説明

情報処理端末

【課題】厚さの増大を招くことなく防水を図ることが出来る情報処理端末を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理端末は、前面キャビネット2の開口からタッチ操作面40が露出するタッチパネルユニット4と、画像表示面60を有するディスプレイ6とを具え、タッチパネルユニット4は、前面フィルム41と背面プレート42の積層構造を有している。前面フィルム41は、背面プレート42の外周縁から外側へ突出するフランジ部43を有している。前面キャビネット2には、タッチパネルユニット4のフランジ部43が設置されるべき凹部20が形成され、該凹部20の底面とタッチパネルユニット4のフランジ部43との間には、キャビネット2の開口を包囲する両面粘着層5が介在している。両面粘着層5は、補強シート51と、補強シート51の両面に配備された両面粘着シート52、52とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作面と画像表示面が重ねて設けられて情報入力と情報出力が可能な情報処理端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の情報処理端末においては、例えば図6に示す如く、前面キャビネット(8)の開口からタッチパネルユニット(82)のタッチ操作面(82a)が露出すると共に、タッチ操作面(82a)と重なる位置に液晶ディスプレイ(85)の画像表示面(85a)が配置されており、タッチ操作面(82a)によって情報の入力が可能であると共に、画像表示面(85a)によって情報の出力(表示)が可能となっている。
【0003】
例えば抵抗膜方式のタッチパネルユニット(82)は、PET製の前面フィルム(83)と例えばポリカーボネート製の背面プレート(84)の積層構造を有し、前面フィルム(83)と背面プレート(84)の間にはドットスペーサ(図示省略)が介在しており、前面フィルム(83)の表面を押圧すると、前面フィルム(83)が弾性変形して、前面フィルム(83)の背面に形成されている導電膜が、背面プレート(84)の表面に形成されている導電膜に接触して、接点が閉じられる。
抵抗膜方式のタッチパネルユニット(82)においては、導電膜に流れる電流の大きさに基づいてタッチ位置が検出される。
【0004】
タッチパネルユニット(82)は、前面キャビネット(8)の開口縁に形成された凹部(80)に、両面粘着シート(81)を介して接着され、前面キャビネット(8)の背面とディスプレイホルダー(86)に保持された液晶ディスプレイ(85)の表面との間には、防塵シート(87)が介在している。
【0005】
図6に示す情報処理端末においては、防塵シート(87)によって防塵が図られているが、タッチパネルユニット(82)に対する防水は図られていない。
そこで、防塵のみならず防水をも図ることが出来る情報処理端末が種々提案されている(例えば特許文献1)。
【0006】
例えば図7に示す情報処理端末において、タッチパネルユニット(93)は、背面プレート(95)よりも輪郭の大きな前面フィルム(94)を有し、前面キャビネット(9)の開口縁に形成された凹部(90)に、タッチパネルユニット(93)の前面フィルム(94)の外周部が設置され、前面フィルム(94)の外周部の表面と前面キャビネット(9)の表面に跨って、両面粘着シート(92)が設置され、該両面粘着シート(92)を覆って化粧パネル(91)が設置されている。
そして、前面キャビネット(9)の背面とディスプレイホルダー(97)に保持された液晶ディスプレイ(96)との間には、防塵シート(98)が介在している。
【0007】
図7に示す情報処理端末においては、防塵シート(98)によって防塵が図られると共に、両面粘着シート(92)によってタッチパネルユニット(93)に対する防水が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−76172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7に示す情報処理端末においては、防水のための両面粘着シート(92)を外観から隠すために、両面粘着シート(92)を覆って化粧パネル(91)が設置されているため、化粧パネル(91)の厚さ分だけ、端末の厚さT2が大きくなる問題があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、厚さの増大を招くことなくタッチパネルユニットに対する防水を図ることが出来る情報処理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る情報処理端末は、前面キャビネット(2)と、前面キャビネット(2)の開口(21)からタッチ操作面(40)が露出するタッチパネルユニット(4)と、タッチパネルユニット(4)の背面と対向する画像表示面(60)を有するディスプレイ(6)とを具え、タッチパネルユニット(4)は、前面フィルム(41)と背面プレート(42)の積層構造を有している。
【0012】
前記タッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)は、背面プレート(42)の外周縁から外側へ突出するフランジ部(43)を有し、該前面キャビネット(2)には、前記タッチパネルユニット(4)のフランジ部(43)が設置されるべき凹部(20)が形成され、該凹部(20)の底面とタッチパネルユニット(4)のフランジ部(43)との間には、前面キャビネット(2)の開口(21)を包囲するループ状の両面粘着層(5)が介在し、該両面粘着層(5)は、補強シート(51)と、該補強シート(51)の両面に配備された両面粘着シート(52)(52)とから構成され、補強シート(51)は、両面粘着シート(52)(52)の材質よりも高い剛性を有する材質から形成されている。
