説明

情報処理装置、その制御方法、および制御プログラム

【課題】ファームウェアなどのソフトウェアのバージョンアップが行わされている際、ジョブ処理を優先することができるようにする。
【解決手段】コントローラ400はプリンタ部119で用いられるソフトウェアを外部装置500からダウンロードして内蔵メモリに記録する。コントローラからプリンタ部にソフトウェアのダウンロードが行われている際、ジョブ処理要求があるとコントローラはダウンロードを中断して、ジョブ処理要求に係るジョブをプリンタ部に送る。プリンタ部によるジョブの実行が終了すると、コントローラはソフトウェアのダウンロードを再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリに記録されたファームウェアなどのソフトウェアを自動的に更新する機能を有する情報処理装置、その制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、情報処理装置の一つである複合機などの画像形成装置では、メモリに記録されたファームウェアなどのソフトウェアのバージョンアップ(更新)を行う機能が備えられている。
【0003】
画像形成装置において、画像処理ジョブに関する1つのソフトウェアパーツについて更新する際、実行待ちとなっている画像処理ジョブに関して更新対象のソフトウェアパーツが含まれているか否かを判定するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
ここでは、更新対象のソフトウェアパーツが含まれていないとバージョンアップを行う。一方、更新対象のソフトウェアパーツが含まれていても、ネットワーク上の他の画像形成装置が備えるソフトウェアパーツで代替できると、当該画像処理ジョブを実行するためのソフトウェアパーツを再構築してバージョンアップする。そして、代替する画像処理装置が存在しないと、バージョンアップを一旦保留にしている。
【0005】
さらに、画像形成装置において、外部の上位機器から新しいファームウェアをダウンロードする際、ファームウェアをRAM領域に一旦格納した後、当該ファームウェアをPROM領域に書き込むようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0006】
ここでは、RAM領域にファームウェアを格納した後リセットを行って、その後、RAM領域に格納されたファームウェアをPROM領域に書き込んでファームウェアの動作を開始するようにしている。さらに、特許文献2では実行中および実行待機中のジョブを検知して、当該実行中又は実行待機中のジョブが存在するとファームウェアのバージョンアップを保留するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−108957号公報
【特許文献2】特開2001−273143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の特許文献1では実行待ちのジョブが存在し、そのソフトウェアパーツが他の画像形成装置に備えられたソフトウェアパーツで代替できないと、バージョンアップを保留している。また、特許文献2では、実行中又は実行待ちのジョブが存在すると、バージョンアップを保留している。しかしながら、特許文献1および2ともにソフトウェアのバージョンアップ中に、新たに画像形成装置にジョブを投入すると、実行待ちジョブがない状態でも当該ジョブはバージョンアップが終了するまでその処理を待たされることになる。
【0009】
つまり、ユーザは実行待ちジョブがないにも拘わらず、バージョンアップ中であればジョブの実行を待たされることになる。そして、バージョンアップ中であると、バージョンアップ終了までジョブ処理を待たされることになってしまう。
【0010】
従って、本発明の目的はソフトウェアのバージョンアップが行わされている際、ジョブ処理を優先することのできる情報処理装置、その制御方法、および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明による情報処理装置は、複数の処理部と、該複数の処理部を制御するメイン制御手段とを有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置であって、前記メイン制御手段は、前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロード手段と、前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロード手段と、前記内部ダウンロード手段によるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロード手段によるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信手段と、前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロード手段によるダウンロードを再開させるダウンロード再開手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明による制御方法は、複数の処理部と、該複数の処理部を制御するメイン制御手段とを有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置の制御方法であって、前記メイン制御手段は、前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロードステップと、前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロードステップと、前記内部ダウンロードステップによるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信ステップと、前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを再開させるダウンロード再開ステップとを行うを特徴とする。
