情報処理システム、方法およびプログラム
【課題】事業所の事務リスクおよび事務品質の適切な改善を行なうための情報を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段とをもつ。
【解決手段】実施形態によれば、各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段とをもつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば銀行、証券会社、保険会社、本支店の役所窓口等における事務処理時に発生した誤処理や不適切処理にかかる情報を含む事務品質に関する情報を管理する情報処理システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関において、信用リスク・市場リスクに加え、オペレーショナルリスクを独立してとらえ、リスクの定量化をもとに、所要自己資本比率を割り当てることが画策されている。その際、オペレーショナルリスクに関するマネジメントシステムが適格用件のひとつとなっている。これにしたがい、各金融機関では、オペレーショナル・リスク・マネジメントシステムの構築が進められている。しかし、従来のオペレーショナルリスクに関連するシステムは、オペレーショナルリスクに伴う損失等の評価のみを行なうシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−338124号公報
【特許文献2】特開2003−141349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来のオペレーショナルリスクに係るシステムは、オペレーショナルリスクを計量化・およびその評価を主目的としたものである。
【0005】
金融機関の業務においては、損失額の予測への取り組みが盛んに行なわれている。しかし、金融機関の事務品質管理およびリスク管理には業務の改善に際して、業界における自社の水準を把握することはできない。よって、自社の業務の改善目標が定まらず、改善すべきポイントや改善方法を適切に把握することができない。また、自社の業務に問題があることはわかっても、その品質が許容範囲なのか悪いのかを適切に判断することはできない。
【0006】
業界における自社の水準を把握するための複数の銀行間での比較は、損失額の予測を行う際の銀行の規模を基準にした「データリサイジング」は実施されているが、業務品質に関する複数銀行間の比較への取り組みはなされていない。よって、自社の業務の問題の箇所を特定できても、改善策を適切に示すことはできない。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、事業所の事務リスク管理および事務品質管理の適切な改善を行なうための情報を提供することが可能になる情報処理システム、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段とをもつ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態における事務品質マネジメントシステムの一例を示す概念図。
【図2】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がクライアント装置から入力するインシデントデータの一例を示す図。
【図3】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータの処理手順の一例を示すフローチャート。
【図4】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置が管理する対応データの一例を示す図。
【図5】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がインシデントデータを組み入れたコンソーシアムデータの一例を示す図。
【図6】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータとインシデントデータとの間の分析処理手順の一例を示すフローチャート。
【図7】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数の分析結果の一例を示す図である。
【図8】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図。
【図9】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図。
【図10】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、業務の正確性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図11】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事務手続の適切性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図12】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、内部不正および外部不正の代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図13】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、外部委託先・サプライヤーによる事務過誤分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図14】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事後対応力の分析結果の一例を示す図。
【図15】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行、他行における損失額の時系列推移の分析結果の一例を示す図。
【図16】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、バーゼル区分によるリスク顕在化の集中エリアの分析結果の一例を示す図。
【図17】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行の直接損失額の業務構成比の分析結果の一例を示す図。
【図18】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象の特定結果の一例を示す図。
【図19】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、他行におけるワースト損失事象の特定結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態における事務品質マネジメントシステムの一例を示す概念図である。
この事務品質マネジメントシステムは、複数行の銀行のそれぞれに設置されるクライアント装置と、システムの主幹となるサーバ装置とが通信ネットワークを介して通信可能なシステムである。図1では、クライアント装置は、クライアント装置20a〜20cの3つを示しているが、この数は特に限定されない。この例では、クライアント装置20aが「○○銀行」、クライアント装置20bが「○×銀行」、クライアント装置20cが「××銀行」といったように、各銀行に設置される。
【0011】
このシステムは、設置先の各銀行の本支店で事務事故などが発生した場合における、この発生事象やその発生原因などを示すインシデントデータが当該銀行のクライアント装置により入力される。サーバ装置は、この入力されたインシデントデータを所定のタイミングで取得する。
この取得したインシデントデータは、取得元の銀行ごとに、項目の種類、数、名称などがそれぞれ異なり、銀行ごとに独自の構成をなす。
【0012】
本実施形態における事務品質マネジメントシステムは、各銀行からのインシデントデータの項目の種類、数、名称を、各銀行間で共通するものとして別途定めた項目の種類、数、名称などに変換することで、各銀行からのインシデントデータの各項目に対応した情報を、各銀行間で共通して管理するための事務品質管理データであるコンソーシアムデータに反映させて管理する機能を有する。
【0013】
このコンソーシアムデータは、各銀行のいずれかのクライアント装置から当該銀行のインシデントデータを取得するたびに当該インシデントデータを反映させることで、上書き更新されるものである。
【0014】
このシステムは、生成したコンソーシアムデータをもとに、各銀行のそれぞれに対し、自行における事務事故などの発生原因、損失額といった情報と、他行における事務事故などの発生原因、損失額といった情報との間の差異などを分析して、この分析結果を各行のクライアント装置に出力させることで各銀行に提供する機能を有する。
【0015】
このシステムのサーバ装置10は、インシデントデータ入力部11、共通化データ生成部12、共通化データ分析処理部13、分析データ出力部14、記憶装置15を有する。クライアント装置20a〜20cは、設置先の銀行の本支店で事務事故などが発生した場合、この発生事象やその発生原因などを示すインシデントデータを出力する。インシデントデータの入力タイミングは、例えば月1回であり、この場合、入力されたインシデントデータは、過去一ヶ月分の事務事故などの発生原因、損失額といった情報が示される。
【0016】
インシデントデータ入力部11は、各クライアント装置からのインシデントデータを入力して、出力元の銀行ごとに区分して、記憶装置15のインシデントデータ記憶部21に記憶する。
【0017】
図2は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がクライアント装置から入力するインシデントデータの一例を示す図である。
このインシデントデータでは、事務事故などの発生日、発生時刻、判明時刻、対応時間、損失種類、報告種類、発生場所、発生業務、発生科目、発生工程、原因区分、損失などが管理される。このインシデントデータは、サーバ装置10の管理事業者が主体となって、各銀行間で協議して定められたフォーマットにしたがったデータである。
【0018】
各銀行のインシデントデータ間では、同じ意味でも銀行間で管理情報の名称が異なっていたり、ある銀行では1つの項目で管理している情報を他の銀行では複数の項目に区分して管理していたり、ある銀行ではインシデントデータ上で管理している情報を他の銀行では管理していなかったりと、フォーマットが互いに異なる。
【0019】
記憶装置15は、対応データ記憶部22と共通化データ記憶部23とを有する。共通化データ記憶部23は、各銀行からのインシデントデータに基づいて生成されたコンソーシアムデータを記憶する。
【0020】
コンソーシアムデータは、例えば、事務事故の発生場所、事務事故の原因区分といった、複数種類の分析項目ごとにそれぞれ生成される。
例えば、事務事故の発生場所に関するコンソーシアムデータは、各銀行からのインシデントデータをもとに、各銀行のそれぞれで発生した事務事故の発生場所に関わる情報を発生元の銀行の区別無しに纏めて管理するためのデータである。
【0021】
