタッチ式パネルで構成された操作入力部とが一体的に構成されている。操作パネル8は、作業者が情報処理装置2を操作する際のユーザインタフェースとなるものである。操作入力部は、上述した表示部に表示された操作ボタンなどが作業者によって操作されることで、各種操作指示を入力するように構成される。
【0039】
移行元情報処理装置2aは、既にオフィス環境などに設置され、実際に稼働している装置である。そのため、この移行元情報処理装置2aは、ユーザによって各種の設定が施されており、例えば、コピー機能やFAX機能などの各機能がユーザの使用状況に応じた所定の規定値に設定されている。また、移行元情報処理装置2aは、ログインが許可されるユーザのIDやパスワードなどの個人情報が設定登録されていたり、各種データの送信先となるユーザ端末のIPアドレス、e−mailアドレス及びFAX送信宛先などの通信設定に関する通信情報が設定登録されていたりする場合もある。それ故、移行元情報処理装置2aには、各種の設定情報15が記憶されている。
【0040】
これに対して、移行先情報処理装置2bは、例えば、移行元情報処理装置2aと同じオフィス環境などに新規で設置されるものである。そのため、移行先情報処理装置2bは、例えば製造時に設定された初期値のみが設定されている状態である。
【0041】
情報処理システム1は、そのような移行元情報処理装置2aの設定に関する設定情報15を、例えばUSBメモリなどの可搬型の外部記憶装置11を介して移行先情報処理装置2bに移行させる構成である。そして、情報処理システム1は、外部記憶装置11に設定情報15を記憶させる際、セキュリティを担保するため、公開鍵方式を用いて設定情報15を暗号化する。このとき情報処理システム1は、公開鍵12を自動で出力するようになっており、設定情報15の移行に伴う作業負担を軽減させることが可能になっている。以下、このような情報処理システム1において実行される処理の概略について、図1を参照しつつ説明する。
【0042】
移行先情報処理装置2bは、新規で設置された場合に操作パネル8への操作指示に基づき初期セットアップが行われる。初期セットアップは、通常、情報処理装置2の設置やメインテナンスなどを実施する業者から派遣される作業者によって行なわれる。例えば、初期セットアップは、作業者によって電源が投入され、用紙やトナーボトルなどがセットされる。そして、移行先情報処理装置2bによって各機能の通電状態や各機能の一部又は全てが正常に動作するかの確認処理が実行される。移行先情報処理装置2bは、その確認処理が正常に終了することで初期セットアップが終了したと判断する。移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了することに伴って公開鍵12と秘密鍵とを作成する。公開鍵12と秘密鍵とは一対で構成され、公開鍵12で暗号化された情報は、対となる秘密鍵によってのみ復号可能になっている。
【0043】
移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着ポート18に装着されている場合には公開鍵12を外部記憶装置11に記憶させる。これに対し、移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着ポート18に装着されていない場合には、公開鍵12を印刷用紙13に付して印刷出力する。公開鍵12が印刷出力される場合、移行先情報処理装置2bは、例えば、二次元バーコード、地紋又は電子透かしなど公開鍵12が画像に埋め込まれた公開鍵情報14を印刷出力する。このように情報処理システム1は、初期セットアップが終了することに伴い自動的に公開鍵12を出力する構成である。なお、秘密鍵は、移行先情報処理装置2bで保持される。
【0044】
次に、作業者は、公開鍵12が記録された外部記憶装置11又は印刷用紙13を移行元情報処理装置2aにセットする作業に移る。移行元情報処理装置2aは、公開鍵12が外部記憶装置11に記憶されている場合には、外部記憶装置11が装着されることで、その外部記憶装置11から公開鍵12を読出す。また、公開鍵12が印刷出力されている場合には、移行元情報処理装置2aは、読取部4aに印刷用紙13を読み取らせることで公開鍵12を取得する。次に、移行元情報処理装置2aは、記憶装置に記憶されている設定情報15を読出し、読出した設定情報15を、取得した公開鍵12で暗号化する。移行元情報処理装置2aは、暗号化された設定情報15を外部記憶装置11に記憶させる。
【0045】
そして、作業者は、暗号化された設定情報15が記憶された外部記憶装置11を、移行先情報処理装置2bに装着する。移行先情報処理装置2bは、公開鍵12を出力した後に外部記憶装置11が装着されると、その外部記憶装置11に暗号化された設定情報15が記憶されているか否かを検出する。移行先情報処理装置2bは、外部記憶装置11に暗号化された設定情報15が記憶されていることを検出した場合には、その暗号化された設定情報15を読出し秘密鍵で復号化する。そして、移行先情報処理装置2bは、復号化した設定情報15に基づき各種設定を行なう。このようにして移行先情報処理装置2bは、移行元情報処理装置2aから外部記憶装置11を介して移行される設定情報15を反映する。
【0046】
このように、情報処理システム1は、初期セットアップが終了することで自動的に公開鍵が作成され出力されるようになっている。これにより、情報処理システム1は、移行元情報処理装置2aから移行先情報処理装置2bに公開鍵方式を採用して設定情報15を移行する場合に、作業者にとって作業が簡易であり、また、それに伴い作業時間を短縮させることで、作業者の作業負担を軽減させることが可能になっている。以下においては、このような情報処理装置2の構成について詳細に説明する。
【0047】
図2は、情報処理装置2が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態では、移行元情報処理装置2a及び移行先情報処理装置2bは、基本的に同様のハードウェア構成を備える。図2に示すように、情報処理装置2は、制御部20と、ネットワークインタフェース23と、操作パネル8と、読取部4と、印刷処理部5と、装着検出部17と、記憶装置30とを備え、これらがバス19を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。また、図例に示すように、記憶装置30は、基本プログラム31、移行実行プログラム32、設定情報15及び機能情報16とを記憶する。ここで、図示しないが、情報処理装置2は、ユーザ端末などの外部機器と情報の送受信を行なうための通信制御部や、表示部25に各種情報を表示させるための表示制御部などを備えている。
【0048】
制御部20は、CPU21とメモリ22とを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU21は、記憶装置30に記憶されている基本プログラム31および移行実行プログラム32を読み出して実行する。ここで、基本プログラム31は、情報処理装置2に電源が投入されることに伴って、CPU21によって実行される基本的なプログラムである。また移行実行プログラム32は、複数の情報処理装置2の間で設定情報15を移行するためのプログラムであり、その移行実行プログラム32がインストールされる情報処理装置2を設定情報15の移行元又は移行先として機能させるためのものである。例えば、移行元情報処理装置2aにおいて、CPU21は、基本プログラム31を実行している状態でさらに移行実行プログラム32を実行することにより、移行元情報処理装置2aを設定情報15の移行元として機能させる。また、移行先情報処理装置2bにおいて、CPU21は、基本プログラム31を実行している状態でさらに移行実行プログラム32を実行することにより、移行先情報処理装置2bを設定情報15の移行先として機能させる。メモリ22は、CPU21がプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0049】
