説明

情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】徒歩時の自律航法に用いられる対応テーブルの精度を向上することのできる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、歩行する上記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、上記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、上記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、算出される上記第2の値を用いて、上記第1の値及び上記第2の値の対応関係を学習する学習部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、位置情報を利用したシステムが広く普及している。位置情報を取得する方法の中には、自律航法がある。自律航法は、主にGPS(Global Positioning System)測位などの絶対測位が利用できないときに用いられている。自律航法は、移動速度と移動方向を用いて絶対測位による最後の測位地点からの相対位置を算出し、現在の位置情報を得る方法である。
【0003】
ここで、徒歩移動時の自律航法において速度を得る方法としては、歩数計を利用するものが挙げられる。このとき、下記の数式(1)を利用することによって速度を得ることができる。
【0004】
v=k×f・・・数式(1)
ここで、vは移動速度であり、kはユーザの歩幅であり、fは歩行テンポ(単位時間当たりの歩数)である。ここで用いられる歩行テンポfは、例えば加速度センサなどを利用した歩数計により取得される歩数の値を時間で除算することによって算出される。また、歩幅kはユーザにより異なるため、事前に学習される。
【0005】
歩幅kを学習する最も単純な方法としては、GPS測位により得られた移動距離を、移動中の歩数で除算することにより求める方法が挙げられる。ここで、一律に平均歩幅の値が用いられると、ユーザが様々な歩幅で移動する状況においては、誤差が大きくなってしまう。
【0006】
そこで、特許文献1では、一定時間毎にGPS測位を行い、この間の移動距離を歩数で除算することにより歩幅を算出する方法が開示されている。このとき、算出された平均の歩幅とこの間の平均の歩行テンポを対応付けた対応テーブルが作成される。この対応テーブルを利用すると、歩数計から得られた歩行テンポ値に応じた歩幅を速度算出に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−85285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
移動距離の測定誤差は、移動距離が短いほど相対的に大きくなる。しかし、一定時間毎の移動距離を用いて歩幅を算出する方法においては、一定時間の間にユーザが十分な測位精度を得られるだけの距離を移動しているとは限らない。このため、一定時間における移動距離が短い場合には、歩幅の誤差が大きくなってしまう。そこで、徒歩時の自律航法に用いられる対応テーブルの精度をより向上させることが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、歩行する上記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、上記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、上記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、算出される上記第2の値を用いて、上記第1の値及び上記第2の値の対応関係を学習する学習部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0010】
係る構成によれば、移動距離をトリガとして、歩幅又は移動速度が算出される。移動時間をトリガとする場合には、区間内においてユーザが立ち止まっている時間が長い、移動速度が遅いなどの理由により、区間内の移動距離が短い場合がある。従って、この移動距離の誤差が大きくなる可能性が高い。しかし、移動距離をトリガとする場合には、1区間内の移動距離をある程度の(誤差が許容範囲内となるのに十分な)距離とすることができる。従って、算出される歩幅(又は移動速度)の精度が向上し、生成される対応テーブルの精度が向上される。
【0011】
また、本開示によれば、歩行するユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得することと、上記ユーザが所定距離移動したことをトリガとして、上記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出することと、算出される上記第2の値を用いて、上記第1の値及び上記第2の値の対応関係を学習することと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、コンピュータを、ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、歩行する上記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、上記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、上記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、算出される上記第2の値を用いて、上記第1の値及び上記第2の値の対応関係を学習する学習部と、を有する情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0013】
また、本開示によれば、コンピュータを、ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、歩行する上記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、上記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、上記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、算出される上記第2の値を用いて、上記第1の値及び上記第2の値の対応関係を学習する学習部と、を有する情報処理装置として機能させるためのプログラムを記憶する、コンピュータが読取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本開示によれば、徒歩時の自律航法に用いられる対応テーブルの精度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本開示の一実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る携帯端末の距離閾値決定処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る携帯端末の距離閾値決定処理の動作の他の一例を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る携帯端末の自律測位動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本開示の第2の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図8】同実施形態に係る携帯端末の機能の概要を説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができる場合ついて説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができない場合について説明するための説明図である。
【図11】同実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】同実施形態に係る携帯端末の入力値積算処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態に係る携帯端末の係数算出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理について説明するための説明図である。
【図16】同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理について説明するための具体例を用いた説明図である。
【図17】本開示の第3の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図18】同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができる場合について説明するための説明図である。
【図19】同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができない場合について説明するための説明図である。
【図20】同実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】同実施形態に係る携帯端末において、歩行テンポの推移を示す実験結果の一例を示すグラフである。
【図22】同実施形態に係る携帯端末において推定される速度と、実際の速度とを比較する実験結果の一例を示すグラフである。
【図23】同実施形態に係る携帯端末において作成される、歩行テンポと速度の対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図24】同実施形態に係る携帯端末において作成される、歩行テンポと歩幅の対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図25】同実施形態に係る携帯端末において測定される鉛直加速度と、実際の速度とが相関性を有することを示すグラフである。
【図26】同実施形態に係る携帯端末をズボン前ポケットに入れて測定した鉛直加速度の実験結果を示すグラフである。
【図27】図26の実験結果から2秒間毎のピーク値を抽出したグラフである。
