説明

情報処理システムおよび表示処理プログラム

【課題】記入者の操作を簡易にしつつ、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる情報処理システムおよび表示処理プログラムを提供すること。
【解決手段】処理手段24は、文字や記号が入力される文字記入領域406を制御する文字記入領域制御部243を有し、この文字記入領域制御部243は、文字記入領域406の回転制御処理を行うようになっており、記入者が電子ペン1により、スクリーン4に投影された回転制御マーク408にペンダウンしてストロークを描くことで、文字記入領域406を回転させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置座標を示すコード化パターンを用いて情報を入力することができる情報処理システムに関し、特に、ユーザによって記入される文字や記号などの文字情報を記入するための領域の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto Pen)」が知られている。このアノトペンは、所定のアルゴリズムによりパターン化された位置座標を示すドットパターンが印刷された専用紙(以下、単に「専用紙」という。)とともに使用される。
【0003】
具体的には、このアノトペンは、ペン先部に、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。また、ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いた場合に、または、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入した場合に、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンが撮像され、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが記入した文字、記号または図形などの情報(以下、「記入情報」という。)が取得されるようになっている。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、最近、コンピュータ装置の表示画面上を専用のペンその他のもので触れることによって文字や記号などの文字情報を記入するシステムが提案されており、その一つとして、所定の画面上の領域にユーザによって手書きされた文字情報を記入するための文字記入領域を用いるものが知られている。
【0005】
例えば、このような文字を記入して入力できるシステムとしては、文字記入領域が予め設定されており、当該文字記入領域に手書きされた文字や記号などを取得させることによって、文字の記入を行う記入者(いわゆる、ユーザ)に対してその記入時の負担を軽減させるようになっている(例えば、特許文献2)。
【0006】
一方、最近では、このような手書き文字を入力する装置を自動車などの移動体におけるナビゲーション装置の入力インターフェースとして用いるものも知られている(例えば、特許文献3)。ここでは、文字記入領域の傾斜角度が記入者の指示に基づいて設定されるとともに、設定された傾斜角度に基づいて記入情報が記入されるようになっている。
【0007】
さらに、上述の技術とは異なり、文字記入領域を設定せずに、記入者に自由に記入情報を記入させ、記入された記入情報に基づいて、筆記された方向(筆記方向)、文字の大きさおよび各文字の方向(文字方向)を解析して記入情報を取得するものも知られている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開平8−50530号公報
【特許文献3】特開2008−250679号公報
【特許文献4】特開2002−175498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2乃至4に記載の手書き文字を入力するシステムの何れにおいても、記入者における文字の記入に際し、当該記入者による書きにくさを解消させるために文字記入領域を容易にかつ確実に傾斜させることが難しい。
【0010】
例えば特許文献2に記載の手書き文字を入力する装置においては、傾斜された文字記入領域に文字を記入させる旨の記載はあるものの、文字記入領域をどの程度の角度でどのように傾斜させるのか、その設定の仕方について言及されていないので、この文字記入領域を容易にかつ確実に傾斜させることができない。
【0011】
また、特許文献3に記載のナビゲーション装置にあっては、記入者によって文字記入領域における傾斜操作の実行中には、文字記入領域が表示されないので、どの程度の傾斜であれば記入者にとって入力しやすいかイメージしにくく、記入者の要望する角度に確実に設定することが難しい。
【0012】
一方、特許文献4に記載の情報処理システムにあっては、そもそも、文字の入力位置をサポートし、かつ、認識処理などの処理負担を軽減するための文字記入領域を表示させる機能が無く、記入情報の入力が行われる位置が固定されていないので、文字記入領域を傾斜させる概念そのものがない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、直接的に文字記入領域を操作させることによって、記入者の操作を簡易にしつつ、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる情報処理システムおよび表示処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、位置座標を示すコード化パターンが形成されたスクリーン上を移動した際に、前記コード化パターンを移動経路に沿って読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取ったコード化パターンのデータに基づいて移動経路の座標を算出する算出手段と、前記算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記スクリーンに投影する投影手段に出力する投影出力手段と、文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記スクリーンに表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段と、を備え、前記読取手段が前記回転制御マークの位置から前記スクリーン上を移動した場合に、前記回転制御手段が、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該読取手段の移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させる構成を有している。
【0015】
この構成により、請求項1に記載の発明は、記入者によって、読取手段を回転制御マークの位置から移動させれば、所定の中心点を基準に文字記入領域を回転させることができるので、文字記入領域を回転させる際に中心点を設定するなどの他の操作をすることなく、直接的に文字記入領域を回転させることができる。また、文字記入領域を画定する画定マークをスクリーンに表示させつつ、当該文字記入領域が回転するので、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させるための文字記入領域の記入を記入者が要望する位置に確実に回転させることができる。したがって、記入者の操作を簡易にしつつ、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、位置座標を示すコード化パターンが形成された光透過性シート上を移動した際に、前記コード化パターンを移動経路に沿って読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取ったコード化パターンのデータに基づいて移動経路の座標を算出する算出手段と、前記算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記光透過性シートの背面から当該光透過性シートの前面から視覚可能に表示する表示手段に出力する表示出力手段と、文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記表示手段に表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段とを備え、前記読取手段が前記回転制御マークの位置から前記光透過性シート上を移動した場合に、前記回転制御手段が、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該読取手段の移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させる構成を有している。