また、事務事故の原因区分に関するコンソーシアムデータは、各銀行からのインシデントデータをもとに、各銀行のそれぞれで発生した事務事故の原因区分に関わる情報を、発生元の銀行の区別無しに纏めて管理するためのデータである。
【0022】
対応データ記憶部22は、各銀行からのインシデントデータの項目の区分、数、名称などと、各分析項目のコンソーシアムデータの項目の区分、数、名称などとの対応関係を示す対応データを記憶する。
【0023】
次に、図1に示した構成の事務品質マネジメントシステムの動作について説明する。
図3は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータの処理手順の一例を示すフローチャートである。
サーバ装置10のインシデントデータ入力部11は、各クライアント装置からのインシデントデータを入力する(ステップS1)。このインシデントデータには、出力元のクライアント装置20が設置される銀行の識別情報が含まれる。
【0024】
サーバ装置10の共通化データ生成部12は、この識別情報をもとに、入力したインシデントデータの出力元のクライアント装置20が設置される銀行を判別し(ステップS2)、記憶装置15のインシデントデータ記憶部21における、判別済みの銀行からのインシデントデータ記憶エリアに記憶する(ステップS3)。
【0025】
図4は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置が管理する対応データの一例を示す図である。
この対応データは、出力元の銀行からのインシデントデータ上の管理項目とコンソーシアムデータ上の管理情報の対応関係を示すデータであり、コンソーシアムデータの分析項目名、および対応先のインシデントデータの出力元の銀行ごとに区分して記憶装置15の対応データ記憶部22に記憶する。
【0026】
図4に示した対応データは、コンソーシアムデータの分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元の銀行「××銀行」についての対応データである。この例では、銀行間で予め生成したコンソーシアムデータ仕様書により定義された管理区分と当該区分に対応する事例項目とが対応付けられる。
【0027】
コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報との対応関係としては、1対1で対応する場合、N(複数)対1で対応する場合、1対Nで対応する場合などが挙げられる。
【0028】
1対1で対応する場合とは、コンソーシアムデータとインシデントデータ間で名称が同じ場合もあれば違う場合もあるが、同じ意味の管理情報同士が1対1で対応する場合である。
【0029】
N対1で対応する場合とは、インシデントデータの中の1種類の管理情報が、コンソーシアムデータ中の複数種類の管理情報に共通して対応する場合である。
また、1対Nで対応する場合とは、インシデントデータの中の複数種類の管理情報が、コンソーシアムデータ中の1種類の管理情報に共通して対応する場合である。
【0030】
図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「10」の情報「外部の悪意、犯罪」がコンソーシアムデータにおける管理番号「2」の事例項目「外部」に対応付けられ、また、インシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「2」の情報「失念」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「10」の事例項目「行員の注意不足(による過誤・失念)」に同じく対応付けられることが示される。これらの対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報とが前述した1対1で対応する場合に該当する。
【0031】
また、図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「6」の情報「ルール逸脱(意識的、職務怠慢)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「6」の事例項目「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」、および管理番号「7」の事例項目「行員のモラルダウン」のそれぞれに対応付けられることが示される。
この対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述したN対1で対応する場合に該当する。
【0032】
また、図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「9」の情報「内部の犯罪行為」および管理番号「6」の情報「ルール逸脱(意識的、職務怠慢)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「1」の事例項目「内部不正」に纏めて対応付けられ、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「1」の情報「知識不足」や管理番号「3」の情報「勘違い(誤った知識、誤解)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「8」の事例項目「行員の知識不足」に纏めて対応付けられることが示される。
これらの対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述した1対Nで対応する場合に該当する。
【0033】
対応データには、上述の例の他、コンソーシアムデータの上述した分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元の他の銀行についての対応データや、コンソーシアムデータの他の分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元のいずれかの銀行についての対応データなどが存在する。
【0034】
サーバ装置10の共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類のうち未指定のいずれかの分析項目名を指定して(ステップS4)、コンソーシアムデータの当該指定した分析項目名および当該インシデントデータの出力元の銀行に対応した対応データを記憶装置15の対応データ記憶部22から読み出す(ステップS5)。
【0035】
共通化データ生成部12は、この読み出した対応データと入力済みのインシデントデータとをもとに、入力済みのインシデントデータの各情報に対応する、コンソーシアムデータの事例項目を判別することで、インシデントデータを当該分析項目名に関わるコンソーシアムデータに反映させて、新たなコンソーシアムデータとする。
【0036】
共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報との対応関係の種別に応じて、インシデントデータ上の対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータの事例情報として当該コンソーシアムデータに組み入れる。
【0037】
例えば、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報とが前述した1対1で対応する場合には(ステップS6のYES)、判別対象のインシデントデータ上の1つの対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の1つの事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS7)。
【0038】
図5は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がインシデントデータを組み入れたコンソーシアムデータの一例を示す図である。
図5に示した例は、前述した分析項目名「原因区分」に関するコンソーシアムデータであり、対応データでも示した区分、事例項目の他に、当該事例項目の定義、事例情報、実損失データにおける構成比が対応付けて管理される。
【0039】
コンソーシアムデータの事例情報は、対応付けられる事例項目の情報をベースとして、入力済みのコンソーシアムデータを組み入れて逐次上書き更新されていく情報である。
【0040】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「2」の事例項目「外部不正」に関する事例情報では、この「外部不正」をベースとして、ステップS7の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「外部の悪意、犯罪」がさらに管理される。
【0041】
また、このコンソーシアムデータ上の管理番号「10」の事例項目「行員の注意不足(による過誤・失念)」に関する事例情報では、この「行員の注意不足」をベースとして、ステップS7の処理による幾つかの出力元からのインシデントデータの組み入れの結果、「ケアレスミス」や「やり忘れ、失念」がさらに管理される。
【0042】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述したN対1で対応する場合には(ステップS8のYES)、判別対象のインシデントデータ上の1つの対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上のN個の事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS9)。
【0043】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「6」の事例項目「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」に関する事例情報では、当該「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」をベースとして、ステップS9の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「職務怠慢」がさらに管理される。
【0044】
また、管理番号「7」の事例項目「行員のモラルダウン」に関する事例情報では、当該「行員のモラルダウン」をベースとして、ステップS9の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「職務怠慢」がさらに管理される。
【0045】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述した1対Nで対応する場合には(ステップS10のYES)、判別対象のインシデントデータ上のN個の対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の1つの事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS11)。
