説明

情報処理システム、読取装置、情報処理装置及びこの情報処理装置のプログラム

【課題】携帯型読取装置を用いて情報処理装置の入力操作を可能にする。
【解決手段】媒体の情報を読取る読取部を備えた携帯型読取装置2の本体に、当該本体の少なくとも2方向への移動を検出する一対の加速度センサを設ける。この読取装置2と通信ケーブル3で接続され、読取部で読取られた情報を読取装置2から受信するとその情報を処理する情報処理装置1は、加速度センサによる検出情報により本体の移動方向を判定する。また、読取装置2からの入力待ち項目を設定する。この設定される入力待ち項目と判定された読取装置2の移動方向とに基づいて、読取装置2からの入力情報を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバーコードスキャナ等の読取装置と、POS(Point Of Sales)端末等の情報処理装置とからなる情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
POS端末に接続されるバーコードスキャナには、一般に、定置式のスキャナと携帯式のスキャナとがある。コンビニエンスストアなどの店舗において、携帯式のスキャナ、いわゆるハンディスキャナを採用した場合、POS端末の操作者であるキャッシャは、一方の手でハンディスキャナを持ち、他方の手で客が購入する商品を持つ。そして、商品に付されたバーコードにスキャナの読取部を当てることでバーコード情報を読取らせる。ハンディスキャナで読取られたバーコード情報は、POS端末に出力される。POS端末では、バーコード情報に基づいて当該商品の販売情報が登録処理される。こうして、客が購入する全ての商品のバーコードをハンディスキャナで読み取らせると、キャッシャは、POS端末の小計キーを押下する。そうすると、POS端末では、当該客に対する請求金額が算出され表示されるので、キャッシャは、その請求金額に応じた支払いを客から受ける。
【0003】
従来、ハンディスキャナ等の携帯型読取装置に、加速度センサを搭載して、任意位置間の寸法を測定するようにした技術は既に知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、加速度センサが一定時間以上傾きを検知しなかった場合に読取装置の電源を自動的にオフすることで、省電力化を図る技術も既に知られている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平8−114439号公報
【特許文献2】特開2005−275867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、店舗での実際の運用では、1客が購入する商品のバーコードを読み取っている間でも、POS端末のキー操作を強いられる場面が多々見受けられる。例えば、同一商品を複数個登録する場合は、置数キーと乗算キーとを操作して個数を入力してからバーコードを読取る。また、バーコードを直前に読取った商品について客が購入の取り止めを申し出た場合は、取消キーを操作する。このような場面では、キャッシャは、通常、スキャナを利き腕で持っているため、スキャナを所定の場所に一旦置くか、他方の手に持ち替えてからキー操作をしており、操作が煩雑で手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、携帯型読取装置を用いて情報処理装置の入力操作を可能にし得、操作の手間を軽減できる情報処理システム、及びこのシステムで用いられる読取装置、情報処理装置、並びに読取装置対応プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯型の本体に、媒体の情報を読取る読取部を備えた読取装置と、読取装置と通信手段により接続され、読取部で読取られた情報を前記読取装置から受信するとその情報を処理する情報処理装置とを備えた情報処理システムにおいて、読取装置の本体に、当該本体の少なくとも2方向への移動を検出する移動検出手段を設け、情報処理装置に、移動検出手段による検出情報により本体の移動方向を判定する方向判定手段と、読取装置からの入力待ち項目を設定する入力項目設定手段と、この入力項目設定手段により設定される入力待ち項目と方向判定手段により判定される前記本体の移動方向とに基づいて読取装置からの入力情報を特定する入力情報特定手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、携帯型読取装置を用いて情報処理装置の入力操作を可能にし得、操作の手間を軽減できる情報処理システム、及びこのシステムで用いられる読取装置、情報処理装置、並びに読取装置対応プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、図1に示すように、POS端末1とハンディスキャナ2とからなる商品販売情報処理システムに本発明を適用した場合である。
【0009】
本実施の形態において、POS端末1とハンディスキャナ2とは、通信手段としての通信ケーブル3で接続されている。POS端末1には、キーボード4、ディスプレイ5、プリンタ6、カードリーダ7等の入出力デバイスが実装されている。
【0010】