【図28】同実施形態に係る携帯端末において特定された関数を用いて算出された各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【図29】同実施形態に係る携帯端末において特定された関数を用いて生成された対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図30】同実施形態に係る携帯端末を胸ポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【図31】同実施形態に係る携帯端末を腹ポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【図32】同実施形態に係る携帯端末をズボン後ろポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【図33】同実施形態に係る携帯端末を斜めがけカバンに入れて測定した鉛直加速度を用いて特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【図34】歩行テンポ及び歩幅の対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図35】一定時間で取得する絶対位置を用いて歩幅を学習する場合について説明するための説明図である。
【図36】一定時間で取得する絶対位置を用いて歩幅を学習する場合に生成される対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図37】歩幅の平均値及び歩行テンポの平均値を用いて生成される対応テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.第1の実施形態(所定距離毎に取得する絶対位置を用いる例)
2−1.機能構成
2−2.ハードウェア構成例
2−3.動作例
2−4.距離閾値の決定
2−5.自律測位
2−6.効果の例
3.第2の実施形態(移動速度と歩行テンポ間の相関を仮定して特定される関数を用いる例)
3−1.機能構成
3−2.動作例
3−3.歩行テンポ階級分け
3−34.効果の例
4.第3の実施形態(第1の実施形態と第2の実施形態との構成を併せ持つ例)
4−1.機能構成
4−2.動作例
4−3.実験結果
4−4.入力値について
4−5.携帯端末の持ち方について
【0018】
<1.概要>
まず初めに、図34〜図37を参照しながら、本開示の概要について説明する。図34は、歩行テンポ及び歩幅の対応テーブルの一例を示す説明図である。図35は、一定時間で取得する絶対位置を用いて歩幅を学習する場合について説明するための説明図である。図36は、一定時間で取得する絶対位置を用いて歩幅を学習する場合に生成される対応テーブルの一例を示す説明図である。図37は、歩幅の平均値及び歩行テンポの平均値を用いて生成される対応テーブルの一例を示す説明図である。
【0019】
例えばナビゲーション装置を始めとする情報処理装置において、位置情報を取得する機能を有する端末装置が普及している。このような情報処理装置における位置情報の取得方法としては、例えばGPSなどの測位衛星を用いた絶対測位、Wifi基地局からのWifi電波の受信強度から各基地局との距離を推定することにより現在位置を算出する絶対測位などに加えて、自律航法が用いられることがある。
【0020】
自律航法とは、センサなどにより取得される情報を用いることによって、前回絶対位置を測位した地点からの相対位置を算出し、現在の位置情報を取得する方法である。この自律航法は、絶対位置を取得することができないときに用いられることがある。またこの自律航法は、絶対位置の誤差を補正するために用いられることがある。
【0021】
例えば、トンネル内など上空を覆われた場所においては、GPS信号を受信することができず、GPS測位による現在位置を取得できないことがある。このとき、トンネルに入る直前に取得された絶対位置からの相対位置をセンサにより取得される情報から算出すれば、GPS信号を受信することができない場所においても、現在の位置情報を取得することができる。
【0022】
ここで、相対位置は、移動速度と移動方向とを用いて算出される。移動方向は、例えば地磁気センサなどを用いた電子コンパスの機能を用いて取得することができる。また特に、徒歩移動時の自律航法において、速度を得る方法としては、歩数計を利用するものが挙げられる。このとき、ユーザの歩幅kと歩行テンポfとを用いて成り立つ下記の数式(1)の関係を用いることによって、速度を得ることができる。
【0023】
v=k×f・・・数式(1)
ここで、歩行テンポfは、単位時間当たりの歩数であり、例えば加速度センサなどを利用した歩数計により取得される歩数の値を時間で除算することによって算出される。また、歩幅kはユーザにより異なるため、事前に学習される。
【0024】
歩幅kを学習する最も単純な方法としては、GPS測位により得られた移動距離を、移動中の歩数で除算することにより求める方法が挙げられる。ここで歩幅kの値は、ユーザにより異なると同時に、ユーザの歩くテンポによっても異なる。
【0025】
そこで、図34に示されるように、歩行テンポに応じた歩幅の値を学習することによって、歩数計から得られた歩行テンポ値に応じた歩幅を用いて速度を算出することができる。このため、歩行テンポによらず一律に同じ平均の歩幅を用いる場合と比較して、算出される速度の精度が向上される。
【0026】
本開示においては、このように歩行テンポと歩幅の対応テーブルを用いて移動速度を算出する情報処理装置において、算出される移動速度の精度をさらに向上させることを提案する。第1の観点としては、歩幅を算出するために用いられる移動距離を取得するトリガーを所定距離とすることが提案される。例えば図35には、所定の時間間隔で取得されるユーザの現在位置が地図上の丸で示される。このユーザは、立ち止まったり、所定の範囲内で移動している期間P1及びP2においては、所定時間内の移動距離は小さい。これに対して、P1とP2の間の期間においては、所定時間内の移動距離が大きい。絶対測位により取得される移動距離の誤差は、実際の距離が長いほど相対的に小さくなる。例えばGPS測位の誤差は、10m〜100m程度といわれている。所定の時間間隔で移動距離を取得するときには、この期間内の移動距離は、十分な精度を得られるだけの距離以上となる保証はない。このため、図36に示されるように、絶対位置の精度が低いために、歩幅の精度が低下してしまうことがある。また、立ち止まっているときには歩幅が過少評価されてしまうことがある。そこで、以下に示す本開示の第1の実施形態においては、この移動距離を取得するトリガーを所定時間ではなく所定距離とすることを提案する。
【0027】
また、第2の観点としては、歩行するユーザの身体の動きに応じた第1の値(例えば歩行テンポ)と、第2の値(ユーザの歩幅又は移動速度)との間に成立する関数を仮定し、センサ等により取得される値からこの関数を特定することによって、対応テーブルを生成することが提案される。例えば図37には、平均の歩行テンポに対応する平均の歩幅を算出した場合の対応テーブルの一例が示される。このように、移動速度が変化する状況で得られた平均の歩行テンポのレンジR1は、実際のレンジよりも狭まる。このため、いつもとは異なる速度で移動したときに、算出される速度の精度が低下してしまう。そこで、以下に示す本開示の第2の実施形態においては、上記第1の値と第2の値との間に成立する関数を仮定することにより、所定時間の平均値ではなく、それぞれの歩行テンポに対して精度の高い歩幅又は移動速度を取得することを提案する。
【0028】
また本開示の第3の実施形態においては、上記第1の観点と第2の観点との構成を併せ持つ実施形態について、説明される。
【0029】
<2.第1の実施形態>
[2−1.機能構成]
ここで、図1を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末の機能構成について説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
携帯端末100は、徒歩時の自律航法機能を有する情報処理装置である。携帯端末100は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、携帯型PC(Personal Computer)(ノートPC及びタブレット型PCを含む)、PND(Personal Navigation Device)を含むナビゲーション装置などの情報処理装置であってよい。なお、以下本実施形態の説明中において、携帯端末100を携帯しているユーザを単にユーザと称する。
【0031】
携帯端末100は、絶対測位部101と、歩行判定部103と、カウント部105と、歩行テンポ算出部107と、距離閾値決定部109と、歩幅算出部111と、学習部113と、方位取得部115と、自律測位部117と、ナビゲーション部119と、地図情報記憶部121と、対応テーブル記憶部123と、を主に有する。
【0032】
(絶対測位部101)
絶対測位部101は、ユーザの絶対位置を取得する機能を有する。絶対測位部101は、例えばGPSアンテナ及びGPSアンテナにより受信されるGPS信号を処理するGPS処理部であってもよい。或いは、絶対測位部101は、複数の基地局からのWifi電波を受信するWifiアンテナ及び受信されるWifi電波の受信強度から各基地局との距離を推定し、各基地局との距離及び各基地局の位置を利用して三角測量の原理に基づいて現在位置を算出する位置算出部であってもよい。
【0033】
(歩行判定部103)
歩行判定部103は、ユーザが足による移動をしている状態であるか否かを判定する機能を有する。歩行判定部103は、例えば加速度センサなど揺れを検知するセンサを利用することができる。なお、ここでは歩行という用語を用いたが、歩行判定部103は、ユーザが走って移動しているときも足による移動をしている状態であると判定することができる。
【0034】
(カウント部105)
カウント部105は、ユーザの移動にかかる歩数及び移動時間をカウントする機能を有する。カウント部105は、歩行判定部103によりユーザが足による移動をしている状態であると判定されるときに、歩数及び移動時間をカウントすることができる。カウント部105は、ユーザが足による移動をしている状態であると判定されるときのみ移動時間をカウントすることによって、ユーザが立ち止まっている期間は移動時間に含めないことができる。
【0035】
(歩行テンポ算出部107)