【0046】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「1」の事例項目「内部不正」に関する事例情報では、当該「内部不正」をベースとして、ステップS11の処理による幾つかの出力元からの複数のインシデントデータの組み入れの結果、「内部の犯罪行為」、「意識的なルール違反」および「意図的な指定違反」がさらに管理される。
【0047】
ステップS4の処理で指定した分析項目名に対応するコンソーシアムデータへのインシデントデータの反映が終了すると、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類の分析項目名のうち未指定の分析項目名がある場合には(ステップS12のYES)、他の未選択の分析項目名を指定して(ステップS4)、ステップS5以降の処理に移る。
【0048】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類の分析項目名の全てについて、コンソーシアムデータへのインシデントデータの反映が終了した場合には(ステップS12のNO)、各分析項目名に対応するコンソーシアムデータをインシデントデータの出力元のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS13)。
【0049】
このようなモニタ表示を行なうことにより、モニタ表示を確認した銀行の担当者は、自行を含む複数の銀行からのインシデントデータを反映したコンソーシアムデータを容易に把握することができる。よって、自行におけるインシデントデータだけでは得られない、他行で発生した事務事故の原因などを反映したデータを容易に把握することができるので、自行におけるインシデントデータだけに基づいて事務処理の改善計画を立案する場合と比較して、より適切な改善計画を立案することができるようになる。
【0050】
また、このシステムのサーバ装置10は、インシデントデータを反映したコンソーシアムデータのモニタ表示を確認した銀行の担当者が改善計画を立案して当該銀行の事務処理の品質が改善した後に、この銀行からのインシデントデータを再度取得することができる。このような取得を行なうことにより、改善の為の規定の改定や人員配置、教育などに必要な期間が経過した後に、事務処理の品質が改善した銀行からのインシデントデータを反映した新たなコンソーシアムデータを生成することができる。よって、事務処理の品質改善に係るいわゆるPDCA(plan-do-check-action:計画・実施・検討・対処)サイクルが形成されるようになり、各銀行間における事務処理の品質の改善精度がより向上するようになる。
【0051】
また、このコンソーシアムデータでは、生成の元となるインシデントデータの入力元の情報は管理対象ではないため、各銀行では、自行のインシデントデータ自体が他行の銀行の担当者に特定されてしまうというリスクを回避できる。
【0052】
次に、上記のように生成したコンソーシアムデータとインシデントデータとの比較分析について説明する。
このシステムのサーバ装置10の共通化データ分析処理部13は、所定期間に属する各銀行のインシデントデータと、同じ期間における当該インシデントデータ反映後のコンソーシアムデータとを比較分析することにより、ある銀行を自行として指定した際の、自行、他行における損失額の時系列推移のグラフや自行における損失事象の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマップなどを生成する。
【0053】
次に、分析処理の具体例を説明する。図6は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータとインシデントデータとの間の分析処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、業務品質改善を目的とした分析について説明する。この分析では、共通化データ分析処理部13は、ある銀行を自行として指定した際の、自行のインシデントデータをもとに、自行の業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数を分析する(ステップS21)。
【0054】
図7は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数の分析結果の一例を示す図である。
この分析結果では、自行の業務ごとの事務過誤の原因構成比、および自行の業務ごとの事務過誤の発生件数が示される。ここでは、業務は、預金、融資、内国為替、外国為替、金融商品、公金事務、サービス、諸届、総務、本部業務に区分される。また、ここでは、事務過誤の原因は、業務の正確性、事務手続の適切性、人員配置の適切性、内部・外部不正、外部委託先・サプライヤー、その他が挙げられる。
【0055】
業務の正確性は、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「行員の知識不足」や「行員の能力不足」の上位概念にあたる。事務手続の適切性は、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「作業手順の不備、不明確」、および「作業手順が複雑、非効率」の上位概念にあたる。人員配置の適切性は、コンソーシアムデータで示される原因の事例項目「業務量、時間制限に対し行員が不足」の上位概念にあたる。
【0056】
共通化データ分析処理部13は、ステップS21の分析結果、および分析項目名「発生原因」に関するコンソーシアムデータをもとに、原因ごとの事務過誤の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータ、および、事後対応力の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータを生成する(ステップS22)。
【0057】
共通化データ分析処理部13は、自行における事務処理の改善に寄与するメッセージを生成する。分析データ出力部14は、生成されたリスクマッピングデータおよびメッセージ情報を、前述した自行に対応する銀行のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS23)。
【0058】
図8および図9は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図である。
図8に示した例は、原因ごとの事務過誤の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータである。円形エリアの大きさは、件数の多さに比例する。
【0059】
円形エリア41は、原因「業務の正確性/行員の知識不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数が非常に多く、他行と比較して減少傾向にあるが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0060】
円形エリア42は、原因「業務の正確性/行員の能力不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数が多く、他行と比較して増加傾向にあるが、他行との競争力にやや優れていることを示す。
【0061】
円形エリア43は、原因「事務手続の適切性/作業手順が複雑、非効率」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数は少なく、他行と比較してやや増加傾向にあるが、他行との競争力が明らかに優れていることを示す。
【0062】
円形エリア44は、原因「事務手続の適切性/作業手順の不備、不明確」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して大きく減少しているが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0063】
円形エリア45は、原因「人員配置の適切性/業務量、時間制限に対し行員が不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して増加傾向にあり、かつ、他行との競争力が明らかに劣ることを示す。
【0064】
円形エリア46は、原因「外部委託先・サプライヤー」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して増加しており、かつ、他行との競争力がやや劣ることを示す。
【0065】
この結果、生成される原因別分析のメッセージ情報は、例えば、『「業務量、時間制限に対し行員が不足している」ことによる事務過誤が他行比かなり多くなっていることから、早急な対応が望まれます」』および、『最も発生件数の多い「行員の知識不足」による事務過誤は減少傾向にあるものの、他行比の観点でやや劣後している状況なので、更なる知識の向上が望まれます』となる。
【0066】
また、図9に示した円形エリア51は、対応人件費に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して大きく増加しており、他行との競争力に劣ることを示す。円形エリア52は、対応日数に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して減少しているが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0067】
次に、共通化データ分析処理部13は、ステップS22のリスクマッピングデータにおけるアラーム領域であるイエローゾーンやレッドゾーンとなった分析についての代表的な事象を特定する。分析データ出力部14は、この特定結果を前述した自行に対応する銀行のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS24)。
【0068】
図10は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、業務の正確性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、業務の正確性分析の下位概念である、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「行員の知識不足」や「行員の能力不足」の特定対象、発生業務、発生科目、発生取引、発生工程、損失種類が表形式で示される。特定対象は、増加傾向にある事象や他行比劣後の可能性がある事象に区分され、増加傾向や他行比劣後の程度が所定の基準を超える事象が示される。
【0069】
図11は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事務手続の適切性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、事務手続の正確性分析の下位概念である、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「作業手順の不備、不明確」、および「作業手順が複雑、非効率」の特定対象、発生業務、発生科目、発生取引、発生工程、損失種類が表形式で示される。特定対象は、増加傾向にある事象や他行比劣後の可能性がある事象に区分され、増加傾向や他行比劣後の程度が所定の基準を超える事象が示される。
【0070】
