説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】ユーザが移動を開始したか否かを正確に判定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明のある観点によれば、ユーザの存在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの活動履歴を自動的に検出する技術が開示されている。この技術は、ユーザが所定時間以上実質的に同一地点にいた場合に、ユーザがその地点に滞在したと判定する。そして、この技術は、ユーザが滞在した時間帯と、ユーザが滞在した地点の平均照度及び平均騒音とに基づいて、当該地点がビジネスPOI(Point of interest)及びプライベートPOIのどちらであるかを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−43057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1は、ユーザが実質的に同一地点にいるか否かの判断基準となる閾値が明確でなかった。このため、特許文献1に記載された技術は、ユーザが実質的に同一地点にいるか否か、言い換えれば、ユーザが移動を開始したか否かを正確に判定することが出来なかった。例えば、閾値が小さすぎる場合、ユーザが僅かに姿勢を変化させただけでも、ユーザが移動を開始したと判定されてしまう可能性があった。一方、閾値が大きすぎる場合、ユーザが実際に移動を開始しても、ユーザが実質的に同一地点にいる(即ち、移動を開始していない)と判定される可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザが移動を開始したか否かを正確に判定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザの存在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする、情報処理装置が提供される。
【0007】
ここで、判定部は、ユーザの活動内容に応じた閾値を設定し、ユーザの存在位置が変化した距離と、閾値とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定してもよい。
【0008】
また、判定部は、ユーザの存在位置が変化した距離が閾値を超えた場合に、ユーザが移動を開始したと判定してもよい。
【0009】
また、判定部は、ユーザの活動内容と閾値とを関連付けて記録する閾値管理テーブルに基づいて、閾値を設定してもよい。
【0010】
また、ユーザの活動内容の各々には、ユーザの活動内容の要素を規定する判定項目が設定され、判定部は、判定項目に基づいて、ユーザの活動内容を判定してもよい。
【0011】
また、判定部は、判定項目が満たされる場合、ユーザの活動内容を、判定項目に対応する活動内容と判定してもよい。
【0012】
また、判定項目は、活動主体、活動時間、及び活動場所のうち、少なくとも1つの要素を規定してもよい。
【0013】
また、判定部は、判定項目を記録する判定項目管理テーブルに基づいて、ユーザの活動内容を判定してもよい。
【0014】
本発明の他の観点によれば、ユーザの存在位置を示す位置情報を取得するステップと、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法が提供される。
【0015】
本発明の他の観点によれば、コンピュータに、ユーザの存在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能と、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する判定機能と、を実現させることを特徴とする、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定するので、ユーザが移動を開始したか否かをより正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムを示す説明図である。
【図2】ユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ(情報処理装置)の構成を示すブロック図である。
【図4】判定項目管理テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】閾値管理テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】ユーザの活動内容によって閾値が可変する様子を示す説明図である。