ネットワークインタフェース23は、情報処理装置2を、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワークに接続するためのものである。これにより制御部20は、このネットワークインタフェース23を介して、例えばユーザ端末と通信可能に接続される。
【0050】
操作パネル8は、上述したように、作業者が情報処理装置2を操作する際のユーザインタフェースとなるものであり、作業者に対して各種の情報を表示する表示部25と、作業者によって行われる各種の操作入力を受け付ける操作入力部26とを備えている。
【0051】
装着検出部17は、外部記憶装置11が装着ポート18に装着されているか否かを検出する処理部である。この装着検出部17は、外部記憶装置11が装着ポート18に装着されると制御部20に対して検出結果を出力する。また、外部記憶装置11は、制御部20からの求めに応じて外部記憶装置11が装着されているか否かを検出し、その検出結果を制御部20に出力するように構成される。
【0052】
記憶装置30に記憶される設定情報15は、上述したように情報処理装置2の設定に関する情報である。また、機能情報16は、情報処理装置2が備える機能に関する情報である。例えば、機能情報16は、カラー印刷機能、FAX機能、ステープル機能及びe−mail機能などの各機能のうち、何れを情報処理装置2が備えているかを示す情報である。
【0053】
設定情報15は、情報処理装置2aが備える各機能に応じて設定される情報である。そのため、設定情報15と機能情報16とは相互に関連した情報である。例えば、機能情報16にカラー印刷機能が含まれる場合には、設定情報15は、色合いや色の濃さなど画質に関する画質情報や、使用すべき用紙サイズなど印刷設定に関する印刷情報などが含まれる。また、機能情報16にFAX機能が含まれる場合には、設定情報15は、送信先のFAX番号に関する宛先情報などが含まれる。このように、機能情報16は、情報処理装置2が具備する各機能の有無に関する情報であり、設定情報15は、情報処理装置2が具備する各機能に対応して設定される情報である。
【0054】
図3は、情報処理装置2が移行先情報処理装置2bとして機能する場合の制御部20bにおける機能構成の一例を示すブロック図である。移行先情報処理装置2bは、上述したCPU21が移行実行プログラム32を実行することにより、判定部36、決定部37、読取制御部38、公開鍵作成部39、出力制御部40、復号化実行部41及び反映部42として機能する。これら各処理部は、情報処理装置2において初期セットアップが終了することに伴って作動し互いに連携した動作を行うように機能する。また、記憶装置30bには、上述した機能情報16として、移行先情報処理装置2bの機能に関する移行先機能情報16bが記憶されている。更に、記憶装置30bには、上述した設定情報15として、移行先情報処理装置2bの設定に関する移行先設定情報15bが記憶されている。但し、移行先設定情報15bは、初期セットアップが終了した時点では、製造出荷時に設定される初期値のみを含む情報である。なお、移行先設定情報15bに含まれる移行情報15cについては後述する。
【0055】
判定部36は、情報処理装置2が設定情報15の移行元であるか又は移行先であるかを判定する処理部である。判定部36は、初期セットアップが開始されたことを検出すると、情報処理装置2を設定情報15の移行先であると判定する。また、判定部36は、情報処理装置2が正常に稼働している状態で作業者による所定の操作指示を受付けたことで情報処理装置2を設定情報15の移行元であると判定する。このような判定部36による判定結果に対応して、情報処理装置2bは、設定情報15の移行元としての処理と、設定情報15の移行先としての処理とを切り替えて実行する。
【0056】
判定部36によって情報処理装置2が設定情報15の移行先であると判定されると、情報処理装置2は、移行先情報処理装置2bとして動作する。そして、判定部36は、設定情報15の移行先であると判定した場合に、決定部37に対して外部記憶装置11が装着されているか否かを検出するように指示する。
【0057】
決定部37は、判定部36からの指示を受け取ることで機能する。決定部37は、公開鍵12の出力先を決定する処理部である。決定部37は、判定部36からの指示を受け取ると、初期セットアップが終了するか否かを監視する。そして、決定部37は、初期セットアップが終了したことを検出すると装着検出部17に対して検出指示を送信する。装着検出部17は、装着検出部17からの検出指示に従って装着ポート18に外部記憶装置11が装着されているか否かを検出し、その検出結果を決定部37に返答する。決定部37は、装着ポート18に外部記憶装置11が装着されている場合には、外部記憶装置11を公開鍵12の出力先として決定する。一方、決定部37は、装着ポート18に外部記憶装置11が装着されていない場合には、印刷処理部5bを公開鍵12の出力先として決定する。このように、決定部37は、初期セットアップが終了したタイミングで装着ポート18に外部記憶装置11が装着されているか否かに基づいて公開鍵12の出力先を決定する構成である。
【0058】
以下においては、まず、公開鍵12の出力先が外部記憶装置11として決定された場合の処理について説明し、次に、公開鍵12の出力先が印刷処理部5bとして決定された場合の処理について説明する。
【0059】
決定部37は、公開鍵12の出力先を外部記憶装置11として決定すると、その決定結果を公開鍵作成部39に出力する。公開鍵作成部39は、公開鍵12を作成する処理部である。公開鍵作成部39は、決定部37から決定結果を受け取ることで機能する。公開鍵作成部39は、決定部37から決定結果を受け取ると、一対の公開鍵12及び秘密鍵を作成する。
【0060】
公開鍵作成部39は、例えば、一般的なRSA暗号方式などに採用されている暗号化アルゴリズムを用いて公開鍵12及び秘密鍵を作成する。RSA暗号は、素数の積n(n=p×q)から、その積nを構成する素数(p,q)を求めるのは困難であるとの概念に基づく暗号化方式である。公開鍵作成部39は、そのような素数(p,q)を用意して所定の演算式に適用させることにより秘密鍵を作成し、また、それら素数(p,q)の積(n)を所定の演算式に適用させることにより公開鍵12を作成する。このような公開鍵12で暗号化される情報を復号化するためには、秘密鍵を構成する素数(p,q)を取得する必要があるが、そのためには公開鍵12を構成する素数の積(n)を素因数分解しなければならない。しかし、素数の積(n)が非常に大きな値の場合には、それに伴い素数の候補も多くなり素因数分解をするために膨大な時間を要するため現実的に復号化は不可能である。
【0061】
また、この他にも、種々の手法で一対の公開鍵12と秘密鍵とを作成することができる。更に、公開鍵作成部39は、必ずしも上述したような演算を行なうことによって一対の公開鍵12と秘密鍵とを生成する必要なく、例えば、記憶装置30における所定の記憶領域に予め格納されている公開鍵12と秘密鍵とを読出すことにより、一対の公開鍵12と秘密鍵とを取得するものであっても構わない。
【0062】
公開鍵作成部39は、上記のようにして公開鍵12及び秘密鍵を作成すると、作成した公開鍵12を決定部37からの決定結果と共に出力制御部40に出力する。一方、公開鍵作成部39は、作成した秘密鍵を記憶装置30bの図示しない記憶領域に記憶させる。
【0063】
出力制御部40は、公開鍵作成部39から公開鍵12を受け取ることで機能する。出力制御部40は、決定部37による決定結果に従って公開鍵12を外部記憶装置11及び印刷処理部5bの何れか一方に振分けて出力する処理部である。出力制御部40は、外部記憶装置11を出力先とする決定結果を受け取った場合には、公開鍵12を外部記憶装置11に記憶させる。
【0064】
また、出力制御部40は、公開鍵12を出力する際、記憶装置30bから移行先機能情報16bを読出して、読出した移行先機能情報16bを公開鍵12と共に出力する。すなわち、出力制御部40は、外部記憶装置11に公開鍵12を出力する場合には、移行先機能情報16bを記憶装置30bから読出して公開鍵12と共に外部記憶装置11に記憶させる。このようにして外部記憶装置11に公開鍵12と移行先機能情報16bとが記憶される。