ここでは、人員配置の適切性分析における事象の特定結果は、メッセージで示され、例えば、『「業務量、時間制限に対し行員が不足」していることが原因で発生した事務過誤の発生状況を他行と比較分析した結果、営業課(テラー)の一般行員が15時頃の時間帯に他行比劣後していることが分かりました』となる。
【0071】
図12は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、内部不正および外部不正の代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、「内部不正(自行)は、*件、外部不正(自行)は*件発生しました。代表的な内部不正、外部不正(自行、他行)の明細は以下の通りです」とのメッセージとともに、自行の内部不正、他行の内部不正、自行の外部不正、他行の外部不正のそれぞれの発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額が表形式で示される。担当者は発生者および検証者に区分され、損失額は直接損失額および損失金額に区分される。
【0072】
図13は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、外部委託先・サプライヤーによる事務過誤分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、他行比劣後の可能性がある事象として、発生件数が多い業務の業務名および科目名が示され、また、他行比劣後の可能性がある事象として、直接損失額が多い業務の業務名および科目名が示される。
【0073】
図14は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事後対応力の分析結果の一例を示す図である。
ここでは、対応人件費を多く要している自行および他行での事象が示され、また、事故対応に費やしている自行での対応日数の平均値および他行での対応日数の平均値が表形式で示される。
【0074】
このような分析及び表示を行なうことで、自行の銀行の担当者は、事務過誤における自行のデータとコンソーシアムデータから導かれる、自行の業務ごとの事務過誤の増減傾向、他行比競争力、増加傾向にあったり他行比競争力に劣ったりする代表的な事象を容易に把握することができるので、自行におけるインシデントデータだけに基づいて事務過誤の改善計画を立案する場合と比較して、より適切な改善計画を立案することができるようになる。
【0075】
次に、リスク管理を目的とした分析について説明する。この分析では、共通化データ分析処理部13は、ある銀行を自行として指定した際の、自行のインシデントデータおよび、損失額を示すコンソーシアムデータをもとに、共通化データ分析処理部13は、自行、他行における損失額を分析する(ステップS25)。
図15は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行、他行における損失額の時系列推移の分析結果の一例を示す図である。
この例では、自行の直接損失、他行の直接損失、自行の損失金額、他行の損失金額の推移が示される。
【0076】
共通化データ分析処理部13は、リスク顕在化の集中エリア、および自行の直接損失額の業務構成比を分析する(ステップS26)。
図16は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、バーゼル区分によるリスク顕在化の集中エリアの分析結果の一例を示す図である。
この例では、損失額に関わるリスク顕在化の多いエリアとして、バーゼル区分の下位概念であるビジネスラインおよび損失事象があわせて示され、全エリアの全損失額に対する当該ビジネスラインおよび損失事象に関わる損失額の自行の構成割合、および他行の構成割合が示される。
【0077】
図17は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行の直接損失額の業務構成比の分析結果の一例を示す図である。
ここでは、自行の直接損失額の業務構成比が円グラフで示される。業務は、図7でも示した預金、融資、内国為替、外国為替、金融商品、公金事務、サービス、諸届、総務、本部業務に区分される。
共通化データ分析処理部13は、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象を特定する(ステップS27)。
【0078】
図18は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、自行における最大損失事象や、他行における類似損失の発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額、バーゼル区分が表形式で示される。バーゼル区分は、ビジネスラインおよび損失事象に区分される。ここでは、さらに、他行における最大損失事象の各項目には、自行における最大損失事象の各項目とのマッチ項目が示される。図18に示した例では、自行における最大損失事象や、他行における類似損失の間で、発生業務、発生科目、発生場所、損失種類、担当者、バーゼル区分が一致しており、これらの項目のマッチ項目は「○」となり、その他のマッチ項目は空欄となる。
【0079】
そして、共通化データ分析処理部13は、他行におけるワースト損失事象を特定する(ステップS28)。
図19は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、他行におけるワースト損失事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、他行における最大損失事象の発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額、バーゼル区分が表形式で示される。
分析データ出力部14は、これらの生成された分析結果を、当該分析結果における自行に対応する銀行のクライアント装置に送信して、当該クライアント装置の表示装置などに表示させる。
【0080】
これにより、各行の管理者は、自行におけるリスク管理の傾向と他行におけるリスク管理の傾向との剥離の程度を把握することができるので、自行におけるリスク管理に関する情報をもとに改善策を策定する場合と比較して、より適切な改善策を策定することができる。
【0081】
また、このシステムのサーバ装置10は、業務品質改善やリスク管理にかかる分析結果のモニタ表示を確認した銀行の担当者が改善計画を立案して当該銀行の業務品質やリスク管理体制が改善した後に、この銀行からのインシデントデータを再度取得することができる。このような取得を行なうことにより、改善の為の規定の改定や人員配置、教育などに必要な期間が経過した後に、業務品質やリスク管理体制が改善した銀行からのインシデントデータを反映した新たなコンソーシアムデータを生成し、このデータに基づいた分析結果を出力することができる。よって、業務品質やリスク管理体制改善に係るPDCAサイクルが形成されるようになり、各銀行間における業務品質やリスク管理体制の改善精度がより向上するようになる。
【0082】
これらの各実施形態によれば、事業所の事務リスク管理および事務品質管理の適切な改善を行なうための情報を提供することが可能になる情報処理システムを提供することができる。
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10…サーバ装置、11…インシデントデータ入力部、12…共通化データ生成部、13…共通化データ分析処理部、14…分析データ出力部、15…記憶装置、20…クライアント装置、21…インシデントデータ記憶部、22…対応データ記憶部、23…共通化データ記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば銀行、証券会社、保険会社、本支店の役所窓口等における事務処理時に発生した誤処理や不適切処理にかかる情報を含む事務品質に関する情報を管理する情報処理システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関において、信用リスク・市場リスクに加え、オペレーショナルリスクを独立してとらえ、リスクの定量化をもとに、所要自己資本比率を割り当てることが画策されている。その際、オペレーショナルリスクに関するマネジメントシステムが適格用件のひとつとなっている。これにしたがい、各金融機関では、オペレーショナル・リスク・マネジメントシステムの構築が進められている。しかし、従来のオペレーショナルリスクに関連するシステムは、オペレーショナルリスクに伴う損失等の評価のみを行なうシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−338124号公報
【特許文献2】特開2003−141349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来のオペレーショナルリスクに係るシステムは、オペレーショナルリスクを計量化・およびその評価を主目的としたものである。
【0005】
金融機関の業務においては、損失額の予測への取り組みが盛んに行なわれている。しかし、金融機関の事務品質管理およびリスク管理には業務の改善に際して、業界における自社の水準を把握することはできない。よって、自社の業務の改善目標が定まらず、改善すべきポイントや改善方法を適切に把握することができない。また、自社の業務に問題があることはわかっても、その品質が許容範囲なのか悪いのかを適切に判断することはできない。
【0006】
業界における自社の水準を把握するための複数の銀行間での比較は、損失額の予測を行う際の銀行の規模を基準にした「データリサイジング」は実施されているが、業務品質に関する複数銀行間の比較への取り組みはなされていない。よって、自社の業務の問題の箇所を特定できても、改善策を適切に示すことはできない。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、事業所の事務リスク管理および事務品質管理の適切な改善を行なうための情報を提供することが可能になる情報処理システム、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段とをもつ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態における事務品質マネジメントシステムの一例を示す概念図。
【図2】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がクライアント装置から入力するインシデントデータの一例を示す図。
【図3】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータの処理手順の一例を示すフローチャート。
【図4】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置が管理する対応データの一例を示す図。
【図5】実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がインシデントデータを組み入れたコンソーシアムデータの一例を示す図。
【図6】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータとインシデントデータとの間の分析処理手順の一例を示すフローチャート。
