説明

情報処理システム、情報送信装置、情報受信装置、情報送信プログラム、及び情報受信プログラム

【課題】ネットワークの利便性を高め、セキュリティを確保する。
【解決手段】接続要求音を出力する情報受信装置と、前記情報受信装置から出力された接続要求音を取得する情報送信装置とを有し、前記情報送信装置は、前記接続要求音を解析して情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を取得する音解析手段と、前記音解析手段により取得した前記受信装置接続手段と、前記情報送信装置へ接続するための1又は複数の送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、前記情報受信装置が前記情報送信装置と接続するための接続方法を決定する接続方法決定手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報送信装置、情報受信装置、情報送信プログラム、及び情報受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、プリンタやMFP(Multifunction Peripheral)、プロジェクタ等の機器が通信ネットワークにより接続され、通信ネットワークを介して各機器間のデータの送受信が行われている。ここで、社内ネットワークのようにセキュリティの高いネットワーク環境においては、例えば社外のゲストユーザがネットワークに接続された機器を利用するような場合に、ネットワークのセキュリティを確保するための技術が知られている。
【0003】
例えば、従来では、ゲストID接続に用いたゲストIDと対応して接続が許可される相手先のみに接続を限定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示すような手法では、例えば、ゲストユーザがネットワークを利用する際に、SSID(Service Set Identifier)等のアクセスポイントの各種設定を行う必要がある。したがって、従来では、実際にネットワークを利用するまでに幾つかの手順が必要となるため、ゲストユーザのネットワークの利便性の向上が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ネットワークの利便性を高め、セキュリティを確保する情報処理システム、情報送信装置、情報受信装置、情報送信プログラム、及び情報受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理システムは、接続要求音を出力する情報受信装置と、前記情報受信装置から出力された接続要求音を取得する情報送信装置とを有し、前記情報送信装置は、前記接続要求音を解析して情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を取得する音解析手段と、前記音解析手段により取得した前記受信装置接続手段と、前記情報送信装置へ接続するための1又は複数の送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、前記情報受信装置が前記情報送信装置と接続するための接続方法を決定する接続方法決定手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の情報送信装置は、情報受信装置から出力された接続要求音を解析して、前記情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を取得する音解析手段と、前記音解析手段により取得した前記受信装置接続手段と、当該情報送信装置へ接続するための1又は複数の送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、前記情報受信装置が当該情報送信装置と接続するための接続方法を決定する接続方法決定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の情報受信装置は、当該情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を含む接続要求音を作成する音作成手段と、情報送信装置から出力された接続方法指定音を解析し、前記情報送信装置へ接続するための接続方法を取得する音解析手段と、前記音解析手段により取得した情報送信装置への接続方法を用いて、前記情報送信装置と通信を行う通信手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、上述した情報送信装置が有する各手段として機能させるための情報送信プログラムである。また、本発明は、コンピュータを、上述した情報受信装置が有する各手段として機能させるための情報受信プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークの利便性を高め、セキュリティを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
【図2】本実施形態に係る情報処理システムの他の概要例を示す図である。
【図3】本実施形態に係るクライアント装置及びホスト装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るクライアント装置及びホスト装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】クライアント装置及びホスト装置間のシーケンス図である。
【図6】本実施形態に係るクライアント装置の処理シーケンスを説明するための図である。
【図7】本実施形態に係るホスト装置の処理シーケンスを説明するための図である。
【図8】音データに情報を埋め込む手法及び音データから情報を取り出す方法を説明するための図である。
【図9】本実施形態に係るクライアント装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係るホスト装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】クライアント装置へ接続するためのネットワーク接続手段の一例を示す図である。
【図12】ホスト装置からエラー音が出力される場合のクライアント装置の処理の流れを示すフローチャートである
【図13】適合する接続手段がない場合のホスト装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】適合する接続手段が複数存在する場合について説明するための図である。
【図15】通信制御手段を設けたホスト装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図16】通信制御手段を設けたホスト装置の処理シーケンスを説明するための図である。
【図17】送信データ及びアクセス制限リストの一例を示す図である。
【図18】ホスト装置から送信される接続方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<情報処理システムの概要>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム100は、所定のネットワークに接続するための接続方法を受信するクライアント装置(情報受信装置)10と、クライアント装置10に所定のネットワークに接続するための接続方法を送信するホスト装置(情報送信装置)20とを有するように構成される。ホスト装置20は、例えばLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク1を介して機器30−1や機器30−2と接続されている。