ハンディターミナル2の側面図と背面図を図2及び図3に示す。図示するように、ハンディターミナル2は、携帯可能な本体2Aの先端にバーコードの読取部8を設け、本体2Aの略中央部に、オペレータが片手で握ることができる把持部9を形成している。そして、この把持部9の左側面部に、プッシュ式のトリガボタン10を設けている。このトリガボタン10が設けられている位置は、図3に示すように、右利きのオペレータが右手で把持部を握ったときに親指が当たる位置である。
【0011】
ハンディターミナル2の要部構成を図4のブロック図で示す。ハンディターミナル2は、主制御部としてCPU(Central Processing Unit)11を搭載している。そしてこのCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介してROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、通信インターフェイス15、スキャナコントローラ16、第1のセンサ信号入力部17、第2のセンサ信号入力部18及びボタン信号入力部19を接続している。
【0012】
通信インターフェイス15は、通信ケーブル3を介して接続されるPOS端末1とのデータ通信を司る。スキャナコントローラ16は、前記読取部8に設けられた光学式スキャナ20のバーコード読取動作を制御する。第1のセンサ信号入力部17は、第1の加速度センサ21の検出信号を入力する。第2のセンサ信号入力部18は、第2の加速度センサ22の検出信号を入力する。ボタン信号入力部19は、前記トリガボタン10から出力される信号を入力する。
【0013】
第1の加速度センサ21及び第2の加速度センサ22は、本体2Aの把持部9に内蔵されており、それぞれ本体2Aの一方向への移動に伴なう加速度を検出する。第1の加速度センサ21は、操作者が読取部8を上にして把持部9を握った状態から本体2Aを左右の横方向(この方向をX方向とする)に移動させたときの加速度を検出する。第2の加速度センサ22は、操作者が同じく読取部8を上にして把持部9を握った状態から本体2Aを上下の縦方向(この方向をY方向とする)に移動させたときの加速度を検出する。
【0014】
CPU11は、スキャナ20でバーコードが読取られると、そのバーコードに対応したバーコード信号をPOS端末1に送信する。また、CPU11は、トリガボタン10が押圧操作されると、トリガボタン押下信号をPOS端末1に送信し、トリガボタン10が押圧操作から開放されると、トリガボタン開放信号をPOS端末1に送信する。さらにCPU11は、トリガボタン10が押圧操作されている間、第1の加速度センサ21及び第2の加速度センサ22によって検出される加速度信号をPOS端末1に送信する。
【0015】
ここに、ハンディターミナル2は、携帯型の本体2Aに、媒体(バーコード)の情報を読取る読取部8を備えた読取装置として機能する。第1の加速度センサ21及び第2の加速度センサ22は、本体2AのX方向及びY方向への移動を検出する移動検出手段を構成する。トリガボタン10は、移動検出手段(第1の加速度センサ21及び第2の加速度センサ22)による検出情報の出力を指令する出力指令手段を構成する。
【0016】
POS端末1の要部構成を図5のブロック図で示す。POS端末1は、主制御部としてCPU31を搭載している。そして、このCPU31に、アドレスバス,データバス等のバスライン32を介して、ROM33、RAM34、HDD(Hard Disk Drive)35、時計部36、通信インターフェイス37、キーボードコントローラ38、表示コントローラ39、プリンタコントローラ40、カードリーダコントローラ41及びスキャナインターフェイス42を接続している。
【0017】
通信インターフェイス37は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続される上位コンピュータとのデータ通信を司る。スキャナインターフェイス42は、通信ケーブル3を介して接続されるハンディターミナル2とのデータ通信を司る。
【0018】
キーボードコントローラ38は、前記キーボード4を制御し、操作キーに対応したキー信号を取り込む。表示コントローラ39は、前記ディスプレイ5に対する画面表示を制御する。プリンタコントローラ40は、前記プリンタ6によるレシート印字を制御する。カードリーダコントローラ41は、前記カードリーダ7を制御し、電子マネーカードのカード情報を読取らせる。
【0019】
POS端末1は、ハンディターミナル2からの入力に基づいて処理を実行するためのプログラムを、ROM33またはHDD35に実装している。このプログラムに従ったCPU31の制御手順を、図6の流れ図で示す。
【0020】
POS端末1の電源オンによりプログラムが起動すると、CPU31は、ST(ステップ)1としてハンディターミナル2からバーコード信号が入力されるのを待機する。スキャナインターフェイス42を介してバーコード信号が入力されると(ST1のYES)、CPU31は、ST2としてそのバーコード信号からバーコード情報を取得し、処理する。例えばバーコード情報が商品のPLU(Price Look Up)コードであった場合には、商品マスタファイルを検索して、PLUコードに対応してプリセットされている商品名,単価等の商品情報を呼出し、売上登録処理を行う。
【0021】