【図7】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数の分析結果の一例を示す図である。
【図8】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図。
【図9】実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図。
【図10】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、業務の正確性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図11】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事務手続の適切性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図12】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、内部不正および外部不正の代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図13】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、外部委託先・サプライヤーによる事務過誤分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図。
【図14】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事後対応力の分析結果の一例を示す図。
【図15】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行、他行における損失額の時系列推移の分析結果の一例を示す図。
【図16】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、バーゼル区分によるリスク顕在化の集中エリアの分析結果の一例を示す図。
【図17】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行の直接損失額の業務構成比の分析結果の一例を示す図。
【図18】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象の特定結果の一例を示す図。
【図19】実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、他行におけるワースト損失事象の特定結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態における事務品質マネジメントシステムの一例を示す概念図である。
この事務品質マネジメントシステムは、複数行の銀行のそれぞれに設置されるクライアント装置と、システムの主幹となるサーバ装置とが通信ネットワークを介して通信可能なシステムである。図1では、クライアント装置は、クライアント装置20a〜20cの3つを示しているが、この数は特に限定されない。この例では、クライアント装置20aが「○○銀行」、クライアント装置20bが「○×銀行」、クライアント装置20cが「××銀行」といったように、各銀行に設置される。
【0011】
このシステムは、設置先の各銀行の本支店で事務事故などが発生した場合における、この発生事象やその発生原因などを示すインシデントデータが当該銀行のクライアント装置により入力される。サーバ装置は、この入力されたインシデントデータを所定のタイミングで取得する。
この取得したインシデントデータは、取得元の銀行ごとに、項目の種類、数、名称などがそれぞれ異なり、銀行ごとに独自の構成をなす。
【0012】
本実施形態における事務品質マネジメントシステムは、各銀行からのインシデントデータの項目の種類、数、名称を、各銀行間で共通するものとして別途定めた項目の種類、数、名称などに変換することで、各銀行からのインシデントデータの各項目に対応した情報を、各銀行間で共通して管理するための事務品質管理データであるコンソーシアムデータに反映させて管理する機能を有する。
【0013】
このコンソーシアムデータは、各銀行のいずれかのクライアント装置から当該銀行のインシデントデータを取得するたびに当該インシデントデータを反映させることで、上書き更新されるものである。
【0014】
このシステムは、生成したコンソーシアムデータをもとに、各銀行のそれぞれに対し、自行における事務事故などの発生原因、損失額といった情報と、他行における事務事故などの発生原因、損失額といった情報との間の差異などを分析して、この分析結果を各行のクライアント装置に出力させることで各銀行に提供する機能を有する。
【0015】
このシステムのサーバ装置10は、インシデントデータ入力部11、共通化データ生成部12、共通化データ分析処理部13、分析データ出力部14、記憶装置15を有する。クライアント装置20a〜20cは、設置先の銀行の本支店で事務事故などが発生した場合、この発生事象やその発生原因などを示すインシデントデータを出力する。インシデントデータの入力タイミングは、例えば月1回であり、この場合、入力されたインシデントデータは、過去一ヶ月分の事務事故などの発生原因、損失額といった情報が示される。
【0016】
インシデントデータ入力部11は、各クライアント装置からのインシデントデータを入力して、出力元の銀行ごとに区分して、記憶装置15のインシデントデータ記憶部21に記憶する。
【0017】
図2は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がクライアント装置から入力するインシデントデータの一例を示す図である。
このインシデントデータでは、事務事故などの発生日、発生時刻、判明時刻、対応時間、損失種類、報告種類、発生場所、発生業務、発生科目、発生工程、原因区分、損失などが管理される。このインシデントデータは、サーバ装置10の管理事業者が主体となって、各銀行間で協議して定められたフォーマットにしたがったデータである。
【0018】
各銀行のインシデントデータ間では、同じ意味でも銀行間で管理情報の名称が異なっていたり、ある銀行では1つの項目で管理している情報を他の銀行では複数の項目に区分して管理していたり、ある銀行ではインシデントデータ上で管理している情報を他の銀行では管理していなかったりと、フォーマットが互いに異なる。
【0019】
記憶装置15は、対応データ記憶部22と共通化データ記憶部23とを有する。共通化データ記憶部23は、各銀行からのインシデントデータに基づいて生成されたコンソーシアムデータを記憶する。
【0020】
コンソーシアムデータは、例えば、事務事故の発生場所、事務事故の原因区分といった、複数種類の分析項目ごとにそれぞれ生成される。
例えば、事務事故の発生場所に関するコンソーシアムデータは、各銀行からのインシデントデータをもとに、各銀行のそれぞれで発生した事務事故の発生場所に関わる情報を発生元の銀行の区別無しに纏めて管理するためのデータである。
【0021】
また、事務事故の原因区分に関するコンソーシアムデータは、各銀行からのインシデントデータをもとに、各銀行のそれぞれで発生した事務事故の原因区分に関わる情報を、発生元の銀行の区別無しに纏めて管理するためのデータである。
【0022】
対応データ記憶部22は、各銀行からのインシデントデータの項目の区分、数、名称などと、各分析項目のコンソーシアムデータの項目の区分、数、名称などとの対応関係を示す対応データを記憶する。
【0023】
次に、図1に示した構成の事務品質マネジメントシステムの動作について説明する。
図3は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータの処理手順の一例を示すフローチャートである。
サーバ装置10のインシデントデータ入力部11は、各クライアント装置からのインシデントデータを入力する(ステップS1)。このインシデントデータには、出力元のクライアント装置20が設置される銀行の識別情報が含まれる。
【0024】
サーバ装置10の共通化データ生成部12は、この識別情報をもとに、入力したインシデントデータの出力元のクライアント装置20が設置される銀行を判別し(ステップS2)、記憶装置15のインシデントデータ記憶部21における、判別済みの銀行からのインシデントデータ記憶エリアに記憶する(ステップS3)。
【0025】
図4は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置が管理する対応データの一例を示す図である。
この対応データは、出力元の銀行からのインシデントデータ上の管理項目とコンソーシアムデータ上の管理情報の対応関係を示すデータであり、コンソーシアムデータの分析項目名、および対応先のインシデントデータの出力元の銀行ごとに区分して記憶装置15の対応データ記憶部22に記憶する。
【0026】
図4に示した対応データは、コンソーシアムデータの分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元の銀行「××銀行」についての対応データである。この例では、銀行間で予め生成したコンソーシアムデータ仕様書により定義された管理区分と当該区分に対応する事例項目とが対応付けられる。
【0027】
コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報との対応関係としては、1対1で対応する場合、N(複数)対1で対応する場合、1対Nで対応する場合などが挙げられる。
【0028】
1対1で対応する場合とは、コンソーシアムデータとインシデントデータ間で名称が同じ場合もあれば違う場合もあるが、同じ意味の管理情報同士が1対1で対応する場合である。
【0029】
N対1で対応する場合とは、インシデントデータの中の1種類の管理情報が、コンソーシアムデータ中の複数種類の管理情報に共通して対応する場合である。
また、1対Nで対応する場合とは、インシデントデータの中の複数種類の管理情報が、コンソーシアムデータ中の1種類の管理情報に共通して対応する場合である。
【0030】
図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「10」の情報「外部の悪意、犯罪」がコンソーシアムデータにおける管理番号「2」の事例項目「外部」に対応付けられ、また、インシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「2」の情報「失念」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「10」の事例項目「行員の注意不足(による過誤・失念)」に同じく対応付けられることが示される。これらの対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報とが前述した1対1で対応する場合に該当する。
【0031】
