説明

情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理プログラムが記録された記録媒体

【課題】ユーザにとって不利な取引や不利な取引対象の登録を未然に防ぐことが可能な情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理プログラムが記録された記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、ユーザにより選択されようとする取引対象と同一又は関連し、且つ該取引対象より有利な条件が対応付けられる取引対象を、ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出して、該抽出された取引対象を該ユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば情報提供が可能なWebサイトにおいて、ユーザが取引対象を選択しようとしたときに有用な情報を提供可能な情報処理装置等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、取引対象の取引(例えば商品の購入)の情報提供が可能なWebサイトが知られている。このようなWebサイトには、例えば、ユーザが購入した商品に関する情報を購入履歴として自動的に登録する機能や、ユーザが気に入った(気になる)商品を選択することでその商品に関する情報を所定の参照リストに登録する機能などがある。ここで、参照リストとは、例えば取引対象に関する情報への参照を保持するリストである。このような参照リストに登録する機能としては、例えば、お気に入り登録やブックマーク登録等が知られている。これにより、ユーザは、参照リストからその取引対象に関する情報へ簡単にアクセスすることができる。
【0003】
ところで、上記取引対象の登録数(例えば、ブックマークエントリ数)が多くなると、ユーザは、参照したいWebページを探し出して指定することが難しくなるという問題がある。この問題を解決するため、特許文献1には、ブックマークエントリを、参照日時情報に基づき参照時間順に並び替え可能とする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−334120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように登録数が多くなると、たとえ特許文献1で提案されたようにブックマークエントリを並び替えたとしても、ユーザは、購入履歴や参照リストに登録された商品を全て覚えておくことは困難である。そのため、例えばユーザが過去に購入した商品又は参照リストに登録した商品の中に、より有利な(お得な)商品があるにも関わらず、それより不利な商品を購入又は参照リストに登録してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、以上の問題等に鑑みてなされたものであり、ユーザにとって不利な取引や不利な取引対象の登録を未然に防ぐことが可能な情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理プログラムが記録された記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段と、前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ユーザが過去に参照された取引対象の中から、ユーザにより選択されようとする取引対象より有利な取引対象の存在を知らせ、ユーザにとって不利な取引や不利な取引対象の登録を未然に防ぐことができる。また、取引上不利な取引対象を例えば参照リストへ登録することを未然に防ぐことができるので、当該「取引上不利な取引対象」を該参照リストから削除する工程を減らすことができるため、システム負荷を軽減できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記記憶手段における前記取引対象の中で、現時点から過去所定時間以内に前記ユーザにより参照された前記取引対象の提示を制限する第1制限手段を更に備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ユーザに対して取引対象が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。また、取引対象が必要以上に提示されることを防止することができるので、当該取引対象に関するデータ要求を低減できるため、システム負荷を軽減できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記記憶手段における前記取引対象の中で、現時点から過去に遡って所定件数以内の前記取引対象の提示を制限する第1制限手段を更に備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ユーザに対して取引対象が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。また、取引対象が必要以上に提示されることを防止することができるので、当該取引対象に関するデータ要求を低減できるため、システム負荷を軽減できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記特定手段により特定された第1の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる前記第2の前記取引対象が前記提示手段により前記ユーザに提示されたにも拘らず該第1の前記取引対象が前記ユーザにより選択された後に、前記ユーザにより新たに選択されようとする第3の前記取引対象が前記特定手段により特定されたとき、前記第3の前記取引対象が前記第2の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上不利な条件が対応付けられ且つ前記第1の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる場合に、前記第2の前記取引対象の提示を制限する第2制限手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ユーザに対して取引対象が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記提示手段により提示された前記取引対象が前記ユーザにより選択された場合、前記特定手段により特定された前記取引対象の提供者に対して、該取引対象の代わりに前記提示手段により提示された前記取引対象が選択されたことを示す情報を通知する通知手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、通知を受けた提供者は自ら提供