バーコード信号の入力を待機している間、ST3としてトリガボタン押下信号が入力されると(ST3のYES)、CPU31は、ST4としてトリガボタン押下信号入力時点の状態から、1または2以上の入力待ち項目を設定する(入力項目設定手段)。そして、ST5としてこの入力待ち項目を、当該入力待ち項目の入力として特定されるハンディターミナル2の移動方向を示す情報とともに、ディスプレイ5に表示させる(入力項目表示手段)。
【0022】
この状態で、CPU31は、ST6としてハンディターミナル2から第1または第2の加速度センサ21,22の検出信号が入力されるのを待機する(検出情報受信手段)。少なくとも一方の加速度センサ21,22の検出信号が入力されると(ST6のYES)、CPU31は、ST7としてその検出信号により本体2Aの移動方向を判定する(方向判定手段)。そして、ST8として現時点の入力待ち項目と本体2Aの移動方向とに基づいてハンディターミナル2からの入力情報を特定し(入力情報特定手段)、この入力情報に応じた処理を実行する。この処理には、入力待ち項目を更新する入力項目更新手段としての処理も含まれる。
【0023】
しかる後、CPU31は、ST9としてトリガボタン開放信号が入力されたか否かを判断する。入力されていない場合には(ST9のNO),ST5の処理に戻る。すなわち、現時点の入力待ち項目を、当該入力待ち項目の入力として特定されるハンディターミナル2の移動方向を示す情報とともに、ディスプレイ5に表示させる。
【0024】
ハンディターミナル2からトリガボタン開放信号が入力されると(ST9のYES)、CPU31は、ST10として当該開放信号入力時点の状態に従った処理を実行する。そして、この処理を実行したならば、CPU31は、ST1に戻り、次のバーコード入力またはトリガボタン入力を待機する。
【0025】
かかる構成のハンディターミナル2とPOS端末1とを備えた商品販売情報処理システムでは、例えば客が同一商品を複数点購入した場合のPOS端末1の操作である乗算登録を効率よく処理することができる。以下、この乗算登録を具体例に、図7〜図17を用いて本実施の形態の作用について説明する。なお、図7は、POS端末1におけるハンディターミナル2からの入力待ち項目の設定状態を示す変遷図である。図8〜図17は、POS端末1のディスプレイ5に表示される画面の変遷図である。
【0026】
図7において、記号Uはハンディターミナル2の上方向への移動を示し、記号Dは下方向への移動を示し、記号Lは左方向への移動を示し、記号Rは右方向への移動を示し、記号Cは回転方向への移動を示す。また、記号BPは、トリガボタン10が押下されたことを示し、記号BLは、トリガボタン10が開放されたことを示す。
【0027】
POS端末1のオペレータであるキャッシャ(右利きとする)は、客が同一商品を例えば17点購入していた場合、先ず、そのうちの1点を左手で取り上げる。そして、右手に持ったハンディターミナル2の読取部8を当該商品のバーコードに対向させて近づける。そうすると、読取部8のスキャナ20によってバーコードが読取られ、そのバーコード信号がPOS端末1に入力される。バーコード信号を入力したPOS端末1では、そのバーコード信号から得られるバーコード情報を基に、当該商品の商品名,単価等の商品情報を取得する。
【0028】
次に、バーコードを読取操作したキャッシャは、ハンディターミナル2の把持部9を握った右手の親指部分にあるトリガボタン10を押下する。そうすると、トリガボタン押下信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、図7の開始50の時点から、トリガボタン10が開放されたので、バーコード入力時点の入力待ち項目を示すメニュー1の表示状態となる(図7の51)。
【0029】
このとき、ディスプレイ5には、図8のメニュー画面が表示される。図示するように、この時点における入力待ち項目は、上方向への移動で特定される「決済手段」と、右方向への移動で特定される「次へ」と、下方向への移動で特定される「読取時操作」と、左方向への移動で特定される「前へ」との4項目である。
【0030】
この状態で、キャッシャがハンディターミナル2を右方向へ移動させた場合は、メニュー2の表示状態となり(図7の52)、左方向へ移動させた場合は、メニューXの表示状態となる。これらのメニューについては、説明を省略する。
【0031】
本具体例では、キャッシャは、ハンディターミナル2を下方向へ移動させる。そうすると、ハンディターミナル2からは、本体2Aの下方向への移動に伴った各加速度センサ21,22の検出信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、メニュー1の入力待ち項目の中から、下方向に対応した入力待ち項目「読取時操作」が選択される。そして、項目「読取時操作」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される(図7の54)。
【0032】
このとき、ディスプレイ5には、図9のメニュー画面が表示される。図示するように、この時点における入力待ち項目は、上方向への移動で特定される「次へ」と、右方向への移動で特定される「個数入力」と、左方向への移動で特定される「読取取消」との3項目である。
【0033】
この状態で、キャッシャがハンディターミナル2を左方向へ移動させた場合は、読取取消待機状態となり(図7の55)、さらに、キャッシャがトリガボタン10から指を離すと、POS端末1は、直前に入力したバーコード情報の取消処理を実行する。
【0034】
