説明

情報処理装置、情報処理プログラム

【課題】必要な設定内容のみを自動的に選定、保存し、ユーザが設定途中履歴を利用する際に必要としている設定途中履歴を探しやすくすることができる情報処理装置及び、情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】ユーザから設定入力を受け付け、その設定内容が複雑であった場合、もしくは設定内容が複雑になると予測できる場合、その設定内容を設定途中履歴として記憶する。その設定内容が複雑であるか否か、もしくは設定内容が複雑になると予測できるか否かを判定するタイミングは、設定入力を受け付けている最中常に行ってもよいし、設定が完了した時(この場合は設定内容が複雑であるか否かのみ)でもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの操作が作業途中である場合、他の状態に移行しても、作業途中の状態から操作を再開することができる情報処理装置及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスなどにおいて共用機器として複数のユーザに共用される印刷機や、プリント、スキャン、コピー、ファックス機能を備える複合機などの画像形成装置では、一般的に、本体に設置された操作パネルを利用して印刷設定や本体設定が行なわれる。
【0003】
近年、このような画像形成装置にはさまざま機能が追加されており、設定できる項目も増加している。その結果、操作パネルの表示画面上には複数の機能や項目が表示され、印刷設定や本体設定などの設定操作もより複雑になってきている。一方で、ユーザが、多くの操作手順を経て複雑な設定を行ったにも関わらず、何らかの事情により、画像形成装置を離れなければならない場合がある。そのような場合、先のユーザが画像形成装置から離れている最中に、他のユーザが画像形成装置を使用してしまうと、先のユーザが設定した内容が消えてしまい、先のユーザは画像形成装置に戻ってきた後に、再度複雑な設定を行なわなければならなかった。そこで、従来から設定途中の内容を設定途中履歴として保存する技術が提案されている。
【0004】
たとえば、設定途中の内容をユーザの意思で保存させる方法(特許文献1参照)が提案されている。この方法では、ユーザの音声、またはスイッチ操作に対応して設定途中履歴を保存し、再表示することが可能である。また、設定途中の内容を自動で保存する方法(特許文献2参照)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−181575号公報
【特許文献2】特開2010−023451号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の方法は、ユーザの操作等に応じて設定途中履歴が保存されるものであり、自動で保存されないため、ユーザが設定途中履歴を保存する操作を行なえなかった場合は、先の操作による設定を利用することはできない。
【0007】
特許文献2に開示の方法は、設定途中の内容が自動で保存されるため、前述のようにユーザが操作を行なえなかった場合でも先の操作による設定を利用することができる。しかし、全ての操作についての設定途中履歴が保存されるため、設定途中履歴が多数保存されることとなり、ユーザが設定途中履歴を使用する際、必要としている設定途中履歴が多数の設定途中履歴の中に埋もれてしまい、探し出すのが困難となるという問題がある。
【0008】
また、簡単な設定内容については、設定途中履歴を参照しなくても、簡単に設定しなおすことができるため、設定途中履歴を利用せずに設定しなおしてしまう可能性が高い。つまり、利用される可能性の低い多くの設定途中履歴が保存されることとなり、画像形成装置のリソース(記憶容量)を無駄に使ってしまうという問題もある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、効率的に設定途中履歴を保存することにより、設定途中履歴を利用する際のユーザの利便性を向上させることができる情報処理装置及び、情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]ユーザから設定操作を受け付ける操作部と、
記憶部と、
制御部と
を有し、
前記制御部は、前記操作部で受け付けた設定内容が複雑か否かを設定途中で判定し、複雑であると判定した場合に、その設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【0012】
上記[1]および下記[14]に係る発明では、ユーザから受け付け途中の設定内容が複雑か否かを判定し、複雑であった場合にその設定内容を自動的に保存する。これにより、設定途中においてユーザの意図しないタイミングで設定がリセットされてしまったとしても、その設定内容が複雑であると判定されていれば、自動的に保存された設定途中履歴からその設定内容を復元することができる。なお、複雑ではない設定内容(簡単な設定内容)は、ユーザによる再設定が容易であり保存しておく価値が低いため保存しない。複雑な設定内容の場合のみ保存することで、メモリの使用を節減することができる。
【0013】
[2]前記制御部は前記操作部で受け付け中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを設定途中で判定し、複雑になると予測できると判定した場合にその設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0014】
上記[2]および下記[15]に係る発明では、ユーザから受け付けた設定入力において設定途中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを判定し、設定内容が複雑になると予測できると判定した場合にその設定内容を設定途中履歴として自動的に保存する。設定内容が複雑になると予測できるときは、後の操作によって設定内容が高確率で複雑な内容になるため、設定途中履歴としてその設定内容を保存しても余計な設定途中履歴となる確率は低い。設定内容が複雑になると予測できる場面とは、たとえば多数の入力操作を必要とする特定の画面に移行したときなどであり、E-mailアドレスの入力画面等がある。設定内容が設定途中履歴として保存された後は、設定内容が変更されるたびに保存した設定途中履歴を更新する。
【0015】
[3]前記制御部は、ユーザからの指示に基づいて、前記設定途中履歴から設定内容を復元する
ことを特徴とする[1]または[2]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0016】
上記[3]および下記[16]に係る発明では、ユーザは設定途中履歴として保存された設定内容を復元し、再設定を行うことができる。これにより、複雑な設定内容がリセットされてしまった場合でも、その設定内容が設定途中履歴として保存されているので、その設定内容を再現する労力を減らすことができる。
【0017】
[4]前記制御部は、設定された機能数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0018】
