説明

情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム

【課題】容易な操作でパターン情報の検出・認識を行う。
【解決手段】情報処理装置100は、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る読取部112と、読取部により読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部114と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関し、特に、タッチパネルを用いて任意の操作を行う情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付き携帯電話やPHS端末にQRコードに対応している端末が広く普及している。図6に示したように、QRコードに対応している携帯電話やPHSに内蔵されたカメラを用いてQRコードを撮影する。そして、撮影したQRコードの情報内容を用いて、容易にURL(Uniform Resource Locator)等の情報を取得することが可能となる。
【0003】
例えば、広告や地図などの印刷媒体やウェブ画面において、詳細情報を有するウェブサイトや携帯端末向けのウェブサイトなどのURLを記録したQRコードが広告や地図などの印刷媒体に印刷されたり、ウェブ画面に表示されたりする。携帯電話などによりQRコードを撮影して当該QRコードの情報内容を認識することができれば、URLにより指定されるサイトへのアクセスを容易にすることができる。また、個人データを格納したQRコードを名刺に印刷して、携帯電話機のアドレス帳登録を容易にすることもできる。また、ネットショッピング等の決済時にQRコードが利用され始めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図6に示した携帯電話等のカメラを用いてQRコードなどのパターン情報を認識する場合には、使用時にカメラを起動し続けなければならず、カメラで撮影された映像から画像認識によりパターン情報を検出するため、電力消費が大きいという問題があった。また、パターン情報を撮影するための距離や明るさを確保する必要があり、接触させて撮影したり暗闇で撮影したり場合にはQRコード等のパターン情報の検出・認識をすることが困難となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、容易な操作でパターン情報の検出・認識を行うことが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取って、読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行することができる。これにより、情報処理装置に備えられたカメラ等によりパターン情報を撮像等しなくとも、パターン情報の検出および認識をすることが可能となり、容易な操作でパターン情報の検出・認識を行うことができる。
【0008】
また、上記読取部は静電容量式によるタッチパネルを用いてパターン情報を読み取り、読取部は、パターン情報が静電容量式によるタッチパネルに接触または近接した場合に、パターン情報を読み取るようにしてもよい。
【0009】
これにより、パターン情報をカメラで撮像するときのように周囲の明るさを調整する必要がなく、暗闇の状態でもパターン情報を読み取ることが可能となる。また、パターン情報に接触・近接して認識することができるため、パターン情報が撮像範囲に収まるように情報処理装置100の位置を調整する必要がなくなる。
【0010】
また、ユーザ操作に応じて読み取られる読み取り対象が、パターン情報か指であるか否かを判別する判別部を備え、読取部は、判別部により読み取り対象がパターン情報であると判別された場合に、パターン情報を読み取るようにしてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、読み取り対象がパターン情報であるか否かを判別して、読み取り対象がパターン情報である場合と、読み取り対象が指である場合とで異なる処理を実行することができる。これにより、読み取り対象に応じた種々の処理を実行することが可能となる。
【0012】
また、上記読取部は、読み取ったパターン情報を2値化処理してもよい。
【0013】
また、上記判別部は、読み取り対象の静電容量データの特性に基づいて、読み取り対象がパターン情報であるか指であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0014】
また、上記判別部は、読み取り対象の少なくともエッジ特性、ダイナミックレンジ、周波数特性のいずれかの静電容量データの特性に基づいて、読み取り対象がパターン情報であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取るステップと、読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行するステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報処理装置と、情報処理装置に読み取り可能な導電性を有する物質で形成されたパターン情報を含む媒体とを有する情報処理システムが提供される。
【0018】
