説明

情報処理方法、プログラム及び装置

【課題】秘匿化されたデータを用いて2つの物体が共にほぼ同じ場所にあったか否かを判断する。
【解決手段】本方法は、時刻及び位置データを取得するステップと、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータを、時刻及び位置データから抽出するステップと、第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施するステップと、ユーザの識別子と、所定の秘匿化処理がなされた第1のデータと、第2のデータとを含むデータブロックを、データブロックを蓄積するコンピュータに送信するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、データ秘匿化及び秘匿化されたデータの処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、秘匿したい値をハッシュ関数で秘匿化する手法が存在している。入力が同じならば、ハッシュ関数の出力結果も同じになることから、秘匿化前の値が同じであるか否かを、秘匿化後の値同士を比較することで判定可能である。しかしながら、秘匿化前の値が完全に一致している場合であれば秘匿化後の値も一致するが、少しでも秘匿化前の値が異なっていれば、秘匿化後の値は異なっており、秘匿化後の値だけでは、秘匿化前の値の差が少ないか否かということは分からない。例えば、位置データを秘匿化する場合、完全に一致している位置で測定しても誤差が発生したりするし、完全に一致していない場合にも同一の場所にいたと判断することが好ましいほど距離が短い場合もある。
【0003】
なお、指定した場所以外ではファイルを開くことができないようにするため、以下のような処理を実施するという技術がある。すなわち、ファイルを開くことのできる位置を現在位置情報として位置取得装置より取得するか、または、所定の位置情報として入力装置より取得するとともに、ファイルを暗号化または復号化する際に使用する該位置情報の有効桁数を示すデータを入力装置より取得する。そして、位置情報と有効桁数を示すデータから得られる位置情報の上位の有効桁数分のデータをキーとしてファイルを暗号化し、さらに、暗号化したファイルに対して所定のハッシュ演算を行った結果のデータである第1のダイジェストを生成した上で、有効桁数を示すデータ、暗号化したファイル、及び、第1のダイジェストを所定の公開鍵で暗号化して公開鍵暗号データを作成する。その後、作成した公開鍵暗号データに対して所定のハッシュ演算を行った結果のデータである第2のダイジェストを生成し、公開鍵暗号データに付加して提供データを作成し、作成した提供データを他装置へ送信する。このような技術では、位置情報の上位有効桁数分のデータをキーとしてファイルを暗号化しているものであるが、位置情報の上位有効桁数分のデータが一致しているか否かだけを判断基準としており、2つの物体の具体的な距離を算出できるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−302930号公報
【特許文献2】特開2010−262395号公報
【特許文献3】特開2003−256979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本技術の目的は、一側面としては、秘匿化されたデータを用いて時間及び空間における距離を算出できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の態様に係る情報処理方法は、(A)時刻及び位置データを取得するステップと、(B)時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、時刻及び位置データから抽出するステップと、(C)第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施するステップと、(D)ユーザの識別子と、所定の秘匿化処理がなされた第1のデータと、第2のデータとを含むデータブロックを、データブロックを蓄積するコンピュータに送信するステップとを含む。
【0007】
本技術の第2の態様に係る情報処理方法は、(E)ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出すステップと、(F)読み出したデータブロックに含まれる第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、データ格納部から抽出するステップと、(G)抽出した他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出したデータブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
秘匿化されたデータを用いて時間及び空間における距離を算出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態を説明するための図である。
【図2】図2は、実施の形態を説明するための図である。
【図3】図3は、実施の形態を説明するための図である。
【図4】図4は、実施の形態に係るシステム構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、通信端末の機能ブロック図である。
【図6】図6は、データ収集サーバの機能ブロック図である。
【図7】図7は、通信端末の処理フローを示す図である。
【図8】図8は、端の範囲について説明するための図である。
【図9】図9は、補助データ生成処理の処理フローを示す図である。
【図10】図10は、隣接キューブリストの一例を示す図である、
【図11】図11は、DBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図12】図12は、データ収集サーバの処理フローを示す図である。
【図13】図13は、データマッチング処理の処理フローを示す図である。
【図14】図14は、データ収集サーバのデータ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図15】図15は、距離算出処理の処理フローを示す図である。
【図16】図16は、距離算出処理を説明するための図である。
【図17】図17は、距離算出処理を説明するための図である。
【図18】図18は、距離算出処理の処理フローを示す図である。
【図19】図19は、距離算出処理を説明するための図である。
【図20】図20は、他のシステム構成例を示す図である。
