説明

情報処理装置、データ処理方法、及びプログラム

【課題】印刷命令をより適切に変換することを目的とする。
【解決手段】印刷命令から中間フォーマット情報への変換をページ毎に処理し、処理を開始してからの時間を計測し、計測した時間が規定の時間を超えたか否かを判断し、超えたと判断した場合、超えたと判断したときまでに処理したページの情報をまとめて一の中間フォーマット情報を作成し、かつ、一の中間フォーマット情報に変換されていないページの変換を継続し、超えたと判断することなく全てのページについての処理を終了した場合、全てのページの情報をまとめて中間フォーマット情報を作成することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、データ処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアプリケーションから受け取る印刷命令を中間フォーマット文書ファイルに変換する情報処理装置としては、例えば特許文献1に記載されているように中間フォーマット文書ファイルを作成する情報処理装置がある。アプリケーションは、文字描画データ等を含むアプリケーションデータを解析し、例えばOS(Operating System:基本ソフト)が提供するグラフィックエンジンをコールする。
グラフィックエンジンは、例えばWindows(登録商標)ではGDI(Graphic Device Interface)と呼ばれており、ディスプレイ、プリンタ等に対する画像情報の処理を司っている。また、グラフィックエンジンは、プリンタの種類に合わせて用意されたプリンタドライバをロードし、アプリケーションの出力をプリンタドライバに受け渡す。そして、グラフィックエンジンは、アプリケーションから受け取るGDI関数からDDI(Device Driver Interface)関数に変換し、プリンタドライバへDDI関数を出力する。
【0003】
プリンタドライバは、グラフィックエンジンから受け取ったDDI関数に基づいて、予め定義された中間フォーマット文書ファイルに変換し、ホストコンピュータのディスク上に中間フォーマット文書ファイルとして蓄積する。
この代表的な中間フォーマット文書ファイルには、PDF(Portable Document Format)ファイル、SVG(Scalable Vector Graphics)ファイル等が存在する。中間フォーマット文書ファイルは、ホストコンピュータ上のファイルシステム上に保存され、解釈可能な特定のアプリケーションによりホストコンピュータが備える表示装置上で表示される。また、中間フォーマット文書ファイルについては、ユーザの指示により再びグラフィックエンジンを介してプリンタで印刷を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−125810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、中間フォーマット文書ファイルに変換してから変換内容の確認作業、編集作業を行う場合に、中間フォーマット文書ファイルが完成するまで変換内容の確認作業、編集作業が一切できないという問題がある。例えば、原稿が1000ページある場合には中間フォーマット文書ファイルへの変換が終わるまで数分かかることもある。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、印刷命令をより適切に変換することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、印刷命令から中間フォーマット情報への変換をページ毎に処理する処理手段と、前記処理手段で処理が開始されてからの時間を計測する計測手段と、前記計測手段で計測された時間が規定の時間を超えたか否かを判断する判断手段と、前記判断手段で超えたと判断された場合、超えたと判断されたときまでに前記処理手段で処理されたページの情報をまとめて一の中間フォーマット情報を作成し、かつ、前記一の中間フォーマット情報に変換されていないページの前記変換を継続し、前記判断手段で超えたと判断されることなく前記処理手段で全てのページについての処理が終了した場合、前記全てのページの情報をまとめて前記中間フォーマット情報を作成する作成手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、方法、プログラム、システム、記憶媒体などとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷命令をより適切に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【図2】ファイル変換処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図3】分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図4】ディスプレイにおける表示態様の一例を示す図である。
【図5】分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図6】分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0012】
