説明

情報処理装置、プログラムおよび制御方法

【課題】ユーザに対して手間を掛けることなく、システム管理者の意図に従って出力コストを低減できるようにする。
【解決手段】印刷サーバ装置2は、印刷ジョブが出力コストの低減のための所定条件を満たすか否かを判定するジョブ制御判定部20fと、そのジョブ制御判定部20fにより所定条件を満たすと判定された場合に、印刷ジョブの属性情報を、印刷ジョブの出力コストを低減する属性情報に変更するジョブ編集部20g(またはジョブ送信部20h)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータなどのユーザ機器において、ユーザが印刷を指示した場合に、当該印刷に係る出力コストを表示画面に表示して提示し、ユーザに印刷続行または印刷中止を選択させる技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
この従来の技術によれば、印刷を開始する前に出力コストを提示することで、ユーザに対して印刷コストの削減意識を芽生えさせ、出力先や印刷設定(カラー印刷、モノクロ印刷、記録用紙などの出力形態の設定)の変更をユーザに対して促すことができ、それにより、出力コストの削減を図ることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、出力先の変更や印刷設定の見直しはユーザに委ねられているため、必ずしもシステム管理者が意図した出力コストの削減を図ることができないという課題がある。また、上記従来の技術にあっては、出力コストの削減を図るために出力先や印刷設定を変更する場合、ユーザに対して手間を掛けてしまうという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ユーザに対して手間を掛けることなく、システム管理者の意図に従って出力コストを低減することが可能な情報処理装置、プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、所定の条件に基づいて、第1の出力データの出力設定を制御するための条件情報を保持する保持手段と、前記第1の出力データを所定のデータ量に分割した第2の出力データを受信する受信手段と、所定のデータ量の前記第2の出力データと前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定する第1の判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザに対して手間を掛けることなく、システム管理者の意図に従って印刷ジョブに係る出力コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、印刷サーバ装置やクライアント端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、レーザプリンタとして構成される画像形成装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、複合機(MFP)として構成される画像形成装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、各装置の機能構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図6は、コスト情報テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図7】図7は、ルール情報テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図8】図8は、印刷サーバ装置の処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、印刷データの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0010】
最初に、本実施形態に係る情報処理システム1の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、この情報処理システム1は、印刷サーバ装置2と、複数のクライアント端末装置3(図1の例では、2台)と、複数の画像形成装置4(図1の例では、3台)とを備え、それら各装置がLAN(Local Area Network)などのネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】
ここで、印刷サーバ装置2は、印刷サーバのアプリケーションが動作する装置であり、
一または複数の印刷データにより構成される印刷ジョブの管理を行い、印刷ジョブを構成する印刷データを画像形成装置4に送信して印刷ジョブを実行させる装置である。
【0013】
クライアント端末装置3は、ユーザが利用する端末装置であり、ユーザの印刷指示に基づいて印刷ジョブを構成する一または複数の印刷データを印刷サーバ装置2に送信するための端末装置である。このクライアント端末装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)や、携帯型の情報端末などで構成される。
【0014】
画像形成装置4は、印刷サーバ装置2から受信した印刷データに基づいて記録用紙などの記録媒体に画像を形成(印刷)することが可能な画像形成装置である。
【0015】
この情報処理システム1では、画像形成装置4Aが、レーザプリンタ(LP)として構成され、画像形成装置4Bおよび画像形成装置4Cが、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ(FAX)機能およびプリンタ(印刷)機能のうちの少なくとも2つ以上の機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripherals)として構成されている。なお、以下、特定しない画像形成装置を単に画像形成装置4と称する。
【0016】
また、この情報処理システム1では、クライアント端末装置3A、クライアント端末装置3Bおよび画像形成装置4Aが、オフィススペース(セグメント)に設置され、画像形成装置4Bおよび画像形成装置4Cが、プリントルームスペース(セグメント)に設置されている。即ち、画像形成装置4Aは、クライアント端末装置3Aおよびクライアント端末装置3Bと近い場所に設置されており、他方、画像形成装置4Bおよび画像形成装置4Cは、クライアント端末装置3Aおよびクライアント端末装置3Bと離れた場所に設置されている。