歩行テンポ算出部107は、カウント部105によりカウントされた歩数及び移動時間を用いて、ユーザの歩行テンポを算出する機能を有する。歩行テンポ算出部107は、カウントされる歩数を単位時間当たりの歩数に換算することによって歩行テンポを算出することができる。このとき上述の通り、カウント部105によりカウントされる移動時間は、ユーザが立ち止まっている期間は算入されていない。このため、歩行テンポ算出部107は、より精度の高い歩行テンポを算出することができる。なお、ここで算出される歩行テンポは、ユーザの身体の動きに応じた第1の値の一例である。しかし、第1の値はかかる例に限定されることはない。例えば第1の値は、速度と相関を有する他の値であってよい。
【0036】
(距離閾値決定部109)
距離閾値決定部109は、歩幅学習のトリガとなる距離閾値を決定する機能を有する。距離閾値決定部109は、絶対測位部101の取得する絶対位置の精度に応じて距離閾値を決定することができる。距離閾値決定部109は、絶対位置の精度が高いほど距離閾値を小さくすることができる。また距離閾値決定部109は、絶対位置の精度が低いほど距離閾値を大きくすることができる。
【0037】
絶対位置の精度は、例えば地図情報記憶部121に記憶される地図情報を用いて判断されてよい。例えば、GPSによる絶対測位の精度は、上空が覆われた環境、例えばビル街、高架下、森林などでは低下する。一方、一戸建ての住宅街、大きな公園、広い道路などにおいては、GPSによる絶対測位の精度は向上する。従って、絶対測位部101がGPSによる絶対測位を行う場合には、距離閾値決定部109は、地図情報を用いて現在地周辺の環境を把握する。そして、距離閾値決定部109は、現在地がどのような場所であるかに応じて絶対位置の精度を推定することによって、距離閾値を決定してもよい。或いは、距離閾値決定部109は、その他のGPS精度指標に基づいて距離閾値を決定してもよい。例えばGPS測位の精度は、GPSアンテナがGPS信号を受信する衛星の数(携帯端末100が捕捉することのできる測位衛星の数)によっても異なる。このため、距離閾値決定部109は、携帯端末100が捕捉することのできる測位衛星の数に基づいて距離閾値を決定してもよい。また、距離閾値決定部109は、GPSの精度低下率:DOP(Dilution of Precision)に基づいて距離閾値を決定してもよい。またGPS測位の精度は、GPS信号の受信強度によっても異なる。このため距離閾値決定部109は、GPS信号の受信強度に基づいて距離閾値を決定してもよい。
【0038】
また、例えば絶対測位部101がWifi電波の受信強度に基づいて絶対位置を算出するときには、絶対位置の精度は、絶対測位部101がWifi電波を受信する基地局の数(携帯端末100から見えている基地局の数)により異なる。従ってこのとき距離閾値決定部109は、携帯端末100から見えている基地局の数に基づいて、絶対位置の精度を推定することにより、距離閾値を決定してもよい。
【0039】
(歩幅算出部111)
歩幅算出部111は、距離閾値決定部109により決定された距離閾値を移動したことをトリガとして、ユーザの歩幅を算出する機能を有する。歩幅算出部111は、距離閾値移動する毎に移動距離を歩数で除算することによって、ユーザの歩幅を算出することができる。歩幅算出部111は、絶対測位部101により取得される絶対位置に基づいて、ユーザが距離閾値移動したことを判断し、距離閾値移動する毎にその間の歩数をカウント部105から取得することができる。また歩幅算出部111は、歩幅を算出すると、歩行テンポ算出部107から取得される歩行テンポに基づいて、この間の平均歩行テンポを算出して歩幅と対応づけて学習部113に供給することができる。
【0040】
(学習部113)
学習部113は、入力された歩行テンポと歩幅とに基づいて、歩行テンポと歩幅の対応関係を学習する機能を有する。学習部113は、歩行テンポと歩幅との対応テーブルを生成して対応テーブル記憶部123に記憶させることができる。
【0041】
(方位取得部115)
方位取得部115は、ユーザの進行する方位の情報を取得する機能を有する。例えば方位取得部115は、地磁気センサを利用してもよい。
【0042】
(自律測位部117)
自律測位部117は、センサ等により取得される情報に基づいて相対位置を算出することによって、現在の位置情報を取得する機能を有する。自律測位部117は、ユーザの進行している方位と移動速度に基づいて特定の地点からの相対位置を算出することができる。そして自律測位部117は、特定の地点から相対位置の分移動した地点を現在の位置情報とすることができる。ここで特定の地点は、例えば絶対測位部101により最後に絶対位置が取得された地点であってよい。具体的には、自律測位部117は、方位取得部115により取得されたユーザの進行する方位と、歩行テンポ算出部107により取得される現時点におけるユーザの歩行テンポと、対応テーブル記憶部123に記憶される歩行テンポ及び歩幅の対応テーブルと、に基づいて相対位置を算出することができる。自律測位部117は、現時点におけるユーザの歩行テンポを取得すると、対応テーブルを参照して歩行テンポに対応づけられた歩幅の情報を取得する。そして自律測位部117は、歩幅と歩行テンポとを乗算することによって移動速度を算出することができる。自立測位部117は、この移動速度と上記の方位とに基づいて、相対位置を算出することによって現在の位置情報を取得する。この自律測位部117は、例えば絶対測位部101により位置情報を取得することができないときに、現在の位置情報を算出してもよい。
【0043】
(ナビゲーション部119)
ナビゲーション部119は、ユーザに現在地点から所定の地点までの経路を案内する機能を有する。ナビゲーション部119は、現在地点の位置情報を例えば絶対測位部101から取得することができる。またナビゲーション部119は、現在地点の位置情報を自律測位部117から取得することもできる。
【0044】
(地図情報記憶部121)
地図情報記憶部121は、地図情報を記憶する機能を有する。ここで記憶される地図情報は、例えば地形データに加えて、道路ネットワークデータ、POI(Point Of Interest)情報を含んでもよい。地図情報は、例えば予め地図情報記憶部121に記憶されていてもよい。或いは地図情報は、通信路やリムーバブル記憶媒体を介して地図情報記憶部121に適宜記憶されてもよい。
【0045】
(対応テーブル記憶部123)
対応テーブル記憶部123は、学習部113により生成された対応テーブルを記憶する機能を有する。対応テーブルは、例えば歩幅算出部111により算出されるユーザの歩幅と、歩幅を算出したときの歩行テンポとを対応づけた情報である。
【0046】
なお、ここでは地図情報記憶部121及び対応テーブル記憶部123は、別体の記憶部であることとして記載されたが、本技術はかかる例に限定されない。地図情報記憶部121及び対応テーブル記憶部123は、一体の記憶装置により実現されてもよい。また地図情報記憶部121及び対応テーブル123は、データ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体としては、例えばフラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体などが用いられてよい。
【0047】
以上、本実施形態に係る携帯端末100の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。以下において携帯端末100の機能を実現するためのハードウェア構成の一例が示される。
【0048】
なお、上述のような本実施形態に係る携帯端末100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0049】
[2−2.ハードウェア構成例]
次に、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100のハードウェア構成の一例について、図2を参照しながら説明する。なお、ここでは本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100のハードウェア構成として説明を続けるが、この構成は、本開示の第2の実施形態に係る携帯端末200、及び本開示の第3の実施形態に係る携帯端末300についても適用することができる。図2は、本開示の一実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0050】
ここで、携帯端末100の構成の一例について説明する。図9を参照すると、携帯端末100は、例えば、電話網アンテナ817と、電話処理部819と、GPSアンテナ821と、GPS処理部823と、Wifiアンテナ825と、Wifi処理部827と、地磁気センサ829と、加速度センサ831と、ジャイロセンサ833と、気圧センサ835と、撮像部837と、CPU(Central Processing Unit)839と、ROM(Read Only Memory)841と、RAM(Random Access Memory)843と、操作部847と、表示部849と、デコーダ851と、スピーカ853と、エンコーダ855と、マイク857と、記憶部859とを有する。携帯端末100は、例えばスマートフォンであってよい。
【0051】
(電話網アンテナ817)
電話網アンテナ817は、通話及び通信用の携帯電話網と無線で接続する機能を有するアンテナの一例である。電話網アンテナ817は、携帯電話網を介して受信される通話信号を電話処理部819に供給することができる。
【0052】
(電話処理部819)
電話処理部819は、電話網アンテナ817により送受信される信号に対する各種の信号処理を行う機能を有する。電話処理部819は、例えばマイク857を介して入力され、エンコーダ855によりエンコードされた音声信号に対して各種の信号処理を行い、電話網アンテナ817に供給することができる。また電話処理部819は、電話網アンテナ819から供給される音声信号に対して各種の信号処理を行い、デコーダ851に供給することができる。
【0053】
(GPSアンテナ821)
GPSアンテナ821は、測位衛星からの信号を受信するアンテナの一例である。GPSアンテナ821は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信することができ、受信したGPS信号をGPS処理部823に入力する。
【0054】
(GPS処理部823)