<第1の実施形態>
本実施形態では、アプリケーションからの印刷命令を中間フォーマット文書ファイルに変換するデータ処理方法について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
CPU1は、情報処理装置全体を制御する。キーボード2は、データの入力を受け付ける。ディスプレイ3は、文書画像等を表示する表示部の一例である。ハードディスク4は、PDFファイル、SVGファイル等の中間フォーマット文書ファイル(中間フォーマット情報の一例)等を記憶する。ROM5は、情報処理装置を制御するプログラムや必要な情報を予め記憶する。RAM6は、様々なワークエリアとして利用される。
本実施形態では、CPU1が、ROM5に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、情報処理装置における後述する機能及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。なお、情報処理装置における後述する機能及び後述するフローチャートに係る処理の一部又は全部を専用のハードウェアを用いて構成してもよい。
【0013】
アプリケーション7は、ワードプロセッサソフトウェア、表計算ソフトウェアなどである。グラフィックエンジン8は、Windows(登録商標)ではGDI(Graphic Device Interface)であり、ディスプレイ3、印刷装置14等に対する画像情報の処理を司る。
プリンタドライバ9は、グラフィックエンジン8から受け取ったDDI関数に基づいてプリンタ制御コマンドを生成し、印刷装置14に印刷データとして出力する。また、プリンタドライバ9は、DDI関数に基づいて中間フォーマット文書ファイルを作成し(ファイル変換処理を行い)、中間フォーマット文書ファイルを出力する。分割出力部10は、プリンタドライバ9に設けられ、中間フォーマット文書ファイルの分割出力を行う。
中間ファイル分割指示部11は、プリンタドライバ9の出力する中間フォーマット文書ファイルをどのように分割するかの指示をプリンタドライバ9内の分割出力部10に行う。描画・編集部12は、プリンタドライバ9から出力された中間フォーマット文書ファイルの描画、編集などを行う。データバス13は、各種のデータを転送する。印刷装置14は、処理結果(印刷データ)の印刷を行う。
なお、本実施形態の態様は、一の情報処理装置(コンピュータ)に限られるものではない。例えば、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の情報処理装置からなるシステムであってもよい。
【0014】
図2は、中間フォーマット文書ファイルへのファイル変換処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートに係るプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータは、ROM5、ハードディスク4等に記憶されており、CPU1によってRAM6に読み出されて実行される。以下では、中間ファイル分割指示部11及び分割出力部10の動作に関して主に説明する。
ここで、S201〜S214は各ステップを示し、各ステップの処理は、CPU1がRAM6上にアプリケーション7、プリンタドライバ9(分割出力部10)、中間ファイル分割指示部11等をロードして実行することで実現される。本ファイル変換処理は、ユーザから印刷指示を受け付けたアプリケーション7が、グラフィックエンジン8を介してプリンタドライバ9に、印刷対象のファイル(印刷命令)を中間フォーマット文書ファイルへ変換する要求を出すことを契機に開始される。
【0015】
まず、S201では、アプリケーション7は、変換ジョブが開始することを、GDI関数を介してグラフィックエンジン8に通知する。グラフィックエンジン8は、通知されたGDI関数をDDI関数に変換してプリンタドライバ9へ引き渡す。
次に、S202では、プリンタドライバ9は、ジョブ開始コマンドを生成する。そして、S203では、アプリケーション7は、ページが開始することを、GDI関数を介してグラフィックエンジン8に通知する。次に、S204では、グラフィックエンジン8は、通知されたGDI関数をDDI関数に変換してプリンタドライバ9へ引き渡す。プリンタドライバ9は、ページ開始コマンドを生成する。
【0016】
そして、S205では、アプリケーション7は、論理描画要求を、GDI関数を介してグラフィックエンジン8に通知する。グラフィックエンジン8は、通知されたGDI関数をDDI関数に変換してプリンタドライバ9へ引き渡す。
次に、S206では、プリンタドライバ9は、論理描画コマンドを生成する。そして、S207では、アプリケーション7は、ページの終了要求が通知されるまで、S205、S206の処理を繰り返す。そして、ページ終了要求が通知されたと判断した場合、アプリケーション7は、ページが終了することを、GDI関数を介してグラフィックエンジン8に通知する。
【0017】
そして、S208では、グラフィックエンジン8が通知されたGDI関数をDDI関数に変換してプリンタドライバ9へ引き渡すと、プリンタドライバ9は、ページ終了コマンドを生成する。このように、ファイル変換処理ではページ毎に処理(変換)が行われる。
