情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム
【課題】実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出するようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置の第1の受付手段は、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付け、第2の受付手段は、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付け、算出手段は、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出し、出力手段は、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する。
【解決手段】情報処理装置の第1の受付手段は、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付け、第2の受付手段は、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付け、算出手段は、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出し、出力手段は、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器の消費電力に関する技術がある。これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、複合機などの画像処理装置について省電力化を促進することを課題とし、コピーモードやプリントモードを備えた複合機において、各動作モードの動作履歴を、正確に計時し該計時された計時値に基づき、コピーモードやプリントモードなどの様々なジョブを処理する複合機の電力に係るログ情報を作成することが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、実際の動作パターンに基づいて、消費電力を低減するための、省エネモード移行時間を設定することを課題とし、画像形成装置が一定時間以上使用されないと、通常状態より消費電力の低い省エネモードと、この省エネモードに移行する省エネモード移行時間と、この省エネモードを解除する解除手段と、画像形成装置の使用状況を一定期間監視し記憶する記憶手段と、記憶手段に基づいて、前記一定期間の消費電力量を算出する算出手段と、省エネモード移行時間を仮設定し、前記仮設定移行時間及び前記記憶手段の内容を基に仮想消費電力を算出する手段とを備え、この仮想消費電力算出結果に基づいて、画像形成装置の省エネモード移行時間を再設定し、また前記仮想消費電力と、一定期間の消費電力を表示する手段と、省エネモード移行時間を入力する手段を備えていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309684号公報
【特許文献2】特開2007−065255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出するようにした情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段を具備することを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記請求項1記載の情報処理装置と前記機器の電力制御を行う電力制御装置を備えており、前記情報処理装置の出力手段は、前記電力制御装置へ出力し、前記電力制御装置は、前記出力手段による出力された機器の動作状態における消費電力を受け付ける第3の受付手段と、前記第3の受付手段によって受け付けられた機器の動作状態における消費電力に基づいて、該機器の省電力状態への移行時間を算出する移行時間算出手段と、前記移行時間算出手段によって算出された省電力状態への移行時間を前記機器に設定する設定手段を具備することを特徴とする情報処理システムである。
【0008】
請求項3の発明は、機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段をさらに具備し、前記算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項4の発明は、前記情報処理装置は、機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段をさらに具備し、前記情報処理装置の算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出することを特徴とする請求項2記載の情報処理システムである。
【0010】
請求項5の発明は、前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせであることを特徴とする請求項1又は3に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項6の発明は、前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせであることを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理システムである。
【0012】
請求項7の発明は、コンピュータを、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段として機能させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の情報処理装置によれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出することができる。
【0014】
請求項2の情報処理システムによれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力に基づいて、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0015】
請求項3の情報処理装置によれば、機器の消費電力が計測されていない場合であっても、その機器の消費電力を算出することができる。
【0016】
請求項4の情報処理システムによれば、機器の消費電力が計測されていない場合であっても、その機器の消費電力を算出して、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0017】
請求項5の情報処理装置によれば、機器の動作状態における消費電力を、本構成を有していない場合に比較してより正確に算出することができる。
【0018】
請求項6の情報処理システムによれば、機器の動作状態における消費電力を、本構成を有していない場合に比較してより正確に算出して、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0019】
請求項7の画像処理プログラムによれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態のシステム構成例を示すモジュール構成図である。
【図3】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図4】電力情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図5】動作状態テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図6】機器別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図7】機器別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図8】本実施の形態のシステム構成例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図11】機器・機種対応テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図12】機種別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図13】機種別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図14】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0022】
本実施の形態である情報処理装置は、機器の動作状態における消費電力を算出するものであって、図1の例に示すように、電力情報受付モジュール110、動作状態受付モジュール120、消費電力量算出モジュール130、蓄積モジュール140、出力モジュール150を有している。
【0023】
電力情報受付モジュール110は、消費電力量算出モジュール130と接続されている。電力情報受付モジュール110は、対象としている機器の消費電力に関する情報(以下、電力情報ともいう)と時刻情報を受け付ける。
対象としている機器とは、少なくとも複数の動作状態があり、その動作状態における消費電力を算出する対象としているものである。例えば、事務所内で用いられる画像処理装置、具体的には、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)等がある。この他に、パーソナルコンピュータ、空調設備等がある。
電力情報受付モジュール110が受け付ける消費電力に関する情報とは、その対象としている機器の消費電力を算出し得る情報であればよく、具体的には、単位時間あたりの消費電力、アンペア、ボルト等である。また、この消費電力に関する情報とは、その対象としている機器が実際に消費している実測値の電力である。例えば、実際に稼働している機器の消費電力を計測している計測器(後述する電力量計測器220)から対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける。
また、電力情報受付モジュール110が受け付ける時刻情報は、例えば、計測器が予め定められた時間間隔(例えば、1分毎等)で対象機器の消費電力を計測し、本実施の形態である情報処理装置へ出力する場合は、その時間間隔での時刻情報となる。また、計測器が消費電力に関する情報に変化があった場合に、この情報処理装置へ出力する場合は、消費電力に関する情報が変化した時の時刻情報となる。なお、時刻情報とは、年、月、日、時、分、秒、秒以下のいずれかを含み、これらの組み合わせであってもよい(動作状態受付モジュール120が受け付ける時刻情報においても同じである)。
【0024】
動作状態受付モジュール120は、消費電力量算出モジュール130と接続されている。動作状態受付モジュール120は、機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける。
動作状態とは、一般的には動作モードともいわれており、その機器の使用状態を示すものであり、前述の画像処理装置の例では、節電モード、省電力モード、ウォームアップ状態、待機状態、プリント状態、スキャン状態、ファックス状態等が該当する。