【0017】
この構成により、請求項2に記載の発明は、記入者によって、読取手段を回転制御マークの位置から移動させれば、所定の中心点を基準に文字記入領域を回転させることができるので、文字記入領域を回転させる際に中心点を設定するなどの他の操作をすることなく、直接的に文字記入領域を回転させることができる。また、文字記入領域を画定する画定マークを、光透過性シートを通して表示手段に表示させつつ、当該文字記入領域が回転するので、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させるための文字記入領域の記入を記入者が要望する位置に確実に回転させることができる。したがって、記入者の操作を簡易にしつつ、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の情報処理システムにおいて、前記回転制御マークは複数あり、前記回転制御手段は、前記文字記入領域が回転する際に、前記移動経路の開始位置の座標を有する回転制御マークとは異なる回転制御マークを前記回転の中心点に設定する構成を有している。
【0019】
この構成により、請求項3に記載の発明は、回転制御マークは複数あるため、ユーザは任意の回転制御マークを選択することができ、いずれの回転制御マークが選択されたとしても、選択された回転制御マークとは異なる回転制御マークが回転の中心点として設定されているため、各記入者の要望に合わせて当該文字記入領域を任意に回転させることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記文字記入領域内に含まれる前記移動経路の座標に基づいて文字認識を実行する文字認識処理手段を更に有し、前記文字認識処理手段が、前記文字記入領域が回転している場合に、当該文字記入領域の回転角度に基づいて、前記読取手段の移動経路を回転する前の文字記入領域に相当する移動経路に変換して前記文字認識を実行する構成を有している。
【0021】
この構成により、請求項4に記載の発明は、文字記入領域の回転角度に基づいて、読取手段の移動経路を回転する前の文字記入領域に相当する移動経路に変換することができるので、記入された記入情報そのものから回転しているか否かの判別を行うより、迅速な認識処理の実行が可能で、かつ、その認識精度を向上させることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記投影出力手段は、表示手段の表示画面に表示させるための画像信号を出力し、前記算出手段によって算出された座標を、前記表示手段の表示画面の座標に変換する座標変換部をさらに備え、前記回転制御手段は、前記座標変換部によって変換された座標に基づいて、前記回転制御マークの座標が指示されたことを認識する構成を有している。
【0023】
この構成により、請求項5に記載の発明においては、算出手段によって算出された座標が座標変換部によって表示手段の表示画面の座標に変換されたうえで、回転制御手段が回転制御マークの座標が指示されたことを認識する構成となっているため、回転制御手段は、表示手段の表示画面における回転制御マークの座標系を基に、文字記入領域の回転処理を行うことができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理システムにおいて、前記算出手段によって算出された座標を、前記表示手段の表示画面の座標に変換する座標変換部をさらに備え、前記回転制御手段は、前記座標変換部によって変換された座標に基づいて、前記回転制御マークの座標が指示されたことを認識する構成を有している。
【0025】
この構成により、請求項6に記載の発明においても、算出手段によって算出された座標が座標変換部によって表示手段の表示画面の座標に変換されたうえで、回転制御手段が回転制御マークの座標が指示されたことを認識する構成となっているため、回転制御手段は、表示手段の表示画面における回転制御マークの座標系を基に、文字記入領域の回転処理を行うことができる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明は、位置座標を示すコード化パターンを読み取り移動経路の座標を算出する電子ペンが、当該コード化パターンが形成されたスクリーン上を移動した際に、当該電子ペンの移動経路を示す形状を当該スクリーンに表示するための情報処理を行うコンピュータにより実行される表示処理プログラムであって、前記コンピュータを、前記電子ペンにより算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記スクリーンに投影する投影手段に出力する投影出力手段、文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記スクリーンに表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段、として機能させるとともに、前記電子ペンが前記回転制御マークの位置から前記スクリーン上を移動した場合に、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該電子ペンの移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させるように前記コンピュータを前記回転制御手段として機能させる構成を有している。
【0027】
また、請求項8に記載の発明は、位置座標を示すコード化パターンを読み取り移動経路の座標を算出する電子ペンが、当該コード化パターンが形成された光透過性シート上を移動した際に、当該電子ペンの移動経路を示す形状を当該光透過性シートに表示するための情報処理を行うコンピュータにより実行される表示処理プログラムであって、前記コンピュータを、前記電子ペンにより算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記光透過性シートの背面から、当該光透過性シートの前面から視覚可能に表示する表示手段に出力する表示出力手段、文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記表示手段に表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段、として機能させるとともに、前記電子ペンが前記回転制御マークの位置から前記光透過性シート上を移動した場合に、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該電子ペンの移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させるように前記コンピュータを前記回転制御手段として機能させる構成を有している。
【0028】
上記プログラムをコンピュータ装置にインストールすることにより、本発明に係る情報処理システムを構成させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、記入者によって、読取手段を回転制御マークの座標上の位置から移動させれば、所定の中心点を基準に文字記入領域を回転させることができるので、文字記入領域を回転させる際に中心点を設定するなどの他の操作をすることなく、文字記入領域を回転させることができる。
【0030】
また、本発明は、文字記入領域を画定する画定マークをスクリーンに表示させつつ、当該文字記入領域が回転するので、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させるための文字記入領域の記入を記入者が要望する位置に確実に回転させることができる。
【0031】
したがって、本発明は、記入者の操作を簡易にしつつ、手書きされる文字の記入に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態における情報処理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】ドットパターンにおけるドットの配置とそのドットが変換される値との関係を説明する図である。
【図3】ドットパターンを説明するための図であり、(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図であるとともに、その機能を示すブロック図である
【図5】コンピュータ装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図6】第1実施形態における文字記入領域とその回転および回転制御マークを説明するための図であり、(a)は、スクリーン4の一部に設定される文字記入領域と回転制御マークの一例、および、(b)は、回転された文字記入領域の一例である。
