説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】例えば医療分野の診断等において、複数の部分画像が合成されて得られる被写体画像を有効に利用することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る情報処理装置は、取得部と、算出部と、生成部と、合成部とを具備する。前記取得部は、被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得する。前記算出部は、前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出する。前記生成部は、前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成する。前記合成部は、前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、複数の画像を合成して1つの画像を生成することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を部分的に撮影することで得た複数の部分画像を1つに合成して被写体画像を生成するスティッチング技術が知られている。スティッチング技術は、例えばパノラマ画像の生成や、顕微鏡を用いた拡大画像の生成等に用いられる。例えば特許文献1には、複数の画像を適切に合成することを目的としたパノラマ画像合成システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−91410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の技術等を用いても、スティッチング技術により合成される複数の画像の位置に誤差が生じてしまう可能性がある。すなわち複数の画像が適正な位置で合成されず、互いにずれた状態で合成されてしまう可能性がある。そうすると、例えば画像間の境界において被写体が適正に表示されなくなってしまう。
【0005】
例えば医療または病理等の分野において、光学顕微鏡により得られた生体の細胞や組織等の拡大画像が、スティッチング技術により生成されることがある。この際、画像間の境界に細胞等が位置した場合に、上記した誤差により当該細胞等が適正に表示されない可能性がある。その結果、拡大画像を用いた医師等による診断において誤診が発生してしまう可能性がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、例えば医療分野の診断等において、複数の部分画像が合成されて得られる被写体画像を有効に利用することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る情報処理装置は、取得部と、算出部と、生成部と、合成部とを具備する。
前記取得部は、被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得する。
前記算出部は、前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出する。
前記生成部は、前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成する。
前記合成部は、前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する。
【0008】
この情報処理装置では、複数の部分画像のそれぞれについて使用される領域が判定され、それらが複数の画像領域として算出される。当該複数の画像領域が互いに連結されることで被写体画像が生成される。そして生成された被写体画像における複数の画像領域の連結位置を表す画像が当該被写体画像に合成される。これにより被写体が適正に表示されない可能性のある、複数の画像領域の連結位置を把握することが可能となる。この結果、例えば医療分野の診断等において、複数の部分画像が合成されて得られる被写体画像を有効に利用することが可能となる。
【0009】
前記情報処理装置は、前記連結位置での前記被写体の再現性を評価する評価部をさらに具備してもよい。この場合、前記合成部は、前記評価された再現性を反映した画像を前記被写体画像に合成してもよい。
この情報処理装置では、連結位置での被写体の再現性が評価され、評価された再現性を反映した画像が被写体画像に合成される。これにより上記再現性をもとに被写体画像を適切に観察することが可能となる。
【0010】
前記評価部は、前記複数の画像領域のうちの互いに連結する2つの画像領域ごとに、当該2つの画像領域の連結位置での前記被写体の再現性を評価してもよい。
このように、互いに連結する2つの画像領域ごとに被写体の再現性が評価されてもよい。これにより被写体画像を適切に観察することが可能となる。
【0011】
前記複数の部分画像は、前記複数の撮影領域の互いに重なる部分に対応した領域である接続領域をそれぞれ有してもよい。この場合、前記算出部は、前記接続領域を基準として前記複数の部分画像を互いに接続して前記被写体画像を生成するために使用される領域を判定してもよい。また、前記評価部は、前記複数の部分画像が接続されるときの接続精度をもとに前記連結位置での前記被写体の再現性を評価してもよい。
この情報処理装置では、接続領域を基準として複数の部分画像が接続され、その接続結果をもとに被写体画像の生成に使用される領域が判定される。そして接続される複数の部分画像の接続精度をもとに連結位置での前記被写体の再現性が評価される。すなわち本形態では、上記接続処理の結果を被写体の再現性評価に用いることが可能である。
【0012】
前記情報処理装置は、接続領域画像生成部と、入力部と、出力部とをさらに具備してもよい。
前記接続領域画像生成部は、前記部分画像から前記接続領域の画像を生成する。
前記入力部は、前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける。
前記出力部は、前記受け付けた確認指示をもとに、前記生成された接続領域画像を出力する。
この情報処理装置では、部分画像の一部に相当する接続領域画像が生成される。そして連結位置に表示された被写体の確認指示をもとに、当該接続領域画像が出力される。接続領域画像には撮影された被写体がそのまま表示されているので当該被写体を確認することができる。
【0013】
前記情報処理装置は、記憶部と、入力部と、出力部とをさらに具備してもよい。
前記記憶部は、前記複数の部分画像を記憶する。
前記入力部は、前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける。
前記出力部は、前記受け付けた確認指示をもとに、前記記憶された複数の部分画像のうち少なくとも1つを出力する。
このように複数の部分画像が記憶されており、連結位置に表示された被写体の確認指示をもとに部分画像が出力されてもよい。
【0014】
本技術の一形態に係る情報処理方法は、情報処理装置における情報処理方法である。