上記情報処理装置は、媒体に含まれるパターン情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、容易な操作でパターン情報の検出・認識を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、
【0021】
また、以下に示す順序に従って、当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕本実施形態の目的
〔2〕情報処理システムの概要
〔3〕情報処理装置のハードウェア構成
〔4〕情報処理装置の機能構成
〔5〕情報処理装置の動作
【0022】
〔1〕本実施形態の目的
まず、本発明の実施形態の目的について説明する。近年、カメラ付き携帯電話やPHS端末にQRコードに対応している端末が広く普及している。図6に示したように、QRコードに対応している携帯電話やPHSに内蔵されたカメラを用いてQRコードを撮影する。そして、撮影したQRコードの情報内容を用いて、容易にURL(Uniform Resource Locator)等の情報を取得することが可能となる。
【0023】
例えば、広告や地図などの印刷媒体やウェブ画面において、詳細情報を有するウェブサイトや携帯端末向けのウェブサイトなどのURLを記録したQRコードが広告や地図などの印刷媒体に印刷されたり、ウェブ画面に表示されたりする。携帯電話などによりQRコードを撮影して当該QRコードの情報内容を認識することができれば、URLにより指定されるサイトへのアクセスを容易にすることができる。また、個人データを格納したQRコードを名刺に印刷して、携帯電話機のアドレス帳登録を容易にすることが可能となる。また、ネットショッピング等の決済時にQRコードが利用され始めている。
【0024】
しかし、図6に示した携帯電話等のカメラを用いてQRコードなどのパターン情報を認識する場合には、使用時にカメラを起動し続けなければならず、カメラで撮影された映像から画像認識によりパターン情報を検出するため、電力消費が大きいという問題があった。また、パターン情報を撮影するための距離や明るさを確保する必要があり、接触させて撮影したり暗闇で撮影したり場合にはQRコードの検出・認識をすることができないという問題があった。
【0025】
そこで、上記のような事情を一着眼点として、本発明の実施形態にかかる情報処理装置100が創作されるに至った。本実施形態にかかる情報処理装置100によれば、容易な操作でパターン情報の検出・認識を行うことが可能となる。
【0026】
本実施形態では、情報処理装置100として、携帯電話やPDA(personal digitl assistant)などを例示して説明するが、かかる例に限定されず、パーソナルコンピュータなどに適用することも可能である。また、ディスプレイ等の表示装置と一体の装置として構成したが、かかる例に限定されず。情報処理装置100と表示装置とを別体の装置として構成するようにしてもよい。
【0027】
〔2〕情報処理システムの概要
次に、情報処理装置100を備える情報処理システム(図示せず)の概要について説明する。本実施形態にかかる情報処理システムは、少なくとも、情報処理装置100と、情報処理装置100に読み取り可能な導電性を有する物質で形成されたパターン情報を含む媒体とを備える。
【0028】
情報処理装置100の機能については後で詳細に説明するが、主に、媒体に塗布等された導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取り、当該パターン情報に基づいて所定の処理を実行する機能を備える。
【0029】
導電性を有する物質で形成されたパターン情報とは、例えば、QRコードなどを例示できる。QRコードとは、小さな正方形の点を縦横同じ数だけ並べたマトリックス型2次元コードである。QRコードには、一辺に小さな正方形の点を21個並べた「バージョン1」から、177個並べた「バージョン40」まで、40通りの仕様が用意されている。
【0030】
点の数が多いほうがたくさんの情報を記録できるが、必要な面積は大きくなっていく。QRコードの3つの角には「回」の字型の「切り出しシンボル」(ファインダパターン)が配置されており、360度どの向きから読み取っても正確に情報が読み出せるようになっている。
【0031】
QRコードに記録できる情報量は、バージョン40の場合で最大23,648ビットである。QRコードでは独自の文字コードを使っているため、カナや漢字なら1,817文字、アルファベットと数字だけなら4,296文字、数字だけなら7,089文字まで記録できる。データには冗長性を持たせてあり、一部が汚損して読み取れなくてもデータを復元することができる。QRコードで使用される誤り訂正率は4段階に設定でき、最も低いもので約7%、最も高いもので約30%までの汚損に対応できる。誤り訂正率は高いほどより多くの冗長なデータが必要となるため、記録できるデータ量はその分制限される。
【0032】
上記したように、近年、携帯電話にQRコードの読み取り機能が搭載され、インターネットのURLなどボタン操作で入力するのは面倒なデータを簡単に入力できる手段として普及している。
【0033】