【図7】第1実施形態において回転された文字記入領域と認識される文字の関係を説明するための図であり、(a)は、回転された文字記入領域の一例、および、(b)は、回転された文字記入領域に記載される文字群の一例である。
【図8】第1実施形態の情報処理システムにおける回転制御処理を含む表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態の情報処理システムにおける文字認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態における情報処理システムの構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
なお、以下に説明する実施形態は、プロジェクターなどの投影手段によって予め定められたコード化パターンを有するスクリーンに所定の画像を投影させつつ、記入者によってスクリーンおよび後述する所定の電子ペンを用いて記入された記入情報を当該画像に重畳させる情報処理システムに本発明の情報処理システムおよび表示処理プログラムを適用した場合の実施形態である。
【0035】
<第1実施形態>
はじめに、図1〜図9の各図を用いて本発明に係る情報処理システムの第1実施形態について説明する。
【0036】
[情報処理システムのシステム構成]
まず、本実施形態における情報処理システム10の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態における情報処理システム10の構成を示すシステム構成図である。
【0037】
本実施形態における情報処理システム10は、図1に示すように、ユーザが使用する電子ペン1と、当該電子ペン1を用いて文字、記号または図形などユーザの手書きによりスクリーン4に記入された記入情報を受信して処理するコンピュータ装置2と、コンピュータ装置2から画像信号を受信して、コンピュータ装置2の表示手段26に表示されると同じ画像をスクリーン4に投影するプロジェクター3とから構成される。
【0038】
なお、例えば、本実施形態の電子ペンは、本発明の読取手段および算出手段を構成するとともに、コンピュータ装置2が本発明の回転制御手段および認識手段を構成し、プロジェクター3は、本発明の投影手段を構成する。
【0039】
[スクリーン]
次に、本実施形態におけるスクリーン4について説明する。
【0040】
スクリーン4は、電子ペン1に十分に筆圧がかかる程度に硬いマグネット板401と、後述するドットパターン(コード化パターン)が印刷により全面に形成された用紙402とから構成される。特に、用紙402は、マグネット板401の前面に、当該用紙402の上からマグネットにて押さえ付けることによって、または、糊、粘着剤等で貼りつけることによって固定されている。なお、マグネット板401の代わりにホワイトボードやパーティションボードや部屋の壁面等を利用してもよい。また、用紙402の代わりに、ドットパターンが印刷されたシートでもよく、あるいは、スクリーン4にドットパターンが直接形成されていてもよい。
【0041】
[ドットパターン]
次に、図2および図3を用いて本実施形態におけるスクリーン4の用紙402に印刷されているアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。なお、図2は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。また、図3は、ドットパターンを説明するための図である。
【0042】
図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できるようになっており、このようにして対応付けられた情報の組合せにより、スクリーン4上の位置座標が決定されるよう構成されている。なお、このドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含有するインクによって印刷されている。
【0043】
図3(a)は、ある位置のドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6の36個のドット(以下、「6×6ドット」という。)が、スクリーン4(用紙402)上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは、当該スクリーン4(用紙402)上における相対的な位置座標を保持している。なお、図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0044】
[電子ペン]
次に、図4を用いて本実施形態における電子ペン1の構造とその動作について説明する。なお、図4は、電子ペン1の構造を示す概略図であるとともに、その機能を示すブロック図である。
【0045】
電子ペン1は、プロジェクター3により画像投影されるスクリーン4への、タップ(ペン先部103によるスクリーン4への軽叩)および文字や記号または図形の記入に用いられる。また、記入者となるユーザによって電子ペン1を用いてスクリーン4上にタップされたり、文字、記号または図形が描かれると、当該電子ペン1は、後述するペン先部103のスクリーン4上の移動経路(以下、「筆跡」、「ストローク」ともいう。)に沿って、用紙402に印刷されたドットパターンを局所的、かつ、連続的に読み取る。そして、この電子ペン1は、スクリーン4におけるその局所位置の座標を算出するとともに、その算出した位置座標データをコンピュータ装置2へ送信する。
【0046】
具体的には、電子ペン1は、図4に示すように、その筐体101の内部に、ペン部104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。ペン部104の先端は、ペン先部103となっており、このペン先部103は、文字などの記入、または、タップを行う際に、ユーザによってスクリーン4の用紙402に当接される。なお、電子ペン1によって、スクリーン4に記入された筆跡は、コンピュータ装置2の処理によりプロジェクター3によって投影されるため、ペン部104には、インクが充填されていないものがよいが、消去可能なインクが充填されたものであってもよい。
【0047】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部材に電力を供給するためのものであり、例えば、電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うように構成されている。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりスクリーン4に文字などを記入したりタップしたりする際に、ペン先部103からペン部104を通じて与えられる圧力、すなわち、筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0048】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、電子ペン1のペンダウン(スクリーン4に最初に接触すること)およびペンアップ(接触している状態からペン先部103が離れること)を判定してLED105およびCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切換える。すなわち、ユーザが電子ペン1にてスクリーン4に文字などを記入すると、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されるので、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105およびCMOSカメラ106を作動させる。そして、ユーザがスクリーン4から電子ペン1を離すと、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧の検出がされなくなるので、その際には、プロセッサ108は、ユーザが1つの筆跡の記入を終了したと判定して、LED105およびCMOSカメラ106の作動を終了させるようになっている。
【0049】
LED105およびCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105およびCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、スクリーン4上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照射する。赤外線が照射される領域は、ペン先部103がスクリーン4に接触する位置とはわずかにずれるように構成されている。CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内における上述したドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。