【0017】
次に、情報処理システム1を構成する印刷サーバ装置2、クライアント端末装置3および画像形成装置4のハードウェア構成について図2〜図4を用いて説明する。
【0018】
図2は、印刷サーバ装置2やクライアント端末装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、印刷サーバ装置2やクライアント端末装置3は、PCなどの一般的なコンピュータを利用したハードウェア構成となっており、例えば、制御部21と、通信I/F22と、I/O機器制御部23とを備え、それらがバスB1によって接続されている。
【0020】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有して構成されている。
【0021】
また、制御部21には、バスB1およびI/O機器制御部23を介して、操作装置(例えば、キーボードやマウスなど)24、表示装置(例えば、液晶ディスプレイなど)25、外部記憶装置(例えば、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)など)26などが接続されている。
【0022】
即ち、この制御部21は、CPUがROMや外部記憶装置26などに格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、I/O機器制御部23を介して接続される機器の動作を制御するとともに、通信I/F22、ネットワークNを介して接続される他の装置との間で各種データを送受信する動作を制御するものである。
【0023】
図3は、レーザプリンタで構成される画像形成装置4Aの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、画像形成装置4Aは、例えば、制御部41と、メモリ42と、操作表示部43と、画像出力装置44と、外部通信装置45とを備えている。
【0025】
制御部41は、画像形成装置4A全体の制御、即ち、描画処理や、通信処理や、操作表示部43に対する操作入力及び表示処理などの各種処理を制御するものである。そして、この制御部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有して構成される。
【0026】
メモリ42は、外部通信装置45でネットワークNを介して受信した印刷データや、展開された画像データなどを一時記憶するための記憶装置である。
【0027】
操作表示部43は、画像形成装置4Aの各種機能を利用するための操作方法を表示するとともに、ユーザからの操作入力を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0028】
画像出力装置44は、上記メモリ42に記憶された印刷データなどに基づいて、画像を記録紙などの記録媒体に形成する。
【0029】
外部通信装置45は、外部との通信を行う装置であり、IEEE1394やLANなどの通信機能を有する。
【0030】
図4は、複合機(MFP)で構成される画像形成装置4Bや画像形成装置4Cの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
図4に示すように、画像形成装置4Bや画像形成装置4Cは、上記したレーザプリンタで構成される画像形成装置4Aのハードウェア構成と略同様の構成である制御部41、メモリ42、操作表示部43、画像出力装置44および外部通信装置45に、HDD46や画像入力装置47を追加した構成となっている。
【0032】
ここで、制御部41は、画像形成装置4Bや画像形成装置4C全体の制御、即ち、描画処理や、通信処理や、操作表示部43に対する操作入力及び表示処理などの各種処理を制御するものである。そして、この制御部41は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを有して構成される。
【0033】
メモリ42は、外部通信装置45でネットワークNを介して受信した印刷データや、展開された画像データなどを一時記憶するための記憶装置である。
【0034】
操作表示部43は、画像形成装置4Bや画像形成装置4Cの各種機能を利用するための操作方法を表示するとともに、ユーザからの操作入力を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0035】
画像出力装置44は、画像の出力を行う装置であり、画像入力装置47で入力された画像などによって生成された画像データ(印刷データ)に基づいて、画像を記録紙などの記録媒体に形成する。
【0036】
外部通信装置45は、外部との通信を行う装置であり、IEEE1394や、USBや、LANなどの通信機能を有する。
【0037】
HDD46は、外部通信装置45で受信した印刷データを格納保存するための記憶装置である。
【0038】
画像入力装置47は、画像の入力を行う装置であり、例えば、スキャナとして構成されて、原稿台にセットされた原稿の画像を読み取って入力する。
【0039】
次に、情報処理システム1を構成する各装置の機能構成について図5を用いて説明する。図5は、各装置の機能構成を説明するためのブロック図である。
【0040】
印刷サーバ装置2の制御部21(CPU)は、ROMや外部記憶装置(HDD)26などに格納される所定の制御プログラムをRAMなどに展開して実行することにより、図5に示すように、後述の図8に示す処理手順を実行する、ジョブ受信部20aと、ジョブ解析部20bと、テーブル記憶部20cと、ルール情報取得部20dと、コスト情報取得部20eと、ジョブ制御判定部20fと、ジョブ編集部20gと、ジョブ送信部20hと、ジョブ制御結果通知部20iとして機能する。
【0041】
ここで、ジョブ受信部20aは、クライアント端末装置3からの印刷ジョブ(Job)を受信する。
【0042】
ジョブ解析部20bは、出力コストの低減のための所定条件を満たした場合に、上記ジョブ受信部20aが受信した印刷ジョブの属性情報を解析する。
【0043】
テーブル記憶部20cは、各画像形成装置4の印刷ジョブに係る出力コストを算出するための、例えば、1枚当たりの単価を示すコスト情報を保持するコスト情報テーブルT1(図6参照)や、印刷制御方法を定義するルール情報を保持するルール情報テーブルT2(図7参照)などを、外部記憶装置(HDD)26から読み出してRAM上のテーブル格納領域に記憶する。