【図21】図21は、コンピュータの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態では、例えば交通機関の乗り物にGPS(Global Positioning System)を含む通信端末を搭載して、秘匿化された時刻及び位置データをデータ収集サーバに送信すると共に、ユーザも携帯電話機等から、秘匿化された時刻及び位置データをデータ収集サーバに送信しておく。そして、例えばユーザがどこかに忘れ物をしてしまった場合など、ユーザ及び乗り物の秘匿化された時刻及び位置データを秘匿化したままで突き合わせを行って、ユーザが乗車していた乗り物を特定することで、当該乗り物の交通機関などに忘れ物について問い合わせを行うことができるようにする。
【0011】
このため、図1に模式的に示すように、2次元空間(3次元空間の場合であっても良い)XYと時間Tとをそれぞれ所定の単位で分割することで、複数のキューブ(時空間ブロックとも呼ぶ)を定義する。例えば、緯度及び経度については、1分を単位として分割して、時間については例えば1時間を単位として分割する。例えば、(時刻,緯度,経度)=(2011/06/10/10:59,37.5049,140.0000)だとすると、この(時刻,緯度,経度)を包含するキューブは、(2011/06/10/10,37.50,140.00)で識別される。そこで、この値をキューブIDと呼ぶことにする。本実施の形態では、このキューブIDを、ユーザ及び乗り物で共有している鍵を用いて秘匿化してデータ収集サーバに登録する。
【0012】
しかしながら、これだけではユーザと乗り物とのデータの突き合わせは正確には行えないので、本実施の形態では、キューブ内における相対的な時刻及び位置のデータを生成して、平文でデータ収集サーバに登録する。上で述べた例では、時刻が59秒、緯度が49秒、経度が00秒で、(59,49,00)という相対データが生成される。
【0013】
これによって、ユーザのキューブIDと乗り物のキューブIDとが一致する場合には、秘匿化したキューブID同士も一致する。従って、図2に示すように、ユーザについて測定された時刻及び位置を表す点aと乗り物について測定された時刻及び位置を表す点bが同一のキューブ内に存在していたことがある場合には、相対データを用いて点aと点bとの距離L1を算出することができる。距離の定義については以下で詳細に述べる。
【0014】
しかしながら、点aの相対データが(59,49,00)の場合、図2からも分かるように、点aはキューブの境界面に載っている。このような場合には、同一のキューブだけではなく、隣接するキューブ内にも距離の短い点が存在する場合もある。図3のように、点aがキューブP内にある場合でも、キューブP内にある点bだけではなく、キューブQ内の点dとの距離L3、キューブR内の点eとの距離L4、キューブS内の点cとの距離L2のいずれかが、点bとの距離L1より短い可能性がある。
【0015】
そこで、本実施の形態では、キューブの境界から所定範囲内にある点の時刻及び位置データが得られた場合には、当該キューブに隣接する他のキューブのキューブIDをも取得して、当該キューブを基準とした、他のキューブの相対位置を表すデータ(以下、隣接相対コードと呼ぶ)と秘匿化された他のキューブのキューブIDとを補助データとして生成し、データ収集サーバに登録する。
【0016】
キューブPのキューブIDが、(2011/06/10/10,37.50,140.00)である場合には、キューブQのキューブIDは(2011/06/10/11,37.50,140.00)であり、キューブPを基準としたキューブQの隣接相対コードは(1,0,0)である。また、キューブSのキューブIDは(2011/06/10/10,37.50,139.99)であり、隣接相対コードは(0,0,−1)である。さらに、キューブRのキューブIDは(2011/06/10/11,37.50,139.99)であり、隣接相対コードは(1,0,−1)である。隣接するキューブのキューブIDも、秘匿化される。
【0017】
このようにすれば、乗り物が点eに存在しており、ユーザが点aに存在している場合には、補助データに含まれるキューブRの秘匿化されたキューブIDと、乗り物についての秘匿化されたキューブIDとが一致するので、以下で述べる方法にて距離が算出される。
【0018】
次に、このような処理を実施するためのシステム構成について図4を用いて説明する。例えばインターネット及び携帯電話通信網であるネットワーク1には、データ収集サーバ5と、ユーザが問い合わせなどを行うパーソナルコンピュータであるユーザ端末7とが接続されている。さらに、ネットワーク1には、無線基地局などを介して無線で、携帯電話機などの通信端末3aや、乗り物(例えばタクシーやバス、電車など)の車載通信端末3bが接続される。通信端末3aや車載通信端末3bの数に制限はない。
【0019】
図5に、通信端末3aや車載通信端末3bなどの通信端末3の機能ブロック図を示す。通信端末3は、GPS受信機31と、第1データ格納部32と、処理部33と、第2データ格納部34と、送信部35とを有する。GPS受信機31は、GPS衛星からの電波に基づき時刻及び緯度経度などのデータを例えば定期的に出力するものである。GPS受信機31は、よく知られたものであるから、これ以上説明しない。第1データ格納部32は、時刻及び位置データ(緯度経度のデータ)及び処理途中のデータを格納する。第2データ格納部34は、例えばユーザのユーザID又は乗り物のユーザIDと、秘匿化処理で用いる秘密鍵Kと、時間及び空間の分割単位と、時空間ブロックにおける端の定義データとを格納する。
【0020】
また、処理部33は、第1データ格納部32に格納されている時刻及び位置データを読み出して処理を行うものであり、抽出部331と、秘匿化処理部332とを有する。抽出部331は、第1データ格納部32に格納されている時刻及び位置データからキューブID及び相対データを抽出すると共に、補助データのためのキューブID及び隣接相対コードを抽出する。秘匿化処理部332は、秘密鍵Kを用いて所定のハッシュ関数で、キューブIDに対する秘匿化処理を実施する。処理部33は、第2データ格納部34に格納されているユーザIDと、秘匿化されたキューブID及び相対データと、相対データに応じて生成される補助データとを含むデータブロックを、送信部35に出力する。送信部35は、データ収集サーバ5宛に、処理部33から出力されるデータブロックを送信する。
【0021】