動作状態受付モジュール120は、対象としている機器から、その機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける。
動作状態受付モジュール120が受け付ける機器の動作状態を示す情報とは、その機器の動作状態を、本実施の形態において一意に識別できる情報であればよい。
また、動作状態受付モジュール120が受け付ける時刻情報は、例えば、機器が予め定められた時間間隔(例えば、1分毎等)でその機器の動作状態を、本実施の形態である情報処理装置へ出力する場合は、その時間間隔での時刻情報となる。また、機器が動作状態に変化があった場合に、この情報処理装置へ出力する場合は、動作状態が変化したときの時刻情報となる。
なお、時刻は、消費電力を計測している計測器と対象としている機器との間で一致している必要がある。つまり、両者間(さらに、本実施の形態を含めてもよい)で予め時刻合わせが行われている。
【0025】
消費電力量算出モジュール130は、電力情報受付モジュール110、消費電力量算出モジュール130、蓄積モジュール140と接続されている。消費電力量算出モジュール130は、電力情報受付モジュール110によって受け付けられた時刻情報と動作状態受付モジュール120によって受け付けられた時刻情報に基づいて、対象としている機器の動作状態における消費電力を算出する。消費電力量算出モジュール130は、対象としている動作状態における開始時から終了時までの消費電力を算出する。例えば、動作状態受付モジュール120が受け付けた時刻情報のうちの対象としている動作状態の開始時刻に対する時刻情報を、電力情報受付モジュール110が受け付けた時刻情報から抽出する。そして、その動作状態の終了時刻に対応する時刻情報を、電力情報受付モジュール110が受け付けた時刻情報から抽出する。それぞれ抽出した開始時刻から終了時刻までの消費電力に関する情報を用いて、その機器の対象としている動作状態における消費電力を算出すればよい。例えば、電力情報受付モジュール110が受け付けた消費電力に関する情報が単位時間あたりの消費電力であれば、開始時刻から終了時刻までの期間において、消費電力を積算すればよい。
さらに、消費電力量算出モジュール130は、機器の動作状態における過去の消費電力が蓄積モジュール140に記憶されている場合は、その算出した消費電力を補正するようにしてもよい。例えば、過去の消費電力と今回算出した消費電力を用いた統計的値(例えば、平均値、中央値、最頻値等)としてもよい。また、過去の消費電力と今回算出した消費電力の差分を用いた補正を行ってもよい。例えば、過去の消費電力と今回算出した消費電力のいずれか低い値に差分の予め定められた値(例えば、40%等、なお、50%の場合は平均値を求めることと同じである)を加えるようにしてもよい。また、これらの消費電力に重みを付すようにしてもよい。例えば、現在からの期間に応じた重みとしてもよい。より具体的には、現在に近い消費電力には、それよりも古い消費電力よりも高い重みを付し、古い過去の消費電力には、それよりも新しい消費電力よりも低い重みを付すようにしてもよい。
【0026】
蓄積モジュール140は、消費電力量算出モジュール130、出力モジュール150と接続されている。蓄積モジュール140は、消費電力量算出モジュール130によって算出された機器の動作状態における消費電力を記憶する。例えば、機器を本実施の形態において一意に識別できる情報である機器識別情報、動作状態を示す情報、消費電力を対応させて記憶する。
【0027】
出力モジュール150は、蓄積モジュール140と接続されている。出力モジュール150は、蓄積モジュール140に記憶されている、又は、消費電力量算出モジュール130が算出した機器の動作状態における消費電力を出力する。ここで、消費電力を出力するとは、例えば、消費電力を、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること、データベース等へ書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。
【0028】
図2は、本実施の形態のシステム構成例を示すモジュール構成図である。本システムは、機器210と電力量計測器220と消費電力値管理装置230によって構成されている。
機器210は、電力量計測器220と接続されており、また、通信回線290を介して消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234と接続されている。機器210は、消費電力を算出する対象としている機器である。前述した画像処理装置等が該当する。
電力量計測器220は、機器210、消費電力値管理装置230の電力情報受信モジュール232と接続されている。電力量計測器220は、機器210の消費電力量を測定するものであり、その測定結果を消費電力に関する情報として、消費電力値管理装置230に渡す。電力量計測器220としては、既存の計測器を用いればよい。例えば、電圧(V)、電流(A)、電力(W)、皮相電力(VA)、電源周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(kWH)、積算時間(H)等を測定し、その結果を時刻情報とともに消費電力値管理装置230へUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介して送信する。
【0029】
消費電力値管理装置230は、電力情報受信モジュール232、動作状態受信モジュール234、消費電力量算出モジュール236、消費電力値保持モジュール238、消費電力値提供モジュール240を有している。
電力情報受信モジュール232は、電力量計測器220、消費電力量算出モジュール236と接続されており、図1の例に示した電力情報受付モジュール110に該当する。また、受信した消費電力に関する情報と時刻情報を記憶しておいてもよい。
動作状態受信モジュール234は、消費電力量算出モジュール236と接続されており、また、通信回線290を介して機器210と接続されており、図1の例に示した動作状態受付モジュール120に該当する。例えば、MIB(Management Information Base)からSNMP(Simple Network Management Protocol)通信を用いて取得する。また、受信した動作状態を示す情報と時刻情報を記憶しておいてもよい。例えば、機器210に対して、操作者の操作が行われて動作状態が変化すると、機器210は、その情報を動作状態受信モジュール234に送信する。
消費電力量算出モジュール236は、電力情報受信モジュール232、動作状態受信モジュール234、消費電力値保持モジュール238と接続されており、図1の例に示した消費電力量算出モジュール130に該当する。
消費電力値保持モジュール238は、消費電力量算出モジュール236、消費電力値提供モジュール240と接続されており、図1の例に示した蓄積モジュール140に該当する。
消費電力値提供モジュール240は、消費電力値保持モジュール238と接続されており、図1の例に示した出力モジュール150に該当する。
なお、電力量計測器220と消費電力値管理装置230とを接続している通信回線、通信回線290は、有線、無線を問わず、インターネット等であってもよい。
【0030】
図3は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。なお、ステップS302、ステップS304の処理は前処理であって、ステップS306以降の処理を行う前に1回行われていればよく、既に行われていれば、ステップS306から処理を行ってもよい。
ステップS302では、機器210、電力量計測器220、消費電力値管理装置230を接続する。ここでの接続は、機器210の電力値を電力量計測器220が計測できるようにすること、消費電力値管理装置230が機器210から機器210の動作状態を受信できるようにすること、消費電力値管理装置230が電力量計測器220から機器210の電力値を計測した結果である電力情報を受信できるようにすることである。
ステップS304では、機器210、電力量計測器220、消費電力値管理装置230の時刻を設定する。前述のように、機器210と電力量計測器220との間の時刻合わせであってもよい。
【0031】
ステップS306では、電力量計測器220が、機器210の電力情報を消費電力値管理装置230に送信する。例えば、電力情報テーブル400を送信する。図4は、電力情報テーブル400のデータ構造例を示す説明図である。電力情報テーブル400は、機器識別情報欄410、時刻欄420、電力情報欄430を有している。機器識別情報欄410は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機器210が1台である場合は、機器識別情報欄410は無くてもよい。時刻欄420は、時刻情報を記憶する。この例では、電力情報が変化した時刻である。電力情報欄430は、電力情報を記憶する。なお、この例では、電力情報テーブル400内の次の行の時刻までは、同じ電力情報であることを示している。
ステップS308では、消費電力値管理装置230の電力情報受信モジュール232が、電力量計測器220から機器210の電力情報を受信する。例えば、電力情報テーブル400を受信する。
【0032】
ステップS310では、機器210が、動作状態を消費電力値管理装置230に送信する。例えば、動作状態テーブル500を送信する。図5は、動作状態テーブル500のデータ構造例を示す説明図である。動作状態テーブル500は、機器識別情報欄510、時刻欄520、動作状態欄530を有している。機器識別情報欄510は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機器210が1台である場合は、機器識別情報欄510は無くてもよい。時刻欄520は、時刻情報を記憶する。この例では、動作状態が変化した時刻(開始時刻)である。動作状態欄530は、動作状態を記憶する。なお、この例では、動作状態テーブル500内の次の行の時刻までは、同じ動作状態が続いていたことを示している。したがって、動作状態テーブル500内の次の行の時刻が動作状態の開始時刻である。
ステップS312では、消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234が、機器210から、その動作状態を受信する。例えば、動作状態テーブル500を受信する。
【0033】
ステップS314では、消費電力量算出モジュール236が、電力情報受信モジュール232と動作状態受信モジュール234が受信した情報に基づいて、機器210の動作状態毎の消費電力量データを算出する。算出対象としている機器210の動作状態における開始時刻と終了時刻を動作状態テーブル500から抽出し、その開始時刻から終了時刻までの電力情報を電力情報テーブル400から抽出し、その電力情報を用いて消費電力量データを算出する。
