説明

情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム

【課題】特定された発信機に応じて実行される処理により提供されるサービスをユーザが享受するための利便性を向上する。
【解決手段】携帯可能な情報処理装置は、情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定手段と、区域特定手段によって特定された区域内の少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信機を検出し、検出した発信機に応じた処理を実行する情報処理装置,情報処理システム,情報処理方法,及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機が、分散配置された複数の送信機からの電波を受信し、複数の送信機のうちの1つの送信機に対応する所定の処理を実行する技術があった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−219446号公報
【特許文献2】特開2009−25335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、受信機が複数の発信機を検出することを防ぐために、電波の受信エリア同士が重複しないように複数の送信機を配置していた。また、所定の処理の実行の対象となる発信機を特定するために、検出された複数の発信機の中から所定の処理の実行対象となる発信機をユーザに選択させたりしていた。このため、従来の技術では、受信機において、分散配置された複数の送信機のうちから1つの発信機を特定する為に手間が掛かっていた。また、これによって、所定の処理の実行により提供されるサービス等をユーザが享受するための利便性に欠けていた。
【0005】
本発明は、特定された発信機に応じて実行される処理により提供されるサービスをユーザが享受するための利便性を向上可能な情報処理システム,情報処理方法,情報処理装置,及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、携帯可能な情報処理装置であって、情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定手段と、この区域内に設置された少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、を備える。
【0007】
本発明の態様の一つによれば、情報処理装置が位置する区域内で、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機が検出されると、自動的にこの発信機に応じた所定の処理が実行されるので、ユーザは、所定の処理の実行のための操作を行わなくてもよい。これによって、所定の処理の実行によって提供されるサービスをユーザが享受するための利便性が向上する。
【0008】
上記本発明の態様の一つでは、発信機は、発信機から所定の距離の範囲内においては所定の距離の範囲外よりも発信機からの距離に対する信号の受信強度又は受信強度の変化率が大きい放射特性を有する信号を発信する。また、情報処理装置の発信機特定手段は、所定の条件として、発信機から所定の距離の範囲内において検出される信号の受信状態に該当する発信機を検出する。これによって、ユーザが情報処理装置を携帯して、発信機から
所定の距離の範囲内に進入することで、情報処理装置によってこの発信機に応じた所定の処理が実行される。例えば、発信機が展示物のすぐ近くに設置されている場合には、観覧するために展示物に近寄るのは通常よく行われる行動であり、通常行われる行動によって所定の処理が実行されるため、ユーザに対して、情報処理装置の操作等の負荷を少なくすることができる。
【0009】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置の発信機特定手段は、発信機から所定の距離の範囲内において検出される信号の受信状態の値のうちの一つを閾値として、受信状態がこの閾値を超えている信号の発信元である発信機を特定するようにしてもよい。発信機から所定の距離の範囲内において検出される信号の受信状態の値のうちの一つを閾値に設定する際に、閾値を発信機にごく近い距離において検出される信号の受信状態の値に設定することによって、誤った発信機の特定を防ぐことができる。
【0010】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置の発信機特定手段は、受信状態が所定の条件に所定期間該当する信号の発信元である発信機を特定するようにしてもよい。信号の受信状態は周囲の環境に影響されやすく変動しやすいため、受信状態が所定の条件に所定期間該当する信号の発信元である発信機を特定することによって、誤った発信機の特定を防ぐことができる。
【0011】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置の区域特定手段は、発信機からの信号の受信状態に基づいて、情報処理装置が位置する区域を特定するようにしてもよい。これによって、区域特定手段と発信機特定手段とが処理のために用いるハードウェア、ソフトウェア等の一部を共用させることができ、情報処理装置の構成を簡素にすることができる。
【0012】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置の区域特定手段は、複数の区域のうちから情報処理装置が位置する一つの区域を特定するようにしてもよい。複数の区域から一つの区域を特定することによって、処理対象となる発信機の数を絞り込むことができ、情報処理装置の負荷を抑えることができる。また、特定された区域以外の区域の発信機は処理対象から外れるため、特定された区域以外の区域の発信機からの信号の受信状態が所定の条件に該当したとしても、この発信機が特定されることはなく、精度良く発信機を特定することができる。
【0013】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置は、それぞれに少なくとも一つの発信機が設置される複数の区域について、各区域に設置される複数の発信機それぞれからの信号の受信強度または受信強度の変化率と、前記複数の区域と、の対応付けを保持する記憶手段をさらに備え、区域特定手段は、複数の発信機からの信号の受信強度または受信強度の変化率と、記憶手段に保持される対応付けと、から、情報処理装置が位置する区域を特定するようにしてもよい。記憶手段に保持される各区域内における複数の発信機それぞれからの信号の受信強度または受信強度の変化率と、複数の区域のそれぞれと、の対応付けを用いることによって、情報処理装置が位置する区域を精度良く特定することができる。また、発信機特定手段の処理対象でもある発信機を用いて、情報処理装置が位置する区域を特定することによって、区域を特定するための装置を別途用意する必要が無く、効率がよい。
【0014】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置は、複数の区域のエリア情報を保持する記憶手段と、情報処置装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、をさらに備え、区域特定手段は、エリア情報と位置情報とに基づいて、情報処理装置が位置する区域を特定するようにしてもよい。位置情報取得手段によって取得される位置情報とエリア情報とを組み合わせて用いることによって、精度良く情報処理装置が位置する区域を特定することができる。また、位置情報取得手段は、複数の発信機からの信号に基づいて位置
情報を取得するようにしてもよい。これによって、発信機特定手段の処理対象でもある発信機を用いて、位置情報を取得することができ、位置情報を取得するための装置を別途用意する必要が無く、効率がよい。
【0015】
上記本発明の態様の一つでは、発信機は、他の情報処理装置との通信に用いられる信号を発信し、情報処理装置は、発信機からの信号を受信する受信手段と、受信された信号を内部処理可能な形式に復調する復調手段と、をさらに備えるようにしてもよい。通信に用いられる信号には、例えば、無線LAN信号,ブルートゥース(登録商標)信号等がある。通信に用いられる信号を採用することによって、本発明の情報処理装置は、通信用の装置として兼用することができる。また、発信機として、広く用いられるアクセスポイント等を用いることができる。この場合、情報処理装置の受信手段は、アクセスポイントから発信される無線信号を受信し、受信状態測定手段は、信号の受信状態としてアクセスポイントからの信号の電波強度を測定してもよい。これによって、ユーザは通信用の装置とは別に本発明の装置を携帯する必要が無く、利便性が向上する。また、発信機としても別途装置を用意することなく、既設の通信用のアクセスポイント等を用いることができ、設備投資費用を抑えることができる。
【0016】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置の区域特定手段は、情報処理装置が位置する区域を特定した場合に、受信状態測定手段を起動させるようにしてもよい。これによって、受信状態測定手段の起動時間を限定することができ、その分の消費電力を低減させることができる。
【0017】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置は、音声出力装置から音声信号を出力する音声出力手段をさらに備え、処理手段は、所定の処理として、発信機特定手段によって特定された発信機に対応する音声データを音声出力手段に出力させるようにしてもよい。これによって、ユーザに聴覚を通じて情報を提供することができる。特に、ユーザが視覚障害者の場合には、大きな助けとなる。
【0018】
上記本発明の態様の一つでは、情報処理装置は、表示装置に画像データを表示させる表示処理手段をさらに備え、処理手段は、所定の処理として、発信機特定手段によって特定された発信機に対応する画像データを表示処理手段に表示させるようにしてもよい。これによって、ユーザに視覚を通じて情報を提供することができる。
【0019】
また、本発明の他の態様の一つは、少なくとも1つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、を備える情報処理装置である。受信状態が所定の条件に該当する信号の送信元である発信機が特定されると、自動的にこの発信機に応じた所定の処理が実行されるので、ユーザは、所定の処理の実行のための操作を行わなくてもよく、利便性が向上する。
【0020】