当該情報処理方法においては、被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像が取得される。
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域が判定され、それらが複数の画像領域として算出される。
前記算出された複数の画像領域が互いに連結されて前記被写体画像が生成される。
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像が前記被写体画像に合成される。
【0015】
本技術の一形態に係るプログラムは、情報処理装置に、取得ステップと、算出ステップと、生成ステップと、合成ステップとを実行させる。
前記取得ステップでは、被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像が取得される。
前記算出ステップでは、前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域が判定され、それらが複数の画像領域として算出される。
前記生成ステップでは、前記算出された複数の画像領域が互いに連結されて前記被写体画像が生成される。
前記合成ステップでは、前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像が前記被写体画像に合成される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本技術によれば、例えば医療分野の診断等において、複数の部分画像が合成されて得られる被写体画像を有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本技術の第1の実施形態に係る画像処理システムを示す模式的な図である。
【図2】図1に示すデジタル顕微鏡と情報処理装置との構成例を示す模式的な図である。
【図3】図1に示す情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係る情報処理装置の動作の概要を示す模式的な図である。
【図5】本実施形態に係る情報処理装置の動作の概要を示す模式的な図である。
【図6】本実施形態に係るスティッチング処理を説明するための模式的な図である。
【図7】本実施形態に係るスティッチング処理を説明するための模式的な図である。
【図8】本実施形態に係るスティッチング処理を説明するための模式的な図である。
【図9】本実施形態において生成される合成画像の例を示す模式的な図である。
【図10】本実施形態において生成される合成画像の例を示す模式的な図である。
【図11】スティッチング処理により発生する可能性がある問題点について説明するための図である。
【図12】本実施形態に係る複数の画像領域の連結位置での被写体の再現性を反映した合成画像の例を示す模式的な図である。
【図13】本技術の第2の実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための模式的な図である。
【図14】本技術の第2の実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための模式的な図である。
【図15】図14に示す接続領域画像の他の例を示す模式的な図である。
【図16】被写体画像、合成画像、及び接続領域画像の表示の切り替えについて説明するための模式的な図である。
【図17】本技術の第3の実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための模式的な図である。
【図18】本技術の第3の実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための模式的な図である。
【図19】図18に示す部分画像の他の例を示す模式的な図である。
【図20】連結位置を表す画像の変形例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
[画像処理システムの構成]
図1は、本技術の第1の実施形態に係る画像処理システムを示す模式的な図である。同図に示すように、画像処理システム400は、デジタル顕微鏡100と、情報処理装置200と、ビューア300とを有する。
【0020】
図2は、デジタル顕微鏡100と情報処理装置200との構成例を示す模式的な図である。
【0021】
デジタル顕微鏡100は、ステージ101と、光学系102と、照明灯103と、光源104と、光学センサ105と、光学センサ制御部106と、発光制御部107と、ステージ制御部108とを有する。
【0022】
ステージ101は、撮影対象である被写体1が載置される載置面109を有する。被写体1は、例えば組織切片、細胞、染色体等の生体高分子等の試料(サンプル)である。しかしこれに限定されるわけではない。
【0023】
ステージ101は、互いに直交する3軸方向に移動自在である。すなわちステージ101は、載置面109の平面方向において互いに直交するX軸方向及びY軸方向へ移動自在である。またステージ101は、光学系102の対物レンズ102Aの光軸に沿ったZ軸方向へ移動自在である。
【0024】
被写体1は、スライドガラスSGとカバーガラスCGとに挟まれて所定の固定手法により固定され、必要に応じて染色を施される。この染色方法としては、例えばHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色、ギムザ染色またはパパニコロウ染色等の一般的な染色法のほか、FISH(Fluorescence In Situ Hybridization)や酵素抗体法等の蛍光染色も含まれる。当該蛍光染色は、例えば被写体1中の特定のターゲットをマーキングするために行われる。
【0025】
光学系102は、ステージ101の上方に設けられ、対物レンズ102A、結像レンズ102B、ダイクロイックミラー102C、エミッションフィルタ102D及び励起フィルタ102Eを有する。光源104は、例えばLED(Light Emitting Diode)等からなる。
【0026】
対物レンズ102A及び結像レンズ102Bは、上記照明灯103により得られた被写体1の像を所定の倍率に拡大し、当該拡大像を光学センサ105の撮像面に結像させる。
【0027】
励起フィルタ102Eは、光源104から出射された光のうち、蛍光色素を励起する励起波長の光のみを透過させることで励起光を生成する。ダイクロイックミラー102Cは、当該励起フィルタで透過されて入射する励起光を反射させて対物レンズ102Aへ導く。対物レンズ102Aは、当該励起光を被写体1へ集光する。
【0028】
スライドガラスSGに固定された被写体1に蛍光染色が施されている場合、上記励起光により蛍光色素が発光する。この発光により得られた光(発色光)は、対物レンズ102Aを介してダイクロイックミラー102Cを透過し、エミッションフィルタ102Dを介して結像レンズ102Bへ到達する。
【0029】
エミッションフィルタ102Dは、上記対物レンズ102Aによって拡大された発色光以外の光(外光)を吸収する。当該外光が喪失された発色光の像は、上述のとおり、結像レンズ102Bにより拡大され、光学センサ105上に結像される。
