説明

情報処理方法、プログラム、情報処理装置、及び情報処理システム

【課題】コンピュータプロセスの中から不要なプロセスを判別し、当該不要なプロセスを終了することで、コンピュータにおける作業効率を向上させる情報処理方法、プログラム、情報処理装置、及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】複数のプロセスを起動可能なコンピュータシステム10において、(A)起動されている前記複数のプロセスの中から可視プロセスを特定するステップと、(B)前記可視プロセスの各々の稼働状況情報を取得するステップと、(C)前記稼働状況情報に基づき、前記可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定するステップと、(D)前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、コンピュータシステム10の利用者に提示するステップと、備える情報処理方法を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムに係る情報処理方法、プログラム、情報処理装置、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータのような、複数のアプリケーションを自由に起動させることができるコンピュータシステムの普及が進んでいる。しかし、当該コンピュータシステムを用いた作業を行う場合、作業者の作業効率が低下してしまうことがある。この作業効率の低下は、作業者が意識的に作業を中断する場合と、作業者が無意識のうちにコンピュータシステムの動作速度を低下させてしまう場合とに分類することができる。
【0003】
下記特許文献1には、コンピュータシステムの音出力の回数及びタイミングを取得することで、作業者が行うべき作業以外のコンピュータ操作を監視するコンピュータ監視システムが開示されている。このコンピュータ監視システムは、必要とされる作業における音出力の回数及びタイミングの形態を記憶し、当該必要とされる作業に係る音出力の形態の情報とコンピュータ利用時の音出力の回数及びタイミングの情報とを比較することで、作業者が行うべき作業以外のコンピュータ操作を行っているか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4155332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のコンピュータ監視システムにおいては、例えばゲームソフトを利用するなどの、音出力を伴う作業者が行うべきでないコンピュータシステムの利用を検知することが可能である。しかし、このコンピュータ監視システムでは、例えば閲覧の終わったブラウザを終了し忘れている場合など、作業者が無意識のうちに不要なコンピュータのプロセスを増加させてしまったとき、コンピュータのハードウェア資源の非効率な利用を行ってしまうことにより、作業効率が低下するという状況に対応できるものではなかった。
【0006】
そこで、コンピュータシステムでの作業効率を向上させるために、起動しているプロセスの中に不要なプロセスがあるか否かを判別し、当該プロセスを終了することで、不要なプロセスが起動し続け、ハードウェア資源が無駄に消費されるのを防ぐ技術が求められている。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みて成されたものであり、コンピュータが起動しているプロセスの中から不要なプロセスを判別し、当該不要なプロセスを終了することで、コンピュータのハードウェア資源の効率的な利用を促し、コンピュータにおける作業効率を向上させる情報処理方法、プログラム、情報処理装置、及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る情報処理方法は、表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置における情報処理方法であって、(A)起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定するステップと、(B)前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得するステップと、(C)前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定するステップと、(D)前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示するステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
第1の態様に係る情報処理方法によれば、ステップ(A)において、情報処理装置が起動しているプロセスの中から、可視ウィンドウとして表示画面に表示されている可視プロセスを特定する。次に、ステップ(B)において、可視プロセスに関する稼働状況情報を取得する。次に、ステップ(C)において、それぞれの可視プロセスの稼働状況に基づいて、可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する。そして、ステップ(D)において、終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための終了確認情報を、当該情報処理装置の利用者に対して提示する。よって、この利用者への提示により、利用者は起動させておく必要がないと考えられるプロセスが情報処理装置上で起動していることを知ることできる。さらに、終了候補プロセスを終了するか否かの確認に利用者が返答を行った場合、当該プロセスを終了するなどの処理を情報処理装置が行うことができるので、不要なプロセスの終了処理を行うなどして情報処理装置のハードウェア資源の効率的な利用を促し、情報処理装置における作業効率を向上させることが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、第1の態様に係る情報処理方法において特に、前記ステップ(C)では、操作対象として選択される頻度が所定値未満であるという条件、操作対象として選択されている時間が所定値未満であるという条件、及び、関連ファイルの編集頻度が所定値未満であるという条件、のうちの少なくとも一つの条件を満たす可視プロセスが、前記終了候補プロセスとして判定されることを特徴とする。
【0011】
第2の態様に係る情報処理方法によれば、可視プロセスの稼働状況情報が、操作対象として選択される頻度が所定値未満であるという条件、操作対象として選択されている時間が所定値未満であるという条件、及び、関連ファイルの編集頻度が所定値未満であるという条件、のうちの少なくとも一つの条件を満たしている場合に、当該可視プロセスの稼働状況は低調であるとみなし、終了候補プロセスであると判定することができる。よって、情報処理装置の利用者に操作対象として選択されている頻度や時間が少なく利用者が操作を行っていない可視プロセスや、関連ファイルの編集を行っていない可視プロセスを終了候補プロセスとして判定することができる。したがって、終了確認情報の提示において、利用者が操作したり関連ファイルの編集を行っているプロセスについては、終了の確認が行われないので、利用者が利用しているプロセスが終了処理されるなどの情報処理装置の利用に差し障りのあるプロセスの処理が行われることを防ぐことができる。一方、これらの条件によって、利用者が利用していないプロセスについて、終了確認情報によって終了するか否かの確認を適切に提示することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る情報処理方法は、第1または第2の態様に係る情報処理方法において特に、(E)前記終了確認情報に対する返答を受領するステップと、(F)前記ステップ(E)で受領した前記返答が前記終了候補プロセスを終了する旨の返答である場合に実行され、当該終了候補プロセスを終了するステップと、(G)前記ステップ(E)で受領した前記返答が前記終了候補プロセスを終了しない旨の返答である場合に実行され、当該終了候補プロセスを、前記ステップ(C)における判定の対象から除外するプロセスとして設定するステップと、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