【0014】
図1の例では、クライアント装置10は、例えばLaptopPC(Personal Computer)であり、通信ネットワーク1に接続されたホスト装置20に接続しようとするゲストユーザにより用いられる。なお、クライアント装置10は、例えば、タブレット端末、携帯電話、スマートフォン等のモバイル端末、PC等であっても良い。
【0015】
また、図1の例では、ホスト装置20は、例えばLaptopPCであるが、例えば画像を投影するプロジェクタや、MFP(Multifunction Peripheral)、タブレット端末、PC等であっても良い。
【0016】
図1に示す機器30−1はMFPであり、機器30−2はプロジェクタを示すが、ホスト装置20と通信ネットワーク1を介して接続される機器30は、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0017】
上述した情報処理システム100において、例えばクライアント装置10は、ホスト装置20に対して、例えば合図音としてネットワーク接続を要求する音(以下、「接続要求音」という)を出力する。クライアント装置10は、接続要求音に、後述するような、例えばクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)に関する情報を含めて、ホスト装置20に出力する。
【0018】
ホスト装置20は、クライアント装置10から出力された接続要求音を取得すると、後述するように、クライアント装置10がホスト装置20へ接続するための接続方法を決定し、決定した接続方法に関する情報を含む音(以下、「接続方法指定音」という)をクライアント装置10に出力する。
【0019】
クライアント装置10は、ホスト装置20から接続方法指定音を取得すると、接続方法指定音に含まれた接続方法を用いてホスト装置20に接続し、ホスト装置20を介して通信ネットワーク1に接続することが可能となる。
【0020】
なお、接続方法指定音に含まれる接続方法は、例えば、無線LANアクセスポイント等に関する無線通信用設定情報や、Bluetooth(登録商標)等に関する近距離無線通信用設定情報等であり、具体例については後述する。
【0021】
本実施形態では、ゲストユーザが使用するクライアント装置10と、ゲストユーザが接続しようとするホスト装置20とが互いに音の聞こえる範囲内になければ、クライアント装置10は、ホスト装置20に接続することができない。また、クライアント装置10は、ホスト装置20を介して通信ネットワーク1に接続することができない。
【0022】
したがって、本実施形態では、例えば外部からゲストユーザを装うことで、例えばセキュリティの高いネットワークに接続される危険を回避することが可能となる。
【0023】
<情報処理システム100の他の概要例>
次に、上述した情報処理システム100の他の概要例について、図を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理システムの他の概要例を示す図である。
【0024】
図2(A)は、通信ネットワーク1に接続されていないゲストユーザが用いる機器として、例えばLaptopPCであるクライアント装置10−1とタブレット端末であるクライアント装置10−2とが示されている。
【0025】
一方、ホスト装置20は、通信ネットワーク1を介して、機器30−1や機器30−2の他、機器30−3〜機器30−5と接続されている。機器30−3は、例えばLaptopPCであり、機器30−4は、例えばタブレット端末であり、機器30−5は、例えばPDA(Personal Digital Assistants)を示している。
【0026】
図2(B)は、図2(A)示すクライアント装置10−1及びクライアント装置10−2がホスト装置20と接続された例を示している。図2(B)に示すように、クライアント装置10−1とクライアント装置10−2とは、図1で説明した方法によりホスト装置20に接続すると、ホスト装置20を介して通信ネットワーク1に接続し、機器30−1〜機器30−5と接続することが可能となる。
【0027】
<クライアント装置10及びホスト装置20の機能ブロック>
次に、上述したクライアント装置10及びホスト装置20の機能ブロックについて、図を用いて説明する。図3は、本実施形態に係るクライアント装置及びホスト装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【0028】
図3(A)は、クライアント装置の機能ブロックの一例を示し、図3(B)は、ホスト装置の機能ブロックの一例を示す図である。また、図3(C)は、クライアント装置及びホスト装置が、例えばタブレット端末等の同様の機能を有する構成とした場合の機能ブロックの一例を示す図である。
【0029】
図3(A)に示すように、クライアント装置10は、マイク制御手段11と、スピーカ制御手段12と、通信手段13と、音制御手段14と、音解析手段15と、音作成手段16と、操作手段17とを有するように構成される。
【0030】
マイク制御手段11は、例えばマイク等の音収集手段により外部からの音を収集し、収集した音を電気信号に変換するように制御する。例えば、マイク制御手段11は、音制御手段14の要求に応じて外部の音の聞き取りを行い、聞き取った音データを音解析手段15に出力する。
【0031】
スピーカ制御手段12は、例えばスピーカ等の音出力手段により音を出力するように制御する。例えば、スピーカ制御手段12は、音作成手段16により作成された接続要求音をスピーカ等の音出力手段により出力するように制御する。
【0032】
通信手段13は、ネットワーク経由にて他のデバイスと接続したり、他のデバイスとデータを送受信したりする。また、通信手段13は、自デバイス(すなわちクライアント装置10)へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等の情報を内部メモリ等に格納しておく。また、通信手段13は、音解析手段15から得られたホスト装置20への接続方法を用いて、ホスト装置20と通信を行う。
【0033】
音制御手段14は、音解析手段15による音の解析や音作成手段16による音の生成等を制御する。例えば、音制御手段14は、操作手段17からホスト装置20とのネットワーク接続の指示が入力されると、音作成手段16に接続要求音を作成するよう要求する。
【0034】
また、音制御手段14は、音作成手段16により作成された接続要求音がスピーカ制御手段12の制御により出力されると、マイク制御手段11に音の聞き取りを開始するよう要求する。また、音制御手段14は、接続要求音をスピーカ制御手段12の制御により出力した後、規定時間以内に、音解析手段15によりホスト装置20から出力される接続方法指定音を検知できなかった場合、操作手段17にエラー表示を行うよう制御することができる。
【0035】
音解析手段15は、例えば、マイク制御手段11の制御により収集した音データを解析し、情報を抽出する。例えば、音解析手段15は、ホスト装置20から出力された接続方法指定音を取得すると、取得した接続方法指定音を解析して、接続方法指定音に含まれる接続方法を取得する。なお、音解析手段15により音データから情報を取り出す方法の一例については後述する。