する取引対象が他の取引対象に負けたかを迅速に把握することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記取引対象に関する情報は、前記ユーザが取引した取引対象の取引履歴、所定の参照リストにユーザが登録した取引対象の登録履歴、及び前記ユーザが閲覧したページに配置された取引対象の閲覧履歴のうちの少なくとも何れか一つの履歴に含まれており、前記特定手段は、前記取引又は前記登録のために前記選択されようとする前記取引対象を特定することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ユーザの取引履歴、登録履歴、及び閲覧履歴のうちの少なくとも何れか一つの履歴を利用して、ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を迅速に特定することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理装置において、前記取引のために前記選択されようとする前記取引対象が特定される場合、前記抽出手段は、該特定される取引対象と同一又は関連し且つ該取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を前記取引履歴から優先して抽出することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ユーザが取引対象の取引しようとする際には、該取引対象より有利な取引対象を、より効果的に該ユーザへ提示することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理装置において、前記登録のために前記選択されようとする前記取引対象が特定される場合、前記抽出手段は、該特定される取引対象と同一又は関連し且つ該取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を前記登録履歴から優先して抽出することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、ユーザが取引対象を参照リストへ登録しようとする際には、該取引対象より有利な取引対象を、より効果的に該ユーザへ提示することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記取引対象のそれぞれには、1以上の項目毎に条件が対応付けられており、前記取引対象に対応付けられる前記項目のうちの1以上の前記項目に対応する条件に応じた値を集計する集計手段を更に備え、前記抽出手段は、前記特定手段により特定される取引対象に対して前記集計手段により集計される値と、該特定される取引対象と同一又は関連する前記取引対象であって前記記憶手段における前記取引対象に対して前記集計手段により集計される値とを比較することにより、前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる前記取引対象を抽出することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、複数の異なる項目全体を考慮した観点から、ユーザが選択しようとしている取引対象より有利な取引対象の存在を該ユーザに知らせることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の情報処理装置において、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報に基づいて、複数種類の前記項目中で該ユーザが重視する項目を特定する項目特定手段を更に備え、前記集計手段は、前記項目特定手段により特定される項目に対応する条件に応じた値に対する重みを、前記項目特定手段により特定されない項目に対応する条件に応じた値に対する重みよりも高く設定して前記集計を行うことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、ユーザが重視する項目の観点から、ユーザが選択しようとしている取引対象より有利な取引対象の存在を該ユーザに知らせることができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定ステップにより特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の情報処理プログラムの発明は、コンピュータを、ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段、前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段、及び、前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段として機能させることを特徴とする。
【0029】
請求項13に記載の記録媒体の発明は、コンピュータを、ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段、前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段、及び、前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段として機能させる情報処理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザが過去に参照された取引対象の中から、ユーザにより選択されようとする取引対象より有利な取引対象の存在を知らせ、ユーザにとって不利な取引や不利な取引対象の登録を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る情報提供サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
【図3】データベースに記録される項目の一例を示す図である。
【図4】(A)は、情報提供サーバ1のシステム制御部14における情報提供処理を示すフローチャートであり、(B)は、情報提供サーバ1のシステム制御部14における商品登録処理を示すフローチャートである。
【図5】商品一覧を掲載するWebページの表示例を示す図である。
【図6】ユーザにより選択されようとする商品より有利な商品が抽出される様子を示す図である。
【図7】特定された商品の各取引条件項目に対応する条件に応じた点数を集計した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、情報提供システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0033】
[1.情報提供システムの構成及び機能概要]