【0065】
次に、公開鍵12の出力先が印刷処理部5bとして決定された場合の処理について説明する。決定部37は、公開鍵12の出力先を印刷処理部5bとして決定すると、その決定結果を公開鍵作成部39に出力する。公開鍵作成部39は、決定部37から決定結果を受け取ると、上記と同様に一対の公開鍵12及び秘密鍵を作成し、その公開鍵12を決定部37からの決定結果と共に出力制御部40に出力する。その一方で、公開鍵作成部39は、作成した秘密鍵を記憶装置30bに記憶させる。
【0066】
出力制御部40は、印刷処理部5bを出力先とする決定結果を受け取った場合には、記憶装置30bから移行先機能情報16bを読出す。出力制御部40は、読出した移行先機能情報16bと、公開鍵作成部39から受け取った公開鍵12とを画像に埋め込み公開鍵情報14を生成する。そして、出力制御部40は、その公開鍵情報14を印刷処理部5bに出力する。印刷処理部5bは、出力制御部40から公開鍵情報14を受け取ると、その公開鍵情報14を印刷用紙13に付して印刷出力する。
【0067】
このとき、印刷処理部5bによって公開鍵情報14が単に印刷出力されるように構成しても良いが、以下のように、公開鍵情報14の印刷出力をコピー機能の動作確認と兼ねて行えるように構成することも可能である。例えば、初期セットアップが終了した段階で、作業者は、コピー機能が正常に作動するか否かを確認するために、テスト用紙をコピーして印刷出力させることも多い。この場合、公開鍵情報14の印刷出力と、テスト用紙のコピー出力とを別々に行なうと印刷用紙13を余分に消費することになる。そこで、公開鍵情報14の印刷出力をコピー機能の動作確認と兼ねて行えるように構成することで、セットアップ段階での無駄な用紙消費量を最小限に留めることができる。以下、その構成に関して詳しく説明する。
【0068】
決定部37は、公開鍵12の出力先を印刷処理部5bとして決定すると、その決定結果を公開鍵作成部39に出力する一方で、読取制御部38に対してテスト用紙を読み取るように指示する。このとき、図示しない表示制御部は、原稿載置台3bにテスト用紙をセットするように案内するテスト案内画面を作成して表示部25に表示させる。読取部4bは、原稿載置台3bにテスト用紙がセットされたことを検出すると、そのテスト用紙を読み取り画像データを読取制御部38に出力する。読取制御部38は、読取部4bから画像データを受け取る。
【0069】
読取制御部38は、画像データを受け取ると、その画像データを解析して公開鍵情報14を付すべき位置を特定する。一般的に、テスト用紙には、文字や記号など印字状態を確認するための何らかのオブジェクトが付されている。この場合、仮に公開鍵情報14を付す位置がオブジェクトと重なってしまうと、後に移行元情報処理装置2aにおいて公開鍵情報14が識別できなくなる可能性がある。そこで、読取制御部38は、そのようなオブジェクトの位置を避けて公開鍵情報14を付すことで、移行元情報処理装置2aにおいて公開鍵情報14を識別できるようにする。
【0070】
読取制御部38は、まずテスト用紙を読み取って得られた画像データを解析してオブジェクトの位置を特定する。そして、読取制御部38は、オブジェクトの位置以外の場所に、公開鍵情報14を付すことが可能なスペースがあるか否かを判断し、公開鍵情報14を付すことが可能なスペースがある場合には、そのスペースのうちから公開鍵情報14を付すべき位置を決定する。読取制御部38は、決定した位置に対応する位置情報と、テスト用紙を読み取って得られた画像データとを出力制御部40に出力する。
【0071】
出力制御部40は、読取制御部38から受け取る画像データに基づきテスト用紙に付されたオブジェクトを再現すると共に、公開鍵作成部39から受け取る公開鍵12と記憶装置30bから読み出した移行先機能情報16bとに基づき公開鍵情報14を生成し、再現したオブジェクトと、生成した公開鍵情報14とを合成して出力画像を生成する。このとき、出力制御部40は、読取制御部38から受け取る位置情報に基づき、オブジェクトが付されている位置以外の場所に公開鍵情報14が位置するように合成する。そして、出力制御部40は、合成して得られた出力画像を印刷処理部5bに出力して印刷出力を実行させる。図4に示すように、このようにして印刷出力された公開鍵情報14は、予め印刷用紙13に付されていたオブジェクトの位置以外に更に付されるので、後に移行元情報処理装置2aにおいて公開鍵情報14が識別可能になる。
【0072】
一方、読取制御部38は、オブジェクトの位置以外の場所に、公開鍵情報14を付すことが可能なスペースがない場合には、公開鍵情報14を付すことが可能なスペースが特定できないことを示すエラー通知などを出力制御部40に出力する。そして、出力制御部40は、エラー通知を受け取ると、テスト用紙と公開鍵情報14とを別のページに付して印刷処理部5bに印刷出力させる。
【0073】
以上のようにして、図4に示すように、外部記憶装置11及び印刷用紙13の何れか一方には、公開鍵12と移行先機能情報16bが記録される。公開鍵12及び移行先機能情報16bが出力されると、例えば、表示制御部は、外部記憶装置11又は印刷用紙13を移行元情報処理装置2aにセットするように案内する入力案内画面を作成して操作パネル8に表示させる。これにより、作業者は、公開鍵12の記録が終了して移行元情報処理装置2aに設定情報15を出力させる段階に来たことを知ることができる。
【0074】
以下、説明の便宜上、図5を参照して先に移行元情報処理装置2aの各処理部について説明し、その後に、再び図4に戻って移行先情報処理装置2bについて説明する。
【0075】
図5は、情報処理装置2が移行元情報処理装置2aとして機能する場合の制御部20aにおける機能構成の一例を示すブロック図である。移行元情報処理装置2aは、上述したCPU21が移行実行プログラム32を実行することにより、判定部45、公開鍵取得部47、暗号化実行部49及び出力制御部51として機能する。判定部45は、指示受付部46を含み、また、公開鍵取得部47は、読取制御部48を含んでいる。更に、暗号化実行部49は、比較部50を含んでいる。これら各処理部は、初期セットアップ状態ではなく通常の稼働状態において操作パネル8aから所定の指示を入力した場合に、互いに連携した動作を行うように機能する。また、記憶装置30aには、移行元情報処理装置2aの設定に関する移行元設定情報15aと、移行元情報処理装置2aの機能に関する移行元機能情報16aとが記憶されている。
【0076】
判定部45は、指示受付部46を介して操作パネル8aからの各種指示操作を入力して受付けることで機能する。指示受付部46は、操作パネル8aからの各種指示操作を入力する処理部である。判定部45は、指示受付部46を介して入力した情報が設定情報15を移行すべき移行開始指示である場合、情報処理装置2を設定情報15の移行元であると判定する。これにより移行元情報処理装置2aは、設定情報15の移行元として機能する。
【0077】
次に、判定部45は、公開鍵取得部47に対して、公開鍵12を取得するように指示する。このとき、作業者によって既に移行先情報処理装置2bから出力された公開鍵12が外部記憶装置11又は印刷用紙13に記録されている状態である。そこで、例えば、図示しない表示制御部は、公開鍵12を外部記憶装置11を介して入力するか、又は読取部4aを介して入力するかを選択させるための選択画面を表示部25に表示させる。そして、公開鍵取得部47は、以下に説明するように、選択画面への選択結果に基づき、移行先情報処理装置2bによって出力された公開鍵12を外部記憶装置11又は読取部4aを介して取得する。
【0078】
公開鍵12を読取部4aを介して入力することが選択された場合、公開鍵取得部47に含まれる読取制御部48が機能する。読取制御部48は、読取部4aを制御する処理部である。読取制御部48は、印刷用紙13が原稿載置台3aにセットされたことを検出した場合に読取部4aに印刷用紙13を読み取らせる。読取制御部48は、読取部4aから出力された画像データを受け取って解析することで公開鍵12と共に移行先機能情報16bを取得する。