【0013】
本発明による制御プログラムは、複数の処理部を有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置で用いられる制御プログラムであって、前記情報処理装置が備えるコンピュータに、前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロードステップと、前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロードステップと、前記内部ダウンロードステップによるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信ステップと、前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを再開させるダウンロード再開ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本発明の目的はソフトウェアのバージョンアップが行わされている際に、当該ソフトウェアによる処理が必要なジョブが要求されると、ダウンロード動作を中断するようにしたので、ジョブ処理を待たされることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態による情報処理装置の一つである画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられた制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示すコントローラによるプリンタ部119への内部ダウンロードについて説明するためのシーケンス図である。
【図4】図3に示す内部ダウンロードを詳細に説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示す不揮発性メモリにおけるメモリマップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態による情報処理装置の一例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、情報処理装置の一つである画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態による情報処理装置の一つである画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
【0018】
画像形成装置300は、原稿給送装置117、イメージリーダー118、およびプリンタ部119を備えている。これらイメージリーダー118およびプリンタ部119は少なくともジョブ処理を行う処理部の1つである。
【0019】
原稿給送装置117には原稿又は原稿束がセットされ、原稿給送装置117はセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ、湾曲したパス(図示せず)を介してプラテンガラス(図示せず)に送る。そして、原稿はプラテンガラス上を図中左から右へ向けて搬送されて、排紙トレイ117aに排出される。
【0020】
イメージリーダー118はリーダスキャナユニット(図示せず)を有している。このリーダスキャナユニットはプラテンガラス下の所定の位置(読取り位置)に位置しており、原稿がリーダスキャナユニット上を図中左から右に通過する際、原稿の読み取りが行われる。
【0021】
原稿が通過する際、リーダスキャナユニットはランプから光を原稿に照射し、原稿からの反射光がミラー(図示せず)を介してイメージセンサ(図示せず)に導かれる。そして、イメージセンサに結像した像は電気信号(アナログ信号)に変換される。
【0022】
なお、原稿給送装置117によって原稿をプラテンガラス上に搬送した後に、プラテンガラス上に原稿を停止させ、リーダスキャナユニットを図中左から右に移動させて原稿の読み取りを行うようにしてもよい。
【0023】
イメージセンサからの出力はA/D変換器(図示せず)によってデジタル信号(画像データ)に変換された後、制御部(図1には示さず)によって所定の画像処理が施される。
【0024】
プリンタ部119には各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K))の画像形成ユニット119Y、119M、119C、および119Kが備えられている。画像形成ユニット119Y、119M、119C、および119Kにはそれぞれ感光ドラム10Y、10M、10C、および10K、露光制御部103Y、103M、103C、および103K、そして、現像器102Y、102M、102C、および102Kが備えられている。現像器102Y、102M、102C、および102Kにはそれぞれトナータンク101Y、101M、101C、および101Kからトナーが供給される。
【0025】
画像形成ユニット119Y、119M、119C、および119Kにおける画像形成プロセスは同様であるので、ここでは、画像形成ユニット119Yについて説明する。所定の画像処理が施された後の画像データ(ここではY画像データ)は露光制御部103Yに与えられる。
【0026】
感光ドラム10Yの表面は帯電器によって均一に帯電され、露光制御部10Yは、画像データによって変調されたレーザ光によって感光ドラム10Yを走査する。これによって、感光ドラム10Yには画像データに応じた静電潜像が形成される。感光ドラム10Y上の静電潜像は現像器102Yにより現像され、感光ドラム10YにはYトナー像が形成される。
【0027】
同様にして、感光ドラム10M、10C、および10K上にはそれぞれMトナー像、Cトナー像、およびKトナー像が形成される。