上記[4]および下記[17]に係る発明では、設定内容が複雑か否かを判定する基準として、設定された機能数を採用している。設定された機能数が一定数以上の場合に設定内容が複雑であると判定する。一定数は固定値でも良いし、設定する機能や、使用するユーザ等によって動的に変化してもよい。
【0019】
[5]前記制御部は、設定操作回数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0020】
上記[5]および下記[18]に係る発明では、設定内容が複雑か否かを判定する基準として、設定操作回数を採用している。一定回数は固定値でも良いし、設定画面によって動的に変動しても良い。設定内容が複雑か否かを判定する基準となる設定操作回数は、設定全てに係るトータルの設定操作回数でも良いし、1画面(同画面内)での設定操作回数でもよい。
【0021】
[6]前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数が一定回数以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0022】
上記[6]および下記[19]に係る発明では、設定内容が複雑か否かを判定する基準として、設定における画面遷移数を採用している。ここでは、設定途中で画面遷移した回数が一定回数以上であった場合に設定内容が複雑であると判定する。一定回数は固定値でも良いし、ユーザや設定内容等によって動的に変動しても良い。
【0023】
[7]前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定する測定部を更に備え、
前記制御部は、前記測定部が測定した時間が一定時間以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0024】
上記[7]および下記[20]に係る発明では、設定内容が複雑か否かを判定する基準として、設定における設定時間を採用している。たとえば、最初に行われた設定から、最終設定操作が行われたときまでの時間が一定以上であった場合に設定内容が複雑であると判定する。一定の時間とは固定値でも良いし、ユーザ等によって動的に変動しても良い。
【0025】
[8]前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示する表示部と、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定する測定部と、
を更に備え、
前記制御部は、設定された機能数と、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数と、前記測定部が測定した時間のうち、2つ以上を重み付けして合算した値が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0026】
上記[8]および下記[21]に係る発明では、設定された機能数と、設定中における画面遷移数と、設定時間の項目の中から2つ以上に重み付けをして合算した値が一定以上であれば、設定内容が複雑であると判定する。一定の値は固定値でも良いし、ユーザごと等によって動的に変動しても良い。多角的に判定することで、複雑な設定を漏れなく検出することができる。
【0027】
[9]前記制御部は設定途中の設定内容が初期化される場合に、その設定途中の設定内容が複雑か否かを判定する
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0028】
上記[9]および下記[22]に係る発明では、設定内容が複雑か否か、また複雑になると予測できるか否かを判断するタイミングは、設定途中の設定内容が初期化されるときである。これにより、設定内容が初期化されてしまっても、設定内容が複雑、または複雑になると予測できるものである場合には、その設定内容が設定途中履歴として保存される。設定が初期化されるタイミングとは、リセットボタンが押下されたとき、または、最終入力操作から一定時間経過したことによるオートリセットの場合である。設定途中内容の初期化時のみ判定を行う場合は随時判定を行う場合に比べ、処理負担が少ない。
【0029】
[10]設定途中の設定内容を逐次揮発性メモリに記憶しておき、前記制御部が前記設定途中の設定内容が複雑である、もしくは複雑になると予測できると判定したとき、前記揮発性メモリに記憶されている設定途中の設定内容を前記設定途中履歴として不揮発メモリに保存する
ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0030】
上記[10]および下記[23]に係る上記発明では、設定内容は、揮発性メモリに記憶され、設定途中履歴は不揮発メモリに記憶される。不揮発メモリは揮発メモリに比べて高価であり、また、書き換え回数に制限があるので、随時の記憶は揮発性メモリを使用し、複雑または複雑になると予測できたときのみ不揮発性メモリに保存する。
【0031】
[11]前記制御部は設定途中の設定内容が複雑か否か、または複雑になると予測できるか否かを随時判定する
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0032】
上記[11]および下記[24]に係る発明では、設定内容が複雑か否か、また複雑になると予測できるか否かの判断は随時行われており、設定内容が複雑、または複雑になると予測できるものになった時にその設定内容を設定途中履歴として保存する。設定内容が更に変更された場合は、設定途中履歴を更新する。随時判定を行い、前述の場合になったら直ぐに設定途中履歴を保存することで、停電などの障害発生時にも対応が可能である。
【0033】
[12]設定が完了したら、該設定に係る設定途中履歴は破棄する
ことを特徴とする[11]に記載の情報処理装置。
【0034】
上記[12]および下記[25]に係る上記発明では、設定が完了したとき、その設定に係る設定途中履歴は破棄する。たとえば、印刷設定の場合、印刷が行われたときをその印刷設定に係る設定の完了とみなし、その印刷設定に係る設定途中履歴は破棄される。
【0035】
[13]設定が完了した場合は、該設定に係る設定途中履歴の設定内容を、完了した設定履歴として保存する
ことを特徴とする[12]に記載の情報処理装置。
【0036】
上記[13]および下記[26]に係る上記発明では、設定中に随時保存していた設定途中履歴の内容を、設定が完了した時に完了した設定履歴に移す。
【0037】
[14]ユーザから設定操作を受け付ける操作部と、
記憶部と、
を備える情報処理装置を、
前記操作部で受け付けた設置途中の設定内容が複雑か否かを設定途中で判定し、複雑であると判定した場合に前記設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ように動作させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【0038】
[15]前記情報処理装置を、
前記操作部で受け付け中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを設定途中で判定し、複雑になると予測できると判定した場合にその設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ように動作させる
ことを特徴とする[14]に記載の情報処理プログラム。