【図7】情報処理システムによる処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】ユーザの移動に応じて閾値が設定される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.情報処理システムの全体構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の全体構成について説明する。情報処理システム1は、ユーザ端末10と、サーバ(情報処理装置)20と、ネットワーク30と、管理用端末40と、を備える。情報処理システム1は、例えば病院内等の医療現場に適用され、医療従事者(医者、看護師、医療技師、事務員等)であるユーザUの活動を管理する。以下の説明では、情報処理システム1が医療現場に適用される例を説明するが、情報処理システム1は、各ユーザUの活動を管理する必要があるシステムであれば、どのようなシステムにも適用可能である。例えば、情報処理システム1は、会社や工場内で従業員の活動を管理するシステム、教育機関内で教師や生徒等の活動を管理するシステム、外回りの人員を管理するシステム等に適用可能である。
【0019】
ユーザ端末10は携帯型の端末であり、各ユーザU(以下、単に「ユーザ」とも称する)によって所持される。ユーザ端末10は、ユーザの存在位置(以下、「ユーザ位置」とも称する)に関する位置情報等をサーバ20に送信する。また、ユーザ端末10は、現在時刻、ユーザを識別する個人ID(ユーザ識別情報)、及びユーザが所属する組織を識別する所属ID(所属識別情報)を含む参照情報をサーバ20に送信する。
【0020】
なお、図1では、ユーザ端末10はスマートフォンとなっているが、他の形式の端末、例えば携帯電話、スマートタブレット等であってもよい。また、ユーザ端末10は据え置き型の端末であってもよい。この場合、医療現場の各拠点にユーザ端末10が設置され、ユーザUは、自己の近傍に存在するユーザ端末10を用いて、位置情報及び参照情報をサーバ20に報知する。
【0021】
サーバ20は、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する。概略的には、サーバ20は、参照情報等に基づいて、ユーザの活動内容を判定し、ユーザの活動内容に応じた閾値を設定する。そして、サーバ20は、ユーザ位置が変化した距離が閾値を超えた場合に、ユーザが移動を開始したと判定する。
【0022】
これにより、サーバ20は、ユーザが別の部屋への移動や、活動内容の変化を伴う移動といった実質的な移動(以下、「実移動」とも称する)を開始した場合に、ユーザが移動を開始したと判定することができる。一方、サーバ20は、「実移動」以外の軽微な移動を行っても、ユーザが移動を開始したと判定しない。このような軽微な移動としては、例えば、ユーザ活動に伴う移動(「診察」中に医療器具を取りに行く移動等)や、姿勢の変化等が考えられる。即ち、サーバ20は、ユーザが「実移動」を開始したか否かを判定することができる。
【0023】
情報処理システム1を医療現場に適用するメリットとしては、例えば以下のものが考えられる。即ち、緊急時には、手の空いている医者を迅速に検索する必要がある。この点、実移動中の医者は手が空いている可能性がある。逆に、軽微な移動しか行っていない医者は、まだ活動中であり、手が空いていない可能性が高い。したがって、情報処理システム1は、上記の様な判定を行うことで、手の空いている医者を迅速に検索することができる。
【0024】
通信ネットワーク30は、ユーザ端末10と、サーバ20と、管理用端末40とを相互に通信可能とするネットワークである。管理用端末40は、管理者UAによって管理され、サーバ20に判定結果等に関する情報を要求する。管理用端末40は、いわゆるデスクトップパソコンであり、サーバ20から受信した情報を管理する。なお、管理用端末40は、他の形式の端末、例えばノートパソコン、携帯電話、スマートフォン、スマートタブレット等であってもよい。
【0025】
<2.ユーザ端末の構成>
次に、ユーザ端末10の構成を図2に基づいて説明する。ユーザ端末10は、通信部11と、提示部12と、記憶部13と、入力操作部14と、位置検出部15と、制御部16とを備える。即ち、ユーザ端末10は、CPU、ROM、RAM、タッチパネル、ディスプレイ、スピーカ、通信装置等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によって、上記の各構成要素が実現される。
【0026】
通信部11は、サーバ20や管理用端末40との間で通信を行なう。提示部12は、ディスプレイ及びスピーカに相当し、各種の画像及び音声を出力する。記憶部13は、ユーザ端末10が処理を行うために必要な情報、例えば各種の画像情報、音声情報、プログラム、個人ID、及び所属ID等を記憶する。プログラムは、ユーザ端末10に通信部11と、提示部12と、記憶部13と、入力操作部14と、位置検出部15と、制御部16とを実現させるためのプログラムである。個人ID及び所属IDは、ユーザ端末10を所持するユーザに対応するIDである。入力操作部14は、タッチパネルに相当するものであり、ユーザによる入力操作に応じた操作情報を制御部16に出力する。位置検出部15は、自己の存在位置、即ちユーザ位置を検出し、ユーザ位置に関する位置情報を制御部16に出力する。