本実施形態にかかる情報処理システムでは、上記したQRコードのように文字や数字が格納されたパターン情報を、導電性を有する物質で形成して媒体に記述する。パターン情報を記述する媒体は、紙媒体であってもよいし、折り曲げ可能なフィルムであってもよい。また、導電性を有するフィルムを用いることもできる。この場合、フィルム自体が導電性を有していてもよいし、フィルム表面に導電性を有する物質を成膜してもよい。そして、当該パターン情報を読み取り可能な情報処理装置により、読み取られたパターン情報に基づいた所定の処理が実行される。これにより、容易な操作でパターン情報の検出・認識を行うことが可能となる。
【0034】
〔3〕情報処理装置のハードウェア構成
以上、情報処理システムの概要について説明した。次に、図1に基づいて、本実施形態にかかる情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。図1は本実施形態にかかる情報処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
情報処理装置100は、RAM(Random Access Memory)101、不揮発性メモリ102、表示装置103、CPU(Central Processing Unit)104、入力装置105などを備える。
【0036】
CPU104は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置100内の動作全般を制御する。また、CPU104は、マイクロプロセッサであってもよい。不揮発性メモリ102は、CPU104が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM101は、CPU104の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス(参照せず)により相互に接続されている。
【0037】
表示装置103は、情報処理装置100に備わる出力装置の一例である。表示装置103は、例えば液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する。)装置などで構成され、情報処理装置100が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置103は、情報処理装置100が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。
【0038】
入力装置105は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU104に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置100のユーザは、入力装置105を操作することにより、情報処理装置100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0039】
本実施形態では、主に、タッチパネルを用いてユーザの指などの操作体を検知したり、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取ったりする。タッチパネルは、表示と入力の2つの機能を備えている。本実施形態にかかるタッチパネルは、近接または接触しているユーザの指やパターン情報を検出することができる。
【0040】
検出方法としては、透明電極を構成する金属薄膜を利用した抵抗膜方式、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する静電容量方式や、赤外線遮光方式、電磁誘導方式など、ディスプレイに接触・近接した操作体やパターン情報を検出できる方法であればよい。
【0041】
本実施形態では特に、静電式タッチパネルを用いて操作体やパターン情報を検出している。ここで、図2を参照して、静電式タッチパネルによる操作体(指)の検出方法について説明する。図2は、静電式タッチパネルによる操作体の検出方法について説明する説明図である。図2の説明図200に示したように、静電式タッチパネルは、格子状(例えば10×7)に配置された静電センサを有しており、静電容量の変化によって静電センサの値を変化させる。
【0042】
静電式タッチパネルの静電センサに操作体であるユーザの指が近づいたり触れたりした場合に、静電センサの静電容量が増加する。その増加量の変化をもとにタップ等のインタラクションが行われるのが一般的である。また、個々の静電センサの静電容量を同時に取得することも可能である。この場合、静電式タッチパネルのすべての静電センサの静電容量の変化を同時に検出し、補間することによって近接または接触している指の形を検出することが可能である。
【0043】
図2の説明図200を参照して、静電式タッチパネルにおいて、近接または接触している指の形を検出している様子を説明する。説明図200では、静電センサの静電容量が増加している領域を領域202で示し、静電センサの静電容量が変化していない領域を領域203で示している。操作体(指)201が近接または接触している場合には、静電センサの容量が変化する。したがって、説明図200に示したように、操作体201の形状に沿って、領域202の形が変化して、操作体201の形状を検出することができる。
【0044】
また、上記した静電式タッチパネルを用いて、アルミのような導電性のある金属の静電容量の変化を取得することが可能となる。これは、アルミのような導電性のある金属が、その特性上均一に静電容量が変化することによるものである。すなわち、このような導電性を有する物質をある程度高精細な分解能を有する静電式タッチパネルに接触または近接させた場合、当該物質の形に沿って均一に静電容量の変化を取得することが可能となる。