次に、S209では、中間ファイル分割指示部11が全てのページについての変換を完了する前に第1の中間フォーマット文書ファイルを作成するか否かを判断する分割判定処理を行う。S209の分割判定処理については、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0018】
図3は、分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートに係るプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータは、ROM5、ハードディスク4等に記憶されており、CPU1によってRAM6に読み出されて実行される。
S301では、中間ファイル分割指示部11は、S201のジョブ開始からの処理時間を計測して変換処理時間とする。
次に、S302では、中間ファイル分割指示部11は、変換処理時間がα秒よりも長いか否か判断する。α秒は、予め設定されるしきい値(規定の時間の一例)であり、例えば10秒とする。このとき、中間ファイル分割指示部11は、α秒より長いと判断した場合、S303に処理を進め、他方、短いと判断した場合、S304に処理を進める。
【0019】
S303では、中間ファイル分割指示部11は、プリンタドライバ9の分割出力部10に分割生成要求を出す。以下では、変換処理時間が15秒であるときに分割生成要求が出されたものとして説明する。
S304では、中間ファイル分割指示部11は、プリンタドライバ9の分割出力部10に分割生成要求を出さない。以上により、S209の分割判定処理は終了し、S210に処理が戻されるので、図2のフローチャートに戻って説明を継続する。
【0020】
S210では、プリンタドライバ9は、中間ファイル分割指示部11から分割生成要求があったか否か判定する。このとき、プリンタドライバ9は、分割生成要求があったと判断した場合、S211に処理を進め、他方、分割生成要求がなかったと判断した場合、S212に処理を進める。本例では、中間ファイル分割指示部11から分割生成要求が出されているので、S211に処理が進められる。
S211では、プリンタドライバ9の分割出力部10は、今までに生成(変換)した各ページの描画コマンドをまとめて第1の中間フォーマット文書ファイルを作成する。また、分割出力部10は、今までに生成した各ページの描画コマンドをクリアする。例えば、中間フォーマット文書ファイルを作成して変換内容の確認作業等を行う情報処理装置の場合は、描画・編集部12がS212以降の処理と並行してユーザが変換内容の確認作業等ができるように第1の中間フォーマット文書ファイルをプレビュー描画する。続けて編集作業、製本設定値などを設定する設定作業などのユーザが所望する作業を提供することが可能となる。
【0021】
図4は、プレビュー描画された画面の一例(プレビュー画面401)を示す図である。プレビュー画面401は、描画・編集部12によりディスプレイ3に表示される中間フォーマット文書ファイルを確認するための画面である。プレビュー画面401は、9ページ分を一度に表示するROM5、ハードディスク4等に記憶されている設定情報に従って表示されている。
ページ群402は、第1の中間フォーマット文書ファイルが6ページまでからなる場合を示しており、1ページから6ページまでの文書内容がサムネールとして表示されている。ユーザは、全てのページについての変換を待たずして文書内容(変換内容)を確認することができる。
【0022】
ページ群403は、第1の中間フォーマット文書ファイルに含まれなかった7ページから9ページまでを示している。データがないのでページを示す枠のみが表示されている。ページ群403には、残りのページの変換が完了して第2の中間フォーマット文書ファイルが生成された後に、7ページから9ページまでの文書内容がサムネールとして表示される。
本実施形態は、この構成に限られるものではなく、例えば、元ファイルからサムネールを表示して代用してもよいし、更に3ページ分の変換が完了した(変換データが生成できた)段階でファイルを作成してサムネールまたはアイコンとして表示してもよい。
また、枠を示すことで、サムネール(文書内容)がなくてもページの入れ替え編集作業や削除作業、アプリケーション固有の設定値を施す作業が可能である。
全てのページの変換が完了しているわけではないので、ユーザの行える作業には制限があるものの、通常は変換したページの確認を最初から行うことが大半であるので、快適な環境の提供が可能となる。上述の構成によれば、変換が最後まで終わるのを待つことなく、ユーザは次の作業を開始できる。
【0023】
S212では、アプリケーション7は、ジョブが終了したかを確認する。このとき、アプリケーション7は、終了したと判断した場合、ジョブ終了要求を出し、S213に処理を進め、他方、終了していないと判断した場合、S203に処理を移す。このように、ジョブ終了要求が出されるまでは、S203からS211までが繰り返えされる。なお、アプリケーション7は、ジョブが終了することを、GDI関数を介してグラフィックエンジン8に通知する。