【0013】
ここで、タッチパネルユニット(4)は、例えば抵抗膜方式のタッチパネルによって構成されている。この場合、タッチパネルユニット(4)に対して高い防水性能が要求される。
【0014】
上記情報処理端末においては、タッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)のフランジ部(43)と前面キャビネット(2)の凹部(20)の底面との間に両面粘着層(5)が介在しているので、両面粘着層(5)によってタッチパネルユニット(4)に対する防水が図られる。
ここで両面粘着層(5)はタッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)の背面側に隠れているので、両面粘着層(5)を外観から隠すための化粧パネルは不要である。
【0015】
又、両面粘着層(5)は、2枚の両面粘着シート(52)(52)の間に補強シート(51)が介在しているので、屈曲変形に対して高い剛性を発揮する。従って、前面キャビネット(2)の凹部(20)の底面に多少のうねりが存在したとしても、そのうねりがタッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)のうねりとなって顕在化することはない。
【0016】
具体的態様において、前面キャビネット(2)の背面とディスプレイ(6)の表面との間には、画像表示面(60)を包囲するループ状の防塵シート(7)が介在している。これによって防塵が図られる。
【0017】
具体的態様において、前面キャビネット(2)の開口(21)の内側には、両面粘着層(5)と防塵シート(7)との間に接着剤(71)が充填されている。
これによって、タッチパネルユニット(4)に対して更に高い防水性能が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る情報処理端末によれば、両面粘着層(5)を外観から隠すための化粧パネルは不要であるので、厚さの増大を招くことなく両面粘着層(5)によってタッチパネルユニット(4)に対する防水を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の情報処理端末の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、該情報処理端末の要部の組立状態の斜視図である。
【図3】図3は、該情報処理端末の要部の分解状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、同上の分解状態を異なる方向から見た斜視図である。
【図5】図5は、該情報処理端末の要部を示す断面図である。
【図6】図6は、従来の情報処理端末の要部を示す断面図である。
【図7】図7は、従来の他の情報処理端末の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である情報処理端末は、図1に示す如く扁平な筐体(1)を具え、該筐体(1)は、本体キャビネット(3)の表面に前面キャビネット(2)を配備して構成されており、前面キャビネット(2)の開口(21)からは、図2の如くパネルユニット(4)のタッチ操作面(40)が露出している。
【0021】
図3及び図4に示す如く、前面キャビネット(2)の表面には、両面粘着層(5)を介して、タッチパネルユニット(4)が組み付けられ、前面キャビネット(2)の背面には、防塵シート(7)を介して、ディスプレイホルダー(61)に保持された液晶ディスプレイ(6)が組み付けられる。
【0022】
図5に示す如く、タッチパネルユニット(4)は、厚さ0.25mmのPET製の前面フィルム(41)と、ポリカーボネート製の背面プレート(42)との積層構造を有し、前面フィルム(41)と背面プレート(42)の間にはドットスペーサ(図示省略)が介在しており、前面フィルム(41)の表面を押圧すると、前面フィルム(41)が弾性変形して、前面フィルム(41)の背面に形成されている導電膜が、背面プレート(42)の表面に形成されている導電膜に接触して、接点が閉じられる。
【0023】
タッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)は、背面プレート(42)の外周縁から外側へ突出するフランジ部(43)を有している。
前面キャビネット(2)の表面には、開口(21)の開口縁に、タッチパネルユニット(4)のフランジ部(43)が設置されるべき凹部(20)が形成され、該凹部(20)の底面とタッチパネルユニット(4)のフランジ部(43)との間には、前面キャビネット(2)の開口(21)を包囲するループ状の両面粘着層(5)が介在している。
【0024】
両面粘着層(5)は、PET製の補強シート(51)と、該補強シート(51)の両面に配備された両面粘着シート(52)(52)とから構成される3層構造を有している。両面粘着シート(52)としては、従来は単層で用いられている両面粘着シートと同じものを採用することが出来る。
【0025】
前面キャビネット(2)の凹部(20)は、タッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)と両面粘着層(5)の合計厚さと一致する深さに形成されており、これによってタッチパネルユニット(4)のタッチ操作面(40)と前面キャビネット(2)の表面とが同一平面上に揃うことになる。
【0026】
前面キャビネット(2)の背面と液晶ディスプレイ(6)の表面との間には、画像表示面(60)を包囲するループ状の防塵シート(7)が介在している。
又、前面キャビネット(2)の開口(21)の内側には、両面粘着層(5)と防塵シート(7)との間に接着剤(71)が充填されている。
【0027】