また、図6に、データ収集サーバ5の機能ブロック図を示す。データ収集サーバ5は、データ登録部52と、DB51と、受信部53と、処理部54と、送信部56と、データ格納部55とを有する。データ登録部52は、通信端末3aや車載通信端末3bなどの通信端末3からデータブロックを受信すると、例えば受信時刻と共にDB51に格納する。受信部53は、例えばユーザ端末7などからユーザIDを含む突き合わせ条件を含む要求を受信して、処理部54に出力する。突き合わせ条件をユーザに指定させる場合には、DB51に格納されているデータを参照してユーザ端末7に選択肢を提示する場合もある。処理部54は、突き合わせ条件に合致する、ユーザのデータブロックを抽出すると共に、他のユーザ(乗り物など)のデータブロックと突き合わせ処理を実施して距離が閾値未満のデータブロック及びユーザIDを特定する。データ格納部55が、処理途中のデータを格納する。送信部56は、処理結果を要求元のユーザ端末7などに送信する。
【0022】
そして、図7乃至図11を用いて、通信端末3の処理内容について説明する。処理部33の抽出部331は、第1データ格納部32に格納されている新たな時刻及び位置データを読み出す(図7:ステップS1)。そして、抽出部331は、読み出した時刻及び位置データから、時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含するキューブのキューブID及び相対データを抽出する(ステップS3)。上で述べたように、例えば時間の分割単位が1時間であれば、年月日及び時のデータを抽出し、緯度経度については分割単位が分であれば、度及び分のデータを抽出して、キューブIDを生成する。上で述べたように、(時刻,緯度,経度)=(2011/06/10/10:59,37.5049,140.0000)だとすると、この(時刻,緯度,経度)を包含するキューブのキューブIDは、(2011/06/10/10,37.50,140.00)である。また、時刻については秒以下のデータを抽出し、緯度経度についても秒以下のデータを抽出して、相対データを生成する。このようにして抽出されたデータについては、例えば第1データ格納部32に格納される。
【0023】
秘匿化処理部332は、抽出されたキューブIDを、第2データ格納部34に格納されている秘密鍵Kで秘匿化して、秘匿化されたキューブIDを例えば第1データ格納部32に格納する(ステップS5)。例えば、予め定められたハッシュ関数に、キューブID及び秘密鍵Kを入力して、ハッシュ値を得る。
【0024】
また、抽出部331は、空の補助データを生成する(ステップS7)。そして、抽出部331は、時刻及び位置データで特定される時刻及び位置が、第2データ格納部34に格納されているキューブにおける端の定義データから特定される端に入っているか判断する(ステップS9)。例えば、時刻については下側の範囲0分以上10分以下と、上側の範囲50分以上60分未満とが端として定義されているものとする。また、緯度経度については、下側の範囲00秒以上10秒以下と上側の範囲90秒以上100秒未満と定義されているものとする。図8(正面図、上面図及び側面図にて表現)に模式的に示すように、キューブの境界面から端の定義に従って内側に設定される端の範囲(ハッチング付き)に、時刻及び位置で表される点が含まれるか判断する。
【0025】
時刻及び位置の少なくともいずれかがキューブの端に入っている場合には、抽出部331及び秘匿化処理部332は、補助データ生成処理を実施する(ステップS11)。補助データ生成処理については、図9乃至図11を用いて説明する。その後、処理はステップS13に移行する。一方、時刻及び位置のいずれもがキューブの端の範囲に入っていない場合にも、処理はステップS13に移行する。
【0026】
その後、処理部33は、第2データ格納部34に格納されているユーザID、秘匿化されたキューブID、相対データ及び補助データを含むデータブロックを、送信部35に出力する。そうすると、送信部35は、処理部33からのデータブロックを、データ収集サーバ5宛に送信する(ステップS13)。
【0027】
このような処理を実施することで、以下で述べる突き合わせによって時間及び空間についての距離が短い他のデータブロック及びそのデータブロックの送信元のユーザIDを特定できるようになる。
【0028】
次に、補助データ生成処理について図9乃至図11を用いて説明する。抽出部331は、相対データから端点コードを端の定義データに基づき生成し、第1データ格納部32等に格納する(ステップS21)。具体的には、端の定義データには、上側の範囲と下側の範囲が含まれているので、相対データに含まれる値が上側の範囲に含まれる場合には「1」を設定し、下側の範囲に含まれる場合には「−1」を設定し、それ以外の場合には「0」を設定する。上で述べた例では(時刻,緯度,経度)=(59,49,00)であるから、時刻については上側の端の範囲に入っており、緯度については端の範囲に入っておらず、経度については下側の端の範囲に入っている。すなわち、(1,0,−1)という端点コードを生成する。
【0029】
そして、抽出部331は、端点コードから隣接キューブリストを生成し、例えば第1データ格納部32に格納する(ステップS23)。端点コードにおける「1」又は「−1」と「0」との全ての組み合わせを生成することで隣接相対キューブIDを生成し、対応するキューブIDを特定することで、隣接キューブリストを生成する。(1,0,−1)の場合には、図10のような隣接キューブリストが生成される。図10の例では、隣接相対キューブIDと、隣接キューブIDとを対応付けて格納するようになっている。そして、隣接相対キューブIDは、上で述べた例では(0,0,−1)、(1,0,0)、(1,0,−1)である。これは図3について説明したキューブQ、キューブR及びキューブSに対応する。一般的に隣接相対キューブIDは8個まで特定される可能性がある。
【0030】
そして、隣接相対キューブIDに応じてキューブIDの値を算出する。すなわち、(0,0,−1)であれば、経度については1分減算した値に変更し、(1,0,0)であれば、時刻を1時間加算した値に変更し、(1,0,−1)であれば、時刻を1時間加算した値に変更し且つ経度を1分減算した値に変更する。
【0031】
そして、秘匿化処理部332は、隣接キューブリストにおいて未処理の行を1つ特定する(ステップS25)。その後、秘匿化処理部332は、特定された行における隣接キューブIDを秘密鍵Kで秘匿化し、秘匿化された隣接キューブIDを例えば第1データ格納部32に格納する(ステップS27)。例えば、予め定められたハッシュ関数に、隣接キューブID及び秘密鍵Kを入力して、ハッシュ値を得る。そして、秘匿化処理部332は、秘匿化された隣接キューブIDと隣接相対キューブIDとを、補助データに追加する(ステップS29)。