【0044】
図6は、コスト情報テーブルT1の一構成例を示す模式図である。
【0045】
図6に示すように、この図の例では、コスト情報テーブルT1は、画像形成装置4ごとの、A4未満の記録用紙を使用したモノクロ印刷を実行した場合の出力コスト(1枚当たりの単価)と、A3以上の記録用紙を使用したモノクロ印刷を実行した場合の出力コスト(1枚当たりの単価)と、A4未満の記録用紙を使用したカラー印刷を実行した場合の出力コスト(1枚当たりの単価)と、A3以上の記録用紙を使用したカラー印刷を実行した場合の出力コスト(1枚当たりの単価)とをコスト情報として登録している。
【0046】
そして、このコスト情報テーブルT1では、画像形成装置4Aの出力コストが一番低く、画像形成装置4Cの出力コストが一番高いことを示している。
【0047】
図7は、ルール情報テーブルT2の一構成例を示す模式図である。
【0048】
図7に示すように、この図の例では、ルール情報テーブルT2は、グループ別に、出力コストの低減のための所定条件と該所定条件を満たした場合の処理(変更内容)とを対応付けて登録している。具体的には、ルール情報テーブルT2は、グループAに所属するユーザに係る印刷ジョブが所定条件「出力コストがX以上」を満たした場合に当該印刷ジョブに係る印刷データを画像形成装置4Aに送信するというルールと、グループBに所属するユーザに係る印刷ジョブが所定条件「出力コストがY以上」を満たした場合に当該印刷ジョブに係る印刷データを画像形成装置4Bに送信するというルールと、グループCに所属するユーザに係る印刷ジョブが所定条件「(使用する)アプリ名がZ」を満たした場合に当該印刷ジョブに係る属性(出力形態)を強制的にモノクロ印刷で且つ両面印刷に変更するというルールとをルール情報として登録している。
【0049】
なお、図6および図7に示すコスト情報テーブルT1およびルール情報テーブルT2の内容は、システム管理者が所定の情報端末を用いて任意に設定することが可能となっている。
【0050】
図5に戻って、ルール情報取得部20dは、出力コストの低減のための所定条件を満たした場合に、ルール情報テーブルT2からルール情報を取得する。
【0051】
コスト情報取得部20eは、出力コストの低減のための所定条件を満たした場合に、コスト情報テーブルT1からコスト情報を取得する。
【0052】
ジョブ制御判定部20fは、ジョブ解析部20bの解析結果であるジョブ解析情報と、ルール情報取得部20dが取得したルール情報と、コスト情報取得部20eが取得したコスト情報とに基づいて、ジョブ受信部20aが受信した印刷ジョブの印刷制御方法を判定する。
【0053】
ジョブ編集部20gは、ジョブ制御判定部20fにより印刷ジョブの属性の変更が必要と判定された場合に、ジョブ受信部20aが受信した印刷ジョブの属性を編集する。
【0054】
ジョブ送信部20hは、ジョブ制御判定部20fにより印刷ジョブの出力先が決定した場合に、上記出力先が決定した印刷ジョブを該当する画像形成装置4に送信する。
【0055】
ジョブ制御結果通知部20iは、出力先や出力態様を変更した旨を通知するための制御結果をクライアント端末装置3に送信する。
【0056】
また、クライアント端末装置3の制御部21(CPU)は、ROMや外部記憶装置(HDD)26などに格納される所定の制御プログラムをRAMなどに展開して実行することにより、図5に示すように、ジョブ送信部30aと、制御結果受信部30bと、制御結果通知部30cとして機能する。
【0057】
ここで、ジョブ送信部30aは、ユーザの印刷指示に基づいて印刷サーバ装置2に印刷ジョブを構成する印刷データを送信する。
【0058】
制御結果受信部30bは、印刷サーバ装置2から上記制御結果を受信する。
【0059】
制御結果通知部30cは、制御結果受信部30bが受信した上記制御結果を表示装置25などを用いてユーザに認識させる通知処理を行う。
【0060】
また、画像形成装置4A(LP)の制御部41は、ROMなどに格納される所定の制御プログラムをRAMなどに展開して実行することにより、図5に示すように、ジョブ受信部40aとして機能する。
【0061】
ここで、ジョブ受信部40aは、ネットワークNを介して印刷ジョブを受信する。
【0062】
また、画像形成装置4B(MFP)や画像形成装置4C(MFP)の制御部41は、ROMなどに格納される所定の制御プログラムをRAMなどに展開して実行することにより、図5に示すように、ジョブ受信部40bと、ジョブ保存部40cとして機能する。
【0063】
ここで、ジョブ受信部40bは、ネットワークNを介して印刷ジョブを受信する。
【0064】
ジョブ保存部40cは、上記ジョブ受信部40bで受信した印刷ジョブをHDD46などに保存する。
【0065】
次に、印刷サーバ装置2における処理動作について図8および図9を用いて説明する。
【0066】
図8は、印刷サーバ装置2の処理動作の手順を示すフローチャートである。
【0067】
図8に示すように、まず、印刷サーバ装置2のジョブ受信部20aが、クライアント端末装置3から送信されてくる印刷データ(図9参照)を受信する(ステップS1)。なお、ここでいう印刷データとは、一つの印刷ジョブを構成する印刷データのことであり、ネットワーク(またはシステム)のルールに従いデータ量によって複数に分割される印刷データ各々のことである。ただし、送信する印刷データのデータ量が少なければ、分割されずに送信される可能性もある。
【0068】
図9は、印刷データの構造を示す模式図である。図9に示すように、印刷データは、大きく分けて、二つの性質のデータ部に分類できる。即ち、印刷データは、印刷条件などの属性情報を格納するジョブデータ部(第1のデータ領域)と、記録用紙などの記録媒体に印刷される内容情報を格納するページデータ部(第2のデータ領域)とから構成される。上記属性情報には、例えば、ジョブ名やアプリ名を示すデータや、両面印刷の有無を示すデータや、ユーザ名や所属グループを示すデータなどが含まれている。通常、クライアント端末装置3から印刷データが送信されるときは、所定のデータ量ずつ、ジョブデータ部からページデータ部の順に送信される。
【0069】
図8に戻って、ステップS1で印刷データを受信すると、続いて、ジョブ解析部20bが印刷データのジョブデータ部を解析して、ジョブデータ部に含まれるユーザ名または所定グループ名を取得し、ルール情報取得部20dが、ジョブ解析部20bが取得したユーザ名または所属グループ名をキーにしてルール情報テーブルT2を検索し、当該ユーザ名または所属グループ名に対応付けられている該当ルール(即ち、当該受信した印刷データに対して適用すべきルール)を検索し、該当ルールが有るか否かを判定する(ステップS2)。