第3の態様に係る情報処理方法によれば、終了確認情報に対して利用者が、提示された終了候補プロセスは不要であると終了する旨の返答を行った場合は、当該終了候補プロセスを終了し、また一方、終了確認情報に対して利用者が、当該終了候補プロセスは必要であるので終了しない旨の返答を行った場合は、当該終了候補プロセスに対してステップ(C)の判定の対象外となるようにする設定を行うことができる。したがって、利用者が不要なプロセスを終了できるので、情報処理装置のハードウェア資源が無駄に使われるのを防ぐことが可能となる。また、利用者が必要なプロセスは、終了候補プロセスであるという提示は行われず、終了処理されることもないので、情報処理装置の利用を円滑に行うことができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る情報処理方法は、第1から第3のいずれか一つの態様に係る情報処理方法において特に、起動されている前記複数のプロセス若しくは前記一以上の可視プロセスの数が所定以上となった場合、または、前記情報処理装置の処理負荷が所定以上となった場合に、前記ステップ(C)の処理が実行されることを特徴とする。
【0015】
第4の態様に係る情報処理方法によれば、情報処理装置において起動しているプロセスの数若しくは可視プロセスの数が所定以上であった場合、または当該情報処理装置の処理負荷が所定以上となった場合、起動しているプロセスの中に必要でないプロセスがあれば、当該プロセスを終了候補プロセスと判別することができる。したがって、情報処理装置の処理負荷が高い状態になった場合に、当該終了候補プロセスを終了するなどして情報処理装置の処理負荷を減らすことで、情報処理装置のハードウェア資源が効率的に利用されるようにすることができる。また、プロセスが必要以上に起動しておらず情報処理装置の処理負荷が増大していなければ、情報処理装置のハードウェア資源が効率的に利用されているとして終了確認情報の提示などは行われず、利用者は情報処理装置の利用を円滑に行うことができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る情報処理方法は、第1から第4のいずれか一つの態様に係る情報処理方法において特に、(H)前記ステップ(C)における判定の結果の情報、及び/または前記ステップ(D)の提示を受けた前記利用者が前記終了候補プロセスを終了する対応を行ったか否かに関する対応結果の情報を、前記情報処理装置と通信を行う他の装置に対して送信するステップをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
第5の態様に係る情報処理方法によれば、ステップ(C)において取得した終了候補プロセスに関する情報、及び/またはステップ(D)において終了確認情報の提示を受けた利用者が終了候補プロセスを終了する対応を行ったか否かに関する対応結果の情報を、情報処理装置と通信を行う他の装置に対して送信する。よって、当該他の装置は終了候補プロセスの情報や当該プロセスを利用者が終了したか否かの情報を取得することができる。したがって、他の装置は、情報処理装置において不要なプロセスが稼働しているか否かや、不要なプロセスの稼働状況を把握することができる。そして、当該他の装置は、不要なプロセスを終了するように促す提示をしても不要なプロセスを起動し続けている利用者の有無などの、当該情報処理装置の作業効率を適切に管理するための情報を得ることが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係るプログラムは、表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置に用いられるコンピュータに、(A)起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定するステップと、(B)前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得するステップと、(C)前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定するステップと、(D)前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0019】
第6の態様に係るプログラムによれば、情報処理装置に用いられるコンピュータに実行させることで、当該コンピュータは、ステップ(A)において、情報処理装置が起動しているプロセスの中から、可視ウィンドウとして表示画面に表示されている可視プロセスを特定する。次に、ステップ(B)において、可視プロセスに関する稼働状況情報を取得する。次に、ステップ(C)において、それぞれの可視プロセスの稼働状況に基づいて、可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する。そして、ステップ(D)において、終了候補プロセスであるとされたプロセスを終了するか否かを確認するための終了確認情報を、当該情報処理装置の利用者に対して提示する。よって、この利用者への掲示により、利用者は起動させておく必要がないと考えられるプロセスが情報処理装置上で起動していることを知ることできる。さらに、終了候補プロセスを終了するか否かの確認に利用者が返答を行った場合、当該プロセスを終了するなどの処理を情報処理装置が行うことができるので、不要なプロセスの終了処理を行うなどして情報処理装置のハードウェア資源の効率的な利用を促し、情報処理装置における作業効率を向上させることが可能となる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る情報処理装置は、表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置であって、起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定する特定手段と、前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得する取得手段と、前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する判定手段と、前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