【0039】
[16]前記情報処理装置を、
ユーザからの指示に基づいて、前記設定途中履歴から設定内容を復元する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]または[15]のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0040】
[17]前記情報処理装置を、
設定された機能数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[16]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0041】
[18]前記情報処理装置を、
設定操作回数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[16]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0042】
[19]前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示部に表示するとともに、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数が一定回数以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[16]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0043】
[20]前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定部に測定するとともに、前記測定部が測定した時間が一定時間以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[16]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0044】
[21]前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示部に表示し、前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定部に測定するとともに、設定された機能数と、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数と、前記測定部が測定した時間のうち、2つ以上を重み付けして合算した値が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[16]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0045】
[22]前記情報処理装置を
設定途中の設定内容が初期化される場合に、その設定途中の設定内容が複雑か否かを判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[21]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0046】
[23]前記情報処理装置を、
設定途中の設定内容は逐次揮発性メモリに記憶しておき、その設定途中の設定内容が複雑であるもしくは複雑になると予測できると判定したとき、前記揮発性メモリに記憶されている設定途中の設定内容を前記設定途中履歴として不揮発メモリに保存する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[22]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0047】
[24]前記情報処理装置を
設定途中の設定内容が複雑か否か、または複雑になると予測できるか否かを随時判定する
ように動作させる
ことを特徴とする[14]乃至[23]のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0048】
[25]前記情報処理装置を
設定が完了したら、該設定に係る設定途中履歴は破棄する
ように動作させる
ことを特徴とする[24]に記載の情報処理プログラム。
【0049】
[26]前記情報処理装置を
設定が完了した場合は、該設定に係る設定途中履歴の設定内容を、完了した設定履歴として保存する
ように動作させる
ことを特徴とする[25]に記載の情報処理プログラム。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る情報処理装置及び、情報処理プログラムによれば、複雑な設定内容のみを自動的に選定して、保存するので、ユーザが保存された設定内容の再設定を行うべく設定途中履歴を利用する際に、必要としている設定途中履歴を探しやすくする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置と画像形成装置の操作パネルの拡大図を示す説明図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】RAMとハードディスク装置内における特定の保存領域を示す説明図である。
【図4】設定内容が初期化される際に、設定内容を設定途中履歴として保存する処理の流れを示す流れ図である。
【図5】操作パネルに表示される4つの画面の表示例を示す説明図である。
【図6】複雑度係数の表と、各項目の閾値の表の一例を示す説明図である。
【図7】設定途中の画面の一例を示す説明図である。
【図8】E-mailアドレスを入力する画面の一例を示す説明図である。
【図9】設定内容が複雑になった時、又は設定内容が複雑になると予測できるようになった時に設定内容を設定途中履歴として保存する処理の流れを示す流れ図である。
【図10】設定途中履歴のリストの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0053】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての画像形成装置10と、画像形成装置10上に設置されている操作パネル18の拡大図の一例を示す。画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取ってその読取画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部装置へ送信したりするスキャンジョブ、外部端末装置から受信したり、本体に接続された記憶装置から読み込んだ印刷データに係る画像を記録紙に印刷して出力するプリントジョブなどのジョブを実行する機能を備えた、所謂、複合機である。本実施の形態では、画像形成装置10はユーザから印刷設定などの設定入力を受け付け、その設定途中の設定内容が複雑であった場合、もしくは設定内容が複雑になると予測できる場合、その設定内容を設定途中履歴として記憶する機能を備えている。
【0054】
操作パネル18では、ユーザから画像形成装置10の印刷条件の設定などの設定入力を受け付ける。ユーザの標準的な設定入力方法としては、文字入力や、数値入力等の他、選択肢を選択する方法がある。画像形成装置10には、様々な機能や項目が存在し、それらの設定を詳細に設定すればするほど、その設定内容が複雑になる可能性が高くなる。