ステップS316では、消費電力量算出モジュール236が消費電力値保持モジュール238内に、算出した動作状態毎の消費電力量データがあるか否かを判断し、ある場合はステップS320へ進み、ない場合はステップS318へ進む。つまり、その機器210の動作状態における消費電力量データが既に算出されているか否かを判断している。例えば、消費電力値保持モジュール238内に機器別動作状態・消費電力テーブル600を記憶している。図6は、機器別動作状態・消費電力テーブル600のデータ構造例を示す説明図である。機器別動作状態・消費電力テーブル600は、機器識別情報欄610、動作状態欄620、単位時間あたりの消費電力量欄630を有している。機器識別情報欄610は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。動作状態欄620は、動作状態を記憶する。単位時間あたりの消費電力量欄630は、その機器のその動作状態における消費電力量を記憶する。これらは、ステップS320の処理によって1行ずつ記憶されるものである。ステップS316の判断では、機器別動作状態・消費電力テーブル600内に、ステップS314で算出した機器210の動作状態の消費電力量データが既に記憶されているか否かを判断することになる。
【0034】
ステップS318では、消費電力量算出モジュール236がステップS314で算出した消費電力量データを補正する。その補正は、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている消費電力量データを用いる。例えば、前述したように、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている消費電力量データとステップS314で算出した消費電力量データとの平均値等を算出する。
ステップS320では、消費電力量算出モジュール236が消費電力値保持モジュール238に動作状態毎の消費電力量データを記憶させる。前述の例では、機器別動作状態・消費電力テーブル600に1行ずつ記憶させる。なお、既に、機器別動作状態・消費電力テーブル600内に機器210の動作状態の消費電力量データが記憶されている場合は、その行を書き換えてもよいし、ステップS318での処理結果の行を追加してもよい。行を追加する場合は、その時刻情報を記憶する欄を機器別動作状態・消費電力テーブル600に追加してもよい。
ステップS322では、他の情報処理装置からの要求に応じて、消費電力値提供モジュール240が機器210の動作状態毎の消費電力量データを出力する。
【0035】
前述のステップS314では、消費電力量データの算出対象である機器210の動作状態は、1つの動作状態であるが、算出対象としての動作状態を2つの動作状態の組み合わせとしてもよい。つまり、機器210の動作状態を、対象としている時刻における動作状態Bとその動作状態Bの直前(開始時刻直前)の動作状態Aとの組み合わせ(つまり、動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)としてもよい。動作状態Bになるための消費電力は、その直前の動作状態Aに影響を受けるからである。
したがって、ステップS314以降の処理においては、動作状態を動作状態Aと動作状態Bの組み合わせとして処理を行えばよい。
例えば、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている機器別動作状態・消費電力テーブル600は、機器別動作状態・消費電力テーブル700のようになる。図7は、機器別動作状態・消費電力テーブル700のデータ構造例を示す説明図である。機器別動作状態・消費電力テーブル700は、機器識別情報欄710、前動作状態欄720、後動作状態欄730、単位時間あたりの消費電力量欄740を有している。機器識別情報欄710は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。前動作状態欄720は、動作状態Aを記憶する。後動作状態欄730は、動作状態Bを記憶する。単位時間あたりの消費電力量欄740は、その機器のその動作状態(動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)における消費電力量を記憶する。これは、機器別動作状態・消費電力テーブル700の前動作状態欄720と後動作状態欄730は、機器別動作状態・消費電力テーブル600の動作状態欄620に該当するものである。
なお、動作状態Aを抽出するためには、機器210が送信した動作状態テーブル500を用いればよい。又は、動作状態受信モジュール234が記憶している動作状態を示す情報と時刻情報を用いればよい。つまり、対象としている動作状態Bの直前の動作状態Aを、動作状態受信モジュール234が記憶している動作状態から抽出すればよい。
【0036】
図8は、本実施の形態のシステム構成例を示す説明図である。機器210、消費電力値管理装置230、機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860は、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。これは、図2に示したシステム構成例に機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860を付加したものである。
機器電力管理装置850は、機器210の電力制御を行う。例えば、機器210の省電力状態への移行時間を算出し、その移行時間を機器210に設定するようにしてもよい。
消費電力値管理装置230の消費電力値提供モジュール240は、通信回線290を介して機器電力管理装置850へ、機器210の動作状態における消費電力を出力する。なお、この出力する情報は、対象としている機器210の動作状態毎の消費電力であってもよいし、対象としている機器210全ての動作状態の消費電力であってもよい。
ジョブログ管理装置860は、機器210の稼働状況を管理する。例えば、機器210における稼働状況(ジョブログ)をMIBからSNMP通信を用いて取得し、記憶する。取得する稼働状況は、消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234が受け取る情報と同等の情報である。
【0037】
機器電力管理装置850は、消費電力値提供モジュール240による出力された機器210の動作状態における消費電力を受け付ける。受け付けた機器210の動作状態における消費電力に基づいて、機器210の省電力状態への移行時間を算出する。そして、算出した省電力状態への移行時間を機器210に設定する。
省電力状態とは、一般的に低電力モード、省電力モード、省エネモード、スリープモードといわれているものであり、低電力で待機する状態を指す。ただし、省電力状態から機器210を使用できるまでの復帰時間は、省電力状態ではない待機状態と比較すると長い。
省電力状態への移行とは、省電力、省エネルギーのために、単なる待機状態(省電力状態ではない待機状態であり、すぐに稼働可能な状態)等から、省電力状態へと移行することであり、オートオフ等ともいわれる機能である。機器210には、この機能が備わっている。
省電力状態への移行時間とは、省電力状態以外の動作状態から省電力状態へと移行するまでの期間をいう。短いほど省電力、省エネルギーには有効であるが、機器210を稼働させるまでの時間が長くなる等によって利便性が低下する。
【0038】
機器電力管理装置850による電力制御は、例えば、部署毎に消費電力の上限値が定められているような場合に、効果的に機器210における消費電力を制御するために、機器210の省電力状態への移行時間を設定する。具体的には、利便性を重視する時間帯(その機器210を頻繁に使用する時間帯、例えば、予め定められた数以上の社員が出社した時間、会議開始前等)には、省電力状態ではない待機状態を長くし、その機器210を使用することが少ない時間帯(例えば、昼休み等)には、省電力状態を長くする。つまり、利便性を重視する時間帯は、省電力への移行時間を長く設定し、機器210を使用することが少ない時間帯は、省電力への移行時間を短く設定する。ここで、長く、短くとは、他方の時間帯における移行時間と比較した場合の長く、短くである。また、設定する移行時間は、予め定められた移行時間であってもよい。
【0039】
なお、利便性を重視する時間帯、機器210を使用することが少ない時間帯については、ジョブログ管理装置860から受け取った情報に基づいて、機器電力管理装置850が決定する。機器電力管理装置850は、稼働状況として、単位時間当たりに稼働する回数等(例えば、機器210が複写機である場合、9時から17時までの1時間毎に複写機能が利用された回数、ページ数等)を算出し、その回数が予め定められた回数等以上である場合は、「利便性を重視する時間帯」とし、それ以外の場合は「機器210を使用することが少ない時間帯」とし、機器210を一意に識別する識別情報に対応させて、それらの情報を機器電力管理装置850に渡す。
また、機器電力管理装置850が、社員の行動状況を管理している情報処理装置から、機器210が設置されている近辺に席がある社員の出社状況を取得し、予め定められた数以上の社員が出社した時間帯を「利便性を重視する時間帯」と判断するようにしてもよい。
また、機器電力管理装置850が、会議室の予約状況を管理している情報処理装置から、機器210が設置されている近辺の会議室の予約状況を取得し、その会議開始前の時間帯を「利便性を重視する時間帯」と判断するようにしてもよい。
機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860による処理(省電力状態への移行時間を算出する処理等)は、この他に、特許文献2等に記載の技術を用いるようにしてもよい。
【0040】
図9は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS902では、機器電力管理装置850がジョブログ管理装置860へジョブログを要求する。
ステップS904では、ジョブログ管理装置860が機器電力管理装置850へ要求されたジョブログを送信する。
ステップS906では、機器電力管理装置850がジョブログ管理装置860から要求したジョブログを受信する。
ステップS908では、機器電力管理装置850が消費電力値管理装置230へ消費電力量データを要求する。
ステップS910では、消費電力値管理装置230が機器電力管理装置850へ要求された消費電力量データを送信する。
ステップS912では、機器電力管理装置850が消費電力値管理装置230から要求した消費電力量データを受信する。
ステップS914では、機器電力管理装置850がジョブログ、消費電力量データを用いて、省電力モードへの移行時間を算出する。
ステップS916では、機器電力管理装置850が機器210に省電力モードへの移行時間を設定する。
【0041】
次に、機器電力管理装置850が消費電力を計測していない機器の消費電力量データを、消費電力値管理装置230に対して要求してきた場合の消費電力値管理装置230が行う処理について説明する。
消費電力量算出モジュール236は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、その機器に対応する機種を機器・機種対応テーブル1100から抽出し、その機種の基準消費電力に対する補正を行って、機器の消費電力を算出する。ここでの「対象とする機器」とは、機器電力管理装置850から、消費電力の出力要求があった機器のことである。「機種の基準消費電力」は、例えば、機種と基準消費電力とが対応付けられて記憶されているテーブルを予め用意し、そのテーブルを用いて機種から消費電力を抽出すればよい。また、補正で用いる補正値は、機種の構成固有情報を用いて算出するようにしてもよい。