【0050】
上述のように、ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含有するインクによって印刷されているので、LED105によって照射された赤外線は、ドットの位置においては吸収される。その結果、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多くなる。このため、CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。
【0051】
プロセッサ108は、ユーザによってスクリーン4に文字等が記入されている間、すなわち、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいてLED105およびCMOSカメラ106のスイッチがオンの状態のときに、CMOSカメラ106によって供給される各画像データのドットパターン毎に、スクリーン4上におけるX、Y座標(以下、単に「位置座標」、「座標データ」ともいう。)を個々に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを、図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値及びY座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。
【0052】
なお上述のように、スクリーン4における6×6のドットパターンは、スクリーン4内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がスクリーン4のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(T)と、筆圧データ(P)と、X,Y座標データとを関連付けて一の座標属性情報を生成する。
【0053】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID(電子ペン識別情報)、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、座標属性情報等にペンIDが関連付けられた各記入情報をコンピュータ装置2へ順次送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。
【0054】
次に、電子ペン1よりコンピュータ装置2へ送信される記入情報について説明する。ユーザが電子ペン1を用いてスクリーン4にストローク(筆跡)を記入する際、まず、電子ペン1をスクリーン4に接触させる。すると、電子ペン1の圧力センサ107によってペン先部103にかかる筆圧を検出する。電子ペン1のプロセッサ108は、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたと判断すると、電子ペン1の記入用紙4への接触を示すペンダウン情報PDと、電子ペン1の識別情報であるペンID等とを関連付けた記入情報を生成して、通信ユニット111に、その記入情報をコンピュータ装置2へ送信させる。
【0055】
ユーザは、電子ペン1のペン先部103の記入用紙4への接触後、ペン先部103を移動させてストロークを描くが、電子ペン1のプロセッサ108も引き続き、演算により求めた座標情報(X,Y)と、圧力センサ107により検出される筆圧データ(P)、リアルタイムクロック110により発信された時刻情報(T)とを含む座標属性情報、及びペンIDを関連付けた記入情報を、CMOSカメラ106によるドットパターンの撮影周期に応じて、逐次生成し、通信ユニット111に当該記入情報を順次、コンピュータ装置2へ送信させる。
【0056】
ユーザがストロークを描き終え、電子ペン1を記入用紙4から離すと、圧力センサ107は筆圧を検出しなくなるため、プロセッサ108は、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されなくなったと判断して、電子ペン1の記入用紙4への離脱を示すペンアップ情報PUと、電子ペン1の識別情報であるペンID等とを関連付けた記入情報を生成して、通信ユニット111に、その記入情報をコンピュータ装置2へ送信させる。このように、電子ペン1がペンダウンと判定してからペンアップと判定するまでに、すなわち、ユーザの一つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合をストローク情報と呼ぶ。
【0057】
[コンピュータ装置]
次に、図1および図5の各図を用いて本実施形態のコンピュータ装置2について説明する。なお、図5は、コンピュータ装置2の各機能を示す機能ブロック図である。
【0058】
コンピュータ装置2は、例えば、パーソナルコンピュータであって、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等によって構成される。また、コンピュータ装置2は、図5を示すように、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段21、受信手段22、処理手段24、記憶手段25、表示手段26及び送信手段27を備え、電子ペン1から受信した各記入情報に基づいて所定の処理を行う。
【0059】
受信手段22は、アンテナや受信回路等により構成され、電子ペン1から送信された各記入情報を順次受信し、処理手段24に伝送する。
【0060】
処理手段24は、CPU等のプロセッサによって構成され、図5に示すように、後述するキャリブレーション処理を実行するキャリブレーション処理部241、キャリブレーション処理の結果に基づいて表示手段26に表示するための座標変換を行う座標変換部242、文字や記号が入力される文字記入領域206を制御する文字記入領域制御部243、文字記入領域206内における文字や記号の認識を行う文字認識処理部244及び表示手段26の表示制御を行う表示制御部245を有している。特に、文字記入領域制御部243は、文字記入領域206の回転制御処理を行うようになっており、ユーザが電子ペン1によりスクリーン4上に描いたストロークの記入情報に基づいて文字記入領域206を回転させる。なお、文字記入領域制御部243を含めて、処理手段24の各部の詳細については後述する。
【0061】
記憶手段25は、ハードディスクやROM、RAMなどのメモリによって構成され、キャリブレーション処理を実行するためのプログラム(以下、「キャリブレーションプログラム」という。)と、文字記入領域206を回転させるためのプログラム(以下、「文字記入領域回転プログラム」という。)と、文字認識処理を実行するためのプログラム(以下、「文字認識プログラム」という。)とが記憶されている。また、記憶手段25は、電子ペン1から受信した記入情報や後述する処理手段24の処理によって生成された各種データを記憶する。
【0062】
さらに、記憶手段25には、キャリブレーションプログラムに関して、表示手段26に表示するキャリブレーション用マークの表示画面201上の位置座標および形状等の情報、スクリーン4の用紙に印刷されているドットパターンの座標領域の値が記憶されており、キャリブレーション処理の結果、求められた座標変換関数を記憶する。
【0063】
さらに、記憶手段25には、文字記入領域回転プログラムに関して、表示手段26に表示する文字記入領域206の座標領域の初期値、その範囲を画定表示するためのマーク(以下、「画定マーク」ともいう。)207の形状等の情報、文字記入領域の回転制御に用いるマーク(以下、「回転制御マーク」という。)208の文字記入領域における相対的な位置および形状等の情報、その他の文字記入領域206の回転制御に必要な各情報が記憶されている。また、記憶手段25は、ユーザの電子ペン1による操作によって回転された後における文字記入領域206の座標領域の値、回転角度、文字記入領域206等に記入されたストローク情報等を記憶する。
【0064】
さらに、記憶手段25には、文字認識プログラムに関して、スクリーン4上に投影された文字記入領域406内に描かれ、文字記入領域206への記入として取り込まれたストローク群の形状パターンを照合するための各文字や記号のパターンの情報(以下、「パターン情報」という。)その他の文字認識処理に必要な情報が記憶されている。
【0065】