上記本発明の他の態様の一つでは、情報処理装置は、発信機の識別情報を記憶する記憶手段をさらに備え、発信機特定手段は、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機の識別情報が記憶手段に記憶されている場合に、該発信機を特定するようにしてもよい。これによって、記憶手段に識別情報が記憶されていない発信機からの信号の受信状態が所定の条件に該当した場合には、所定の処理は実行されず、所定の処理の実行対象を限定することができる。
【0021】
更に、本発明は、方法,システム,情報処理装置又はプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュー
タ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的,磁気的,光学的,機械的,または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、特定された発信機に応じて実行される処理により提供されるサービスをユーザが享受するための利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】美術館の見取り図の例である。
【図2】音声解説に対応している展示室の見取り図の例である。
【図3】ゲーム装置の外観図の例である。
【図4】ゲーム装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】ゲーム装置のメインメモリのメモリマップの一例が示される。
【図6】信号の発信元となるAPからの距離と電波強度との関係の例を示す図である。
【図7】エリア特定用データベースの一例を示す図である。
【図8】エリア特定プログラムのフローチャートの例である。
【図9A】AP特定プログラムの実行による処理のフローチャートの例である。
【図9B】AP特定プログラムの実行による処理のフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0025】
<第1実施形態>
第1実施形態では、互いに区切られた複数の区域を含む建物、構造物、又は区切られた敷地内で利用される情報処理システムについて説明する。以下、情報処理システムが利用される建物、構造物、区切られた敷地等を、対象領域と称する。この情報処理システムでは、対象領域内に設置される少なくとも一つの発信機と、発信機から発信される信号を受信可能な情報処理装置と、が含まれる。発信機は、対象領域内の少なくとも1つの区域に設置されている。
【0026】
対象領域は、例えば、美術館,イベント会場,ショッピングセンター等である。区域は、壁や間仕切り等で物理的に仕切られた空間、又は、地図上で仮想的に区切られた空間であり、例えば、部屋,店舗,ブース等である。区域に設置される発信機は、当該発信機から所定の距離の範囲内では、この所定の距離の範囲外よりも、例えば、発信機からの距離に対する信号の受信強度または受信強度の変化率が大きい放射特性を有する信号を発信する。この信号は、例えば、無線LAN信号,音声信号,RFID(Radio Frequency Identification)信号,ブルートゥース(登録商標)信号等である。
【0027】
情報処理装置は、発信機から発信される信号を受信可能な携帯端末であって、例えば、携帯型のゲーム装置,PDA(Personal Digital Assistants),携帯電話端末,スマー
トフォン,PHS(Personal Handy-phone System),専用の携帯端末等である。
【0028】
情報処理システムでは、まず、情報処理装置は、位置する区域を特定検出する。区域には、発信機が設置される区域と、発信機が設置されていない区域とが含まれる。例えば、情報処理装置は現在位置する区域を特定し、該区域に発信機が設置されているか否かを判定する。情報処理装置は、自装置の現在位置する区域を特定するために、例えば、以下の(1)〜(3)のうちのいずれかの処理を実行する。
【0029】
(1)情報処理装置は、座標等を含む現在位置情報を取得し、この現在位置情報と対象領域のエリア情報とから、現在位置する区域を特定する。エリア情報は、例えば、対象領域の地図である。現在位置情報を取得する方法には、例えば、対象領域内に設置される無線LANアクセスポイントから信号を受信し、この信号の受信強度から三点測量によって求める方法、GPS(Global Positioning System)衛星から受信されるGPS信号から
求める方法等がある。
【0030】
(2)対象領域内には複数の発信機が設置されていることを前提とする。情報処理装置は、例えば、各区域と、予め計測された各区域内における各発信機からの信号の受信強度とが対応付けられたデータベースを保持し、各発信機からの信号の受信強度とこのデータベースとから、現在位置する区域を特定する。
【0031】
(3)情報処理装置は、ユーザによって入力される区域の識別番号から現在位置する区域を特定する。区域の識別番号は、例えば、各区域の入り口等に掲示されていてもよいし、対象領域の地図に表示されているのでもよい。(1)−(3)のいずれで現在位置する区域を特定した場合についても、情報処理装置が現在位置する区域に発信機が設置されているか否かは、予め記憶手段に発信機が設置されている区域の情報を保持しておくことによって判定することができる。
【0032】
次に、情報処理システムでは、情報処理装置は、現在位置する区域を特定し、特定した区域に発信機が設置されていることを判定した場合に、現在位置する区域内に設置される少なくとも1つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段を起動する。信号の受信状態とは、例えば、信号の受信強度、信号の発信元である発信機からの距離に対する信号の受信強度の変化率等である。受信状態測定手段は、ハードウェア,ソフトウェア,又は、両者の組み合わせである。例えば、発信機から発信される信号が無線LAN信号である場合には、起動される受信状態測定手段は、無線LAN信号を受信する受信手段と無線LAN信号の受信状態を測定するソフトウェアとの両方、又は、無線LAN信号の受信状態を測定するソフトウェア、又は、無線LAN信号の受信状態を測定する専用のハードウェア回路等である。また、発信機から発信される信号が無線LAN信号である場合には、信号の受信強度は、例えば、電波強度であってもよい。また、例えば、発信機から発信される信号が音声信号である場合には、起動される受信状態測定手段は、マイクロフォンのような音声入力手段と音声信号の受信状態を測定するためのソフトウェアとの両方、又は、音声信号の受信状態を測定するためのソフトウェア、又は、音声信号の受信状態を測定するための専用のハードウェア回路等である。また、発信機から発信される信号が音声信号である場合には、信号の受信強度は、例えば、音声信号のSN比である。ここで、音声信号は、例えば、人の声及び音の少なくとも一方を含む。
【0033】
情報処理装置は、受信状態測定手段による信号の受信状態の測定結果に基づいて、現在位置する区域内に設置される少なくとも一つの発信機の中から、所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する。例えば、発信機からの信号の放射特性の一つとして、発信機から所定の距離の範囲内では該所定の距離の範囲外よりも発信機からの距離に対する信号の強度の変化率が大きくなる、とういう特性がある。発信機から発信される信号にこのような放射特性がある場合、発信機の特定に用いられる信号の受信状態の所定の条件とは、例えば、該所定の距離の範囲内において測定される受信状態である。
【0034】
また、発信機を特定するために、情報処理装置は、例えば、信号の受信状態として信号の受信強度又は信号の受信強度の変化率を測定し、受信強度又は受信強度の変化率が所定の閾値よりも大きい信号の発信元である発信機を特定するようにしてもよい。発信機から発信される信号が上述のような特性を有する場合には、所定の閾値は、以下のように設定
されてもよい。発信機を特定するための条件が、信号の受信強度が所定の閾値よりも大きいことである場合には、この所定の閾値は、発信機から上記所定の距離の範囲内における信号の受信強度の測定範囲内の値に設定される。また、発信機を特定するための条件が、信号の受信強度の変化率が所定の閾値よりも大きいことである場合には、所定の閾値は、上記所定の距離の範囲内と範囲外とでの信号の受信強度の変化率よりも大きい値で、且つ、上記所定の距離の範囲内の信号の受信強度の変化率よりも小さい値に設定される。なお、情報処理システムで用いられる発信機が複数であり、該複数の発信機の発信電力が均一の場合には、発信機を特定する条件として信号の受信強度を用いることができる。また、情報処理システムで用いられる発信機が複数であり、該複数の発信機の発信電力が均一でない場合には、発信機の条件として信号の受信強度の変化率を用いることができる。
【0035】
信号の受信強度の変化率が大きくなる境界となる上記所定の距離とは、例えば、発信機から数cmから1m程度の近距離である。したがって上記所定の距離より大きい間隔で発信機が配置されていることを前提とした場合、情報処理装置が複数の発信機からの信号を受信したとしても、上記所定の距離の範囲内において測定される信号の受信状態に該当する発信機、又は、信号の受信強度又は信号の受信強度の変化率が所定の閾値よりも大きくなる発信機は1つに特定可能である。上記所定の距離は発信機から数cmから1m程度の近距離であり、且つ、発信機は通常この所定の距離より離して配置されるため、上記所定の距離より大きい間隔で発信機が配置されているという前提は十分に成り立つ。したがって、情報処理システムの管理者は、発信機の配置に際して、発信機の配置間隔に特に注意しなくてもよい。
【0036】
なお、情報処理装置は、位置する区域外に設置される発信機からの信号を受信したとしても、この発信機からの信号については処理対象から外す。例えば、情報処理装置は、各区域に配される発信機の位置の情報を保持しており、情報処理装置が位置する区域外に存在する発信機が発信元である信号については、処理対象から外す。これによって、例えば、情報処理装置が受信する信号の中で最も受信強度が強い信号の発信元の発信機が、情報処理装置が位置する区域外に存在する場合には、この発信機からの信号は処理対象から外されるので、発信機を特定する精度が向上する。
【0037】
現在位置する区域内に設置される少なくとも1つの発信機の中から、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定すると、情報処理装置は、特定した発信機に対応する所定の処理を実行する。所定の処理は、例えば、音声データの再生,テキストデータ及び/又は画像データの表示装置への表示,アクセスがロックされているデータのロック解除,データの送受信,ゲーム等のアプリケーションプログラムの実行,情報処理装置内のデバイスの制御等である。情報処理装置内のデバイスの制御には、例えば、デバイスの電源投入及び切断の制御等が含まれる。