【0055】
図2は、画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、当該画像形成装置10の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)11と、このCPU11に接続されたROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、不揮発メモリ14と、ハードディスク装置15と、表示部16と、操作部17と、操作パネル18と、ネットワークI/F部19と、スキャナ部20と、画像処理部21と、プリンタ部22と、ファクシミリ通信部23と、時間管理部24とで構成されている。表示部16と操作部17は画像形成装置10では操作パネル18として備わっている。
【0056】
CPU11はOS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM12には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することでジョブの実行など画像形成装置10の各機能が実現される。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。本実施の形態では、ユーザの入力する設定途中の設定内容が複雑であるか否か、また、複雑になると予測できるか否かをCPU11が判断する。
【0057】
不揮発メモリ14は、電源がオフにされても記憶が保持できる書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ14には、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置15は、大容量の不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや各種アプリケーションプログラム、印刷データや画像データ、ジョブ履歴、設定途中履歴などが保存される。
【0058】
画像形成装置10の操作パネル18は表示部16と操作部17を備えて構成される。表示部16は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。操作部17は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部17は、表示部16の画面上に設けられ、押下された座標位置を検出するタッチパネルのほかテンキーや文字入力キー、ジョブ実行開始の指示を受け付けるスタートボタンなどを備えて構成される。
【0059】
ネットワークI/F部19は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて接続されている他の外部装置などと通信を行う。
【0060】
スキャナ部20は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。スキャナ部20は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向(主走査方向)に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向(副走査方向)に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0061】
画像処理部21は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理を行う。
【0062】
プリンタ部22は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置等とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。なお、画像形成の方式は、インクジェット方式や、他の方式でもかまわない。
【0063】
ファクシミリ通信部23は、ファクシミリ送信および受信に係る動作を制御する。
【0064】
時間管理部24は、ユーザが設定入力に費やした時間を測定している。
【0065】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、操作パネル18がユーザからの設定入力を受け付けたときに、その設定途中の設定内容が複雑である場合に、その設定内容を保存する機能を備えている。また、保存した設定途中履歴に基づいて先の設定内容を復元する(再設定)機能がある。たとえば、ユーザは設定途中で設定内容がリセットされてしまったとしても、その設定内容が複雑であった場合は、設定途中履歴が自動的に保存されるため、その設定途中履歴から、設定内容を復元させ、設定入力作業を再開することができる。以下、設定途中履歴の保存機能に関して説明する。
【0066】
図3は、RAM13の内部に設けられた一時保存領域27と、ハードディスク装置15の内部に設けられた設定途中履歴保存領域25とジョブ履歴保存領域26を示す。
【0067】
RAM13内の一時保存領域27にはユーザから受け付けた設定入力の設定内容が随時記憶される。一時保存領域27に記憶される設定内容には、設定操作の内容や順序、表示された設定画面やその遷移に関する情報、設定に掛かった時間などがある。一時保存領域27に記憶された設定内容は、設定途中に設定中断事象が発生した場合、もしくは設定が完了した場合に、その内容を必要に応じて設定途中履歴保存領域25やジョブ履歴保存領域26に保存した後、初期化される。設定中断事象とは、操作部17上のリセットボタンが押下されることや、ユーザによる設定入力の途中で最後の設定操作から一定時間が経過することである。CPU11は、ユーザによる設定入力の途中で最後の設定操作から一定時間が経過すると、ユーザが設定入力を中止したものと判断して自動的に一時保存領域27に記憶されている設定を初期化する(オートリセット)。設定が完了した場合とは、操作部17上のスタートボタンが押下された場合などである。
【0068】
ハードディスク装置15内の設定途中履歴保存領域25には、一時保存領域27に記憶された設定途中の設定内容の中から一部(ユーザによって指定された事項)が抽出されて、設定途中履歴として保存される。また、設定途中の設定内容が、毎回、設定途中履歴保存領域25に設定途中履歴として保存されるのではなく、設定途中の設定内容が複雑である、もしくは複雑になると予測できるとCUP11が判定した場合に、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する。ユーザはこの設定途中履歴から、設定内容を復元させ、設定入力作業を再開することができる。
【0069】
ハードディスク装置15内のジョブ履歴保存領域26には、ユーザの設定入力による設定が完了した際に一時保存領域27に記憶されている設定内容のうち、ジョブ履歴として保存すべき事項がが抽出され、ジョブ履歴の一部として保存される。ジョブ履歴には、一時保存領域27から抽出した事項の他に、印刷ジョブの送信元となった端末情報や、印刷日時などの情報が記憶される。ユーザの設定入力による設定が完了すると、設定完了時の設定内容でジョブが生成され実行される。ジョブ履歴には印刷に係る様々な情報が記録され、たとえば印刷時の設定内容の他に、印刷開始時刻、印刷結果(正常終了/異常終了)等が記録される。ユーザはジョブ履歴から、印刷時の設定内容を復元させ、再設定を行うことができる。