GPS処理部823は、測位衛星から受信された信号に基づいて位置情報を算出する算出部の一例である。GPS処理部823は、GPSアンテナ821から入力された複数のGPS信号に基づいて現在の位置情報を算出し、算出した位置情報を出力する。具体的には、GPS処理部823は、GPS衛星の軌道データからそれぞれのGPS衛星の位置を算出し、GPS信号の送信時刻と受信時刻との差分時間に基づいて、各GPS衛星から当該携帯端末30までの距離をそれぞれ算出する。そして、算出された各GPS衛星の位置と、各GPS衛星から当該携帯端末30までの距離とに基づいて、現在の3次元位置を算出することができる。なお、ここで用いられるGPS衛星の軌道データは、例えばGPS信号に含まれていてもよい。或いは、GPS衛星の軌道データは、通信アンテナ825を介して外部のサーバから取得されてもよい。
【0055】
(Wifiアンテナ825)
Wifiアンテナ825は、例えば無線LAN(Local Area Network)通信網との通信信号をWifiの仕様に従って送受信する機能を有するアンテナである。Wifiアンテナ825は、受信した信号を通信処理部827に供給することができる。
【0056】
(Wifi処理部827)
Wifi処理部827は、Wifiアンテナ825から供給された信号に各種の信号処理を行う機能を有する。Wifi処理部827は、供給されたアナログ信号から生成したデジタル信号をCPU839に供給することができる。
【0057】
(地磁気センサ829)
地磁気センサ829は、地磁気を電圧値として検出するセンサである。地磁気センサ829は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の地磁気をそれぞれ検出する3軸地磁気センサであってよい。地磁気センサ829は、検出した地磁気データをCPU839に供給することができる。
【0058】
(加速度センサ831)
加速度センサ831は、加速度を電圧値として検出するセンサである。加速度センサ831は、X軸方向に沿った加速度、Y軸方向に沿った加速度、及びZ軸方向に沿った加速度をそれぞれ検出する3軸加速度センサであってよい。加速度センサ831は、検出した加速度データをCPU839に供給することができる。
【0059】
(ジャイロセンサ833)
ジャイロセンサ833は、物体の角度や角速度を検出する計測器の一種である。このジャイロセンサ833は、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転角の変化する速度(角速度)を電圧値として検出する3軸ジャイロセンサであってよい。ジャイロセンサ833は、検出した角速度データをCPU839に供給することができる。
【0060】
(気圧センサ835)
気圧センサ835は、周囲の気圧を電圧値として検出するセンサである。気圧センサ835は、気圧を所定のサンプリング周波数で検出し、検出した気圧データをCPU839に供給することができる。
【0061】
(撮像部837)
撮像部837は、CPU839の制御に従い、レンズを介して静止画像又は動画像を撮影する機能を有する。撮像部837は、撮影した画像を記憶部859に記憶させてもよい。
【0062】
(CPU839)
CPU839は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って携帯端末30内の動作全般を制御する。またCPU839は、マイクロプロセッサであってもよい。このCPU839は、各種プログラムに従って様々な機能を実現することができる。
【0063】
(ROM841,RAM843)
ROM841は、CPU839が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶することができる。RAM843は、CPU839の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶することができる。
【0064】
(操作部847)
操作部847は、ユーザ5が所望の操作をするための入力信号を生成する機能を有する。操作部847は、例えばタッチセンサ、マウス、キーボード、ボタン、マイク、スイッチ及びレバーなどユーザ5が情報を入力するための入力部と、ユーザ5による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU839に出力する入力制御回路などから構成されてよい。
【0065】
(表示部849)
表示部849は、出力装置の一例であり、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ装置などの表示装置であってよい。表示部849は、ユーザ5に対して画面を表示することにより情報を提供することができる。
【0066】
(デコーダ851,スピーカ853)
デコーダ851は、CPU839の制御に従い、入力されたデータのデコード及びアナログ変換などを行う機能を有する。デコーダ851は、例えば電話網アンテナ817及び電話処理部819を介して入力された音声データのデコード及びアナログ変換などを行い、音声信号をスピーカ853に出力することができる。またデコーダ851は、例えばWifiアンテナ825及びWifi処理部827を介して入力された音声データのデコード及びアナログ変換などを行い、音声信号をスピーカ853に出力することができる。スピーカ853は、デコーダ851から供給される音声信号に基づいて音声を出力することができる。
【0067】
(エンコーダ855,マイク857)
エンコーダ855は、CPU839の制御に従い、入力されたデータのデジタル変換及びエンコードなどを行う機能を有する。エンコーダ855は、マイク857から入力される音声信号のデジタル変換及びエンコードなどを行い、音声データを出力することができる。マイク857は、音声を集音し、音声信号として出力することができる。
【0068】
(記憶部859)
記憶部859は、データ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体としては、例えばフラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体などが用いられてよい。この記憶部857は、地図情報861を格納することができる。また記憶部857は、対応テーブルを格納してもよい。
【0069】
[2−3.動作例]
次に、図3を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100の動作について説明する。図3は、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、携帯端末100は、GPS測位が可能であるか否かを判断する(S101)。ここで、GPS測位が可能であると判断されると、携帯端末100の絶対測位部101は、現時点における位置情報を取得する(S103)。そして距離閾値決定部109が距離閾値を決定する(S105)。なお、この距離閾値の決定については、後に詳述される。
【0071】
そして、カウント部105は、現時点の時刻情報を取得する(S107)。そしてカウント部105は、この時点からの経過時間をカウントすると共に、歩数カウント処理(S109)を開始する。歩幅算出部111は、ステップS103において位置情報を取得してから一定距離移動したか否かを判断する(S111)。ここで用いられる一定距離は、ステップS105において決定された距離閾値が用いられる。ステップS111において一定距離移動したと判断されるまで、ステップS109の歩数カウント処理が継続される。
【0072】
そして、ユーザが一定距離を移動したと判断されると、次に歩幅算出部111は、歩幅算出処理を実行する(S113)。具体的には、歩幅算出部111は、移動距離を歩数で除算することによって一歩当たりの移動距離である歩幅を算出することができる。またここで歩幅算出部113は、歩行テンポ算出部107にこの移動の間の歩行テンポを算出させる(S115)。ここで算出される歩行テンポは、例えば上記移動距離を移動する間の平均の歩行テンポであってよい。
【0073】
そして学習部113は、ステップS113において算出される歩幅と、ステップS115において算出される歩行テンポとを用いて、歩幅と歩行テンポとの対応関係を学習する(S117)。次に学習部113は、学習を終了するか否かを判断する(S119)。ステップS119において学習を終了すると判断された場合には、本フローは終了される。一方、ステップS119において学習を終了しないと判断された場合には、再びステップS101に戻って処理が継続される。なお、ステップS101においてGPS測位が可能ではないと判断されたとき、携帯端末100の自律測位部117は、自律測位を行うことができる(S110)。
【0074】
[2−4.距離閾値の決定]
ここで、図3のステップS105において示される距離閾値の決定について、図4及び図5を参照しながら詳述する。図4は、同実施形態に係る携帯端末の距離閾値決定処理の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、同実施形態に係る携帯端末の距離閾値決定処理の動作の他の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず図4を参照すると、距離閾値決定部109は、現在位置がGPSの受信環境が良好なエリアであるか否かを判断する(S121)。ここで、距離閾値決定部109は、地図情報を用いてステップS121の判断を行うことができる。距離閾値決定部109は、地図情報を用いて現在地周辺の状況を把握する。例えば距離閾値決定部109は、現在地周辺が、一戸建ての住宅街、大きな公園、広い道路などである場合には、GPS受信環境良好エリアであると判断してよい。また距離閾値決定部109は、現在地周辺がビル街、高架下、電車内、森林などである場合には、GPS受信環境不良エリアであると判断してよい。
【0076】
ステップS121においてGPS受信環境良好エリアであると判断された場合には、距離閾値決定部109は、第1の距離閾値を200m、第2の距離閾値を400mとすることができる(S123)。一方ステップS121においてGPS受信環境良好エリアではないと判断された場合には、距離閾値決定部109は、第1の距離閾値を500m、第2の距離閾値を1000m、とすることができる(S125)。
【0077】