【0045】
図2の説明図210は、導電性を有する物質211が静電式タッチパネルに接触または近接した場合の静電容量の変化を説明する説明図である。図2に示したように、媒体上の導電性を有する物質で形成された領域211は静電容量が変化している。一方、媒体上の導電性を有する物質が塗布等されていない領域213は静電容量が変化していない。このように、静電容量の変化によって、静電式タッチパネルに接触または近接した導電性を有する物質211の形状を読み取ることが可能となる。
【0046】
以上、本実施形態にかかる情報処理装置100のハードウェア構成について説明した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、各実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0047】
〔4〕情報処理装置の機能構成
次に、図3を参照して、本実施形態にかかる情報処理装置100の制御部の機能を説明する。図3は、本実施形態にかかる情報処理装置100の制御部(CPU104)の機能構成を示したブロック図である。
【0048】
図3に示したように、情報処理装置100の制御部は、判別部110、読取部112、実行部114などを備える。図3に示した表示画面10は、上記した入力装置105としてのタッチパネルの機能と、表示装置103としてのLCDの機能を有している。
【0049】
判別部110は、ユーザ操作に応じて読み取られる読み取り対象が、パターン情報であるかユーザの指であるか否かを判別する機能を有する。読み取り対象がQRコード等のパターン情報であるか、ユーザの指であるか否かは、読み取り対象のデータ特性に基づいて判別することができる。読み取り対象のデータ特性とは、例えば、読み取り対象のエッジ特性やダイナミックレンジや周波数特性などを例示できる。判別部110は、読み取り対象がパターン情報であるかユーザの指であるか否かの判別結果を読取部112に提供する機能を有する。
【0050】
読取部112は、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る機能を有する。また、読取部112は、判別部110により読み取り対象がQRコード等のパターン情報であると判別された場合に、当該パターン情報を読み取るようにしてもよい。読取部112は、読み取ったパターン情報を2値化処理して、2値化処理した情報を実行部114に提供する。
【0051】
ここで、図4を参照して、読取部112による静電式タッチパネルを用いたパターン情報の読み取りについて説明する。図4では、導電性を有する物質で形成されたパターン情報がQRコードである場合について説明する。例えば、図4に示したように、媒体300に導電性インクで形成されたQRコード301が記述されている。
【0052】
ユーザにより、静電式タッチパネルを備える情報処理装置100がQRコード301に接触または近接される。上記したように、判別部110は、読み取り対象のエッジ特性などにより、当該読み取り対象がQRコード等のパターン情報かユーザの指であるか否かを判別する。判別部110により読み取り対象がQRコード等のパターン情報であると判別された場合には、読取部112は媒体300に記述されたQRコード等のパターン情報を読み取る。
【0053】
図4の説明図310は、静電式タッチパネルをQRコード311が記述されている媒体に接触または近接した場合に検出される静電容量の変化情報を説明する説明図である。図4の説明図310に示したように、QRコード311に沿って形成された金属情報をもとに、領域312のような静電容量の変化を検出することができる。金属情報を有さない領域313は、静電容量が変化していない領域である。
【0054】
例えば、情報処理装置100の表示画面とは反対側の一面に静電式タッチパネルを設置し、検出されたQRコードを表示画面(LCD)上に静電容量の変化を表示するようにしてもよい。また、静電式タッチパネルにより検出されたQRコードを表示画面に表示せずに所定の処理が実行されるようにしてもよい。
【0055】
また、QRコード等のパターン情報は導電性を有する物質で形成されていればよく、当該パターン情報が目視できなくてもよいし、目視されるパターン情報は実際のパターン情報とは異なるものであってもよい。
【0056】
また、パターン情報は、QRコードのようなコード情報だけでなく、文字や数字そのものであってもよい。この場合、読取部112により、文字や数字等のパターン情報が読み取られる。さらに、文字や数字にコード情報を埋め込み、電子透かしの技術を用いてもよい。この場合、読取部112により文字や数字等とともに、文字や数字等に埋め込まれたコード情報も読み取られる。
【0057】
また、パターン情報はQRコード等の2次元の情報であってもよいし、媒体に塗布する金属量の濃度を変化させて3次元の情報を読み取るようにしてもよい。このように、静電式タッチパネルを用いてパターン情報を読み取ることにより、周囲の明るさや媒体までの距離を気にせずとも、媒体に接触または近接することによりパターン情報を正確に読み取ることが可能となる。
【0058】
上記では、情報処理装置100に静電式タッチパネルが備えられている場合について説明したが、かかる例に限定されず、パターン情報を読み取り可能な入力装置であればよい。例えば、パターン情報を凹凸で表して、抵抗膜方式により読み取るようにしてもよいし、赤外遮光方式や電磁誘導方式などを用いてもよい。