【0036】
音作成手段16は、例えばスピーカ等から外部に出力するための音データを作成し、作成した音データをスピーカ制御手段12に出力する。例えば、音作成手段16は、音制御手段14からの接続要求音の作成要求に応じて、通信手段13から自デバイスへ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等の情報を取得する。また、音作成手段16は、取得した情報を音に埋め込み、接続要求音を作成して、スピーカ制御手段12に出力する。なお、音作成手段16により音データに情報を埋め込む方法の一例については後述する。
【0037】
操作手段17は、装置を使用するユーザからの指示又は要求を受け付ける。例えば、操作手段17は、ユーザからホスト装置20とのネットワーク接続の指示が入力されると、音制御手段14に接続要求音を作成するよう要求する。また、操作手段17は、音制御手段14の要求に応じて、画面上にエラー表示を行う。
【0038】
図3(B)に示すように、ホスト装置20は、マイク制御手段21と、スピーカ制御手段22と、通信手段23と、音制御手段24と、音解析手段25と、音作成手段26と、操作手段27と、接続方法決定手段28とを有するように構成される。
【0039】
マイク制御手段21は、例えばマイク等の音収集手段により外部からの音を収集し、収集した音を電気信号に変換するよう制御する。例えば、マイク制御手段21は、音制御手段24の要求に応じて外部の音の聞き取りを行い、聞き取った音データを音解析手段25に出力する。
【0040】
スピーカ制御手段22は、例えばスピーカ等の音出力手段により音を出力するように制御する。例えば、スピーカ制御手段22は、音作成手段26により作成された接続方法指定音をスピーカ等の音出力手段により出力するように制御する。
【0041】
通信手段23は、ネットワーク経由にて他のデバイスと接続したり、他のデバイスとデータを送受信したりする。また、通信手段23は、自デバイス(すなわちホスト装置20)へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)や自デバイスに接続するための接続方法等の情報を内部メモリ等に格納しておく。
【0042】
音制御手段24は、音解析手段25による音の解析や音作成手段26による音の生成等を制御する。例えば、音制御手段24は、例えばシステムの起動やアプリケーションの起動時に、マイク制御手段21に音の聞き取りを開始するよう要求する。また、音制御手段24は、音解析手段25による接続要求音の取得を検知すると、音作成手段26に接続方法指定音を作成するよう要求する。
【0043】
音解析手段25は、マイク制御手段21の制御により収集した音データを解析し、情報を抽出する。例えば、音解析手段25は、クライアント装置10から出力された接続要求音を取得すると、取得した接続要求音を解析し、接続要求音に含まれるクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)を取得する。なお、音解析手段25により音データから情報を取り出す方法は、音解析手段15により音データから情報を取り出す方法と同様である。
【0044】
音作成手段26は、例えばスピーカ等から外部に出力するための音データを作成し、作成した音データをスピーカ制御手段22の制御により出力する。例えば、音作成手段26は、音制御手段24からの接続方法指定音の作成要求に応じて、通信手段23から自デバイス(すなわちホスト装置20)に接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)を取得する。また、音作成手段26は、接続方法決定手段28に接続方法の決定を要求し、接続方法決定手段28により決定された接続方法等の情報を音に埋め込み、接続方法指定音を作成する。
【0045】
ここで、音作成手段26により音に埋め込まれる接続方法は、例えば、SSID(Service Set Identifier)、パスワード等の無線LANアクセスポイントの設定情報や、Bluetooth名やPINコード等のBluetoothの設定情報等を含む。なお、接続方法の例としては、上述の内容に限定されるものではなく、例えば無線通信を行うために規格された多種の接続方法のうち、必要に応じて任意に選択して用いることができる。
【0046】
また、音作成手段26は、接続方法決定手段28により、適合する接続手段が存在しないと判断された場合、エラー情報を音に埋め込み、エラー音を作成する。なお、音作成手段26により音データに情報を埋め込む方法は、音作成手段16により音データに情報を埋め込む方法と同様である。
【0047】
操作手段27は、装置を使用するユーザからの指示又は要求を受け付ける。
【0048】
接続方法決定手段28は、音解析手段25により取得したクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)と、自デバイスへの接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)とにおいて適合する接続手段があるか否か照合する。また、接続方法決定手段28は、照合結果に基づいて、クライアント装置10が自デバイス(すなわちホスト装置20)と接続するための接続方法を決定する。
【0049】
例えば、接続方法決定手段28は、クライアント装置10に有効な1又は複数の接続手段(送信装置接続手段)のうち、ホスト装置20に有効な1又は複数の接続手段(送信装置接続手段)を選択し、選択した接続手段を用いて、クライアント装置10がホスト装置20と接続するための接続方法を決定する。
【0050】
接続方法決定手段28は、選択した接続手段が複数存在する場合、選択した接続手段のうちネットワーク通信速度が最も速い接続手段を選択したり、選択した接続手段のうち予め設定された優先度が最も高い接続手段を選択したりすると良い。
【0051】
また、図3(C)は、クライアント装置10及びホスト装置20が、例えばタブレット端末等の同様の機能を有する構成とした場合の機能ブロックの一例を示している。
【0052】
マイク制御手段41は、マイク制御手段11及びマイク制御手段21に相当し、スピーカ制御手段42は、スピーカ制御手段12及びスピーカ制御手段22に相当し、通信手段43は、通信手段13及び通信手段23に相当し、音制御手段44は、音制御手段14及び音制御手段24に相当する。
【0053】
また、音解析手段45は、音解析手段15及び音解析手段25に相当し、音作成手段46は、音作成手段16及び音作成手段26に相当し、操作手段47は、操作手段17及び操作手段27に相当し、接続方法決定手段48は、接続方法決定手段28に相当する。
【0054】
図3(C)に示すタブレット端末40は、上述したクライアント装置10としての機能とホスト装置20としての機能とを有する。したがって、タブレット端末40は、クライアント装置10又はホスト装置20にもなり得るため、ユーザ側の選択等により、クライアント装置10又はホスト装置20として動作することにより、各機能ブロックのうち少なくとも一つが選択的に使用される。
【0055】
<ハードウェア構成>
次に、上述したクライアント装置10及びホスト装置20のハードウェア構成について、図を用いて説明する。図4は、本実施形態に係るクライアント装置及びホスト装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0056】