以上、図4を参照しながら地図情報を用いて距離閾値を決定する方法について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。次に図5を参照しながら、GPS精度指標に基づいて距離閾値を決定する方法について説明する。
【0078】
まず距離閾値決定部109は、GPS精度指標が一定以上であるか否かを判断する(S131)。ここで、GPS精度指標としては、例えば測位衛星の捕捉数、DOP、GPS信号の受信強度などが挙げられる。この精度指標が一定以上である場合には、距離閾値決定部109は、第1の距離閾値を200m、第2の距離閾値を400mとすることができる(S133)。一方、制度指標が一定以上ではない場合には、距離閾値決定部109は、第1の距離閾値を500m、第2の距離閾値を1000mとすることができる(S135)。
【0079】
なお、ここでは絶対測位部101がGPS測位を行う場合を例に挙げて説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、絶対測位部101がGPS測位以外の方法で測位を行う場合には、測位方法に応じて適切な測位精度に基づき距離閾値が決定されてよい。また、ここで例に挙げた距離閾値は一例に過ぎず、その他環境に応じて様々な値が用いられてもよいことは言うまでもない。測位精度が高いときには、測位精度が低いときよりも距離閾値が小さく設定される。またここでは、距離閾値が2つの段階から選択して決定されるが、本技術はかかる例に限定されない。測位精度に応じて様々な値が取られてよい。
【0080】
[2−5.自律測位]
次に、図3のステップS110において示される自律測位処理について図6を参照しながら詳述する。図6は、同実施形態に係る携帯端末の自律測位動作の一例を示すフローチャートである。
【0081】
まず自律測位部117は、既に歩行テンポと歩幅との関係性が学習されているか否かを判断する(S141)。自律測位部117は、例えば対応テーブル記憶部123に対応テーブルが記憶されているか否かに基づいてかかる判断を行うことができる。ステップS141の判断において、既に歩行テンポと歩幅との関係性が学習されていると判断されると、自律測位部117は、時刻を取得する(S143)。そして、自律測位部117は、時刻を取得した時点からの歩数をカウント部105にカウントさせる(S145)。そして自律測位部117は、歩行テンポ算出部107に歩行テンポを算出させる(S147)。
【0082】
ここで自律測位部117は、ステップS147において算出された歩行テンポに対応する歩幅を、対応テーブルを参照することによって取得する(S149)。そして、自律測位部117は、ステップS149において取得される歩幅を用いて、移動速度を算出する(S151)。ここで、移動速度は、歩幅に歩行テンポを乗算することによって算出される。そして自律測位部117は、方位取得部115からユーザの移動している方位を取得する(S153)。自律測位部117は、ステップS151において算出された移動速度とステップS153において取得された移動方位とに基づいて現在位置を算出する(S155)。具体的には、自律測位部117は、移動速度と移動方位とに基づいて、最後にGPS測位により得られた絶対位置の示す地点からの相対位置を算出する。そして、この絶対位置と相対位置とを用いて、現在の位置情報を算出する。
【0083】
一方、ステップS141の判断において、歩行テンポと歩幅との関係性が未だ学習されていないと判断された場合には、次に自律測位部117は、Wifi又は基地局による測位が可能であるか否かを判断する(S157)。
【0084】
[2−6.効果の例]
以上説明したように、本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100は、歩幅を算出するトリガを時間ではなく距離とした。かかる構成により、歩幅の算出単位としての移動距離が、十分な測位精度を保つだけの距離とすることができる。時間をトリガとした場合には、歩幅の算出単位となる移動距離は、ユーザが立ち止まっている時間が含まれているとその分短くなっていた。このため、算出単位となる移動距離が十分な距離を保てないことがあり、測位精度が低下したときには、歩幅の精度が大幅に低下することがあった。本実施形態の構成は、ユーザが所定の距離閾値を移動したことをトリガとするため、歩幅の精度の低下を低減することができる。
【0085】
また、上記の距離閾値は、測位精度に応じて可変とされる。具体的には、距離閾値は、測位精度が高いときには測位精度が低いときに比べて短く設定されてよい。かかる構成により、測位精度に応じて適切な距離閾値が選択される。従って、歩行テンポと歩幅の対応関係の学習精度が向上される。
【0086】
また、携帯端末100は、ユーザが歩行しているか否かを判断して、歩行している期間を移動時間として算入する。すなわち携帯端末100は、ユーザが立ち止まっている期間は移動時間に含めない。かかる構成により、ユーザが立ち止まっている場合に歩行テンポの精度が低下することが防止される。
【0087】
<3.第2の実施形態>
[3−1.機能構成]
次に、本開示の第2の実施形態に係る携帯端末の機能構成について、図7〜図10を参照しながら説明する。図7は、本開示の第2の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。図8は、同実施形態に係る携帯端末の機能の概要を説明するための説明図である。図9は、同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができる場合ついて説明するための説明図である。図10は、同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができない場合について説明するための説明図である。
【0088】
携帯端末200は、徒歩時の自律航法機能を有する情報処理装置である。携帯端末200は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、携帯型PC(Personal Computer)(ノートPC及びタブレット型PCを含む)、PND(Personal Navigation Device)を含むナビゲーション装置などの情報処理装置であってよい。なお、以下本実施形態の説明中において、携帯端末200を携帯しているユーザを単にユーザと称する。
【0089】
携帯端末200は、歩行テンポと移動速度との間に成り立つ関数を仮定し、この関数に含まれる係数を特定することによって、歩行テンポと移動速度又は歩幅との関係を学習する機能を有する情報処理装置である。
【0090】
携帯端末200は、絶対測位部101と、歩行判定部103と、カウント部105と、歩行テンポ算出部107と、関数特定部210と、歩幅算出部211と、学習部113と、方位取得部115と、自律測位部117と、ナビゲーション部119と、地図情報記憶部121と、対応テーブル記憶部123と、を主に有する。
【0091】
なお、本実施形態に係る携帯端末200の構成は、一部が本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100と重複する。このため、携帯端末100と同様の構成要素についてはここでは説明を省略し、差異点について主に説明される。
【0092】
(関数特定部210)
関数特定部210は、歩行テンポと移動速度との間に成り立つと仮定された関数を特定する機能を有する。ここで、歩行テンポと速度とが相関性を有するという仮定について図8を参照しながら説明する。図8には、実測された速度の値と、そのときに検出された歩行テンポとが示される。このように、歩行テンポと速度との間には相関関係があることがわかる。
【0093】
そこで、例えばここでは、歩行テンポfと移動速度vとの間に、下記の数式(2)の関係が成り立つと仮定する。
【0094】

ここでa及びbは学習係数である。
【0095】
なお、ここでは歩行テンポfと移動速度vとの間に一次の相関があると仮定したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば歩行テンポfと移動速度vとの間には2次以上の相関が成り立つと仮定してもよい。或いは、歩行テンポfと移動速度vとの間には、三角関数により示される相関が成り立つと仮定してもよい。
【0096】
このとき、上記数式(2)から、移動距離X、歩行テンポf、移動時間Tとの間には以下の数式(3)の関係が成り立つと言える。

【0097】
ここで、移動距離Xは絶対測位部101により取得される位置情報に基づいて取得される。また、歩行テンポfは歩行テンポ算出部107により算出される。移動時間Tはカウント部105によりカウントされる。従って、2区間分の移動距離X、歩行テンポf、及び移動時間Tの値を取得して係数a及び係数bが算出される。なお、関数特定部210は、この歩行テンポfを階級分けし、階級毎に歩行テンポを積算することができる。歩行テンポfの階級分けについては、後に詳述される。
【0098】
関数特定部210は、所定時間毎にこの移動距離X及び移動時間Tを取得し、さらに積算された歩行テンポfを利用して方程式を解くことによって係数a及び係数bを算出し、仮定された関数を特定することができる。ところが、この係数a及び係数bの算出ができない場合がある。
【0099】
例えば図9に示されるように、区間毎の平均テンポが異なる場合(歩行テンポの積算値が異なる:S1≠S2)には、関数特定部210は方程式を解くことができ、関数を特定することができる。ところが、図10に示されるように、区間毎の平均テンポが概ね同一である場合(歩行テンポの積算値が概ね同一となる:S1≒S2)には、関数特定部210は方程式を解くことができず、関数を特定することができない。
【0100】
例えば係数a及び係数bを求める方程式を下記とする。
a+mb=m・・・数式(4)
a+nb=n・・・数式(5)
これに対して、方程式が解けない(=一次従属)条件は下式で示される。
【0101】

【0102】
また、実際にはノイズが含まれる系であるため、下記の数式(7)で示されるように、一定の幅を持たせた条件となる。
【0103】

【0104】
従って、関数特定部210は、方程式を解くことが出来る場合には、特定した関数を歩幅算出部211に供給する。また関数特定部210は、方程式を解くことが出来ない場合には、関数が特定されない旨の情報を歩幅算出部211に供給することができる。
【0105】
(歩幅算出部211)
