説明

情報処理装置、一括複製方法、およびそのプログラム

【課題】 複数のファイルから構成されている情報群を、その構成している1つのファイルを選択している状態から簡単な操作で、各構成しているファイルをまとめて複製処理するための仕組みを提供する。
【解決手段】 複数のファイルから1つの情報群が構成されている場合に、1つのファイルが選択されている状態で情報群に対する一括コピー指示を受け付けると、該選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを特定し、特定された複数のファイルに対して一括して複製処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
情報処理装置、一括複製方法、およびそのプログラムに関し、特に、1つの情報群を構成する複数のファイルを一括して複製処理する情報処理装置、一括複製方法、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータを用いて資料を作成する場合、1つの事案に対する資料が複数のファイルで構成されることがある。例えば、製品を開発するときの資料では、外部設計書、内部設計書、テスト仕様書など、複数のデータファイルに分かれることがある。
【0003】
そして、パーソナルコンピュータを用いて資料を作成する場合には、3つの作成手順が考えられる。まず1つ目の作成手順は、様式を含めて、なにもない状態から新たに資料を作成する手順である。2つ目の作成手順は、様式を整えたひな形となる資料を作成しておき、複製・編集することで新たな資料として作成する手順である。そして3つ目の作成手順は、既存の類似資料を複製した後、編集することで新たな資料として作成する手順である。
【0004】
ここで、既存の類似資料を複製して編集する場合には、編集する対象の既存の類似資料を1つずつ複製しなければならず、ユーザ操作の手間がかかってしまう。また、資料構成が複雑であれば、ファイル複製作業も煩雑になり、一部のファイルを複製し忘れてしまう場合も発生し得る。
【0005】
また、複製元となった資料に誤りがあり訂正した際、それを複製して作成した資料も同様に修正する必要がある。この場合、複製したファイルにはどのファイルを複製して作成されたのかという記録が残っていないため、操作者であるユーザの記憶をたどって複製元のファイルを修正しなければならない。
【0006】
特許文献1には、流用元の文書を選択して、流用ボタンを押下することで、流用元の文書と流用して作成した文書との関連付けを行い、また、派生した文書を選択して派生元の検索を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−056809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によれば、流用して生成した文書から、流用元の文書の検索が行えるため、複製した文書を修正しているときに、複製元文書を検索して、必要に応じて修正作業を行うことが可能となる。
しかしながら、特許文献1の技術では、1つの文書ファイルについての流用しか考慮していないため、以下の課題が解決できない。
【0009】
まず第1に、資料(情報群)が複数の文書ファイルから構成されている場合には、複製したい文書ファイルを個別に選択して複製しなければならず、操作が煩雑になる。
第2に、資料(情報群)が複数の文書ファイルから構成されている場合には、資料全体としての複製元がどの資料なのかを一括で検索することができない。
第3に、資料(情報群)が複数の文書ファイルから構成されている場合には、資料全体としてのどの資料に複製されたのかを一括で検索することができない。
【0010】
そこで、本発明は、複数のファイルから構成されている情報群を、その構成している1つのファイルを選択している状態から簡単な操作で、各構成しているファイルをまとめて複製処理するための仕組みを提供することを第1の目的とする。
そして、本発明は、情報群がどの情報群から複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる仕組みを提供することを第2の目的とする。
そして、本発明は、情報群がどの情報群に複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる仕組みを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のファイルを記憶している情報処理装置であって、複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を記憶する記憶手段と、1つのファイルが選択されている状態で、当該1つのファイルが構成している情報群に対する一括コピー指示を受け付ける一括コピー指示受付手段と、前記一括コピー指示受付手段により一括コピー指示を受け付けると、前記選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された複数のファイルの複製を行う複製処理手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を設定するファイル構成設定手段を更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記ファイル構成管理情報は、情報群を構成する複数のファイルを特定するためのパスが定義されており、前記ファイル構成設定手段は、複数の情報群に適用される共通のパスとしてファイル構成管理情報を設定するか、個別の情報群に適用される個別のパスとしてファイル構成管理情報を設定するかを切替可能であることを特徴とする。
【0014】
また、前記複製処理手段による複製処理において複製元となる情報群と、複製先となる情報群とを関連付けた複製管理情報を生成する複製管理情報生成手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製元となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製元となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製元検索手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