そして、S213では、グラフィックエンジン8が通知されたGDI関数をDDI関数に変換してプリンタドライバ9へ引き渡すと、プリンタドライバ9は、ジョブ終了コマンドを生成する。また、分割出力部10は、今までに生成した各ページの描画コマンドをまとめて中間フォーマット文書ファイルを作成する。なお、S211で第1の中間フォーマット文書ファイルを作成したときは、ここでは、残りのページの描画コマンドがまとめられて第2の中間フォーマット文書ファイルが作成される。
【0024】
次に、S214では、描画・編集部12は、第1の中間フォーマット文書ファイルと第2の中間フォーマット文書ファイルとを結合(ファイル結合)して1つの中間フォーマット文書ファイルを作成する。
一般に、変換処理時間は、ページ内の描画オブジェクトの数や圧縮処理を伴うか否かなどにより異なる。文書によっては1ページ内に数万を超えるような細かい描画オブジェクトを有するものもあるが、そのようなページが最初の方に存在する場合でも上述した構成によれば、ユーザは、変換内容の確認作業、編集作業を待つことなく開始することができる。
以上、本実施形態によれば、変換内容の確認作業、編集作業、印刷設定値などの設定作業をすばやく開始可能とし、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0025】
<第2の実施形態>
第1の実施形態の情報処理装置では、予め設定した時間(α秒)が経過した場合に、それまでに生成した各ページの描画コマンドをまとめて第1の中間フォーマット文書ファイルとしてファイル化した。一方でファイル化には時間がかかる。また、最終的には第2の中間フォーマット文書ファイルと結合してからでないと全てのページの確認や印刷などを開始できないが、結合する処理にも時間がかかる。
特に、もう少しで文書全体について変換を完了できる場合は、それらの処理時間をかけるよりも分割しないで変換を継続した方がユーザの使い勝手がよい場合がある。
【0026】
そこで、本実施形態では、そのような場合でもユーザがすばやく作業(操作)を開始できる仕組みを提供することを目的とする。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を用いてその説明を適宜省略する。
より具体的には、情報処理装置の中間ファイル分割指示部11は、変換処理時間がしきい値(α秒)を超えたときに、未変換のページ数をカウントする。そして、中間ファイル分割指示部11は、未変換のページ数が別のしきい値(後述のしきい値β)よりも少ない場合、第1の中間フォーマット文書ファイルを作成せず、最後のページまで変換を継続することを特徴とする。以下、図5を用いて本実施形態の詳細な説明を行う。
【0027】
図5は、分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートに係るプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータは、ROM5、ハードディスク4等に記憶されており、CPU1によってRAM6に読み出されて実行される。
図5において、S302では、中間ファイル分割指示部11は、変換処理時間がしきい値(α秒)を超えた否かを判断し、超えたと判断した場合、S501に処理を進め、超えないと判断した場合、S304に処理を進める。
S501では、中間ファイル分割指示部11は、文書の未だ変換していないページ数を求め、未だ変換していないページ数の方がしきい値β(ページ)よりも多いか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、多いと判断した場合、S303に処理を進め、他方、多くないと判断した場合、S304に処理を進める。なお、しきい値βは、予め設定されるしきい値(設定されたページ数の一例)である。例えば、しきい値βは、5ページとする。残りが5ページ以下の場合は分割しないで変換を継続することになる。
【0028】
文書全体のページ数は、例えば、アプリケーション7においてWindows(登録商標)のOLE(Object Linking and Embedding)の機能を用いて取得することができる。即ち、未だ変換してないページ数については、例えば、OLEを介して取得される文書全体のページ数から既に変換したページ数を引いて求めることができる。なお、取得するタイミングとしては、例えばアプリケーション7に変換対象の文書が取り込まれたタイミングで文書全体のページ数が取得される。
S303では、中間ファイル分割指示部11は、分割生成要求を出す。つまり、第1の中間フォーマット文書ファイルが作成されることになる。S304では、中間ファイル分割指示部11は、分割生成要求を出さない。つまり、第1の中間フォーマット文書ファイルと第2の中間フォーマット文書ファイルとに分割しないで変換を継続し、最初から1つの中間フォーマット文書ファイルを生成することになる。
上述した構成によれば、第1の実施形態の効果に加え、予め設定した時間が経過した場合に、もう少しで文書全体についての変換を完了できるときには無駄な処理時間を増やすことなく、変換内容の確認作業等をすばやく開始可能となる。即ち、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0029】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の情報処理装置では、予め設定した時間が経過した場合に、それまでに生成した各ページの描画コマンドをまとめて第1の中間フォーマット文書ファイルとしてファイル化した。