【0042】
図10は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1002では、消費電力量算出モジュール236が、機器・機種対応テーブル1100、機種別動作状態・消費電力テーブル1200を用いて、機器別動作状態・消費電力テーブル600から補正値を生成する。
図11は、機器・機種対応テーブル1100のデータ構造例を示す説明図である。機器・機種対応テーブル1100は、機器とその機器の機種を対応させて記憶する。機器・機種対応テーブル1100は、機器識別情報欄1110、機種識別情報欄1120、構成固有情報欄1130を有している。機器識別情報欄1110は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。機種識別情報欄1120は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機種とは、機器の種類を示すものである。したがって、1つの機種に1つ以上の機器が対応する。構成固有情報欄1130は、その機器の本体と本体以外の構成要素(具体的には、例えば、機器が複合機である場合は、自動原稿送り装置、パンチ(穴開け)、書類とじ(ホチキス留め)、紙折り等を行う後処理装置(フィニッシャー)等の付加装置)を記憶する。
図12は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200のデータ構造例を示す説明図である。機種別動作状態・消費電力テーブル1200は、機種識別情報欄1210、動作状態欄1220、単位時間あたりの基準消費電力量欄1230を有している。機種識別情報欄1210は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。動作状態欄1220は、動作状態を記憶する。単位時間あたりの基準消費電力量欄1230は、その機種の機器がその動作状態で稼働した場合の基準消費電力を記憶する。この基準消費電力は、その機種の機器(予め定められた標準的な機器、例えば、付加装置がない状態の機器)において、前述の消費電力量算出モジュール236によって算出された消費電力量であってもよいし、予め定められた値であってもよい。
【0043】
補正値は、例えば、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の単位時間あたりの基準消費電力量欄1230内の基準消費電力量に加減乗除する値である。この補正値は機種毎に生成する。基準消費電力量と実測の消費電力量(機器別動作状態・消費電力テーブル600の単位時間あたりの消費電力量欄630内の値)との間に差がある場合に、その差を補正値としてもよいし、その差に予め定められた値を加減乗除するようにしてもよい。例えば、差に0.9を乗算して、補正値を生成するようにしてもよい。
その補正値は、機種の動作状態毎に記憶していればよい。例えば、機器・機種対応テーブル1100に補正値の欄を設けて、その欄に記憶してもよい。
また、補正値は、構成固有情報に基づいて生成してもよい。「構成固有情報に基づいて」とは、機種の標準の構成固有情報に類似する機器の構成固有情報(機器・機種対応テーブル1100の構成固有情報欄1130)を有する機器を選択し、その選択した機器の消費電力量(機器別動作状態・消費電力テーブル600の単位時間あたりの消費電力量欄630)を用いて補正値を生成することである。
なお、機種の標準の構成固有情報は、機種毎に予め設定されており、例えば、標準の構成固有情報はデフォルトとして「本体のみ」と設定されていてもよいし、機種と標準の構成固有情報を対応させて記憶しているテーブルに設定されていてもよい。
【0044】
ステップS1004では、消費電力値管理装置230が、対象としている機器の消費電力量の値の要求を受け付ける。
ステップS1006では、消費電力量算出モジュール236が、その対象機器は、機器別動作状態・消費電力テーブル600内にあるか否かを判断し、ある場合はステップS1012へ進み、ない場合はステップS1008へ進む。
ステップS1008では、消費電力量算出モジュール236が、機器・機種対応テーブル1100を用いて、その対象としている機器の機種を特定する。具体的には、機器・機種対応テーブル1100の機器識別情報欄1110から機器を検索し、該当する機器に対応する機種識別情報欄1120から機種を抽出すればよい。
ステップS1010では、消費電力量算出モジュール236が、その機種の基準消費電力量に補正値による補正を行って、その機器の消費電力量を算出する。具体的には、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の機種識別情報欄1210から機種を検索し、該当する機種に対応する単位時間あたりの基準消費電力量欄1230から基準消費電力量を抽出し、その基準消費電力量に対して、補正値を加減乗除すればよい。
ステップS1012では、消費電力量算出モジュール236が、機器別動作状態・消費電力テーブル600からその機器の消費電力量を抽出する。つまり、機器電力管理装置850が要求している機器の消費電力量が機器別動作状態・消費電力テーブル600内にある場合であるので、機器別動作状態・消費電力テーブル600内から該当する消費電力量を抽出すればよい。
ステップS1014では、消費電力値管理装置230が、対象としている機器の消費電力量を要求元に送信する。
【0045】
図10の例に示すフローチャートでは、機器に対する消費電力量が機器電力管理装置850から要求された場合(ステップS1004)であるが、機器の動作状態毎の消費電力量が機器電力管理装置850から要求されてもよい。その場合は、機種の動作状態毎の基準消費電力量(機種別動作状態・消費電力テーブル1200の単位時間あたりの基準消費電力量欄1230)に対して、動作状態毎の補正値を用いて補正すればよい。
さらに、動作状態は、前述したような対象としている時刻における動作状態とその動作状態の直前の動作状態との組み合わせとしてもよい。その場合は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の代わりに、機種別動作状態・消費電力テーブル1300を用いるようにすればよい。図13は、機種別動作状態・消費電力テーブル1300のデータ構造例を示す説明図である。機種別動作状態・消費電力テーブル1300は、機種識別情報欄1310、前動作状態欄1320、後動作状態欄1330、単位時間あたりの基準消費電力量欄1340を有している。機種識別情報欄1310は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。前動作状態欄1320は、動作状態Aを記憶する。後動作状態欄1330は、動作状態Bを記憶する。単位時間あたりの基準消費電力量欄1340は、その機種の機器がその動作状態(動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)で稼働した場合の基準消費電力を記憶する。これは、機種別動作状態・消費電力テーブル1300の前動作状態欄1320と後動作状態欄1330は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の動作状態欄1220に該当するものである。
【0046】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図14に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU1401を用い、記憶装置としてRAM1402、ROM1403、HD1404を用いている。HD1404として、例えばハードディスクを用いてもよい。消費電力量算出モジュール130等のプログラムを実行するCPU1401と、そのプログラムやデータを記憶するRAM1402と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM1403と、補助記憶装置であるHD1404と、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する利用者の操作に基づいてデータを受け付ける受付装置1406と、CRT、液晶ディスプレイ等の出力装置1405と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース1407、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス1408により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0047】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、図14に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図14に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図14に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0048】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
110…電力情報受付モジュール
120…動作状態受付モジュール
130…消費電力量算出モジュール
140…蓄積モジュール
150…出力モジュール
210…機器
220…電力量計測器
230…消費電力値管理装置
232…電力情報受信モジュール
234…動作状態受信モジュール
236…消費電力量算出モジュール
238…消費電力値保持モジュール
240…消費電力値提供モジュール
290…通信回線
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器の消費電力に関する技術がある。これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、複合機などの画像処理装置について省電力化を促進することを課題とし、コピーモードやプリントモードを備えた複合機において、各動作モードの動作履歴を、正確に計時し該計時された計時値に基づき、コピーモードやプリントモードなどの様々なジョブを処理する複合機の電力に係るログ情報を作成することが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、実際の動作パターンに基づいて、消費電力を低減するための、省エネモード移行時間を設定することを課題とし、画像形成装置が一定時間以上使用されないと、通常状態より消費電力の低い省エネモードと、この省エネモードに移行する省エネモード移行時間と、この省エネモードを解除する解除手段と、画像形成装置の使用状況を一定期間監視し記憶する記憶手段と、記憶手段に基づいて、前記一定期間の消費電力量を算出する算出手段と、省エネモード移行時間を仮設定し、前記仮設定移行時間及び前記記憶手段の内容を基に仮想消費電力を算出する手段とを備え、この仮想消費電力算出結果に基づいて、画像形成装置の省エネモード移行時間を再設定し、また前記仮想消費電力と、一定期間の消費電力を表示する手段と、省エネモード移行時間を入力する手段を備えていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309684号公報