【0079】
一方、公開鍵12を外部記憶装置11を介して入力することが選択された場合、公開鍵取得部47は、更に、外部記憶装置11が装着ポート18に装着されたことが装着検出部17によって検出されると、外部記憶装置11に記憶されている公開鍵12と移行先機能情報16bとを読出して取得する。公開鍵取得部47は、このようにして公開鍵12と移行先機能情報16bとを取得する。公開鍵取得部47は、公開鍵12及び移行先機能情報16bを取得すると、それら公開鍵12及び移行先機能情報16bを暗号化実行部49に出力する。
【0080】
暗号化実行部49は、公開鍵取得部47から出力される公開鍵12及び移行先機能情報16bを受け取ることで機能する。暗号化実行部49は、設定情報15を暗号化する処理部である。暗号化実行部49が公開鍵12と移行先機能情報16bとを受け取ると、次に、暗号化実行部49に含まれる比較部50が機能する。比較部50は、記憶装置30aに記憶される移行元機能情報16aと、取得した移行先機能情報16bとを比較する処理部である。比較部50は、まず、記憶装置30aに記憶されている移行元機能情報16aを読出す。そして、比較部50は、読出した移行元機能情報16aと、公開鍵取得部47から受け取った移行先機能情報16bとを比較して、移行元情報処理装置2aと、移行先情報処理装置2bとで共通して具備する機能を抽出する。
【0081】
例えば、図4示すように、移行先機能情報16bには、カラー印刷機能、FAX機能、ステープル機能及びe−mail機能を具備することを示す情報が含まれているとする。一方、移行元機能情報16aには、モノクロ印刷機能、ステープル機能及びe−mail機能を具備することを示す情報が含まれているとする。この場合、移行元機能情報16aと移行先機能情報16bとを比較すると、ステープル機能とe−mail機能のみが共通する機能である。比較部50は、このようにして、移行元機能情報16aと移行先機能情報16bとで共通する機能を抽出する。なお、更に、比較部50は、各機能を動作させるためのドライバのバージョンなどを比較して、移行元機能情報16aと移行先機能情報16bとに含まれる各機能が対応するものか否かを判別しても良い。
【0082】
図5に示す比較部50による判別が終了すると、暗号化実行部49は、移行元設定情報15aのうち、抽出した機能に対応する情報のみを移行情報15cとして抽出し、その移行情報15cを記憶装置30aから読出す。そして、暗号化実行部49は、読出した移行情報15cを、公開鍵取得部47から受け取った公開鍵12で暗号化する。ここで、移行情報15cには、上述したように、設定情報15aのうち移行元情報処理装置2aと移行先情報処理装置2bとで共通する機能に関する情報のみが含まれており、互いに共通しない機能に関する情報は含まれない。これにより、情報処理システム1は、余分なデータを処理しなくて済むので、システム全体として処理負担を軽減させることが可能になっている。
【0083】
暗号化実行部49は、移行情報15cを暗号化すると、暗号化した移行情報15cを出力制御部51に出力する。出力制御部51は、暗号化した移行情報15cを受け取ることで機能する。出力制御部51は、暗号化した移行情報15cの出力を制御する処理部である。出力制御部51は、暗号化した移行情報15cを受け取ると、装着ポート18に外部記憶装置11が装着されていることを条件として、その暗号化した移行情報15cを外部記憶装置11に記憶させる。このようにして、外部記憶装置11には、暗号化した移行情報15cが記憶される。
【0084】
移行情報15cが外部記憶装置11に出力されると、表示制御部は、例えば、外部記憶装置11を移行先情報処理装置2bに装着するよう案内する装着案内画面などを作成して表示部25に表示させる。これにより、作業者は、移行情報15cの外部記憶装置11への記録が終了して、次に移行先情報処理装置2bに移行情報15cを反映させるべき段階に来たことを知ることができる。
【0085】
次に、図3に戻って、再び移行先情報処理装置2bにおける制御部20bについて説明する。外部記憶装置11には、上述した移行元情報処理装置2aによって、公開鍵12で暗号化された移行情報15cが既に記憶されている状態となっている。例えば、図6に示すように、外部記憶装置11には、ステープル機能及びe−mail機能に関する移行情報15cが暗号化されて記憶されている。以下の説明では、このような移行情報15cを記憶した外部記憶装置11が移行先情報処理装置2bに装着されたときに実行される処理を例示する。
【0086】
図3に示す装着検出部17bは、外部記憶装置11が装着されると、決定部37に対して外部記憶装置11が装着されたことを検出結果として出力する。決定部37は、公開鍵12を外部記憶装置11に出力した後、又は印刷出力した後に装着検出部17からの検出結果を受け取ると、復号化実行部41に対して移行情報15cを取得するように指示する。
【0087】
復号化実行部41は、決定部37からの指示を受け取ることで機能する。復号化実行部41は、暗号化された移行情報15cを復号化する処理部である。復号化実行部41は、決定部37からの指示を受け取ると、外部記憶装置11に暗号化された移行情報15cが記憶されているか否かを検出する。復号化実行部41は、暗号化された移行情報15cが記憶されていることを検出した場合には、その移行情報15cを外部記憶装置11から読出す。そして、復号化実行部41は、記憶装置30bから秘密鍵を読出し、読出した秘密鍵で移行情報15cを復号化する。
【0088】
復号化実行部41は、移行情報15cを復号化すると、その移行情報15cを反映部42に出力する。反映部42は、復号化実行部41から移行情報15cを受け取ることで機能する。反映部42は、移行情報15cを反映する処理部である。反映部42は、移行情報15cを受け取ると、例えば、記憶装置30bに初期値として記憶されている移行先設定情報15bに移行情報15cを反映させて更新する。例えば、ステープル機能に関しては綴じ方向や綴じ位置などを移行情報15cに基づいて設定したり、e−mail機能に関しては、送信先などの登録や各種通信設定などを移行情報15cに基づき行ったりする。また、反映部42は、移行情報15cを反映すると、外部記憶装置11に記憶されている移行情報15cを消去する。これにより、外部記憶装置11に移行情報15cが残ってしまうことを防止でき、セキュリティを向上させることができる。
【0089】
図7は、情報処理システム1において実行される全体的な処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ情報処理システム1における処理について説明する。
【0090】
まず、移行先情報処理装置2bにおいて初期セットアップが開始されると(ステップS1のYES)、判定部36は、情報処理装置2が設定情報15の移行先であると判定する(ステップS2)。次に、移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了すると(ステップS3のYES)、公開鍵作成処理を実行する(ステップS4)。一方、移行元情報処理装置2aは、移行先情報処理装置2bによって公開鍵作成処理が実行された後、作業者による操作に基づき暗号化実行処理を実行する(ステップS5)。そして、移行先情報処理装置2bは、移行元情報処理装置2aによって暗号化実行処理が実行された後、外部記憶装置11が装着されることで反映処理を実行する(ステップS6)。以上のようにして情報処理システム1における全体的な処理は終了する。
【0091】
図8は、公開鍵作成処理における詳細な処理手順を示すフローチャートである。図例に示すように、公開鍵作成処理が開始されると、決定部37は、初期セットアップが終了したタイミングで装着検出部17に対して検出指示を送信し、外部記憶装置11が装着されているか否かをその装着検出部17に確認させる(ステップS11)。決定部37は、外部記憶装置11が装着されていることを示す検出結果を装着検出部17bから受け取った場合には(ステップS11のYES)、外部記憶装置11を公開鍵12の出力先として決定する(ステップS12)。一方、決定部37は、外部記憶装置11が装着されていないことを示す検出結果を装着検出部17bから受け取った場合には(ステップS11のNO)、印刷処理部5bを公開鍵12の出力先として決定し(ステップS17)、印刷出力処理を実行する(ステップS18)。