第7の態様に係る情報処理装置によれば、特定手段は、情報処理装置が起動しているプロセスの中から、可視ウィンドウとして表示画面に表示されている可視プロセスを特定し、取得手段は、当該可視プロセスに関する稼働状況情報を取得する。判定手段は、それぞれの可視プロセスの稼働状況に基づいて、可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する。そして、提示手段は、終了候補プロセスであるとされたプロセスを終了するか否かを確認するための終了確認情報を、当該情報処理装置の利用者に対して提示する。よって、この利用者への掲示により、利用者は起動させておく必要がないと考えられるプロセスが情報処理装置上で起動していることを知ることできる。さらに、終了候補プロセスを終了するか否かの確認に利用者が返答を行った場合、当該プロセスを終了するなどの処理を情報処理装置が行うことができるので、不要なプロセスの終了処理を行うなどして情報処理装置のハードウェア資源の効率的な利用を促し、情報処理装置における作業効率を向上させることが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る情報処理システムは、サーバと、複数のプロセスを起動可能なクライアント端末と、を備える情報処理システムであって、前記クライアント端末は、表示画面と、起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定する特定手段と、前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得する取得手段と、前記稼働状況情報を前記サーバに対して送信する送信手段と、前記サーバからプロセスの終了確認命令を受信した場合、当該プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記クライアント端末の利用者に対して提示する提示手段と、を有し、前記サーバは、前記クライアント端末から受信した前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する判定手段と、前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認させる終了確認命令を、前記クライアント端末に対して送信する命令手段と、を有することを特徴とする。
【0023】
第8の態様に係る情報処理システムによれば、クライアント端末の特定手段は、起動しているプロセスの中から、可視ウィンドウとして表示画面に表示されている可視プロセスを特定し、取得手段は、当該可視プロセスに関する稼働状況情報を取得する。そして、クライアント端末の送信手段は、当該稼働状況情報をサーバに対して送信する。サーバの判定手段は、クライアント端末から受け取った稼働状況情報に基づいて、可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する。さらに、サーバの命令手段は、終了候補プロセスを終了する確認をするように命ずる終了確認命令を、クライアント端末に対して送信する。クライアント端末の提示手段は、当該終了確認命令に基づいて、終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための終了確認情報を、当該クライアント端末の利用者に対して提示する。よって、この利用者への掲示により、利用者は終了候補プロセスがクライアント端末上で起動していることを知ることできる。さらに、終了候補プロセスを終了するか否かの確認に利用者が返答を行った場合、当該終了候補プロセスを終了するなどの処理をクライアント端末が行うことができるので、不要なプロセスの終了処理を行うなどしてクライアント端末のハードウェア資源の効率的な利用を促し、クライアント端末における作業効率を向上させることが可能となる。また、サーバは、クライアント端末において稼働している可視プロセスの稼働状況情報を得ることができるので、当該稼働状況情報に基づいて、クライアント端末の作業効率を管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コンピュータが起動しているプロセスの中から不要なプロセスを判別し、当該不要なプロセスを終了することで、コンピュータのハードウェア資源の効率的な利用を促し、コンピュータにおける作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンピュータシステム及びその表示画面を模式的に示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理方法を実行するコンピュータシステムの構成を概略的に示した図である。
【図3】コンピュータシステムの機能構成を概略的に示した図である。
【図4】プロセス監視処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】不要プロセス終了処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】必要プロセステーブルの一例である。
【図7】終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための入力画面の一例である。
【図8】終了ログテーブルの一例である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るネットワークシステムの機能構成を概略的に示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るネットワークシステムの構成を概略的に示した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るサーバの構成を概略的に示した図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るクライアント端末の機能構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一または相応する要素を示すものとする。
【0027】
〈第1の実施形態〉
パーソナルコンピュータなどに代表される情報処理装置であるコンピュータシステム10は、コンピュータ11、表示画面130を有するディスプレイなどの表示装置13、及びポインティングデバイスなどの入力装置12を備えている。そして、コンピュータシステム10に用いられているオペレーティングシステムは、ウィンドウと呼ばれる画面領域を表示画面130に表示するウィンドウシステム機能を有する。
【0028】
このウィンドウシステム機能は、マルチプロセス動作により、アプリケーションソフトなどのプロセスを同時に複数起動させてウィンドウとすることができる。図1は、コンピュータシステム10及びその表示画面130を模式的に示した図である。コンピュータシステム10は表示装置13を用いて、起動中の複数のウィンドウ131を表示することができる。なお、本発明の第1の実施形態においては、表示装置13上にアプリケーションソフトなどのプロセスの動作に必要な画面領域として割り当てられたウィンドウを可視ウィンドウと呼ぶものとする(可視ウィンドウには、オペレーティングシステムの機能によって、いわゆる「最小化」などと呼ばれる、ウィンドウのプロセスが動作しながらも当該ウィンドウが表示画面上から隠された状態にあるものを含む)。また、可視ウィンドウとして動作するプロセスを可視プロセスと呼ぶものとする。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理方法を実行するコンピュータシステム10の構成を概略的に示した図である。コンピュータシステム10が備えるコンピュータ11は、CPU(Central Processing Unit)20及びメモリ30を有して構成されている。そしてメモリ30は、コンピュータ11に本発明の第1の実施形態に係る情報処理方法を実行させるためのプログラム31を記憶している。コンピュータ11は、CPU20がメモリ30から読み出したプログラム31を実行することにより、本発明の第1の実施形態に係る情報処理方法を実行する情報処理装置として機能する。図3は、コンピュータシステム10の機能構成を概略的に示した図である。コンピュータシステム10は、プログラム31が実現する機能ブロックとして、特定手段である特定部201、取得手段である取得部202、判定手段である判定部203、提示手段である提示部204、選択部205、設定部206、及びプロセス終了部207を有して構成されている。
【0030】