【0070】
なお、ステップS2において、受信した印刷データに、ユーザ名または所属グループ名が含まれておらず、ユーザ名または所属グループ名が取得できない場合は、クライアント端末装置3から次の印刷データ(未だ送信していない所定のデータ量の印刷データ)を受信するためステップS1に戻る。また、一つの印刷ジョブに係る2回目以降の印刷データの受信時には、該当ルールの検索は済んでいるので、上記抽出処理はスキップされてよい。
【0071】
上記ステップS2の検索により、該当ルールが有った場合には(ステップS2:Yes)、ジョブ制御判定部20fが、該当ルールに基づいて印刷データにルールを適用するか否かを判定するためにジョブ解析が必要か否かの判定を行う(ステップS3)。
【0072】
具体的には、ステップS3の処理では、ジョブ制御判定部20fは、該当ルールが、ジョブ名/アプリ名に関するルール(条件および処理){例えば、図7のルール情報テーブルT2のグループCに対応付けられているルール(条件「アプリ名がZ」、処理「モノクロ/両面印刷に変更」など)}である場合、ジョブ解析によって取得する情報(アプリ名)があるため、ジョブ解析が必要であると判定する。また、該当ルールが、出力コストなどに関するルール{例えば、図7のルール情報テーブルT2のグループAに対応付けられているルール(条件「出力コストがX以上」、処理「画像形成装置4Aに送信」など)}の場合、ジョブ解析によって取得する情報(片面/両面、カラー/モノクロ、部数など)があるため、ジョブ解析が必要であると判定する。他方、ジョブデータ部の解析を必要としないルール{例えば、ページデータの内容に関するルール(条件「ページデータに画像が無い(文字のみ)」、処理「モノクロ」など)}である場合、ジョブ解析が不要であると判定する。
【0073】
上記ステップS3の判定の結果、ジョブ解析が必要であると判定された場合には(ステップS3:Yes)、続いて、ジョブ解析部20bが、当該受信した印刷データ内のジョブデータ部(属性情報)を解析し、ルールにおける条件を判定するために必要な情報(アプリ名)を取得する(ステップS4)。
【0074】
具体的には、該当ルールが、ジョブ名/アプリ名に関するルール(条件および処理){例えば、図7のルール情報テーブルT2のグループCに対応付けられているルール(条件「アプリ名がZ」、処理「モノクロ/両面印刷」など)}である場合、ステップS4の処理では、ジョブ解析部20bは、当該受信した印刷データのジョブデータ部の@PJL SET JOBNAME(図9参照)を解析して、ジョブ名/アプリ名を取得する。
【0075】
なお、ジョブ解析部20bは、受信した印刷データからジョブデータ部の解析が出来なかった場合、つまり、ジョブデータ部のうち解析すべき部分の印刷データが全て受信されていない場合には、ジョブ解析が未完了である旨の結果を返して解析を終了する。当該結果はメモリなどに一時的に保管されればよい。
【0076】
上記ステップS3の判定の結果、ジョブ解析が不要であると判定された場合(ステップS3:No)や上記ステップS4の解析処理後、続いて、ジョブ制御判定部20fが、該当ルールに基づいて印刷データにルールを適用するか否かを判定するためにページ解析が必要であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0077】
具体的には、ステップS5の処理では、ジョブ制御判定部20fは、該当ルールが、コストに関するルール(条件および処理)である場合に、ページ解析によって取得する情報(ページ数など)があるため、ページ解析が必要であると判定し、他方、該当ルールが、ジョブ名/アプリ名に関するルール(条件および処理){例えば、図7のルール情報テーブルT2のグループCに対応付けられているルール(条件「アプリ名がZ」、処理「モノクロ/両面印刷」など)}である場合に、ページ解析が不要であると判定する。
【0078】
上記ステップS5の判定の結果、ページ解析が必要であると判定された場合には(ステップS5:Yes)、続いて、ジョブ解析部20bが、ルールにおける条件を判定するために必要な情報を取得するため、当該受信した印刷データのページ属性(ページサイズや、ページカラーなど)を解析する(ステップS6)。
【0079】
具体的には、ステップS6の処理では、ジョブ解析部20bは、当該受信した印刷データのページデータ部(図9参照)を解析して、ページ情報を取得する。
【0080】
なお、ジョブ解析部20bは、受信した印刷データからページデータ部の解析が出来なかった場合、つまり、ページデータ部のうち解析すべき部分の印刷データが全て受信されていない場合には、ページ解析が未完了である旨の結果を返して解析を終了する。当該結果はメモリなどに一時的に保管されればよい。
【0081】
続いて、コスト情報取得部20eが、当該受信した印刷データのジョブデータ部などに含まれる、ユーザが出力先として指定した画像形成装置を識別する情報(画像形成装置名など)をキーにしてコスト情報テーブルT1を検索し、当該画像形成装置名に対応付けられているコスト情報{例えば、図6のコスト情報テーブルT1の画像形成装置4Aに対応付けられている情報(A4未満の記録紙を使用したモノクロ印刷1枚当たりの単価「¥1」、A3以上の記録紙を使用したモノクロ印刷1枚当たりの単価「¥5」、A4未満の記録紙を使用したカラー印刷1枚当たりの単価「¥10」およびA3以上の記録紙を使用したカラー印刷1枚当たりの単価「¥20」など)を抽出し、該抽出したコスト情報とステップS6で取得したページ情報とを用いて、当該受信した印刷データの印刷ジョブのコストを算出する(ステップS7)。
【0082】
なお、ステップS6のページ解析においてコストを算出するために必要な情報が全て解析されなかった場合、コスト情報取得部20eは、コストが算出できなかった旨の結果を返して処理を終了する。当該結果はメモリなどに一時的に保管されればよい。
【0083】
また、出力先の画像形成装置を識別する情報が、印刷データのジョブデータ部に含まれておらず、クライアント端末装置3から送信される印刷リクエストに含まれている場合には、印刷リクエストから取得すればよい。
【0084】