【0092】
公開鍵作成部39は、決定部37から決定結果を受け取ると、一対の公開鍵12及び秘密鍵を作成する(ステップS13)。出力制御部40は、公開鍵作成部39から公開鍵12を受け取ると共に、記憶装置30bから移行先機能情報16bを読出して(ステップS14)、読出した移行先機能情報16bを公開鍵12と共に外部記憶装置11に記憶させる(ステップS15)。そして、装着検出部17bによって外部記憶装置11の装着が解除されたことが検出されると(ステップS16のYES)、制御部20bは、公開鍵作成処理を終了する。
【0093】
図9は、公開鍵作成処理において実行される印刷出力処理の処理手順を示すフローチャートである。図例に示すように、公開鍵作成部39は、印刷出力処理が開始されると、決定部37から決定結果を受け取ることで一対の公開鍵12及び秘密鍵を作成して(ステップS21)、作成した公開鍵12を出力制御部40に出力する(ステップS22)。その一方で、読取制御部38は、原稿載置台3bにテスト用紙がセットされたことを条件として読取部4bにテスト用紙を読み取らせる(ステップS23)。
【0094】
読取制御部38は、読取部4bから画像データを受け取ると、その画像データを解析することで、印刷用紙13に既にオブジェクトが付されているか否かを判断し(ステップS24)、印刷用紙13に既にオブジェクトが付されている場合には(ステップS24のYES)、そのオブジェクトが付されている部分以外のスペースで公開鍵情報14を付すべき位置を決定する(ステップS25)、そして、出力制御部40は、公開鍵作成部39から受け取った公開鍵12と、記憶装置30bから読み出した移行先機能情報16bと、読取制御部38から受け取った位置情報とに基づき公開鍵情報14を印刷処理部5bに印刷出力させる(ステップS26)。印刷出力が終了すると、制御部20bは、印刷出力処理を終了する。
【0095】
図10は、移行元情報処理装置2aにおいて実行される暗号化実行処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図例に示すように、作業者による操作に基づき指示受付部46によって移行開始指示が入力されると(ステップS31のYES)、判定部45は、情報処理装置2を設定情報15の移行元であると判定する(ステップS32)。次に、表示制御部は、例えば選択画面を表示部25に表示して、公開鍵12の取得方法を作業者に選択させる(ステップS33)。そして、外部記憶装置11を介して公開鍵12を取得することが選択された場合(ステップS34のYES)、公開鍵取得部47は、外部記憶装置11が装着されていることを条件として外部記憶装置11に記憶されている公開鍵12と移行先機能情報16bとを読出す(ステップS35)。一方、読取部4aを介して公開鍵12を取得することが選択された場合(ステップS34のNO)、公開鍵取得部47は、読取部4aに印刷用紙13を読み取らせることで、公開鍵12と移行先機能情報16bとを取得する(ステップS36)。
【0096】
比較部50は、記憶装置30aに記憶されている移行元機能情報16aを読出す(ステップS37)。そして、比較部50は、読出した移行元機能情報16aと、公開鍵取得部47から受け取った移行先機能情報16bとを比較する(ステップS38)。暗号化実行部49は、比較部50による比較結果に基づき記憶装置30aに記憶されている移行元設定情報15aのうちから移行情報15cを抽出する(ステップS39)。
【0097】
暗号化実行部49は、抽出した移行情報15cを公開鍵取得部47から受け取った公開鍵12で暗号化し(ステップS40)、暗号化した移行情報15cを出力制御部51に出力する。出力制御部51は、外部記憶装置11が装着されていることを条件として(ステップS41のYES)、暗号化された移行情報15cを外部記憶装置11に記憶させる(ステップS42)。以上のようにして暗号化実行処理は終了する。
【0098】
図11は、移行先情報処理装置2bにおいて実行される反映処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図例に示すように、この処理が開始されると、装着検出部17bによって外部記憶装置11の装着が検出されることを条件として(ステップS51のYES)、復号化実行部41は、外部記憶装置11に暗号化された移行情報15cが記憶されているか否かを検出する(ステップS52)。復号化実行部41は、外部記憶装置11に暗号化された移行情報15cが記憶されている場合には(ステップS52のYES)、その暗号化された移行情報15cを外部記憶装置11から読出す(ステップS53)。そして、復号化実行部41は、暗号化された移行情報15cを秘密鍵で復号化する(ステップS54)。反映部42は、復号化実行部41から復号化された移行情報15cを受け取ると、その移行情報15cを反映する(ステップS55)。以上のようにして反映処理は終了する。
【0099】
以上のように、本実施形態では、情報処理システム1は、移行元情報処理装置2aから移行先情報処理装置2bに設定情報15を移行させる構成である。すなわち、移行元情報処理装置2aは、公開鍵12が記録された、可搬性のある記録媒体である外部記憶装置11又は印刷用紙13から、その公開鍵12を取得する公開鍵取得部47と、公開鍵取得部47によって取得される公開鍵12で設定情報15を暗号化する暗号化実行部49と、暗号化された設定情報15を外部記憶装置11に記憶させる出力制御部51と、を備えている。一方、移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが開始されることに伴って公開鍵12を作成する公開鍵作成部39と、作成された公開鍵12を外部記憶装置11に記録させたり、印刷処理部5bに印刷出力させたりする出力制御部40と、公開鍵12を出力させた後、外部記憶装置11が装着されることに伴い外部記憶装置11から暗号化された設定情報15を読出して、その設定情報15を復号化する復号化実行部41と、復号化された設定情報15を反映する反映部42と、を備えている。
【0100】
このような構成によれば、移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了することで自動的に公開鍵12を作成して外部記憶装置11又は印刷用紙13に記録することが可能である。これにより、作業者は、初期セットアップを行なうことで特別な操作をすることなく公開鍵12を出力させることが可能になる。その結果、情報処理システム1は、移行元情報処理装置2aから移行先情報処理装置2bへの設定情報15の移行に伴う操作を作業者に簡易に行なわせることが可能になっている。
【0101】
また、本実施形態では、移行先情報処理装置2bにおいて公開鍵12を印刷用紙13に付して印刷出力するようになっているので、簡易な構成で公開鍵12を出力することが可能である。また、このような構成によれば、外部記憶装置11を用いなくとも公開鍵12を出力することが可能である。すなわち、作業者は、初期セットアップ時に外部記憶装置11を装着する手間が省ける。
【0102】
更に、本実施形態では、移行先情報処理装置2bにおいて外部記憶装置11に公開鍵12を出力するように構成される。これにより、作業者の操作性を向上させることができる。すなわち、作業者は、1つの外部記憶装置11を用意するだけで移行元情報処理装置2aから移行先情報処理装置2bに設定情報15を移行させることができる。
【0103】
また、本実施形態では、移行先情報処理装置2bにおいて出力制御部40は、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されている場合に外部記憶装置11に公開鍵12を出力し、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されていない場合に印刷処理部5bに公開鍵12を印刷出力させる構成である。