表示手段26は、ディスプレイ等によって構成され、処理手段24によって指示された内容を表示するものであり、図1に示すように、表示手段26の表示画面201には、処理手段24の表示制御部245の処理により、認識文字表示位置マーク205と、文字記入領域206と、画定マーク207と、回転制御マーク208とを表示する。
【0066】
送信手段27は、処理手段24の指示によって、表示手段26の画像表示に用いられる画像信号をプロジェクター3に送信する。したがって、スクリーン4には、コンピュータ装置2の表示画面201に表示された画像と同じ画像が、プロジェクター3によって画像投影領域403に拡大されて投影されている。図1に示す例では、表示画面201に表示された、画定マーク207により画定された文字記入領域206及び回転制御マーク208は、それぞれスクリーン4上に、対応する画定マーク407により画定された文字記入領域406及び回転制御マーク408として投影されている。なお、送信手段27によるプロジェクター3へのデータ送信方式は、有線式であっても無線式であってもよい。
【0067】
[処理手段]
次に、図6および図7の各図を用いてコンピュータ装置2における処理手段24の各部の詳細について説明する。なお、図6は、文字記入領域406とその回転および回転制御マーク408を説明するための図であり、(a)は、プロジェクター3によってスクリーン4に投影された文字記入領域406、画定マーク407及び回転制御マーク408を示し、(b)は、回転された文字記入領域406を示す。また、図7は、回転された文字記入領域406と認識される文字の関係を説明するための図であり、(a)は、回転された文字記入領域406を示し、(b)は、回転された文字記入領域406に電子ペン1により記入されているストロークが表示されている様子を示す。
【0068】
キャリブレーション処理部241は、スクリーン4上のドットパターンによる位置座標をコンピュータ装置2の表示手段26における表示画面201上の位置座標に変換するための座標変換関数を求める処理を実行する。具体的には、例えばキャリブレーション処理部241は、表示手段26の表示画面201にキャリブレーション用マークを2箇所以上表示させることで、スクリーン4に対してプロジェクター3によりキャリブレーション用マークを投影させる。そして、電子ペン1によってスクリーン4に投影されたキャリブレーション用マークをタップすることで生成されたスクリーン4上の座標データを受信手段22が受信すると、キャリブレーション処理部241は、キャリブレーション用マークに係る表示手段26の表示画面201上の位置座標と、スクリーン4上におけるドットパターンの位置座標との対応関係を取得して、座標変換関数を求める。
【0069】
座標変換部242は、キャリブレーション処理部241によって求めた座標変換関数に基づいて、電子ペン1から送信されて受信した各記入情報毎に、当該各記入情報に含まれるスクリーン4上のX、Y座標データを表示手段26における表示画面201上のストロークのX、Y座標に変換して、記憶手段25に記憶する。このとき、座標変換部242は、当該変換後のX,Y座標(以降、「較正座標」ともいう。)が、文字記入領域206の座標領域の範囲内であると認識すると、当該較正座標を、文字記入領域206への記入によるストローク情報として、記憶手段25に記憶する。
【0070】
文字記入領域制御部243は、記憶手段25に記憶された文字記入領域206の座標領域の初期値、その範囲を画定表示するための画定マーク207の情報、文字記入領域206の回転制御に用いる回転制御マーク208の文字記入領域206における相対的な位置に基づいて、図1に示すように、表示手段26の表示画面201に、文字記入領域206、画定マーク207、回転制御マーク208を表示させる。送信手段27は、この画像と同じ画像を投影させるための画像信号をプロジェクター3へ送信し、プロジェクター3は、その画像信号に基づいて、スクリーン4へ画像を投影する。そのため、表示手段26の表示画面201における、文字記入領域206、画定マーク207、回転制御マーク208と同じ画像が、図1及び図6(a)に示すように、文字記入領域406、画定マーク407、回転制御マーク408としてスクリーン4へ投影される。
【0071】
ここで、文字記入領域206は、横長の長方形状に表示され、回転制御マーク208は、文字記入領域206の四つ角にそれぞれ小さい正方形状に表示されている。すなわち、文字記入領域206内の左上に回転制御マーク208A、左下に回転制御マーク208B、右上に回転制御マーク208C、右下に回転制御マーク208Dが表示されている。したがって、スクリーン4には、プロジェクター3により、横長で長方形状の文字記入領域406が投影され、文字記入領域406内の左上に回転制御マーク408A、左下に回転制御マーク408B、右上に回転制御マーク408C、右下に回転制御マーク408Dが表示されている(図1及び図6(a))。
【0072】
なお、この例示においては、文字記入領域406(206)を外枠表示しているが、文字記入領域406(206)を黄色その他の色を用いて強調表示してもよく、記入情報の記入を促すための罫線(下線)によって文字記入領域406(206)を表示するようにしてもよい。
【0073】
また、文字記入領域制御部243は、ユーザによって電子ペン1を用いてスクリーン4に記入されたストロークの開始位置(ペンダウン)における位置座標が、座標変換関数によって変換された結果、一の回転制御マーク208の座標領域内にある場合、当該入力されたストロークが文字記入領域206の回転を指示したものであると判断し、ペンダウンにより指定された回転制御マーク408(以下、「基準マーク」という。)とは異なる他の回転制御マーク408を回転の中心点(以下、「中心点マーク」という。)として、文字記入領域206の大きさ・形状を保持しつつ、当該入力されたストロークに基づいて文字記入領域206の回転制御を行う。このとき、各回転制御マーク208A〜208Dの投影画像は、回転制御マーク408A〜408Dに対応するため、ユーザは、スクリーン4上の回転制御マーク408A〜408Dのいずれかに電子ペン1をペンダウンさせてストロークを描くことにより、文字記入領域制御部243は、文字記入領域206を回転させ、その画像は、そのままプロジェクター3により投影されることとなる。
【0074】
ここで、中心点マークの設定に関し、回転制御マーク408A(208A)が基準マークとして指定された場合には、文字記入領域制御部243は、回転制御マーク408C(208C)を回転中心として設定し、回転制御マーク408B(208B)が基準マークとして指定された場合には、回転制御マーク408D(208D)を回転中心として設定する。また、回転制御マーク408C(208C)が基準マークとして指定された場合には、文字記入領域制御部243は、回転制御マーク408A(208A)を回転中心として設定し、回転制御マーク408D(208D)が基準マークとして指定された場合には、回転制御マーク408D(208D)を回転中心として設定するものとする。
【0075】
したがって例えば、この文字記入領域制御部243は、図6(b)に示すように、ユーザによってスクリーン4に記入された一のストロークに基づいて回転制御マーク408C(208C)が基準マークになると、回転制御マーク408A(208A)を中心点マークに設定するとともに、電子ペン1のストロークに従って文字記入領域406(206)を回転させる。そして、この文字記入領域制御部243は、ストロークの終了位置において文字記入領域406(206)の回転を停止し、中心点マークの座標、基準マークの開始位置(初期値)の座標、および基準マークの終了位置の座標から回転角度(θ)を算出して、文字記入領域406(206)が回転していることを示す回転フラグ情報とともに記憶手段25に記憶する。したがって、電子ペン1によるストロークが、設定された中心点マークを中心とする正確な弧を描かなくとも、回転角度(θ)は、中心点マークの座標、基準マークの開始位置の座標、および基準マークの終了位置の座標によって決定され、文字記入領域406(206)も、その大きさ・形状を保持しつつ、回転角度(θ)だけ回転することとなる。
【0076】
さらに、文字記入領域制御部243は、中心点マーク及び基準マーク以外の2つの回転制御マーク408(208)の回転角度(θ)による回転後の座標データを算出して、中心点マークの座標データ及び基準マークの座標データとともに、回転後の文字記入領域406(206)の座標領域データとして記憶手段25に記憶する。したがって、文字記入領域406(206)が回転している場合であっても、座標変換部242は、電子ペン1から受信したストローク情報が、回転後の文字記入領域406(206)への記入によるものであるか否かを判別することができる。
【0077】