【0070】
図4は、ユーザから設定入力を受けた場合に行われるジョブ履歴および設定途中履歴の保存に関する動作を示している。ここでは、設定入力が途中で中断されたときに、その設定内容が複雑であるか否かを判定する場合について説明する。
【0071】
ユーザが操作パネル18に入力操作を開始したとき、本処理を開始する。CPU11はユーザからの設定操作を監視し、ユーザから受け付けた操作内容をRAM13の一時保存領域27に現在の設定内容として随時記憶する(ステップS101)。次に、スタートボタンが押下されたか否かを判断し、スタートボタンが押されたとき、(ステップS102;Yes)、設定が完了したとして、一時保存領域27に保存されているその時の設定内容をジョブ履歴としてジョブ履歴保存領域26に保存する(ステップS107)。そして一時保存領域27に記憶された設定内容を初期化して(ステップS108)処理を終了する。
【0072】
設定内容の初期化とは、RAM13内の一時保存領域27に記憶された設定内容を消去することであり、その際に操作パネル18に表示される画面は初期画面に戻る。
一方、スタートボタンが押下されなければ(ステップS102;No)、ステップS103に進み、CPU11は、設定中断事象が発生しているか否かの判定を行う(ステップS103)。設定中断事象が発生していないと判定した場合は(ステップS103;No)、ステップS101に戻り、再度ユーザからの入力操作を監視する。
【0073】
設定中断事象が発生したと判定した場合(ステップS103;Yes)、一時保存領域27に記憶された設定内容が複雑であるか否かの判断を行う(ステップS104)。設定中断事象とは、操作部17上のリセットボタンが押下された場合や、ユーザが入力設定の途中で最後の設定操作から一定時間が経過した場合である。一定時間が経過したか否かの判断は時間管理部24が測定する時間を基にしている。設定内容が複雑であるか否かの判定処理については後述する。
【0074】
設定内容が複雑であると判断された場合は(ステップS105;Yes)、その時に一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存し(ステップS106)、一時保存領域27に記憶された設定内容を初期化して(ステップS108)処理を終了する。設定内容が複雑でないと判断された場合、つまり、設定内容が簡単なものである場合は(ステップS105;No)、その一時保存領域27に記憶された設定内容を設定途中履歴として保存せずに、一時保存領域27に記憶された設定内容を初期化して(ステップS108)処理を終了する。
【0075】
ステップS104での設定内容が複雑であるか否かを判断する判断基準としては、たとえば機能設定数や、画面遷移数や、設定にかかった時間、またはそれらの組み合わせ等がある。
【0076】
機能設定数を判断基準とする場合には、設定数が一定数以上のときに、複雑な設定内容と判断して設定内容を設定途中履歴に保存する。設定数が一定以上とは、たとえば、初期設定として登録されている設定から変更された設定の数が予め定められた数以上であることをいう。設定数が一定数未満の場合は保存しない。
【0077】
画面遷移数を判断基準とした場合には、設定中に画面遷移を行った回数が一定以上の場合に複雑な設定内容と判断して設定内容を設定途中履歴に保存する。設定中に画面遷移を行った回数が一定未満の場合は保存しない。
【0078】
図5は操作パネル18に表示される初期画面30と、仕上がり設定画面31と、ページ編集画面32と、差し込みページ設定画面33の4つの画面の例を示す。4つの画面は階層的に移動できる関係性を持つ。初期画面30は最上位階層の画面である。初期画面30からは、その一段階下位の階層である仕上がり設定画面31やページ編集画面32に移行できる。また、ページ編集画面32からは、さらに下位の階層である差し込みページ設定画面33に移行できる。操作部17にある「戻る」ボタンを選択すると、現在表示されている画面からひとつ上位の階層の画面に移行する。このような画面から画面への移行が画面遷移である。たとえば、仕上がり設定画面31から差し込みページ設定画面33まで画面遷移するためには、仕上がり設定画面31から初期画面30、初期画面30からページ編集画面32、ページ編集画面32から差し込みページ設定画面33までの3回の画面遷移を要する。
【0079】
設定内容が複雑であるか否かの判断基準となる画面遷移の回数は、最初の設定操作から最終設定操作までに行われた全体の画面遷移数でも良いし、ある一つの設定が行われてから次の設定がされるまでの部分的な画面遷移数でもよい。
【0080】
設定時間を判断基準とする場合、設定操作に掛かった時間を時間管理部24が測定し、設定操作に掛かった時間が一定時間以上である場合に複雑な設定内容と判断して設定内容を設定途中履歴に保存する。設定操作に掛かった時間が一定時間未満の場合は保存しない。設定操作に掛かった時間の測定が開始されるタイミングは、初期画面で何らかの機能設定キーが押下された時点や、画面遷移が行われた時点など、適宜設定すればよい。機能設定に掛かる時間の計測は設定が中断されたとき、もしくは設定が完了したときに終了する。
【0081】
設定内容が複雑であるか否かの判断は、機能設定数や、画面遷移数、設定操作に掛った時間など個々の判断基準を複数組み合わせたものを判断基準とする場合もある。その際には、計測された機能設定数や画面遷移数の値、設定にかかった時間など、個々の判断基準について計測した値の中の2つ以上の計測値にそれぞれを重み付けして合算した値を複雑度として求める。複雑度が規定値以上の場合、設定内容を設定途中履歴に保存する。
【0082】
組み合わせる判断基準ごとに有効数値の範囲を複数の領域に分割し、その各領域それぞれに設定した値を複雑値とする。重み付けする際の係数を複雑度係数と呼ぶ。複雑度を求める際には、組み合わせる各判断基準の複雑値とその判断基準に係わる複雑度係数との積和を求める。すなわち各判断基準について、その判断基準の複雑値とその判断基準の複雑度係数とを掛け算して得た値を、組み合わせる全ての判断基準について合算する。図6は複雑度係数を示す表(複雑度係数表40)と、各判断基準の複雑値を示す表(設定機能数閾値表41、画面遷移数閾値表42、設定時間閾値表43)を示している。複雑度係数表40は、設定機能数、画面遷移数、設定に掛かった時間の3つにそれぞれ重要度に対応した係数を設定したものである。設定機能数閾値表41は設定機能数の複雑値を示し、画面遷移数閾値表42は、画面遷移数の複雑値を示し、設定時間閾値表43は、設定時間の複雑値を示しており、それぞれ有効数値の範囲が複数の領域に分割され、各領域に複雑値が設定されている。
【0083】
図6の表(複雑度係数表40、設定機能数閾値表41、画面遷移数閾値表42、設定時間閾値表43)を参考にして、設定機能数、画面遷移数、設定時間の3つの判断基準を組み合わせた複雑度の計算の例を示す。設定機能数:5個、画面遷移数:5回、設定時間:14秒、とした場合、設定機能数5回の複雑値5と設定数の係数0.7、画面遷移数5回の複雑値7とその画面遷移数の係数0.7、設定時間14秒の複雑値7と設定時間の係数1.0それぞれの積を合計した値が複雑度となる。計算式で示すと(5×0.7)+(7×0.7)+(7×1.0)=15.4が複雑度となる。複雑度の規定値を15に設定していたとすると、前述の複雑度は15以上なので、CPU11に複雑な設定内容であると判定され、その設定内容が設定途中履歴に保存される。