上記ステップS5の判定の結果、ページ解析が不要であると判定された場合(ステップS5:No)や上記ステップS7のコスト算出処理後、続いて、ジョブ制御判定部20fが、ステップS4、ステップS6およびステップS7の処理結果をもとに、ジョブ編集が必要であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0085】
具体的には、ステップS8の処理では、ジョブ制御判定部20fは、該当ルールが、ジョブ名/アプリ名に関するルール(条件および処理)であり、且つ、ステップS4のジョブ解析により取得された情報がルールに当てはまる場合に、ジョブ編集が必要であると判定し、他方、該当ルールが、ジョブ名/アプリ名などに関するルール以外である場合には、ジョブ編集が不要であると判定する。
【0086】
例えば、上記ステップS8において、ジョブ制御判定部20fは、該当ルールが、図7のルール情報テーブルT2のグループCに対応付けられているルール(条件「アプリ名がZ」、処理「モノクロ/両面印刷に変更」など)である場合に、ステップS4で判定を行うための情報が取得されたか否か(ジョブデータ部からアプリ名が取得できたか否か)を判断し、取得できた場合にその情報からルールを満たしているか(ジョブデータ部から取得したアプリ名がZであるか)を判断する。
【0087】
そして、ルールを満たしている場合はジョブ編集が必要であると判定し、情報が取得できない場合、ルールを満たしていない場合、或いは、受信した印刷データが不足している場合(つまり、ジョブ編集を行いたい部分の印刷データが未だ受信されていない場合)にはジョブ編集が不要と判定する。また、上記ステップS8において、ジョブ制御判定部20fは、該当ルールが、図7のルール情報テーブルT2のグループAに対応付けられているルール(条件「出力コストがX以上」、処理「画像形成装置4Aに送信」など)の場合には、ジョブ編集が不要であると判定する。
【0088】
上記ステップS8の判定の結果、ジョブ編集が必要であると判定された場合(ステップS8:Yes)、続いて、ジョブ編集部20gが、当該受信した印刷データのジョブ属性を編集する(ステップS9)。
【0089】
具体的には、ステップS9の処理では、ジョブ編集部20gは、当該受信した印刷データのジョブデータ部の@PJL SET DUPLEXの設定をOFFからONに変更するとともに、@PJL SET DATAMODEの設定をCOLORからMONOCHROMEに変更する。
【0090】
上記ステップS8の判定の結果、ジョブ編集が不要であると判定された場合(ステップS8:No)や上記ステップS9の処理が終了した場合に、ジョブ制御判定部20fが、ステップS4、ステップS6およびステップS7の結果をもとに、印刷ジョブの送信先の変更が必要であるか否かを判定する(ステップS10)。
【0091】
具体的には、ステップS10の処理では、ジョブ制御判定部20fは、ステップS2で検索された該当ルールが、コストに関するルールであった場合に、ステップS7で算出された出力コストが当該コストに関するルールに含まれる所定条件(例えば、出力コストがX以上)を満たし、且つ、ユーザにより指定された出力先の画像形成装置が当該コストに関するルールに含まれる処理(例えば、画像形成装置4Aに送信)で定義される画像形成装置より出力コストが高い場合などに、印刷ジョブの送信先の変更が必要であると判定する。
【0092】
そして、上記ステップS10の判定の結果、印刷ジョブの送信先の変更が必要であると判定された場合(ステップS10:Yes)、ジョブ送信部20hが、印刷ジョブの送信先を変更する(ステップS11)。例えば、このステップS11の処理では、ステップS2で検索されたコストに関するルールに含まれる処理で定義される画像形成装置などに出力先を変更する。
【0093】
上記ステップS10の判定の結果、印刷ジョブの送信先の変更が不要であると判定された場合(ステップS10:No)や上記ステップS11の送信先変更処理後、続いて、ジョブ制御判定部20fが、未適用のルールが存在するか否かを判定する(ステップS12)。
【0094】
ここで、「未適用のルールが存在する」とは、後続の印刷データの解析が済んでいないため該当ルール適用が完了していない状態を指す。例えば、ステップS2で検索された該当ルールが、ページ解析が必要なルール、即ち、コストに関するルールであった場合に、ステップS1で受信した印刷データのみではルール適用是非が判断つかないため、未だ受信していない印刷データを受信して印刷データを解析しなければならない場合がある。
【0095】
つまり、本発明の印刷サーバ装置2は、クライアント端末装置3から所定のデータ量ずつ印刷データを受信してルール適用の判定を行う。そのため、所定のデータ量の印刷データを受信した時点では、ルール適用の判定を行うために必要な情報が全て取得できない場合がある。
【0096】
即ち、本発明の印刷サーバ装置2は、ステップS4或いはステップS6において解析が未完了であった場合には、ルール適用の判定を行うために必要な情報が全て取得できておらず、ルール適用是非が判断つかないため、クライアント端末装置3から未だ受信していない後続の印刷データを受信する必要がある。
【0097】
そして、上記ステップS12の判定の結果、未適用のルールが有ると判定された場合(ステップS12:Yes)、続いて、ジョブ送信部20hが、今回受信した印刷データを外部記憶装置(HDD)26に一時保存する(ステップS13)。続いて、印刷サーバ装置2は、後続データが有るか(クライアント端末装置3から未だ受信していない印刷データがあるか)を判定し(ステップS19)、後続の印刷データがあると判定された場合(ステップS19:Yes)、後続の印刷データ(所定のデータ量の未だ受信していない印刷データ)を受信し(ステップS1)、受信した印刷データに基づいて、再度ステップS2以降の処理を行う(但し、ステップS2、ステップS3、ステップS5の判定はすでに行われているため、判定結果を継承してスキップしてもよい)。
【0098】
なお、後続の印刷データとステップS13において保存した印刷データとを合わせた印刷データで、再度ステップS2以降の処理を行うようにしてもよい。また、ステップS13における印刷データの保存先は、印刷サーバ装置2に搭載される外部記憶装置(HDD)26やメモリ(不図示)などであっても構わない。
【0099】
一方、後続のデータがない(クライアント端末装置3から印刷データを全て受信した)と判定された(ステップS19:No)、印刷データをルール適用外のものと判断し、ステップS18において、印刷データを送信する。