図4に示すように、クライアント装置10及びホスト装置20は、入力装置51と、表示装置52と、ドライブ装置53と、RAM(Random Access Memory)54と、ROM(Read Only Memory)55と、CPU(Central Processing Unit)56と、インタフェース装置57と、HDD(Hard Disk Drive)58とを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0057】
入力装置51は、例えばタッチパネル等を含み、クライアント装置10及びホスト装置20に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置52は、ディスプレイ等を含み、クライアント装置10及びホスト装置20による処理結果を表示する。
【0058】
ドライブ装置53は、着脱可能な記録媒体53aとのインタフェースである。これにより、クライアント装置10及びホスト装置20は、ドライブ装置53を介して、記録媒体53aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体53aには、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等がある。
【0059】
RAM54は、プログラムやデータを一次保存する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
【0060】
ROM55は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM55には、クライアント装置10及びホスト装置20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、システム設定、及びネットワーク設定等のプログラムやデータが格納されている。
【0061】
CPU56は、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」等)から、プログラムやデータをRAM(メモリ)上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0062】
インタフェース装置57は、上述したクライアント装置10及びホスト装置20を有線又は無線ネットワーク等の伝送路に接続するインタフェースである。これにより、例えば、クライアント装置10及びホスト装置20は、インタフェース装置57を介して、他の外部装置とデータ通信を行うことが可能となる。
【0063】
HDD58は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、クライアント装置10及びホスト装置20全体を制御するシステム(例えば「Windows(登録商標)」や「UNIX(登録商標)」等の基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、及びシステム上において各種機能を提供するアプリケーション等がある。また、HDD58は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び又はDB(Data Base)により管理している。
【0064】
<クライアント装置10及びホスト装置20間のシーケンス>
次に、上述したクライアント装置10及びホスト装置20間のシーケンスの一例について、図を用いて説明する。図5は、クライアント装置及びホスト装置間のシーケンス図である。
【0065】
図5に示すように、クライアント装置10は、クライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等の情報を音に埋め込み、接続要求音としてスピーカ制御手段12の制御によりホスト装置20に出力する(S10)。
【0066】
ホスト装置20は、クライアント装置10から出力された接続要求音をマイク制御手段21の制御により収集し、収集した音を解析して、上述した受信装置接続手段等の情報を取得する。
【0067】
ホスト装置20は、上述した受信装置接続手段と、ホスト装置20へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、ホスト装置20へ接続するための接続方法を音に埋め込み、接続方法指定音としてクライアント装置10に出力する(S11)。
【0068】
クライアント装置10は、ホスト装置20から出力された接続方法指定音をマイク制御手段11の制御により収集して解析し、ホスト装置20へ接続するための接続方法を取得すると、取得した接続方法を用いてホスト装置20に接続する(S12)。これにより、クライアント装置10は、ホスト装置20に接続可能となり、ホスト装置20を介してホスト装置20が接続されたネットワークへの利用が可能となる。
【0069】
<クライアント装置10の処理シーケンス>
図6は、本実施形態に係るクライアント装置の処理シーケンスを説明するための図である。なお、図6の例は、図3(A)に示すクライアント装置10の各機能ブロックのうち、操作手段17と、音制御手段14と、音作成手段16と、マイク制御手段11と、音解析手段15と、通信手段13と、スピーカ制御手段12とによって実行される処理シーケンスの一例を示す。
【0070】
図6に示すように、例えばゲストユーザが、操作手段17からホスト装置20とのネットワーク接続の指示を入力すると、操作手段17は、音制御手段14に、接続要求音を作成するよう要求する(S20)。音制御手段14は、音作成手段16に、接続要求音を作成するよう要求する(S21)。音作成手段16は、通信手段13から、例えばクライアント装置10のネットワーク接続状態やクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等を取得する(S22)。
【0071】
音作成手段16は、S22の処理で取得した情報を音に埋め込み、接続要求音を作成する(S23)。ここで、音作成手段16は、S22の処理で取得した情報を音に埋め込む方法として、一般的に用いられる音への情報の埋め込み手法を用いることができる。また、音作成手段16は、例えば予め決められた複数の周波数の音に情報を割り当てて送信するDTMF(Dual−Tone Multi−Frequency)等の手法を用いても良く、後述する手法を用いても良い。
【0072】
このとき、音作成手段16は、例えば可聴帯域外となる高周波帯域(例えば18k(Hz)以上)の周波数を用いて情報を音に埋め込むことで、接続要求音が騒音にならないため、ゲストユーザは意識せずに接続するための処理を実行することが可能となる。また、音作成手段16は、ホスト装置20との距離等に応じて接続要求音の音量を可変させても良い。
【0073】
音作成手段16は、接続要求音を作成すると、スピーカ制御手段12に接続要求音を出力するよう要求し(S24)、スピーカ制御手段12は、スピーカ等の音出力手段を制御して接続要求音を出力する。
【0074】
また、音制御手段14は、例えば、スピーカ制御手段12により接続要求音を出力するよう制御すると同時に、マイク制御手段11に音の聞き取りを開始するよう要求する(S25)。マイク制御手段11は、例えばマイク等の音収集手段から収集される音を音データに変換して音解析手段15に出力する(S26)。また、音解析手段15は、マイク制御手段11から取得した音データを解析する(S27)。
【0075】