【0038】
以上のように、第1実施形態では、情報処理装置は、対象領域内の区域のうち自身が位置する区域を特定し、該区域に発信機が設置されていることを検出する。次に、情報処理装置は、該区域内に設置された発信機の中から、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定し、当該発信機に応じた所定の処理を実行する。情報処理装置を携帯したユーザが、発信機からの信号の受信状態が所定の条件に該当する距離まで発信機に近づくことによって、情報処理装置が当該発信機に応じた所定の処理を実行するので、ユーザ自身が情報処理装置に所定の処理を実行させるために行う操作を省略できる。これによって、特定された発信機に応じて実行される所定の処理によって提供されるサービスをユーザが享受するための利便性が高まる。
【0039】
以下、上述の情報処理システムが、視覚障害者向けの音声解説サービスに適用される例について説明する。この情報処理システムは、例えば、美術館内の触れることができる展
示物について音声による解説を提供する。この例では、対象領域として美術館,区域として展示室,廊下,又はロビー等,発信機として無線LANアクセスポイント,情報処理装置として携帯型のゲーム装置が採用される。また、情報処理装置が現在位置する区域を特定する方法として、上記(2)の、各発信機からの信号と上述のデータベースとを利用した方法が採用される。以下、無線LANアクセスポイントは、単に、APと称する。また、ゲーム装置1を携帯する来館者を、単に、ユーザと称する。
【0040】
図1は、美術館の見取り図の例である。図1では、便宜上、1階の見取り図のみが示されている。ただし、美術館の見取り図は、各階ごとに存在する。美術館の1階には、展示室R11,展示室R12,展示室R13,展示室R14,展示室R15の5つの展示室がある。この5つの展示室のうち、展示物の音声解説に対応している展示室は展示室R11と展示室R12とである。音声解説に対応している展示室とは、展示物に対応した位置に発信機としてのAPが設置されている展示室である(詳細は後述)。また、第1実施形態では、展示物の音声解説への対応の有無にかかわらず、各展示室には、無線通信用の少なくとも1つのAPが設置されている。但し、図1では、便宜上、音声解説に対応する展示室の各展示物に対応した位置に配置されるAPの表示は省略されており、無線通信用のAPが各展示室に1つから2つだけ示されている。以下、美術館内の展示室,廊下,ロビー等の区域をエリアと称する。
【0041】
図2は、図1で示される5つの展示室のうち、音声解説に対応している展示室R11の見取り図の例である。以下、音声解説に対応する展示室を代表して展示室R11について説明する。
【0042】
展示室R11には、展示物51−57が展示されている。各展示物51−57は、来館者が触れることができる展示物である。そのため、視覚障害者でも触れることによって各展示物51−57を鑑賞することができる。各展示物51−57の近傍には、各展示物51−57の識別番号が記されたプレート61−67とAP71−77とが配置されている。プレート61−67には、各展示物51−57の識別番号がプリントされており、さらに視覚障害者のために各展示物51−57の識別番号を示す点字も印字されている。
【0043】
AP71−77は、Wi−Fi(Wireless Fidelity)の認証を受けた装置であって、
無線LAN信号を発信している。AP71−77が発信する無線LAN信号のうちの1つにビーコンがある。ビーコンにはAPの識別子であるSSID(Service Set Identifier),MAC(Media Access Control)アドレスが含まれる。ゲーム装置1は、各APから発信されるビーコンを受信し、ビーコンに含まれるSSID,MACアドレスによってビーコンの発信元であるAPを識別する。AP71−77は、広く用いられる無線LANアクセスポイントであるため、その構成の詳細な説明は省略する。
【0044】
例えば、展示物51−57が絵画である場合には、プレート61−67は展示物51−57が掲示される壁等の額縁の下方の領域に設置され、AP71−77は展示物が掲示される壁の上方に設置される。例えば、展示物51−57が彫刻である場合には、プレート61−67は展示物51−57の台座の正面側の側面に設置され,AP71−77は展示物51−57の台座の天面又は側面に設置される。何れの場合にもプレート及びAPは、展示物の近傍、例えば、展示物から数cm〜30cm程度の範囲内に設置される。
【0045】
<ゲーム装置の構成>
図3は、ゲーム装置1の外観図の例である。ゲーム装置1は、ヒンジ構造により開閉可能(折り畳み可能)に連結される下側ハウジング11と上側ハウジング21とを有する。
【0046】
下側ハウジング11には、下側LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)12
,タッチパネル13,各操作ボタン14A〜14E,アナログスティック15,挿入口11D,挿入口17,及び,マイクロフォン用孔18が設けられる。
【0047】
タッチパネル13はゲーム装置1の入力装置の一つである。タッチパネル13への入力に用いるタッチペン28は、挿入口17(図3において点線で示される)から挿入されて下側ハウジング11に収容される。なお、タッチペン28の代わりにユーザの指を用いることもできる。
【0048】
各操作ボタン14A〜14Eは、所定の入力を行うための入力装置である。操作ボタン14A〜14Eには、ゲーム装置1によって実行されるプログラムに応じた機能が適宜割り当てられる。例えば、各操作ボタン14B〜14Eは、決定操作やキャンセル操作等に用いられる。操作ボタン14A及びアナログスティック15は、方向を指示するデバイスである。
【0049】
挿入口11D(図3において点線で示される)は、ゲームプログラム等の情報処理プログラムを記録した外部メモリ45を挿入するための挿入口11Dが設けられる。マイクロフォン用孔18の下部には後述する音声入力装置としてのマイクロフォン(図4参照)が設けられ、当該マイクロフォンがゲーム装置1の外部の音を検出する。
【0050】
上側ハウジング21には、上側LCD22が設けられる。また、上側ハウジング21において上側LCD22の左右には、スピーカ孔21Eが設けられる。後述するスピーカ44からの音声がこのスピーカ孔21Eから出力される。
【0051】
図4は、ゲーム装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。ゲーム装置1は、上述した各部に加えて、情報処理部31,メインメモリ32,外部メモリインターフェイス(外部メモリI/F)33,データ保存用外部メモリI/F34,データ保存用内部メモリ35,無線通信モジュール36,ローカル通信モジュール37,リアルタイムクロック(RTC)38,電源回路41,およびインターフェイス回路(I/F回路)42等の電子部品を備えている。これらの電子部品は、電子回路基板上に実装されて下側ハウジング11(または上側ハウジング21でもよい)内に収納される。
【0052】
情報処理部31は、所定のプログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)311,画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)312,VRAM(Video RAM)313等を含む。CPU311は、ゲーム装置1内のメモリ(例えば外部メモリI/F33に接続された外部メモリ45やデータ保存用内部メモリ35)に記憶されている当該所定のプログラムを実行することによって、所定の処理を実行する。なお、情報処理部31のCPU311によって実行されるプログラムは、例えば、無線通信モジュール36を用いた他の機器との無線通信によって他の機器から取得されてもよい。情報処理部31のGPU312は、情報処理部31のCPU311からの命令に応じて画像を生成し、VRAM313に描画する。VRAM313に描画された画像は、上側LCD22および/または下側LCD12に出力されて表示される。
【0053】
情報処理部31には、メインメモリ32,外部メモリI/F33,データ保存用外部メモリI/F34,およびデータ保存用内部メモリ35が接続される。外部メモリI/F33は、外部メモリ45を着脱自在に接続するためのインターフェイスである。また、データ保存用外部メモリI/F34は、データ保存用外部メモリ46を着脱自在に接続するためのインターフェイスである。
【0054】
メインメモリ32は、情報処理部31(CPU311)のワーク領域やバッファ領域として用いられる揮発性の記憶手段である。すなわち、メインメモリ32は、各種データ、
外部(外部メモリ45や他の機器等)から取得されるプログラム等を一時的に記憶する。第1実施形態では、メインメモリ32として例えばPSRAM(Pseudo-SRAM)を用いる

【0055】
外部メモリ45は、情報処理部31によって実行されるプログラムを記憶するための不揮発性の記憶手段である。外部メモリ45は、例えば、読み取り専用の半導体メモリで構成される。外部メモリ45が外部メモリI/F33に接続されると、情報処理部31は外部メモリ45に記憶されたプログラムを読み込むことができる。情報処理部31が読み込んだプログラムを実行することにより、所定の処理が行われる。
【0056】
データ保存用外部メモリ46は、不揮発性の読み書き可能なメモリ(例えばNAND型フラッシュメモリ)であり、所定のデータを格納するために用いられる。例えば、データ保存用外部メモリ46は、SDカードである。データ保存用内部メモリ35は、読み書き可能な不揮発性メモリ(例えばNAND型フラッシュメモリ)で構成され、所定のデータを格納するために用いられる。例えば、データ保存用外部メモリ46及びデータ保存用内部メモリ35には、無線通信モジュール36を介した無線通信によってダウンロードされたデータやプログラムが格納される。
【0057】
情報処理部31には、無線通信モジュール36およびローカル通信モジュール37が接続される。無線通信モジュール36は、例えばIEEE802.11.b/gの規格に準拠した方式により、無線LANに接続する機能を有する。また、無線通信モジュール36は、無線LAN信号を受信し、無線LAN信号をゲーム装置1内で用いられる形式に復調して情報処理部31に出力する。情報処理部31は、無線通信モジュール36を用いてインターネットを介して他の機器との間でデータを送受信することが可能である。また、ローカル通信モジュール37は、所定の通信方式(例えば赤外線通信)により同種のゲーム装置との間で無線通信を行う機能を有する。情報処理部31は、ローカル通信モジュール37を用いて同種の他のゲーム装置との間でデータを送受信したりすることができる。