また、コンピュータ11のCPU20は、プログラム31だけではなく、オペレーティングシステムなどのコンピュータ11を動作させるのに必要な他のプログラムも実行する。これにより、コンピュータ11は一般的なコンピュータとしての機能も実行することができる。図3においては、コンピュータ11がオペレーティングシステムなどの他のプログラムを実行することで実現する諸機能をオペレーティングシステム機能部200として図に表している。なお、プログラム31がCPU20によって実行されることで実現する諸機能は、コンピュータ上でソフトウェアエージェント(特に「監視エージェント」と呼ばれるコンピュータの動作を監視することを目的としたエージェント)として動作してもよい。この場合、プログラム31は、コンピュータ11のオペレーティングシステム上で動作し、オペレーティングシステムと他のアプリケーションソフトなどのソフトウェアとの仲介的な機能を持つことになる。
【0031】
さらに、コンピュータシステム10の各構成の接続関係について説明する。オペレーティングシステム機能部200の出力は特定部201及び取得部202の入力に接続されている。特定部201の出力は、オペレーティングシステム機能部200、取得部202、及び判定部203の入力に接続されている。取得部202の出力はオペレーティングシステム機能部200及び判定部203の入力に接続されている。判定部203の出力は提示部204及び選択部205の入力に接続されている。提示部204の出力は表示装置13の入力に接続されている。選択部205の出力は設定部206及びプロセス終了部207の入力に接続されている。設定部206の出力はメモリ30の入力に接続されている。プロセス終了部207の出力はオペレーティングシステム機能部200の入力に接続されている。入力装置12の出力は選択部205の入力に接続されている。メモリ30の出力は判定部203の入力に接続されている。
【0032】
利用者がコンピュータシステム10を使用する場合、コンピュータ11のオペレーティングシステムが持つウィンドウシステム機能を利用し、マルチプロセスによる作業を行うことが多い。そのような場合、利用者が使用していないプロセスが起動していると、コンピュータ11のハードウェア資源が無駄に消費され、コンピュータ11の作業効率が低下するおそれがある。そういった利用者が使用していないプロセスが起動し続けるのを防ぐため、コンピュータシステム10は本発明の第1の実施形態に係る情報処理方法であるプロセス監視処理及び不要プロセス終了処理を行う。図4は、プロセス監視処理の処理手順を示したフローチャートである。図4を用いて、コンピュータシステム10が行うプロセス監視処理を説明する。
【0033】
まず、ステップSP100において、特定部201は、現在コンピュータ11が起動しているプロセスの中から可視プロセスを特定する。具体的には、特定部201は、コンピュータ11が起動しているプロセスの状態に関する監視を行う(この監視は、ソフトウェアエージェントによる動作として行われてもよい)。当該監視に際して、特定部201は、現在起動しているプロセスを列挙した情報、現在起動しているプロセスが可視ウィンドウであるか否かの情報、可視ウィンドウのうちアクティブなウィンドウがどれであるかの情報、及びこれらの情報を取得した時刻情報などを含むプロセスの状態情報を、信号S6としてオペレーティングシステム機能部200から入力を受ける。なお、ここでいう「アクティブ」とは、利用者によって当該ウィンドウを使用することが選択された状態のことであり、また、利用者によって使用することが選択されたウィンドウを「アクティブウィンドウ」と呼ぶものとする。
【0034】
さらに、特定部201は、入力されたプロセスの状態情報に基づいて、現在コンピュータ11が起動しているプロセスの中で、可視ウィンドウとなっているプロセスを可視プロセスとして特定する。特定部201は、特定した可視プロセスの状態情報を、信号S7及び信号S8として取得部202及び判定部203に向けてそれぞれ出力する。
【0035】
なお、例えば、コンピュータシステム10のオペレーティングシステムがWINDOWS(マイクロソフトコーポレイションの登録商標)系のオペレーティングシステムであった場合、ステップSP100における特定部201の動作は、ソフトウェアエージェントとして行われ、EnumWindows、IsWindowsVisible、及びGetForegroundWindowsなどの命令関数を用いて行うものであってもよい。この場合、特定部201は、これらの命令関数を用いて、オペレーティングシステム機能部200からプロセスの状態情報を受け取ることができる。
【0036】
次に、ステップSP110において、取得部202は、可視プロセスそれぞれの稼働状況情報を取得する。具体的には、取得部202は、コンピュータ11が起動しているプロセスの動作監視を行う(この動作監視は、ソフトウェアエージェントによる動作として行われてもよい)。当該動作監視に際して、取得部202は、現在起動しているプロセスがファイルの変更を行うか否か、当該プロセスがタスク待機状態にあるか否かなどの各プロセスの動作に関する動作監視情報を、信号S10としてオペレーティングシステム機能部200から入力を受ける。そして、ステップSP110では、取得部202は入力されたプロセスの状態情報と各プロセスの動作監視情報とに基づいて、可視プロセスの各々の稼働状況を判別し、各可視プロセスにおける稼働状況情報を得る。さらに、取得部202は、可視プロセスの稼働状況情報を信号S11として判定部203に向けて出力する。
【0037】
なお、例えば、コンピュータシステム10のオペレーティングシステムがWINDOWS(登録商標)系のオペレーティングシステムであった場合、ステップSP110における取得部202の動作は、ソフトウェアエージェントとして行われ、API(Application Program Interface)の命令関数を用いて行われてもよい。この場合、取得部202は、例えばFindFirstChangeNotification、FindNextChangeNotification、FindCloseChangeNotification、及びWaitForSingleObjectなどの命令関数を用いて、オペレーティングシステム機能部200からプロセスの動作監視情報を受け取ることができる。
【0038】
ここで、ステップSP110にて取得される可視プロセスの稼働状況情報について説明を行う。取得部202は、信号S7と信号S10とによって入力されたプロセスの状態情報と動作監視情報とに基づいて、稼働状況情報を算出する。取得部202は、現在起動している可視プロセスそれぞれに対して、当該可視プロセスの状態が最後に確認された時刻から当該可視プロセスが起動された時刻の差分をとった値(つまり、可視プロセスの起動時間)、当該可視プロセスがアクティブウィンドウであると最後に確認された時刻(当該判定が行われる時刻であってもよい)から当該可視プロセスがアクティブウィンドウとなった時刻の差分をとった値(つまり、可視プロセスがアクティブである時間。また、この可視プロセスがアクティブである時間は、可視プロセスがアクティブウィンドウとなる度に算出され、その平均値が用いられてもよい)、及び当該可視プロセスがファイル編集を最後に行った時刻から現在の時刻の差分をとった値(つまり、可視プロセスがファイル編集を行っていない時間)を算出する。さらにまた、取得部202は、現在起動している可視プロセスそれぞれにおいて、当該可視プロセスの起動回数から当該可視プロセスの起動時間を除算した値(つまり、可視プロセスが利用される頻度)を算出する。これらの算出によって得られた値を、取得部202はそれぞれの可視プロセスの稼働状況に基づいた各稼働状況情報として取得する。
【0039】