【0032】
その後、秘匿化処理部332は、隣接キューブリストにおいて未処理の行が存在するか判断する(ステップS31)。未処理の行が存在する場合にはステップS25に戻る。一方、未処理の行がない場合には呼び出し元の処理に戻る。
【0033】
このような処理を実施することで、上で述べた例では、ユーザIDと、秘匿化されたキューブID(秘匿化(2011/06/10/10,37.50,140.00))と、相対データ(59,49,00)と、隣接相対キューブID(0,0,−1)と秘匿化された隣接キューブID(秘匿化(2011/06/10/10,37.50,139.99))の組み合わせと、隣接相対キューブID(1,0,0)と秘匿化された隣接キューブID(秘匿化(2011/06/10/11,37.50,140.00))の組み合わせと、隣接相対キューブID(1,0,−1)と秘匿化された隣接キューブID(秘匿化(2011/06/10/11,37.50,139.99))の組み合わせとが、データ収集サーバ5に送信されることになる。なお、相対データが全て端の範囲に含まれない場合には補助データは空となる。
【0034】
データ収集サーバ5のデータ登録部52は、このようなデータを受信すると、DB51に登録する。DB51には、例えば図11に示すようなデータが格納される。図11の例では、受信時刻と、ユーザIDと、秘匿化されたキューブIDと、相対データと、隣接相対キューブIDと秘匿化された隣接キューブIDとの組み合わせとが登録されるようになっている。なお、DB51においては、ユーザのデータブロックと乗り物のデータブロックとを分けて格納するようにしても良い。
【0035】
次に、図12乃至図19を用いてデータ収集サーバ5の処理について説明する。データ収集サーバ5の受信部53は、例えばユーザ端末7からユーザID等を含む突き合わせ条件を含む要求を受信する(図12:ステップS41)。例えば、ユーザが乗り物に忘れ物をした場合には、ユーザIDと乗車日などの突き合わせ条件が、ユーザ端末7などから送信される。なお、ユーザが、以下で用いる出現回数についての閾値sや距離についての閾値tを指定するようにしても良い。そして、受信した要求についてのデータを、受信部53は、処理部54に出力する。
【0036】
処理部54は、乗り物を特定するためのユーザIDを登録するIDリストを空に設定する(ステップS43)。さらに、処理部54は、DB51から、突き合わせ条件を満たすデータブロックを、比較元データブロックとして抽出してデータ格納部55に格納する(ステップS45)。例えば、突き合わせ条件に含まれるユーザID及び乗車日を用いて、突き合わせ条件に含まれるユーザIDと一致するユーザIDを含み、受信日時が乗車日に含まれるデータブロックを、読み出してデータ格納部55に格納する。
【0037】
その後、処理部54は、未処理の比較元データブロックを1つ特定する(ステップS49)。そして、処理部54は、データマッチング処理を実施する(ステップS51)。データマッチング処理については、図13乃至図19を用いて説明する。
【0038】
まず、処理部54は、隣接データブロック集合を空に設定する(図13:ステップS61)。また、処理部54は、ユーザIDが突き合わせ条件に含まれるユーザID以外であるデータブロック(より具体的には、ユーザIDが乗り物のユーザIDであるデータブロック)のうち、特定された比較元データブロックに含まれ且つ秘匿化されたキューブID又は補助データに含まれ且つ秘匿化された隣接キューブIDと一致するデータブロック及びそのユーザIDを読み出す(ステップS63)。具体的には、比較元データブロックに含まれ且つ秘匿化されたキューブIDに一致するキューブIDを含む他のデータブロックと、補助データに含まれ且つ秘匿化された隣接キューブIDに一致するキューブIDを含む他のデータブロックとを抽出する。図11の1行目のデータを処理する場合には、秘匿化された1つのキューブIDと、秘匿化された3つの隣接キューブIDとのいずれかに一致するキューブIDを含むデータブロックをDB51から抽出する。なお、比較元データブロックに含まれ且つ秘匿化されたキューブIDと、このキューブIDに一致するキューブIDを含む抽出データブロックとを対応付けてデータ格納部55に格納し、補助データに含まれ且つ秘匿化された隣接キューブIDと、この隣接キューブIDに一致するキューブIDを含む抽出データブロックとを対応付けてデータ格納部55に格納する。補助データがない場合には隣接キューブIDについての抽出データブロックは存在しない。
【0039】
例えば図14のようなデータがデータ格納部55に格納される。図14の例では、比較元データブロックについてのキューブID又は隣接キューブIDと、相対キューブIDと、抽出データブロックのユーザIDと、抽出データブロックとが登録されるようになっている。なお、相対キューブIDは、比較元データブロックについてのキューブIDであれば(0,0,0)であり、隣接キューブIDであれば隣接相対キューブIDそのものである。この相対キューブIDについてもこのステップで特定するものとする。また、以下の処理では相対データが用いられるので、抽出データブロックについての相対データを図示している。
【0040】
そして、処理部54は、ステップS63で抽出されたデータブロックのうち、未処理の抽出データブロックを1つ特定する(ステップS67)。そして、処理部54は、距離算出処理を実施する(ステップS69)。距離算出処理については、図15乃至図19を用いて説明する。
【0041】
処理部54は、特定された比較元データブロックについての相対キューブIDを特定する(図15:ステップS81)。図14の例では、相対キューブIDの列の値を読み出す。そして、処理部54は、カウンタiを1に初期化する(ステップS83)。その後、処理部54は、特定された相対キューブIDのi番目の値が0であるか否かを判断する(ステップS85)。「0」であるということは、同じキューブ内に比較元データブロックについての点と抽出データブロックについての点とが含まれるということである。
【0042】
特定された相対キューブIDのi番目の値が0である場合には、処理部54は、特定された比較元データブロックの相対データにおけるi番目の値Pと、抽出データブロックの相対データにおけるi番目の値Qから、Δi=|P−Q|を算出する(ステップS87)。上でも述べたように、相対キューブIDのi番目の値が0であるということは、同一キューブ内での比較になるので、図16に示すように、0からRi(キューブのi番目の要素のサイズを表し、R1であればキューブの単位時間(例えば1時間)、R2であればキューブの緯度についての単位長(例えば1分)、R3であればキューブの経度についての単位長(例えば1分))までにおけるPとQとの差によってΔiが算出される。処理は端子Bを介して図18の処理に移行する。