【0100】
一方、上記ステップS12の判定の結果、未適用のルールが無いと判定された場合(ステップS12:No)、続いて、ジョブ制御判定部20fが、出力先や出力態様の変更をユーザに通知するための制御結果をクライアント端末装置3に送信済みであるか否かを判定する(ステップS14)。
【0101】
上記ステップS14の判定の結果、送信済みであると判定された場合には(ステップS14:Yes)、ジョブ送信部20hが、当該印刷ジョブに係る一時保存された印刷データ(即ち、ステップS13において保存された印刷データ)があるか否かを判定する(ステップS16)。
【0102】
上記ステップS16の判定の結果、保存された印刷データがあると判定された場合には(ステップS16:Yes)、ジョブ送信部20hが、保存された印刷データを外部記憶装置(HDD)26から読み出す(ステップS17)。
【0103】
上記ステップS16の判定の結果、保存された印刷データが無いと判定された場合(ステップS16:No)や上記ステップS17の読み出し処理後、続いて、後続データが有るか(クライアント端末装置3から未だ受信していない印刷データがあるか)を判定し(ステップS20)、後続の印刷データがあると判定された場合(ステップS20:Yes)、ジョブ受信部20aが、クライアント端末装置3から送信される後続の印刷データ(所定のデータ量の未だ受信していない印刷データ)を受信し(ステップS21)、ステップS20に戻る。
【0104】
つまり、クライアント端末装置3から印刷データが全て送信されるまで(後続の印刷データがないと判定されるまで)所定のデータ量の印刷データの受信を繰り返す。
【0105】
そして、後続の印刷データがないと判定された場合(ステップS20:No)、クライアント端末装置3から印刷サーバ装置2に印刷データが全て送信されたため、ジョブ送信部20hが、印刷データ(ステップS1およびステップS21で受信した印刷データまたはステップS17で読み出した印刷データと当該受信した印刷データ)を出力先に指定された画像形成装置4に送信し(ステップS18)、送信が終了した後、ここでの処理を終了する。
【0106】
ここで、図8に示すフローチャートの具体的な処理手順の一例について説明する。
【0107】
最初に、印刷サーバ装置2が、グループCに所属するユーザの印刷指示に基づき、クライアント端末装置3からアプリ名がZのアプリを使用する印刷ジョブであって、出力先として画像形成装置4Bが指定されている印刷ジョブ(JOBC)を構成する印刷データを受信する場合の処理手順について説明する。
【0108】
この場合、印刷サーバ装置2は、ステップS1において、印刷ジョブ(JOBC)を構成する最初の印刷データを受信すると、ステップS2において、その印刷データのジョブデータ部から抽出されたグループ名(グループC)に基づいて、ルール情報テーブルT2から該当ルールとして、条件「アプリ名がZ」および処理「モノクロ/両面印刷に変更」が抽出される。
【0109】
そして、ステップS3において、印刷サーバ装置2は、ジョブ解析が必要であると判定し、続いて、ステップS4において、ジョブ属性を解析する。続いて、ステップS5において、印刷サーバ装置2は、ページ解析が不要と判定し、続いて、ステップS8において、ジョブ編集が必要であると判定し、ステップS9において、当該受信した印刷データに係る印刷ジョブの属性情報を編集し、モノクロ印刷および両面印刷を実行するための属性情報に変更する。
【0110】
続いて、ステップS10において、印刷サーバ装置2は、送信先の変更が不要であると判定し、続いて、ステップS12において、未適用ルールが無いと判定し、続いて、ステップS14において、ジョブ制御判定結果を送信していないと判定し、続く、ステップS15において該当するクライアント端末装置3に対してジョブ制御判定結果、即ち、モノクロ印刷および両面印刷を実行する出力形態に変更されたことをユーザに通知するための情報を送信する。
【0111】
続いて、ステップS16において、印刷サーバ装置2は、保存された印刷データが無いと判定し、続くステップS20においてクライアント端末装置3から未だ送信されていない残りの印刷データを受信して、ステップS18において、当該受信した印刷データを出力先に指定されている画像形成装置4Bに送信して処理を終了する。
【0112】
次に、印刷サーバ装置2が、グループAに所属するユーザから出力コストがX以上となり、且つ、出力先として画像形成装置4Bが指定されている印刷ジョブ(JOBA)を構成する印刷データを受信する場合の処理手順について説明する。
【0113】
この場合、印刷サーバ装置2は、ステップS1において、印刷ジョブ(JOBA)を構成する最初の印刷データを受信すると、ステップS2において、その印刷データのジョブデータ部から抽出されたグループ名(グループA)に基づいて、ルール情報テーブルT2から該当ルールとして、条件「出力コストがX以上」および処理「画像形成装置4Aに送信」が抽出される。
【0114】
そして、ステップS3において、印刷サーバ装置2は、ジョブ解析が必要であると判定し、続いて、ステップS4において、ジョブ属性を解析する。続いて、ステップS5において、印刷サーバ装置2は、ページ解析が必要であると判定し、続いて、ステップS6において、ページ属性を解析し、その後、ステップS7において、コストの算出を試みる(ここでは、算出できなかったものとする)。
【0115】
続いて、ステップS8において、ジョブ編集が不要であると判定し、続いて、ステップS10において、印刷サーバ装置2は、コスト算出ができなかったため一旦、送信先の変更が不要であると判定し、後続の印刷データを受信してみないと上記抽出されたルールが適用できないため、続く、ステップS12において、未適用ルールが有ると判定し、その後、ステップS13において、当該受信した印刷データを一時保存する。
【0116】
その後、印刷サーバ装置2は、ステップS19において、後続の印刷データが有ると判定し、ステップS1で後続の印刷データを受信して、コストが算出されるまでステップS3〜ステップS13→ステップS19の処理を繰り返し行う(この場合、ステップS2はスキップされる)。
【0117】
そして、ステップS7においてコストが算出されると、ステップS10において、ステップS7で算出された当該印刷ジョブ(JOBA)の総出力コストがX以上であると判定した場合、ステップS11において、当該印刷ジョブ(JOBA)を構成する印刷データの属性情報に含まれる出力先の画像形成装置を、ステップS2において抽出された条件に含まれる処理で定義される画像形成装置4Aに変更する。