次に、ステップSP120において、特定部201は、コンピュータシステム10がプロセス状態の確認をすべき条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、ステップSP100及びステップSP110にて取得されたプロセスの状態情報と可視プロセスの稼働状況情報とに基づいて、コンピュータ11が起動しているプロセスの数が所定以上であった場合(例えば、起動しているプロセスに、同じプロセスが4つ以上あった場合)若しくは可視プロセスの数が所定以上であった場合(例えば、可視プロセスが4つ以上であった場合)に、特定部201は、ステップSP120の判定における、プロセス状態の確認をすべき条件を満たしていると判定してもよい。なお、プロセスの数については、予め定めた特定のアプリケーションソフトに関連するプロセス(例えば、Webアプリケーションに関連するプロセスやワープロソフトに関連するプロセスなどの、利用者が多数のウィンドウを同時に起動する可能性が高いプロセス等)の数が所定以上であるかどうかで判断しても構わない。すなわち、コンピュータ11の稼働効率を知りうるプロセスの数を数えればよい。
【0040】
また、ステップSP120におけるプロセス状態の確認をすべき条件を満たしているか否かの判定は、コンピュータ11の処理負荷が所定以上であるか否かで判定してもよい。具体的には、特定部201がオペレーティングシステム機能部200に対し、CPU20若しくはコンピュータ11の有する主記憶装置(メモリ30を含んでもよい)の処理負荷を問い合わせ、当該処理負荷が所定以上であった場合(例えば、コンピュータ11の物理メモリの使用率が70%以上であった場合)に、特定部201は、ステップSP120の判定においてプロセス状態の確認をすべき条件を満たしていると判定してもよい。
【0041】
そして、コンピュータ11がプロセス状態の確認をすべき条件を満たしていた場合(つまり、ステップSP120における判定結果が「YES」である場合)、コンピュータシステム10は、後述のステップSP130の動作を行う。また一方、コンピュータ11がプロセス状態の確認をすべき条件を満たしていなかった場合(つまり、ステップSP120における判定結果が「NO」である場合)、コンピュータシステム10は、プロセス監視処理を終了する。
【0042】
ステップSP120の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP130にて、コンピュータシステム10は後述する不要プロセス終了処理を行う。
【0043】
このステップSP100からステップSP130にて示したプロセス監視処理は、コンピュータシステム10によって定期的(0.1秒から数秒程度の所定の間隔ごとであり、コンピュータ11上で起動しているプロセスの監視に適切な間隔ごと)に繰り返し行われている。したがって、コンピュータシステム10は、プロセスの状態情報及び可視プロセスの稼働状況情報などの情報を随時取得することができる。
【0044】
図5は、不要プロセス終了処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、コンピュータシステム10が行う不要プロセス終了処理の説明を、図5を用いて行う。
【0045】
まず、ステップSP200において、判定部203は、コンピュータ11上で起動しているプロセスの中に、終了候補プロセスがあるか否かを判定する。具体的には、まず判定部203は、プロセス監視処理において取得した各可視プロセスの稼働状況情報に基づいて、現在起動している可視プロセスがそれぞれ終了候補プロセスであるか否かを判別する。
【0046】
ステップSP200における判定では、判定部203は、各可視プロセスの利用される頻度が所定値未満の場合(例えば、可視プロセスが利用される頻度が2回/時間より少ない場合)、当該可視プロセスを終了候補プロセスであると判別する。また、判定部203は、各可視プロセスのアクティブである時間が所定値未満である場合(例えば、可視プロセスがアクティブである時間が3秒より小さい場合)、当該可視プロセスを終了候補プロセスであると判別する。さらに、各可視プロセスのファイル編集を行っていない時間が所定値以上である場合(つまり、可視プロセスにおけるファイル編集の頻度が所定値未満である場合であり、例えば、ファイル編集を行っていない時間が30分以上であった場合)、当該可視プロセスを終了候補プロセスであると判別する。これら判別の条件が重複しているプロセスがある場合も、当該プロセスは終了候補プロセスとする。
【0047】
なお、例えばある可視プロセスについて、ファイル編集が行われていない時間が所定値未満であれば、たとえ、利用頻度等の他の条件で判定した場合に終了候補プロセスであると判断されたプロセスであっても、終了候補プロセスから除外してもよい。すなわち、判定する条件に優先順位を付けて、特定の条件に該当すれば必ず終了候補プロセスに加えたり、あるいは加えなかったりするようにしても構わない。
【0048】
そしてさらに、判定部203は、メモリ30に記憶されている必要プロセステーブル32の情報を読み込む。図6は、必要プロセステーブル32の一例である。必要プロセステーブル32には、利用者にとって必要である可視プロセスの情報が記憶されている。各可視プロセスに対して行う終了候補プロセスか否かの判別において、判定部203は必要プロセステーブル32に情報が記憶されているプロセスを終了候補プロセスから除外する。なお、必要プロセステーブル32には、記憶されているプロセスそれぞれについて、必要プロセステーブル32に登録された時刻が記憶されていてもよい。この場合、例えば、必要プロセステーブル32に登録された時刻から24時間以内のプロセスは、終了候補プロセスから除外し、登録された時刻から24時間を超えたプロセスは、必要プロセステーブル32から削除するなどの登録時刻に基づいた処理を行ってもよい。
【0049】
そして、図5を参照して、ステップSP200にて行われる現在起動している可視プロセスのそれぞれが終了候補プロセスか否かの判別にて、終了候補プロセスと判別された可視プロセスがあった場合(つまりステップSP200における判定結果が「YES」である場合)、判定部203は、終了候補プロセスと判別された可視プロセスの情報を信号S12及び信号S13として、提示部204及び選択部205に向けて出力する。そして、コンピュータシステム10は、後述のステップSP210の動作を行う。また一方、現在起動している可視プロセスのそれぞれが終了候補プロセスか否かの判別にて、終了候補プロセスと判別された可視プロセスがなかった場合(つまりステップSP200における判定結果が「NO」である場合)、終了すべきプロセスがなかったとして、コンピュータシステム10は、不要プロセス終了処理を終了する。
【0050】
ステップSP200の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP210において、提示部204は、信号S12にて入力された終了候補プロセスの情報に基づいて、当該終了候補プロセスを終了するか否かの確認をコンピュータシステム10の利用者に対して行う終了確認情報を、信号S4として表示装置13に向けて出力する。そして表示装置13は信号S4に基づいて、当該終了確認情報を表示画面130に表示することで、利用者に対して終了候補プロセスを終了するか否かの確認を行う。図7は、終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための入力画面の一例である。図7では、メールソフトの「受信トレイ」、Webブラウザの「Webページ」、アプリケーションソフトの「計算機」、及び「ゲームソフトA」が終了候補プロセスとして表示され、各々のプロセスを終了するか否かの確認が行われている。またこのとき、図7に示した「ホワイトリストの閲覧」ボタンを押下した場合に、必要プロセステーブル32に登録されているプロセスの一覧を表示画面130に表示するような処理が行われてもよい。
【0051】
次に、図5を参照して、ステップSP220において、選択部205は、ステップSP210にて行った利用者への終了確認情報の提示に対して、利用者からの返答を受領する。例えば、図7で示した入力画面によって、利用者に対して提示が行われている場合、利用者が入力装置12を用いて、不要と考える可視プロセスをチェックボックスにて選択し「選択されたウィンドウを閉じる」ボタンを押下させれば、当該選択された可視プロセスは終了すべきである旨の返答がされたとみなす。そして、選択部205は、利用者から終了すべきである旨の返答がされた可視プロセスの情報を、信号S15としてプロセス終了部207に向けて出力する。なお、図7において、チェックボックスを用いて終了すべき可視プロセスを選択する場合を例示したが、本発明において、終了確認情報に対する返答を受領する方法はチェックボックスに限らず、利用者が終了すべきプロセスを適切に選択入力できる方法であればよい。