音解析手段15は、ホスト装置20から出力された接続方法指定音に含まれるホスト装置20へ接続するための接続方法を取得すると、通信手段13に取得した接続方法を出力する(S28)。
【0076】
ここで、音解析手段15は、接続方法指定音に含まれる接続方法を取り出す手法として、一般的に用いられている音から情報を取り出す手法を用いることができる。音解析手段15は、例えば、上述したDTMFの手法で接続方法が音に埋め込まれている場合には、複数の特定周波数を含む音をFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を用いて解析し、含まれている周波数から情報を取り出す。
【0077】
なお、マイク制御手段11のS26の処理及び音解析手段15のS27の処理は、音解析手段15が接続方法を取得するまでループする。通信手段13は、音解析手段15から取得した接続方法を用いてネットワーク経由でホスト装置20と接続する。
【0078】
<ホスト装置20の処理シーケンス>
図7は、本実施形態に係るホスト装置の処理シーケンスを説明するための図である。なお、図7の例では、図3(B)に示すホスト装置20の各機能ブロックのうち、音制御手段24と、マイク制御手段21と、音解析手段25と、通信手段23と、接続方法決定手段28と、スピーカ制御手段22とによって実行される処理シーケンスの一例を示す。
【0079】
図7に示すように、音制御手段24は、マイク制御手段21に音の聞き取りを開始するよう要求し(S30)、マイク制御手段21は、例えばマイク等の音収集手段から収集される音を音データに変換して音解析手段25に出力する(S31)。なお、音制御手段24のS30の処理は、例えばシステムの起動やアプリケーションの起動により開始すると良い。
【0080】
音解析手段25は、マイク制御手段21から取得した音データを解析する(S32)。また、音解析手段25は、クライアント装置10から出力された接続要求音からクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)を取得すると、取得した接続手段を音制御手段24に出力して、接続要求音を検知したことを通知する(S33)。
【0081】
なお、マイク制御手段21のS31の処理と、音解析手段25のS32の処理は、音解析手段25が接続要求音から接続手段を取得するまでループする。また、音解析手段25により接続要求音から接続手段を取得する手法は、上述した音解析手段15により接続方法指定音に含まれる接続方法を取り出す手法と同様の手法を用いることができる。
【0082】
音制御手段24は、音解析手段25から取得した接続手段を音作成手段25に出力し、音作成手段26に接続方法指定音を作成するよう要求する(S34)。音作成手段26は、音制御手段24からの要求に応じて、通信手段23からホスト装置20へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)を取得し(S35)、接続方法決定手段28に接続方法の判定を要求する(S36)。
【0083】
接続方法決定手段28は、音作成手段26を介して取得した受信装置接続手段と送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、クライアント装置10がホスト装置20と接続するための接続方法を決定する(S37)。ここで、接続方法決定手段28は、適合する接続手段がある場合、その適合する接続手段を用いて、ホスト装置20と接続するための接続方法を決定する。
【0084】
接続方法決定手段28は、S37の処理で決定した接続方法を音生成手段25に通知し(S38)、音作成手段26は、S37の処理で決定した接続方法を音に埋め込み、接続方法指定音を作成する(S39)。なお、音作成手段26により接続方法を音に埋め込む手法は、上述した音作成手段16により接続手段を音に埋め込み、接続要求音を作成する手法と同様の手法を用いることができる。
【0085】
次に、音作成手段26は、スピーカ制御手段22に作成した接続方法指定音を出力するよう要求し(S40)、スピーカ制御手段22は、スピーカ等の音出力手段を制御して接続方法指定音を出力する。
【0086】
<音データに情報を埋め込む手法及び音データから情報を取り出す方法>
次に、上述したクライアント装置10の音作成手段16又はホスト装置20の音作成手段26により音データに情報を埋め込む手法について、図を用いて説明する。図8は、音データに情報を埋め込む手法及び音データから情報を取り出す方法を説明するための図である。
【0087】
なお、図8(A)は、音データに情報を埋め込む手法を説明するための図である。図8(A)の例では、例えば数字「94」を音に埋め込む場合の手法を示す。図8(A)に示すように、周波数f1(Hz)の音がt1時間出力され、周波数f2(Hz)の音がt2時間出力されている。例えば、クライアント装置10の音作成手段16又はホスト装置20の音作成手段26は、予め設定された所定周波数f1(Hz)の音をt1時間出力することで数字情報の開始合図とする。
【0088】
また、予め設定された所定周波数f2(Hz)の音をt2時間出力すると2進数「1」、周波数f2(Hz)の音をt2時間出力しないと2進数「0」として設定しておく。
【0089】
クライアント装置10の音作成手段16又はホスト装置20の音作成手段26は、数字「94」を2進数「01011110」に変換し、図8(A)に示すように、周波数f1(Hz)の音がt1時間出力された後、周波数f2(Hz)の音を出力しない期間とt2時間出力する期間とを組み合わせる。これにより、数字「94」を変換した2進数「0101110」の情報を音に埋め込む。なお、音にIPアドレスを音に埋め込む場合には、更に音を続けて、例えば4つの数字等を表すと良い。本実施形態では、例えばネットワーク接続手段や接続方法等に関する情報を音に埋め込むが、ネットワーク接続手段や接続方法等に関する情報を予めテーブル等を用いて数字等の情報として管理し、この数字等により表した情報を音に埋め込むことができる。
【0090】
上述したように、音に埋め込む情報量に応じて音の出力時間も長くなる。したがって、クライアント装置10の音作成手段16又はホスト装置20の音作成手段26は、例えば音の開始合図の他、音の開始と音の終了が受信側でも分かるような専用のコードを埋め込んでも良い。クライアント装置10の音解析手段15又はホスト装置20の音解析手段25は、音の開始と終了を示すコードを認識することで、その間の音を上述した接続に関する情報として取得することが可能となる。
【0091】
図8(B)は、音データから情報を取り出す方法を説明するための図である。なお、図8(B)の例では、横軸が周波数(Hz)を示し、縦軸が音振幅を示している。
【0092】
上述した図8(A)に示す方法で音に情報が埋め込まれている場合、クライアント装置10の音解析手段15又はホスト装置20の音解析手段25は、マイク制御手段11又はマイク制御手段21から取得した音データに、上述したFFTを掛けて周波数成分を取り出し、例えば周波数f1(Hz)の音が出ているか判断する。
【0093】
図8(B)に示すように、周波数f1(Hz)の音が出ている場合には、周波数f1(Hz)部分にピークが現れる。クライアント装置10の音解析手段15又はホスト装置20の音解析手段25は、周波数f1(Hz)の音を検知した後、同様にFETを掛けて周波数f2(Hz)の音が出ているか判断し、周波数f2(Hz)の音がt2時間出力されている場合に「1」、周波数f2(Hz)の音が出力されていない場合に「0」と判断する。
【0094】