【0084】
設定内容が複雑であるか否かを判断する判断基準としては他にも、たとえば同一画面上での操作回数がある。この方法は、同一画面上で入力操作した回数が一定回数以上の時に、複雑な設定内容と判断してその設定内容を設定途中履歴として保存する。同一画面上で入力操作した回数が一定回数未満の場合は設定内容を保存しない。
【0085】
次に、設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存される設定内容について説明する。設定途中履歴として保存される設定内容としては、設定値、設定値と最終画面、設定値と設定順番などが挙げられる。保存される設定内容は、画像形成装置10の本体設定によりユーザが設定することができる。
【0086】
設定値のみを設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する場合、設定した順番や、画面表示などは認識せず、ユーザが設定した機能(たとえばグループや、ステイプル等)や設定値(印刷部数等)のみを保存する。上記保存内容を設定途中履歴から再設定する場合は、設定されていた機能が選択され、設定値が入力された状態となる。
【0087】
設定値と最終画面を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する場合について説明する。最終画面とは、設定を保存するタイミング時に表示されていた画面(ユーザが操作中の最終画面)であり、この画面と設定値とを保存する。保存するタイミング時に最終画面で値が入力されているときは、既に入力されていた値も最終画面に復元される。上記保存内容の設定途中履歴から再設定する場合は、設定した機能が選択されており、かつ設定途中履歴として保存された最終画面を表示する。
【0088】
図7は操作パネル18でユーザから画像形成装置10の印刷設定に係る設定入力を受けている途中の画面表示(設定途中画面34)の一例を示す。設定途中画面34では、Xの値の入力欄35に数値が入力されている。Yの値の入力欄36は数値が入力されていない。設定値と最終画面を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する場合、たとえば図7の設定途中画面34が最終画面として設定途中履歴に保存されると、この設定途中履歴から再設定を開始したときに設定途中画面34が復元されて表示される。Xの値の入力欄35には数値が入力されていたので、再設定を開始する際の設定途中画面34にもXの値の入力欄35に数値が入力されている。
【0089】
設定値と設定順番を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する場合、ユーザがどの順番で機能を設定したかを一時保存領域27に記憶しておき、設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する際には、一時保存領域27から設定順番と設定値を抽出して保存する。上記保存内容を設定途中履歴から再設定する場合は、設定した順番に画面遷移しながら機能が自動的に設定され、保存されたときの設定内容が復元される。なお、ユーザが設定順番をリストなどから確認し参照できる場合は画面遷移を行わなくともよい。設定内容が復元された際に、設定途中であった時の最終画面を表示してもよい。
【0090】
以下に、設定途中の設定内容を設定途中履歴保存領域25に保存するか否かを判断するタイミング、及びその判断の基準について説明する。
【0091】
図4では、一例として、設定中断事項が発生した時に、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容が複雑であるか否かをCPU11が判断する場合を記載しているが、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容が複雑であるか否かの判断は随時行ってもよい。一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容が複雑であるか否かの判断が随時行われる場合は、CPU11はユーザの設定内容を随時観察し、複雑な設定になったと判断した時に、その設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する。随時とはたとえば、5秒毎(一定周期)や、機能が設定される度である。設定途中の設定内容が設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存された後は、設定内容が変更(追加)されるたびに、先程保存した設定途中履歴の内容を更新する。
【0092】
また、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容が複雑であるか否かではなく、CPU11が、設定途中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを判断し、設定途中の設定内容が複雑になると予測できると判断した場合に、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存す様にしてもよい。
また、設定内容が複雑であるか否か、設定内容が複雑になると予測できるか否かの両方を判断し、どちらか一方、または両方を満たす場合に、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存する様にしてもよい。
【0093】
次に、設定内容が複雑になると予測できるか否かをどの様に判断するかについて説明する。設定内容が複雑になると予測できる場合とは、設定内容が複雑になると予測される機能をユーザが設定操作している場合である。どの機能が、設定内容が複雑になると予測される機能に相当するかは、予め画像形成装置10に記憶させておき、その機能が呼び出されたら設定内容が複雑になると予測されると判断して、一時保存領域27に記憶されている設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に自動的に保存する。
【0094】
設定内容が複雑になると予測される機能の例としてE-mailアドレスを入力する機能が挙げられる。
【0095】
図8は画像形成装置10の操作パネル18上に表示されるE-mailアドレスを入力する画面(あて先入力画面37)の一例を示す。あて先入力画面37は、Scan to E−mailの機能(スキャナ部20で読み取った画像データをE-mailで送信する機能)において画像データの送信先のE-mailアドレスを入力する画面である。E-mailアドレスの入力には、複数の文字入力を必要とするので、複雑な入力操作となる可能性が高い(同一画面上での操作回数が一定回数以上であれば設定内容が複雑であると判定する場合)。あて先入力画面37が操作パネル18に表示されたら設定内容が複雑になると予測できる(複雑になる可能性が高い)ので、その設定内容を設定途中履歴に保存する。
【0096】