【0052】
次に、図5を参照して、ステップSP230において、プロセス終了部207は、信号S15にて入力された終了すべきプロセスの情報に基づいて、当該プロセスを終了する旨の命令信号S16を、オペレーティングシステム機能部200に向けて出力する。そして、命令信号S16が入力されたオペレーティングシステム機能部200は、終了するように命令されたプロセスに対して終了処理を行う。
【0053】
次に、ステップSP240において、設定部206は、終了候補プロセスと判別された可視プロセスの中に必要なプロセスがあったか否かを判定する。具体的には、選択部205は、設定部206に向けて、終了候補プロセスの情報と、ステップSP220において選択された利用者が不要と考えるプロセスの情報とを出力する。そして、当該情報が入力された設定部206は、終了候補プロセスとして判別された可視プロセスの全てが、終了すべきプロセスとして選択されたか否かを判定する。終了候補プロセスとして判別された可視プロセスの全てが、終了すべきプロセスとして選択され、終了候補プロセスの中に必要なプロセスがなかった場合(つまりステップSP240における判定が「NO」と判定された場合)、終了候補プロセスすべてが終了処理され、コンピュータシステム10は不要プロセス終了処理を終了する。また一方、終了候補プロセスとして判別された可視プロセスの中に、終了すべきプロセスとして選択されず、必要であったプロセスが存在した場合(つまりステップSP240における判定が「YES」と判定された場合)、設定部206は後述のステップSP250の動作を行う。
【0054】
ステップSP240の判定にて「YES」と判定された場合、ステップSP250において、設定部206は、終了候補プロセスのうち、利用者によって終了すべきであると選択されなかったプロセス(つまり、終了しない旨の返答がされた終了候補プロセスであり、利用者にとって必要なプロセス)の情報を、信号S2用いてメモリ30の必要プロセステーブル32に記憶させる。よって、必要プロセステーブル32には、可視プロセスが終了候補プロセスと判別される稼働状況でありながら、利用者によって必要なプロセスであるとされたプロセスの情報が設定登録される(この設定登録される情報は、各プロセスの情報に加え、当該プロセスが登録された時刻などの情報を含んでもよい)。
【0055】
以上のように、コンピュータシステム10は、ステップSP200からステップSP250の動作により不要プロセス終了処理を行う。コンピュータシステム10は、プロセス監視処理を、プロセスの監視を行うのに適切な間隔で繰り返し行っているので、コンピュータ11における処理負荷が所定以上になった場合、コンピュータシステム10はすぐに不要プロセス終了処理を行うことができる。
【0056】
なお、コンピュータシステム10のプロセス状態の確認をすべき条件を満たしている場合(プロセス監視処理のステップSP120における判定が「YES」である場合)に、不要プロセス終了処理を行う例を示したが、本発明において、不要プロセス終了処理は、プロセス状態の確認をすべき条件を満たしている場合にだけ行うものに限らず、定期的(例えば、1時間に1回)または任意のタイミングで行われてもよい。
【0057】
したがって、本発明の第1の実施形態に係るコンピュータシステム10によれば、コンピュータ11上で起動している可視プロセスの状態を監視し取得された各プロセスの稼働状況情報に基づいて、各可視プロセスが終了候補プロセスであるか否かの判別をすることができる。そして、終了候補プロセスとして判別された可視プロセスを終了するか否かを確認するための終了確認情報を利用者に提示し、利用者が当該提示に対して返答を行うことで、不要なプロセスを終了することができる。したがって、コンピュータ11の処理負荷が増大したとき、または定期的若しくは任意のタイミングで、当該負荷を軽減しコンピュータ11のハードウェア資源を効率的に利用することを促し、コンピュータシステム10における作業効率を向上させることが可能である。
【0058】
また、各プロセスの稼働状況情報に基づく、各可視プロセスが終了候補プロセスであるか否かの判別においては、コンピュータシステム10の利用者が当該プロセスを操作対象として選ぶ時間や頻度、及び当該プロセスがファイルの編集を行うか否かによって判別を行うので、利用者が操作したり編集を行ったりしている必要なプロセスが終了処理されることはない。そして、利用者が利用していない不要なプロセスを、適切に終了確認情報によって終了するか否かの確認の提示の対象とすることができる。
【0059】
さらに、利用者が終了候補プロセスとして判別された可視プロセスのうち、利用者にとって必要なプロセスは、メモリ30に記憶される必要プロセステーブル32に設定登録される。そして、必要プロセステーブル32に登録されているプロセスは、終了候補プロセスであるという判別は行われず終了処理されることもないので、コンピュータシステム10の利用において必要なプロセスが終了処理されることはない。したがって、不要プロセス終了処理によるプロセスの終了が行われてもコンピュータシステム10の動作には差し障りなく、利用者はコンピュータシステム10の利用を円滑に行うことが可能である。
【0060】
また、プロセス監視処理においてプロセス状態の確認をする条件として、コンピュータ11が起動しているプロセスの数が所定以上か否かという条件、またはコンピュータ11の処理負荷が所定以上か否かという条件を用いるので、コンピュータ11が多数のプロセスを一度に起動していたり処理負荷が増大している場合に、不要なプロセスを終了候補プロセスとすることができる。よって当該終了候補プロセスを終了することでコンピュータ11の処理負荷が軽減されるので、コンピュータシステム10における作業効率を向上させることが可能となる。一方、プロセスが必要以上に起動しておらずコンピュータ11の処理負荷が増大していなければ、コンピュータシステム10のハードウェア資源が効率的に利用されているとして、終了確認情報の提示などは行われない。よって、利用者はコンピュータシステム10の利用を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、本発明の第1の実施形態に係るコンピュータシステム10のメモリ30は、必要プロセステーブル32以外にも、終了ログテーブル33を記憶していてもよい。この終了ログテーブル33を使用する場合、ステップSP220にて、選択部205は利用者から終了すべきプロセスである旨の選択が行われたプロセスの情報を、信号S14として設定部206に向けて出力し、設定部206が当該終了すべきプロセスの情報をメモリ30に記憶された終了ログテーブル33に設定登録する(登録情報には、登録された時刻情報を含んでもよい)。よって、終了ログテーブル33には、不要プロセス終了処理において、終了すべきプロセスの情報が記憶されている。図8は、終了ログテーブル33の一例である。判定部203は、ステップSP200で行われる可視プロセスが終了候補プロセスであるか否かの判別において、終了ログテーブル33に記憶された情報を用いて判別を行ってもよい(例えば、24時間以内に終了すべきプロセスとされたプロセスは、プロセスの稼働状況にかかわらず終了候補プロセスであると判別するなど)。
【0062】