歩幅算出部211は、ユーザの歩幅を算出する機能を有する。歩幅算出部211は、関数特定部210により特定された関数に過去に算出された歩行テンポ値を代入することによって、各時刻の速度を算出することができる。そして、速度vと歩幅kとの間に成り立つ既出の数式(1)を用いることによって、各時刻の歩幅を算出することができる。
v=k×f・・・数式(1)
【0106】
また歩幅算出部211は、関数特定部210が関数を特定することができなかったとき、移動距離と移動時間を用いて、歩幅を算出してもよい。なお、歩幅算出部211は、後に詳述される歩行テンポの階級分けにより生成される階級毎に歩幅を算出することができる。
【0107】
[3−2.動作例]
次に、図11〜図13を参照しながら、本開示の第2の実施形態に係る携帯端末の動作について説明する。図11は、同実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。図12は、同実施形態に係る携帯端末の入力値積算処理の動作の一例を示すフローチャートである。図13は、同実施形態に係る携帯端末の係数算出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【0108】
まず携帯端末200は、GPS測位が可能であるか否かを判断する(S201)。ここで、GPS測位が可能であると判断されると、携帯端末200の絶対測位部101は、現時点における位置情報を取得する(S203)。そしてカウント部105は、現時点の時刻情報を取得する(S205)。そしてカウント部105は、この時点からの経過時間をカウントすると共に、歩数カウント処理(S207)を開始する。歩行テンポ算出部107は、カウント部105によりカウントされた経過時間及び歩数を用いて、歩行テンポを算出する(S209)。
【0109】
関数特定部210は、入力値を積算する(S211)。このステップS211の入力値積算処理について、図12を参照する。まず関数特定部210は、歩行判定部103によりユーザが歩行していることが検出されたか否かを判断する(S231)。そして、関数特定部210は、ステップS241の判断において歩行が検出されたときのみ、入力値を積算する(S233)。ここで用いられる入力値は、歩行テンポである。
【0110】
再び図11に戻って説明を続けると、次に関数特定部210は、歩行テンポ階級分け処理を実行する(S213)。そして、関数特定部210は、一定時間が経過したか否かを判断する(S215)。ここで、一定時間が経過したと判断されると、次に関数特定部210は、区間カウントを1つカウントアップする(S217)。次に、関数特定部210は、区間カウントが2以上であるか否かを判断する(S219)。
【0111】
そしてステップS219の判断において、区間カウントが2以上であると判断された場合には、関数特定部219は、係数算出処理を行うことによって関数を特定する(S221)。ステップS221の係数算出処理の詳細が、図13に示される。図13を参照すると、まず関数特定部210は、方程式が解けるか否かを判断する(S241)。例えば一次相関を用いた上記の例においては、2つの区間における歩行テンポfの累積値の差異が所定以上であるか否かに基づいてかかる判断は行われてよい。そしてステップS231の判断において方程式が解けると判断されたときには、関数特定部210は、方程式を解くことによって係数を算出する(S243)。一方、ステップS231の判断において方程式が解けないと判断されたときには、関数特定部210は、移動距離を移動時間で除算することによって移動速度を算出する(S245)。
【0112】
再び図11に戻って説明を続けると、次に歩幅算出部211は、各時間区間の移動速度を算出する(S223)。そして次に歩幅算出部211は、この移動速度を用いて歩幅を算出する(S225)。次に学習部113は、移動速度を算出した各時間区間毎の歩幅とその時間区間の歩行テンポとの対応関係を学習する(S227)。次に学習部113は、学習を終了するか否かを判断する(S229)。ステップS229において学習を終了すると判断された場合には、本フローは終了される。一方、ステップS229において学習を終了しないと判断された場合には、再びS201に戻って処理が継続される。なお、ステップS201においてGPS測位が可能ではないと判断されたとき、携帯端末200の自律測位部117は、自律測位を行うことができる(S210)。ステップS210で行われる自律測位は、図6を参照しながら上述した処理と同様である。
【0113】
[3−3.歩行テンポ階級分け]
ここで、図11のステップS213において示される歩行テンポの階級分けについて、図14〜図16を参照しながら詳述する。図14は、同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理の動作の一例を示すフローチャートである。図15は、同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理について説明するための説明図である。図16は、同実施形態に係る携帯端末の歩行テンポ階級分け処理について説明するための具体例を用いた説明図である。
【0114】
まず図14を参照すると、関数特定部210は、まず現在の歩行テンポ値が前回と異なる階級であるか否かを判断する(S251)。ここで、階級を分ける条件については、予め設定された条件が用いられる。例えば図15に示されるように、等間隔△f=10Steps/min毎に歩行テンポを階級わけし、同じ階級内では同一の歩行テンポであるとみなすことができる。歩行テンポを連続量として扱うと、テーブルの情報量が膨大となってしまう。このため、歩行テンポを階級わけして書く階級毎に平均テンポ値を求める。このように歩行テンポを階級分けすることによって、情報量を低減することができる。
【0115】
再び図14に戻って説明を続けると、ステップS251の判断において前回と異なる階級の歩行テンポ値が得られたと判断されたとき、関数特定部210は、現在の階級を、現在の歩行テンポ値が属する階級に変更する(S253)。そして関数特定部210は、現在の階級がこれまでに生成していない階級であるか否かを判断する(S255)。ステップS255の判断において、現在の階級がこれまでに生成していない階級であると判断されたとき、関数特定部210は、新たな階級を生成する(S257)。
【0116】
そして、関数特定部210は、入力値を現在の階級に積算する(S259)。一方、ステップS251の判断において、現在の歩行テンポ値が前回と同じ階級であると判断されたときには、次にこのステップS259の処理が行われる。また、ステップS255の判断において、現在の階級がこれまでに生成された階級であると判断された場合には、ステップS257の処理は省略されて、ステップS259の処理が実行される。そして、関数特定部210は、現在の階級の加算カウントを1つカウントアップする(S261)。そして、現在の階級の平均歩行テンポ値を算出する(S263)。
【0117】
例えば図16の具体例を参照すると、関数特定部210は、現在の歩行テンポ値が100Steps/minを超えたときに、階級100を生成することができる。そしてその後、歩行テンポ値が100〜110Steps/minの間を推移している間は、現在の階級100に縫う緑地を積算することができる。そして、歩行テンポ値が110を超えたときには、新たな階級110が生成される。図16においては、この後、再び歩行テンポ値が110を下回る。このため、関数特定部210は、再び現在の階級を階級100に戻して、この階級100において平均化処理を再開する。
【0118】
[3−4.効果の例]
以上説明したように、本開示の第2の実施形態に係る携帯端末200は、移動速度と歩行テンポとの間に相関関係があると仮定して、移動速度と歩行テンポとの間に成り立つ関数を仮定する。そして、センサ等を用いて取得することのできる値からこの関数に含まれる係数を算出することによって関数を特定する。そして、携帯端末200は、この関数を用いてそれぞれの歩行テンポ値に対応する歩幅を算出することができる。学習の1区間における歩幅と歩行テンポとの時間平均を用いる方法では、区間内において1点の対応関係が算出される。このため、1区間内において歩行テンポが様々に変化する状況においては、算出される歩幅の誤差が大きくなってしまうと共に、対応テーブルにおける歩行テンポのレンジが実際の歩行テンポよりもレンジが狭まってしまう。これに対し、携帯端末200の構成によれば、学習区間内において歩行テンポが変化する状況においても、それぞれの歩行テンポに対応する精度の高い移動速度(又は歩幅)を算出することができる。従って、歩幅の精度が向上するとともに、対応テーブルにおける歩行テンポのレンジを実際の歩行テンポのレンジと近づけることができる。
【0119】
このとき、歩行テンポを階級分けして階級毎に入力値を積算することもできる。上述の通り、携帯端末200は、それぞれの歩行テンポに対して移動速度(又は歩幅)を算出することができる。このため、歩行テンポを連続量として扱う場合には、対応テーブルの情報量が膨大なものとなってしまう。そこで、歩行テンポを階級分けして、ある程度の幅を持った階級内の歩行テンポ値の平均値に対応する移動速度(又は歩幅)を算出するようにしてもよい。かかる構成によれば、対応テーブルの情報量を低減することができる。
【0120】
<4.第3の実施形態>
[4−1.機能構成]
次に、本開示の第3の実施形態に係る携帯端末の構成について、図17〜図19を参照しながら説明する。図17は、本開示の第3の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。図18は、同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができる場合について説明するための説明図である。図19は、同実施形態に係る携帯端末の対応テーブル作成において関数を特定することができない場合について説明するための説明図である。
【0121】
携帯端末300は、徒歩時の自律航法機能を有する情報処理装置である。携帯端末300は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、携帯型PC(Personal Computer)(ノートPC及びタブレット型PCを含む)、PND(Personal Navigation Device)を含むナビゲーション装置などの情報処理装置であってよい。なお、以下本実施形態の説明中において、携帯端末300を携帯しているユーザを単にユーザと称する。
【0122】