【0030】
照明灯103は、ステージ101の下方に設けられ、ステージ101に設けられた開口(図示せず)を介して、上記載置面109に載置された被写体1へ照明光を照射する。
【0031】
光学センサ105としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられる。当該光学センサ105は、デジタル顕微鏡100と一体的に設けられていてもよいし、デジタル顕微鏡100に接続可能な別個の撮像装置(デジタルカメラ等)内に設けられていてもよい。
【0032】
光学センサ制御部106は、情報処理装置200からの制御指令に基づいて光学センサ105の制御を行う。また、光学センサ制御部106は、光学センサ105の出力を取り込み、情報処理装置200に転送する。
【0033】
発光制御部107は、情報処理装置200からの制御指令に基づいて照明灯103や光源104の露光時間や発光強度など、露光に関する制御を行う。
【0034】
ステージ制御部108は、情報処理装置200からの制御指令に基づいてステージ101のXYZ軸方向への移動を制御する。
【0035】
情報処理装置200は、例えば、典型的なコンピュータのハードウェア要素を有する装置であり、例えば、PC(Personal computer)であってもよい。情報処理装置200は、デジタル顕微鏡100を制御するとともに、デジタル顕微鏡100によって撮影された被写体1の像を所定のフォーマット形式のデジタル画像データとして保存することができる。
【0036】
情報処理装置200は、典型的なコンピュータのハードウェア要素を用いて実現される機能的な構成として、ハードウェア制御部201と、センサ信号現像部202と、スティッチング処理部203と、連結位置画像生成部204と、画像合成部205と、再現性評価部206と、画像出力部207とを有している。これらは情報処理装置200を動作させるプログラムによって実現される。あるいは専用のハードウェアが適宜用いられてもよい。
【0037】
センサ信号現像部202は、光学センサ制御部106を通じて光学センサ105より取り込んだセンサ信号からデジタル画像データを生成する。生成されたデジタル画像データは、スティッチング処理部203に供給される。
【0038】
本実施形態では、後述するように、被写体1に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで、複数の部分画像が生成される。具体的には、複数の部分画像についてのセンサ信号が、センサ信号現像部202に出力される。そしてセンサ信号現像部202により、複数の部分画像の画像データが生成される。生成された部分画像の画像データはスティッチング処理部203に供給される。以下、画像という記載が当該画像の画像データを含むものとする。本実施形態では、センサ信号現像部202が取得部として機能する。
【0039】
スティッチング処理部203は、使用画像領域判定部208と、画像領域連結部209とを有する。使用画像領域判定部208により、取得された複数の部分画像のそれぞれについて、被写体1の画像を生成するために使用される領域が判定される。そしてそれらが複数の画像領域として算出される。本実施形態では、使用画像領域判定部208が算出部として機能する。
【0040】
画像領域連結部209は、使用画像領域判定部208により算出された複数の画像領域を互いに連結して被写体画像を生成する。本実施形態では、画像領域連結部209が生成部として機能する。
【0041】
連結位置画像生成部204は、画像領域連結部209から、複数の画像領域の連結位置の情報を取得する。そして当該連結位置情報をもとに、複数の画像領域の連結位置を表す画像である連結位置画像を生成する。
【0042】
画像合成部205は、連結位置画像生成部204により生成された連結位置画像を、画像領域連結部209により生成された被写体画像に合成する。本実施形態では、画像合成部205が合成部として機能する。
【0043】
画像出力部207は、センサ信号現像部202より供給されたデジタル画像データを、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTiff(Tagged Image File Format)など、コンピュータ上での処理が容易なファイルフォーマットに変換し、ファイルとして、記憶部217等に保存する。
【0044】
ハードウェア制御部201は、デジタル顕微鏡100における光学センサ制御部106、発光制御部107、ステージ制御部108を制御する。
【0045】
ビューア300は、情報処理装置200により生成された各種の画像を閲覧するために用いられる。ビューア300は、情報処理装置200から画像ファイルを受信する。そして画像ファイルからデジタル画像データを復元して、図示しないディスプレイに画像を表示する。
【0046】
ビューア300は例えばPC等であり、LAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して情報処理装置200と接続される。しかしながらビューア300として用いられるデバイスや、情報処理装置200との接続方法等は限定されず、種々のものが用いられてよい。
【0047】
図3は、情報処理装置200のハードウェア構成を示したブロック図である。
【0048】
同図に示すように、情報処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)211、RAM(Random Access Memory)212、操作入力インタフェース部213、表示インタフェース部214、顕微鏡インタフェース部215、通信部216、記憶部217、これらを接続するバス218とを備える。
【0049】
ROM211は、情報処理装置200を動作させるためのプログラムやデータが固定的に記憶される。RAM212は、CPU210のメインメモリとして用いられる。記憶部217は例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ、その他の固体メモリ等の読み書きが可能な記憶装置である。また記憶部217は、撮影された画像データの保存領域として用いられる他、RAM212にロードされてCPU210により実行されるプログラムが格納される。
【0050】
プログラムは、例えば記録媒体を介して情報処理装置200にインストールされる。あるいは、グローバルネットワーク等を介してプログラムがインストールされてもよい。
【0051】
操作入力インタフェース部213は、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザの操作入力装置230との接続のためのインタフェースである。表示インタフェース部214は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの表示装置240との接続のためのインタフェースである。顕微鏡インタフェース部215はデジタル顕微鏡100との接続のためのインタフェースである。
【0052】
