説明

情報処理システム

【課題】遠隔の拠点に所在する利用者が、当該拠点にある機器との間でどのような関係にあるかを把握させる。
【解決手段】
拠点に配された少なくとも一つの機器に取り付けられ、当該拠点に所在する各利用者までの距離を測定し、利用者ごとの距離情報を生成する距離情報生成装置10と、距離情報生成装置10ごとに生成された利用者ごとの距離情報を他の拠点に送信する送信装置20と、他の拠点から送信された距離情報を受信し、当該受信した距離情報に基づく表示を行う表示装置30と、を含む情報処理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
相手が知らない人であったり、声が似ていたりする場合においても、誰が発言しているかを特定し、遠隔地との電子音声会議の進行をスムーズに行うため、統合ディジタル通信網を利用した3者音声会議システムにおいて、音声送受信部が、音声をステレオヘッドホーンの左右に割り当てたB1チャネル及びB2チャネルのチャネル制御手段を有し、第1の音声出力部が、該音声送受信部に接続され、B1チャネルの音声を出力し、第2の音声出力部がB2チャネルの音声を出力する。このような構成により、話者ごとに音声の出力位置を変えて、現在誰が話しているかを特定できるようにするシステムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−125738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔の拠点に所在する利用者が、当該拠点にある機器との間でどのような関係にあるかを把握したい要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、情報処理システムであって、拠点に配された少なくとも一つの機器に取り付けられ、当該拠点に所在する各利用者までの距離を測定し、利用者ごとの距離情報を生成する距離情報生成装置と、前記距離情報生成装置ごとに生成された利用者ごとの距離情報を他の拠点に送信する送信装置と、他の拠点から送信された距離情報を受信し、当該受信した距離情報に基づく表示を行う表示装置と、を含むこととしたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報処理システムであって、前記距離情報生成装置は、取り付けられた機器の状態を表す情報を生成し、前記送信装置は、前記距離情報生成装置ごとに生成された利用者ごとの距離情報と各機器の状態を表す情報とを他の拠点に送信し、前記表示装置は、他の拠点から送信された距離情報と各機器の状態を表す情報とを受信し、当該受信した距離情報と各機器の状態を表す情報とに基づく表示を行うこととしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、各拠点での利用者と各機器との距離に係る情報を提示できる。
【0008】
請求項2記載の発明によると、機器の状態に応じた情報を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る距離情報生成装置の例を表す構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る距離情報生成装置が生成する距離情報の例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る送信装置の例を表す構成ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る表示装置の例を表す構成ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る表示装置における表示例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る表示装置における表示の条件を表す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る表示装置の動作例を表す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る表示装置における別の表示例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る情報処理システム1は、図1に例示するように、距離情報生成装置10と、送信装置20と、表示装置30とを含んで構成される。この情報処理システム1は、遠隔での会議を行う拠点(会議室など、会議を行うメンバーが集まる部屋など)ごとに配される。なお、以下の例では送信装置20と表示装置30とは別体の装置であることとして説明するが、これらは一体のコンピュータシステムにより実現されても構わない。
【0011】
各拠点には、例えば、拠点間で描画された画像を共有する電子ボードBや、サーバS、プリンタP等の機器が配されている。拠点ごとに機器の組み合わせは異なっていても構わない。一例として、電子ボードBは、タッチパネルと制御装置と記憶装置と表示装置と通信装置とを含んで構成され、制御装置がタッチパネル上で行われた描画操作の内容に従って映像を生成し、別途設けられたサーバ装置に通信装置を介して送信する。また、この電子ボードBの制御装置は、当該サーバ装置から表示するべき画像を受信して記憶装置に格納し、表示装置に表示出力する。ここでサーバ装置は、各拠点の電子ボードBから受信される映像を合成し、各拠点での描画内容を含んだ画像を生成する。そしてこの画像を各拠点の電子ボードBに対して、表示するべき画像として配信する。これにより描画像を共有した電子ボードのシステムが形成される。