【特許文献2】特開2007−065255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出するようにした情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段を具備することを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記請求項1記載の情報処理装置と前記機器の電力制御を行う電力制御装置を備えており、前記情報処理装置の出力手段は、前記電力制御装置へ出力し、前記電力制御装置は、前記出力手段による出力された機器の動作状態における消費電力を受け付ける第3の受付手段と、前記第3の受付手段によって受け付けられた機器の動作状態における消費電力に基づいて、該機器の省電力状態への移行時間を算出する移行時間算出手段と、前記移行時間算出手段によって算出された省電力状態への移行時間を前記機器に設定する設定手段を具備することを特徴とする情報処理システムである。
【0008】
請求項3の発明は、機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段をさらに具備し、前記算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項4の発明は、前記情報処理装置は、機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段をさらに具備し、前記情報処理装置の算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出することを特徴とする請求項2記載の情報処理システムである。
【0010】
請求項5の発明は、前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせであることを特徴とする請求項1又は3に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項6の発明は、前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせであることを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理システムである。
【0012】
請求項7の発明は、コンピュータを、対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段として機能させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の情報処理装置によれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出することができる。
【0014】
請求項2の情報処理システムによれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力に基づいて、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0015】
請求項3の情報処理装置によれば、機器の消費電力が計測されていない場合であっても、その機器の消費電力を算出することができる。
【0016】
請求項4の情報処理システムによれば、機器の消費電力が計測されていない場合であっても、その機器の消費電力を算出して、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0017】
請求項5の情報処理装置によれば、機器の動作状態における消費電力を、本構成を有していない場合に比較してより正確に算出することができる。
【0018】
請求項6の情報処理システムによれば、機器の動作状態における消費電力を、本構成を有していない場合に比較してより正確に算出して、その機器の省電力状態への移行時間を、その機器に設定することができる。
【0019】
請求項7の画像処理プログラムによれば、実際に使用されている機器の動作状態における消費電力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態のシステム構成例を示すモジュール構成図である。
【図3】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図4】電力情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図5】動作状態テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図6】機器別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図7】機器別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図8】本実施の形態のシステム構成例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図11】機器・機種対応テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図12】機種別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図13】機種別動作状態・消費電力テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図14】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0022】
本実施の形態である情報処理装置は、機器の動作状態における消費電力を算出するものであって、図1の例に示すように、電力情報受付モジュール110、動作状態受付モジュール120、消費電力量算出モジュール130、蓄積モジュール140、出力モジュール150を有している。
【0023】
電力情報受付モジュール110は、消費電力量算出モジュール130と接続されている。電力情報受付モジュール110は、対象としている機器の消費電力に関する情報(以下、電力情報ともいう)と時刻情報を受け付ける。
対象としている機器とは、少なくとも複数の動作状態があり、その動作状態における消費電力を算出する対象としているものである。例えば、事務所内で用いられる画像処理装置、具体的には、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)等がある。この他に、パーソナルコンピュータ、空調設備等がある。
電力情報受付モジュール110が受け付ける消費電力に関する情報とは、その対象としている機器の消費電力を算出し得る情報であればよく、具体的には、単位時間あたりの消費電力、アンペア、ボルト等である。また、この消費電力に関する情報とは、その対象としている機器が実際に消費している実測値の電力である。例えば、実際に稼働している機器の消費電力を計測している計測器(後述する電力量計測器220)から対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける。
また、電力情報受付モジュール110が受け付ける時刻情報は、例えば、計測器が予め定められた時間間隔(例えば、1分毎等)で対象機器の消費電力を計測し、本実施の形態である情報処理装置へ出力する場合は、その時間間隔での時刻情報となる。また、計測器が消費電力に関する情報に変化があった場合に、この情報処理装置へ出力する場合は、消費電力に関する情報が変化した時の時刻情報となる。なお、時刻情報とは、年、月、日、時、分、秒、秒以下のいずれかを含み、これらの組み合わせであってもよい(動作状態受付モジュール120が受け付ける時刻情報においても同じである)。
【0024】
動作状態受付モジュール120は、消費電力量算出モジュール130と接続されている。動作状態受付モジュール120は、機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける。
動作状態とは、一般的には動作モードともいわれており、その機器の使用状態を示すものであり、前述の画像処理装置の例では、節電モード、省電力モード、ウォームアップ状態、待機状態、プリント状態、スキャン状態、ファックス状態等が該当する。
動作状態受付モジュール120は、対象としている機器から、その機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける。
動作状態受付モジュール120が受け付ける機器の動作状態を示す情報とは、その機器の動作状態を、本実施の形態において一意に識別できる情報であればよい。
また、動作状態受付モジュール120が受け付ける時刻情報は、例えば、機器が予め定められた時間間隔(例えば、1分毎等)でその機器の動作状態を、本実施の形態である情報処理装置へ出力する場合は、その時間間隔での時刻情報となる。また、機器が動作状態に変化があった場合に、この情報処理装置へ出力する場合は、動作状態が変化したときの時刻情報となる。
なお、時刻は、消費電力を計測している計測器と対象としている機器との間で一致している必要がある。つまり、両者間(さらに、本実施の形態を含めてもよい)で予め時刻合わせが行われている。
【0025】
消費電力量算出モジュール130は、電力情報受付モジュール110、消費電力量算出モジュール130、蓄積モジュール140と接続されている。消費電力量算出モジュール130は、電力情報受付モジュール110によって受け付けられた時刻情報と動作状態受付モジュール120によって受け付けられた時刻情報に基づいて、対象としている機器の動作状態における消費電力を算出する。消費電力量算出モジュール130は、対象としている動作状態における開始時から終了時までの消費電力を算出する。例えば、動作状態受付モジュール120が受け付けた時刻情報のうちの対象としている動作状態の開始時刻に対する時刻情報を、電力情報受付モジュール110が受け付けた時刻情報から抽出する。そして、その動作状態の終了時刻に対応する時刻情報を、電力情報受付モジュール110が受け付けた時刻情報から抽出する。それぞれ抽出した開始時刻から終了時刻までの消費電力に関する情報を用いて、その機器の対象としている動作状態における消費電力を算出すればよい。例えば、電力情報受付モジュール110が受け付けた消費電力に関する情報が単位時間あたりの消費電力であれば、開始時刻から終了時刻までの期間において、消費電力を積算すればよい。
さらに、消費電力量算出モジュール130は、機器の動作状態における過去の消費電力が蓄積モジュール140に記憶されている場合は、その算出した消費電力を補正するようにしてもよい。例えば、過去の消費電力と今回算出した消費電力を用いた統計的値(例えば、平均値、中央値、最頻値等)としてもよい。また、過去の消費電力と今回算出した消費電力の差分を用いた補正を行ってもよい。例えば、過去の消費電力と今回算出した消費電力のいずれか低い値に差分の予め定められた値(例えば、40%等、なお、50%の場合は平均値を求めることと同じである)を加えるようにしてもよい。また、これらの消費電力に重みを付すようにしてもよい。例えば、現在からの期間に応じた重みとしてもよい。より具体的には、現在に近い消費電力には、それよりも古い消費電力よりも高い重みを付し、古い過去の消費電力には、それよりも新しい消費電力よりも低い重みを付すようにしてもよい。