また、前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製先となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製先となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製先検索手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1の発明によれば、複数のファイルから構成されている情報群を、その構成している1つのファイルを選択している状態から簡単な操作で、各構成しているファイルをまとめて複製処理することができる。
本願の第2の発明によれば、情報群がどの情報群から複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる。
本願の第3の発明によれば、情報群がどの情報群に複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る情報処理装置が備える機能構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】情報処理装置101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置101において、複数のファイルから1つの情報群が関連付けられている概念、ファイル構成管理情報、複製管理情報の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態で情報処理装置に表示されるファイル構成設定画面の一例である。
【図5】本発明の情報処理装置で実行される一括複製処理の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の情報処理装置で実行される一括複製処理における複製先ID指定処理の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図7】本実施の形態で情報処理装置に表示されるファイルの複製指示画面および流用元と流用先を指定するダイアログ画面の一例である。
【図8】本発明の情報処理装置で実行される複製探索処理における複製元探索処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の情報処理装置で実行される複製探索処理における複製先探索処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の情報処理装置に表示される探索結果の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置および一括複製方法およびそのプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る情報処理装置が備える機能構成の一例を示すシステム構成図である。情報処理装置101には、本発明の動作制御を行うソフトウェア処理部102を備えている。
【0021】
ソフトウェア処理部102には、ユーザインタフェース部103、複製処理部104、ファイル構成設定部105、複製管理情報生成部106、複製先検索部110、複製元検索部111の機能構成を備えている。
【0022】
ユーザインタフェース図103は、表示部に対して各画面の表示を行い、また、各画面を介するユーザ操作に応じて指示を受け付ける機能を備えている。各画面を介するユーザ操作とは、具体的にはマウス操作により操作されるカーソルで各画面上の位置を指定し、また、キーボード操作により入力された値をカーソル位置で指定された項目に入力(受付)したり、ボタンを押下したりする操作である。
【0023】
複製処理部104は、ファイルや、フォルダを複製(コピー)する処理であり、RAM上に一時的に複製されたデータを保持することも複製処理に含まれ、また、貼り付け(ペースト)処理することで、ファイルや、フォルダをファイル管理として管理させて外部メモリに記憶する処理も複製処理の一部と考えることもできる。そして、本実施の形態における複製処理部104は、さらに、1つのファイルが選択されている状態で、情報群の複製指示を受け付けると、後述するように、当該1つのファイルに関連付けられている情報群を構成するすべてのファイルやフォルダ(フォルダ内にあるファイル)を一括して複製処理する機能を備えている。
【0024】
ファイル構成設定部105は、複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を設定する機能を備えている(ファイル構成設定手段に相当)。設定されたファイル構成管理情報は、ファイル構成管理情報記憶部108に記憶される。
【0025】
複製管理情報生成部106は、複製処理において複製元となる情報群と、複製先となる情報群とを関連付けた複製管理情報を生成する機能を備えている(複製管理情報生成手段に相当)。設定された複製管理情報は、複製管理情報記憶部109に記憶される。
ファイルデータ107には、複数のファイルが、ディレクトリー構造で保存されている。
【0026】
複製先検索部110は、複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製先となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製先となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする機能を備えている(複製先検索手段に相当)。
【0027】
複製元検索部111は、複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製元となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製元となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする機能を備えている(複製元検索手段に相当)。
【0028】
図2は、情報処理装置101のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、情報処理装置101では、システムバス204を介してCPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208が接続される。
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0029】
ROM203あるいは記憶装置である外部メモリ211は、CPU201が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やOS(Operating System)や、本データ先指定方法を実現するためのコンピュータ読み取り実行可能なプログラムおよび必要な各種データ(データテーブルを含む)を保持している。