【0012】
本実施の形態の距離情報生成装置10は、拠点に配されている機器のうち少なくとも一つに取り付けられ、当該拠点に所在する各利用者までの距離を測定し、利用者ごとの距離情報を生成する。具体的な例として本実施の形態では各利用者がRFID(Radio Frequency IDentification)タグを所持しているものとする。各RFIDタグは、利用者(RFIDタグの所持者)を識別する情報を発信する。
【0013】
距離情報生成装置10は、図2に例示するように、無線通信部11と、信号強度測定部12と、制御部13と、記憶部14と、インタフェース部15とを含んで構成される。無線通信部11は、各RFIDタグとの間で無線にて通信を行い、RFIDタグが発信する情報を受信する。信号強度測定部12は、各RFIDタグから受信される無線信号の強度を測定し、無線信号の強度を表す情報を出力する。
【0014】
制御部13は、マイクロコンピュータなど、記憶部14に格納されたプログラムに従って動作するプログラム制御デバイスである。この制御部13は、無線通信部11に対してRFIDタグとの間の通信を行うよう要求し、無線にて通信可能なRFIDタグの各々について、RFIDタグが発信する情報と、当該RFIDタグから受信する無線信号の強度を表す情報とを関連づけて、強度データベースとして記憶部14に格納する。この制御部13は、いわゆるアンチコリジョンの処理を行って、利用者の各々が所持するRFIDタグからの無線信号を受信する。
【0015】
また、この制御部13は、以上の処理を繰り返し行って、強度データベースを繰り返し更新する。さらに制御部13は、インタフェース部15を介して強度データベースに格納されている情報を出力している。このとき、制御部13は予め設定されている、機器を特定する情報(自らが取り付けられている機器を特定する情報)を強度データベースに格納されている情報とともに出力することとしてもよい。
【0016】
記憶部14は、メモリデバイスなどであり、制御部13によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、例えばCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部14に複写されて格納されたものであってもよい。
【0017】
また、この記憶部14は、制御部13から入力される指示に従って強度データベースを保持する。この強度データベースは、図3に例示するように、RFIDタグから受信される情報と、当該情報の受信時の無線信号の強度を表す情報とを互いに関連づけたものである。インタフェース部15は、例えばネットワークインタフェース等であり、送信装置20との間で情報の送受を行う。また制御部13は、この無線信号の強度の情報に基づいて利用者との距離の情報を生成する。ここでは距離が短いほど信号の強度が強いものとして、例えば信号強度σであるとき、距離の推定値dを、d=1/(σ2+D)とする。ここでDは、0でない値であり、σ=0のときに、dの値が発散しないようにしたものである。制御部13は、利用者ごとに利用者を特定する情報と当該利用者との推定距離を表す情報dとを所定のタイミングごとに繰り返し生成して出力する。また、制御部13は、当該距離情報生成装置10が取り付けられている機器を特定する情報を出力する。
【0018】
すなわち本実施の形態の距離情報生成装置10は、当該距離情報生成装置10が取り付けられている機器を特定する情報と、各利用者との距離を表す情報とを所定のタイミングごとに繰り返し生成して出力していることになる。
【0019】
送信装置20は、図4に例示するように、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを含んで構成される。ここで制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部22に格納されたプログラムに従って動作している。この制御部21は、拠点に配された距離情報生成装置10のそれぞれから、機器を特定する情報と各利用者との距離を表す情報とを所定のタイミングごとに受け入れる。そしてこの受け入れた情報を、他の拠点の表示装置30へ送信する。
【0020】
具体的にこの送信装置20には、遠隔会議の相手先となる拠点に配置されている各表示装置30の通信先を表す情報(ネットワークアドレスなど)が予め入力されている。送信装置20は、この入力された情報を記憶部22に格納しておく。
【0021】
制御部21は、拠点に配された距離情報生成装置10のいずれかから、機器を特定する情報と各利用者との距離を表す情報とが受信されると、遠隔会議の相手先となる拠点に配置されている各表示装置30の通信先を表す情報を参照して、遠隔会議の相手先となる拠点に配置されている各表示装置30に対して、機器を特定する情報と各利用者との距離を表す情報とを送信する。