ユーザ位置を検出する方法はどのようなものであってもよい。ユーザ位置を検出する方法としては、例えば、各アクセスポイントからの電波強度を利用する方法や、各アクセスポイントからの電波の到達時間を利用する方法(例えば、TDOA(Time Difference of Arrival))等が考えられる。制御部16は、ユーザ端末10の各構成要素を制御する他、以下の処理を行なう。即ち、制御部16は、現在時刻を測定する。制御部16は、記憶部13から個人ID及び所属IDを取得し、現在時刻、個人ID、及び所属IDを含む参照情報を生成する。制御部16は、位置情報及び参照情報を通信部11に出力する。通信部11は、位置情報及び参照情報をサーバ20に送信する。
【0027】
<3.サーバの構成>
次に、図3に基づいて、サーバ20の構成について説明する。サーバ20は、位置情報取得部21と、記憶部22と、判定部23と、出力部24とを備える。即ち、ユーザ端末10は、CPU、ROM、RAM、タッチパネル、ディスプレイ、スピーカ、通信装置等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によって、上記の各構成要素が実現される。
【0028】
位置情報取得部21は、ユーザ端末10から送信された位置情報及び参照情報を受信し、判定部23に出力する。記憶部22は、サーバ20が処理を行うために必要な情報、例えば地図情報、プログラム、判定項目管理テーブル、及び閾値管理テーブルを記憶する。地図情報は、情報処理システム1が適用される医療現場の地図情報である。プログラムは、サーバ20に位置情報取得部21と、記憶部22と、判定部23と、出力部24とを実現させるためのプログラムである。
【0029】
判定項目管理テーブルは、ユーザの活動内容の要素を規定する判定項目を記録するものである。即ち、ユーザの活動内容は、活動主体(誰が活動するか)、活動時間(または活動時刻)(いつ活動するか)、及び活動場所(何処で活動するか)等の要素に区分される。そして、判定項目は、これらの要素、特に活動主体、活動時間、活動場所を規定する。図4に、判定項目管理テーブルの一例を示す。
【0030】
図4に示す判定項目管理テーブルは、判定項目IDと、判定項目の内容とを対応させて記録する。判定項目は、活動時間、活動場所、個人ID、及び所属IDの大区分に区分され、大区分毎に、その区分の詳細な値を規定する小区分が設定されている。大区分及び小区分には、それぞれ異なる判定項目IDが付与されている。例えば、「活動時間」の大区分には、判定項目IDとして「1」が付与されており、「9:00〜12:00、14:00〜18:00」の小区分には、判定項目IDとして「1−1」が付与されている。大区分の個人ID及び所属IDは、上述した活動主体に対応する。
【0031】
閾値管理テーブルは、ユーザの活動内容と、閾値とを対応させて記録するものである。図5に閾値管理テーブルの一例を示す。図5に示す閾値管理テーブルは、ユーザの活動内容と、判定項目IDと、閾値とを対応させて記録する。即ち、各行の判定項目IDは、同じ行の活動内容を規定する。
【0032】
例えば、「診察」は、「A」または「B」の個人IDを有するユーザによって、「9:00〜12:00、14:00〜18:00」の活動時間内に、「診察室」で実行される。また、「回診」は、「A」または「B」の個人IDを有するユーザによって、「9:00〜12:00、14:00〜18:00」の活動時間内に、「病室」で実行される。
【0033】
また、「在席作業」は、「A」、「B」、または「C」の個人IDを有するユーザによって、「活動室」で実行される。なお、この活動内容には、活動時間が規定されていない。「在席作業」の活動時間は特に制限されないからである。
【0034】
また、「資料閲覧」は、「A1」または「B1」の所属IDを有するユーザによって、「資料室」で実行される。なお、この活動内容にも、活動時間が規定されていない。「資料閲覧」の活動時間は特に制限されないからである。
【0035】
また、「在室」は、あらゆる部屋で実行される。なお、この活動内容には、活動主体及び活動時間が規定されていない。「在室」の活動主体及び活動時間は特に制限されないからである。
【0036】
また、「仮眠」は、「0:00〜5:00」の活動時間に、「仮眠室」で実行される。なお、この活動内容には、活動主体が規定されていない。「仮眠」の活動主体は特に制限されないからである。
【0037】
「実移動」には、判定項目IDが記録されていない。「実移動」はデフォルト値であり、ユーザの活動内容が「実移動」以外のいずれにも該当しない場合、ユーザの活動内容は「実移動」と判定される。
【0038】
閾値は、ユーザの活動内容毎に設定される。例えば、ユーザが「診察」を行っている場合、「軽微な移動」としては、在席しての活動や、必要な医療器具等を取りに行く等の移動が考えられる。一方、「実移動」としては、例えば別の部屋への移動等が考えられる。したがって、「診断」に対応する閾値はやや大きめの「2」とされる。これにより、情報処理システム1は、ユーザが「実移動」を行った場合に、ユーザが移動を開始したと判定することができる。