【0059】
図3に戻り、実行部114は、読取部112により読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する機能を有する。上記したように、読取部112は、読み取ったパターン情報を2値化処理して実行部114に提供する。実行部114は、2値化処理された情報に基づいて所定の処理を実行する。例えば、読取部112から提供される情報がURLに関する情報であれば、実行部114は、情報処理装置100のアプリケーションを介してURLに指定されるWebサイトに接続する処理を実行する。
【0060】
上記したように、例えば、パターン情報が文字や数字であった場合に、URL等の情報が文字情報として読み取られ、実行部114は、当該情報を元にWebサイトへの接続処理等を実行する。また、パターン情報が文字や数字であり、当該文字等にコード情報が埋め込まれている場合には、実行部114は、埋め込まれたコード情報を元に所定の処理を実行するようにしてもよい。
【0061】
また、パターン情報にユーザの暗証番号等の入力を要求する情報を含ませるようにしてもよい。この場合、実行部114は、所定の処理を実行する際に、ユーザにより暗証番号等が押下された場合にのみ当該処理を実行するようにしてもよい。
【0062】
このように、導電性を有する物質で形成されたパターン情報そのものを検出して認識してもよいし、パターン情報に埋め込まれた情報を検出して認識するようにしてもよい。
【0063】
〔5〕情報処理装置の動作
以上、情報処理装置100の制御部の機能について説明した。次に、図5を参照して、情報処理装置100の情報処理方法について説明する。図5は、情報処理装置100の情報処理方法について説明するフローチャートである。以下では、情報処理装置100に静電式タッチパネルが備えられている場合について説明する。
【0064】
まず、情報処理装置100は、所定のアプリケーション起動時に、静電式タッチパネルの静電容量の変化を監視するスレッドを生成する。そして、判別部110は、静電式タッチパネルの個々の静電センサにおける静電容量を取得して任意の分解能に補間する(S102)。
【0065】
ステップS102において、判別部110は、アプリケーション起動時の静電容量と読み取り対象に接触または近接した場合の静電容量とを比較し、算出された差分を取得して任意の分解能に補間する。
【0066】
判別部110は、ステップS102で取得して補間した静電容量の変化量に基づいて、読み取り対象がパターン情報であるかユーザの指であるか否かを判別する。上記したように、読み取り対象がパターン情報であるかユーザの指であるか否かは、エッジ特性、ダイナミックレンジ、周波数特性などの読み取り対象の静電容量データの特性に基づいて判別される。
【0067】
そして、判別部110は、当該判別結果を読取部112に提供する。判別部110により読み取り対象がパターン情報であると判別された場合に、読取部112は算出された静電容量の変化値を任意の間隔で離散化し、マスク処理(2値化処理)を行う(S104)。読み取り対象がQRコードであった場合には、読取部112は、導電性を有する物質で形成されたQRコードを読み取る。
【0068】
ステップS104において離散化されマスク処理されたパターン情報は実行部114に提供される。そして、実行部114は、提供されたパターン情報に基づいて所定の処理を実行する。パターン情報がQRコードであった場合には、実行部114は、QRコードの解析手順に従って解析し、QRコードを取得する(S106)。
【0069】
上記したように、パターン情報が文字や数字等であった場合には、実行部114は、読取部112により読み取られた文字や数字等の内容を元に所定の処理を実行する。さらに、文字等にコード情報が埋め込まれている場合には、実行部114は、埋め込まれているコード情報を元に所定の処理を実行する。
【0070】
そして、ステップS106においてQRコードの取得に成功したか否かを判別する(S108)。ステップS108において、QRコードの取得に成功した場合には、実行部114は、QRコードに基づく操作指示およびURL等の情報に基づき処理(インタラクション)を実行する(S110)。
【0071】
例えば、QRコードにURLの情報が格納されている場合には、実行部114は、当該URLに指定されるウェブサイトに接続する。また、例えばQRコードに個人の名前や住所等の個人データが格納されている場合には、実行部114は、当該個人データを情報処理装置100に備わるアドレス帳に登録する。また、QRコードにネットショッピング等の決済情報が格納されている場合には、実行部114は、電子マネー等を利用して決済処理を実行する。
【0072】
本実施形態にかかる情報処理装置100によれば、導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取って、読み取られたパターン情報に基づいて所定の処理を実行することができる。また、読み取り対象がパターン情報であるか指であるか否かを判別し、パターン情報であると判別した場合にパターン情報を読み取ることができる。
【0073】
これにより、情報処理装置100に接触または近接するパターン情報の検出および認識をすることが可能となる。例えば、パターン情報がQRコードであった場合には、情報処理装置100をQRコードに接触または近接させて、当該QRコードに基づいて所定の処理を実行できる。