【0030】
RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM203あるいは記憶装置である外部メモリ211からRAM203にロードし、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
【0031】
入力コントローラ205は、マウスやキーボード209からの入力を制御する。ビデオコントローラ206は、表示部の一例であるCRT210への表示出力を制御する。メモリコントローラ207は、外部メモリ211に記憶されている情報を読み出しと、外部メモリ211への情報の書き込みを制御する。
【0032】
通信I/Fコントローラ208は、通信回線と接続してデータの送受信の制御を行う。クライアント端末の場合、通信I/Fコントローラ208は、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介するデータの送受信を制御する。
【0033】
なお、外部メモリ211204には、ファイルデータ107、ファイル構成管理情報108、複製管理情報109が格納されているものとする。そして、図4で後述する画面情報や、図5、図6、図8、図9で後述する本発明の一括複製処理の一例を示す各フローチャートを実行するためのコンピュータ読み取り実行可能なプログラムも、この外部メモリ211に記憶されているものとする。
【0034】
なお、外部メモリ211は情報を永続的に記憶するための媒体であって、その形態をハードディスク等の記憶装置に限定するものではない。例えば、SSD(Solid State Drive)などの媒体であってもよい。
【0035】
図3は、情報処理装置101において、複数のファイルから1つの情報群が関連付けられている概念301、ファイル構成管理情報302(108)、複製管理情報303(109)の一例を示す図である。
【0036】
301は、複数のファイルから1つの情報群が関連付けられている概念をあらわしている。例えば、「機能A001」という名称の情報群は、「外部設計書A001.xls」、「内部設計書A001.xls」、「単体テスト仕様書A001.xls」から構成されていることを示している。また、「機能B001」という名称の情報群は、「B001」というフォルダ、「外部設計書B001.xls」、「内部設計書B001.xls」、「画面仕様書B001.xls」から構成されていることを示している。なお、フォルダ指定されている場合には、そのフォルダの下のディレクトリにあるすべてのファイルが対象となっていることを示している。
【0037】
ファイル構成管理情報302(108)は、情報群を構成する複数のファイルを特定するための情報である。図3の例では、ある情報群に対して、「外部設計書」、「画面仕様書」、「標準仕様書」、「プログラム仕様書」、「単体テスト仕様書」というファイル種別が設定されている。区分は、指定されたファイル種別がファイルであるのか、フォルダであるのかを示している。区分がファイルであれば、そのファイル種別の名称とファイルとが1対1に対応する。区分がフォルダである場合には、そのファイル種別に対して、指定されたフォルダの下にあるすべてのファイルが対応することになる。保管場所は、ファイルパス、ディレクトリパスが指定されている。この保管場所で「@」となっているのは、変数を示しており、この「@」部分を機能IDの文字列に置き換えることで、ファイルやフォルダを特定することができる。例えば「機能B001」という情報群では、「機能B001」が機能IDに相当し、画面仕様書は、「C:¥PROJECT¥ID¥内部設計書¥画面仕様書B001.xls」がファイルパスに相当することになる。
【0038】
複製管理情報303(109)は、機能IDで示される情報群、いつ(作成日)、だれ(作成者)によって、作成されたのか、または複製されたかのを示している。複製された場合には、「複製元機能ID」に複製元の機能IDが記録され、新規作成された場合には、「複製元機能ID」はNULL(「−」)となっている。
【0039】
図4は、本実施の形態で情報処理装置の表示部(CRT210)に表示されるファイル構成設定画面の一例である。このファイル構成設定画面は、ファイル構成設定部105が実行されることにより、呼び出されるものである。
【0040】
図4において、401は、ファイル構成の設定範囲をどこまで適用するかを示すラジオボタンであり、択一的に選択される。「各機能で共通に適用する」が選択されている場合には、図3のファイル構成管理情報302で示したように、「@」の変数情報を持つ情報として設定される。そして、変数情報である機能IDは、別のタイミングで設定される。
【0041】
一方、「特定の機能に適用する」が選択されている場合には、更に適用する機能名称の項目がアクティブとなり、キーボード209を介して機能IDを任意に入力設定することが可能となる。そして、ここで指定された機能IDが「@」に設定されたファイル構成管理情報302が設定されることになる。
【0042】
そして、ファイル種別、区分、保管場所が表示されている一覧は、ユーザ操作により指定可能になっている。ファイル種別と保管場所は、任意に入力設定可能であり、区分はプルダウンにより「フォルダ」か「ファイル」のいずれかを選択設定可能となっている。
【0043】
また、ファイル構成管理情報に行を追加したい場合には、行追加ボタン402を押下することで、ファイル構成設定画面に行を追加することができ、更にファイル構成設定情報として追加することができる。
【0044】
情報群に必要な複数のファイルを一覧に入力し終わった場合、設定ボタン403を押下すると、ここで入力されている情報がファイル構成管理情報として、外部メモリ211に格納される。
【0045】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、本発明に係る情報処理装置で実行される一括複製処理の処理手順について説明する。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、情報処理装置101のRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。
【0046】
まずステップS501では、ユーザがディレクトとファイルを表示している閲覧画面において、複製元となる対象のファイルを指定し、その指定を受け付ける処理である。そして、ステップS502で、複製先指定ダイアログを起動する処理が実行される。この複製先指定ダイアログの起動と表示処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6は、本発明の情報処理装置で実行される一括複製処理における複製先ID指定処理の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【0047】