【0039】
同様に、ユーザが「回診」を行っている場合、「軽微な移動」としては、例えば、病室内を移動する等の移動が考えられる。一方、「実移動」としては、例えば、別の部屋への移動等が考えられる。したがって、「回診」に対応する閾値はやや大きめの「3」とされる。これにより、情報処理システム1は、ユーザが「実移動」を行った場合に、ユーザが移動を開始したと判定することができる。
【0040】
一方、ユーザが「在席作業」を行っている場合、「軽微な移動」は、例えば、本をめくる、筆記する、背伸びをする等の姿勢の変化程度である。したがって、離席した程度の移動も、「実移動」である可能性がある。そこで、「在席作業」に対応する閾値は非常に小さい「0.5」とされる。これにより、情報処理システム1は、ユーザが「実移動」を行った場合に、ユーザが移動を開始したと判定することができる。
【0041】
また、ユーザが「資料閲覧」を行っている場合、「軽微な移動」としては、例えば、資料室内を移動する等の移動が考えられる。さらに、資料室は他の部屋に比べて大きい場合が多い。一方、「実移動」としては、例えば、別の部屋への移動等が考えられる。したがって、「資料閲覧」に対応する閾値は非常に大きい「6」とされる。
【0042】
また、ユーザが「在室」している場合、「軽微な移動」としては、室内の移動等が考えられる。一方、「実移動」としては、例えば、別の部屋への移動等が考えられる。そこで、閾値はやや大きめの「3」とされる。
【0043】
また、ユーザが「仮眠」を行っている場合、「軽微な移動」は、例えば、寝返り等の姿勢の変化程度である。したがって、ベッドから下りた程度の移動も、「実移動」である可能性がある。そこで、閾値は小さめの「1」とされる。ユーザが「実移動」を行っている場合、閾値は0となる。即ち、ユーザが「実移動」中に位置情報等がサーバ20に送信された場合、サーバ20は、ユーザが移動を開始した(移動を継続中である)と判定することになる。
【0044】
このように、本実施形態では、ユーザの活動内容に基づいて、閾値が設定される。より詳細には、「軽微な移動」(例えば、ユーザの活動に伴う移動)の程度に応じて、閾値が設定される。これにより、本実施形態では、ユーザの移動が「軽微な移動」であるのか、あるいは「実移動」であるのかがより正確に判定される。なお、閾値の単位は、例えばメートルである。
【0045】
図6に、閾値の具体例を示す。個人ID「A」を有するユーザU1が作業室100内で作業をしている場合、ユーザの活動内容は「在席作業」と判定され、閾値はTh1(=0.5)に設定される。この場合、ユーザU1が離席した際(例えば、机101から離れた際)に、移動が開始されたと判定される。
【0046】
一方、個人IDが「A」〜「C」以外のユーザU2が作業室100に在室している場合、ユーザの活動内容は「在室」と判定され、閾値はTh2(=3)に設定される。また、ユーザU3が仮眠室200内の仮眠ベッド201で仮眠している場合、ユーザの活動内容は「仮眠」と判定され、閾値はTh3(=1)に設定される。
【0047】
<4.情報処理システムによる処理>
次に、情報処理システム1による処理の一例を、図7に示すフローチャートに沿って説明する。情報処理システム1は、ユーザ毎に図7に示す処理を行なう。ステップS10において、位置情報取得部21は、いずれかのユーザ端末10から位置情報及び参照情報を受信し、判定部23に出力する。
【0048】
ステップS20において、判定部23は、位置情報及び参照情報を記憶部22に記憶させる一方、基準位置情報が記憶部22に記憶されているかを判定する。判定部23は、基準位置情報が記憶部22に記憶されていると判定した場合には、ステップS30に進み、基準位置情報が記憶部22に記憶されていないと判定した場合には、ステップS21に進む。
【0049】
ステップS21において、判定部23は、位置情報が示す位置を基準位置として設定し、基準位置に関する基準位置情報を記憶部22に記憶させる。その後、判定部23は、処理を終了する。ステップS30において、判定部23は、位置情報が示す位置から、最新の基準位置情報が示す基準位置までの距離、即ち変化距離を算出する。
【0050】
ステップS40において、判定部23は、位置情報と、参照情報と、判定項目管理テーブルと、閾値管理テーブルとに基づいて、ユーザの活動内容を判定する。具体的には、判定部23は、位置情報及び地図情報に基づいて、ユーザの活動場所を認識する。さらに、判定部23は、参照情報に基づいて、ユーザが現在行っている活動の判定項目(具体的には、活動時刻、個人ID、及び所属ID)を認識する。次いで、判定部23は、認識した判定項目に合致する活動内容を、閾値管理テーブルから検索する。例えば、活動時刻が「11:00」、活動場所が「診察室」、個人IDが「A」となる場合、判定部23は、ユーザの活動内容を「診察」と判定する。
【0051】