【0118】
その後、印刷サーバ装置2は、ステップS12において、未適用ルール無しと判定し、続くステップS14において、ジョブ制御判定結果を送信していないと判定し、続くステップS15において、該当するクライアント端末装置3に対して制御結果、即ち、出力先を画像形成装置4Aに変更したことをユーザに通知するための情報を送信する。
【0119】
続いて、ステップS16において、印刷サーバ装置2は、保存された印刷データが有ると判定し、続くステップS17において、保存された印刷データを読出して当該受信した印刷データと結合し、その後、ステップS20においてクライアント端末装置3から受信した未だ送信されていない残りの印刷データを結合し、その後、ステップS18において、結合した印刷データを出力先に指定されている画像形成装置4Aに送信し、処理をステップS19に移行させる。
【0120】
即ち、以上説明した実施形態によれば、印刷ジョブが所定条件に合致したら、出力先となる画像形成装置をより出力コストの低い画像形成装置に自動的に変更したり、ジョブ属性をより出力コストが低くなる設定(モノクロ/両面印刷)に自動的に変更するように構成したため、ユーザに対して手間を掛けることなく、システム管理者の意図に従って印刷ジョブに係る出力コストを低減することができる。
【0121】
また、上記した実施形態によれば、ルール情報テーブルT2に登録するルール情報として、印刷ジョブの出力コストに関する条件以外にも、印刷ジョブの属性(アプリ名や文書名など)に関する条件を含ませているため、メール、テキストエディタ、ブラウザ印刷など、カラー/片面印刷の必要性が低い印刷ジョブの属性情報の設定を、強制的にモノクロ/両面印刷の設定に変更することができ、それによってもコスト削減を図ることが可能である。また、抽出した該当ルールがアプリ名などを示すルールであれば先頭の印刷データのジョブ情報解析のみで済むため、ファーストプリント性能を犠牲にしなくて済む。
【0122】
また、上記した実施形態によれば、印刷データを全て受信する前に、ルール適用の判定を行い、ルール適用の判定のために必要な情報を受信した段階で、ルール適用の可否が決定されるため、印刷データを全て受信してからルール適用の判定を行わなくてもよいため、迅速にルール適用の可否を決定することができる。
【0123】
一般に、クライアント端末装置3は印刷データが全て送信されるまで、連続的に所定のデータ量の印刷データを送信し続ける。つまり、印刷データの送信とルール適用可否の判定は非同期かつ並行的に実行されているため、印刷サーバ装置2において後続データが有るか否かを判定するよりも先に、クライアント端末装置3はすでに次の後続データを送信し終えている場合が考えられる。このとき、クライアント端末装置3から送信された後続データは印刷サーバ装置2の所定の記憶領域に保存されるため、印刷サーバ装置2は後続データを記憶領域から取り出すこととなるが、本実施形態においては、説明の便宜上、このようなデータについても、クライアント端末装置3から未だ受信していない印刷データとして説明した。
【0124】
なお、本発明は出力の対象となる印刷データを全て受信する前に、印刷データに対するルールの適用可否を判定することで、処理を効率的に行える効果を奏する。従って、上記した実施形態に限るものではなく、出力の対象となる出力データに対する制限(或いは制御)の要否を判定するためのルールを保持し、出力の対象となる出力データを受信して、出力データとルールに基づいて出力データに対する制限の要否を判定し、必要に応じて制限を適用した上で出力データを提供(或いは利用)するような利用形態においても適用することが可能であり、その適用範囲は印刷データに限るものではない。
【0125】
例えば、プロジェクタなどの投影装置に出力データを出力(表示)する際に、何らかのルール(例えば、ユーザに応じて、ページデータのうち「極秘」と記載されるページについては表示させないなど)に基づき、出力の制限可否を判定するような場合にも本発明を利用することは可能である。
【0126】
なお、上記した実施形態では、印刷サーバ装置2が、情報処理装置として図8に示す処理手順を実行する形態について説明したが、これに限定されず、複合機(MFP)としての画像形成装置4B、4Cや、クライアント端末装置3などのその他の情報処理装置で同様の処理を実行させるように構成することも可能である。
【0127】
また、上記した実施形態では、印刷データを一旦印刷サーバ装置2に送信する形態について説明したが、これに限定されず、クライアント端末装置3から画像形成装置4に直接送信するような形態とすることも可能である。
【0128】
また、上記した実施形態では述べていないが、印刷ジョブの出力先を複合機(MFP)である画像形成装置に変更する場合、その画像形成装置(MFP)において印刷サーバ装置2から送られてきた印刷ジョブをジョブ保存部40cにより保存させ、蓄積印刷を行わせるように構成することも可能である。
【0129】
また、上記した実施形態では述べていないが、印刷ジョブの蓄積または出力をシステム管理者が選択設定可能なように構成することも可能である。
【0130】
また、上記した実施形態では、ルール情報テーブルT2がグループ名に対応付けてルール(条件および処理)を登録する形態について説明したが、これ以外にも、ユーザ名に対応付けてルール(条件および処理)を登録するような形態とすることも可能である。また、上記ルール情報テーブルT2において、例外ルール(例外ユーザ/グループ条件、例外ジョブ条件など)を定義するように構成しても良い。これにより、運用に柔軟性を持たせることができる。
【0131】
また、上記した実施形態では、クライアント端末装置3から所定のデータ量の印刷データを受信するたびに、ルール適用の判定処理を行っていたが、印刷データのうちジョブデータ部を全て受信するまでステップS1を繰り返し、ジョブデータ部を全て受信した段階で最初の判定を行い、未適用ルールがあった場合に残りの印刷データ、つまりページデータを全て受信するまでステップS1を繰り返し、印刷データが全て揃った段階で2回目の判定を行うようにしてもよい。
【0132】
また、上記した実施形態では、情報処理システム1が、画像形成装置4として、1台のレーザプリンタ(LP)(即ち、画像形成装置4A)と、2台の複合機(MFP)(即ち、画像形成装置4B、4C)とを備え、2台のクライアント端末装置3を備える形態について説明したが、これに限定されず、各装置の台数は任意に変更することが可能である。