【0043】
一方、特定された相対キューブIDのi番目の値が0でない場合には、処理部54は、特定された相対キューブIDのi番目の値が1であるか否かを判断する(ステップS89)。特定された相対キューブIDのi番目の値が1である場合には、処理部54は、特定された比較元データブロックの相対データにおけるi番目の値Pと、抽出データブロックの相対データにおけるi番目の値Qと、キューブのi番目の要素のサイズRiとから、Δi=|Q+Ri−P|を算出する(ステップS91)。この場合には、抽出データブロックについての点は、比較元データブロックについての点のキューブより+方向に隣接するキューブ内に存在することになる。従って、図17に示すように、0からRiまでの間に比較元データブロックについての点(P)は含まれるが、抽出データブロックについての点(Q)は、Riから2Riまでの間に存在するので、上で述べたような演算を実施する。処理は、端子Bを介して図18の処理に移行する。
【0044】
一方、特定された相対キューブIDのi番目の値が1ではない場合−1であるので、端子Aを介して図18の処理に移行する。
【0045】
図18の処理の説明に移行して、処理部54は、特定された比較元データブロックの相対データにおけるi番目の値Pと、抽出データブロックの相対データにおけるi番目の値Qと、キューブのi番目の要素のサイズRiとから、Δi=|P+Ri−Q|を算出する(ステップS93)。
【0046】
この場合には、抽出データブロックについての点は、比較元データブロックについての点のキューブよりマイナス方向に隣接するキューブ内に存在することになる。従って、図19に示すように、0からRiまでの間に比較元データブロックについての点(P)は含まれるが、抽出データブロックについての点(Q)は、0から−Riまでの間に存在するので、上で述べたような演算を実施する。
【0047】
ステップS93の後又は端子Bを介して遷移してきた場合、処理部54は、iが3以上となったか判断する(ステップS95)。iが3未満であれば、処理部54は、iを1インクリメントし(ステップS97)、処理は端子Cを介して図15のステップS85に移行する。一方、iが3以上であれば、処理部54は、距離Δを、これまでに算出されたΔ1、Δ2及びΔ3から算出する(ステップS99)。
【0048】
具体的には、以下の式で算出される。
【数1】

Δiをキューブのサイズで除して正規化するのは、要素によってサイズが異なるためである。
【0049】
以上のような処理を実施すれば、相対キューブIDでキューブの位置関係を反映させて正しく距離を算出できるようになる。
【0050】
図13の処理の説明に戻って、処理部54は、距離Δは閾値tより短いか判断する(ステップS71)。閾値tについては、予め設定されている場合もあればユーザが指定する場合もある。そして、距離Δが閾値tより短い場合には、処理部54は、抽出データブロック及びユーザIDを、隣接データブロック集合に追加する(ステップS73)。そして処理はステップS75に移行する。一方、距離Δは閾値tより短くない場合にも処理はステップS75に移行する。
【0051】
その後、処理部54は、未処理の抽出データブロックが存在するか判断する(ステップS75)。未処理の抽出データブロックが存在する場合には、ステップS67に戻る。一方、未処理の抽出データブロックが存在しない場合には呼び出し元の処理に戻る。
【0052】
このようにすると、1つの比較元データブロックについて、距離Δが閾値t未満となる抽出データブロックが特定される場合がある。すなわち、0個の抽出データブロックが特定される場合もあれば、複数の抽出データブロックが特定される場合もある。
【0053】
図12の処理に戻って、処理部54は、隣接データブロック集合に含まれるユーザIDを、IDリストに登録する(ステップS53)。IDリストには、1度に複数のユーザIDが登録される場合もあれば、何も登録されない場合もある。そして、処理部54は、未処理の比較元データブロックが存在するか判断する(ステップS55)。未処理の比較元データブロックが存在する場合にはステップS49に戻る。未処理の比較元データブロックが存在しない場合には、処理部54は、IDリストから閾値s以上の回数出現するユーザIDを抽出する。そして、処理部54は、抽出したユーザIDを、送信部56に出力する。送信部56は、要求元のユーザ端末7に、抽出したユーザIDを送信する(ステップS57)。なお、ユーザIDではなく、ユーザIDから抽出されるユーザのデータ(例えば交通機関名及び連絡先など)を、データ格納部55などに用意しておき、それらを抽出してユーザ端末7に送信するようにしても良い。また、閾値sについてはユーザが指定するようにしても良いし、システムに予め設定されている場合もある。閾値s未満の回数だけ、距離が閾値t未満の場合があっても、それはたまたま近くを通過した場合がとらえられただけであると判断される。
【0054】
以上のような処理を実施すれば、忘れ物が載っている可能性のある乗り物等を特定することができるようになる。但し、時刻及び位置のデータについては、相対データ以外は秘匿化されたままであるから、ユーザのプライバシは保護されている。
【0055】
また、距離の定義については、各要素について正規化する方が好ましいが、それ以外の部分については他の定義を用いるようにしても良い。
【0056】
以上本技術の実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば、データ収集サーバ5が上で述べた処理を全て実施するのではなく、複数台のコンピュータにより分担するようにしても良い。例えば図20に示すように、例えばフロントエンドのサーバとして、例えば携帯電話会社が運営する第1サーバ11を用意して、ユーザの携帯電話番号その他のIDを、上で使用したユーザIDに例えば変換表で変換してデータ収集サーバ5に要求を送信する。そして、データ収集サーバ5で乗り物についてのユーザIDが特定されると、当該ユーザIDと交通機関の対応表で交通機関を特定して、当該交通機関が運営している第2サーバ13に、ユーザIDを送信する。第2サーバ13は、ユーザIDを受信すると、当該ユーザIDから乗り物IDを例えば変換表で特定して、交通機関のデータと乗り物IDとを、データ収集サーバ5に出力する。データ収集サーバ5は、受信したデータを第1サーバ11に戻し、第1サーバ11は、ユーザ端末7に交通機関のデータと乗り物IDとを送信する。第2サーバ13を設けずに第1サーバで第2サーバ13の機能をも果たすようにしても良い。その他、機能分担は任意である。