次いで、判定部23は、判定結果と、閾値管理テーブルとに基づいて、閾値を設定する。上記の例では、閾値は「2」に設定される。ステップS50において、判定部23は、変化距離が閾値を超えたかを判定し、変化距離が閾値を超えたと判定した場合には、ステップS60に進み、変化距離が閾値以下であると判定した場合には、ステップS80に進む。
【0052】
ステップS60において、判定部23は、ユーザが移動を開始したと判定し、判定結果に関する判定結果情報を記憶部22に記憶させる。なお、判定結果情報は、現在時刻や位置情報等に関連付けて記憶されることが好ましい。また、判定結果情報には、ユーザの活動内容に関する判定結果も含まれることが好ましい。ステップS70において、判定部23は、位置情報が示す位置を新たな基準位置として設定(更新)し、基準位置に関する基準位置情報を記憶部22に記憶させる。
【0053】
ステップS80において、判定部23は、ユーザが移動を開始していないと判定し、判定結果に関する判定結果情報を記憶部22に記憶させる。この場合、ユーザは、例えば、ユーザ活動に伴う移動のみを行っているか、或いは、同じ位置に留まっていることになる。なお、判定結果情報は、現在時刻や位置情報等に関連付けて記憶されることが好ましい。また、判定結果情報には、ユーザの活動内容に関する判定結果も含まれることが好ましい。
【0054】
ステップS100において、判定部23は、判定結果情報、位置情報、及び基準位置情報等を出力部24に出力し、出力部24は、これらの情報を管理用端末40に送信する。なお、出力部24は、管理用端末40の要求に応じてこれらの情報を送信してもよい。また、出力部24は、管理用端末40から要求された情報のみを送信してもよい。例えば、基準位置間の距離が実移動距離となるので、出力部24は、管理用端末40から実移動距離が要求された場合には、当該実移動距離に関する情報を管理用端末40に送信する。また、出力部24は、最新の基準位置情報が管理用端末40から要求された場合には、当該最新の基準位置情報を管理用端末40に送信する。また、出力部24は、最新の基準位置情報の実移動元となる情報、即ち前回の基準位置情報が管理用端末40から要求された場合には、前回の基準位置情報を管理用端末40に出力する。これにより、管理者UAは、各ユーザの移動履歴(例えば、どの場所からどの場所へ移動したのか等)を認識することができる。さらに、管理者UAは、判定結果情報等に基づいて、手が空いているユーザ(例えば、「実移動」中のユーザ、「仮眠」、「在室」、または「資料閲覧」中のユーザ等)を発見することができる。これにより、例えば緊急時には、管理者UAは、手が空いているユーザに迅速に連絡をとることができる。その後、情報処理システム1は処理を終了する。
【0055】
したがって、図8に示すように、ユーザが位置P1から位置P2〜P4を経て位置P5に移動した場合、以下の処理が行われる。即ち、情報処理システム1は、位置P1を基準位置として設定し、ユーザの活動内容に応じた閾値Th3を設定する。その後、ユーザが位置P2に移動しても、変化距離は閾値Th3以下なので、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始していないと判定する。その後、ユーザが位置P3まで移動した場合、変化距離は閾値Th3を超えるので、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始したと判定する。そして、情報処理システム1は、位置P3を新たな基準位置に設定し、ユーザの活動内容に応じた閾値Th4を設定する。その後、ユーザが位置P4や位置P5に移動しても、変化距離は閾値Th4以下なので、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始していないと判定する。
【0056】
以上により、本実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザの存在位置を示す位置情報を取得し、位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動(即ち「実移動」)を開始したか否かを判定する。したがって、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始したか否かをより正確に判定することができる。
【0057】
さらに、情報処理システム1は、ユーザの活動内容に応じた閾値を設定し、ユーザの存在位置が変化した距離、即ち変化距離と、閾値とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する。したがって、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始したかをより正確に判定することができる。
【0058】
さらに、情報処理システム1は、変化距離が閾値を超えた場合に、ユーザが移動を開始したと判定する。したがって、情報処理システム1は、ユーザが移動を開始したかをより正確に判定することができる。具体的には、情報処理システム1は、ユーザの活動に伴う移動の程度に応じて閾値を設定するので、ユーザの移動がユーザの活動に伴う「軽微な移動」であるのか、「実移動」であるのかをより正確に判定することができる。