上記情報処理端末においては、タッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)のフランジ部(43)と前面キャビネット(2)の凹部(20)の底面との間に両面粘着層(5)が介在して、前面キャビネット(2)にタッチパネルユニット(4)を固定しているので、両面粘着層(5)によってタッチパネルユニット(4)に対する防水が図られる。
ここで両面粘着層(5)はタッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)の背面側に隠れているので、両面粘着層(5)を外観から隠すための化粧パネルは不要である。
【0028】
又、両面粘着層(5)は、2枚の両面粘着シート(52)(52)の間に補強シート(51)が介在しているので、屈曲変形に対して高い剛性を発揮する。従って、前面キャビネット(2)の凹部(20)の底面に多少のうねりが存在したとしても、そのうねりがタッチパネルユニット(4)の前面フィルム(41)のうねりとなって顕在化することはない。
【0029】
上述の如く、図5に示す情報処理端末によれば、両面粘着層(5)を外観から隠すための化粧パネルは不要であるので、図7に示す従来の情報処理端末の厚さT2と比較して、化粧パネル(91)の厚さ分だけ端末の厚さTを小さくすることが出来る。
又、図6に示す従来の情報処理端末の厚さT1と比較しても、図5に示す情報処理端末では、前面キャビネット(2)がタッチパネルユニット(4)の厚さと同じ厚さに形成されているので、前面キャビネット(2)の薄型化によって、端末の厚さTを小さくすることが出来る。
【0030】
従って、厚さの増大を招くことなく両面粘着層(5)によってタッチパネルユニット(4)に対する防水を図ることが出来ると共に、防塵シート(7)によって防塵を図ることが出来る。
【0031】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、両面粘着層(5)の補強シート(51)の材質としては、PETに限らず、両面粘着シート(52)(52)の材質よりも高い剛性を有する種々の材質、例えばSUS板を採用することが出来る。
【0032】
又、タッチパネルユニット(4)が固定されるべき前面キャビネット(2)は、筐体(1)の表面側に配置されている構成に限らず、筐体(1)の背面側に配置されている構成を採用することも可能である。
【0033】
又、前面キャビネット(2)と液晶ディスプレイ(6)の間に介在する防塵シート(7)は、例えば筐体(1)を密閉性の高い構造とすれば、省略することが可能である。
【0034】
又、両面粘着層(5)と防塵シート(7)の間に充填されている接着剤(71)は、両面粘着層(5)による防水性能を更に高めるものであって、接着剤(71)を省略した場合にも、両面粘着層(5)によって十分な防水性能が得られる。
【0035】
更に本発明は、抵抗膜方式のタッチパネルユニット(4)に限らず、フィルムとプレートの積層構造を有する種々のタッチパネルユニット、例えば静電容量型のタッチパネルユニットを装備した情報処理端末に実施することが出来る。
【符号の説明】
【0036】
(1) 筐体
(2) 前面キャビネット
(20) 凹部
(21) 開口
(3) 本体キャビネット
(4) タッチパネルユニット
(40) タッチ操作面
(41) 前面フィルム
(42) 背面プレート
(43) フランジ部
(5) 両面粘着層
(51) 補強シート
(52) 両面粘着シート
(6) 液晶ディスプレイ
(60) 画像表示面
(61) ディスプレイホルダー
(7) 防塵シート
(71) 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する前面キャビネットと、前面キャビネットの開口からタッチ操作面が露出するタッチパネルユニットと、タッチパネルユニットの背面と対向する画像表示面を有するディスプレイとを具え、タッチパネルユニットは、前面フィルムと背面プレートの積層構造を有している情報処理端末において、
前記タッチパネルユニットの前面フィルムは、背面プレートの外周縁から外側へ突出するフランジ部を有し、該前面キャビネットには、前記タッチパネルユニットのフランジ部が設置されるべき凹部が形成され、該凹部の底面とタッチパネルユニットのフランジ部との間には、前面キャビネットの開口を包囲するループ状の両面粘着層が介在し、該両面粘着層は、補強シートと、該補強シートの両面に配備された両面粘着シートとから構成され、補強シートは、両面粘着シートの材質よりも高い剛性を有する材質から形成されていることを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前面キャビネットの背面とディスプレイの表面との間には、画像表示面を包囲するループ状の防塵シートが介在している請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前面キャビネットの開口の内側には、両面粘着層と防塵シートとの間に接着剤が充填されている請求項2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
タッチパネルユニットは、抵抗膜方式のタッチパネルによって構成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の情報処理端末。
【請求項5】
タッチパネルユニットのタッチ操作面と前面キャビネットの表面とは同一面上に揃っている請求項1乃至請求項4の何れかに記載の情報処理端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−114316(P2013−114316A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257566(P2011−257566)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】