【0057】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、必ずしも実際のハードウエア構成又はプログラムモジュール構成と一致しない場合もある。処理フローについても、処理結果が変わらない限り、処理順番を入れ替えたり、並列実行するようにしても良い。
【0058】
さらに、忘れ物を探すような用途だけではなく、例えばある日に一緒にいたユーザ(情報公開を許可しているユーザ)を後から確認するといったような用途にも使用できる。
【0059】
なお、上で述べたデータ収集サーバ5及びユーザ端末7は、コンピュータ装置であって、図21に示すように、メモリ2501とCPU(Central Processing Unit)2503とハードディスク・ドライブ(HDD:Hard Disk Drive)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施例における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。CPU2503は、アプリケーション・プログラムの処理内容に応じて表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、所定の動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、主としてメモリ2501に格納されるが、HDD2505に格納されるようにしてもよい。本技術の実施例では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはコンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及びアプリケーション・プログラムなどのプログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【0060】
以上述べた本実施の形態をまとめると、以下のようになる。
【0061】
本実施の形態の第1の態様に係る情報処理方法は、(A)時刻及び位置データを取得するステップと、(B)時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータを、時刻及び位置データから抽出するステップと、(C)第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施するステップと、(D)ユーザの識別子と、所定の秘匿化処理がなされた第1のデータと、第2のデータとを含むデータブロックを、データブロックを蓄積するコンピュータに送信するステップとを含む。
【0062】
このようなデータをコンピュータに蓄積すれば、秘匿性を保持しつつ、2つのデータブロックについてのユーザが、ほぼ同時期にほぼ同じ場所に存在していたか否かを正確に判断できるようになる。
【0063】
また、本実施の形態の第1の態様に係る情報処理方法は、(E)第2のデータにより特定される、時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、第2のデータにより特定される相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、第1のデータにより特定される時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせを生成するステップをさらに含むようにしても良い。この場合、上で述べたデータブロックが、第3のデータと第4のデータとの組み合わせをさらに含む。このようにすれば、同じ時空間ブロックではなく隣接する時空間ブロックに存在していたユーザについても、時空間における同期の有無を判断できるようになる。
【0064】
また、本実施の形態の第2の態様に係る情報処理方法は、(A)ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出すステップと、(B)読み出したデータブロックに含まれる第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、データ格納部から抽出するステップと、(C)抽出した他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出したデータブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出するステップとを含む。このようにすれば、秘匿性を保持しつつ、同一の時空間ブロックに存在していたユーザ間の、時空間における距離を適切に算出できるようになる。
【0065】
また、本実施の形態の第2の態様に係る情報処理方法においては、第2のデータにより特定される、時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、上で述べたデータブロックが、第2のデータにより特定される相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、第1のデータにより特定される時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせをさらに含むようにしても良い。このような場合、上記情報処理方法は、(D)読み出したデータブロックに含まれる第3のデータと一致する第1のデータを含む、さらに他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出するステップと、(E)抽出した上記さらに他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出したデータブロックに含まれる第2のデータとから、読み出したデータブロックに含まれ且つ上記さらに他のデータブロックに含まれる第1のデータと一致する第3のデータと組み合わせられた第4のデータに従って、時間及び空間についての距離を算出するステップとをさらに含むようにしても良い。このようにすれば隣接する時空間ブロックに存在していたユーザについても、時空間における距離を適切に算出できるようになる。
【0066】