また、図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「6」の情報「ルール逸脱(意識的、職務怠慢)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「6」の事例項目「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」、および管理番号「7」の事例項目「行員のモラルダウン」のそれぞれに対応付けられることが示される。
この対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述したN対1で対応する場合に該当する。
【0032】
また、図4に示した例では、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「9」の情報「内部の犯罪行為」および管理番号「6」の情報「ルール逸脱(意識的、職務怠慢)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「1」の事例項目「内部不正」に纏めて対応付けられ、××銀行のインシデントデータにおける項目「原因区分」で示される管理番号「1」の情報「知識不足」や管理番号「3」の情報「勘違い(誤った知識、誤解)」が、コンソーシアムデータにおける管理番号「8」の事例項目「行員の知識不足」に纏めて対応付けられることが示される。
これらの対応関係は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述した1対Nで対応する場合に該当する。
【0033】
対応データには、上述の例の他、コンソーシアムデータの上述した分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元の他の銀行についての対応データや、コンソーシアムデータの他の分析項目名「原因区分」、および対応先のインシデントデータの出力元のいずれかの銀行についての対応データなどが存在する。
【0034】
サーバ装置10の共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類のうち未指定のいずれかの分析項目名を指定して(ステップS4)、コンソーシアムデータの当該指定した分析項目名および当該インシデントデータの出力元の銀行に対応した対応データを記憶装置15の対応データ記憶部22から読み出す(ステップS5)。
【0035】
共通化データ生成部12は、この読み出した対応データと入力済みのインシデントデータとをもとに、入力済みのインシデントデータの各情報に対応する、コンソーシアムデータの事例項目を判別することで、インシデントデータを当該分析項目名に関わるコンソーシアムデータに反映させて、新たなコンソーシアムデータとする。
【0036】
共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報との対応関係の種別に応じて、インシデントデータ上の対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータの事例情報として当該コンソーシアムデータに組み入れる。
【0037】
例えば、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報と、インシデントデータの管理情報とが前述した1対1で対応する場合には(ステップS6のYES)、判別対象のインシデントデータ上の1つの対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の1つの事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS7)。
【0038】
図5は、実施形態における事務品質マネジメントシステムのサーバ装置がインシデントデータを組み入れたコンソーシアムデータの一例を示す図である。
図5に示した例は、前述した分析項目名「原因区分」に関するコンソーシアムデータであり、対応データでも示した区分、事例項目の他に、当該事例項目の定義、事例情報、実損失データにおける構成比が対応付けて管理される。
【0039】
コンソーシアムデータの事例情報は、対応付けられる事例項目の情報をベースとして、入力済みのコンソーシアムデータを組み入れて逐次上書き更新されていく情報である。
【0040】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「2」の事例項目「外部不正」に関する事例情報では、この「外部不正」をベースとして、ステップS7の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「外部の悪意、犯罪」がさらに管理される。
【0041】
また、このコンソーシアムデータ上の管理番号「10」の事例項目「行員の注意不足(による過誤・失念)」に関する事例情報では、この「行員の注意不足」をベースとして、ステップS7の処理による幾つかの出力元からのインシデントデータの組み入れの結果、「ケアレスミス」や「やり忘れ、失念」がさらに管理される。
【0042】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述したN対1で対応する場合には(ステップS8のYES)、判別対象のインシデントデータ上の1つの対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上のN個の事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS9)。
【0043】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「6」の事例項目「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」に関する事例情報では、当該「エラーを誘発しやすい拠点の風土、環境」をベースとして、ステップS9の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「職務怠慢」がさらに管理される。
【0044】
また、管理番号「7」の事例項目「行員のモラルダウン」に関する事例情報では、当該「行員のモラルダウン」をベースとして、ステップS9の処理によるインシデントデータの組み入れの結果、「職務怠慢」がさらに管理される。
【0045】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの管理情報とインシデントデータの管理情報とが前述した1対Nで対応する場合には(ステップS10のYES)、判別対象のインシデントデータ上のN個の対応元情報を対応先のコンソーシアムデータ上の1つの事例項目に関する事例情報に変換して当該コンソーシアムデータに組み入れる(ステップS11)。
【0046】
図5に示したコンソーシアムデータ上の管理番号「1」の事例項目「内部不正」に関する事例情報では、当該「内部不正」をベースとして、ステップS11の処理による幾つかの出力元からの複数のインシデントデータの組み入れの結果、「内部の犯罪行為」、「意識的なルール違反」および「意図的な指定違反」がさらに管理される。
【0047】
ステップS4の処理で指定した分析項目名に対応するコンソーシアムデータへのインシデントデータの反映が終了すると、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類の分析項目名のうち未指定の分析項目名がある場合には(ステップS12のYES)、他の未選択の分析項目名を指定して(ステップS4)、ステップS5以降の処理に移る。
【0048】
また、共通化データ生成部12は、コンソーシアムデータの複数種類の分析項目名の全てについて、コンソーシアムデータへのインシデントデータの反映が終了した場合には(ステップS12のNO)、各分析項目名に対応するコンソーシアムデータをインシデントデータの出力元のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS13)。
【0049】
このようなモニタ表示を行なうことにより、モニタ表示を確認した銀行の担当者は、自行を含む複数の銀行からのインシデントデータを反映したコンソーシアムデータを容易に把握することができる。よって、自行におけるインシデントデータだけでは得られない、他行で発生した事務事故の原因などを反映したデータを容易に把握することができるので、自行におけるインシデントデータだけに基づいて事務処理の改善計画を立案する場合と比較して、より適切な改善計画を立案することができるようになる。
【0050】
また、このシステムのサーバ装置10は、インシデントデータを反映したコンソーシアムデータのモニタ表示を確認した銀行の担当者が改善計画を立案して当該銀行の事務処理の品質が改善した後に、この銀行からのインシデントデータを再度取得することができる。このような取得を行なうことにより、改善の為の規定の改定や人員配置、教育などに必要な期間が経過した後に、事務処理の品質が改善した銀行からのインシデントデータを反映した新たなコンソーシアムデータを生成することができる。よって、事務処理の品質改善に係るいわゆるPDCA(plan-do-check-action:計画・実施・検討・対処)サイクルが形成されるようになり、各銀行間における事務処理の品質の改善精度がより向上するようになる。
【0051】
また、このコンソーシアムデータでは、生成の元となるインシデントデータの入力元の情報は管理対象ではないため、各銀行では、自行のインシデントデータ自体が他行の銀行の担当者に特定されてしまうというリスクを回避できる。
【0052】
次に、上記のように生成したコンソーシアムデータとインシデントデータとの比較分析について説明する。
このシステムのサーバ装置10の共通化データ分析処理部13は、所定期間に属する各銀行のインシデントデータと、同じ期間における当該インシデントデータ反映後のコンソーシアムデータとを比較分析することにより、ある銀行を自行として指定した際の、自行、他行における損失額の時系列推移のグラフや自行における損失事象の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマップなどを生成する。
【0053】
次に、分析処理の具体例を説明する。図6は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるコンソーシアムデータとインシデントデータとの間の分析処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、業務品質改善を目的とした分析について説明する。この分析では、共通化データ分析処理部13は、ある銀行を自行として指定した際の、自行のインシデントデータをもとに、自行の業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数を分析する(ステップS21)。
【0054】
図7は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数の分析結果の一例を示す図である。
この分析結果では、自行の業務ごとの事務過誤の原因構成比、および自行の業務ごとの事務過誤の発生件数が示される。ここでは、業務は、預金、融資、内国為替、外国為替、金融商品、公金事務、サービス、諸届、総務、本部業務に区分される。また、ここでは、事務過誤の原因は、業務の正確性、事務手続の適切性、人員配置の適切性、内部・外部不正、外部委託先・サプライヤー、その他が挙げられる。