通信部216は、LAN、WAN等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルータ、その他の通信機器である。通信部216は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部216が、情報処理装置200と別体で使用されてもよい。
【0053】
[情報処理装置の動作]
図4及び図5は、本実施形態に係る情報処理装置200の動作の概要を示す模式的な図である。
【0054】
図4に示すように、デジタル顕微鏡100からのセンサ信号をもとに被写体1の複数の部分画像50が取得される。スティッチング処理部203により複数の部分画像50が合成されて被写体画像51が生成される。
【0055】
また連結位置画像生成部204により、連結位置情報をもとに連結位置画像52が生成される。そして画像合成部205により、連結位置画像52が被写体画像51に合成されて、合成画像53が生成される。被写体画像51及び合成画像53はビューア300に出力される。
【0056】
例えば図5に示すように、被写体画像51及び合成画像53は、ユーザの表示切り替え操作によりディスプレイに切り替え表示される。あるいは、両方の画像がディスプレイに同時に表示されてもよい。連結位置画像52が合成された合成画像53が表示されることで、例えば医療分野の診断等において、被写体画像51を有効に利用することが可能となる。
【0057】
以下、情報処理装置200の動作について詳しく説明する。図6〜図8は、本実施形態に係るスティッチング処理を説明するための模式的な図である。
【0058】
図6(A)は、ステージ101の載置面109の被写体1に対する撮影領域54の移動を示す図である。ステージ101の載置面109の撮影対象となる全体領域55は、通常、矩形である。この全体領域55よりも小さい面積である撮影領域54が、1回の撮影範囲である。全体領域55に対して撮影領域54をX軸方向およびY軸方向に選択的に移動させ、その都度、撮影領域54の撮影を繰り返すことによって全体領域55が撮影される。
【0059】
ステージ101と光学系102は相対的にXYZ軸方向に移動可能であればよい。本実施形態では、光学系102が固定され、ステージ101がXYZ軸方向に移動可能な構成としたが、逆にステージ101が固定され、光学系102がXYZ軸方向に選択的に移動可能なように構成してもかまわない。
【0060】
撮影領域54のサイズと、X軸方向およびY軸方向それぞれの移動量は、X軸とY軸のそれぞれの方向で互いに隣り合う撮影領域54の間で所定の重なり56ができるように設定される。例えば、撮影領域54のX軸方向の1回の移動量は、撮影領域54のX軸方向のサイズの60〜95%程度である。また、X軸方向に隣り合う撮影領域54間の重なり56のX軸方向のサイズは、撮影領域54のX軸方向のサイズの5〜20%程度である。これらの割合は撮影領域54のY軸方向についても同様でよい。
【0061】
撮影領域54の数、サイズ、撮影順序、重なり56のサイズ等は限定されず、適宜設定されてよい。
【0062】
このように被写体1に対して複数の撮影領域54が互いに重なるように撮影されることで、図6(B)に示すように、複数の部分画像50が生成される。複数の部分画像50は、それぞれ接続領域57を有している。この接続領域57は、撮影された撮影領域54の互いに重なる部分である重なり56に対応した領域である。
【0063】
図7(A)に示すように、情報処理装置200の使用画像領域判定部208により、複数の部分画像50が接続される。ここでいう複数の部分画像50の接続とは、複数の部分画像50を適切な位置関係で並べるこという。例えば複数の部分画像50が適切に接続される位置が座標値等により算出される。
【0064】
例えばステージ101の移動誤差や撮影精度の誤差等により、複数の部分画像50の相対的な位置関係において誤差が生じる場合がある。すなわち、複数の部分画像50の相対的な位置関係が、図6(A)に示す複数の撮影領域54の相対的な位置関係と比べてずれてしまう場合がある。従って、本実施形態では、部分画像50がそれぞれ有する接続領域57を基準として、複数の部分画像50が互いに接続される。
【0065】
本実施形態では、部分画像50の接続領域57同士でマッチング処理が行われ、最適な接続位置が判定される。マッチング処理は、例えば接続領域57の画素ごとに輝度値が算出され、その輝度値に基づいて相関係数が算出されることで行われる。または、接続領域57の画素ごとに輝度値の差の自乗が算出されることでマッチング処理が行われてもよい。あるいは、接続領域57の周波数成分が利用されてもよい。その他、画像のパターンマッチングに利用される各種アルゴリズムが利用可能である。
【0066】
複数の部分画像50が最適な接続位置で互いに接続されると、図7(B)に示すように、被写体画像51を生成するために使用される領域が判定され、それらが複数の画像領域58として算出される。図8(A)に示すように、本実施形態では、複数の部分画像50のそれぞれについて画像領域58が算出される。
【0067】
画像領域58は、被写体画像51を構成する部分として使用される領域である。すなわち画像領域58内の画素(画像情報)が被写体画像51を構成する画素(画素情報)として使用される。
【0068】
本実施形態では、図6(A)において複数の撮影領域54が撮影される前に、複数の画像領域58に対応する領域(図示なし)が予め定められる。この領域を基準として複数の撮影領域54の位置やサイズが設定される。そして図7(A)において複数の部分画像50が適切な位置にて接続されたのちに、先に定められた領域を基準として画像領域58が算出される。これにより画像領域58の判定処理を少ない負荷で実行することができる。
【0069】
しかしながら、複数の部分画像50が接続された後に、当該接続結果をもとに複数の画像領域58が適宜算出されてもよい。例えば互いに異なる形状やサイズを有する複数の画像領域58が算出されてもよい。
【0070】
図8(B)に示すように、画像領域連結部209により、算出された複数の画像領域58が互いに連結されることで被写体画像51が生成される。図8(B)では、説明の便宜上、複数の画像領域58の境界である連結位置Cが2点鎖線で示されている。しかしながら、実際に表示される被写体画像51において、この連結位置Cは表示されない。
【0071】
この2点鎖線で区切られた左上の領域58aでは、図8(A)の部分画像50aの画素が用いられ、右上の領域58bでは、部分画像50bの画素が用いられる。また右下の領域58cでは、部分画像50cの画素が用いられ、左下の領域58dでは、部分画像50dの画素が用いられる。すなわち2点差線で示された連結位置Cを挟んで、異なる部分画像50の画素が並ぶことになる。
【0072】
連結位置画像生成部204により、複数の画像領域58の連結位置Cの情報をもとに、連結位置画像52が生成される。連結位置Cの情報しては、例えば各画像領域58において連結位置Cに沿って並ぶ複数の連結画素の座標情報が用いられる。例えば図8(B)に示す被写体画像51の左上の点Oを基準とした座標系が定められる。当該座標系において、連結画素の座標値が定められる。