【0058】
情報処理部31には、RTC38および電源回路41が接続される。RTC38は、時間をカウントして情報処理部31に出力する。情報処理部31は、RTC38によって計時された時間に基づき現在時刻を計算する。電源回路41は、ゲーム装置1が有する電源(下側ハウジング11に収納される上記充電式電池)からの電力を制御し、ゲーム装置1の各部品に電力を供給する。
【0059】
情報処理部31には、I/F回路42が接続される。I/F回路42には、マイクロフォン43,スピーカ44,およびタッチパネル13が接続される。マイクロフォン43は、ユーザの音声を検知して音声信号をI/F回路42に出力する。スピーカ44は、I/F回路42からの音声信号をアンプ(図示せず)により増幅し、音声を出力する。I/F回路42は、マイク43およびスピーカ44の制御を行う音声制御回路と、タッチパネル13の制御を行うタッチパネル制御回路とを含む。音声制御回路は、音声信号に対するA/D変換およびD/A変換を行ったり、音声信号を所定の形式の音声データに変換したりする。第1実施形態では、タッチパネル13は、抵抗膜方式のタッチパネルが用いられる。ただし、タッチパネル13は、抵抗膜方式に限らず、例えば、静電容量方式等、任意の押圧式のタッチパネルを用いることができる。タッチパネル制御回路は、タッチパネル13からの信号に基づいて所定の形式のタッチパネル13のタッチ位置座標を生成して情報処理部31に出力する。情報処理部31は、タッチ位置データを取得することにより、タッチパネル13に対して入力が行われたタッチ位置を知ることができる。
【0060】
操作ボタン14は、情報処理部31に接続され、各操作ボタン14A〜14Eに対する入力状況(押下されたか否か)を示す操作データを情報処理部31に出力する。情報処理
部31は、操作ボタン14から操作データを取得することによって、操作ボタン14に対する入力に応じた処理を実行する。
【0061】
下側LCD12および上側LCD22は、情報処理部31に接続される。下側LCD12および上側LCD22は、情報処理部31(GPU312)の指示にしたがって画像を表示する。下側LCD12の画素数は、一例として、320dot×240dot(横×縦)である。上側LCD22の画素数は、一例として800dot×240dot(横×縦)である。なお、第1実施形態では表示装置としてLCDを用いているが、例えばEL(Electro Luminescence:電界発光)を利用した表示装置など、他の表示装置を利用してもよい。また、下側LCD12及び上側LCD22として、所望の解像度を有する表示装置を利用することができる。
【0062】
ゲーム装置1は、上記の各部に加えて、例えば、カメラ,加速度センサ,角速度センサ等を備えてもよい。
【0063】
図5は、ゲーム装置1のメインメモリ32のメモリマップの一例である。メインメモリ32のメモリマップは、プログラム記憶領域200と、データ記憶領域202とを含む。プログラムとデータの一部とは、外部メモリ45又はデータ保存用内部メモリ35から一度に全部又は必要に応じて部分的に読み出され、メインメモリ32に記憶される。なお、図5にはメモリマップの一部のみが示されており、メインメモリ32には、図5に示されるプログラム及びデータに加えて、処理に必要な他のプログラムおよびデータも記憶される。例えば、効果音,音楽などの音を出力するためのサウンドデータ、画面を生成するための画像データ、音出力プログラム、画像生成表示プログラムなどが、外部メモリ45又はデータ保存用内部メモリ35から読み出されてデータ記憶領域202またはプログラム記憶領域200に記憶される。
【0064】
プログラム記憶領域200には、音声解説プログラム8が格納される。音声解説プログラム8は、視覚障害者向けの展示物の音声解説のためのプログラムである。音声解説プログラム8は、例えば、美術館の観覧前に所定のサーバからゲーム装置1の無線通信モジュール36を通じてダウンロードされてデータ保存用内部メモリ35に記憶されている。ただし、音声解説プログラムは、外部メモリ45を通じて、データ保存用内部メモリ35に記憶されていてもよい。音声解説プログラム8は、エリア特定プログラム81,AP特定プログラム82,電波特性測定プログラム83,確認用音声再生プログラム84,解説用音声再生プログラム85を含む。
【0065】
エリア特定プログラム81は、美術館内の展示室,廊下,ロビー等のエリアのうち、ゲーム装置1が位置するエリアを特定するためのプログラムである。エリア特定プログラム81は、美術館内に設置される複数のAPからの信号の受信強度とエリア特定用データベース91(後述)とから現在位置するエリアを特定する処理(エリア特定処理)と、現在位置するエリアが展示物の音声解説に対応しているか否かを判定する処理とを含む。また、エリア特定プログラム81はAP特定プログラム82の起動又は停止を制御する処理も含む。なお、ゲーム装置1がエリア特定プログラム81の実行を通じて受信するAPの信号は、例えば、ビーコンである。但し、ビーコンに限られず、データ伝送する信号であってもよい。例えば、ゲーム装置1が現在位置するエリアが、音声解説に対応していないエリアから音声解説に対応するエリアに変化した場合には、エリア特定プログラム81の実行によって、AP特定プログラム82が起動される。また、ゲーム装置1が現在位置するエリアが、音声解説に対応するエリアから音声解説に対応しないエリアに変化した場合には、エリア特定プログラム81の実行によって、AP特定プログラム82が停止される。エリア特定プログラム81は、態様の区域特定手段の一例である。
【0066】
AP特定プログラム82は、ゲーム装置1が現在位置するエリア内の音声解説の対象となる展示物を特定するためのプログラムである。AP特定プログラム82が起動している状況下では、ゲーム装置1が現在位置するエリアは、エリア特定プログラム81によって特定された音声解説に対応するエリアである。AP特定プログラム82では、エリア特定プログラム81によって検出された音声解説に対応するエリア内に設置されるAPの中から1つのAPを特定する処理(AP特定処理、詳細は後述)と、特定したAPに対応付けられた展示物を音声解説の対象の展示物として特定する処理(展示物特定処理)とを含む。AP特定プログラム82は、態様の発信機特定手段の一例である。
【0067】
電波特性測定プログラム83は、無線通信モジュール36を通じて受信されるAPからの信号の電波特性(受信状態)を測定するためのプログラムである。電波特性測定プログラム83は、AP特定プログラム82に含まれる処理の実行過程において実行される。なお、ゲーム装置1が電波特性測定プログラム83の実行を通じて受信するAPの信号は、例えば、ビーコンである。但し、ビーコンに限られず、データ伝送する信号であってもよい。ゲーム装置1は、APの識別情報(SSID,MACアドレス等)をビーコン等の信号から取得する。電波特性測定プログラム83は、態様の受信状態測定手段の一例である。
【0068】
確認用音声再生プログラム84は、AP特定プログラム82の実行によって特定された音声解説の対象となる展示物の識別番号をゲーム装置1のユーザに確認するためのプログラムである。確認用音声再生プログラム84は、データ記憶領域202に保持される確認用音声データ94から、特定された音声解説の対象となる展示物の識別番号を読み上げる音声を生成する処理と、生成した該音声を再生する処理とを含み、これらの処理によってゲーム装置1のユーザに音声解説の対象となる展示物の識別番号の確認を促す。解説用音声再生プログラム85は、データ記憶領域202に保持される音声解説の対象となる展示物の解説用音声データ95を再生するためのプログラムである。解説用音声再生プログラム85は、態様の処理手段の一例である。
【0069】
図6は、信号の発信元であるAPからの距離と、該APからの信号の電波強度との関係の例を示す図である。図6では、横軸に信号の発信元であるAPからの距離(m)、縦軸にAPからの受信信号の電波強度が示される。なお、ゲーム装置1では、受信信号の電波強度は、0から63の数値で示される。ただし、これに限られず、他の数値の範囲(例えば、0〜255,0〜1023)で示されてもよいし、測定値をmV/m単位で表示してもよい。
【0070】
図6に示されるように、信号の発信元であるAPからの距離と、該APからの受信信号の電波強度との間には、信号の発信元であるAPに近づくほど該APからの受信信号の電波強度が大きくなるという相関がある。また、信号の発信元であるAPから50cmの距離の範囲内では、受信信号の電波強度は急峻に大きくなる。より具体的には、図6に示される例では、APから50cmの距離を境にして、APからの距離の変化量に対する電波強度の変化量の比率(変化率)が急激に変化する。図6に示される例では、APから50cmの距離の範囲内でほぼ一定の傾きで電波強度が減少し、APから50cmの距離の範囲外でもほぼ一定の傾きで電波強度が減少する。ただし、APから50cmの距離の範囲外に比べて、APから50cmの距離の範囲内では、電波強度を示す線の傾きが大きい。すなわち、APからの距離が小さくなるほど電波強度の変化率が大きくなる。ただし、電波強度特性としては、距離に対して直線的に変化するものに限られない。例えば、電波強度が、APから50cmの距離の範囲外では距離rに対して1/r2で減衰し、APから
50cmの範囲内では1/r2よりも激しく変化するものでもよい。
【0071】
また、APが対応付けられて設置されている展示物にユーザが触れようとする場合には
、ゲーム装置1のユーザは手が届く距離まで該展示物(及び展示物に対応付けられたAP)に近づく。展示物に手が届く距離とは、例えば、展示物から50cm〜70cm程度までの距離である。
【0072】
以上のことを鑑みて、AP特定プログラム82は、AP特定処理として、APから所定の距離の範囲内において測定される電波強度の値(以下、所定の閾値という)より電波強度が大きい信号の発信元であるAPを特定する処理を含む。APからの所定の距離とは、APからの距離に対する受信信号の電波強度の変化率が急激に増大する境界よりも小さく、且つ、APに手が届く距離である。例えば、図6に示される例のような電波強度特性を持つ信号の場合には、APから所定の距離は、50cmの距離である。図6において説明されたような無線LAN信号の特性を考慮すると、電波強度が所定の閾値より大きい信号の送信元であるAPを特定することによって、特定されたAPから所定の距離の範囲内にゲーム装置1が位置することが検出される。電波強度が所定の閾値より大きい信号の発信元であるAPが特定された場合には、該APが対応付けられている展示物とゲーム装置1のユーザとが所定の距離の範囲内(手の届く距離の範囲内)に位置しており、該APが対応付けられている展示物がユーザの所望の音声解説の対象の展示物であることが推測される。AP特定プログラム82には、上述のように、AP特定処理の他に、特定したAPに対応付けられる展示物を特定する処理(展示物特定処理)が含まれ、展示物特定処理によって特定された展示物がユーザの所望の音声解説の対象となる。所定の閾値は、例えば、APから上記所定の距離において測定される電波強度のうち、最大の値に設定される。図6に示される例の場合には、例えば、電波強度の所定の閾値は45以上の値に設定される。