さらに、本実施の形態の第2の態様に係る情報処理方法は、(F)算出した距離が閾値未満である場合に、抽出した他のデータブロック又は上記さらに他のデータブロックに対応付けられてデータ格納部に格納されているユーザの識別子を特定するステップと、(G)読み出したデータブロックが複数の場合、読み出したデータブロックの各々について特定されたユーザの識別子のうち所定回数出現するユーザの識別子を特定するステップとをさらに含むようにしても良い。これによって、同じように移動していると思われる他のユーザを特定できる。ユーザが乗り物である場合もある。
【0067】
なお、上で述べたような処理をコンピュータに実施させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えばROM)、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。
【0068】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0069】
(付記1)
時刻及び位置データを取得する処理と、
時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、前記時刻及び位置データから抽出する処理と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する処理と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する処理と、
を含み、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【0070】
(付記2)
前記第2のデータにより特定される、前記時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、前記第2のデータにより特定される前記相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、前記第1のデータにより特定される前記時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせを生成する処理
をさらに含み、
前記データブロックが、前記第3のデータと前記第4のデータとの組み合わせをさらに含む
付記1記載の情報処理方法。
【0071】
(付記3)
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出す処理と、
読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
を含み、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【0072】
(付記4)
前記第2のデータにより特定される、前記時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、前記データブロックが、前記第2のデータにより特定される前記相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、前記第1のデータにより特定される前記時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせをさらに含み、
読み出した前記データブロックに含まれる第3のデータと一致する第1のデータを含む、さらに他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記さらに他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、読み出した前記データブロックに含まれ且つ前記さらに他のデータブロックに含まれる第1のデータと一致する第3のデータと組み合わせられた第4のデータに従って、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
をさらに含む付記3記載の情報処理方法。
【0073】
(付記5)
算出した前記距離が閾値未満である場合に、抽出した前記他のデータブロック又は前記さらに他のデータブロックに対応付けられて前記データ格納部に格納されているユーザの識別子を特定する処理と、
読み出した前記データブロックが複数の場合、読み出した前記データブロックの各々について特定されたユーザの識別子のうち所定回数出現するユーザの識別子を特定する処理と、
をさらに含む付記3又は4記載の情報処理方法。
【0074】
(付記6)
時刻及び位置データを取得する処理と、
時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータを、前記時刻及び位置データから抽出する処理と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する処理と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する処理と、
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0075】
(付記7)
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出す処理と、
読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0076】
(付記8)
時刻及び位置データを取得して、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、前記時刻及び位置データから抽出する抽出部と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する秘匿化処理部と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する送信部と、
を有する通信端末。
【0077】
(付記9)
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部と、
前記データ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出し、読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出し、抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理部と、
を有する情報処理装置。
【符号の説明】
【0078】
1 ネットワーク
3 通信端末
5 データ収集サーバ
7 ユーザ端末
31 GPS受信機
32 第1データ格納部
33 処理部
34 第2データ格納部
35 送信部
331 抽出部
332 秘匿化処理部
51 DB