【0073】
連結位置Cの情報として、画像領域58のサイズ情報が用いられてもよい。また複数の連結画素の一部が代表として選択され、当該連結画素の座標情報が連結位置Cの情報として用いられてもよい。その他、連結位置Cを検出するための情報として、どのような情報が用いられてもよい。
【0074】
画像合成部205により、連結位置画像52と被写体画像51とが合成され、合成画像53が生成される。図9及び図10は、合成画像53の例を示す模式的な図である。なお、図9及び図10では、6つの画像領域58が連結されることで被写体画像51が生成されている。
【0075】
図9(A)では、各画像領域58の連結画素において、例えば赤や黄や蛍光色等の色が表示される。すなわち、この合成画像53では、色が付された線70が連結位置Cに沿って表示される。これによりユーザは、複数の画像領域58の連結位置Cを把握することが可能である。
【0076】
図9(B)では、連結位置画像52として、連結位置Cを含む領域である連結領域71が表示される。連結領域71の全体には、色等が付される。あるいは、連結領域71が半透明に表示されてもよい。本実施形態では、連結領域71は、連結位置Cを中心とした領域である。しかしながら、連結領域71のサイズや形状等は適宜設定可能である。このように連結位置Cを含む連結領域71が、連結位置画像52として表示されてもよい。
【0077】
連結位置Cを表す連結位置画像52として、連結位置Cを詳細に把握できる画像(例えば図9(A)の線70)が表示されてもよい。あるいは、連結位置Cが含まれている範囲を把握できる画像(例えば図9(B)の連結領域71)が表示されてもよい。
【0078】
図10(A)では、連結位置Cから例えば5画素目に位置する画素において色等が表示される。すなわちこの合成画像53では、連結位置画像52として、連結位置Cを挟む2つの線73が表示される(連結位置Cを示す2点鎖線は表示されない)。これによりユーザは、当該2つの線73の中心が連結位置Cであることを把握することができる。また連結位置Cにおいて被写体1を十分に観察することができる。
【0079】
図10(B)では、連結位置画像52として、連結位置Cを示す矢印74が表示される(連結位置Cを示す2点鎖線は表示されない)。このように連結位置Cを示すために。矢印やアイコン等のGUI(Graphical User Interface)が適宜表示されてよい。そのようなGUIの、数、形状、色等は限定されない。またユーザが画面をスクロールするのに合わせて、矢印74等が適宜移動してもよい。これにより連結位置Cにおいて被写体1を十分に観察することができる。
【0080】
図9及び図10に示す連結位置画像52が適宜組み合わされてもよい。その他、連結位置画像52として種々の画像が利用可能である。
【0081】
このように、本実施形態に係る情報処理装置200では、複数の部分画像50のそれぞれについて使用される領域が判定され、それらが複数の画像領域58として算出される。当該複数の画像領域58が互いに連結されることで被写体画像51が生成される。そして生成された被写体画像51における複数の画像領域58の連結位置Cを表す連結位置画像52が当該被写体画像51に合成される。これにより図9及び図10で例示したような合成画像53が生成される。従って、被写体1が適正に表示されない可能性のある、複数の画像領域58の連結位置Cを把握することが可能となる。この結果、例えば医療分野の診断等において、複数の部分画像50が合成されて得られる被写体画像51を有効に利用することが可能となる。
【0082】
ここで図11を用いて、スティッチング処理により発生する可能性がある問題点について説明する。例えば図11(A)に示すように、接続される部分画像50A及び50Bに、細胞の蛍光画像80と、核の蛍光画像81とが表示されているとする。図11(B)に示すように、接続領域57A及び57Bにおいてマッチング処理が実行される。そして部分画像50A及び50Bのそれぞれにおいて画像領域58A及び58Bが算出される。図11(B)の2点鎖線の左側が部分画像50Aの画像領域58Aとなり、2点鎖線の右側が部分画像50Bの画像領域58Bとなる。
【0083】
この際、マッチング処理の精度が低く、画像領域58A及び58Bが適切に算出されない場合が起こりうる。そうすると画像領域58A及び58Bを連結した結果、図11(C)のような、核の蛍光画像81が一部消失した被写体画像51が生成されてしまう可能性ある。また1つしかない核が2つ表示されてしまうといったことも起こりうる。そうすると例えば医療分野の診断において誤診が生じてしまう可能性がある。また例えば細胞の培養実験における観察等において問題が生じてしまうといったことも起こりうる。
【0084】
しかしながら本実施形態に係る情報処理装置200では、図11(D)に示すように、画像領域58A及び58Bの連結位置Cを表す連結位置画像52が被写体画像51に合成される。そして合成画像53が生成される。これにより医師等は、画像領域58A及び58Bの連結位置Cを把握することが可能となる。
【0085】
この結果、医師等は蛍光画像80及び81を慎重に観察して診断することが可能となる。すなわち連結位置Cに表示されている蛍光画像80及び81の形状等は、連結処理の影響を受けているか否か等を十分に考察しながら診断を行うことが可能となる。例えば蛍光画像80及び81の形状等が普通ではない場合において、それが細胞等の異常であるのか、連結処理による異常であるのかを十分に考察することができる。これにより、連結位置Cにて適正に表示されない被写体に起因した誤診等を防止することが可能となる。すなわちスティッチング処理により生成された被写体画像51を有効に利用することが可能となる。
【0086】
図12は、複数の画像領域58の連結位置Cでの被写体1の再現性を反映した画像59が、被写体画像51に合成された例を示す模式的な図である。本実施形態では、ユーザの表示切り替え操作により、このような合成画像60も表示可能である。
【0087】
図2に示す再現性評価部206により、連結位置Cでの被写体1の再現性が反映される。本実施形態では、複数の画像領域58のうち互いに連結する2つの画像領域58ごとに、当該2つの画像領域58の連結位置C1〜C12での被写体1の再現性が評価される。図12では、9つの画像領域58が連結されており、互いに連結する2つの画像領域58ごとの連結位置C1〜C12は12箇所ある。この12箇所の連結位置C1〜C12のそれぞれにおいて、被写体1の再現性が評価される。
【0088】
本実施形態では、図7(A)にて説明した複数の部分画像50が接続されるときの接続精度をもとに、連結位置C1〜C12での被写体の再現性が評価される。すなわち複数の部分画像50がそれぞれ有する接続領域57のマッチング処理の結果が、再現性の評価に用いられる。
【0089】
マッチング処理での接続領域57の接続精度が高い場合には、部分画像50において判定される画像領域58の判定精度、及び当該画像領域58の連結精度は高くなると考えられる。従って接続領域57の接続精度をもとに、再現性の評価を行うことが可能となる。
【0090】