【0073】
ただし、APからの受信信号の電波強度は、APの出力電力によっても変動する。そのため、展示物に対応づけて配置されるAPの出力電力が同一の値に設定されている場合には、AP特定処理として、上述の電波強度が所定の閾値より大きい信号の発信元であるAPを特定する処理を適用することができる。
【0074】
一方、展示物に対応づけて配置されるAPの出力電力が均一ではない場合には、AP特定処理として、例えば、APの出力電力に対する受信信号の電波強度の減衰率が所定の閾値よりも小さいAPを検出する処理が適用される。この電波強度の減衰率の閾値は、APから上記所定の距離の範囲内において測定される受信信号の電波強度の減衰率の値に設定される。例えば、電波強度の減衰率の閾値は、APから上記所定の距離において測定される最小の減衰率の値に設定される。より具体的には、減衰率の所定の閾値は、上記所定の距離における減衰率(例えば、25%)以下の値に設定される。但し、出力電力が同一の複数のAPにおいて、上記所定の距離における減衰率が同一でない場合には、最も小さい減衰率を所定の閾値とすればよい。受信信号の電波強度の減衰率は、例えば、APに問い合わせて信号の出力電力を取得し、該APの出力電力に対する受信信号の電波強度の比率を算出することによって得られる。
【0075】
なお、上記所定の距離は、APから50cmに限られず、情報処理システムの対象領域,発信機が設置される区域,発信機等の性質に応じて変化する。又は、上記所定の距離は、APから放射される電磁界の強度等に応じて種々の関数を用いて決定されてもよい。
【0076】
図5に戻って、データ記憶領域202には、エリア特定用データベース91,美術館の地図情報92,展示物情報93,確認用音声データ94,解説用音声データ95が保持される。
【0077】
美術館の地図情報92は、美術館内のエリアの識別情報と、各エリアの音声解説の対応の有無と、を対応付けた情報である。展示物情報93は、音声解説に対応するエリアに設
置される展示物の識別番号とAPの識別情報とを対応付けた情報であり、音声解説に対応するエリア毎に用意される。確認用音声データ94は、AP特定プログラム82の実行によって特定された音声解説の対象の展示物の識別番号をユーザに確認するための音声データである。例えば、確認用音声データ94には、音声解説の対象の展示物の識別番号を読み上げる音声を生成するための素材となる音声データと、「音声解説は○○番でよろしいですか?」というフォーマットの音声データとが含まれる。解説用音声データ95は、展示物の解説を読み上げた音声データであり、音声解説に対応する展示物毎に用意される。解説用音声データは、展示物の識別番号と対応付けられている。
【0078】
図7は、エリア特定用データベース91の一例を示す図である。エリア特定用データベース91は、エリア特定プログラム81に含まれるゲーム装置1が現在位置するエリアを特定する処理(エリア特定処理)において用いられるデータベースである。エリア特定用データベース91には、各エリア内の複数の電波強度の観測点において複数回の計測を経て得られた、各APからの受信信号の電波強度の範囲が格納されている。図7に示される例は、図1において示される美術館の見取り図の例におけるエリア特定用データベース91であって、観測点は、図1における各展示室内の丸で囲まれた番号の位置である。また、図7では、電波強度は、図6で示された例と同様に、ゲーム装置1において使用される0から255までの数値で示される。ただし、電波強度の表示方法は、0から255までの数値に限られない。また、電波強度の代わりに、出力電力に対する受信信号の電波強度の減衰率を用いてもよい。
【0079】
エリア特定用データベース91を用いる場合のエリア特定処理は、以下の(A)、(B)のうちのいずれかの方法で実行される。(A)ゲーム装置1の情報処理部31は、複数のAPからのそれぞれの受信信号の電波強度と、エリア特定用データベース91に含まれる各レコードとを照らし合わせる。ゲーム装置1の情報処理部31は、エリア特定用データベース91から、各APからの受信信号の電波強度がレコードに示される電波強度の範囲内に合致するレコードを検出し、このレコードをデータ記憶領域202から読み出す。検出されたレコードが1つである場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、このレコードが示すエリアを、ゲーム装置1の現在位置するエリアとして特定する。
【0080】
上記(A)の処理において、複数のレコードが検出された場合には、情報処理部31は、次の(A−1)−(A−4)のうちのいずれかの処理を行う。(A−1)ゲーム装置1の情報処理部31は、現在位置するエリアの特定失敗を判定する。(A−2)ゲーム装置1の情報処理部31は、エリア特定プログラム81を実行する度に、実行結果、すなわち、検出したレコードをデータ記憶領域202から読み出し、履歴としてデータ記憶領域202やデータ保存用内部メモリ35等の記憶手段に格納して蓄積する。この実行結果の履歴には、ゲーム装置1が現在位置すると特定された観測点の遷移履歴が保持される。複数のレコードが検出された場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、実行結果の履歴に基づいて、この複数のレコードの中から、直前に特定された観測点からの遷移回数が最も多い観測点のレコードを検出する。
【0081】
(A−3)ゲーム装置1は、(A−2)で説明されたようなエリア特定プログラム81の実行結果の履歴を保持する。複数のレコードが検出された場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、現在時刻から過去の一定期間(例えば、1分,5分,10分等)の履歴の中で、現在位置するエリアとして検出された回数の最も多いレコードを検出する。
【0082】
(A−4)ゲーム装置1は、美術館内の地図情報92に経路情報を含めて保持している。この経路情報は、各観測点について、各観測点から直接移動可能な隣接する観測点の情報である。直接移動可能な隣接する観測点とは、他の観測点を経由せずに該観測点に辿りつける観測点のことである。例えば、図1に示される展示室R11の4番の観測点から直
接移動可能な隣接する観測点は、展示室R11の2番,展示室R11の5番,展示室R12の4番の観測点である。展示室R14の4番の観測点は、展示室R11の4番の観測点からは壁があって直接移動できないので、展示室R11の4番の観測点の直接移動可能な隣接する観測点には含まれない。複数のレコードが検出された場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、経路情報を参照し、この複数のレコードの中から、直前に特定された観測点から直接移動可能な隣接する観測点のレコードを検出する。これによっても1つのレコードに特定されない場合には、上記(A−1)から(A−3)のいずれかの処理を実行してもよい。
【0083】
(B)ゲーム装置1の情報処理部31は、複数のAPからのそれぞれの受信信号の電波強度と、エリア特定用データベース91に含まれる各レコードとを照らし合わせる。ゲーム装置1の情報処理部31は、エリア特定用データベース91から、受信信号の電波強度がレコードに示される電波強度の範囲内に合致するAPが基準個数以上のレコードを検出する。検出されたレコードが1つである場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、このレコードが示すエリアを、ゲーム装置1の現在位置するエリアとして特定する。複数のレコードが検出された場合には、ゲーム装置1の情報処理部31は、以下の(B−1)−(B−4)のうちのいずれかの処理を実行する。
【0084】
(B−1)ゲーム装置1の情報処理部31は、現在位置するエリアの特定失敗を判定する。(B−2)ゲーム装置1の情報処理部31は、上記(A−2)と同様に実行結果の履歴に基づいて、検出した複数のレコードの中から1つのレコードを特定する。(B−3)ゲーム装置1の情報処理部31は、上記(A−3)と同様に実行結果の履歴に基づいて、検出した複数のレコードの中から1つのレコードを特定する。(B−4)ゲーム装置1の情報処理部31は、検出した複数のレコードのうち、電波強度が範囲内に合致するAPの個数が最も多いレコードを検出し、このレコードが示すエリアをゲーム装置1が現在位置するエリアとして特定する。
【0085】
上記(A−2),(A−3),(A−4),(B−2),(B−3),(B−4)の処理によって、より精度良くゲーム装置1が位置するエリアを特定することができる。なお、APの識別情報(SSID,MACアドレス等)は、ビーコン等の受信信号に含まれており、受信信号からゲーム装置1はAPの識別情報を取得する。
【0086】
<動作例>
図8は、エリア特定プログラム81のフローチャートの例である。エリア特定プログラム81は、ゲーム装置1の情報処理部31によって実行される。図8に示されるフローチャートは、ユーザからの入力によるエリア特定プログラム81の起動とともに開始され、繰り返し実行される。エリア特定プログラム81は、ユーザからの入力によって停止され、図8に示されるフローチャートも停止される。
【0087】
OP11では、情報処理部31は、エリア特定処理を実行する。エリア特定処理は、ゲーム装置1が現在位置するエリアを特定する処理である。情報処理部31は、エリア特定処理として、上述の(A)又は(B)のいずれか((A)の場合には(A−1)−(A−4)のうちのいずれか、(B)の場合には(B−1)−(B−4)のいずれか)を実行する。エリア特定処理の実行が完了すると、処理がOP12に進む。
【0088】
OP12では、情報処理部31は、エリア特定処理の実行の結果、ゲーム装置1の現在位置するエリアが特定されたか否かを判定する。ゲーム装置1の現在位置するエリアが特定された場合には(OP12:Yes)、処理がOP13に進む。ゲーム装置1の現在位置するエリアが特定されなかった場合には(OP12:No)、図8に示されるフローチャートが終了し、その後、繰り返し実行される。
【0089】