本具体例では、キャッシャは、ハンディターミナル2を右方向へ移動させる。そうすると、ハンディターミナル2からは、本体2Aの右方向への移動に伴った各加速度センサ21,22の検出信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、読取時操作メニューの入力待ち項目の中から、右方向に対応した入力待ち項目「個数入力」が選択される。そして、項目「個数入力」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される(図7の56)。
【0035】
このとき、ディスプレイ5には、図10に示すように、トリガボタン10の開放を要求する画面が表示される。この状態で、キャッシャがハンディターミナル2を左方向へ移動させた場合は、図9のメニュー画面に戻る。
【0036】
本具体例では、キャッシャは、トリガボタン10から指を離す。そうすると、ハンディターミナル2からは、トリガボタン開放信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、トリガボタン10が開放されたことに応じた確定処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される(図7の57)。
【0037】
このとき、ディスプレイ5には、図11に示すように、トリガボタン10の再押下を要求する画面が表示される。
【0038】
そこでキャッシャは、トリガボタン10を再度押下する。そうすると、ハンディターミナル2からは、トリガボタン押下信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、トリガボタン10が押下されたことに応じた開始処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される(図7の58)。
【0039】
このとき、ディスプレイ5には、図12のメニュー画面が表示される。図示するように、この時点における入力待ち項目は、右方向への移動で特定される「1個ずつ追加」と、下方向への移動で特定される「5個ずつ追加」と、旋回方向への移動で特定される「10個ずつ追加」との3項目である。
【0040】
ここで、販売点数17を登録するために、キャッシャは、先ず、ハンディターミナル2を1回転させる。そうすると、ハンディターミナル2からは、本体2Aの旋回移動に伴った各加速度センサ21,22の検出信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、個数入力待機状態の入力待ち項目の中から、旋回方向に対応した入力待ち項目「10個ずつ追加」が選択される。そして、項目「10個ずつ追加」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される。このとき、ディスプレイ5には、図13のメニュー画面が表示される。すなわち、販売点数10点が入力されたことが示される。
【0041】
次に、キャッシャは、ハンディターミナル2を下方向へ移動させる。そうすると、ハンディターミナル2からは、本体2Aの下方向への移動に伴った各加速度センサ21,22の検出信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、個数入力待機状態の入力待ち項目の中から、下方向に対応した入力待ち項目「5個ずつ追加」が選択される。そして、項目「5個ずつ追加」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される。このとき、ディスプレイ5には、図14のメニュー画面が表示される。すなわち、販売点数15点が入力されたことが示される。
【0042】
次に、キャッシャは、ハンディターミナル2を右方向へ移動させる。そうすると、ハンディターミナル2からは、本体2Aの右方向への移動に伴った各加速度センサ21,22の検出信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、個数入力待機状態の入力待ち項目の中から、右方向に対応した入力待ち項目「1個ずつ追加」が選択される。そして、項目「1個ずつ追加」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される。このとき、ディスプレイ5には、図15のメニュー画面が表示される。すなわち、販売点数16点が入力されたことが示される。
【0043】
次に、キャッシャは、ハンディターミナル2をもう一度右方向へ移動させる。この場合も、上記と同様に作用する。そして、ディスプレイ5には、図16のメニュー画面が表示される。すなわち、販売点数17点が入力されたことが示される。
【0044】
そこでキャッシャは、トリガボタン10から指を離す。そうすると、ハンディターミナル2からは、トリガボタン開放信号がPOS端末1に入力される。これにより、POS端末1では、トリガボタン10が開放されたことに応じた確定処理が実行される。このとき、ディスプレイ5には、図17に示すように、販売点数17点で確定される。そして、直前に入力されたバーコード情報で特定される商品17点の乗算登録処理が実行される。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、キャッシャは、商品のバーコードを読取ったハンディターミナル2から手を離すことなく、このハンディターミナル2を所定の方向に数回移動させるだけで、当該商品全17点の乗算登録をPOS端末1に処理させることができる。したがって、ハンディターミナル2を所定の場所に一旦置いたり、他方の手に持ち替えてからキー操作をしたりする手間が不要となるので、操作の手間を軽減できる利点がある。