クライアント装置10の音解析手段15又はホスト装置20の音解析手段25は、音に埋め込まれた数字「01011110」を取得した後、十進数に変換することで、数字「94」を取り出すことが可能となる。なお、IPアドレスを取得する場合には、同様に4つの十進数の数字を取り出せば良い。本実施形態では、例えば数字等により表したネットワーク接続手段や接続方法等に関する情報を取り出すことができる。
【0095】
また、伝送時のノイズ等で埋め込まれた情報を正確に取得できない場合もある。そこで、クライアント装置10の音解析手段15又はホスト装置20の音解析手段25は、埋め込まれている情報の認証時にその正確性を向上させるために、同一信号に対して所定回数読み込みを行い、それぞれの解析結果を統計的に判断して数値を取り出すようにしても良い。
【0096】
このとき、クライアント装置10のスピーカ制御手段12又はホスト装置10のスピーカ制御手段22は、情報を埋め込んだ音を所定回数又は所定時間、同一信号を繰り返し出力するよう制御すると良い。また、一般的に用いられている誤り検知符号や誤り訂正符号等を用いて取り出す数字の精度を向上させても良い。
【0097】
<クライアント装置10又はホスト装置20の各処理の流れ>
次に、上述したクライアント装置10又はホスト装置20の各処理の流れについて、図を用いて説明する。図9は、本実施形態に係るクライアント装置の流れを示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係るホスト装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
図9に示すように、クライアント装置10の音作成手段16は、通信手段13から、例えばクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等を取得する(S41)。
【0099】
次に、音作成手段16は、S41の処理で取得した接続手段等の情報を音に埋め込むことにより接続要求音を作成し(S42)、作成した接続要求音をスピーカ制御手段12の制御により出力する(S43)。
【0100】
次に、音制御手段14は、マイク制御手段11の制御により音の聞き取りを開始し(S44)、音解析手段15により音を解析して(S45)、ホスト装置20から出力された接続方法指定音を検知したか否か判断する(S46)。
【0101】
音解析手段15は、接続方法指定音を検知したと判断すると(S46において、YES)、接続方法指定音からホスト装置20の接続方法を取得し(S47)、マイク制御手段11の制御による音の聞き取りを終了する(S48)。通信手段13は、音解析手段15により取得したホスト装置20の接続方法によりネットワークを介してホスト装置20に接続する(S49)。
【0102】
なお、例えば、音制御手段14は、音解析手段15により接続方法指定音を検知していないと判断した場合(S46において、NO)、例えば接続要求音を出力してから規定時間が経過したか否か判断する(S50)。
【0103】
音制御手段14は、規定時間が経過したと判断した場合(S50において、YES)、例えば操作手段17の画面上にエラー表示を行うよう制御し、規定時間が経過していないと判断した場合(S50において、NO)、S45の処理を続ける。
【0104】
また、図10に示すように、ホスト装置20は、マイク制御手段21の制御により音の聞き取りを開始し(S52)、音解析手段25により音を解析して(S53)、クライアント装置10から出力された接続要求音を検知したか否か判断する(S54)。
【0105】
音解析手段25は、接続要求音を検知したと判断した場合(S54において、YES)、音から接続要求音を取得し(S55)、取得した接続要求音からクライアント装置10へ接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)等の情報を取得する(S56)。
【0106】
接続方法決定手段28は、S56の処理で取得した受信装置接続手段と、ホスト装置20に接続するための1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)とにおいて、適合する接続手段があるか否か照合する(S57)。ここで、接続方法決定手段28は、S56の処理で取得した受信装置接続手段のうち、例えばクライアント装置10に有効な1又は複数のネットワーク接続手段と、ホスト装置20に有効な1又は複数のネットワーク接続手段とを比較して一致する接続手段があるか否か判断する。
【0107】
接続方法決定手段28は、適合する接続手段があると判断した場合(S57において、YES)、その適合する接続手段を用いてホスト装置20と接続するための接続方法を決定し、音作成手段26は、接続方法決定手段28により決定された接続方法を音に埋め込み、接続方法指定音を作成する(S58)。
【0108】
スピーカ制御手段22は、音作成手段26により作成された接続方法指定音をスピーカにより出力するよう制御し(S59)、処理を終了する。なお、接続方法決定手段28は、適合する接続手段がないと判断した場合(S57において、NO)、S53の処理を続ける。
【0109】
<クライアント装置10へ接続するためのネットワーク接続手段例>
次に、上述した接続要求音に埋め込まれるクライアント装置10へ接続するためのネットワーク接続手段(受信装置接続手段)について、図を用いて説明する。図11は、クライアント装置へ接続するためのネットワーク接続手段の一例を示す図である。
【0110】
図11に示すように、クライアント装置10へ接続するためのネットワーク接続手段は、例えば「接続手段の種類」と「有無」に関する情報であり、例えば「接続手段の種類」は、「無線LANインフラストラクチャ接続」、「無線LANアドホック接続」、「Bluetooth」等を示し、各接続手段を有している場合には「有」、各接続手段を有していない場合には「無」等とする。なお、上述した「接続手段の種類」については、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0111】
図11に示す情報は、上述したように、予めテーブル等を用いて数字等の情報として管理し、数字等により表した情報を、上述した図8に示す手法を用いて音に埋め込み、接続要求音として作成することができる。また、ホスト装置20は、同様に、ホスト装置20へ接続するためのネットワーク接続手段(送信装置接続手段)を保持しているものとする。
【0112】
<適合する接続手段が存在しない場合の処理>
次に、ホスト装置20の接続方法決定手段28により適合する接続手段が存在しないと判断された場合にエラー音が出力される処理の流れについて、図を用いて説明する。図12は、ホスト装置からエラー音が出力される場合のクライアント装置の処理の流れを示すフローチャートである。図13は、適合する接続手段がない場合のホスト装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0113】
なお、図12のS60〜S68の処理は、上述した図9のS41〜S49の処理と、同様の処理であるため説明を省略し、異なる処理について説明する。また、図13のS80〜S87の処理は、上述した図10のS52〜59の処理と、同様の処理であるため説明を省略し、異なる処理について説明する。
【0114】
図12に示すように、S65の処理で音解析手段15により、ホスト装置20からの接続方法指定音を検知したか否か判断し、接続方法指定音を検知していないと判断した場合(S65において、NO)、音解析手段15は、エラー音を検知したか否か判断する(S69)。