【0055】
業務の正確性は、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「行員の知識不足」や「行員の能力不足」の上位概念にあたる。事務手続の適切性は、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「作業手順の不備、不明確」、および「作業手順が複雑、非効率」の上位概念にあたる。人員配置の適切性は、コンソーシアムデータで示される原因の事例項目「業務量、時間制限に対し行員が不足」の上位概念にあたる。
【0056】
共通化データ分析処理部13は、ステップS21の分析結果、および分析項目名「発生原因」に関するコンソーシアムデータをもとに、原因ごとの事務過誤の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータ、および、事後対応力の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータを生成する(ステップS22)。
【0057】
共通化データ分析処理部13は、自行における事務処理の改善に寄与するメッセージを生成する。分析データ出力部14は、生成されたリスクマッピングデータおよびメッセージ情報を、前述した自行に対応する銀行のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS23)。
【0058】
図8および図9は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによるリスクマッピングデータの表示例を示す図である。
図8に示した例は、原因ごとの事務過誤の増減傾向や他行比競争力を示すリスクマッピングデータである。円形エリアの大きさは、件数の多さに比例する。
【0059】
円形エリア41は、原因「業務の正確性/行員の知識不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数が非常に多く、他行と比較して減少傾向にあるが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0060】
円形エリア42は、原因「業務の正確性/行員の能力不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数が多く、他行と比較して増加傾向にあるが、他行との競争力にやや優れていることを示す。
【0061】
円形エリア43は、原因「事務手続の適切性/作業手順が複雑、非効率」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、件数は少なく、他行と比較してやや増加傾向にあるが、他行との競争力が明らかに優れていることを示す。
【0062】
円形エリア44は、原因「事務手続の適切性/作業手順の不備、不明確」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して大きく減少しているが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0063】
円形エリア45は、原因「人員配置の適切性/業務量、時間制限に対し行員が不足」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して増加傾向にあり、かつ、他行との競争力が明らかに劣ることを示す。
【0064】
円形エリア46は、原因「外部委託先・サプライヤー」に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して増加しており、かつ、他行との競争力がやや劣ることを示す。
【0065】
この結果、生成される原因別分析のメッセージ情報は、例えば、『「業務量、時間制限に対し行員が不足している」ことによる事務過誤が他行比かなり多くなっていることから、早急な対応が望まれます」』および、『最も発生件数の多い「行員の知識不足」による事務過誤は減少傾向にあるものの、他行比の観点でやや劣後している状況なので、更なる知識の向上が望まれます』となる。
【0066】
また、図9に示した円形エリア51は、対応人件費に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して大きく増加しており、他行との競争力に劣ることを示す。円形エリア52は、対応日数に関わる事務過誤のリスクマッピングデータであり、他行と比較して減少しているが、他行との競争力にやや劣ることを示す。
【0067】
次に、共通化データ分析処理部13は、ステップS22のリスクマッピングデータにおけるアラーム領域であるイエローゾーンやレッドゾーンとなった分析についての代表的な事象を特定する。分析データ出力部14は、この特定結果を前述した自行に対応する銀行のクライアント装置20に出力してモニタ表示させる(ステップS24)。
【0068】
図10は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、業務の正確性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、業務の正確性分析の下位概念である、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「行員の知識不足」や「行員の能力不足」の特定対象、発生業務、発生科目、発生取引、発生工程、損失種類が表形式で示される。特定対象は、増加傾向にある事象や他行比劣後の可能性がある事象に区分され、増加傾向や他行比劣後の程度が所定の基準を超える事象が示される。
【0069】
図11は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事務手続の適切性分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、事務手続の正確性分析の下位概念である、コンソーシアムデータで示される、原因の事例項目「作業手順の不備、不明確」、および「作業手順が複雑、非効率」の特定対象、発生業務、発生科目、発生取引、発生工程、損失種類が表形式で示される。特定対象は、増加傾向にある事象や他行比劣後の可能性がある事象に区分され、増加傾向や他行比劣後の程度が所定の基準を超える事象が示される。
【0070】
ここでは、人員配置の適切性分析における事象の特定結果は、メッセージで示され、例えば、『「業務量、時間制限に対し行員が不足」していることが原因で発生した事務過誤の発生状況を他行と比較分析した結果、営業課(テラー)の一般行員が15時頃の時間帯に他行比劣後していることが分かりました』となる。
【0071】
図12は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、内部不正および外部不正の代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、「内部不正(自行)は、*件、外部不正(自行)は*件発生しました。代表的な内部不正、外部不正(自行、他行)の明細は以下の通りです」とのメッセージとともに、自行の内部不正、他行の内部不正、自行の外部不正、他行の外部不正のそれぞれの発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額が表形式で示される。担当者は発生者および検証者に区分され、損失額は直接損失額および損失金額に区分される。
【0072】
図13は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、外部委託先・サプライヤーによる事務過誤分析における代表的な事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、他行比劣後の可能性がある事象として、発生件数が多い業務の業務名および科目名が示され、また、他行比劣後の可能性がある事象として、直接損失額が多い業務の業務名および科目名が示される。
【0073】
図14は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、事後対応力の分析結果の一例を示す図である。
ここでは、対応人件費を多く要している自行および他行での事象が示され、また、事故対応に費やしている自行での対応日数の平均値および他行での対応日数の平均値が表形式で示される。
【0074】
このような分析及び表示を行なうことで、自行の銀行の担当者は、事務過誤における自行のデータとコンソーシアムデータから導かれる、自行の業務ごとの事務過誤の増減傾向、他行比競争力、増加傾向にあったり他行比競争力に劣ったりする代表的な事象を容易に把握することができるので、自行におけるインシデントデータだけに基づいて事務過誤の改善計画を立案する場合と比較して、より適切な改善計画を立案することができるようになる。
【0075】
次に、リスク管理を目的とした分析について説明する。この分析では、共通化データ分析処理部13は、ある銀行を自行として指定した際の、自行のインシデントデータおよび、損失額を示すコンソーシアムデータをもとに、共通化データ分析処理部13は、自行、他行における損失額を分析する(ステップS25)。
図15は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行、他行における損失額の時系列推移の分析結果の一例を示す図である。
この例では、自行の直接損失、他行の直接損失、自行の損失金額、他行の損失金額の推移が示される。
【0076】
共通化データ分析処理部13は、リスク顕在化の集中エリア、および自行の直接損失額の業務構成比を分析する(ステップS26)。
図16は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、バーゼル区分によるリスク顕在化の集中エリアの分析結果の一例を示す図である。
この例では、損失額に関わるリスク顕在化の多いエリアとして、バーゼル区分の下位概念であるビジネスラインおよび損失事象があわせて示され、全エリアの全損失額に対する当該ビジネスラインおよび損失事象に関わる損失額の自行の構成割合、および他行の構成割合が示される。
【0077】
図17は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行の直接損失額の業務構成比の分析結果の一例を示す図である。
ここでは、自行の直接損失額の業務構成比が円グラフで示される。業務は、図7でも示した預金、融資、内国為替、外国為替、金融商品、公金事務、サービス、諸届、総務、本部業務に区分される。
共通化データ分析処理部13は、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象を特定する(ステップS27)。
【0078】