【0074】
上記方法によれば、情報処理装置100に備えられているカメラでパターン情報を撮影して読み取る方法よりも電力消費が少ないため、常時パターン情報を読み取る処理を実行し続けることが可能となる。また、上記方法によれば、撮影時にカメラの電源を投入する等の明示的なインタラクションも不要となる。
【0075】
さらに、静電式タッチパネルにQRコード読み込み機能を付加することが可能となる。これにより、タッチパネルを使用するデバイスにおいては、既存のデバイスを再利用することができ、情報処理装置100のサイズや生産コストを節約できる。
【0076】
また、カメラにより撮影する場合には周囲の明るさを調整する必要があるが、本実施形態によれば、暗闇の状態でパターン情報を読み取ることが可能となる。さらに、パターン情報に接触して認識することも可能となるため、カメラを覗いてパターン情報が撮像範囲に収まるように情報処理装置100の位置を調整する必要がなくなる。
【0077】
また、紙媒体に印刷されたQRコードは容易に複製できるが、導電性を有する物質で形成されたパターン情報は容易に複製することができず、セキュリティを高めることができる。例えば、導電性を有する物質で形成されたQRコードの上に任意のパネルを張って、より複製を困難にして情報の書き換え等を防止することが可能となる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態にかかる静電式タッチパネルによる操作体の検出方法について説明する説明図である。
【図3】同実施形態にかかる情報処理装置の制御部の機能構成を示したブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる静電式タッチパネルを用いたパターン情報の読み取りについて説明する説明図である。
【図5】同実施形態にかかる情報処理装置の情報処理方法について説明するフローチャートである。
【図6】従来のカメラ付き携帯電話によるQRコードの読み取りについて説明する説明図である。
【符号の説明】
【0080】
100 情報処理装置
101 RAM
102 不揮発性メモリ
103 表示装置
104 CPU
105 入力装置
110 判別部
112 読取部
114 実行部
10 表示画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記パターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記読取部は静電容量式によるタッチパネルを用いて前記パターン情報を読み取り、
前記読取部は、前記パターン情報が静電容量式によるタッチパネルに接触または近接した場合に、前記パターン情報を読み取る、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザ操作に応じて読み取られる読み取り対象が、前記パターン情報か指であるか否かを判別する判別部を備え、
前記読取部は、前記判別部により前記読み取り対象が前記パターン情報であると判別された場合に、前記パターン情報を読み取る、請求項1または2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記読取部は、前記読み取ったパターン情報を2値化処理する、請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記読み取り対象の静電容量データの特性に基づいて、前記読み取り対象が前記パターン情報であるか前記指であるか否かを判別する、請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記読み取り対象の少なくともエッジ特性、ダイナミックレンジ、周波数特性のいずれかの静電容量データの特性に基づいて、前記読み取り対象が前記パターン情報であるか否かを判別する、請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取るステップと、
前記読み取られた前記パターン情報に基づいて所定の処理を実行するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
導電性を有する物質で形成されたパターン情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記パターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
情報処理装置と、前記情報処理装置に読み取り可能な導電性を有する物質で形成されたパターン情報を含む媒体とを有し、
前記情報処理装置は、
前記媒体に含まれる前記パターン情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記パターン情報に基づいて所定の処理を実行する実行部と、
を備える、情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−140322(P2010−140322A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316977(P2008−316977)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】