【0133】
また、上記した実施形態における処理手順を実行するプログラムは、印刷サーバ装置2や画像形成装置4のROMやHDDなどの記憶部に予め組み込んで提供することが可能である。また、前述のプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶して提供することが可能である。更に、前述のプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0134】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1 情報処理システム
2 印刷サーバ装置(情報処理装置)
3 クライアント端末装置(情報処理装置)
4 画像形成装置(情報処理装置)
N ネットワーク
21 制御部
20a ジョブ受信部(受信手段)
20b ジョブ解析部(解析手段)
20c テーブル記憶部(保持手段)
20d ルール情報取得部(取得手段)
20e コスト情報取得部(取得手段)
20f ジョブ制御判定部(第1の判定手段、判断手段、第2の判定手段)
20g ジョブ編集部(設定手段)
20h ジョブ送信部(送信手段、設定手段)
20i ジョブ制御結果通知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】
【特許文献1】特開2003−228474号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件に基づいて、第1の出力データの出力設定を制御するための条件情報を保持する保持手段と、
前記第1の出力データを所定のデータ量に分割した第2の出力データを受信する受信手段と、
所定のデータ量の前記第2の出力データと前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定する第1の判定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段による判定が終了したか否かを判断する判断手段を備え、
前記受信手段は、
前記第2の出力データを受信した後で、前記第1の出力データを所定のデータ量に分割した第3の出力データを受信し、
前記第1の判定手段は、
前記判断手段により判定が終了していないと判断された場合に、前記受信手段により受信した前記第3の出力データと前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段により判定が終了したと判断された場合に、前記第3の出力データに対する前記第1の判定手段による判定を行わずに、前記第1の出力データを送信する送信手段を備え、
前記受信手段は、
所定のデータ量ごとに分割して送信される前記第1の出力データを受信することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の判定手段により前記第1の出力データの出力設定を制御すると判定された場合に、前記条件情報に基づき前記第1の出力データの出力設定を設定する設定手段を備え、
前記送信手段は、
前記設定手段により設定された前記出力設定の前記第1の出力データを送信することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受信手段により受信した所定のデータ量の前記第2の出力データに基づいて、前記保持手段が保持する1以上の前記条件情報を取得する取得手段を備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段により取得された前記条件情報に基づき、前記第2の出力データまたは前記第3の出力データから前記第1の判定手段による判定に必要な情報を解析する解析手段を備え、
前記第1の判定手段は、前記第2の出力データまたは前記第3の出力データから前記解析手段により解析された前記情報と前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得手段により取得された前記条件情報に基づき、前記第1の出力データを構成する第1のデータ領域と第2のデータ領域について、前記解析手段によって解析が必要か否かを判定する第2の判定手段を備え、
前記第2の出力データは、前記第1のデータ領域の出力データであり、
前記第3の出力データは、前記第2のデータ領域の出力データであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1のデータ領域は、前記第1の出力データのうち属性情報を構成する領域であり、
前記第2のデータ領域は、前記第1の出力データのうち出力の対象となる出力対象データであることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
所定の条件に基づいて、第1の出力データの出力設定を制御するための条件情報を保持する保持手段から、前記条件情報を取得する取得手段と、
受信手段により受信する前記第1の出力データを所定のデータ量に分割した第2の出力データと前記取得手段により取得した前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定する第1の判定手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項10】
情報処理装置で実行される制御方法であって、
前記情報処理装置は、制御部を有し、
前記制御部において実行される、
前記第1の出力データを所定のデータ量に分割した第2の出力データを受信する受信ステップと、
所定の条件に基づいて、第1の出力データの出力設定を制御するための条件情報を保持する保持手段から、前記条件情報を取得する取得ステップと、
所定のデータ量の前記第2の出力データと前記取得手段により取得した前記条件情報とに基づいて、前記第1の出力データの出力設定を制御するか否かを判定する第1の判定ステップと、
を含む制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−58025(P2013−58025A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195117(P2011−195117)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】