図18は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、自行におけるワースト損失事象と他行における類似損失事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、自行における最大損失事象や、他行における類似損失の発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額、バーゼル区分が表形式で示される。バーゼル区分は、ビジネスラインおよび損失事象に区分される。ここでは、さらに、他行における最大損失事象の各項目には、自行における最大損失事象の各項目とのマッチ項目が示される。図18に示した例では、自行における最大損失事象や、他行における類似損失の間で、発生業務、発生科目、発生場所、損失種類、担当者、バーゼル区分が一致しており、これらの項目のマッチ項目は「○」となり、その他のマッチ項目は空欄となる。
【0079】
そして、共通化データ分析処理部13は、他行におけるワースト損失事象を特定する(ステップS28)。
図19は、実施形態における事務品質マネジメントシステムによる、他行におけるワースト損失事象の特定結果の一例を示す図である。
ここでは、他行における最大損失事象の発生日、発生業務、発生場所、損失種類、判明の経緯、担当者、損失額、バーゼル区分が表形式で示される。
分析データ出力部14は、これらの生成された分析結果を、当該分析結果における自行に対応する銀行のクライアント装置に送信して、当該クライアント装置の表示装置などに表示させる。
【0080】
これにより、各行の管理者は、自行におけるリスク管理の傾向と他行におけるリスク管理の傾向との剥離の程度を把握することができるので、自行におけるリスク管理に関する情報をもとに改善策を策定する場合と比較して、より適切な改善策を策定することができる。
【0081】
また、このシステムのサーバ装置10は、業務品質改善やリスク管理にかかる分析結果のモニタ表示を確認した銀行の担当者が改善計画を立案して当該銀行の業務品質やリスク管理体制が改善した後に、この銀行からのインシデントデータを再度取得することができる。このような取得を行なうことにより、改善の為の規定の改定や人員配置、教育などに必要な期間が経過した後に、業務品質やリスク管理体制が改善した銀行からのインシデントデータを反映した新たなコンソーシアムデータを生成し、このデータに基づいた分析結果を出力することができる。よって、業務品質やリスク管理体制改善に係るPDCAサイクルが形成されるようになり、各銀行間における業務品質やリスク管理体制の改善精度がより向上するようになる。
【0082】
これらの各実施形態によれば、事業所の事務リスク管理および事務品質管理の適切な改善を行なうための情報を提供することが可能になる情報処理システムを提供することができる。
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10…サーバ装置、11…インシデントデータ入力部、12…共通化データ生成部、13…共通化データ分析処理部、14…分析データ出力部、15…記憶装置、20…クライアント装置、21…インシデントデータ記憶部、22…対応データ記憶部、23…共通化データ記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、
前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記取得手段により取得した、前記各事業体のうち指定した事業体に関わる事象情報および前記生成した共通の事象情報をもとに、前記指定した事業体と他の事業体の間の事務処理の品質の低下事象の特徴の比較分析を行ない、この分析結果を前記指定した事業体向けの分析結果として出力する出力手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、
前記事業体の事象情報の単一種類の情報と前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係、前記事業体の事象情報の単一種類の情報と前記共通の事象情報の複数種類の情報との対応関係、および、前記事業体の事象情報の複数種類の情報と前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記生成手段は、
前記事業体の変換対象の単一種類の情報が前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係にある場合に、この情報を対応先の前記共通の事象情報の単一種類の情報に変換し、
前記事業体の変換対象の単一種類の情報が前記共通の事象情報の複数種類の情報との対応関係にある場合に、この情報を対応先の前記共通の事象情報の複数種類の情報に分割して変換し、
前記事業体の変換対象の複数種類の情報が前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係にある場合に、これらの情報を纏めて対応先の前記共通の事象情報の単一種類の情報に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記出力手段は、
業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数を分析して、前記原因ごとの事務過誤の発生件数、ある事業体を基準とした他の事業体に対する事務過誤の増減傾向や事務過誤の他事業体比競争力を示すリスクマッピング情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記出力手段は、
ある事業体および他の事業体の損失額の分析を行なうことで、ある事業体の最大損失事象と他の事業体における類似損失事象とを示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記取得手段は、
前記出力手段により出力した分析結果の出力先である当該事業体からの前記事象情報を前記分析結果が前記出力先の事業体に把握された後における、前記事務処理の品質の改善に要する期間経過後の所定のタイミングで再度取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
各事業体間で異なる様式である、事務処理の品質の低下事象を示す事象情報の様式と各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段を備える情報処理システムで用いられる方法であって、
前記各事業体の前記事象情報をそれぞれ取得し、
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
各事業体間で異なる様式である、事務処理の品質の低下事象を示す事象情報の様式と各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記各事業体の前記事象情報をそれぞれ取得する取得手段、および
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項1】
各事業体間で様式の異なる、当該各事業体の事務処理の品質の低下事象を示す事象情報をそれぞれ取得する取得手段と、
前記各事業体のそれぞれの事象情報の様式と、各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段と、
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記取得手段により取得した、前記各事業体のうち指定した事業体に関わる事象情報および前記生成した共通の事象情報をもとに、前記指定した事業体と他の事業体の間の事務処理の品質の低下事象の特徴の比較分析を行ない、この分析結果を前記指定した事業体向けの分析結果として出力する出力手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、
前記事業体の事象情報の単一種類の情報と前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係、前記事業体の事象情報の単一種類の情報と前記共通の事象情報の複数種類の情報との対応関係、および、前記事業体の事象情報の複数種類の情報と前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記生成手段は、
前記事業体の変換対象の単一種類の情報が前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係にある場合に、この情報を対応先の前記共通の事象情報の単一種類の情報に変換し、
前記事業体の変換対象の単一種類の情報が前記共通の事象情報の複数種類の情報との対応関係にある場合に、この情報を対応先の前記共通の事象情報の複数種類の情報に分割して変換し、
前記事業体の変換対象の複数種類の情報が前記共通の事象情報の単一種類の情報との対応関係にある場合に、これらの情報を纏めて対応先の前記共通の事象情報の単一種類の情報に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記出力手段は、
業務ごとの事務過誤の原因構成比および発生件数を分析して、前記原因ごとの事務過誤の発生件数、ある事業体を基準とした他の事業体に対する事務過誤の増減傾向や事務過誤の他事業体比競争力を示すリスクマッピング情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記出力手段は、
ある事業体および他の事業体の損失額の分析を行なうことで、ある事業体の最大損失事象と他の事業体における類似損失事象とを示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記取得手段は、
前記出力手段により出力した分析結果の出力先である当該事業体からの前記事象情報を前記分析結果が前記出力先の事業体に把握された後における、前記事務処理の品質の改善に要する期間経過後の所定のタイミングで再度取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
各事業体間で異なる様式である、事務処理の品質の低下事象を示す事象情報の様式と各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段を備える情報処理システムで用いられる方法であって、
前記各事業体の前記事象情報をそれぞれ取得し、
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
各事業体間で異なる様式である、事務処理の品質の低下事象を示す事象情報の様式と各事業体間で共通の事象情報の様式との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記各事業体の前記事象情報をそれぞれ取得する取得手段、および
前記対応情報および前記取得した事象情報とをもとに、当該取得した事象情報を前記共通の事象情報の様式にしたがった情報に変換して、前記共通の事象情報を生成する生成手段として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−238221(P2012−238221A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107410(P2011−107410)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
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