一方で変換内容の確認作業、編集作業のために、図4の最初のプレビュー画面401に表示する1ページから9ページまで全ての変換内容が欲しいというユーザもいる。また、文書が章から構成されていて、章を構成する全てのページが揃わないと章ごとの印刷の指示、印刷設定値の設定作業などができない場合もある。
即ち、第1の実施形態における第1の中間フォーマット文書ファイルでは変換内容が不足し得るので、文書全体についての変換を待たなければならないという問題がある。
【0030】
そこで、本実施形態は、そのような場合でもユーザがすばやく操作を開始できる仕組みを提供することを目的とする。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を用いてその説明を適宜省略する。
より具体的には、本実施形態の情報処理装置の中間ファイル分割指示部11は、予め設定した第1の中間フォーマット文書ファイルに必要なページ数(後述の分割ページ数)に変換したページ数が達したかどうかを判断する。そして、中間ファイル分割指示部11は、必要なページ数に達した場合は、変換済みのページから第1の中間フォーマット文書ファイルを作成することを特徴とする。
【0031】
また、中間ファイル分割指示部11は、予め設定した、第1の中間フォーマット文書ファイルに必要なページ数(規定のページ数の一例である後述のX)が文書の総ページ数の一定の割合(後述のS)以上であるか否かを判断する。更に、中間ファイル分割指示部11は、文書の総ページ数がしきい値(許容されたページ数の一例である後述のMin)以下であるか否かを判断する。そして、中間ファイル分割指示部11は、文書の総ページ数の一定の割合以上、及びしきい値以下(Minページ数以下)のどちらかを満たすと判断した場合、第1の中間フォーマット文書ファイルを作成せず、最後のページまで変換を継続することを特徴とする。
また、中間ファイル分割指示部11は、第2の中間フォーマット文書ファイルを文書の1ページ目から作成することを特徴とする。また、中間ファイル分割指示部11は、予め設定した、第1の中間フォーマット文書ファイルに必要なページ数がしきい値(分割単位のページ数の一例である後述のMax)以上である場合は、3個以上のファイルに分割することを特徴とする。以下、図6を用いて本実施形態の詳細な説明を行う。
【0032】
図6は、分割判定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートに係るプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータは、ROM5、ハードディスク4等に記憶されており、CPU1によってRAM6に読み出されて実行される。
S601では、中間ファイル分割指示部11は、後述のように分割ページ数を確定済みであるか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、確定済みであると判断した場合、S608に処理を進め、他方、確定していないと判断した場合、S602に処理を進める。
S602では、中間ファイル分割指示部11は、文書の総ページ数の方がMin(ページ)よりも多いか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、多いと判断した場合、S604に処理を進め、他方、多くないと判断した場合、S603に処理を進める。
【0033】
S603では、分割ページ数に文書の総ページ数をセットし、S610に処理を進める。文書の総ページ数については、例えばアプリケーション7においてWindows(登録商標)のOLE(Object Linking and Embedding)の機能を用いて取得することができる。Minは、予め設定したしきい値(ページ数)である。
例えば、Min=5ページとすると、変換前の元文書が3ページであった場合は、「文書の総ページ数>Min(ページ)」を満たさないので、S603に処理が進められ、分割しないで変換が最後まで継続される。このように構成することで、ファイルの分割やファイルの結合にかかる処理時間の無駄を削減することができる。また、再度、分割判定処理(S209)に処理が回ってきたときに備えて分割ページ数を文書の総ページ数にセットしておくので、無駄な判定処理を省くことができる。
S604では、中間ファイル分割指示部11は、分割前に必要なページ数をX(ページ)とする。分割前に必要なページ数(最少ページ数)とは、上述したように、最初のプレビュー画面のサムネールのページ数、第1章(最初の文書構成の区切りの一例)を構成するページ数などである。ここでは、図4のようなプレビュー画面401の9ページを最少ページ数とする。即ち、X=9とする。
【0034】
S605では、中間ファイル分割指示部11は、Xの方がMax(ページ)よりも小さいか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、小さいと判断した場合、S606に処理を進め、他方、小さくないと判断した場合、S611に処理を進める。Maxは、予め設定したしきい値である。