文字認識処理部244は、所定の指示に基づいて、文字記入領域406内に記入された電子ペン1のストロークについて文字認識処理を実行する。具体的には、本実施形態の文字認識処理部244は、文字記入領域406に文字や記号などの手書き記入が実行された後にコンピュータ装置2などの図示しない認識開始キーまたは座標入力領域403内の図示しない認識開始領域または電子ペン1の文字記入領域406内でのタップ動作を検知した場合に、文字記入領域406内の記入情報として記憶手段25に記憶されている較正座標(すなわち、電子ペン1のスクリーン4上のストロークの座標データに対応する、表示手段26の表示画面上における当該ストロークの座標データ)を回転角度(θ)及び回転中心の座標データにより逆回転させる(−θの回転行列をかける)、その座標変換後の座標データに基づいて文字認識を行う。すなわち、文字認識処理部244は、OCR(Optical Character Reader)などの文字認識を行うプログラムと同様に、文字認識対象ストローク(文字記入領域406(206)に電子ペン1で記入されたストローク)における座標変換されたX、Y座標のパターンと記憶手段25に予め記憶された各文字や記号のパターン情報とを照合して文字または記号を特定する。
【0078】
ここで、図7(a)および(b)に示すように、文字認識処理を行う際に、文字記入領域406が回転していると判断された場合には(例えば、記憶手段25にて回転フラグ情報が記憶されている場合には)、文字記入領域406内に記入されて得られたストローク情報として記憶手段25に記憶されている較正座標群に対して、設定された中心点マークの位置を回転中心として、記憶されている回転角度(θ)の分、逆回転させる(−θの回転行列をかける)ことによって各ストロークの較正座標を正規化して、正規化後のX,Y座標群によるパターンに対して文字認識処理を実行する。これにより、傾斜して記入された文字や記号を水平に書かれた状態に直して、文字等の特定における精度、すなわち、認識精度を向上させることができる。
【0079】
表示制御部245は、キャリブレーション処理の際、キャリブレーション処理部241の指示により、キャリブレーション用マークを表示手段26の表示画面201に表示させる。また、表示制御部245は、文字記入領域制御部243の指示により、文字記入領域206、画定マーク207、回転制御マーク208を表示させたり、電子ペン1を用いた操作による回転中及び回転後の状態をリアルタイムで表示手段26の表示画面201に表示させる。また、表示制御部245は、座標変換部242によって電子ペン1から送信された記入情報の座標データが座標変換された位置座標(較正座標)によるストロークを、表示手段26の表示画面201に表示させる。
【0080】
また、この表示制御部245は、文字認識が実行された場合は、文字記入領域206に表示されている文字、記号およびその他の図形などの手書きストロークの表示を消去し、文字認識によって特定された文字および記号のテキストデータを、文字入力する位置として定められた場所に表示させる。具体的には、コンピュータ装置2がテキストエディタ等のプログラムを実行中で、表示手段26の表示画面にそのプログラムウインドウを表示している場合、表示制御部245は、文字認識によって特定された文字等のテキストデータを、文字入力用のカーソルのある位置に表示させる。このとき、文字認識後のテキストデータ候補を一旦、文字記入領域406(206)に表示して、コンピュータ装置2などの図示しない確定キーまたは座標入力領域403内の図示しない確定領域または電子ペン1の文字記入領域406内でのタップ動作を検知することで、定められた文字入力位置に表示させるように構成してもよい。
【0081】
なお、表示制御部245は、スクリーン4に種々の画像を投影して表示させるために、表示画面201に表示する各画像を同期させてプロジェクター3に投影させるための画像信号をそれぞれ送信手段27に出力して、プロジェクター3へ送信させる。
【0082】
また、プロジェクター3は、コンピュータ装置2の送信手段27から受信した画像信号に基づいて、表示手段26に表示された画像と同様の画像をスクリーン4の画像投影領域403に映し出す。
【0083】
[回転制御処理]
次に、図8を用いて情報処理システム10における回転制御処理の動作について、記入情報の受信に伴う各種の処理とともに説明する。なお、図8は、本実施形態の情報処理システム10における回転制御処理を含む表示処理を示すフローチャートである。
【0084】
本動作処理においては、予めキャリブレーション処理部241によりキャリブレーション処理が実行され、座標変換関数が求められて記憶手段25に記憶されており、座標変換部242による座標変換が行われる状態にある。そして、文字記入領域制御部243は、記憶手段25に記憶された文字記入領域206の座標領域の初期値を参照して、図1に示すように、表示手段26の表示画面201の左下に、長方形状の画定マーク207によって画される文字記入領域206及び回転制御マーク208を表示させている。この画像と同じ画像を示すための画像信号が、送信手段27からプロジェクター3へ送信されているため、プロジェクター3により、スクリーン4の画像投影領域403の左下には、画定マーク407によって画される文字記入領域406及び回転制御マーク408A〜408Dが投影されて表示されている。
【0085】
まず、記入者であるユーザによってスクリーン4上に一のストロークが記入されると、電子ペン1は、この記入されたストロークの各記入情報をコンピュータ装置2に送信する(ステップS101)。
【0086】
具体的には、電子ペン1は、ユーザによってストロークの開始を圧力センサ107によって検出した筆圧に基づいてペンダウンを検知すると、LED105およびCMOSカメラ106をオンにし、圧力センサ107にてペンアップが検出されるまで、所定の時間間隔毎にスクリーン4のドットパターンを撮影して、当該撮影された画像毎にX,Y座標データを含む記入情報を生成して順次コンピュータ装置2に送信する。
【0087】
コンピュータ装置2において電子ペン1から送信された記入情報(ストローク情報)の受信を開始すると、処理手段24は、当該記入情報をペンIDに対応づけて記憶手段25に順次記憶させる(ステップS201)。
【0088】
次いで、座標変換部242は、記憶手段25に記憶されている座標変換関数に基づいて、受信した各記入情報の座標データを表示手段26の表示エリア201に表示するための座標に順次変換して、座標変換後の較正座標をペンIDに対応付けて記憶手段25に順次記憶させる(ステップS202)。
【0089】
次いで、文字記入領域制御部243は、座標変換部242によって座標変換された座標(較正座標)のうち、ストロークの開始位置を示す座標、即ち、ペンダウン情報を含む記入情報の直後の記入情報に対応する較正座標(以下、「ストローク開始位置座標」という。)が、回転制御マーク208A〜208Dのうちいずれかの座標領域にあるか否か(すなわち、基準マークとして指定されているか否か)を判断する(ステップS203)。この場合、スクリーン4上の回転制御マーク408A〜408Dは、表示手段26の表示画面201の回転制御マーク208A〜208Dに対応する。そのため、ユーザがスクリーン4上の回転制御マーク408A〜408Dのいずれかを電子ペン1で指定することで送信された記入情報の座標データから、座標変換部242による座標変換により、表示画面201の回転制御マーク208A〜208Dのうち、対応する回転制御マーク208が基準マークとして指定されたことが分かる。
【0090】
このステップS203の処理において、文字記入領域制御部243が、いずれかの回転制御マーク208がユーザによって指示されていると判断した場合には(ステップS203:Yes)、ステップS204の文字記入領域206の回転処理に移行する。文字記入領域制御部243が、いずれの回転制御マーク208もユーザによって指示されていないと判断した場合には(ステップS203:No)、ステップS206の処理に移行する。
【0091】
文字記入領域制御部243は、文字記入領域206の回転処理において、指定された回転制御マーク208に対応して予め定められている他の回転制御マーク208を中心点マークに設定し、順次受信して記憶される各較正座標に基づいて、ペンアップ情報PUを含む記入情報の受信により一のストロークの記入が終了したこと検知するまで文字記入領域206を回転させる(ステップS204)。この間、プロジェクター3によって、スクリーン4に、表示手段206の表示画面201と同じ画像が同期して投影されているため、文字記入領域206の回転に合わせて、スクリーン4上の文字記入領域406も、電子ペン1によるストロークに追従しつつ回転して表示される。文字記入領域206の回転は、当該ストロークの各記入情報におけるそれぞれの座標位置と、中心点マークの座標および当該基準マークの開始位置における座標とに基づいて記入情報毎に回転角度が算出されて行われる。