図9は、ユーザから設定入力を受けた場合に行われる設定途中履歴の保存に関する動作であって、設定内容が複雑であるか否かおよび設定内容が複雑になると予測できるか否かを随時判断する場合の動作を示している。
【0097】
ユーザが操作パネル18に入力操作を開始したとき本処理を開始する。CPU11はユーザからの設定操作を監視し、ユーザから受け付けた操作内容をRAM13の一時保存領域27に現在の設定内容として随時記憶する(ステップS201)。ユーザの入力操作により、設定内容が複雑になると予測される機能が選択されたら(ステップS202;Yes)、ステップS205に進む。設定が複雑になると予測される機能が選択されない場合(ステップS202;No)、図4のステップS104と同じく、設定内容が複雑であるか否かの判断を行う(ステップS203)。設定内容が複雑であると判断された場合(ステップS204;Yes)、ステップS205に進む。複雑な設定ではないと判断された場合、(ステップS204;No)、ステップS209に進む。ステップS209で設定中断事象が発生せず、設定が完了しなければ(ステップS209;No)、ステップS201に戻り、再度ユーザからの入力操作を監視する。ステップS209で設定中断事象が発生、または設定が完了したならば(ステップS209;Yes)、一時保存領域27に記憶された設定内容を初期化して(ステップS210)処理を終了する。
【0098】
ステップS205ではまず、一時保存領域27に記憶された設定途中の設定内容を設定途中履歴として設定途中履歴保存領域25に保存し(ステップS205)、ユーザの入力操作を監視する(ステップS206)。その後、設定内容に変更があった場合(ステップS207;Yes)、ステップS205に戻って、設定内容が変更される前に設定途中履歴保存領域25に保存された設定途中履歴を、変更後の設定内容の設定途中履歴に更新し処理を継続する。設定内容に変更がなければ(ステップS207;No)、ステップS208に進む。ステップS208で、設定中断事象が発生せず、かつ、設定が完了しなければ(ステップS208;No)、ステップS206に戻って処理を継続する。設定中断事象が発生、または設定が完了したならば(ステップS208;Yes)、一時保存領域27に記憶されている設定内容を初期化して(ステップS210)処理を終了する。
【0099】
図9のステップS208とステップS209での設定中断事象とは、リセットボタンが押下されること、またはユーザによる設定入力の途中で最後の入力操作から一定時間が経過することである。
【0100】
ステップS208とステップS209における設定の完了とは、ここでは操作部17上のスタートボタンが押下されることである。ステップS208で設定が完了した場合は、設定が完了する直前に保存された設定途中履歴の設定内容でジョブを生成する。ジョブが完了したらジョブ履歴の一部として保存した後、その設定途中履歴は消去する。ステップS209で設定が完了した場合は、ステップS210で一時保存領域27に記憶された設定内容が初期化される前に、その時の一時保存領域27に記憶されてある設定内容でジョブを生成し、そのジョブの完了後にその設定内容をジョブ履歴の一部として保存する。
【0101】
図10は、一度リセットされた設定内容を、保存された設定途中履歴から回復させ、設定操作を再開する際に操作パネル18に表示される設定途中履歴のリスト(設定途中履歴画面50)の一例を示す。設定途中履歴画面50には、設定途中履歴ごとに、履歴ナンバー51、ユーザ名(ID)52、最終設定画面53、設定日時54(時間管理部24が測定している)、設定内容詳細55などの設定途中履歴に係る各種情報が表示されており、設定途中履歴は設定日時54の日時順でリスト表示されている。ユーザがこれらの各種情報を基に、設定を再開したい設定途中履歴を選択し、OKボタン56を押下すると、CPU11は、その設定途中履歴として保存された設定内容を復元させ、再設定する。
【0102】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0103】
本発明の実施の形態における、設定途中の設定内容が複雑か否かを判断する基準は設定機能数、画面遷移数、設定時間、及びそれらの組み合わせ、または同一設定画面での操作回数であったが、設定内容が複雑か否かを判断する基準はこれらに限らない。
【0104】
また、設定機能数、画面遷移数、設定時間、及びそれらの組み合わせ、または同一設定画面での操作回数を、設定途中の設定内容が複雑か否かを判断する基準として使用する際には、ユーザが本体設定により設定途中の設定内容が複雑か否かを判断する基準の詳細を決定することができる。たとえば、複雑か否かを判断する閾値などである。
【0105】
本発明の実施の形態における図10の設定途中履歴画面50において、設定途中履歴に係る各種情報は、実施の形態に記載したものに限らない。たとえば、設定に掛かった時間や、設定順番など、他の情報でもよい。
【0106】
本発明の実施の形態において、設定途中の設定内容が複雑であるか否か、または複雑になると予測できるか否かを判定する基準は、ユーザによる設定変更が可能である。
【0107】
本発明の実施の形態において、ユーザにより設定される設定内容は、印刷設定に係る設定であったが、設定される内容はこれに限らない。本体設定や、アドレス帳への登録設定、印刷以外のジョブに係る設定などであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
10…画像形成装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…不揮発メモリ
15…ハードディスク装置
16…表示部
17…操作部
18…操作パネル
19…ネットワークI/F部
20…スキャナ部
21…画像処理部
22…プリンタ部
23…ファクシミリ通信部
24…時間管理部
25…設定途中履歴保存領域
26…ジョブ履歴保存領域
27…一時保存領域
30…初期画面
31…仕上がり設定画面
32…ページ編集画面
33…差し込みページ設定画面
34…設定途中画面
35…Xの値の入力欄
36…Yの値の入力欄
37…あて先入力画面
40…複雑度係数表
41…設定機能数閾値表
42…画面遷移数閾値表
43…設定時間閾値表
50…設定途中履歴画面
51…履歴ナンバー
52…ユーザ名(ID)
53…最終設定画面
54…設定日時
55…設定内容詳細
56…OKボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから設定操作を受け付ける操作部と、
記憶部と、
制御部と
を有し、
前記制御部は、前記操作部で受け付けた設定内容が複雑か否かを設定途中で判定し、複雑であると判定した場合に、その設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は前記操作部で受け付け中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを設定途中で判定し、複雑になると予測できると判定した場合にその設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザからの指示に基づいて、前記設定途中履歴から設定内容を復元する