52 データ登録部
53 受信部
54 処理部
55 データ格納部
56 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻及び位置データを取得する処理と、
時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、前記時刻及び位置データから抽出する処理と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する処理と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する処理と、
を含み、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項2】
前記第2のデータにより特定される、前記時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、前記第2のデータにより特定される前記相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、前記第1のデータにより特定される前記時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせを生成する処理
をさらに含み、
前記データブロックが、前記第3のデータと前記第4のデータとの組み合わせをさらに含む
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出す処理と、
読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
を含み、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項4】
前記第2のデータにより特定される、前記時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置が、当該時空間ブロックの境界から予め定められた範囲に入っている場合には、前記データブロックが、前記第2のデータにより特定される前記相対的な時刻及び位置が隣接する境界に接する他の時空間ブロックを特定するための第3のデータと、前記第1のデータにより特定される前記時空間ブロックに対する当該他の時空間ブロックの相対位置を表す第4のデータとの組み合わせをさらに含み、
読み出した前記データブロックに含まれる第3のデータと一致する第1のデータを含む、さらに他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記さらに他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、読み出した前記データブロックに含まれ且つ前記さらに他のデータブロックに含まれる第1のデータと一致する第3のデータと組み合わせられた第4のデータに従って、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
をさらに含む請求項3記載の情報処理方法。
【請求項5】
算出した前記距離が閾値未満である場合に、抽出した前記他のデータブロック又は前記さらに他のデータブロックに対応付けられて前記データ格納部に格納されているユーザの識別子を特定する処理と、
読み出した前記データブロックが複数の場合、読み出した前記データブロックの各々について特定されたユーザの識別子のうち所定回数出現するユーザの識別子を特定する処理と、
をさらに含む請求項3又は4記載の情報処理方法。
【請求項6】
時刻及び位置データを取得する処理と、
時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、前記時刻及び位置データから抽出する処理と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する処理と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する処理と、
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出す処理と、
読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出する処理と、
抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理と、
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
時刻及び位置データを取得して、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、前記時刻及び位置データで特定される時刻及び位置を包含する時空間ブロックを特定するための第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを、前記時刻及び位置データから抽出する抽出部と、
前記第1のデータに対して所定の秘匿化処理を実施する秘匿化処理部と、
ユーザの識別子と、前記所定の秘匿化処理がなされた前記第1のデータと、前記第2のデータとを含むデータブロックを、前記データブロックを蓄積するコンピュータに送信する送信部と、
を有する通信端末。
【請求項9】
ユーザの識別子に対応付けて、時間及び空間を所定の単位で分割することで得られる複数の時空間ブロックのうち、測定時刻及び測定位置を包含する時空間ブロックを特定するための秘匿化された第1のデータと、当該時空間ブロック内部の相対的な時刻及び位置を特定するための第2のデータとを含むデータブロックが格納されているデータ格納部と、
前記データ格納部から、特定のユーザの識別子に対応付けられているデータブロックを読み出し、読み出した前記データブロックに含まれる前記第1のデータと一致する第1のデータを含む他のデータブロックを、前記データ格納部から抽出し、抽出した前記他のデータブロックに含まれる第2のデータと、読み出した前記データブロックに含まれる第2のデータとから、時間及び空間についての距離を算出する処理部と、
を有する情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−85165(P2013−85165A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224673(P2011−224673)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】