図12(A)では、再現性の評価を反映した画像59として、それぞれの連結位置C1〜C12にて数値が表示されている。この数値は、マッチング処理された接続領域57の相関係数の値を示している。
【0091】
なお相関係数をもとに新たな数値が算出され、それが再現性を表すパラメータとして表示されてもよい。また輝度値の差の自乗や標準偏差等の、マッチング処理に関する他の数値が適宜用いられてもよい。
【0092】
図12(B)では、連結位置Cを表す線70が色を区別して表示されている。図12(B)に示すように、2点鎖線は赤を表しており、1点鎖線は黄を表している。また破線は青を表している。
【0093】
このように被写体1の再現性の評価を反映して、連結位置Cを表す線70が適宜色分けされてもよい。この色明けされた線70は、連結位置画像としても表示され、また再現性の評価を反映した画像59としても表示される。例えば図9(B)に示す連結領域71や、図10(B)に示す矢印74等が、適宜色を分けて表示されてもよい。
【0094】
このように、本実施形態に係る情報処理装置200では、連結位置C(C1〜C12)での被写体1の再現性が評価され、評価された再現性を反映した画像59又は70が被写体画像51に合成される。これにより上記再現性をもとに被写体画像51を適切に観察することが可能となる。また本実施形態では、複数の部分画像50の接続処理の結果を再現性評価に用いることが可能である。これにより再現性評価処理を少ない負荷で実行することが可能である。
【0095】
なお本実施形態では、互いに連結する2つの画像領域58ごとに被写体の再現性が評価された。しかしながら、連結位置C全体における被写体の再現性が評価されてもよい。すなわち被写体画像51ごとに連結精度が評価されてもよい。これにより評価の処理にかかる負荷を少なくすることができる。
【0096】
連結位置Cにおける被写体1の再現性を評価するために、上記で説明したマッチング処理の結果を利用する方法以外の方法が用いられてもよい。例えば被写体1全体を一度に撮影したサムネイル画像等を用いて、表示されている被写体1の形状等を比較することで、連結位置Cでの再現性が表現されてもよい。あるいは、連結位置Cを挟んで並ぶ画素の輝度値の変化等を検出し、当該輝度値の変化に基づいて再現性が評価されてもよい。
【0097】
<第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態の情報処理装置について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した情報処理装置200における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0098】
図13及び図14は、本実施形態に係る情報処理装置500の動作を説明するための模式的な図である。
【0099】
本実施形態に係る情報処理装置500は、部分画像50から接続領域の画像を生成する接続領域画像生成部501を有する。これは情報処理装置500を動作させるプログラムによって実現されてもよいし、専用のハードウェアが用いられてもよい。
【0100】
接続領域画像61は、図6(B)に示す接続領域57の画像である。すなわち部分画像50から接続領域57を切り出した画像である。接続領域画像61は、接続領域57のサイズ情報等から生成可能である。
【0101】
図7(A)に示す複数の部分画像50の接続処理において、接続領域画像61が切り出されてマッチング処理が行われる場合がある。この場合、当該切り出された接続領域画像61がそのまま利用されてもよい。これにより接続領域画像61を生成する処理の負荷を軽減することができる。また処理時間の短縮化を図ることができる。なおこの場合、図2の使用画像領域判定部208が、接続領域画像生成部501として機能する。
【0102】
生成された接続領域画像61は、記憶部等に記憶される。そしてユーザからの連結位置Cに表示された被写体1を確認する指示が、操作入力インタフェース部(図3参照)を介して受け付けられる。
【0103】
例えば図14に示すように、被写体画像51に連結位置画像52が合成された合成画像53が表示されている。また画面上にはマウス等の操作入力装置で操作可能なポインタ76が表示されている。ユーザはマウス等を用いてポインタ76を連結位置C上に移動させる。そしてユーザはマウス等のクリックボタンを押す。このようにして連結位置Cに表示された被写体1を確認する指示が入力されてもよい。しかしながらこの操作に限定されず、種々の操作が用いられてよい。
【0104】
ユーザからの確認指示を受けた情報処理装置500は、当該連結位置Cを定めるためにマッチング処理された接続領域画像61の少なくとも一方を記憶部等から読み出す。そして読み出された接続領域画像61がビューア300に出力される。これにより図14に示すように、接続領域画像61がビューア300のディスプレイに表示される。
【0105】
接続領域画像61には撮影された被写体1がそのまま表示されているので、医師等は当該被写体1を確認することが可能となる。これにより連結位置Cに表示された被写体1を詳しく観察して診断を行うこと等が可能となる。
【0106】
なお、複数の部分画像50についての接続領域画像61の全てが生成されてもよいし、一部が生成されてもよい。図14に示す例では、4つの部分画像50からそれぞれ2つずつ接続領域画像61が生成可能である。すなわち8つの接続領域画像61が生成可能である。しかしながら4箇所の連結位置C1〜C4に対応して4つの接続領域画像61のみが生成されてもよい。例えば連結位置C1に対する接続領域画像61として、左上の部分画像50の接続領域画像61のみが生成される。そしてその右隣の部分画像50の接続領域画像61は生成されなくてもよい。これによりCPUやメモリ等の処理リソースに対する負荷を軽減することができる。
【0107】
また図15に示すように、接続領域画像61において、画像領域として切り取られる位置を示す画像75が表示されてもよい。これにより接続領域画像61のどの部分が使用されるのかを把握することが可能となる。この結果、被写体画像51を詳しく観察することが可能となる。
【0108】
また図16に示すように、被写体画像51が表示されている状態から接続領域画像61の表示に適宜切り替えられてもよい。これにより、被写体画像51、合成画像53、及び接続領域画像61の表示を切り替えながら、被写体1を観察することが可能となる。
【0109】
図14〜図16では、接続領域画像61が、被写体1の外縁を表す外縁画像77に重ねられて表示された。これにより、接続領域画像61の観察が容易となる。しかしながら接続領域画像61の表示方法は適宜設定可能である。
【0110】
本実施形態では、生成された接続領域画像61が記憶部等に記憶された。しかしながらユーザの確認指示を受け付けるたびに、そのつど接続領域画像61が生成されてもよい。
【0111】
なお上記した第1実施形態において、本実施形態で説明したように接続領域画像61が生成されて出力されてもよい。
【0112】
<第3の実施形態>