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、設定された機能数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、設定操作回数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数が一定回数以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定する測定部を更に備え、
前記制御部は、前記測定部が測定した時間が一定時間以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示する表示部と、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定する測定部と、
を更に備え、
前記制御部は、設定された機能数と、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数と、前記測定部が測定した時間のうち、2つ以上を重み付けして合算した値が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は設定途中の設定内容が初期化される場合に、その設定途中の設定内容が複雑か否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
設定途中の設定内容を逐次揮発性メモリに記憶しておき、前記制御部が前記設定途中の設定内容が複雑である、もしくは複雑になると予測できると判定したとき、前記揮発性メモリに記憶されている設定途中の設定内容を前記設定途中履歴として不揮発メモリに保存する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は設定途中の設定内容が複雑か否か、または複雑になると予測できるか否かを随時判定する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
設定が完了したら、該設定に係る設定途中履歴は破棄する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
設定が完了した場合は、該設定に係る設定途中履歴の設定内容を、完了した設定履歴として保存する
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
ユーザから設定操作を受け付ける操作部と、
記憶部と、
を備える情報処理装置を、
前記操作部で受け付けた設置途中の設定内容が複雑か否かを設定途中で判定し、複雑であると判定した場合に前記設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ように動作させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項15】
前記情報処理装置を、
前記操作部で受け付け中の設定内容が複雑になると予測できるか否かを設定途中で判定し、複雑になると予測できると判定した場合にその設定途中の設定内容を設定途中履歴として前記記憶部に記憶させる
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14に記載の情報処理プログラム。
【請求項16】
前記情報処理装置を、
ユーザからの指示に基づいて、前記設定途中履歴から設定内容を復元する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14または15のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記情報処理装置を、
設定された機能数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項18】
前記情報処理装置を、
設定操作回数が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項19】
前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示部に表示するとともに、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数が一定回数以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項20】
前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定部に測定するとともに、前記測定部が測定した時間が一定時間以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項21】
前記情報処理装置を、
前記操作部が設定操作を受け付ける際に、操作内容に応じて設定画面を画面遷移させて表示部に表示し、前記操作部が設定操作を受け付ける際に、その設定操作にかかった時間を測定部に測定するとともに、設定された機能数と、前記設定操作中に行われた前記表示部上での画面遷移の回数と、前記測定部が測定した時間のうち、2つ以上を重み付けして合算した値が一定以上の場合に前記設定内容は複雑であると判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項22】
前記情報処理装置を
設定途中の設定内容が初期化される場合に、その設定途中の設定内容が複雑か否かを判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項23】
前記情報処理装置を、
設定途中の設定内容は逐次揮発性メモリに記憶しておき、その設定途中の設定内容が複雑であるもしくは複雑になると予測できると判定したとき、前記揮発性メモリに記憶されている設定途中の設定内容を前記設定途中履歴として不揮発メモリに保存する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項24】
前記情報処理装置を
設定途中の設定内容が複雑か否か、または複雑になると予測できるか否かを随時判定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項14乃至23のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項25】
前記情報処理装置を
設定が完了したら、該設定に係る設定途中履歴は破棄する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項24に記載の情報処理プログラム。
【請求項26】
前記情報処理装置を
設定が完了した場合は、該設定に係る設定途中履歴の設定内容を、完了した設定履歴として保存する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項25に記載の情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31039(P2013−31039A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166389(P2011−166389)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】