S611では、中間ファイル分割指示部11は、分割ページ数を複数設定し、S608に処理を進める。なお、分割ページ数が少なくとも2つ設定されるので、ファイルが3つ以上作成されることになる。つまり、第1の中間フォーマット文書ファイルに必要なページ数が非常に大きい場合は、これらのページの変換に時間がかかることが予想され、そのままではユーザが操作を開始するのが遅くなる。即ち、本実施形態の効果を得ることが難しくなる。
そこで、本ステップでは、最少ページ数を更に分割して少しずつ表示可能とする。
【0035】
例えば、XがMaxを超える場合は、Xページまでを20ページずつに分割し、(最少ページ数X÷20(ページ))個のファイルと最少ページ数以降の1ファイルに分割する。より具体的には、X=200のときには、中間ファイル分割指示部11は、200÷20=10として、20ページからなる10個の中間フォーマット文書ファイルと、201ページ以降からなる中間フォーマット文書ファイルの計11個のファイルに分割する。
即ち、分割ページ数は、20、40、60、・・・、200となり、分割ファイル数は11個となる。そして、中間ファイル分割指示部11は、それぞれの分割ページ数に達したときにS209において分割生成要求を出す。また、もっとも細かく分割する必要がある場合、1ページごとに分割されるように、例えばMax=1としてもよい。
【0036】
S606では、中間ファイル分割指示部11は、Xの方が文書の総ページ数×S(%)よりも少ないか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、少ないと判断した場合、S607に処理を進め、他方、少なくないと判断した場合、S603に処理を進める。ここで、Sは、文書の総ページ数に対する割合であり、例えば95%とする。即ち、最少ページ数が文書の総ページ数とそれほど変わらない場合は、分割することによる処理時間のロスを軽減する方がユーザにとって操作開始を早くすることに資するので、分割されないように制御する。
S607では、中間ファイル分割指示部11は、分割ページ数を最少ページ数とする。この処理は、最少ページ数までを第1の中間フォーマット文書ファイルとし、それ以降を第2の中間フォーマット文書ファイルとして分割することを意味する。
【0037】
S608では、中間ファイル分割指示部11は、今までに変換してきた処理済みページ数が分割ページ数と等しいか否かを判断する。このとき、中間ファイル分割指示部11は、等しいと判断した場合、S609に処理を進め、他方、等しくないと判断した場合、S610に処理を進める。
S609では、中間ファイル分割指示部11は、分割出力部10に分割生成要求を出す。S610では、中間ファイル分割指示部11は、分割生成要求を出さない。
上述した構成によれば、最初に必要なページ数が決まっている場合でも、変換内容の確認作業等をすばやく開始可能とし、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
なお、第1の実施形態では、図2のS211で今までに変換した各ページの描画コマンドをクリアしているが、情報処理装置のメモリに余裕があればクリアしないでも上述の効果が得られる。
【0038】
<その他の実施形態>
本実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。即ち、上述した実施形態で示した適宜の構成を組み合わせてもよい。
例えば、第1の実施形態のS302でYESであると判断した後に、第3の実施形態のS601以降の処理を行う構成としてもよい。この場合、第1の実施形態による効果に加え、第3の実施形態による効果が得られる。また、例えば、第3の実施形態において、S602、S606、及びS605の処理を適宜に採用しなくてもよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0039】
上述した実施形態の構成によれば、印刷命令をより適切に変換することができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷命令から中間フォーマット情報への変換をページ毎に処理する処理手段と、
前記処理手段で処理が開始されてからの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された時間が規定の時間を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段で超えたと判断された場合、超えたと判断されたときまでに前記処理手段で処理されたページの情報をまとめて一の中間フォーマット情報を作成し、かつ、前記一の中間フォーマット情報に変換されていないページの前記変換を継続し、前記判断手段で超えたと判断されることなく前記処理手段で全てのページについての処理が終了した場合、前記全てのページの情報をまとめて前記中間フォーマット情報を作成する作成手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記印刷命令において処理されていないページ数が予め設定されたページ数を超えているか否かを更に判断し、