OP13では、情報処理部31は、特定されたエリア、すなわち、現在位置するエリアが変化したか否かを判定する。特定されたエリアは、例えば、メインメモリ32内のバッファや、エリア特定用データベース91のポインタによって保持されている。エリア特定処理によって特定されるエリアが変化した場合には、現在位置するエリアが変化し、ゲーム装置1のユーザがエリア間を移動したことが示される。特定されたエリアが変化した場合には(OP13:Yes)、処理がOP14に進む。特定されたエリアに変化がない場合には(OP13:No)、図8に示されるフローチャートが終了し、その後、繰り返し実行される。
【0090】
OP14では、情報処理部31は、美術館の地図情報92を参照して特定されたエリアが音声解説に対応しているか否かを判定する。特定されたエリアが音声解説に対応している場合には(OP14:Yes)、処理がOP15に進む。特定されたエリアが音声解説に対応していない場合には(OP14:No)、処理がOP17に進む。
【0091】
OP15では、情報処理部31は、AP特定プログラム82が起動中であるか否かを判定する。AP特定プログラム82が起動中である場合には(OP15:Yes)、ゲーム装置1のユーザが音声解説に対応するエリア(例えば、図1の展示室R11)から音声解説に対応する別のエリア(例えば、図1の展示室R12)に移動したので、AP特定プログラム82は、起動したままでよい。したがって、この場合には、図8に示されるフローチャートが終了し、その後、繰り返し実行される。AP特定プログラム82が起動していない場合には(OP15:No)、処理がOP16に進む。
【0092】
OP16では、ゲーム装置1のユーザが音声解説に対応していないエリア(例えば、廊下)から音声解説に対応するエリア(例えば、図1の展示室R11)に移動したので、情報処理部31は、AP特定プログラム82を起動させる。その後、図8に示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される。
【0093】
OP17では、情報処理部31は、OP15と同様に、AP特定プログラム82が起動しているか否かを判定する。AP特定プログラム82が起動している場合には(OP17:Yes)、処理がOP18に進む。AP特定プログラム82が起動していない場合には(OP17:No)、ゲーム装置1のユーザが音声解説に対応しないエリアから(例えば、図1の展示室R13)から音声解説に対応しない別のエリア(例えば、廊下)に移動したことが示される。この場合には、AP特定プログラム82を起動することなく、図8に示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される。
【0094】
OP18では、ゲーム装置1のユーザが音声解説に対応するエリア(例えば、図1の展示室R11)から、音声解説に対応していないエリア(例えば、廊下)に移動したので、情報処理部31は、起動中のAP特定プログラム82を停止させる。その後、図8に示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される。
【0095】
エリア特定プログラム81では、ゲーム装置1のユーザが音声解説に対応していないエリアから音声解説に対応するエリアに移動した場合には、AP特定プログラム82が起動される。一方、音声解説に対応するエリアから音声解説に対応していないエリアに移動した場合には、AP特定プログラム82は停止される。すなわち、ゲーム装置1が音声解説に対応するエリアに位置する場合にのみAP特定プログラム82は起動する。これによって、必要なときのみAP特定プログラム82が起動するので、ゲーム装置1のAP特定プログラム82の起動による消費電力を少なくすることができる。
【0096】
図9A及び図9Bは、AP特定プログラム82の実行による処理のフローチャートの例
である。AP特定プログラム82は、ゲーム装置1の情報処理部31によって実行される。ただし、図9A及び図9Bでは、美術館内に設置される全APの出力電力が同一であることを前提とし、受信信号の電波強度が所定の閾値より大きいAPを音声解説の対象の展示物と対応付けられたAPとして検出する場合のフローチャートの例である。図9A及び図9Bに示されるフローチャートは、エリア特定プログラム81の実行過程におけるAP特定プログラム82の起動とともに開始され、繰り返し実行される。AP特定プログラム82は、エリア特定プログラム81の実行過程において、又は、ユーザからの入力によって停止され、図9A及び図9Bに示されるフローチャートも停止される。
【0097】
OP21では、情報処理部31は、受信信号の電波強度を測定する。受信信号の電波強度の測定は、電波特性測定プログラム83の実行によって行われる。次に、処理がOP22に進む。
【0098】
OP22では、情報処理部31は、電波強度測定の結果、受信信号の電波強度が閾値を超えることを示すAPがあるか否かを判定する。受信信号の電波強度が閾値を超えるAPがある場合には(OP22:Yes)、処理がOP23に進む。受信信号の電波強度が閾値を超えるAPがない場合には(OP22:No)、図9Aに示されるフローチャートが終了し、その後、繰り返し実行される。なお、閾値は、図6において説明されたように、ゲーム装置1のユーザが、APが設置されている展示物に手が届く位の近い距離において測定される電波強度に設定されている。そのため、APが設置されている展示物同士が十分な間隔で配置されているという前提の場合には、電波強度が閾値を超える信号の発信元として検出されるAPは一つとなる。また、電波強度が閾値を超えるAPを複数検出した場合には、情報処理部31は、エラーとして、図9Aに示されるフローチャートを終了させ、その後、繰り返し実行してもよい。
【0099】
OP22において、受信信号の電波強度が閾値を超えるAPの中に、位置するエリア外に存在するAPが含まれる場合には、ゲーム装置1は、この位置するエリア外のAPについては処理対象から外す。位置するエリア内のAPであるか否かの判定は、例えば、受信信号に含まれるAPの識別情報と、展示物情報93とに基づいて行われる。
【0100】
OP23では、情報処理部31は、変数nに1を加算して更新する。ただし、変数nの初期値は0である。変数nは、OP22において検出されたAPからの信号の電波強度が閾値を超えた回数を計数するための変数である。次に処理がOP24に進む。
【0101】
OP24では、情報処理部31は、変数nが1であるか否かを判定する。変数nが1である場合には(OP24:Yes)、処理がOP21に戻り、変数nが1でなくなるまでOP21からOP23の処理が繰り返される。変数nが1でない場合には(OP24:No)、処理がOP25に進む。
【0102】
OP25では、情報処理部31は、OP22において検出したAPが変化したか否かを判定する。検出したAPが変化した場合には(OP25:Yes)、図9Aに示されるフローチャートは終了し、最初から繰り返し実行される。なお、変数nの設定値も初期値に戻る。検出したAPが変化していない場合には(OP25:No)、処理がOP26に進む。
【0103】
OP26では、情報処理部31は、変数nが定数N以上か否かを判定する。定数Nは、例えば、3〜5の値であり、OP26の処理では、APの電波強度が所定回数(定数N)閾値を超えたか否かを判定している。変数nが定数N以上である場合には(OP26:Yes)、処理がOP27に進む。変数nが定数Nより小さい場合には(OP26:No)、処理がOP21に戻り、変数nが定数Nより大きくなるまでOP21からOP26の処
理が繰り返される。なお、この場合には、変数nの値は保持される。
【0104】
OP27では、情報処理部31は、定数N回以上電波強度が閾値を超えたAPに対応付けられた展示物の識別番号を展示物情報93から取得する。この展示物が音声解説対象の展示物となる。次に処理がOP28に進む。
【0105】
OP28では、情報処理部31は、確認用音声再生プログラム84を実行して、ユーザに音声解説対象の展示物の識別番号を提示し、確認を促す。なお、このときにゲーム装置1の上側LCD22に音声解説対象の展示物の識別番号を表示してもよい。ユーザは、ゲーム装置1によって提示される展示物の識別番号が解説を所望する展示物の識別番号と一致している場合には、例えば、ゲーム装置1の操作ボタン14Eを押す。ユーザは、ゲーム装置1によって提示される展示物の識別番号が解説を所望する展示物の識別番号と一致していない場合には、ゲーム装置1の操作ボタン14Cを押す。次に、処理がOP29に進む。
【0106】
OP29では、情報処理部31は、ユーザからの入力があったか否かを判定する。ユーザからの入力があった場合には(OP29:Yes)、処理がOP31に進む。ユーザからの入力が無い場合には(OP29:No)、処理がOP30に進む。
【0107】
OP30では、情報処理部31は、ユーザに音声解説を所望する展示物の識別番号を提示してから(OP28の処理から)、ユーザからの入力がないまま所定時間(例えば、1―3分)経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合には(OP30:Yes)、図9Bに示されるフローチャートが終了し、その後OP21から繰り返し実行される(変数nは初期値に戻る)。所定時間経過していない場合には(OP30:No)、処理がOP29に戻り、ゲーム装置1のユーザから入力があるまで、又は、所定時間経過するまでOP29−OP30の処理が繰り返される。
【0108】
OP31では、情報処理部31は、ユーザからの入力が提示した展示物の識別番号を承認するものであるか否かを判定する。提示した展示物の識別番号が承認された場合には(OP31:Yes)、音声解説の対象となる展示物が確定し、処理がOP32に進む。提示した展示物の識別番号が否認された場合には(OP31:No)、図9Bに示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される(変数nは初期値に戻る)。
【0109】
OP32では、情報処理部31は、解説用音声再生プログラムを実行し、音声解説の対象である展示物の解説用音声データを再生する。解説用音声データの再生が終了すると、図9Bに示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される(変数nは初期値に戻る)。また、解説用音声データの再生中にユーザから中断の入力があった場合には、解説用音声データの再生が停止され、図9Bに示されるフローチャートが終了し、最初から繰り返し実行される(変数nは初期値に戻る)。
【0110】