【0022】
記憶部22は、メモリデバイスなどであり、制御部21によって実行されるプログラムを保持している。このプログラムは例えばCD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部22に複写されて格納されたものであってもよい。また、この記憶部22は制御部21のワークメモリとしても動作する。
【0023】
通信部23は、ネットワークインタフェースなどであり、制御部21から入力される指示に従い、指示された情報を、宛先となった他の拠点の表示装置30へ送信する。
【0024】
表示装置30は、図5に例示するように、制御部31と、記憶部32と、操作部33と、表示部34と、通信部35とを含んで構成される。ここで制御部31は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部32に格納されたプログラムに従って動作している。この制御部31は、他の拠点の送信装置20から、当該他の拠点に配された機器を特定する情報と、当該情報で特定される機器と各利用者(それぞれ利用者を特定する情報で表される)との距離を表す情報とを受信して記憶部32に格納する。そして、この格納した情報に基づいて情報を表示する処理を行う。この表示の処理については後に述べる。
【0025】
記憶部32は、メモリデバイスなどであり、制御部31によって実行されるプログラムを保持している。このプログラムは例えばCD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部32に複写されて格納されたものであってもよい。また、この記憶部32は、制御部31のワークメモリとしても動作する。
【0026】
通信部35は、ネットワークインタフェースなどであり、他の拠点の送信装置20が送信する情報を受信して制御部31に出力している。
【0027】
次に、この表示装置30の制御部31の動作について説明する。この制御部31は、拠点ごとに、各拠点に所在する各利用者(会議への参加者)と、各機器との距離の情報を表示部34に表示出力する。例えば制御部31は、距離dに対応してr=1/(d+C)にて演算した値r(ここでCは0以外の定数であり、d=0のとき「0」で除すことのないようにした値である)を半径または直径とする円を描画することとしてもよい。
【0028】
一例として、拠点αにおいて利用者Xと機器A,B,…との間の距離がそれぞれdxa,dxb,…となっているとき、この利用者Xに対する各機器までの距離を表す円の半径rijを、
rxa=1/(dxa+C)
rxb=1/(dxb+C)

と演算する。
【0029】
そして利用者Xに対する各機器A,B…への距離を表す円a,b…を、図6(a)に示すように配列して描画する。ここで各円a,b…の半径は、rxa,rxb,…とする。またこの拠点に所在する他の利用者Y,Z…についても同様に距離を表す円を配列して描画する。制御部31は、各拠点ごとにこの画像を生成し、生成した画像を図6(b)に例示するように配列して表示する。
【0030】
すなわち本実施の形態のシステムは、各機器に取り付けられた距離情報生成装置10が、拠点に所在する利用者と機器との距離の情報を生成し、送信装置20がこれを他の拠点に配信する。表示装置30は、他の拠点から受信した、他の拠点での各利用者と各装置との距離に関する情報を表示する。
【0031】
ある拠点にいる利用者は、表示装置30が表示する、他の拠点の利用者と機器との距離を参照し、例えば機器の一種である電子ボードに近い位置にいる利用者は誰であるか、または、利用者Yが直ちに電子ボードに描画できるか、などを確認する。
【0032】
[機器ごとの事情]
また、ここでは機器に対する利用者の距離の情報をそのまま表示に用いる例について説明したが、実際には、ある機器のそばにいる利用者が当該機器をすぐに操作できるとは限らない。例えば、装置が認証を必要とする装置である場合や、省電力モードからの復帰を要するなど、操作の受入が可能となるまでに時間を要する機器である場合もある。
【0033】
そこで距離情報生成装置10は、機器を特定する情報や利用者との距離の情報のみならず、装置の種別に関する情報(認証要否、省電力モードの有無など)を送信装置20に出力し、送信装置20がこれらの情報を他の拠点の表示装置30に送信するようにしてもよい。この場合、各表示装置30は、利用者と機器との距離の情報dと、装置の種別に関する情報に基づいて演算した平均的な操作可能となるまでの時間tavとを用いて表示を行うこととしてもよい。
【0034】
例えば表示装置30は、距離の情報dから平均的な到達距離treachを算出し、推定操作可能時間ts=treach+tavを演算する。表示装置30は、拠点αにおいて利用者Xが機器A,B,…を操作可能となるまでの推定操作可能時間がts_xa,ts_xb…となっているとき、この利用者Xに対する各機器までの距離を表す円の半径rijを、
rxa=1/(ts_xa+C)
rxb=1/(ts_xb+C)