【0104】
このような構成によれば、移行先情報処理装置2bは、外部記憶装置11が装着されている場合と装着されていない場合とで公開鍵12の出力先を自動で振分けるので、作業者に特別な操作をさせずに自動で公開鍵12を出力することが可能である。
【0105】
更に、本実施形態では、反映部42は、設定情報15を反映させた後に、外部記憶装置11に記憶されている設定情報15を消去するように構成される。これにより、移行先情報処理装置2bは、外部記憶装置11に記録されている設定情報15が記録媒体に残ってしまうことを防止でき、セキュリティを向上させることができる。
【0106】
更に、本実施形態では、移行先情報処理装置2bにおいて、出力制御部40は、外部記憶装置11又は印刷用紙13に公開鍵12を記録すると共に、更に移行先機能情報16bを記録する構成である。一方、移行元情報処理装置2aにおいて、比較部50は、外部記憶装置11又は印刷用紙13に記録されている移行先機能情報16bと、記憶装置30aに記憶されている移行元機能情報16aとを比較する。そして、暗号化実行部49は、比較部50による比較結果に基づき、設定情報15aのうち移行先情報処理装置2bの機能に対応する情報のみを移行情報15cとして記憶装置30bから抽出する構成である。
【0107】
このような構成によれば、移行先情報処理装置2bの機能にのみ対応する移行情報15cが抽出されるので、情報処理システム1は、移行先情報処理装置2bにとって不要な設定情報15を暗号化したり、外部記憶装置11に記憶させたりしなくて済むようになっている。これにより、情報処理システム1は、データ量を軽減することで、システム全体の処理時間を短くさせることが可能になる。
【0108】
また、本実施形態では、移行先情報処理装置2bは、画像が付されたテスト用紙を読み取る読取部4bを備えている。そして、移行先情報処理装置2bにおいて印刷処理部5bは、画像が付された場所以外に公開鍵12を付すように印刷処理を実行するようになっている。
【0109】
このような構成によれば、移行先情報処理装置2bは、画像が付されている場所以外に公開鍵12を付すように印刷出力を実行するので、画像と公開鍵12とが重なってしまうことで、後に移行元情報処理装置2aにおいて公開鍵12が識別できなくなるような不具合を未然に防止することが可能である。
【0110】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、移行先情報処理装置2bが1つである場合を例示したが、この第2の実施形態では、移行元情報処理装置2aによって保持される設定情報15の移行先となる情報処理装置2が複数台設置される場合を例示する。図12は、第2の実施形態における情報処理システム1の全体構成を示す図である。図例に示すように、情報処理システム1は、移行元である移行元情報処理装置2aと、移行先である移行先情報処理装置2b〜2dとを有している。
【0111】
情報処理装置2の構成は、第1の実施形態と同様であるので、以下においては重複する説明を省略する。また、各移行先情報処理装置2b〜2dは、何れも新規で設置される状態であり、作業者によって、移行先情報処理装置2b〜2dの順で初期セットアップが行なわれるものとする。また、公開鍵12の出力態様は、上述したように、外部記憶装置11に記憶させる態様と印刷出力する態様とがあるが、以下においては、まず前者の場合について説明し、次に、後者の場合について説明する。
【0112】
移行先情報処理装置2bにおいて判定部36は、初期セットアップが開始されることで移行先情報処理装置2bを設定情報15の移行先として機能させる。また、公開鍵作成部39は、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されている場合に、例えば公開鍵Xと秘密鍵を作成する。出力制御部40は、公開鍵作成部39から公開鍵Xを受け取ると共に、外部記憶装置11に記憶されている移行先機能情報Xを読出す。そして、出力制御部40は、公開鍵Xと移行先機能情報Xとを外部記憶装置11に記憶させる。このとき、出力制御部40は、出力した公開鍵Xと移行先機能情報Xとに、例えば、同一の識別情報を関連づけることにより、公開鍵Xと移行先機能情報Xとが対応関係にあると共に、それら公開鍵Xと移行先機能情報Xのそれぞれが移行先情報処理装置2bによって出力されたものであることを特定できるようにする。
【0113】
また、移行先情報処理装置2bにおいて表示制御部は、公開鍵Xと移行先機能情報Xの出力が終了すると、移行元情報処理装置2aに外部記憶装置11を装着しても良いこと又は他の移行先情報処理装置2に対する初期セットアップを行なっても良いことを案内する手順案内画面を作成して表示部25に表示させる。
【0114】
同様にして、移行先情報処理装置2cは、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されている場合に、例えば、公開鍵Yと移行先機能情報Yとに識別情報を関連づけて外部記憶装置11に記憶させる。移行先情報処理装置2dも同様であり、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されている場合に、例えば、公開鍵Zと移行先機能情報Zとに識別情報を関連づけて外部記憶装置11に記憶させる。このようにして図例に示すように外部記憶装置11には、公開鍵X〜Zと、移行先機能情報X〜Zとがそれぞれ記憶される。
【0115】
図13は、外部記憶装置11が移行元情報処理装置2aに装着される場合を示す図である。例えば、作業者は、移行先情報処理装置2dの表示部25に表示された手順案内画面に従って外部記憶装置11を移行元情報処理装置2aに装着する。移行元情報処理装置2aに外部記憶装置11が装着されると、その移行元情報処理装置2aにおいて、公開鍵取得部47は、外部記憶装置11から公開鍵Xと移行先機能情報Xとを読出す。そして、比較部50は、記憶装置30aから移行元機能情報Qを読出し、読出した移行元機能情報Qと、公開鍵取得部47から受け取った移行先機能情報Xとを比較する。暗号化実行部49は、比較部50による比較結果に基づき記憶装置30aに記憶されている移行元設定情報Qから移行情報Xを抽出して,抽出した移行情報Xを、移行先機能情報Xに関連づけられている公開鍵Xで暗号化する。
【0116】
同様にして、移行元情報処理装置2aは、移行元機能情報Qと移行先機能情報Yとを比較し、その比較結果に基づき移行情報Yを移行元設定情報Qから抽出する。そして、移行元情報処理装置2aは、その抽出した移行情報Yを公開鍵Yで暗号化する。更に、移行元情報処理装置2aは、上記と同様にして移行情報Zを取得して公開鍵Zで暗号化する。そして、移行元情報処理装置2aは、暗号化した各移行情報X〜Zを外部記憶装置11に記憶させる。このとき、移行元情報処理装置2aは、各移行情報X〜Zに対応する識別情報をそれぞれ関連づけて外部記憶装置11に記憶させる。このようにして、外部記憶装置11には、図13に示すように、公開鍵Xで暗号化された移行情報Xと、公開鍵Yで暗号化された移行情報Yと、公開鍵Zで暗号化された移行情報Zとがそれぞれ記憶される。
【0117】
図14は、外部記憶装置11が再び各移行先情報処理装置2b〜2dに装着される場合を示す図である。移行先情報処理装置2bにおいて、復号化実行部41は、外部記憶装置11が装着されると外部記憶装置11を検索し識別情報に基づき復号化すべき移行情報Xを特定する。そして、復号化実行部41は、特定された移行情報Xを秘密鍵で復号化する。反映部42は、復号化された移行情報Xを反映する。また、反映部42は、移行情報Xを反映すると、外部記憶装置11から、その移行情報Xを消去する。移行先情報処理装置2c,2dにおいても上記と同様の処理を実行することで、移行先情報処理装置2cでは移行情報Yが反映され、移行先情報処理装置2dでは移行情報Zが反映される。また、移行先情報処理装置2c,2dは、それぞれ外部記憶装置11から移行情報Y,Zを消去する。