図9A及び図9Bに示されるフローチャートのように、受信信号の電波強度が閾値を超える信号の発信元であるAPを音声解説の対象の展示物に対応付けられたAPとして検出する際に、該閾値を適切な値に設定しておくことで、APの誤検出を防ぐことができる。この閾値の適切な値とは、例えば、展示物(に対応付けられたAP)に手が届く程度の距離の範囲内において測定される電波強度である。また、閾値を展示物(に対応付けられたAP)に手が届く程度の距離の範囲内に計測された最大の電波強度に近い値に設定した場合には、手が届く程度の距離の間隔で展示物(及び対応付けられたAP)同士が配置される場合でも、APの誤検出を防ぐことができる。
【0111】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、ゲーム装置1は、受信状態が所定の条件に該当する信号の送信元であるAPを特定し、該APに対応づけられた展示物を音声解説の対象として特定する。また、第1実施形態では、APから発信される信号として、APから所定の距離の範囲内では所定の距離の範囲外よりもAPからの距離に対する受信信号の電波強度の変化率が大きいという性質を持つ信号を採用する。したがって、第1実施形態では、APから所定の距離の範囲内で測定される電波強度又はAPからの距離に対する電波強度の変化率の信号の発信元であるAPが、受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元であるAPとして検出される。所定の距離は、APに手が届く程度の距離である。これによって、ゲーム装置1のユーザが展示物に対応付けられたAPに触れることができるくらいの距離に近づくだけで、ゲーム装置1が音声解説の対象の展示物を特定し、音声解説が開始されるので、ゲーム装置1のユーザにとってより少ない操作で音声解説を利用することができ利便性が向上する。特に、視覚障害者にとっては、展示物の識別番号を取得するために展示物の近傍に設置されたプレートに触れて点字を確認する行為を行うだけで良いので、利便性が高く、ユーザに負担が少ない。
【0112】
新たに第1実施形態の情報処理システムを導入する際には、新たに特別な機器を導入する必要はなく、既存のAPを用いることができるため、導入コストを抑えることができる。また、APを展示物の近傍に配置すればよいので、第1実施形態の情報処理システムを導入するために、既存の展示物の配置を変更することもなく、また、APに特別な設定を行うこともない。そのため、第1実施形態の情報処理システムは導入が容易である。
【0113】
また、第1実施形態では、ゲーム装置1が位置するエリアが特定されてから、該エリア内の音声解説の対象となる展示物に対応付けられたAPが特定される。例えば、ゲーム装置1が位置するエリアを特定する処理を行わずに、音声解説の対象となる展示物に対応付けられたAPを特定しようとすると、ゲーム装置1が受信する信号が過多になる可能性があり、ゲーム装置1にかかる負荷が大きくなる。第1実施形態では、まずゲーム装置1が位置するエリアを特定することによって、対象となるAPの数を絞りこみ、次に、音声解説の対象となる展示物に対応付けられたAPを特定することによって、ゲーム装置1にかかる処理負荷が抑制される。また、まずゲーム装置1が位置するエリアが特定されることによって、位置するエリア外のAPからの信号の受信強度が一番強い場合でも、このAPを処理対象から外すことができるため、音声解説の対象となる展示物に対応付けられたAPを特定する精度が向上する。
【0114】
また、第1実施形態では、ゲーム装置1が位置するエリアを特定する処理(エリア特定処理)において、エリア特定用データベース91を用いる。これによって、精度良く現在位置するエリアを特定することができる。また、エリア特定処理には、GPS等の別の位置情報を取得する手段を用いることができる。第1実施形態では、エリア特定処理で無線LANのAPからの電波強度を用いており、使用するハードウェアを少なく抑えることができ、ゲーム装置1の製品コストを抑えることができる。
【0115】
また、第1実施形態では、ゲーム装置1は、音声解説に対応するエリアに位置するときにのみAP特定プログラム82を起動する。これによって、音声解説に対応していないエリアにいる時にはAP特定プログラム82は起動されないので、その分の電力消費を抑えることができる。
【0116】
第1実施形態のゲーム装置1は、無線通信モジュール36を備えており、これによって、無線LANのAPとして動作することも可能である。したがって、第1実施形態における、展示物に対応付けられて配置されるAPとしてゲーム装置1を用いてもよい。この場合には、ゲーム装置1は、携帯可能な装置であるため、展示物に対応する位置への設置が容易である。
【0117】
<変形例1>
上述の情報処理システムを、例えば、映画に登場するキャラクタに関するデータを提供するサービスに適用することも可能である。このサービスでは、映画の上映会場に来場したユーザのゲーム装置にのみ、その映画に登場するキャラクタに関するデータを提供すればよい。この場合、上映会場には、会場内の所定の位置にAPが設置されており、ユーザはこのAPにゲーム装置を所定の距離より近づけることでキャラクタに関するデータの提供を受けることができる。所定の距離とは、第1実施形態と同様に、APにゲーム装置のユーザが触れることができるくらいの距離であり、例えば、APから50cmくらいの距離である。このサービスは、以下のいずれかによって実現される。
【0118】
(i)上映会場に設置されたAPが発信機,ゲーム装置が情報処理装置として用いられる場合;
この場合には、ゲーム装置には、来場前に予め情報処理プログラムがダウンロードされており、上映会場に設置されたAPの識別情報(SSID、MACアドレス),キャラクタに関するデータが保持されている。ただし、初期設定ではキャラクタに関するデータにはロックが掛っており、ゲーム装置のユーザはこのデータにアクセスすることはできない。ゲーム装置は、ユーザによって上映会場に設置されたAPに所定の距離より近づけられると、情報処理プログラムの実行によって、識別情報が登録されている該APからの受信信号が所定の特性に該当することを検出する。受信信号の所定の特性は、第1実施形態と同様であり、APからの受信信号が所定の特性に該当することを検出する処理は、第1実施形態のAP特定プログラム82の実行による処理と同様である。識別情報が登録されているAPからの受信信号が所定の特性に合致したことを検出すると、ゲーム装置はキャラクタに関するデータのロックを外し、ユーザがアクセス可能な状態にする。なお、この場合のゲーム装置の構成は、第1実施形態におけるゲーム装置の構成に準ずる。
【0119】
(ii)ゲーム装置が発信機,上映会場に設置されたAPが情報処理装置として用いられる場合(ただし、ゲーム装置に発信機能がある場合のみ);
この場合には、上映会場に設置されたAPに情報処理プログラムがダウンロードされており、キャラクタに関するデータが保持されている。上映会場に設置されたAPは、ユーザによってゲーム装置が所定の距離より近づけられると、情報処理プログラムの実行によって、第1実施形態におけるAP特定プログラム82の実行により行われる処理のように、該ゲーム装置からの受信信号が所定の特性に合致したことを検出する。ゲーム装置からの受信信号が所定の特性に合致したことを検出すると、上映会場に設置されたAPはキャラクタに関するデータを、該ゲーム装置に送信する。なお、このとき、ゲーム装置に所定のゲームプログラムがインストールされていることを条件にキャラクタに関するデータを提供してもよい。
【0120】
上述の(i),(ii)のように、ゲーム装置が上映会場に設置されるAPに所定の距離より近づき、受信信号が所定の特性に合致したことが検出された場合にのみ、キャラクタに関するデータが提供されるので、上映会場に来場し、映画を鑑賞したユーザにのみキャラクタに関するデータを提供することができる。すなわち、上映会場の近くまで来るだけで映画を鑑賞せずに不正にキャラクタに関するデータを入手しようとすることを防ぐことができる。
【0121】
上述のサービスの他に、上述の(i)と同様にすることで、情報処理システムを、スタンプラリーのようなイベントに適用してもよい。例えば、参加者は、ゲーム装置を携帯して指定された複数の駅を巡回し、各駅においてスタンプデータを集める。この場合、指定された各駅には、改札の外の所定の位置にAPが設置されている。ゲーム装置には、予めスタンプラリー用のプログラムがダウンロードされており、スタンプラリーの対象となる
各駅の改札外に設置されるAPの識別情報(SSID、MACアドレス)と、各駅におけるスタンプデータとが保持されている。ただし、初期設定では、この各駅におけるスタンプデータにはロックが掛っており、ユーザはアクセスできない。
【0122】
ゲーム装置は、スタンプラリーの対象の駅に設置されるAPからの受信信号に含まれるSSID,MACアドレスによって、予め登録されているAPであることを判別する。さらに、ゲーム装置は、該APからの受信信号が所定の特性に該当する場合に、該APが設置されている駅のスタンプデータにユーザがアクセス可能なようにロックを外す。
【0123】
このAPからの受信信号の所定の特性は、該APの設置場所によって設定を変えてもよい。例えば、APが改札に比較的近い場所に設置されている場合には、改札内にあるゲーム装置にも信号が届いてしまう。このため、所定の特性は、第1実施形態のように、APに手が届くくらいの距離において測定される受信信号の電波強度又は電波強度の変化率の値に設定される。
【0124】
また、例えば、APが改札外でないと電波を受信できない位置に設置されている場合には、所定の特性は、APから数mくらいの距離において測定される受信信号の電波強度又は電波強度の変化率の値に設定されればよい。
【0125】
(その他)
上述した説明では、音声解説プログラム8に係る処理をゲーム装置1で行う例を用いたが、上記音声解説プログラム8における処理ステップの少なくとも一部を他の装置で行ってもかまわない。例えば、ゲーム装置1が他の装置(例えば、サーバや他のゲーム装置)と通信を行う場合、上記音声解説プログラム8における処理ステップは、ゲーム装置1および当該他の装置が協働することによって実行してもよい。一例として、ゲーム装置1とは別の装置が、エリア特定プログラム81,AP特定プログラム82,確認用音声再生プログラム84,解説用音声再生プログラム85の処理の一部又は全部を実行してもよい。また、一例として、エリア特定用データベース91,地図情報92,展示物情報93,確認用音声データ94,解説用音声データ95は、ゲーム装置1とは別のネットワーク上の1つの記憶装置又は複数の記憶装置に分散して保持されてもよい。このように、音声解説プログラム8における処理ステップの少なくとも一部を他の装置で行うことによって、上述した音声解説プログラム8と同様の処理が可能となる。このように、上述した音声解説プログラムにおける処理は、少なくとも1つの情報処理装置により構成される情報処理システムに含まれる1つのプロセッサまたは複数のプロセッサ間の協働により実行されることが可能である。また、上記実施形態においては、ゲーム装置1の情報処理部31が所定のプログラムを実行することによって、上述したフローチャートによる処理が行われたが、ゲーム装置1が備える専用回路によって上記処理の一部または全部が行われてもよい。