と演算する。そして表示装置30は、各機器A,B…が操作可能となるまでの推定操作可能時間を表す利用者Xについての円a,b…を、図6(a)に示すように配列して描画する。ここで各円a,b…の半径は、rxa,rxb,…とする。さらに表示装置30は各拠点ごとにこの画像を生成し、生成した画像を図6(b)に例示するように配列して表示する。ここで各利用者が所持するRFIDにより放射される、利用者を特定する情報が、例えば社員番号など、一見して誰であるかがわかりにくい情報である場合は、表示装置30は、この情報に対して、利用者の氏名などの一見して誰であるかがわかりやすい情報を関連づけておき、この氏名などの情報に変換して表示を行っても構わない。機器を特定する情報についても同様に、機器の種別、機器の機種名などに変換して表示を行うこととしてもよい。この場合、機器を特定する情報に対して機器種別など表示する情報を予め関連づけて保持しておけばよい。
【0035】
なお、ここでは推定操作可能時間tsを表示装置30が演算することとしたが、これに限らず、当該推定操作可能時間tsの情報を送信装置20が演算して、他の拠点の表示装置30へ送信するようにしてもよいし、また、距離情報生成装置10がこの推定操作可能時間tsを演算して送信装置20へ出力するようにしてもよい。
【0036】
さらに、ここでは装置の種別に関する情報に基づいて、この推定操作可能時間を演算しているが、本実施の形態はこれにも限られない。
【0037】
すなわち、本実施の形態において距離情報生成装置10は、取り付けられている機器の状態をモニタし、機器がログイン状態(認証をすることなくすぐに操作可能な状態)にあるか否かや、省電力モードにあるか否かなどといった現実の機器の状態を表す情報を取得してもよい。このような機器のモニタの方法には種々の方法が知られているので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0038】
この場合、距離情報生成装置10、送信装置20、または表示装置30は、現実の機器の状態を表す情報と、各利用者との距離の情報とに基づいて、利用者ごとに各機器を操作可能となるまでの推定操作可能時間を演算する。
【0039】
一例としてログインまでの平均時間tloginや、省電力モードから操作を受け付けるようになるまでの平均的時間twakeup等を予め設定しておき、現実に機器がログインを要し、省電力モードにはないといった場合は、距離の情報dから演算した平均的な到達距離treachに、ログインまでの平均時間tloginを加算して、推定操作可能時間tsを演算すればよい。
【0040】
また、現実に機器がログインを要し、省電力モードにもあるといった場合は、距離の情報dから演算した平均的な到達距離treachに、tloginとtwakeupを加算して、推定操作可能時間tsを演算する、等とすればよい。この場合も、各拠点の表示装置30は図6に例示したような表示を行うこととすればよい。
【0041】
[イベント表示]
本実施の形態の表示装置30は、ここまでの説明により理解されるように、距離情報生成装置10が検出する各利用者と機器との距離の情報を繰り返し取得する。そこで表示装置30は、拠点αから機器Aと各利用者との距離等の情報が受信されたときに、前回拠点αから受信した機器Aと各利用者との距離等の情報があるか否かを調べ、当該情報があれば、各利用者と機器Aとの距離の変化を差分として演算する。
【0042】
具体的に、前回受信した機器Aと利用者Xとの距離がd′xaであるとし、今回受信した機器Aと利用者Xとの距離がdxaであるとき、差分Δdxa=dxa−d′xaを算出する。そしてこの場合は負のしきい値(予め定めた距離を超えて近接していることを検出するためのしきい値)Tを、差分Δdxaが超えているか否か、つまり
Δdxa<T
である場合(以下、利用者が「接近中」であるという)、利用者Xが機器Aに接近中であることを表す情報を表示する。この表示は、例えば図6に示した利用者Xと機器Aとの間の距離等を表す円に重ね合わせて接近中である旨のアイコンを表示するなどとすればよい。
【0043】
このように利用者の推定された意図に関する情報(イベント)を表示する方法としては、上述のように、利用者が接近しているか否かを表す情報に限らず、機器の状態として例えば前回操作が行われてからの時間を表す情報や、起動しているか否かを表す情報を距離情報生成装置10に取得させて他の拠点の表示装置30に送信させるようにして、こうした機器の状態に関する情報や、利用者と機器との距離、さらに利用者と機器との相対移動量(上述の差分)に基づいて、表示装置30がアイコン表示を行うこととしてもよい。
【0044】
一例として表示装置30には予め図7に例示するような表示条件テーブルを設定しておく。図7では、機器が起動中である場合に、前回操作が行われてからの時間が予め定めた操作時間しきい値を超えており、かつ予め定めた操作可能距離しきい値以内に、利用者がいない場合に機器状態を「待機」、前回操作が行われてからの時間が予め定めた操作時間しきい値を超えていないか、または予め定めた操作可能距離しきい値以内に、利用者がいる場合に機器状態を「操作中」、機器が起動中でない場合に機器状態を「オフ」としている。
【0045】
そして、機器状態が「待機」であるときに、当該機器に接近中の利用者について「操作意図がある」旨のアイコンを表示する。また機器状態が「操作中」であるときに、当該機器に接近中の利用者について「操作中である」旨のアイコンを表示する。また、機器状態が「オフ」であるときに、当該機器に接近中の利用者について「起動意図あり」の旨のアイコンを表示する。