【0059】
さらに、情報処理システム1は、ユーザの活動内容と閾値とを関連付けて記録する閾値管理テーブルに基づいて、閾値を設定するので、閾値をより正確かつ迅速に設定することができる。
【0060】
さらに、情報処理システム1は、判定項目に基づいて、ユーザの活動内容を判定するので、ユーザの活動内容をより正確かつ迅速に判定することができる。例えば、情報処理システム1は、同じ部屋や場所等に複数のユーザが存在する場合、それぞれのユーザの活動内容を判定し、その結果に応じた閾値を設定することができる。
【0061】
さらに、情報処理システム1は、判定項目が満たされる場合、ユーザの活動内容を、判定項目に対応する活動内容と判定するので、ユーザの活動内容をより正確かつ迅速に判定することができる。
【0062】
さらに、判定項目は、活動主体、活動時間、及び活動場所のうち、少なくとも1つの要素を規定するので、情報処理システム1は、ユーザの活動内容をより正確に判定することができる。
【0063】
さらに、情報処理システム1は、判定項目を記録する判定項目管理テーブルに基づいて、ユーザの活動内容を判定するので、ユーザの活動内容をより正確かつ迅速に判定することができる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、情報処理システム1は医療現場に適用されるが、各ユーザUの活動を管理する必要があるシステムであれば、どのようなシステムにも適用可能である。例えば、情報処理システム1は、会社や工場内で従業員の活動を管理するシステム、教育機関内で教師や生徒等の活動を管理するシステム、外回りの人員を管理するシステム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理システム
10 ユーザ端末
20 サーバ
21 位置情報取得部
22 記憶部
23 判定部
24 出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの存在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、ユーザの活動内容に応じた閾値を設定し、ユーザの存在位置が変化した距離と、前記閾値とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定することを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、ユーザの存在位置が変化した距離が前記閾値を超えた場合に、ユーザが移動を開始したと判定することを特徴とする、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、ユーザの活動内容と前記閾値とを関連付けて記録する閾値管理テーブルに基づいて、前記閾値を設定することを特徴とする、請求項2または3記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの活動内容の各々には、ユーザの活動内容の要素を規定する判定項目が設定され、
前記判定部は、前記判定項目に基づいて、ユーザの活動内容を判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記判定項目が満たされる場合、ユーザの活動内容を、前記判定項目に対応する活動内容と判定することを特徴とする、請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定項目は、活動主体、活動時間、及び活動場所のうち、少なくとも1つの要素を規定することを特徴とする、請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記判定項目を記録する判定項目管理テーブルに基づいて、ユーザの活動内容を判定することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザの存在位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザの存在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記位置情報と、ユーザの活動内容とに基づいて、ユーザが移動を開始したか否かを判定する判定機能と、を実現させることを特徴とする、プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61781(P2013−61781A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199611(P2011−199611)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)