【0118】
図15は、公開鍵12と移行先機能情報16bとを公開鍵情報14として印刷出力する場合を示す図である。移行先情報処理装置2bは、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されていない場合には、テスト用紙55を読み込んで、そのテスト用紙55に予め付されている画像以外の位置に公開鍵情報14bを付して印刷用紙13bを印刷出力する。このとき、出力制御部40は、公開鍵情報14に更に識別情報を埋め込んで印刷処理部5bに印刷出力を実行させても良い。また、移行先情報処理装置2bにおいて表示制御部は、公開鍵情報14bの出力が終了すると、移行元情報処理装置2aに印刷用紙13aを読み取らせても良いこと又は他の移行先情報処理装置2に対する初期セットアップを行なっても良いこととを案内する読取案内画面を作成して表示部25に表示させる。
【0119】
そして、移行先情報処理装置2cは、初期セットアップが終了したタイミングで外部記憶装置11が装着されていない場合には、移行先情報処理装置2bによって印刷出力された印刷用紙13bを読み込んで、その印刷用紙13bに予め付されている画像及び公開鍵情報14b以外の位置に公開鍵情報14cを付して印刷用紙13cを印刷出力する。同様にして、移行先情報処理装置2dは、移行先情報処理装置2cによって印刷出力された印刷用紙13cを読み込んで、その印刷用紙13cに予め付されている画像、公開鍵情報14b及び公開鍵情報14c以外の位置に公開鍵情報14dを付して印刷用紙13dを印刷出力する。これにより、テスト用紙55に予め付されている画像と各公開鍵情報14b〜14dが別の位置に付されて印刷出力されるので、後に移行元情報処理装置2aにおいて、その印刷用紙13dを読み込むときに、各公開鍵情報14b〜14dを識別することが可能になる。
【0120】
移行元情報処理装置2aは、暗号化実行処理において、移行先情報処理装置2dによって印刷出力された印刷用紙13dを読み込む。上述したように、印刷用紙13dには、テスト用紙に予め付されている画像と各公開鍵情報14b〜14dとがそれぞれ異なる位置に付されているので、移行元情報処理装置2aは、公開鍵情報14b〜14dを識別可能である。移行元情報処理装置2aは、そのような印刷用紙13dを読み込んで解析することで、各公開鍵X〜Zと移行先機能情報X〜Zとを読出す。そして、移行元情報処理装置2aは、上記と同様の処理を実行し、図13に示したように、外部記憶装置11に暗号化された移行情報X〜Zを記憶させる。その後の処理は上記と同様であるので説明を省略する。
【0121】
図16は、本実施形態において情報処理システム1によって実行される暗号化処理(図7で示すステップS5)を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ暗号化処理について説明する。
【0122】
図例に示すように、移行元情報処理装置2aにおいて、作業者による操作に基づき指示受付部46によって移行開始指示が入力されると(ステップS61のYES)、判定部45は、情報処理装置2を設定情報15の移行元であると判定する(ステップS62)。次に、表示制御部は、例えば選択画面を表示部25に表示して、公開鍵12の取得方法を作業者に選択させる(ステップS63)。外部記憶装置11を介して公開鍵12を取得することが選択された場合(ステップS64のYES)、公開鍵取得部47は、外部記憶装置11が装着されていることを条件として外部記憶装置11に記憶されている公開鍵12と移行先機能情報16bとを読出す(ステップS65)。一方、読取部4aを介して公開鍵12を取得することが選択された場合(ステップS64のNO)、公開鍵取得部47は、読取部4aに印刷用紙13を読み取らせることで、公開鍵12と移行先機能情報16bとを取得する(ステップS66)。
【0123】
また、比較部50は、記憶装置30aに記憶されている移行元機能情報16aを読出す(ステップS67)。そして、比較部50は、移行元機能情報16aと移行先機能情報16bとを比較する(ステップS68)。暗号化実行部49は、比較部50による比較結果に基づき記憶装置30aに記憶されている移行元設定情報15aのうちから移行情報15cを抽出する(ステップS69)。
【0124】
暗号化実行部49は、抽出した移行情報15cを公開鍵12で暗号化する(ステップS70)。このとき外部記憶装置11が装着されていることを条件として(ステップS71のYES)、出力制御部51は、暗号化実行部49から受け取った、暗号化された移行情報15cを外部記憶装置11に記憶させる(ステップS72)。そして、制御部20aは、外部記憶装置11又は印刷用紙13に記録されている全ての公開鍵12及び移行先機能情報16bに基づき、移行情報15cの暗号化が全て終了すると(ステップS73のYES)、暗号化実行処理を終了する。
【0125】
以上のように、本実施形態では、情報処理システム1は、複数の移行先情報処理装置2b〜2dを含んでいる構成である。そして、外部記憶装置11又は印刷用紙13には、各移行先情報処理装置2b〜2dによって作成される公開鍵12のそれぞれが記録される。また、移行元情報処理装置2aは、外部記憶装置11又は印刷用紙13から各公開鍵12を取得して、それら公開鍵12に対応して設定情報15をそれぞれ暗号化する構成である。
【0126】
このような構成によれば、情報処理システム1に複数の移行先情報処理装置2b〜2dが含まれる場合であっても、情報処理システム1は、移行元情報処理装置2aから各移行先情報処理装置2b〜2dに設定情報15を安全に移行させることが可能である。
【0127】
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態では、移行元情報処理装置2aにおいては、作業者による移行開始指示を入力することで、情報処理装置2を設定情報15の移行元であるとして機能させ構成であったが、これに限られない。例えば、移行元情報処理装置2aに外部記憶装置11が装着されると移行元情報処理装置2aの判定部45は、自動で外部記憶装置11を検索して、その外部記憶装置11に公開鍵12があるか否かを検出する。そして、公開鍵12を検出した場合に、判定部45は、移行元情報処理装置2aを設定情報15の移行元であるとして機能させても良い。これにより、移行元情報処理装置2aは、外部記憶装置11が装着されることで、作業者に特別な操作を行わせることなく暗号化した移行情報15cを外部記憶装置11に出力することが可能になる。すなわち、作業者は、外部記憶装置11を、移行先情報処理装置2b、移行元情報処理装置2a、移行先情報処理装置2bの順で装着するだけで、移行元情報処理装置2aから移行先情報処理装置2bに設定情報15を安全に移行させることが可能になる。
【符号の説明】
【0129】
1 情報処理システム
2a 移行元情報処理装置
2b 移行先情報処理装置
4b 読取部(画像読取手段)
5b 印刷処理部(印刷処理手段)
11 外部記憶装置
15 設定情報
15a 移行元設定情報
15b 移行先設定情報
15c 移行情報
16 機能情報
16a 移行元機能情報
16b 移行先機能情報
18 装着ポート(装着部)
20 制御部
30a 記憶装置(設定情報記憶装置)
30b 記憶装置(機能情報記憶装置)
39 公開鍵作成部(公開鍵作成手段)
40 出力制御部(公開鍵出力制御手段)
41 復号化実行部(復号化実行手段)
42 反映部(反映手段)
47 公開鍵取得部(公開鍵取得手段)
49 暗号化実行部(暗号化実行手段)
50 比較部(比較手段)
51 出力制御部(設定情報出力制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の設定に関する設定情報を、移行元である移行元情報処理装置から移行先である移行先情報処理装置に移行させる情報処理システムであって、
前記移行元情報処理装置は、
設定情報を記憶する設定情報記憶装置と、
前記移行先情報処理装置によって公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、