図17及び図18は、本技術の第3の実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための模式的な図である。
【0113】
情報処理装置600は、複数の部分画像50を記憶部に記憶している。そしてユーザから連結位置Cに表示された被写体1の確認指示が入力されると、当該連結位置Cにおいて連結されている部分画像50の少なくとも1つが記憶部から読み出される。当該読み出された部分画像50はビューア300に出力され、図18に示すようにディスプレイに表示される。
【0114】
このように複数の部分画像50が記憶されており、連結位置Cに表示された被写体1の確認指示をもとに当該部分画像50が読み出されて出力されてもよい。
【0115】
なお、複数の部分画像50の全てが記憶されてもよいし、一部の部分画像50のみが記憶されてもよい。例えば4箇所の連結位置C1〜C4を表示するために、左上の部分画像50、右上の部分画像50、及び左下の部分画像50の3つの部分画像50が記憶されてもよい。これによりCPUやメモリ等の処理リソースに対する負荷を軽減することができる。
【0116】
また図19に示すように、部分画像50内において、使用される画像領域58が表示されてもよい。これにより部分画像50のどの領域が使用されるのかを認識することが可能となる。また被写体画像51が表示されている状態から、図18に示す部分画像50の表示へ切り替えられてもよい。これにより、被写体画像51、合成画像53、及び部分画像50の表示を切り替えながら、被写体1を観察することが可能となる。また外縁画像77を用いて部分画像50が表示されてもよいし、他の方法で部分画像50が表示されてもよい。
【0117】
なお上記した第1実施形態において、本実施形態で説明したように部分画像50が生成されて出力されてもよい。また第2の実施形態において接続領域画像61の表示と部分画像50の表示とが適宜切り替えられてもよい。
【0118】
<変形例>
本技術に係る実施形態は、上記で説明した実施形態に限定されず種々変形される。
【0119】
例えば図20は、連結位置Cを表す画像の変形例を示す模式的な図である。本変形例では、マッチング処理される接続領域画像同士がアルファブレンド処理により半透明合成される。
【0120】
図20(A)では、図11に示す接続領域57Aの画像61Aと接続領域57Bの画像61Bとが半透明合成されている。そして半透明合成画像78が生成される。2つの接続領域画像61A及び61Bは、これらがマッチング処理された際の相互の位置関係において半透明合成される。従ってマッチング処理での接続領域57A及び57Bの接続精度を把握することができる。
【0121】
図20(B)に示すように、本実施形態では、半透明合成画像78が連結位置Cを表す画像52として被写体画像に合成される。このような合成画像53が表示されることで、連結位置Cと、連結位置Cでの被写体1の再現性とをともに把握することが可能となる。
【0122】
なお、接続領域57A及び57Bの重なりの精度を把握可能な画像として、他の画像が用いられてもよい。例えば被写体1(細胞及び核の蛍光画像)の縁部が画像認識処理等により算出される。そして当該縁部のみをを示した画像が重ね合され画像により接続領域57A及び57Bの重なり精度が表現されてもよい。
【0123】
また、例えば図14では、連結位置Cでの被写体1を確認するために接続領域画像61が表示された。この際に、図20(A)に示す半透明合成画像78がともに表示されてもよい。これにより連結位置Cにおける被写体1の再現性を把握しながら診断等を行うことが可能となる。
【0124】
上記では、連結位置を表す連結位置画像が生成され被写体画像に合成された。しかしながら連結位置画像が被写体画像と合成されない状態でディスプレイ等に表示されてもよい。例えば被写体画像が表示されているディスプレイの隅に、サイズが小さい連結位置画像が表示されてもよい。
【0125】
上記では、連結位置での被写体の再現性が評価され、その情報をもとに当該再現性を反映した連結位置画像が生成された。しかしがなら、連結位置画像とは別に、再現性を反映した画像が生成されてもよい。そして当該画像が被写体画像や連結位置画像等と合成されてもよい。
【0126】
上記では、図1及び図2に示すように、デジタル顕微鏡100と情報処理装置200とビューア300とをそれぞれ別個のデバイスとして説明した。しかしながら例えば情報処理装置200がビューアの機能を兼ね備えてもよい。この場合、例えば図3に示す表示装置240により被写体画像や合成画像等が表示されればよい。
【0127】
あるいは、デジタル顕微鏡100と情報処理装置200とが一体的に構成され、本技術の実施形態にとして用いられてもよい。すなわちデジタル顕微鏡100にCPU等の制御ブロックが備えられ、そこで被写体画像や合成画像等が生成されてもよい。さらに、デジタル顕微鏡100、情報処理装置200、及びビューア300が一体的に構成されてもよい。
【0128】
デジタル顕微鏡により得られた被写体の拡大画像に限られず、例えばデジタルカメラ等で撮影された他の種類のデジタル画像についても本技術は適用可能である。
【0129】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
【0130】
(1)被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得する取得部と、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出する算出部と、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成する生成部と、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する合成部と
を具備する情報処理装置。
(2)前記(1)に記載の情報処理装置であって、
前記連結位置での前記被写体の再現性を評価する評価部をさらに具備し、
前記合成部は、前記評価された再現性を反映した画像を前記被写体画像に合成する
情報処理装置。
(3)前記(2)に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記複数の画像領域のうちの互いに連結する2つの画像領域ごとに、当該2つの画像領域の連結位置での前記被写体の再現性を評価する
情報処理装置。
(4)前記(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記複数の部分画像は、前記複数の撮影領域の互いに重なる部分に対応した領域である接続領域をそれぞれ有し、
前記算出部は、前記接続領域を基準として前記複数の部分画像を互いに接続して前記被写体画像を生成するために使用される領域を判定し、
前記評価部は、前記複数の部分画像が接続されるときの接続精度をもとに前記連結位置での前記被写体の再現性を評価する
情報処理装置。
(5)前記(4)に記載の情報処理装置であって、
前記部分画像から前記接続領域の画像を生成する接続領域画像生成部と、
前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける入力部と、