携帯端末300は、上記の第1の実施形態において説明された、歩幅を算出するトリガーを所定距離とする構成と、上記の第2の実施形態において説明された、歩行テンポと移動速度との間に成り立つ関数を仮定することによって、それぞれの歩行テンポに対応する移動速度(又は歩幅)を算出する構成とを併せ持つ情報処理装置である。
【0123】
携帯端末300は、絶対測位部101と、歩行判定部103と、カウント部105と、歩行テンポ算出部107と、距離閾値決定部109と、関数特定部310と、歩幅算出部211と、学習部113と、方位取得部115と、自律測位部117と、ナビゲーション部119と、地図情報記憶部121と、対応テーブル記憶部123と、を主に有する。
【0124】
なお、本実施形態に係る携帯端末300の構成は、一部が本開示の第1の実施形態に係る携帯端末100又は本開示の第2の実施形態に係る携帯端末200と重複する。このため、携帯端末100又は携帯端末200と同様の構成については同じ符号を付与することによってここでは説明を省略し、差異点について主に説明される。
【0125】
(関数特定部310)
関数特定部310は、歩行テンポと移動速度との間に成り立つと仮定された関数を特定する機能を有する。関数特定部310は、距離閾値決定部109により決定される所定の距離を1つの区間として、取得される値を方程式に代入することによって関数に含まれる係数を算出することによって関数を特定することができる。
【0126】
ここで、第2の実施形態と同様に歩行テンポfと移動速度vとの間に数式(2)の関係が成り立つと仮定する。

ここでa及びbは学習係数である。
【0127】
このとき、上記数式(2)から、移動距離X、歩行テンポf、移動時間Tとの間には以下の数式(3)の関係が成り立つと言える。

【0128】
ここで、移動距離Xは絶対測位部101により取得される位置情報に基づいて取得される。また、歩行テンポfは歩行テンポ算出部107により算出される。移動時間Tはカウント部105によりカウントされる。従って、2区間分の移動距離X、歩行テンポf、及び移動時間Tの値を取得して係数a及び係数bが算出される。なお、関数特定部310は、この歩行テンポfを階級分けし、階級毎に歩行テンポを積算することができる。歩行テンポfの階級分けについては、本開示の第2の実施形態において図14〜図16を参照しながら詳述した通りである。
【0129】
関数特定部310は、上述の通り距離閾値決定部109により決定された所定距離を1つの区間としてこの移動距離X及び移動時間Tを取得し、さらに積算された歩行テンポfを利用して方程式を解くことによって係数a及び係数bを算出し、仮定された関数を特定することができる。ところが、この係数a及び係数bの算出ができない場合がある。
【0130】
例えば図18に示されるように、区間毎の平均テンポが異なる場合(歩行テンポの積算値が異なる:S1≠S2)には、関数特定部310は方程式を解くことができ、関数を特定することができる。ところが、図19に示されるように、区間毎の平均テンポが概ね同一である場合(歩行テンポの積算値が概ね同一となる:S1≒S2)には、関数特定部310は方程式を解くことができず、関数を特定することができない。
【0131】
従って、関数特定部310は、方程式を解くことが出来る場合には、特定した関数を歩幅算出部211に供給する。また関数特定部310は、方程式を解くことが出来ない場合には、関数が特定されない旨の情報を歩幅算出部211に供給することができる。
【0132】
[4−2.動作例]
次に、図20を参照しながら、本開示の第3の実施形態に係る携帯端末の動作について説明する。図20は、同実施形態に係る携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【0133】
まず携帯端末300は、GPS測位が可能であるか否かを判断する(S301)。ここで、GPS測位が可能であると判断されると、携帯端末300の絶対測位部101は、現時点における位置情報を取得する(S303)。そして距離閾値決定部109が距離閾値を決定する(S304)。なお、このステップS304により示される距離閾値決定処理は、図4又は図5により上述された距離閾値決定処理であってよい。
【0134】
そして、カウント部105は、現時点の時刻情報を取得する(S305)。そしてカウント部105は、この時点からの経過時間をカウントすると共に、歩数カウント処理(S307)を開始する。歩行テンポ算出部107は、カウント部105によりカウントされた経過時間及び歩数を用いて、歩行テンポを算出する(S309)。
【0135】
そして関数特定部310は、入力値を積算する(S311)。このステップS311に示される入力値積算処理は、図12を用いて上述された入力値積算処理であってよい。次に関数特定部310は、歩行テンポ階級分け処理を実行する(S313)。この歩行テンポ階級分け処理は、図14を用いて上述された歩行テンポ階級分け処理であってよい。
【0136】
そして関数特定部310は、ステップS304において決定された所定距離を移動したか否かを判断する(S315)。ここで所定距離を移動したと判断されると、次に関数特定部310は、区間カウントを1つカウントアップする(S317)。次に関数特定部310は、区間カウントが2以上であるか否かを判断する(S319)。
【0137】
そしてステップS319の判断において、区間カウントが2以上であると判断された場合には、関数特定部319は、係数算出処理を行うことによって関数を特定する(S321)。このステップS321に示される係数算出処理は、図13を用いて上述された係数算出処理であってよい。
【0138】
次に歩幅算出部211は、各時間区間の移動速度を算出する(S323)。そして次に歩幅算出部211は、この移動速度を用いて歩幅を算出する(S325)。次に学習部113は、移動速度を算出した各時間区間毎の歩幅とその時間区間の歩行テンポとの対応関係を学習する(S327)。次に学習部113は、学習を終了するか否かを判断する(S329)。ステップS329において学習を終了すると判断された場合には、本フローは終了される。一方、ステップS329において学習を終了しないと判断された場合には、再びS301に戻って処理が継続される。なお、ステップS301においてGPS測位が可能ではないと判断されたとき、携帯端末300の自律測位部117は、自律測位を行うことができる(S310)。ステップS310で行われる自律測位は、図6を参照しながら上述した自律測位の処理であってよい。
【0139】
[4−3.実験結果]
次に、本実施形態に係る携帯端末300の対応テーブル作成の有効性について検証する実験結果について図21〜図24を参照しながら説明する。図21は、同実施形態に係る携帯端末において、歩行テンポの推移を示す実験結果の一例を示すグラフである。図22は、同実施形態に係る携帯端末において推定される速度と、実際の速度とを比較する実験結果の一例を示すグラフである。図23は、同実施形態に係る携帯端末において作成される、歩行テンポと速度の対応テーブルの一例を示す説明図である。図24は、同実施形態に係る携帯端末において作成される、歩行テンポと歩幅の対応テーブルの一例を示す説明図である。
【0140】
ここでは、実際に速度を変えて歩幅学習を行い、本実施形態において説明した理論の妥当性を検証する。図21には、検証における経過時間と計測された歩行テンポの推移が示される。ここで、縦の破線の時点において、移動速度が変えられた。ここでは区間毎に徐々に速度が上げられている。
【0141】
図21のように測定された歩行テンポのピーク値を積算し、既知の移動距離(400m)を用いると、係数a=1.25、係数b=−0.96が算出された。この係数を元に各区間の速度を算出したものが図22に示される。図22には、特定された関数から算出された推測速度と、実際の速度とが示される。このように、精度の高い移動速度を得ることができることが確認された。
【0142】
また、図21及び図22に示された例において、実際に作成された対応テーブルが、図23及び図24に示される。図23の縦軸は速度であり、図24の縦軸は歩幅である。速度と歩幅とは、互いに上述の数式(1)v=k×fを用いて算出することができる。
【0143】
[4−4.入力値について]
上記の実施形態においては、入力値としては歩行テンポfが用いられた。しかし、速度と強い相関性を有し、かつ、その相関が極力低次であれば、入力値は歩行テンポに限られない。ここでは、入力値の他の例について図25〜図29を参照しながら説明する。図25は、同実施形態に係る携帯端末において測定される鉛直加速度と、実際の速度とが相関性を有することを示すグラフである。図26は、同実施形態に係る携帯端末をズボン前ポケットに入れて測定した鉛直加速度の実験結果を示すグラフである。図27は、図26の実験結果から2秒間毎のピーク値を抽出したグラフである。図28は、同実施形態に係る携帯端末において特定された関数を用いて算出された各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。図29は、同実施形態に係る携帯端末において特定された関数を用いて生成された対応テーブルの一例を示す説明図である。
【0144】
例えば一般的なスマートフォンなど現在普及している携帯端末において取得することのできる値であって、この条件を満たす量の一つとして、鉛直加速度が挙げられる。
【0145】
例えば図25に示される実験結果を参照すれば、鉛直加速度と速度とが明確な相関性を有することがわかる。そこで、この鉛直加速度と速度との間に成り立つ関数を仮定し、係数を算出することによって関数を特定することができる。また、この係数から速度を算出し、加速度と同時に測定した歩行テンポと速度とを関連づけて対応テーブルが生成される。
【0146】
例えば図26には、ズボンの前ポケットに入れた携帯端末300により計測された鉛直加速度の推移が示される。図26において縦の破線は、速度が変化した時刻を示す。この図26に示されたデータのうち、2秒間のピーク値を抽出したものが図27に示される。ここで抽出されたピーク値を積算して既知の距離閾値400mを用いた結果、係数a=1.2、係数b=0.68が算出される。算出された係数により特定される関数を用いて各区間の移動速度を算出すると、図28に示される速度が得られる。ここで図28には、実際の速度と、特定された関数を用いて算出される速度とが示される。このように、鉛直加速度を用いても、精度の高い移動速度を得られることが確認された。この移動速度を用いて生成された対応テーブルが図29に示される。
【0147】