【0126】
また、上述したゲーム装置1の形状や、それに設けられている各種操作ボタン14,アナログスティック15,タッチパネル13の形状,数,および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状,数,および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述した画像処理で用いられる処理順序,設定値,判定に用いられる値等は、単なる一例に過ぎず他の順序や値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0127】
また、上記音声解説プログラム8は、外部メモリ45やデータ保存用外部メモリ46等の外部記憶媒体を通じてゲーム装置1に供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてゲーム装置1に供給されてもよい。また、上記音声解説プログラム8は、ゲーム装置1内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。なお、上記音声解説プログラム8を記憶する情報記憶媒体としては、不揮発性メモリの他に、CD−ROM,DV
D,あるいはそれらに類する光学式ディスク状記憶媒体,フレキシブルディスク,ハードディスク,光磁気ディスク,磁気テープ,などでもよい。また、上記音声解説プログラム8を記憶する情報記憶媒体としては、上記プログラムを一時的に記憶する揮発性メモリでもよい。このような外部記憶媒体は、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体ということができる。例えば、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、上述で説明した各種機能を提供させることができる。
【0128】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【符号の説明】
【0129】
1 ゲーム装置
8 音声解説プログラム
31 情報処理部
32 メインメモリ
36 無線通信モジュール
81 エリア特定プログラム
82 AP特定プログラム
83 電波特性測定プログラム
84 確認用音声再生プログラム
85 解説用音声再生プログラム
91 エリア特定用データベース
92 美術館の地図情報
93 展示物情報
94 確認用音声データ
95 解説用音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な情報処理装置であって、
前記情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定手段と、
前記区域特定手段によって特定された区域内の少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、
受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、
前記発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記発信機は、前記発信機から所定の距離の範囲内においては前記所定の距離の範囲外よりも前記発信機からの距離に対する前記発信機からの信号の受信強度または受信強度の変化率が大きい放射特性を有する信号を発信し、
前記所定の条件とは、前記発信機から所定の距離の範囲内において検出される信号の受信状態である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発信機特定手段は、前記発信機から所定の距離の範囲内において検出される前記信号の受信状態の値のうちの一つを閾値として、信号の受信状態が前記閾値を超えている信号の発信元である発信機を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記発信機特定手段は、前記信号の受信状態が前記所定の条件に所定期間該当する信号の発信元である発信機を特定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記区域特定手段は、前記発信機からの信号の受信状態に基づいて、前記情報処理装置が位置する前記区域を特定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記区域特定手段は、複数の区域のうちから前記情報処理装置が位置する一つの区域を特定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の区域にはそれぞれ少なくとも一つの発信機が設置されており、前記複数の区域に設置される複数の発信機それぞれからの信号の受信強度または受信強度の変化率と、前記複数の区域のそれぞれと、の対応付けを保持する記憶手段をさらに備え、
前記区域特定手段は、前記複数の発信機からの信号の受信強度または受信強度の変化率と、前記記憶手段に保持される前記対応付けとから、前記情報処理装置が位置する区域を特定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の区域のエリア情報を保持する記憶手段と、
前記情報処理装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、をさらに備え、
前記区域特定手段は、前記エリア情報と前記位置情報とに基づいて、前記情報処理装置が位置する区域を特定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記位置情報取得手段は、複数の発信機からの信号に基づいて前記位置情報を取得する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記発信機は、他の情報処理装置との通信に用いられる信号を発信し、
前記情報処理装置は、
前記発信機からの信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された前記信号を内部処理可能な形式に復調する復調手段と、
をさらに備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記発信機はアクセスポイントであり、
前記受信手段は、前記アクセスポイントから発信される無線信号を受信し、
前記受信状態測定手段は、前記信号の受信状態として前記アクセスポイントからの信号の電波強度を測定する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記区域特定手段は、前記情報処理装置が位置する区域を特定した場合に、前記受信状態測定手段を起動させる、
請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
音声出力装置から音声信号を出力する音声出力手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記所定の処理として、前記発信機特定手段によって特定された発信機に対応する音声データを前記音声出力手段に出力させる、
請求項1から12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
表示装置に画像データを表示させる表示処理手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記所定の処理として、前記発信機特定手段によって特定された発信機に対応する画像データを前記表示処理手段に表示させる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
少なくとも1つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、
受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、
前記発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項16】
発信機の識別情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記発信機特定手段は、受信状態が前記所定の条件に該当する信号の発信元である発信機の識別情報が前記記憶手段に記憶されている場合に、該発信機を特定する
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
携帯可能な情報処理装置と、少なくとも一つの発信機と、を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定手段と、
前記区域特定手段によって特定された区域内の少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、
受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段
と、
前記発信機特定手段によって特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項18】
携帯可能な情報処理装置が、
前記情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定ステップと、
前記特定された区域内の少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定ステップと、
受信状態が所定の条件に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定ステップと、
前記特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項19】
携帯可能な情報処理装置のコンピュータにおいて実行される情報処理プログラムであって、
前記情報処理装置が位置する区域を特定する区域特定手段と、
前記特定された区域内の少なくとも一つの発信機からの信号の受信状態を測定する受信状態測定手段と、
受信状態が所定の受信状態に該当する信号の発信元である発信機を特定する発信機特定手段と、
前記特定された発信機に応じた所定の処理を実行する処理手段として、
前記コンピュータを機能させる、情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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