【0028】
画像形成ユニット119Y〜119Kの下側には中間転写体である中間転写ベルト104が配置され、この中間転写ベルト104は図中実線矢印で示す方向に回転駆動される。中間転写ベルト104を挟んで、感光ドラム10Y、10M、10C、および10Kにはそれぞれ一次転写ローラ105Y、105M、105C、および105Kが対向して配置されている。一次転写ローラ105Yによって感光ドラム10Y上のYトナー像は中間転写ベルト104に転写される。以下順次感光ドラム10M、10C、および10Kから一次転写ローラ105M、105C、および105KによってMトナー像、Cトナー像、およびKトナー像が中間転写ベルト104に転写されて、中間転写ベルト105上にカラートナー像が形成される。
【0029】
プリンタ部119には、用紙カセット109および110が備えられ、これら用紙カセット109および110から選択的に119aに用紙が供給される。用紙は搬送パス119aを介して送られ、一旦レジストローラ112で停止する。そして、中間転写ベルト104の回転に同期して用紙はレジストローラ112によって二次転写部に送られる。
【0030】
二次転写部には二次転写ローラ106が備えられ、二次転写ローラ106によって中間転写ベルト104上のカラートナー像は用紙に転写される。その後、用紙は定着器107に送られて、用紙上のカラートナー像が熱定着処理される。
【0031】
熱定着処理の後、フラッパ121によって用紙は一旦両面搬送パス122に導かれる。この際には、用紙の後端がフラッパ121を通過した後、用紙をスイッチバックさせてフラッパ121によって用紙を排出ローラ123に導く。これにより、トナー像が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)として用紙は画像形成装置300から排出される。なお、図示の画像形成装置300には手差し給紙部111が備えられており、ユーザは手差し給紙部111から用紙を給紙するようにしてもよい。
【0032】
両面印刷を行う場合には、フラッパ121によって用紙は両面搬送パス122に導かれる。その後、フラッパ121aによって用紙は搬送パス122aに送られて、レジストローラ112に達する。そして、用紙の裏面に中間転写ベルト104からとカラートナー像が転写されて、熱定着された後、排出ローラ123によって排出される。
【0033】
図2は、図1に示す画像形成装置300に備えられた制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
画像形成装置300の制御部はコントローラ400を有している。このコントローラ400は画像形成装置300全体の制御、つまり、コントローラ400は図1に示すイメージリーダー118およびプリンタ部119を制御する。そして、このコントローラ400には操作部206が接続されている。操作部206はユーザが各種指令をコントローラ400に入力する際に用いられ、さらには、コントローラ400は画像形成装置300の状態(ステータス)などの各種情報を操作部206に備えられた表示部に表示する。
【0035】
図示はしないが、コントローラ400とは、CPU、メモリ、HDD、および通信部などを備えている。コントローラ400においては、HDDおよびメモリにプログラムが格納され、CPUがプログラムに応じて画像形成装置300の制御を行う。
【0036】
プリンタ部119はコントローラ400の制御下でデバイスコントローラ(DCON)203によって制御される。DCON203はCPU201を備えており、CPU201によってプリンタ部119が制御される。CPU201には不揮発性メモリ(Memory)202が接続されており、メモリ202は、CPU201が実行すべき制御ソフトウェアであるファームウェア(Firmware)を格納するFirmware領域202−1と、CPU201がプリンタ部119の制御を行う際に用いられる作業領域(work領域)202−2とを有している。
【0037】
さらに、メモリ202にはラッチ(latch)領域202−3が規定されており、このlatch領域には、プリンタ部119の特性およびプリンタ部119の動作中に発生した各種情報がプリンタデータとして格納される。
【0038】
操作部206の操作に応じて、コントローラ400は、例えば、イメージリーダー118による読み取りの結果得られた画像データをDCON203に送信する。CPU201はFirmware202−1に格納されたファームウェアに応じて、図1で説明したようにして、プリンタ部119の各要素を制御して印刷を実行する。
【0039】
前述のように、コントローラ400は通信部を有しており、コントローラ400は通信部によって上位装置500と接続されている。ここで、上位装置500とは、例えば、ネットワーク上のサーバ装置である。なお、上位装置500はサーバ装置に限らず、例えば、サービスマンが持参するUSBメモリであってもよい。
【0040】
コントローラ400は、上位装置500から画像形成装置300を動作させるためのファームウェアをダウンロードして、当該ファームウェアを該当する構成要素に送る内部ダウンロードを実行する。
【0041】
ここでは、コントローラ400がプリンタ部119を制御するためのファームウェアを外部装置500からダウンロードして、プリンタ部119に内部ダウンロードする場合について説明する。
【0042】
図3は、図2に示すコントローラ500らよるプリンタ部119への内部ダウンロードについて説明するためのシーケンス図である。
【0043】
図3において、コントローラ400は上位装置500に対して予め定められたタイミングでファームウェアの更新(バージョンアップ)があるか否かを問い合わせる(S301)。上位装置500は、更新問い合わせに応答して、ファームウェアに更新があると更新がある旨(存在通知)をコントローラ400に通知する(S302)。
【0044】