【0026】
蓄積モジュール140は、消費電力量算出モジュール130、出力モジュール150と接続されている。蓄積モジュール140は、消費電力量算出モジュール130によって算出された機器の動作状態における消費電力を記憶する。例えば、機器を本実施の形態において一意に識別できる情報である機器識別情報、動作状態を示す情報、消費電力を対応させて記憶する。
【0027】
出力モジュール150は、蓄積モジュール140と接続されている。出力モジュール150は、蓄積モジュール140に記憶されている、又は、消費電力量算出モジュール130が算出した機器の動作状態における消費電力を出力する。ここで、消費電力を出力するとは、例えば、消費電力を、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること、データベース等へ書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。
【0028】
図2は、本実施の形態のシステム構成例を示すモジュール構成図である。本システムは、機器210と電力量計測器220と消費電力値管理装置230によって構成されている。
機器210は、電力量計測器220と接続されており、また、通信回線290を介して消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234と接続されている。機器210は、消費電力を算出する対象としている機器である。前述した画像処理装置等が該当する。
電力量計測器220は、機器210、消費電力値管理装置230の電力情報受信モジュール232と接続されている。電力量計測器220は、機器210の消費電力量を測定するものであり、その測定結果を消費電力に関する情報として、消費電力値管理装置230に渡す。電力量計測器220としては、既存の計測器を用いればよい。例えば、電圧(V)、電流(A)、電力(W)、皮相電力(VA)、電源周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(kWH)、積算時間(H)等を測定し、その結果を時刻情報とともに消費電力値管理装置230へUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介して送信する。
【0029】
消費電力値管理装置230は、電力情報受信モジュール232、動作状態受信モジュール234、消費電力量算出モジュール236、消費電力値保持モジュール238、消費電力値提供モジュール240を有している。
電力情報受信モジュール232は、電力量計測器220、消費電力量算出モジュール236と接続されており、図1の例に示した電力情報受付モジュール110に該当する。また、受信した消費電力に関する情報と時刻情報を記憶しておいてもよい。
動作状態受信モジュール234は、消費電力量算出モジュール236と接続されており、また、通信回線290を介して機器210と接続されており、図1の例に示した動作状態受付モジュール120に該当する。例えば、MIB(Management Information Base)からSNMP(Simple Network Management Protocol)通信を用いて取得する。また、受信した動作状態を示す情報と時刻情報を記憶しておいてもよい。例えば、機器210に対して、操作者の操作が行われて動作状態が変化すると、機器210は、その情報を動作状態受信モジュール234に送信する。
消費電力量算出モジュール236は、電力情報受信モジュール232、動作状態受信モジュール234、消費電力値保持モジュール238と接続されており、図1の例に示した消費電力量算出モジュール130に該当する。
消費電力値保持モジュール238は、消費電力量算出モジュール236、消費電力値提供モジュール240と接続されており、図1の例に示した蓄積モジュール140に該当する。
消費電力値提供モジュール240は、消費電力値保持モジュール238と接続されており、図1の例に示した出力モジュール150に該当する。
なお、電力量計測器220と消費電力値管理装置230とを接続している通信回線、通信回線290は、有線、無線を問わず、インターネット等であってもよい。
【0030】
図3は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。なお、ステップS302、ステップS304の処理は前処理であって、ステップS306以降の処理を行う前に1回行われていればよく、既に行われていれば、ステップS306から処理を行ってもよい。
ステップS302では、機器210、電力量計測器220、消費電力値管理装置230を接続する。ここでの接続は、機器210の電力値を電力量計測器220が計測できるようにすること、消費電力値管理装置230が機器210から機器210の動作状態を受信できるようにすること、消費電力値管理装置230が電力量計測器220から機器210の電力値を計測した結果である電力情報を受信できるようにすることである。
ステップS304では、機器210、電力量計測器220、消費電力値管理装置230の時刻を設定する。前述のように、機器210と電力量計測器220との間の時刻合わせであってもよい。
【0031】
ステップS306では、電力量計測器220が、機器210の電力情報を消費電力値管理装置230に送信する。例えば、電力情報テーブル400を送信する。図4は、電力情報テーブル400のデータ構造例を示す説明図である。電力情報テーブル400は、機器識別情報欄410、時刻欄420、電力情報欄430を有している。機器識別情報欄410は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機器210が1台である場合は、機器識別情報欄410は無くてもよい。時刻欄420は、時刻情報を記憶する。この例では、電力情報が変化した時刻である。電力情報欄430は、電力情報を記憶する。なお、この例では、電力情報テーブル400内の次の行の時刻までは、同じ電力情報であることを示している。
ステップS308では、消費電力値管理装置230の電力情報受信モジュール232が、電力量計測器220から機器210の電力情報を受信する。例えば、電力情報テーブル400を受信する。
【0032】
ステップS310では、機器210が、動作状態を消費電力値管理装置230に送信する。例えば、動作状態テーブル500を送信する。図5は、動作状態テーブル500のデータ構造例を示す説明図である。動作状態テーブル500は、機器識別情報欄510、時刻欄520、動作状態欄530を有している。機器識別情報欄510は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機器210が1台である場合は、機器識別情報欄510は無くてもよい。時刻欄520は、時刻情報を記憶する。この例では、動作状態が変化した時刻(開始時刻)である。動作状態欄530は、動作状態を記憶する。なお、この例では、動作状態テーブル500内の次の行の時刻までは、同じ動作状態が続いていたことを示している。したがって、動作状態テーブル500内の次の行の時刻が動作状態の開始時刻である。
ステップS312では、消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234が、機器210から、その動作状態を受信する。例えば、動作状態テーブル500を受信する。
【0033】
ステップS314では、消費電力量算出モジュール236が、電力情報受信モジュール232と動作状態受信モジュール234が受信した情報に基づいて、機器210の動作状態毎の消費電力量データを算出する。算出対象としている機器210の動作状態における開始時刻と終了時刻を動作状態テーブル500から抽出し、その開始時刻から終了時刻までの電力情報を電力情報テーブル400から抽出し、その電力情報を用いて消費電力量データを算出する。
ステップS316では、消費電力量算出モジュール236が消費電力値保持モジュール238内に、算出した動作状態毎の消費電力量データがあるか否かを判断し、ある場合はステップS320へ進み、ない場合はステップS318へ進む。つまり、その機器210の動作状態における消費電力量データが既に算出されているか否かを判断している。例えば、消費電力値保持モジュール238内に機器別動作状態・消費電力テーブル600を記憶している。図6は、機器別動作状態・消費電力テーブル600のデータ構造例を示す説明図である。機器別動作状態・消費電力テーブル600は、機器識別情報欄610、動作状態欄620、単位時間あたりの消費電力量欄630を有している。機器識別情報欄610は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。動作状態欄620は、動作状態を記憶する。単位時間あたりの消費電力量欄630は、その機器のその動作状態における消費電力量を記憶する。これらは、ステップS320の処理によって1行ずつ記憶されるものである。ステップS316の判断では、機器別動作状態・消費電力テーブル600内に、ステップS314で算出した機器210の動作状態の消費電力量データが既に記憶されているか否かを判断することになる。
【0034】
ステップS318では、消費電力量算出モジュール236がステップS314で算出した消費電力量データを補正する。その補正は、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている消費電力量データを用いる。例えば、前述したように、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている消費電力量データとステップS314で算出した消費電力量データとの平均値等を算出する。
ステップS320では、消費電力量算出モジュール236が消費電力値保持モジュール238に動作状態毎の消費電力量データを記憶させる。前述の例では、機器別動作状態・消費電力テーブル600に1行ずつ記憶させる。なお、既に、機器別動作状態・消費電力テーブル600内に機器210の動作状態の消費電力量データが記憶されている場合は、その行を書き換えてもよいし、ステップS318での処理結果の行を追加してもよい。行を追加する場合は、その時刻情報を記憶する欄を機器別動作状態・消費電力テーブル600に追加してもよい。
ステップS322では、他の情報処理装置からの要求に応じて、消費電力値提供モジュール240が機器210の動作状態毎の消費電力量データを出力する。
【0035】
前述のステップS314では、消費電力量データの算出対象である機器210の動作状態は、1つの動作状態であるが、算出対象としての動作状態を2つの動作状態の組み合わせとしてもよい。つまり、機器210の動作状態を、対象としている時刻における動作状態Bとその動作状態Bの直前(開始時刻直前)の動作状態Aとの組み合わせ(つまり、動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)としてもよい。動作状態Bになるための消費電力は、その直前の動作状態Aに影響を受けるからである。