【0115】
音解析手段15は、エラー音を検知したと判断した場合(S69において、YES)、マイク制御手段11の制御による音の聞き取りを終了し(S70)、音制御手段14は、操作手段17の画面上にエラーを表示して(S71)、処理を終了する。なお、音解析手段15によりエラー音を検知してないと判断した場合(S69において、NO)には、S64の処理を続ける。
【0116】
また、図13に示すように、ホスト装置20は、S85の処理で接続方法決定手段28により、クライアント装置10に有効な1又は複数のネットワーク接続手段(受信装置接続手段)のうち、ホスト装置20に有効な1又は複数のネットワーク接続手段(送信装置接続手段)と適合する接続手段がないと判断した場合(S85において、NO)、音作成手段26は、エラー情報を含めたエラー音を作成する(S88)。スピーカ制御手段22は、音作成手段26により作成されたエラー音を出力するよう制御し(S89)、S81の処理に戻る。
【0117】
上述したように、ホスト装置20はエラー音を出力して、クライアント装置10にエラーを通知することで、クライアント装置10にホスト装置20と接続不可能な状態であることを即座に知らせることが可能となる。
【0118】
<適合する接続手段が複数存在する場合>
次に、上述したクライアント装置10の接続手段とホスト装置20の接続手段とにおいて適合する接続手段が複数存在する場合について、図を用いて説明する。図14は、適合する接続手段が複数存在する場合について説明するための図である。
【0119】
図14(A)に示す接続手段の例では、「接続手段の種類」、「有無」の他、「転送速度」の項目が含まれている。例えば、「無線LANインフラストラクチャ接続」の場合、「転送速度」は「10Mbps」であり、「無線LANアドホック接続」の場合、「転送速度」は「5Mbps」であり、「Bluetooth」の場合、「転送速度」は「1Mbps」となっている。
【0120】
本実施形態では、例えば、図10に示すS57の処理、又は図13に示すS85の処理において適合する接続手段が複数存在する場合に、ホスト装置20の接続方法決定手段28が、図14(A)に示す各接続手段のデータ転送速度を参照し、例えば、データ転送速度が最も早い接続手段を選択すると良い。
【0121】
図14(B)に示す接続手段の例では、「接続手段の種類」、「有無」の他、「優先度」の項目が含まれている。例えば、「無線LANインフラストラクチャ接続」の場合、「優先度」は「3」、「無線LANアドホック接続」の場合、「優先度」は「2」、「Bluetooth」の場合、「優先度」は「1」となっている。このように、各接続手段には、予めシステムの規定値又はユーザの手動により優先度を設定しておくものとする。なお、上述の例では、優先度の高い順に数値を設定しているが、本発明における優先度の設定についてはこれに限定されるものではない。
【0122】
本実施形態では、上述したS57の処理又はS85の処理において適合する接続手段が複数存在する場合に、ホスト装置20の接続方法決定手段28が、図14(B)に示す各設定手段の優先度を参照し、例えば、優先度が最も高い接続手段を選択すると良い。
【0123】
なお、上述した図14(A)及び図14(B)に示す接続手段等は、予めホスト装置20の通信手段23が有する内部メモリ等に格納しておくと良い。
【0124】
また、上述の処理は、クライアント装置10において行っても良い。この場合には、接続方法決定手段28が、適合する複数の接続手段を選択した後、音作成手段26により、選択された複数の接続手段に関する情報を音に埋め込んで接続方法指定音を作成して、クライアント装置10に出力する。
【0125】
クライアント装置10は、接続方法指定音から複数の接続手段に関する情報を取得して転送速度や優先度に応じて接続手段を選択する。このように、クライアント装置10で接続方法を決定しても良いが、接続方法指定音に埋め込む情報が多くなるため、ホスト装置20で決定する方が、接続への時間が短くなる。
【0126】
<他の実施形態:通信制御手段を設けたホスト装置60>
次に、他の実施形態として、上述したホスト装置20にネットワーク通信を制御する通信制御手段を設けた場合について、図を用いて説明する。図15は、通信制御手段を設けたホスト装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【0127】
図15に示すホスト装置60は、マイク制御手段21と、スピーカ制御手段22と、通信手段23と、音制御手段24と、音解析手段25と、音作成手段26と、操作手段27と、接続方法決定手段28と、通信制御手段29とを有するように構成される。図15に示すように、ホスト装置50は、図3(B)に示すホスト装置20と比較して、通信制御手段29を有している点で異なる。
【0128】
通信制御手段29は、予め設定されたアクセス制限リストに基づいて、クライアント装置10から取得したデータの送信先を制御する。アクセス制限リストは、例えば、通信制御手段29の内部メモリ等に保持しておくものとする。
【0129】
通信制御手段29は、クライアント装置10から取得したデータの送信先が、アクセス制限リストに含まれる場合には通信不可と判定し、クライアント装置10から取得したデータの送信先が、アクセス制限リストに含まれない場合には通信可能と判定する。なお、アクセス制限リストの一例については後述する。
【0130】
<ホスト装置60の処理シーケンス>
次に、上述したホスト装置60の処理シーケンスについて、図を用いて説明する。図16は、通信制御手段を設けたホスト装置の処理シーケンスを説明するための図である。図16の例は、図15に示すホスト装置60の各機能ブロックのうち、通信手段23と通信制御手段29とによって実行される処理シーケンスの一例を示す。
【0131】
図16に示すように、ホスト装置20の通信手段23は、クライアント装置10の通信手段13によりデータが送信されると(S90)、通信制御手段29にデータの通信許可を要求する(S91)。通信制御手段29は、通信手段23からの要求に応じて、例えば送信先となる通信ネットワーク1に接続された機器30にデータを送信して良いか否か判定する(S92)。
【0132】
通信制御手段29は、データの通信許可を判定すると、判定結果を通信手段23に通知する(S93)。通信手段23は、通信制御手段29からの判定結果に応じて、機器30にクライアント装置10から取得したデータを送信する(S94)。
【0133】
<クライアント装置10からの送信データ及びアクセス制限リスト>
次に、上述したクライアント装置10から送信される送信データ及びアクセス制限リストについて、図を用いて説明する。図17は、送信データ及びアクセス制限リストの一例を示す図である。
【0134】
図17(A)は、クライアント装置10から送信される送信データの一例を示す図である。図17(A)に示すように、送信データには、「送信先」、「送信元」、「データ長」、「データ」を含み、例えば、「送信先」は、「192.112.60.5」を示し、「送信元」は、「192.112.60.30」を示している。「データ長」は、「100」を示し、「データ」は、「・・・・」を示している。ここで、「送信先」及び「送信元」は、例えばIPアドレス等を示し、「データ長」は、データの長さを示している。
【0135】