【0092】
そして、ストロークが終了し、ペンアップ情報PUを含む記入情報を受信手段22により受信すると、文字記入領域406の回転を終了させる。次いで、文字記入領域制御部243は、回転が終了した際の基準マークの座標(例えば、基準マークの中心点の座標)と、中心点マークと基準マークの開始位置の座標(例えば、ストローク開始位置座標)とに基づいて文字記入領域406の最終的な回転角度θを算出して記憶させ(ステップS205)、本動作を終了させる。なお、文字記入領域206の回転を指示するためのストロークは、表示領域201に表示しないようにするか、回転角度θの確定後に消去するように構成するとよい。
【0093】
一方、文字記入領域制御部243が、いずれの回転制御マーク208もユーザによって指示されていないと判断した場合には(ステップS203:No)、各較正座標を記憶手段25に記憶するとともに、表示制御部245は、当該較正座標に基づいて所定の画像を表示手段26に表示させる(ステップS206)。この間、プロジェクター3によって、スクリーン4に、表示手段206の表示画面201と同じ画像が同期して投影されているため、スクリーン4の画像投影領域403上に、電子ペン1によるストロークに追従しつつストロークが投影して表示される。
【0094】
[文字認識処理]
次に、図9を用いて情報処理システム10における文字認識処理の動作について説明する。なお、図9は、文字認識処理の動作を示すフローチャートである。
【0095】
まず、コンピュータ装置2において当該コンピュータ装置2に設けられた図示しない認識開始キーが認識される等、所定の動作に基づく文字認識処理開始の指示を認識すると(ステップS301)、文字認識処理部244は、文字認識対象ストローク(文字記入領域406(206)に電子ペン1で記入されたストローク)の各較正座標に対して、ステップS205において算出された回転角度(θ)の分、逆回転させる(−θの回転行列をかける)ことによって各ストロークを正規化する(ステップS302)。なお、このときに、文字記入領域206を初期値、すなわち、記憶手段25に記憶されている初期の座標の位置に戻してもよいし、そのままの位置を保持してもよい。
【0096】
そして、文字認識処理部244は、記憶手段25に記録されているパターン情報を照合して、正規化された文字記入領域206内のX,Y座標群によるパターン(各ストロークの形状)から一または複数の文字または記号を認識する認識処理を行う(ステップS303)。この後、文字認識された文字、記号等を文字記入領域206から消去し、文字認識後に特定された文字および記号のテキストデータを、文字入力する位置として定められた場所に表示させる(ステップS304)。そして、本処理を終了させる。
【0097】
[第1実施形態の作用効果]
以上のように、本実施形態の情報処理システム10は、ユーザによって、電子ペン1をスクリーン4上の回転制御マーク408にペンダウンしてストロークを描けば、中心点マークを基準に文字記入領域406を回転させることができるので、文字記入領域406を回転させる際に中心点を設定するなどの他の操作をすることなく、直接的に文字記入領域406を回転させることができる。そして、この情報処理システム10は、文字記入領域406を投影して表示させつつ、当該文字記入領域406を回転させるので、手書きされる文字または記号の記入に対する書きにくさを解消させるための文字記入領域406の記入をユーザが要望する位置に確実に回転させることができる。したがって、この情報処理システム10は、ユーザの操作を簡易にしつつ、記入される文字に対する書きにくさを解消させ、文字記入領域406の回転角度に対して記入者の要望を確実に反映させることができる。
【0098】
また、本実施形態の情報処理システム10は、回転制御マーク408が視認可能に表示されているので、文字記入領域406の回転イメージを記入者に容易に着想させることができるとともに、文字記入領域406の中心以外に中心点マークを配設しているので、様々なパターンによって文字記入領域406を回転させることができ、各ユーザの要望に合わせて当該文字記入領域406を回転させることができる。
【0099】
また、本実施形態の情報処理システム10は、文字記入領域406を回転させる際に中心点を設定するなどの他の操作をすることなく、文字記入領域406を回転させることができるので、ユーザの操作を簡易にすることができるとともに、文字記入領域406を回転させる際に回転制御マーク408を替えれば、当該文字記入領域406の回転を異なるパターンにて実行することができる。したがって、この情報処理システム10は、ユーザの要望に合わせて文字記入領域406を確実に回転させることができる。
【0100】
また、本実施形態の情報処理システム10は、文字記入領域406の回転角度に基づいて、電子ペン1の移動経路(ストローク)を、回転する前の文字記入領域406に相当する移動経路に変換することができるので、記入された記入情報そのものから回転しているか否かの判別を行うより、迅速な認識処理の実行が可能で、かつ、その認識精度を向上させることができる。
【0101】
なお、本実施形態の情報処理システム10は、記入者であるユーザの確定指示に基づいて当該認識された文字や記号を特定するように構成でき、ワードプロセッサなどの外部アプリケーションと連動させて当該アプリケーションの記入に用いることも可能である。
【0102】
[変形例]
上記実施形態において、文字記入領域206は、コンピュータ装置2の表示手段26の画面左下に表示するようになっているが、この位置に限らず、画面右上、画面右下または画面左上に配設されてもよいし、また、配設される位置を、電子ペン1を用いてまたはコンピュータ装置2の入力手段21を用いて文字記入領域406の配設される位置(座標)を設定することができるようにしてもよい。この場合には、設定後の座標を記憶手段25に記憶させておく。
【0103】
また、回転制御マーク208は、視認可能に文字記入領206の各隅に配設されているが、当該回転制御マーク208が視認不能に設定されていてもよい。ただし、この場合には、例えば、本実施形態と同様の場所に回転制御マーク208を設定し、当該付近が電子ペン1によって指定された場合に、本実施形態と同様に文字記入領域206を回転させるようになる。
【0104】
また、上記実施形態においては、文字記入領域206を基準に水平方向に隣接する回転制御マーク208を中心点マークに設定しているが、例えば、右上の回転制御マーク208Cが基準マークとして指定された場合に、左下の回転制御マーク208Bを中心点マークに設定する等、基準マークと対角にある回転制御マーク208を中心点マークに設定してもよい。また、図6(b)に示すように、上述の長方形の文字記入領域206(406)において回転制御マーク208(408)が各角に複数設定されているが、これに限定されず、また文字記入領域206においても長方形に限定されない。さらには、このような基準マークと中心点マークに限らず、どのような組み合わせでもよい。
【0105】
また、上記実施形態のドットパターン(コード化パターン)は、アノト方式に限らなくともよい。
【0106】
<第2実施形態>
次に、図10の各図を用いて本発明に係る情報処理システムの第2実施形態について説明する。なお、図10は、本第2実施形態における情報処理システム100の構成を示すシステム構成図である。
【0107】
本第2実施形態の情報処理システム100は、第1実施形態においてプロジェクター3を用いてスクリーン4に画像を表示するとともに当該スクリーン4を用いてストロークの記入を行う点に代えて、コンピュータ装置2上に配設された透明又は半透明の光透過性シートを用いてストロークの記入を行う点に特徴がある。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0108】
本第2実施形態の情報処理システム100は、図10に示すように、電子ペン1によって読取可能なドットパターン(コード化パターン)が印刷された光透過性シート9を有している。この光透過性シート9は、コンピュータ装置2の表示画面201の前面に貼り付けられるとともに、表示画面201に表示された画像が当該光透過性シート9の前面から視覚可能に表示される。このドットパターンは、赤外線を選択的に反射する特性を有するインキによって光透過性シート9に印刷されている。
【0109】
電子ペン1では、プロセッサ108には、CMOSカメラ106によって撮像された画像データから、赤外線反射の強い部分領域をドットであると認識するよう閾値を設けて判定される。その閾値は、ディスプレイから光透過性シート9を透過してくる赤外線のみの場合と、電子ペン1のLED105から照射した赤外線がドットによって反射されることによる赤外線が含まれる場合とを区別できるよう設定される。