したがって、ステップS314以降の処理においては、動作状態を動作状態Aと動作状態Bの組み合わせとして処理を行えばよい。
例えば、消費電力値保持モジュール238内に記憶されている機器別動作状態・消費電力テーブル600は、機器別動作状態・消費電力テーブル700のようになる。図7は、機器別動作状態・消費電力テーブル700のデータ構造例を示す説明図である。機器別動作状態・消費電力テーブル700は、機器識別情報欄710、前動作状態欄720、後動作状態欄730、単位時間あたりの消費電力量欄740を有している。機器識別情報欄710は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。前動作状態欄720は、動作状態Aを記憶する。後動作状態欄730は、動作状態Bを記憶する。単位時間あたりの消費電力量欄740は、その機器のその動作状態(動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)における消費電力量を記憶する。これは、機器別動作状態・消費電力テーブル700の前動作状態欄720と後動作状態欄730は、機器別動作状態・消費電力テーブル600の動作状態欄620に該当するものである。
なお、動作状態Aを抽出するためには、機器210が送信した動作状態テーブル500を用いればよい。又は、動作状態受信モジュール234が記憶している動作状態を示す情報と時刻情報を用いればよい。つまり、対象としている動作状態Bの直前の動作状態Aを、動作状態受信モジュール234が記憶している動作状態から抽出すればよい。
【0036】
図8は、本実施の形態のシステム構成例を示す説明図である。機器210、消費電力値管理装置230、機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860は、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。これは、図2に示したシステム構成例に機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860を付加したものである。
機器電力管理装置850は、機器210の電力制御を行う。例えば、機器210の省電力状態への移行時間を算出し、その移行時間を機器210に設定するようにしてもよい。
消費電力値管理装置230の消費電力値提供モジュール240は、通信回線290を介して機器電力管理装置850へ、機器210の動作状態における消費電力を出力する。なお、この出力する情報は、対象としている機器210の動作状態毎の消費電力であってもよいし、対象としている機器210全ての動作状態の消費電力であってもよい。
ジョブログ管理装置860は、機器210の稼働状況を管理する。例えば、機器210における稼働状況(ジョブログ)をMIBからSNMP通信を用いて取得し、記憶する。取得する稼働状況は、消費電力値管理装置230の動作状態受信モジュール234が受け取る情報と同等の情報である。
【0037】
機器電力管理装置850は、消費電力値提供モジュール240による出力された機器210の動作状態における消費電力を受け付ける。受け付けた機器210の動作状態における消費電力に基づいて、機器210の省電力状態への移行時間を算出する。そして、算出した省電力状態への移行時間を機器210に設定する。
省電力状態とは、一般的に低電力モード、省電力モード、省エネモード、スリープモードといわれているものであり、低電力で待機する状態を指す。ただし、省電力状態から機器210を使用できるまでの復帰時間は、省電力状態ではない待機状態と比較すると長い。
省電力状態への移行とは、省電力、省エネルギーのために、単なる待機状態(省電力状態ではない待機状態であり、すぐに稼働可能な状態)等から、省電力状態へと移行することであり、オートオフ等ともいわれる機能である。機器210には、この機能が備わっている。
省電力状態への移行時間とは、省電力状態以外の動作状態から省電力状態へと移行するまでの期間をいう。短いほど省電力、省エネルギーには有効であるが、機器210を稼働させるまでの時間が長くなる等によって利便性が低下する。
【0038】
機器電力管理装置850による電力制御は、例えば、部署毎に消費電力の上限値が定められているような場合に、効果的に機器210における消費電力を制御するために、機器210の省電力状態への移行時間を設定する。具体的には、利便性を重視する時間帯(その機器210を頻繁に使用する時間帯、例えば、予め定められた数以上の社員が出社した時間、会議開始前等)には、省電力状態ではない待機状態を長くし、その機器210を使用することが少ない時間帯(例えば、昼休み等)には、省電力状態を長くする。つまり、利便性を重視する時間帯は、省電力への移行時間を長く設定し、機器210を使用することが少ない時間帯は、省電力への移行時間を短く設定する。ここで、長く、短くとは、他方の時間帯における移行時間と比較した場合の長く、短くである。また、設定する移行時間は、予め定められた移行時間であってもよい。
【0039】
なお、利便性を重視する時間帯、機器210を使用することが少ない時間帯については、ジョブログ管理装置860から受け取った情報に基づいて、機器電力管理装置850が決定する。機器電力管理装置850は、稼働状況として、単位時間当たりに稼働する回数等(例えば、機器210が複写機である場合、9時から17時までの1時間毎に複写機能が利用された回数、ページ数等)を算出し、その回数が予め定められた回数等以上である場合は、「利便性を重視する時間帯」とし、それ以外の場合は「機器210を使用することが少ない時間帯」とし、機器210を一意に識別する識別情報に対応させて、それらの情報を機器電力管理装置850に渡す。
また、機器電力管理装置850が、社員の行動状況を管理している情報処理装置から、機器210が設置されている近辺に席がある社員の出社状況を取得し、予め定められた数以上の社員が出社した時間帯を「利便性を重視する時間帯」と判断するようにしてもよい。
また、機器電力管理装置850が、会議室の予約状況を管理している情報処理装置から、機器210が設置されている近辺の会議室の予約状況を取得し、その会議開始前の時間帯を「利便性を重視する時間帯」と判断するようにしてもよい。
機器電力管理装置850、ジョブログ管理装置860による処理(省電力状態への移行時間を算出する処理等)は、この他に、特許文献2等に記載の技術を用いるようにしてもよい。
【0040】
図9は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS902では、機器電力管理装置850がジョブログ管理装置860へジョブログを要求する。
ステップS904では、ジョブログ管理装置860が機器電力管理装置850へ要求されたジョブログを送信する。
ステップS906では、機器電力管理装置850がジョブログ管理装置860から要求したジョブログを受信する。
ステップS908では、機器電力管理装置850が消費電力値管理装置230へ消費電力量データを要求する。
ステップS910では、消費電力値管理装置230が機器電力管理装置850へ要求された消費電力量データを送信する。
ステップS912では、機器電力管理装置850が消費電力値管理装置230から要求した消費電力量データを受信する。
ステップS914では、機器電力管理装置850がジョブログ、消費電力量データを用いて、省電力モードへの移行時間を算出する。
ステップS916では、機器電力管理装置850が機器210に省電力モードへの移行時間を設定する。
【0041】
次に、機器電力管理装置850が消費電力を計測していない機器の消費電力量データを、消費電力値管理装置230に対して要求してきた場合の消費電力値管理装置230が行う処理について説明する。
消費電力量算出モジュール236は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、その機器に対応する機種を機器・機種対応テーブル1100から抽出し、その機種の基準消費電力に対する補正を行って、機器の消費電力を算出する。ここでの「対象とする機器」とは、機器電力管理装置850から、消費電力の出力要求があった機器のことである。「機種の基準消費電力」は、例えば、機種と基準消費電力とが対応付けられて記憶されているテーブルを予め用意し、そのテーブルを用いて機種から消費電力を抽出すればよい。また、補正で用いる補正値は、機種の構成固有情報を用いて算出するようにしてもよい。
【0042】
図10は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1002では、消費電力量算出モジュール236が、機器・機種対応テーブル1100、機種別動作状態・消費電力テーブル1200を用いて、機器別動作状態・消費電力テーブル600から補正値を生成する。
図11は、機器・機種対応テーブル1100のデータ構造例を示す説明図である。機器・機種対応テーブル1100は、機器とその機器の機種を対応させて記憶する。機器・機種対応テーブル1100は、機器識別情報欄1110、機種識別情報欄1120、構成固有情報欄1130を有している。機器識別情報欄1110は、機器210を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。機種識別情報欄1120は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。なお、機種とは、機器の種類を示すものである。したがって、1つの機種に1つ以上の機器が対応する。構成固有情報欄1130は、その機器の本体と本体以外の構成要素(具体的には、例えば、機器が複合機である場合は、自動原稿送り装置、パンチ(穴開け)、書類とじ(ホチキス留め)、紙折り等を行う後処理装置(フィニッシャー)等の付加装置)を記憶する。
図12は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200のデータ構造例を示す説明図である。機種別動作状態・消費電力テーブル1200は、機種識別情報欄1210、動作状態欄1220、単位時間あたりの基準消費電力量欄1230を有している。機種識別情報欄1210は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。動作状態欄1220は、動作状態を記憶する。単位時間あたりの基準消費電力量欄1230は、その機種の機器がその動作状態で稼働した場合の基準消費電力を記憶する。この基準消費電力は、その機種の機器(予め定められた標準的な機器、例えば、付加装置がない状態の機器)において、前述の消費電力量算出モジュール236によって算出された消費電力量であってもよいし、予め定められた値であってもよい。
【0043】
補正値は、例えば、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の単位時間あたりの基準消費電力量欄1230内の基準消費電力量に加減乗除する値である。この補正値は機種毎に生成する。基準消費電力量と実測の消費電力量(機器別動作状態・消費電力テーブル600の単位時間あたりの消費電力量欄630内の値)との間に差がある場合に、その差を補正値としてもよいし、その差に予め定められた値を加減乗除するようにしてもよい。例えば、差に0.9を乗算して、補正値を生成するようにしてもよい。