前記設定情報記憶装置から設定情報を読出し、読出した設定情報を前記公開鍵で暗号化する暗号化実行手段と、
暗号化された設定情報を着脱可能な外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御手段と、
を備え、
前記移行先情報処理装置は、
初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、
作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、
前記外部記憶装置が装着されることに伴い前記外部記憶装置から暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行手段と、
復号化された設定情報を反映する反映手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記記録媒体は、印刷用紙であり、
前記公開鍵出力制御手段は、前記印刷用紙に公開鍵を印刷出力させるものであり、
前記公開鍵取得手段は、公開鍵が印刷された印刷用紙を読み取って得られる画像データを解析して公開鍵を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記記録媒体は、前記外部記憶装置であり、
前記公開鍵出力制御手段は、公開鍵を前記外部記憶装置に記録するものであり、
前記公開鍵取得手段は、前記外部記憶装置から公開鍵を読出して取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記記録媒体は、前記外部記憶装置又は印刷用紙であり、
前記公開鍵出力制御手段は、前記外部記憶装置が装着されている場合に前記外部記憶装置に公開鍵を出力し、前記外部記憶装置が装着されていない場合に前記印刷用紙に公開鍵を印刷出力させるものであり、
前記公開鍵取得手段は、前記外部記憶装置から公開鍵を読出して取得するか又は公開鍵が印刷された印刷用紙を読み取って得られる画像データを解析して公開鍵を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記反映手段は、設定情報を反映させた後に、前記外部記憶装置に記憶されている、暗号化された設定情報を消去することを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記移行先情報処理装置は、当該移行先情報処理装置の機能に関する移行先機能情報を記憶する機能情報記憶装置を更に有し、
前記公開鍵出力制御手段は、前記記録媒体に公開鍵を記録すると共に、前記機能情報記憶装置から移行先機能情報を読出して前記記録媒体に更に記録するものであり、
前記設定情報記憶装置は、前記移行元情報処理装置の機能に関する移行元機能情報を更に記憶するものであり、
前記公開鍵取得手段は、前記記録媒体から公開鍵と移行先機能情報とを取得するものであり、
前記移行元情報処理装置は、前記公開鍵取得手段から移行先機能情報を受け取ると共に、前記設定情報記憶装置から移行元機能情報を読出し、それら移行先機能情報と移行元機能情報とを比較し、その比較結果に基づき、前記設定情報記憶装置に記憶される設定情報のうちから前記移行先情報処理装置の機能に対応する情報のみを移行情報として抽出する比較手段を更に備え、
前記暗号化実行手段は、前記公開鍵取得手段から公開鍵を受け取って、その公開鍵で前記移行情報を暗号化することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記移行先情報処理装置は、画像が付された用紙を読み取る画像読取手段を更に備え、
前記公開鍵出力制御手段は、画像が付された位置以外に公開鍵を付して印刷出力させることを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
複数の前記移行先情報処理装置を備え、
前記記録媒体は、各移行先情報処理装置によって作成される公開鍵のそれぞれを記録するものであり、
前記公開鍵取得手段は、前記記録媒体から各公開鍵を取得するものであり、
前記暗号化実行手段は、前記公開鍵取得手段によって取得される各公開鍵のそれぞれに対応して設定情報を暗号化することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置の設定に関する設定情報を記憶する設定情報記憶装置を備える移行元情報処理装置から、その設定情報を移行先である移行先情報処理装置に移行させる情報処理システムによって実行される情報処理方法であって、
前記移行元情報処理装置において、
前記移行先情報処理装置によって公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得ステップと、
前記設定情報記憶装置から設定情報を読出し、読出した設定情報を前記公開鍵で暗号化する暗号化実行ステップと、
暗号化された設定情報を着脱可能な外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御ステップと、
を有し、
前記移行先情報処理装置において、
初期セットアップが開始されることに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成ステップと、
作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御ステップと、
前記外部記憶装置が装着されることに伴い前記外部記憶装置から暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行ステップと、
復号化された設定情報を反映する反映ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、
作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、
着脱可能な外部記憶装置が装着された場合に、その外部記憶装置から、他の情報処理装置によって前記公開鍵に基づき暗号化された設定情報を読出して、その設定情報を復号化する復号化実行手段と、
復号化された設定情報を反映する反映手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
着脱可能な外部記憶装置を装着する装着部と、
設定情報を記憶する設定情報記憶装置と、
他の情報処理装置によって出力され公開鍵が記録された記録媒体から、その公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、
前記設定情報記憶装置に記憶される設定情報から他の情報処理装置に移行すべき移行情報を抽出する抽出手段と、
前記公開鍵取得手段によって取得された公開鍵で前記移行情報を暗号化する暗号化実行手段と、
暗号化された移行情報を、前記装着部に装着される外部記憶装置に記憶させる設定情報出力制御手段と、
初期セットアップを行なうことに伴って公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、
前記公開鍵作成手段によって作成された公開鍵を記録媒体に記録する公開鍵出力制御手段と、
前記公開鍵出力制御手段によって公開鍵が出力された後、前記装着部に外部記憶装置が装着された場合、その外部記憶装置から、他の情報処理装置によって前記公開鍵に基づき暗号化された移行情報を読出して、その移行情報を復号化する復号化実行手段と、
前記復号化実行手段によって復号化された移行情報を設定情報として前記設定情報記憶装置に記憶させることにより反映させる反映手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−222645(P2012−222645A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87255(P2011−87255)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】