ステップS601では、ファイル構成管理情報を読み込み、選択されているファイルに該当する情報群があれば、その情報群のファイル構成管理情報に登録されているレコード数分以下の処理を繰り返す。具体的には、ファイル構成管理情報302を読み込み、指定されてるファイルのファイルパスにが、保管場所と一致するかを判定する。一致した場合には、選択されているファイルに該当する情報群があると判断されるものとする。
【0048】
ここで繰り返す処理では、ステップS602において、ファイル構成管理情報で指定されている保管場所(ファイルパス)に該当するファイルがあるか判断する。該当するファイルがあれば、ステップS603で複製変数に1を代入する。該当するファイルがなければ、ステップS604からステップS601に処理を戻して登録されているレコード数分繰り返す。これにより、ユーザにより指定されているファイルが、情報群を構成しているファイルの1つである場合には、そのファイルが構成している情報群を特定でき、その特定された情報群を構成するファイルが存在するかを特定できる。そして、情報群を構成しているファイルが存在する場合には複製変数に1が代入される。
【0049】
つぎにステップS605において、代入変数が1であるかを判断する。代入変数が1であれば、情報群を構成しているファイルが存在することになるため、複製先指定ダイアログメニューを表示して、図5のステップS503に処理を進めて継続する。一方、代入変数が1でなければ(初期値は0とする)、選択されているファイルが情報群を構成するものではないということになるため、本発明の一括複製処理の必要がないため、図5の処理に戻らずに処理を終了する。
【0050】
ここで、複製先指定ダイアログメニューを表示している画面の一例を図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態で情報処理装置に表示されるファイルの複製指示画面および流用元と流用先を指定するダイアログ画面の一例である。
【0051】
図7に示すように、例えば、米国マイクロソフト社のWindowsのOS(オペレーティングシステム)では、ユーザにより1つのファイルが選択されている状態でマウスを右クリックされた場合にダイアログが表示される。この汎用的なダイアログでは、選択されているファイルの「コピー」と「切り取り」がダイアログのメニューとして表示される。このとき、図6のフローチャートで示した処理を行うことにより、選択されたファイルが情報群の一部を構成していると判断された場合には、「モジュールコピー」(機能コピー/一括複製指示)のダイアログメニューも合わせて表示されるものとする。
【0052】
そして、「モジュールコピー」(機能コピー/一括複製指示)のダイアログメニューが選択されると、図7に示すように、複製元の機能IDと複製先の機能IDの関係を指定するための「複製先ID指定ダイアログ」が起動されて表示されることになる。この表示を終えると、図5のステップS503に処理が戻る。すなわち、ステップS501とステップS503によるユーザ操作の処理では、情報処理装置101は、1つのファイルが選択されている状態で、当該1つのファイルが構成している情報群に対する一括コピー指示を受け付ける(一括コピー指示受付手段に相当)。
【0053】
ステップS503では、表示されている「複製先ID指定ダイアログ」の項目に対して、ユーザ操作による複製先となる機能IDの指定を受け付ける。なお、複製元の機能IDは、ファイル構成管理情報から特定されるので、「複製先ID指定ダイアログ」を表示するときに既に表示されている。
【0054】
複製先の機能IDの入力を受け付けて、コピー実施ボタンが押下されると、ステップS504では、複製元の機能IDと、指定された副席先の機能IDとを関連付けた複製管理情報を生成し、複製管理情報記憶部109に登録する。複製管理情報303は、図3で示したように、機能ID(複製先の機能ID)と、複製元機能IDと、作成日と作成者が関連づけて登録される。作成日は、情報処理装置101で管理されているカレンダー機能で取得可能であり、作成者は、複製指示を行ったユーザの情報処理装置へのログインIDから取得可能である。
【0055】
そして、ステップS505からステップS507は、ファイル構成管理情報の登録数分処理が繰り返される。具体的にはファイル構成管理情報302(108)で指定されているファイル種別を1つずつ確認し、該当する保管場所にあるファイルを読み込み、ステップS506で、ファイルの複製処理を行う。なお、この複製処理の際に、ステップS503で指定された複製先の機能IDを用いて複製先のファイル名を設定(リネーム)する。すなわち、一括コピー指示を受け付けると、本情報処理装置は、ユーザにより選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを、ファイル構成管理情報に基づいて特定(特定手段に相当)し、ステップS506の処理を繰り返すことで、該特定された複数のファイルの複製を行うことで、ユーザの1回の指示に応じて、複数のファイルが一括して複製処理される(複製処理手段に相当)。
登録されているレコード数分この処理を繰り返すことで、一括複製処理が終了すると、図5に示す一括複製処理の処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数のファイルから構成されている情報群を、その構成している1つのファイルを選択している状態から簡単な操作で、各構成しているファイルをまとめて複製処理することができる。
【0057】
次に、図8のフローチャートを参照しながら、本発明に係る情報処理装置で実行される複製探索処理における複製元探索処理の処理手順について説明する。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、情報処理装置101のRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。本処理は、複製先検索部110および複製元検索部111が動作することにより実行される。
【0058】
まず、ステップS801では、検索対象となる機能IDの指定を受け付けるためのダイアログ画面(図示省略)を表示し、ユーザ操作により検索対象となる機能IDの指定を受け付ける。
【0059】