その補正値は、機種の動作状態毎に記憶していればよい。例えば、機器・機種対応テーブル1100に補正値の欄を設けて、その欄に記憶してもよい。
また、補正値は、構成固有情報に基づいて生成してもよい。「構成固有情報に基づいて」とは、機種の標準の構成固有情報に類似する機器の構成固有情報(機器・機種対応テーブル1100の構成固有情報欄1130)を有する機器を選択し、その選択した機器の消費電力量(機器別動作状態・消費電力テーブル600の単位時間あたりの消費電力量欄630)を用いて補正値を生成することである。
なお、機種の標準の構成固有情報は、機種毎に予め設定されており、例えば、標準の構成固有情報はデフォルトとして「本体のみ」と設定されていてもよいし、機種と標準の構成固有情報を対応させて記憶しているテーブルに設定されていてもよい。
【0044】
ステップS1004では、消費電力値管理装置230が、対象としている機器の消費電力量の値の要求を受け付ける。
ステップS1006では、消費電力量算出モジュール236が、その対象機器は、機器別動作状態・消費電力テーブル600内にあるか否かを判断し、ある場合はステップS1012へ進み、ない場合はステップS1008へ進む。
ステップS1008では、消費電力量算出モジュール236が、機器・機種対応テーブル1100を用いて、その対象としている機器の機種を特定する。具体的には、機器・機種対応テーブル1100の機器識別情報欄1110から機器を検索し、該当する機器に対応する機種識別情報欄1120から機種を抽出すればよい。
ステップS1010では、消費電力量算出モジュール236が、その機種の基準消費電力量に補正値による補正を行って、その機器の消費電力量を算出する。具体的には、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の機種識別情報欄1210から機種を検索し、該当する機種に対応する単位時間あたりの基準消費電力量欄1230から基準消費電力量を抽出し、その基準消費電力量に対して、補正値を加減乗除すればよい。
ステップS1012では、消費電力量算出モジュール236が、機器別動作状態・消費電力テーブル600からその機器の消費電力量を抽出する。つまり、機器電力管理装置850が要求している機器の消費電力量が機器別動作状態・消費電力テーブル600内にある場合であるので、機器別動作状態・消費電力テーブル600内から該当する消費電力量を抽出すればよい。
ステップS1014では、消費電力値管理装置230が、対象としている機器の消費電力量を要求元に送信する。
【0045】
図10の例に示すフローチャートでは、機器に対する消費電力量が機器電力管理装置850から要求された場合(ステップS1004)であるが、機器の動作状態毎の消費電力量が機器電力管理装置850から要求されてもよい。その場合は、機種の動作状態毎の基準消費電力量(機種別動作状態・消費電力テーブル1200の単位時間あたりの基準消費電力量欄1230)に対して、動作状態毎の補正値を用いて補正すればよい。
さらに、動作状態は、前述したような対象としている時刻における動作状態とその動作状態の直前の動作状態との組み合わせとしてもよい。その場合は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の代わりに、機種別動作状態・消費電力テーブル1300を用いるようにすればよい。図13は、機種別動作状態・消費電力テーブル1300のデータ構造例を示す説明図である。機種別動作状態・消費電力テーブル1300は、機種識別情報欄1310、前動作状態欄1320、後動作状態欄1330、単位時間あたりの基準消費電力量欄1340を有している。機種識別情報欄1310は、機種を本実施の形態において一意に識別する情報を記憶する。前動作状態欄1320は、動作状態Aを記憶する。後動作状態欄1330は、動作状態Bを記憶する。単位時間あたりの基準消費電力量欄1340は、その機種の機器がその動作状態(動作状態Aから動作状態Bへと遷移した場合の動作状態B)で稼働した場合の基準消費電力を記憶する。これは、機種別動作状態・消費電力テーブル1300の前動作状態欄1320と後動作状態欄1330は、機種別動作状態・消費電力テーブル1200の動作状態欄1220に該当するものである。
【0046】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図14に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU1401を用い、記憶装置としてRAM1402、ROM1403、HD1404を用いている。HD1404として、例えばハードディスクを用いてもよい。消費電力量算出モジュール130等のプログラムを実行するCPU1401と、そのプログラムやデータを記憶するRAM1402と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM1403と、補助記憶装置であるHD1404と、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する利用者の操作に基づいてデータを受け付ける受付装置1406と、CRT、液晶ディスプレイ等の出力装置1405と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース1407、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス1408により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0047】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、図14に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図14に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図14に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0048】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
110…電力情報受付モジュール
120…動作状態受付モジュール
130…消費電力量算出モジュール
140…蓄積モジュール
150…出力モジュール
210…機器
220…電力量計測器
230…消費電力値管理装置
232…電力情報受信モジュール
234…動作状態受信モジュール
236…消費電力量算出モジュール
238…消費電力値保持モジュール
240…消費電力値提供モジュール
290…通信回線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の情報処理装置と前記機器の電力制御を行う電力制御装置
を備えており、
前記情報処理装置の出力手段は、前記電力制御装置へ出力し、
前記電力制御装置は、
前記出力手段による出力された機器の動作状態における消費電力を受け付ける第3の受付手段と、
前記第3の受付手段によって受け付けられた機器の動作状態における消費電力に基づいて、該機器の省電力状態への移行時間を算出する移行時間算出手段と、
前記移行時間算出手段によって算出された省電力状態への移行時間を前記機器に設定する設定手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段
をさらに具備し、
前記算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段
をさらに具備し、
前記情報処理装置の算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせである
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせである
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータを、
対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項1】
対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の情報処理装置と前記機器の電力制御を行う電力制御装置
を備えており、
前記情報処理装置の出力手段は、前記電力制御装置へ出力し、
前記電力制御装置は、
前記出力手段による出力された機器の動作状態における消費電力を受け付ける第3の受付手段と、
前記第3の受付手段によって受け付けられた機器の動作状態における消費電力に基づいて、該機器の省電力状態への移行時間を算出する移行時間算出手段と、
前記移行時間算出手段によって算出された省電力状態への移行時間を前記機器に設定する設定手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段
をさらに具備し、
前記算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
機器と該機器の機種を対応させて記憶する機種対応記憶手段
をさらに具備し、
前記情報処理装置の算出手段は、対象とする機器の動作状態における消費電力を算出していない場合は、該機器に対応する機種を前記機種対応記憶手段から抽出し、該機種の基準消費電力に対する補正を行って、前記機器の消費電力を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせである
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機器の動作状態は、対象としている時刻における動作状態と該動作状態の直前の動作状態との組み合わせである
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータを、
対象としている機器の消費電力に関する情報と時刻情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記機器の動作状態を示す情報と時刻情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段によって受け付けられた時刻情報と前記第2の受付手段によって受け付けられた時刻情報に基づいて、前記機器の動作状態における消費電力を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された消費電力を出力する出力手段
として機能させるための情報処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−95084(P2013−95084A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240948(P2011−240948)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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