【0046】
ところで、図8に示すメニュー1画面の表示状態において、キャッシャがハンディターミナル2を上方向に移動させた場合には、POS端末1では、メニュー1の入力待ち項目の中から、上方向に対応した入力待ち項目「決済手段」が選択される。そして、項目「決済手段」の処理が実行され、新たな入力待ち項目のメニュー表示状態に更新される(図7の59)。
【0047】
このとき、ディスプレイ5には、図18のメニュー画面が表示される。図示するように、この時点における入力待ち項目は、左方向への移動で特定される「カードA決済」と、右方向への移動で特定される「カードB決済」と、下方向への移動で特定される「カードC決済」との3項目である。
【0048】
ここで、キャッシャがハンディターミナル2を左方向へ移動させ、さらに、トリガボタン19から指を離すと、POS端末1では、カードAでの決済確定処理が実行され、図19に示すように、カードAでの決済が確定した旨がディスプレイ5に表示される。この場合も、キャッシャは、商品のバーコードを読取ったハンディターミナル2から手を離すことなく、このハンディターミナル2を所定の方向に数回移動させるだけで、カードAでの決済を確定させることができる。以後、キャッシャは、客が購入した商品の代金について、カードAでの支払いに対応すればよい。
【0049】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0050】
例えば、前記実施の形態では、ハンディターミナル2の移動方向を検出する移動検出手段として、異なる2方向への加速度をそれぞれ検出する2つの加速度センサ21,22を例示したが、移動方向検出手段は、これに限定されるものではない。例えば、異なる3方向以上への加速度をそれぞれ検出する3つ以上の加速度センサによって、移動検出手段を構成してもよい。また、加速度センサ以外のセンサ等を利用して、ハンディターミナル2の少なくとも2方向への移動を検出してもよい。また、加速度センサの取付位置も、本実施の形態に限定されないのは言うまでも無いことである。
【0051】
また、本発明に係る読取装置は、バーコードスキャナを備えたハンディターミナル2に限定されるものではない。例えば、RFIDタグの情報を、無線を利用して非接触で読取るRFIDタグリーダ又はRFIDリーダ・ライタに移動検出手段を設けて、本発明の情報処理システムを構築してもよい。
【0052】
また、本発明に係る情報処理装置は、POS端末に限定されるものではない。ハンディスキャナ2やRFIDリーダ等の読取装置を、データの入力手段として用いることが可能なコンピュータ機器であれば、本発明を適用することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では装置内部に発明を実施する機能が予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様の機能をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0054】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態である商品販売情報処理システムの概略を示す外観図。
【図2】同実施の形態で用いられるハンディターミナルの側面図。
【図3】同実施の形態で用いられるハンディターミナルの背面図。
【図4】同実施の形態で用いられるハンディターミナルの要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態で用いられるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図6】同実施の形態で用いられるPOS端末のCPUが実行する主要な制御処理手順を示す流れ図。
【図7】同実施の形態で用いられるPOS端末の状態偏移例を示す模式図。
【図8】図7における「メニュー1表示状態」の表示例を示す模式図。
【図9】図8の状態から入力待ち項目「読取時操作」が選択された後の「読取時操作メニュー表示状態」の表示例を示す模式図。
【図10】図9の状態から入力待ち項目「個数入力」が選択された後の「ボタン開放待機状態」の表示例を示す模式図。
【図11】図10の状態からトリガボタンが開放された後の「ボタン押下待機状態」の表示例を示す模式図。
【図12】図11の状態からトリガボタンが押下された後の「個数入力待機状態」の表示例を示す模式図。
【図13】図12の状態から入力待ち項目「10個ずつ追加」が選択された後の「個数入力待機状態」の表示例を示す模式図。
【図14】図13の状態から入力待ち項目「5個ずつ追加」が選択された後の「個数入力待機状態」の表示例を示す模式図。
【図15】図14の状態から入力待ち項目「1個ずつ追加」が選択された後の「個数入力待機状態」の表示例を示す模式図。
【図16】図15の状態から入力待ち項目「1個ずつ追加」が選択された後の「個数入力待機状態」の表示例を示す模式図。
【図17】図16の状態からトリガボタンを開放した後の「個数確定状態」の表示例を示す模式図。