存在通知を受けると、コントローラ400は当該存在通知に対応するファームウェアのリクエストを行う(S303)。このリクエストに応答して、上位装置500は該当するファームウェアをコントローラ400にダウンロードする(外部ダウンロード:S304)。そして、コントローラ400は当該ファームウェアを内蔵するメモリ(第1のメモリ)に格納する。この外部ダウンロードの際には、コントローラ400は常にプリントジョブを受付けて、当該プリントジョブ(つまり、画像データ)をプリンタ部119(特定の処理部)に送る。この結果、外部ダウンロードの際にはプリンタ部119はプリントを実行する。
【0045】
外部ダウンロードが終了すると、コントローラ400はCPU201に対してタダウンロードの問合せを行う(S305)。この問い合わせに応答して、CPU201からOK応答が返送されると(S306)、内蔵メモリに格納したファームウェアがコントローラ400からプリンタ部119にダウンロードされる(内部ダウンロード:S307)。
【0046】
CPU201は内部ダウンロードによってファームウェアを受けると、当該ファームウェアを更新ファームウェアとしてFirmware領域202−1に格納する。
【0047】
ここで、プリンタ部119、つまり、CPU201は内部ダウンロードとプリント処理とを並列して行うはできない。内部ダウンロード中(ダウンロード実行中)に、プリントジョブを受けると(S308)、コントローラ400は当該プリントジョブ(プリントリクエスト(ジョブ処理要求)ともいう)があった旨を示すプリントジョブ受信通知をCPU201に通知する。そして、コントローラ400は内部ダウンロードを一旦中止する。その後、コントローラ400はプリントジョブをCPU201に送信する(S309)。
【0048】
プリントジョブ受信通知を受けると、CPU201は内部ダウンロードが中断された旨を示す中断情報および更新ファームウェアについてどこまでダウンロードしたかの進捗状況を示す進捗情報を含むダウンロード進捗データ(進捗状況データ)を、latch領域202−3に保存する。その後、CPU201はプリントジョブを実行する。
【0049】
プリントジョブが終了すると、CPU201は、その旨コントローラ400に通知する。これによって、コントローラ400はダウンロードを再開する。CPU201はlatch領域202−3に保存されたダウンロード進捗データを参照して、更新ファームウェアをFirmware領域202−1に格納する。
【0050】
図4は、図3に示す内部ダウンロードS307を詳細に説明するためのフローチャートである。なお、図4に示す処理はコントローラ400によって行われる。
【0051】
前述したように、外部ダウンロードが終了すると、コントローラ400はCPU201に対してタダウンロードの問合せを行う。この問い合わせに応答して、CPU201からOK応答が返送されると、コントローラ400は内部ダウンロードを開始する(ステップS1002)。その後、コントローラ400は当該内部ダウンロード中にプリントジョブ(JOB)が投入されたか否かを監視する(ステップS1003)。
【0052】
プリントジョブが投入されないと(ステップS1003において、NO)、コントローラ400は内部ダウンロード(DL)が終了したか否かを判定する(ステップS1004)。DLが終了しないと(ステップS1004において、NO)、コントローラ400はステップS1003の処理に戻る。
【0053】
一方、プリントジョブ投入がされない状態で、DLが終了した場合には(ステップS1004において、YES)、コントローラ400は画像形成装置をスタンバイ状態に移行して(ステップS1005)、内部ダウンロード処理を終了する。
【0054】
プリントジョブが投入されたと判定すると(ステップS1003において、YES)、コントローラ400はプリントジョブ受信通知をCPU201に送信した後、DLを中断する(ステップS1007)。そして、コントローラ400はプリントジョブをCPU201に送信して、プリントジョブを開始する(ステップS1008)。
【0055】
コントローラ400はCPU201からジョブ終了通知を受けたか否かを監視する(ステップS1009)。ジョブ終了通知を受けないと(ステップS1009において、NO)、コントローラ400は待機する。一方、ジョブ終了通知を受けると(ステップS1009において、YES)、コントローラ400はDLを再開して(ステップS1010)、ステップS1002の処理に戻る。
【0056】
なお、前述したように、上位装置500が、例えば、USBメモリである場合には、コントローラ400はUSBメモリが画像形成装置に備えられたUSBポートに挿入されると、当該挿入をトリガーとして外部ダウンロードを開始する。
【0057】
図5は、図2に示す不揮発性メモリ202におけるメモリマップの一例を示す図である。
【0058】
不揮発性メモリ202(第2のメモリ)は、前述のFirmware領域202−1、Work領域202−2、およびlatch領域202−3の他に、ベクトル(Vector)領域202−4、ブート(Boot)領域202−5、および定数(Const)領域202−6を有している。また、Firmware領域202−1は第1のFirmware領域(第1の記憶領域)202−1(1)および第2のFirmware領域(第2の記憶領域)202−1(2)に分けられている。
【0059】
Vector領域202−4にはリセット又は割り込みによって遷移する先(アドレス)が記録される。Boot領域202−5にはブートプログラムが格納され、当該ブートプログラムの動作によってFirmware領域202−1にファームウェアが書き込まれる。
【0060】
画像形成装置を出荷する際、Vector領域202−4にはFirmware1を動作させるためのVectorデータが書き込まれ、Boot領域202−5には第2のFirmware領域202−1(2)にFirmwareを書き込むためのブートプログラムが書き込まれる。そして、第1のFirmware領域202−1(1)には初期Firmwareが書き込まれ、Const領域202−6には定数が書き込まれる。そして、latch領域202−3には初期データが書き込まれる。