【0046】
具体的な例として、拠点αにおいて利用者X,Yが会議に参加しており、機器A,Bがある場合について説明する。前回他の拠点(例えば拠点β)の表示装置30が受信した情報として、図8(a)に示すように、各利用者と各機器との距離dxa=20、dxb=30、dya=60、dyb=20であり、機器Aが「待機」、機器Bが「オフ」の状態にあったものとする。
【0047】
そして今回拠点βの表示装置30が、新たに拠点αの送信装置20から各利用者と各機器との距離dxa=5、dxb=37、dya=62、dyb=2であり、機器Aが「操作中」、機器Bが「オフ」の状態にあるとの情報を受信したものとする(図8(b))。
【0048】
このとき差分はΔdxa=−15、Δdxb=7、Δdya=2、Δdyb=−18となり、仮にしきい値を−10としておくと、利用者Xが装置Aに、また利用者Yが装置Bにそれぞれ「接近中」であると判断される。そこで利用者Xの装置Aに対する距離の表示については、前回の機器の状態「待機」を参照し、待機中に接近があったものとして、「操作意図あり」とのアイコンを表示する(図8(c))。同様に、利用者Yの装置Bに対する距離の表示については、前回の機器の状態「オフ」を参照し、オフである間に接近があったものとして、「起動意図あり」とのアイコンを表示する。なお、距離の表示は、新たに受信した情報(図8(b)に示した情報)に基づいて行われる。
【0049】
[利用者の体の向き]
さらに本実施の形態の距離情報生成装置10は、参加者の体の向きを検出してもよい。体の向きの検出方法は、例えば次のようにすればよい。まず胸部等、参加者の前面側に、参加者を識別する情報を予め定めたタイミングごとに繰り返して赤外線などで放射する装置を取り付けておく。
【0050】
また距離情報生成装置10が赤外線の受光部とデコーダーとを備えておき、当該赤外光により当人を特定する情報が受信された参加者については、距離情報生成装置10が取り付けられている機器に向いていると判断し、当該赤外光により当人を特定する情報が送信されない参加者については距離情報生成装置10が取り付けられている機器に向いていないと判断する。
【0051】
そして距離情報生成装置10は、各参加者が、自らが取り付けられてる機器に向いているか否かを特定する情報を送信装置20に送信させる。
【0052】
表示装置30は、他の拠点における各参加者が、各機器に向いているか否かを表す情報を受信し、距離等に基づく画像に併せて表示する。例えば、図6に例示した表示において、参加者Xが機器Aに向いている場合、参加者Xと機器Aとの距離を表す円に隣接させて「WATCH」(見ている)状態であることを表すアイコンを表示してもよい。
【0053】
[表示の別の例]
また、本実施の形態において表示装置30の表示は図6に例示したものに限られない。例えば機器ごとに異なる色ないしパターンを関連づけておき、各参加者を表すアイコンや文字列等(参加者アイコンと呼ぶ)を一定の範囲内に分散して配するとともに、各参加者アイコンに隣接させて、参加者アイコンが表す参加者に近接している機器の色ないしパターンの図形や、「操作中」、「起動意図」等の情報、並びに「WATCH」(見ている)状態であることを表すアイコン等を表示してもよい(図9)。
【0054】
本実施の形態によれば、カメラにより撮像した映像のように広帯域を要するデータを送受することなく、遠隔の拠点に所在する利用者が、当該拠点にある機器との間でどのような関係にあるかを把握させる情報を流通できる。
【符号の説明】
【0055】
1 情報処理システム、10 距離情報生成装置、11 無線通信部、12 信号強度測定部、13,21,31 制御部、14,22,32 記憶部、15 インタフェース部、20 送信装置、23,35 通信部、30 表示装置、33 操作部、34 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拠点に配された少なくとも一つの機器に取り付けられ、当該拠点に所在する各利用者までの距離を測定し、利用者ごとの距離情報を生成する距離情報生成装置と、
前記距離情報生成装置ごとに生成された利用者ごとの距離情報を他の拠点に送信する送信装置と、
他の拠点から送信された距離情報を受信し、当該受信した距離情報に基づく表示を行う表示装置と、
を含む情報処理システム。
【請求項2】
前記距離情報生成装置は、取り付けられた機器の状態を表す情報を生成し、
前記送信装置は、前記距離情報生成装置ごとに生成された利用者ごとの距離情報と各機器の状態を表す情報とを他の拠点に送信し、
前記表示装置は、他の拠点から送信された距離情報と各機器の状態を表す情報とを受信し、当該受信した距離情報と各機器の状態を表す情報とに基づく表示を行う請求項1記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−213200(P2010−213200A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59674(P2009−59674)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】