さらにまた、本発明の第1の実施形態では、コンピュータシステム10のオペレーティングシステムに、WINDOWS(登録商標)系のオペレーティングシステムが用いられる場合を例示したが、本発明においては、オペレーティングシステムの種類は限定されるものではく、コンピュータ11上で起動するプロセスの管理を行えるオペレーティングシステムであればよい。また、図1では、入力装置12としてマウス型のポインティングデバイスを模式的に示したが、本発明においては、入力装置12はポインティングデバイスに限定されるものではなく、コンピュータシステム10に対して入力処理を行えるものであればよい。
【0063】
<第2の実施形態>
図9は、本発明の第2の実施形態に係るネットワークシステム1の機能構成を概略的に示した図である。ネットワークシステム1は、サーバ40、ネットワーク50、及びクライアント端末60を備えて構成されている。クライアント端末60は、図3で示したコンピュータ11の代わりに、コンピュータ11の構成に加え外部に情報を送信する送信手段である通信部208を有するコンピュータ14を備える。
【0064】
ネットワークシステム1において、クライアント端末60はコンピュータシステムとして利用され、本発明の第1の実施形態で説明したプロセス監視処理及び不要プロセス終了処理を行うことで、コンピュータ14上で起動している可視プロセスを監視している。よって、クライアント端末60は、メモリ30に記憶される必要プロセステーブル32及び終了ログテーブル33に、クライアント端末60における終了すべきプロセスと必要なプロセスとの情報を蓄積することができる。
【0065】
クライアント端末60が有する通信部208は、必要プロセステーブル32若しくは終了ログテーブル33に記憶されている情報、及びプロセス終了部207が終了させたプロセスの情報を、ネットワーク50を介してサーバ40に送信する。よって、サーバ40は、ネットワーク50を介して接続されたクライアント端末60の利用状況(不要なプロセスを起動しているか、どのプロセスを不要と判断したのかなど)に関する情報を得ることができる。したがって、サーバ40はこれらの情報に基づいて、クライアント端末60の利用者に対して、クライアント端末60の利用状況に関する警告やクライアント端末60の利用法に関する助言をするなど、クライアント端末60の利用状況に基づいたネットワークシステム1の管理を行うことができる。
<第3の実施形態>
【0066】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るネットワークシステム2の全体構成を概略的に示した図である。ネットワークシステム2は、サーバ41、ネットワーク51、及びクライアント端末61を備えて構成されている。
【0067】
図11は、サーバ41の構成を概略的に示した図である。サーバ41は、通信部42、メモリ43、及び判定部44を有して構成されている。通信部42の出力はメモリ43及び判定部44の入力に接続されている。メモリ43の出力は通信部42及び判定部44の入力に接続されている。判定部44の出力は通信部42の入力に接続されている。メモリ43には、必要プロセステーブル32と終了ログテーブル33とが記憶されている。また、通信部42は、ネットワーク51を介してクライアント端末61と通信をする機能を有している。
【0068】
図12は、クライアント端末61の機能構成を概略的に示した図である。クライアント端末61は、入力装置12、表示装置13、及びコンピュータ15を備えて構成されている。コンピュータ15は、機能構成として、オペレーティングシステム機能部200、特定部201、取得部202、提示部204、選択部205、設定部206、プロセス終了部207、及び通信部209を有して構成されている。オペレーティングシステム機能部200の出力は特定部201及び取得部202の入力に接続されている。特定部201の出力はオペレーティングシステム機能部200、取得部202、及び通信部209の入力に接続されている。取得部202の出力はオペレーティングシステム機能部200及び通信部209の入力に接続されている。提示部204の出力は表示装置13の入力に接続されている。選択部205の出力は設定部206及びプロセス終了部207の入力に接続されている。設定部206の出力は通信部209の入力に接続されている。プロセス終了部207の出力はオペレーティングシステム機能部200の入力に接続されている。通信部209の出力は提示部204及び選択部205の入力に接続されている。入力装置12の出力は選択部205の入力に接続されている。さらに、通信部209は、ネットワーク51を介してサーバ41と通信する機能を有している。
【0069】
ネットワークシステム2は、コンピュータ15上で起動しているプロセスに対して、プロセス監視処理及び不要プロセス監視処理を行うことができる。ただし、図4を参照して、プロセス監視処理のステップSP100及びステップSP110にて得られた可視プロセスの状態情報及び可視プロセスの稼働状況情報は、通信部209に対して入力される。通信部209は、当該状態情報及び当該稼働状況情報を含んだ信号を、ネットワーク51を介してサーバ41に送信する。
【0070】
そして、ステップSP120にて、特定部201は、クライアント端末61がプロセス状態の確認をすべき状態を満たしていると判定した場合、サーバ41に対して不要プロセス終了処理の実行を要請する旨の信号を、通信部209に向けて出力する。通信部209は、この不要プロセス終了処理の実行を要請する旨の信号を、ネットワーク51を介してサーバ41に向けて送信する。そして、当該不要プロセス終了処理の実行を要請する旨の信号を受信したサーバ41は、不要プロセス終了処理を開始する。
【0071】
まず、図5を参照して、不要プロセス終了処理のステップSP200において、サーバ41の判定部44は、クライアント端末61から受信した可視プロセスの状態情報並びに可視プロセスの稼働状況情報、及びメモリ43に記憶された必要プロセステーブル32や終了ログテーブル33などの情報に基づいて、コンピュータ15上で起動している可視プロセスに終了候補プロセスがあるか否かを判定する。
【0072】
そして、終了候補プロセスがあった場合、判定部44は、クライアント端末61に対して当該終了候補プロセスの終了確認をするよう命令する終了確認命令を通信部42に対して出力する。通信部42は、当該終了確認命令を含んだ信号を、ネットワーク51を介してクライアント端末61に対して送信する。当該終了確認命令を含んだ信号を受信したクライアント端末61の通信部209は、終了確認命令に含まれている終了候補プロセスの情報を提示部204及び選択部205に向けて出力する。この終了候補プロセスの情報を用いて、クライアント端末61は、不要プロセス終了処理におけるステップSP210からステップSP240の動作を行う。
【0073】
そして、ステップSP240にて、終了候補プロセスの中に必要なプロセスがあった場合、ステップSP250において、設定部206は、当該必要なプロセスに関する情報(不要なプロセスとして判定されたプロセスの情報を含んでもよい)を通信部209に向けて出力する。通信部209は、当該必要なプロセスに関する情報を、ネットワーク51を介してサーバ41に対して送信する。当該必要なプロセスに関する情報を受信したサーバ41の通信部42は、当該情報をメモリ43に対して出力する。そして、メモリ43は、当該情報に基づいて必要プロセステーブル32及び終了ログテーブル33に記憶されている情報を更新する。
【0074】
したがって、本発明の第3の実施形態に係るネットワークシステム2によれば、コンピュータ15上で起動しているプロセスの中で、起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスとし、利用者に対して当該終了候補プロセスを終了するか否かの確認をすることができる。この確認により、利用者は起動させておく必要がないプロセスがコンピュータ15上で起動していることを知ることできる。さらに、終了候補プロセスを終了するか否かの確認に対して利用者が返答を行った場合、当該プロセスを終了することができるので、コンピュータ15のハードウェア資源の効率的な利用を促し、コンピュータ15における作業効率を向上させることが可能となる。また、サーバ41は、コンピュータ15において稼働している可視プロセスの稼働状況情報を得ることができる。そして当該稼働状況情報、及び必要プロセステーブル32並びに終了ログテーブル33の情報に基づけば、クライアント端末61でこれまで起動していた不要なプロセスに関する情報などを取得することができる。よって、ネットワークシステム2は、当該情報に基づいてクライアント端末61の利用者にクライアント端末61の利用法の助言を行うなど、利用者に対してクライアント端末61の利用法の改善を促すことが可能となる。