【0061】
Firewareを外部装置500からダウンロードする際には(つまり、更新する際には)、前述のように、一旦コントローラ400が更新Firewareを一旦内蔵するメモリに記憶する。その後、コントローラ400がプリンタ部119に内蔵メモリに記憶されたFirewareをダウンロードする。
【0062】
内部ダウンロードの際には、初期Firewareの動作によってBoot領域202−5のプログラムが呼び出され、第2のFirmware領域202−1(2)に更新Firmwareが書き込まれる。
【0063】
プリントジョブがコントローラ400から通知された際には、CPU201で動作する初期FirmwareがBootプログラムに対して中断の要求を送る。これによって、CPU201で動作するBootプログラムは内部ダウンロードの中断を行う。そして、Bootプログラムはlatch領域202−3の予め定められた領域にダウンロード進捗データを格納し、実行権を放棄する。これによって、初期Firmwareがプリント処理を実行する。
【0064】
初期Firmwareは、プリントジョブが終了したすると、再度Bootプログラムに実行権を渡す。Bootプログラムはlatch領域202−3に書き込まれたダウンロード進捗データを参照して、第2のFirmware領域202−1(2)に対する更新Firmwareの書き込みを再開する。
【0065】
第2のFirmware領域202−1(2)に対する更新Firmwareの書き込みが終了すると、Bootプログラムは次の起動の際には、つまり、次の更新の際には、第1のFirmware領域202−1(1)に更新Firmwareを書き込むように自らの設定を変更する。そして、BootプログラムはVector領域202−4に格納されたVectorデータを、次のリセットの際には第2のFirmware領域202−1(2)に格納された更新Firmwareに実行権を移行するように設定を変更する。
【0066】
画像形成装置がスタンバイ状態に移行すると、第1のFirmware領域202−1(1)に書き込まれた初期Firmwareについてソフトリセットが行われる。これによって、Vector領域202−4に格納されたVectorデータにより第2のFirmware領域202−1(2)に格納された更新Firmwareが動作を開始する。
【0067】
なお、一般に、不揮発性メモリ202において、Firmware領域202−1、Vector領域202−4、Boot領域202−5、およびConst領域202−6についてはフラッシュROMで構成し、その他の領域についてはバッテリバックアップによるRAMで構成される。また、全ての領域についてMRAM又はFeRAMで代表される高速不揮発性メモリで構成するようににして、高速処理に対応可能なようにしてもよい。
【0068】
このように、本発明の実施の形態では、一旦コントローラ400が外部ダウンロードによってFirmwareを外部装置500からダウンロードする。そして、コントローラ400からプリンタ部119にFirmwareを内部ダウンロードする。この際、プリントジョブが投入されると、コントローラ400は一時的に内部ダウンロードを中断して、プリンタ部119によるプリントジョブ処理を実行する。そして、プリントジョブが終了すると、コントローラ400は内部ダウンロードを再開する。従って、Firmwareなどのソフトウェアのバージョンアップが行わされている際に、当該バージョンアップ対象のモジュールであるプリンタ部119におけるジョブ処理を優先することができる。つまり、ソフトウェアを内部ダウンロードしている際に、プリントジョブ処理要求があると、内部ダウンロードを一旦中断するので、ジョブ処理が待機することがなく、直ちにジョブ処理を行うことができる。
【0069】
プリントジョブが終了すると、直ちに内部ダウンロードが再開されるので、内部ダウンロードに要する時間の延長を最小限に抑えることができる。
【0070】
また、本発明の実施の形態では、内部ダウンロードの際Firmwareを不揮発性メモリに格納しているので、内部ダウンロードの完了の後RAMからフラッシュROMなど不揮発性メモリにFirmwreを移す必要がない。この結果、内部ダウンロードの完了後、直ちに更新Firmwareを用いることができる。
【0071】
上述の説明から明らかなように、図2に示す例では、コントローラ400が外部ダウンロード手段、内部ダウンロード手段、ジョブ送信手段、およびダウンロード再開手段として機能する。また、CPU201が第1の制御手段、第2の制御手段、およびジョブ実行手段として機能する。
【0072】
上述の実施形態では、ファームウェアをバージョンアップする例について説明したが、ファームウェアに限らず、プリンタ部などの処理部で用いられるソフトウェアをバージョンアップする場合に同様に本発明を適用することができる。
【0073】
さらに、上述の実施の形態では、画像形成装置において、プリンタ部で用いられるファームウェアをバージョンアップする例について説明したが、イメージリーダーおよび操作部などの他の構成要素におけるファームウェアをバージョンアップする際にも同様にして本発明を適用することができる。
【0074】
また、上述の実施の形態では、情報処理装置の一つである画像形成装置を例に挙げて説明したが、画像形成装置に限らず、複数の処理部と、当該複数の処理部を制御するメイン制御部とを備えて、ジョブ処理要求に応じて複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置であれば、同様にして本発明を適用することができる。