【図18】図8の状態から入力待ち項目「決済手段」が選択された後の「決済メニュー表示状態」の表示例を示す模式図。
【図19】図18の状態から入力待ち項目「カードA決済」が選択され、さらにトリガボタンを開放した後の「カードA決済確定状態」の表示例を示す模式図。
【符号の説明】
【0056】
1…POS端末、2…ハンディターミナル、3…通信ケーブル、4…キーボード、5…ディスプレイ、6…プリンタ、7…カードリーダ、8…読取部、9…把持部、10…トリガボタン、20…スキャナ、21…第1の加速度センサ、22…第2の加速度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型の本体に、媒体の情報を読取る読取部を備えた読取装置と、前記読取装置と通信手段により接続され、前記読取部で読取られた情報を前記読取装置から受信するとその情報を処理する情報処理装置とを備えた情報処理システムにおいて、
前記読取装置は、前記本体に、当該本体の少なくとも2方向への移動を検出する移動検出手段、を具備し、
前記情報処理装置は、前記移動検出手段による検出情報により前記本体の移動方向を判定する方向判定手段と、前記読取装置からの入力待ち項目を設定する入力項目設定手段と、この入力項目設定手段により設定される入力待ち項目と前記方向判定手段により判定される前記本体の移動方向とに基づいて前記読取装置からの入力情報を特定する入力情報特定手段と、を具備したことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記入力情報特定手段により特定された入力情報に従い、前記入力待ち項目を更新する入力項目更新手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記読取装置は、前記本体に、前記移動検出手段による検出情報の出力を指令する出力指令手段、をさらに具備し、
前記情報処理装置は、前記出力指令手段により出力が指令されている間、前記移動検出情報による検出情報を前記読取装置から受信する検出情報受信手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記状態設定手段により設定された入力待ち項目を、前記入力情報特定手段により当該入力待ち項目の入力として特定される前記本体の移動方向とともに表示する入力項目表示手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項5】
携帯型の本体に、媒体の情報を読取る読取部と、この読取部で読取った情報を外部へ出力する通信部とを備えた読取装置において、
前記本体の少なくとも2方向への移動を検出する移動検出手段と、
この移動検出手段による検出情報の前記外部への出力を指令する出力指令手段と、
を具備したことを特徴とする読取装置。
【請求項6】
前記移動検出手段は、前記本体の移動方向に沿った第1の方向及びこの第1の方向と直交する第2の方向への加速度を検出する加速度センサであり、
前記出力指令手段は、前記本体の把持部に設けられたボタンが入力されている間、前記検出情報の前記外部への出力を指令する手段であることを特徴とする請求項5記載の読取装置。
【請求項7】
携帯型の読取装置本体と通信手段により接続され、前記読取装置本体で読取られた情報を取込み処理する情報処理装置において、
前記読取装置本体の少なくとも2方向への移動を検出する移動検出手段による検出情報により前記読取装置本体の移動方向を判定する方向判定手段と、
前記読取装置本体からの入力待ち項目を設定する入力項目設定手段と、
この入力項目設定手段により設定される入力待ち項目と前記方向判定手段により判定される前記読取装置本体の移動方向とに基づいて前記読取装置からの入力情報を特定する入力情報特定手段と、
を具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記入力情報特定手段により特定された入力情報に従い、前記入力待ち項目を更新する入力項目更新手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記入力項目設定手段により設定された入力待ち項目を、当該入力待ち項目の入力として特定される前記読取装置本体の移動方向とともに表示する入力項目表示手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項7または8記載の情報処理装置。
【請求項10】
携帯型の読取装置本体と通信手段により接続され、前記読取装置本体で読取られた情報を取込み処理するコンピュータに、
前記読取装置本体の少なくとも2方向への移動を検出する移動検出手段による検出情報により前記読取装置本体の移動方向を判定する方向判定機能と、
前記読取装置本体からの入力待ち項目を設定する入力項目設定機能と、
この状態設定機能により設定される入力待ち項目と前記方向判定機能により判定される前記読取装置本体の移動方向とに基づいて前記読取装置からの入力情報を特定する入力情報特定機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−55198(P2010−55198A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217022(P2008−217022)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】