【0110】
また、電子ペン1のCMOSカメラ106によって撮像された画像データからドットを認識しやすくするため、CMOSカメラ106に照射される光が赤外線だけとなるように、赤外線透過フィルターを電子ペン1の開口部102付近に設けてもよい。
【0111】
さらに、本実施形態のドットパターンは、アノト方式に限らなくともよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の情報処理システムは、学校の授業や企業等での会議、講演会、プレゼンテーション、ワードプロセッサ等の外部アプリケーションでのペン入力操作などで利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 … 電子ペン
2 … コンピュータ装置
3 … プロジェクター
4 … スクリーン
9 … 光透過性シート
21 … 入力手段
22 … 受信手段
24 … 処理手段
25 … 記憶手段
26 … 表示手段
27 … 送信手段
201 … 表示画面
206 … 文字記入領域
207 … 画定マーク
208 … 回転制御マーク
241 … キャリブレーション処理部
242 … 座標変換部
243 … 文字記入領域制御部
244 … 文字認識処理部
245 … 表示制御部
401 … マグネット板(ホワイトボード)
402 … 用紙
403 … 座標入力領域(画像投影領域)
406 … 文字記入領域
407 … 画定マーク
408 … 回転制御マーク
10,100 … 情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置座標を示すコード化パターンが形成されたスクリーン上を移動した際に、前記コード化パターンを移動経路に沿って読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取ったコード化パターンのデータに基づいて移動経路の座標を算出する算出手段と、
前記算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記スクリーンに投影する投影手段に出力する投影出力手段と、
文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記スクリーンに表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段と
を備え、
前記読取手段が前記回転制御マークの位置から前記スクリーン上を移動した場合に、前記回転制御手段が、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該読取手段の移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
位置座標を示すコード化パターンが形成された光透過性シート上を移動した際に、前記コード化パターンを移動経路に沿って読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取ったコード化パターンのデータに基づいて移動経路の座標を算出する算出手段と、
前記算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記光透過性シートの背面から、当該光透過性シートの前面から視覚可能に表示する表示手段に出力する表示出力手段と、
文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記表示手段に表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段と
を備え、
前記読取手段が前記回転制御マークの位置から前記光透過性シート上を移動した場合に、前記回転制御手段が、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該読取手段の移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムにおいて、
前記回転制御マークは複数あり、
前記回転制御手段は、前記文字記入領域が回転する際に、前記移動経路の開始位置の座標を有する回転制御マークとは異なる回転制御マークを前記回転の中心点に設定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、
前記文字記入領域内に含まれる前記移動経路の座標に基づいて文字認識を実行する文字認識処理手段を更に有し、
前記文字認識処理手段が、前記文字記入領域が回転している場合に、当該文字記入領域の回転角度に基づいて、前記読取手段の移動経路を回転する前の文字記入領域に相当する移動経路に変換して前記文字認識を実行することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記投影出力手段は、表示手段の表示画面に表示させるための画像信号を出力し、
前記算出手段によって算出された座標を、前記表示手段の表示画面の座標に変換する座標変換部をさらに備え、
前記回転制御手段は、前記座標変換部によって変換された座標に基づいて、前記回転制御マークの座標が指示されたことを認識することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記算出手段によって算出された座標を、前記表示手段の表示画面の座標に変換する座標変換部をさらに備え、
前記回転制御手段は、前記座標変換部によって変換された座標に基づいて、前記回転制御マークの座標が指示されたことを認識することを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
位置座標を示すコード化パターンを読み取り移動経路の座標を算出する電子ペンが、当該コード化パターンが形成されたスクリーン上を移動した際に、当該電子ペンの移動経路を示す形状を当該スクリーンに表示するための情報処理を行うコンピュータにより実行される表示処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記電子ペンにより算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記スクリーンに投影する投影手段に出力する投影出力手段、
文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記スクリーンに表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段、
として機能させるとともに、
前記電子ペンが前記回転制御マークの位置から前記スクリーン上を移動した場合に、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該電子ペンの移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させるように前記コンピュータを前記回転制御手段として機能させることを特徴とする表示処理プログラム。
【請求項8】
位置座標を示すコード化パターンを読み取り移動経路の座標を算出する電子ペンが、当該コード化パターンが形成された光透過性シート上を移動した際に、当該電子ペンの移動経路を示す形状を当該光透過性シートに表示するための情報処理を行うコンピュータにより実行される表示処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記電子ペンにより算出された移動経路の座標に基づいて当該移動経路の形状を画像として前記光透過性シートの背面から、当該光透過性シートの前面から視覚可能に表示する表示手段に出力する表示出力手段、
文字を記入するための文字記入領域を画定する画定マークを前記表示手段に表示させつつ、前記文字記入領域が回転する際に基準となる回転制御マークを用いて前記文字記入領域を回転させる回転制御手段、
として機能させるとともに、
前記電子ペンが前記回転制御マークの位置から前記光透過性シート上を移動した場合に、所定の点を回転の中心点に設定し、当該設定された中心点と当該電子ペンの移動経路とに基づいて前記文字記入領域を回転させるように前記コンピュータを前記回転制御手段として機能させることを特徴とする表示処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−60115(P2011−60115A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210718(P2009−210718)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】