【0075】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0076】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を情報処理装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムを情報処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0077】
この際、制御方法および制御プログラムの各々は、少なくとも外部ダウンロードステップ、内部ダウンロードステップ、ジョブ送信ステップ、およびダウンロード再開ステップを有することになる。
【0078】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0079】
119 プリンタ部
201 CPU
202 不揮発性メモリ
203 デバイスコントローラ(DCON)
206 操作部
400 コントローラ
300 画像形成装置
500 上位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理部と、該複数の処理部を制御するメイン制御手段とを有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置であって、
前記メイン制御手段は、前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロード手段と、
前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロード手段と、
前記内部ダウンロード手段によるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロード手段によるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信手段と、
前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロード手段によるダウンロードを再開させるダウンロード再開手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理部の各々は、前記内部ダウンロード手段によってダウンロードされたソフトウェアを第2のメモリに記憶する第1の制御手段と、
前記内部ダウンロード手段によるダウンロードが中断されると、前記内部ダウンロード手段によるダウンロードの進捗状況を進捗状況データとして前記第2のメモリに記憶する第2の制御手段とを有し、
前記第1の制御手段は、ダウンロード再開手段によって前記内部ダウンロードによるダウンロードが再開されると、前記進捗状況データを参照して前記ソフトウェアを前記第2のメモリに記憶することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2のメモリには、前記ソフトウェアが記録される少なくとも第1の記憶領域と第2の記憶領域とが規定され、
前記第1の記憶領域に記憶されたソフトウェアを更新する際、前記第1の制御手段は前記第2の記憶領域に前記内部ダウンロード手段でダウンロードされたソフトウェアを記憶ており、
前記内部ダウンロード手段によるダウンロードが完了すると、前記ジョブ処理要求に応じたジョブを実行する際、前記第2の記憶領域に記憶されたソフトウェアによって前記ジョブを実行するジョブ実行手段を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の処理部と、該複数の処理部を制御するメイン制御手段とを有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置の制御方法であって、
前記メイン制御手段は、前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロードステップと、
前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロードステップと、
前記内部ダウンロードステップによるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信ステップと、
前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを再開させるダウンロード再開ステップとを行うことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
複数の処理部を有し、ジョブ処理要求に応じて前記複数の処理部を選択的に用いてジョブを実行する情報処理装置で用いられる制御プログラムであって、
前記情報処理装置が備えるコンピュータに、
前記複数の処理部のいずれかで用いられるソフトウェアを外部装置からダウンロードして第1のメモリに記録する外部ダウンロードステップと、
前記第1のメモリに記録されたソフトウェアを当該ソフトウェアが用いられる特定の処理部にダウンロードする内部ダウンロードステップと、
前記内部ダウンロードステップによるダウンロード実行中に前記特定の処理部に対するジョブ処理要求があると前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを中断して、前記ジョブ処理要求に係るジョブを前記特定の処理部に送るジョブ送信ステップと、
前記特定の処理部による前記ジョブの実行が終了すると、前記内部ダウンロードステップによるダウンロードを再開させるダウンロード再開ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109571(P2013−109571A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253902(P2011−253902)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】