【0075】
なお、図10においてクライアント端末61が一つの例を示したが、本発明の第3の実施形態において、クライアント端末61の数は一つに限るものではなく、ネットワークシステム2は複数のクライアント端末61を備えてもよい。ネットワークシステム2が複数のクライアント端末61を備える場合、各クライアント端末61が行う不要プロセス終了処理における判定はサーバ41の判定部44が行うので、各クライアント端末61における終了候補プロセスの判定結果を共通化することができる。また、各クライアント端末61で行われた不要プロセス終了処理にて、サーバ41のメモリ43に記憶されている必要プロセステーブル32及び終了ログテーブル33の情報が更新されるので、単一のクライアント端末61だけで情報更新する場合に比べ情報量が増すので、不要プロセス終了処理における終了候補プロセスの判定を正確に行うことが可能となる。
【0076】
なお、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲にとって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1,2 ネットワークシステム
10 コンピュータシステム
11,14,15 コンピュータ
12 入力装置
13 表示装置
20 CPU
30,43 メモリ
31 プログラム
40,41 サーバ
50,51 ネットワーク
60,61 クライアント端末
201 特定部
202 取得部
203,44 判定部
204 提示部
205 選択部
206 設定部
207 プロセス終了部
208,209,42 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置における情報処理方法であって、
(A)起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定するステップと、
(B)前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得するステップと、
(C)前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定するステップと、
(D)前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示するステップと、
を備える、情報処理方法。
【請求項2】
前記ステップ(C)では、
操作対象として選択される頻度が所定値未満であるという条件、
操作対象として選択されている時間が所定値未満であるという条件、及び、
関連ファイルの編集頻度が所定値未満であるという条件、
のうちの少なくとも一つの条件を満たす可視プロセスが、前記終了候補プロセスとして判定される、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
(E)前記終了確認情報に対する返答を受領するステップと、
(F)前記ステップ(E)で受領した前記返答が前記終了候補プロセスを終了する旨の返答である場合に実行され、当該終了候補プロセスを終了するステップと、
(G)前記ステップ(E)で受領した前記返答が前記終了候補プロセスを終了しない旨の返答である場合に実行され、当該終了候補プロセスを、前記ステップ(C)における判定の対象から除外するプロセスとして設定するステップと、
をさらに備える、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
起動されている前記複数のプロセス若しくは前記一以上の可視プロセスの数が所定以上となった場合、または、前記情報処理装置の処理負荷が所定以上となった場合に、前記ステップ(C)の処理が実行される、請求項1から3のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項5】
(H)前記ステップ(C)における判定の結果に関する情報、及び/または前記ステップ(D)における提示を受けた前記利用者が前記終了候補プロセスを終了する対応を行ったか否かに関する対応結果の情報を、前記情報処理装置と通信を行う他の装置に対して送信するステップをさらに備える、請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項6】
表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置に用いられるコンピュータに、
(A)起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定するステップと、
(B)前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得するステップと、
(C)前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定するステップと、
(D)前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
表示画面を有し、複数のプロセスを起動可能な情報処理装置であって、
起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定する特定手段と、
前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得する取得手段と、
前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する判定手段と、
前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記情報処理装置の利用者に提示する提示手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項8】
サーバと、複数のプロセスを起動可能なクライアント端末と、を備える情報処理システムであって、
前記クライアント端末は、
表示画面と、
起動されている前記複数のプロセスの中で、可視ウィンドウとして前記表示画面に表示されているプロセスである一以上の可視プロセスを特定する特定手段と、
前記一以上の可視プロセスの各々の稼働状況に関する情報である稼働状況情報を取得する取得手段と、
前記稼働状況情報を前記サーバに対して送信する送信手段と、
前記サーバからプロセスの終了確認命令を受信した場合、当該プロセスを終了するか否かを確認するための情報である終了確認情報を、前記クライアント端末の利用者に対して提示する提示手段と、
を有し、
前記サーバは、
前記クライアント端末から受信した前記稼働状況情報に基づき、前記一以上の可視プロセスの中で起動させておく必要のないプロセスを終了候補プロセスであると判定する判定手段と、
前記終了候補プロセスを終了するか否かを確認させる終了確認命令を、前記クライアント端末に対して送信する命令手段と、
を有する、情報処理システム。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−22373(P2012−22373A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157719(P2010−157719)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】