図17(B)は、通信制御手段29により用いられるアクセス制限リストの一例を示す図である。図17(B)に示すように、アクセス制限リストには、例えば、ゲストユーザがアクセス制限されるIPアドレス一覧が含まれている。
【0136】
<接続方法の一例>
次に、上述したホスト装置20からクライアント装置10に送信される接続方法について、図を用いて説明する。図18は、ホスト装置から送信される接続方法の一例を示す図である。
【0137】
図18(A)は、無線LANアクセスポイントの設定情報の一例を示す図である。図18(A)に示す設定情報では、例えば「SSID」、「セキュリティ」、「パスワード」の項目が設けられ、「SSID」は「ACCESS_POINT_A」であり、「セキュリティ」は「WEP」であり、「パスワード」は「123456」となっている。
【0138】
図18(B)は、Bluetoothの設定情報の一例を示す図である。図18(B)に示す設定情報では、例えば、「デバイス名」、「PINコード」の項目が設けられ、「デバイス名」は「DEVICE_A」であり、「PINコード」は「1234」となっている。
【0139】
本実施形態では、上述した設定情報をホスト装置20に接続するための接続方法として音に埋め込み、接続方法指定音として出力する。クライアント装置10は、接続方法指定音から接続方法を取得し、取得した接続方法を用いてホスト装置20に接続する。したがって、ゲストユーザは、ホスト装置20と接続するためのアクセスポイントや設定方法等を意識することなく、ネットワーク接続することが可能となる。
【0140】
上述したように、本発明の実施形態によれば、ネットワークの利便性を高め、セキュリティを確保することが可能となる。
【0141】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 通信ネットワーク
10 クライアント装置
11,21,41 マイク制御手段
12,22,42 スピーカ制御手段
13,23,43 通信手段
14,24,44 音制御手段
15,25,45 音解析手段
16,26,46 音作成手段
17,27,47 操作手段
20,60 ホスト装置
28,48 接続方法決定手段
29 通信制御手段
40 タブレット端末
51 入力装置
52 表示装置
53 ドライブ装置
53a 記録媒体
54 RAM
55 ROM
56 CPU
57 インタフェース装置
58 HDD
100 情報処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】
【特許文献1】特許第4025126号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続要求音を出力する情報受信装置と、
前記情報受信装置から出力された接続要求音を取得する情報送信装置とを有し、
前記情報送信装置は、
前記接続要求音を解析して情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を取得する音解析手段と、
前記音解析手段により取得した前記受信装置接続手段と、前記情報送信装置へ接続するための1又は複数の送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、前記情報受信装置が前記情報送信装置と接続するための接続方法を決定する接続方法決定手段とを有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
情報受信装置から出力された接続要求音を解析して、前記情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を取得する音解析手段と、
前記音解析手段により取得した前記受信装置接続手段と、当該情報送信装置へ接続するための1又は複数の送信装置接続手段とにおいて適合する接続手段があるか否か照合し、照合結果に基づいて、前記情報受信装置が当該情報送信装置と接続するための接続方法を決定する接続方法決定手段とを有することを特徴とする情報送信装置。
【請求項3】
前記接続方法決定手段は、
前記情報受信装置に有効な1又は複数の受信装置接続手段のうち、当該情報送信装置に有効な1又は複数の送信装置接続手段を選択し、選択した1又は複数の送信装置接続手段に基づいて、当該情報送信装置と接続するための接続方法を決定することを特徴とする請求項2に記載の情報送信装置。
【請求項4】
前記接続方法決定手段は、
前記選択した送信装置接続手段が複数存在する場合、前記選択した送信装置接続手段のうちネットワーク通信速度が最も速い接続手段を選択することを特徴とする請求項3に記載の情報送信装置。
【請求項5】
前記接続方法決定手段は、
前記選択した送信装置接続手段が複数存在する場合、前記選択した送信装置接続手段のうち予め設定された優先度が最も高い接続手段を選択することを特徴とする請求項3又は4に記載の情報送信装置。
【請求項6】
前記接続方法決定手段により決定された接続方法を含む接続方法指定音を作成する音作成手段を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の情報送信装置。
【請求項7】
前記音作成手段は、
前記接続方法決定手段により、前記適合する接続手段が存在しないと判断された場合、エラー情報を含むエラー音を作成することを特徴とする請求項6に記載の情報送信装置。
【請求項8】
当該情報送信装置とネットワークを介して接続された他の装置への通信を制御する通信制御手段を有し、
前記通信制御手段は、
予め設定されたアクセス制限リストに基づき、前記情報受信装置から送信されたデータを前記他の装置へ送信するか否か判断することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の情報送信装置。
【請求項9】
前記接続方法指定音に含まれる接続方法は、無線通信用設定情報又は近距離無線通信用設定情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の情報送信装置。
【請求項10】
当該情報受信装置へ接続するための1又は複数の受信装置接続手段を含む接続要求音を作成する音作成手段と、
情報送信装置から出力された接続方法指定音を解析し、前記情報送信装置へ接続するための接続方法を取得する音解析手段と、
前記音解析手段により取得した情報送信装置への接続方法を用いて、前記情報送信装置と通信を行う通信手段とを有することを特徴とする情報受信装置。
【請求項11】
前記接続要求音を出力した後、規定時間以内に、前記音解析手段により前記情報送信装置から前記接続方法指定音を検知できなかった場合、エラー表示を行うことを特徴とする請求項10に記載の情報受信装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の情報送信装置が有する各手段として機能させるための情報受信プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項10又は11に記載の情報受信装置が有する各手段として機能させるための情報送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−110608(P2013−110608A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254465(P2011−254465)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】