前記受け付けた確認指示をもとに、前記生成された接続領域画像を出力する出力部と
をさらに具備する情報処理装置。
(6)前記(1)から(4)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記複数の部分画像を記憶する記憶部と、
前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける入力部と、
前記受け付けた確認指示をもとに、前記記憶された複数の部分画像のうち少なくとも1つを出力する出力部と
をさらに具備する情報処理装置。
(7)情報処理装置における情報処理方法であって、
被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得し、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出し、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成し、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する
情報処理方法。
(8)情報処理装置に、
被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得するステップと、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出するステップと、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成するステップと、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成するステップと
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0131】
C、C1〜C12…連結位置
1…被写体
50…部分画像
51…被写体画像
52…連結位置画像
53…合成画像
54…撮影領域
57…接続領域
58…画像領域
59…被写体の再現性を反映した画像
60…合成画像
61…接続領域画像
70…線
71…連結領域
73…線
74…矢印
78…半透明合成画像
80…細胞の蛍光画像
81…核の蛍光画像
100…デジタル顕微鏡
200、500、600…情報処理装置
203…スティッチング処理部
204…連結位置画像生成部
205…画像合成部
206…再現性評価部
207…画像出力部
208…使用画像領域判定部
209…画像領域連結部
210…CPU
216…通信部
217…記憶部
300…ビューア
400…画像処理システム
501…接続領域画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得する取得部と、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出する算出部と、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成する生成部と、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する合成部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記連結位置での前記被写体の再現性を評価する評価部をさらに具備し、
前記合成部は、前記評価された再現性を反映した画像を前記被写体画像に合成する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記複数の画像領域のうちの互いに連結する2つの画像領域ごとに、当該2つの画像領域の連結位置での前記被写体の再現性を評価する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記複数の部分画像は、前記複数の撮影領域の互いに重なる部分に対応した領域である接続領域をそれぞれ有し、
前記算出部は、前記接続領域を基準として前記複数の部分画像を互いに接続して前記被写体画像を生成するために使用される領域を判定し、
前記評価部は、前記複数の部分画像が接続されるときの接続精度をもとに前記連結位置での前記被写体の再現性を評価する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記部分画像から前記接続領域の画像を生成する接続領域画像生成部と、
前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける入力部と、
前記受け付けた確認指示をもとに、前記生成された接続領域画像を出力する出力部と
をさらに具備する情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記複数の部分画像を記憶する記憶部と、
前記連結位置に表示された前記被写体を確認する指示を受け付ける入力部と、
前記受け付けた確認指示をもとに、前記記憶された複数の部分画像のうち少なくとも1つを出力する出力部と
をさらに具備する情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置における情報処理方法であって、
被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得し、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出し、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成し、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成する
情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
被写体に対して複数の撮影領域が互いに重なるように撮影されることで得られた複数の部分画像を取得するステップと、
前記取得された複数の部分画像のそれぞれについて前記被写体の画像を生成するために使用される領域を判定し、それらを複数の画像領域として算出するステップと、
前記算出された複数の画像領域を互いに連結して前記被写体画像を生成するステップと、
前記生成された被写体画像における前記複数の画像領域の連結位置を表す画像を前記被写体画像に合成するステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図11】
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【図20】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−20475(P2013−20475A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153659(P2011−153659)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】