[4−5.携帯端末の持ち方について]
次に、携帯端末300の持ち方依存性について、図30〜図33を参照しながら検証する。図30は、同実施形態に係る携帯端末を胸ポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。図31は、同実施形態に係る携帯端末を腹ポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。図32は、同実施形態に係る携帯端末をズボン後ろポケットに入れて測定した鉛直加速度により特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。図33は、同実施形態に係る携帯端末を斜めがけカバンに入れて測定した鉛直加速度を用いて特定された関数を用いて算出される各区間の推定速度と実際の速度とを比較する実験結果を示すグラフである。
【0148】
上記において、歩行テンポ、及び鉛直加速度を入力値とする例について説明したが、この入力値は、ユーザが携帯端末300をどのように持っているかによらず、速度と強い相関性を持つ必要がある。例えば携帯端末300の持ち方としては、胸ポケット内に入れて持ち運ぶ、腹ポケットに入れて持ち運ぶ、ズボン後ろポケットに入れて持ち運ぶ、カバン内に入れて持ち運ぶなどの持ち方が一般的である。しかし、この他にも例えば、頭部装着、上腕部に装着、腕時計型、ネックストラップ、手で持って画面を見ている、ズボン前ポケットに入れて持ち運ぶなどの形態が考えられる。
【0149】
ここで、図30〜図33には、鉛直加速度の持ち方依存性について検証している。例えば図30には、胸ポケットに入れて携帯端末300を持ち歩いたときに検出される鉛直加速度を入力値として算出された推測速度と実際の速度とが示される。また図31には、腹ポケットに入れて携帯端末300を持ち歩いたときに検出される鉛直加速度を入力値として算出された推測速度と実際の速度とが示される。図32には、ズボン後ろポケットに入れて携帯端末300を持ち歩いたときに検出される鉛直加速度を入力値として算出された推測速度と実際の速度とが示される。図33には、斜めがけのカバンに入れて携帯端末300を持ち歩いたときに検出される鉛直加速度を入力値として算出された推測速度と実際の速度とが示される。
【0150】
ここで示されるように、鉛直加速度の場合には、どのような持ち方をしても速度と1次の相関性を持つことが分かる。従って、鉛直加速度を入力値として使用しても、歩行テンポと同様に精度の高い速度を得られ、従って精度の高い歩幅が算出されることがわかった。
【0151】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲は係る例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0152】
例えば、上記実施形態では、測位衛星の一例として、GPSが挙げられたが、もちろん測位衛星はGPSに限られない。測位衛星は、ガリレオ、GLONASS、北斗、みちびきなど各種の測位衛星であってよい。このとき、測位衛星は、1つの種類の衛星が用いられてもよいし、複数の種類の衛星による測位信号が組合わせて用いられてもよい。実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、位置情報取得のために利用する構成を変更することが可能である。
【0153】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【0154】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記絶対位置の精度に基づいて、前記所定距離の値を決定する決定部、
をさらに備える、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記決定部は、地図情報に基づいて前記絶対位置の精度を推定し、前記所定距離の値を決定する、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記絶対位置取得部は、無線通信により接続する複数の外部装置との間の距離に基づいた前記絶対位置を取得し、
前記決定部は、接続される前記外部装置の数に基づいて前記絶対位置の精度を推定し、前記所定距離の値を決定する、
前記(2)または(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5)
前記ユーザが歩行しているか否かを判定する歩行判定部、
をさらに備え、
前記取得部は、前記ユーザが歩行していると判定されるときの前記第1の値を取得する、
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6)
前記ユーザが進行している方位を取得する方位取得部と、
前記学習部により学習された前記対応関係を用いて、前記取得部により取得された前記第1の値から、現時点における前記第2の値を推定し、当該第2の値及び前記方位に基づいて、現在位置を算出する自律測位部と、
をさらに備える、
前記(1)〜(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)
前記自律測位部は、前記絶対位置取得部が前記絶対位置を取得することができないときに、前記現在位置を算出する、
前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記自律測位部により算出される前記現在位置を用いて経路を案内するナビゲーション部、
をさらに備える、前記(6)または(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9)
歩行するユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得することと、
前記ユーザが所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出することと、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習することと、
を含む、情報処理方法。
(10)
コンピュータを、
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラム。
(11)
コンピュータを、
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムを記憶する、コンピュータが読取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0155】
100,200,300 携帯端末
101 絶対測位部
103 歩行判定部
105 カウント部
107 歩行テンポ算出部
109 距離閾値決定部
111,211 歩幅算出部
113 学習部
115 方位取得部
117 自律測位部
119 ナビゲーション部
121 地図情報記憶部
123 対応テーブル記憶部
210,310 関数特定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記絶対位置の精度に基づいて、前記所定距離の値を決定する決定部、
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、地図情報に基づいて前記絶対位置の精度を推定し、前記所定距離の値を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記絶対位置取得部は、無線通信により接続する複数の外部装置との間の距離に基づいた前記絶対位置を取得し、
前記決定部は、接続される前記外部装置の数に基づいて前記絶対位置の精度を推定し、前記所定距離の値を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザが歩行しているか否かを判定する歩行判定部、
をさらに備え、
前記取得部は、前記ユーザが歩行していると判定されるときの前記第1の値を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザが進行している方位を取得する方位取得部と、
前記学習部により学習された前記対応関係を用いて、前記取得部により取得された前記第1の値から、現時点における前記第2の値を推定し、当該第2の値及び前記方位に基づいて、現在位置を算出する自律測位部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記自律測位部は、前記絶対位置取得部が前記絶対位置を取得することができないときに、前記現在位置を算出する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記自律測位部により算出される前記現在位置を用いて経路を案内するナビゲーション部、
をさらに備える、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
歩行するユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得することと、
前記ユーザが所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出することと、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
ユーザの絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
歩行する前記ユーザの歩行テンポを示す第1の値を取得する取得部と、
前記絶対位置に基づいた所定距離移動したことをトリガとして、前記ユーザの歩幅又は移動速度を示す第2の値を算出する算出部と、
算出される前記第2の値を用いて、前記第1の値及び前記第2の値の対応関係を学習する学習部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムを記憶する、コンピュータが読取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2013−50307(P2013−50307A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186709(P2011−186709)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】