ステップS802では、探索対象(検索対象)が複製元であるか、複製先であるかを判断する。ユーザ操作により複製元の検索が要求指示されている場合にはステップS803に処理を進め、一方、複製先の検索が要求指示されている場合にはステップS807に処理を進める。なお、ステップS807の複製先の機能IDの探索処理は、図9を用いて後述する。よって、以下の処理手順は、複製元の探索処理についての処理手順である。
ステップS803では、ステップS801で指定された機能IDに対する、複製元の機能IDを、複製管理情報303を検索することにより取得する。
【0060】
そして、ステップS804では、取得された複製元の機能IDが「−」(NULL)であるか否か判定する。「−」(NULL)であれば、複製元の機能IDがなく、新規作成されたことを示すため、検索処理を終了する。
【0061】
取得された機能IDが「−」(NULL)でなければ、ステップS805で複製元の機能IDをRAM202に記録する。そして、ステップS806で、複製元の機能IDに対する、更に複製元の機能IDを、複製管理情報303を検索することにより取得する。そして、ステップS804に処理を戻す。このように処理を再帰的に呼び出すことにより、複製元の機能IDを遡って検索することが可能となる。すなわち、複製元検索部111は、複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製元となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製元となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする(複製元検索手段に相当する)。
【0062】
次に、図9のフローチャートを参照しながら、本発明に係る情報処理装置で実行される複製探索処理における複製先探索処理の処理手順(図8のステップS807)について説明する。本フローチャートは、外部メモリ211に格納された本発明のプログラムが、情報処理装置101のRAM202をワークエリアとしてCPU201が実行することにより実現される。本処理は、複製先検索部110が動作することにより実行される。
ステップS901では、ステップS801で指定された機能IDに対する、複製先の機能IDを、複製管理情報303を検索することにより取得する。
【0063】
そして、ステップS902では、取得された複製先の機能IDの取得個数がが「0」であるか否か判定する。取得個数が「0」であれば、複製先の機能IDがなく、検索対象の機能IDから複製したファイルがないということになるので、検索処理を終了する。
【0064】
取得された取得個数が「0」でなければ、ステップS903からステップS905の処理を、取得した機能IDの件数分繰り返す。具体的には、ステップS904で、複製先の機能IDを検索し、検索された場合に、検索された機能IDを複製元とする機能IDを更に検索する処理を再帰的に呼び出す。これにより、複製先の機能IDを準備検索することが可能となる。すなわち、複製先検索部110は、複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製先となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製先となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする(複製先検索手段に相当)。
【0065】
そして、本情報処理装置101は、図8の複製元検索処理と図9の複製先検索処理で検索された結果は、例えば、図10に示すような検索結果として、表示部に表示する機能を備えている。図10は、本発明の情報処理装置に表示される探索結果の表示画面の一例である。
【0066】
例えば選択された検索対象の機能IDが「AA0004」であり、複製元を検索した場合には、複製元の機能IDである「AA0003」と、その複製元の機能IDである「AA0001」がツリービュー形式で表示される。また、選択された検索対象の機能IDが「AA0001」であり、複製先を検索した場合には、「AA0002」と、「AA0003」と「BB0001」が第一段階で検索され、検索された各機能IDについて更に再帰的に検索処理を呼び出すことで、複製先の機能IDをすべて検索することが可能となる。
【0067】
図10の例では、機能IDとして管理されているすべての機能IDを表示し、複製元と複製先の関係にある場合に、ツリービュー形式として線でつないで表示することで、操作者に視覚的に認識させることも有効である。もちろん、表示形態は図10の例に限定されるものではなく、検索された機能IDから、更に派生した機能IDまで広げて検索結果を表示しているが、派生のない機能IDは表示しない表示形態など、さまざまな表示形態が考えられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、情報群がどの情報群から複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる。
また、情報群がどの情報群に複製されたのかを簡単な操作で検索し、操作者が認識できる。
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0068】
また、本発明におけるプログラムは、図5、図6、図8、図9に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は図5、図6、図8、図9の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。。
【0069】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0070】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0071】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0072】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0073】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0074】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
101 情報処理装置
102 ソフトウェア処理部
103 ユーザインタフェース部
104 複製処理部
105 ファイル構成設定部
106 複製管理情報生成部
107 ファイルデータ記憶部
108 ファイル構成管理情報記憶部
109 複製管理情報記憶部
110 複製先検索部
111 複製元検索部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファイルを記憶している情報処理装置であって、