前記作成手段は、前記設定されたページ数を超えていると前記判断手段で更に判断された場合、前記一の中間フォーマット情報を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記処理手段で処理されたページ数が規定のページ数を超えたか否かを更に判断し、
前記判断手段で前記規定のページ数を超えたと更に判断された場合、前記規定のページ数を超えたと判断されたときまでに前記処理手段で処理されたページの情報をまとめて前記一の中間フォーマット情報を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記規定のページ数は、サムネールとして表示部に最初に表示するのに必要となるページのページ数であることを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記規定のページ数は、前記印刷命令における最初の文書構成の区切りを表示部に表示するのに必要となるページのページ数であることを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記規定のページ数が前記印刷命令における全てのページ数の一定の割合以上であるか否か、及び前記全てのページ数が許容されたページ数以下であるか否かを更に判断し、
前記作成手段は、前記判断手段で更に、前記一定の割合以上であると判断された、或いは前記許容されたページ数以下であると判断された場合、前記一の中間フォーマット情報を作成しないことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記規定のページ数が分割単位のページ数を超えたか否かを更に判断し、
前記作成手段は、前記分割単位のページ数を超えていないと前記判断手段で更に判断された場合、前記一の中間フォーマット情報を作成し、前記分割単位のページ数を超えたと前記判断手段で更に判断された場合、前記分割単位のページ数を超えたと前記判断手段で判断されるごとに、前記処理手段で処理されたページのうちまとめていないページの情報をまとめて中間フォーマット情報を作成することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記作成手段は、前記一の中間フォーマット情報を作成した後に、前記処理手段で残りのページについて処理が行われた場合、前記残りのページの情報をまとめて残りの中間フォーマット情報を作成し、前記一の中間フォーマット情報と前記残りの中間フォーマット情報とを結合して前記中間フォーマット情報を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記作成手段は、前記一の中間フォーマット情報を作成した後に、前記処理手段で残りのページについて処理が行われた場合、前記処理手段で処理された1ページ目からページの情報をまとめて前記中間フォーマット情報を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
処理手段が、印刷命令から中間フォーマット情報への変換をページ毎に処理する処理工程と、
計測手段が、前記処理工程で処理が開始されてからの時間を計測する計測工程と、
判断手段が、前記計測工程で計測された時間が規定の時間を超えたか否かを判断する判断工程と、
作成手段が、前記判断工程で超えたと判断された場合、超えたと判断されたときまでに前記処理工程で処理されたページの情報をまとめて一の中間フォーマット情報を作成し、かつ、前記一の中間フォーマット情報に変換されていないページの前記変換を継続し、前記判断工程で超えたと判断されることなく前記処理工程で全てのページについての処理が終了した場合、前記全てのページの情報をまとめて前記中間フォーマット情報を作成する作成工程と、を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項11】
印刷命令から中間フォーマット情報への変換をページ毎に処理する処理工程と、
前記処理工程で処理が開始されてからの時間を計測する計測工程と、
前記計測工程で計測された時間が規定の時間を超えたか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程で超えたと判断された場合、超えたと判断されたときまでに前記処理工程で処理されたページの情報をまとめて一の中間フォーマット情報を作成し、かつ、前記一の中間フォーマット情報に変換されていないページの前記変換を継続し、前記判断工程で超えたと判断されることなく前記処理工程で全てのページについての処理が終了した場合、前記全てのページの情報をまとめて前記中間フォーマット情報を作成する作成工程と、をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114569(P2013−114569A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262038(P2011−262038)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】