複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を記憶する記憶手段と、
1つのファイルが選択されている状態で、当該1つのファイルが構成している情報群に対する一括コピー指示を受け付ける一括コピー指示受付手段と、
前記一括コピー指示受付手段により一括コピー指示を受け付けると、前記選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された複数のファイルの複製を行う複製処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を設定するファイル構成設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ファイル構成管理情報は、情報群を構成する複数のファイルを特定するためのパスが定義されており、
前記ファイル構成設定手段は、複数の情報群に適用される共通のパスとしてファイル構成管理情報を設定するか、個別の情報群に適用される個別のパスとしてファイル構成管理情報を設定するかを切替可能であることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複製処理手段による複製処理において複製元となる情報群と、複製先となる情報群とを関連付けた複製管理情報を生成する複製管理情報生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製元となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製元となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製元検索手段を更に備えることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製先となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製先となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製先検索手段を更に備えることを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数のファイルを記憶し、複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を記憶する記憶手段を備えている情報処理装置における一括複製方法であって、
前記情報処理装置の一括コピー指示受付手段が、1つのファイルが選択されている状態で、当該1つのファイルが構成している情報群に対する一括コピー指示を受け付ける一括コピー指示受付ステップと、
前記情報処理装置の特定手段が、前記一括コピー指示受付ステップで一括コピー指示を受け付けると、前記選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを特定する特定ステップと、
前記情報処理装置の複製処理手段が、前記特定ステップで特定された複数のファイルの複製を行う複製処理ステップと
を含むことを特徴とする一括複製方法。
【請求項8】
複数のファイルを記憶し、複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を記憶する記憶手段を備えている情報処理装置で読み取り実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置を、
1つのファイルが選択されている状態で、当該1つのファイルが構成している情報群に対する一括コピー指示を受け付ける一括コピー指示受付手段と、
前記一括コピー指示受付手段により一括コピー指示を受け付けると、前記選択されているファイルが構成している情報群を構成している複数のファイルを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された複数のファイルの複製を行う複製処理手段と
して機能することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記情報処理装置を、
前記複数のファイルから1つの情報群が構成されていることを示すファイル構成管理情報を設定するファイル構成設定手段として更に機能させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
前記ファイル構成管理情報は、情報群を構成する複数のファイルを特定するためのパスが定義されており、
前記ファイル構成設定手段は、複数の情報群に適用される共通のパスとしてファイル構成管理情報を設定するか、個別の情報群に適用される個別のパスとしてファイル構成管理情報を設定するかを切替可能であることを特徴とする請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
前記情報処理装置を、
前記複製処理手段による複製処理において複製元となる情報群と、複製先となる情報群とを関連付けた複製管理情報を生成する複製管理情報生成手段として更に機能させることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記情報処理装置を、
前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製元となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製元となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製元検索手段として更に機能させることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記情報処理装置を、
前記複製管理情報生成手段により生成された複製管理情報を用いて、ある情報群に対する複製先となる情報群を検索し、検索された情報群に対しても複製先となる情報群を検索する処理を再帰呼び出しする複製先検索手段として更に機能させることを特徴とする請求項11または12に記載のプログラム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−141711(P2012−141711A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293042(P2010−293042)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】