先ず、本実施形態に係る情報提供システムSの構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。
【0034】
図1に示すように、情報提供システムSは、情報提供サーバ1と、複数の店舗端末2と、複数のユーザ端末3と、を含んで構成されている。そして、情報提供サーバ1と各店舗端末2及び各ユーザ端末3とは、ネットワークNWを介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0035】
情報提供サーバ1(本発明における情報処理装置の一例)は、例えば、商品(取引対象の一例)の購入(取引の一例)が可能な電子商店街やインターネットオークションに関する各種処理を実行するサーバ装置である。ユーザは、電子商店街を利用することにより、所望の店舗から所望の商品を購入することができる。また、ユーザは、オークションで商品を出品したり、出品されている商品を入札したりすることができる。情報提供サーバ1は、店舗端末2やユーザ端末3からのリクエストに応じて、例えば、電子商店街やオークションのWebページを送信したり、商品の検索、購入、出品、入札等に関する処理を行ったりする。
【0036】
店舗端末2は、電子商店街に出店している店舗の従業員等により利用される端末装置である。店舗端末2は、例えば、販売する商品の情報を電子商店街に登録したり、商品の注文内容を確認したりするために用いられる。また、店舗端末2は、従業員等からの操作に基づいて情報提供サーバ1にアクセスすることにより、情報提供サーバ1からWebページを受信して表示する。店舗端末2には、Webブラウザや電子メールクライアント等のソフトウェアが組み込まれている。店舗端末2としては、例えば、パーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0037】
ユーザ端末3は、電子商店街やオークションを利用するユーザの端末装置である。ユーザ端末3は、ユーザからの操作に基づいて情報提供サーバ1にアクセスすることにより、情報提供サーバ1からWebページを受信して表示する。ユーザ端末3には、Webブラウザや電子メールクライアント等のソフトウェアが組み込まれている。ユーザ端末3としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯情報端末、携帯電話機、携帯ゲーム機等が用いられる。
【0038】
次に、情報提供サーバ1の構成について、図2及び図3を用いて説明する。
【0039】
図2は、本実施形態に係る情報提供サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、情報提供サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、入出力インターフェース13と、システム制御部14と、を備えている。そして、システム制御部14と入出力インターフェース13とは、システムバス15を介して接続されている。なお、情報提供サーバ1は、Webサーバ、アプリサーバ、及びデータベースサーバ等の複数のサーバ装置で構成され、これらのサーバが互いにLAN等で接続されてもよい。
【0040】
通信部11は、ネットワークNWに接続して、店舗端末2やユーザ端末3等との通信状態を制御するようになっている。
【0041】
記憶部12(本発明における記憶手段の一例)は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。記憶部12には、ユーザ端末3に表示させるWebページを構成する構造化文書ファイル(例えばHTML(Hyper Text Markup Language)文書やXHTML文書等)及び画像データ等が記憶されている。
【0042】
また、記憶部12には、会員情報DB(データベース)12a、ジャンル情報DB12b、店舗情報DB12c、商品情報DB12d、閲覧履歴DB12e、購入履歴(取引履歴の一例)DB12f、参照リスト登録履歴DB12g等のデータベースが構築されている。なお、これらの各種DBの全部又は一部は、情報提供サーバ1がアクセス可能な所定のサーバの記憶手段に設けられてもよい。
【0043】
図3(a)は、会員情報DB12aに記録される項目の一例を示す図である。会員情報DB12aには、会員登録しているユーザに関する会員情報が記録される。具体的に、会員情報DB12aには、ユーザID、パスワード、ニックネーム、氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、及び電子メールアドレス等のユーザの属性が、ユーザ毎に対応付けて記録される。ここで、ユーザIDは、ユーザ毎に固有の識別情報である。ユーザID及びパスワードは、ログイン処理(ユーザの認証処理)に使用される認証情報である。
【0044】
図3(b)は、ジャンル情報DB12bに記録される項目の一例を示す図である。ジャンル情報DB12bには、商品のジャンル(カテゴリ)に関するジャンル情報が記録されている。具体的に、ジャンル情報DB12bには、ジャンルID、ジャンル名、ジャンルのレベル、親ジャンルID、及び子ジャンルIDリスト等のジャンルの属性が、ジャンル毎に対応付けて記録される。ここで、ジャンル情報は、例えば、電子商店街の管理者等により設定される。ジャンルIDは、ジャンル毎に固有の識別情報である。商品のジャンルは、木構造で階層的に定義されており、木構造の各ノードが、ジャンルに相当する。そして、ノードの深さが、そのノードに相当するジャンルのレベル(階層)に相当する。親ジャンルIDは、ジャンル情報によって定義されるジャンルの親ジャンルのジャンルIDである。子ジャンルIDリストは、ジャンル情報によって定義されるジャンルの子ジャンルのジャンルIDを登録するリストである。子ジャンルIDリストは、ジャンル情報によって定義されるジャンルが子ジャンルを有する場合に設定される。
【0045】
図3(c)は、店舗情報DB12cに記録される項目の一例を示す図である。店舗情報DB12cには、電子商店街に出店した店舗に関する店舗情報が記録される。店舗は、取引対象としての商品を提供する提供者の一例である。具体的に、店舗情報DB12cには、店舗ID、パスワード、店舗名、郵便番号、住所、電話番号、電子メールアドレス、及び店舗に対する評価(レビュー)情報等の店舗の属性が、店舗毎に対応付けて記録される。ここで、店舗IDは、店舗毎に固有の識別情報である。店舗ID及びパスワードは、ログイン処理に使用される認証情報である。店舗に対する評価情報は、例えば「1〜5」までの評価点で表され、評価点が高いほど評価が高い。この評価点は、例えば、店舗から商品を購入した各ユーザにより入力(Webページ上で入力)された評価点の平均とされる。評価点が高い店舗ほどユーザにとって満足度の高い店舗ということができる。
【0046】
図3(d)は、商品情報DB12dに記録される項目の一例を示す図である。商品情報DB12dには、電子商店街に出品された商品に関する商品情報が記録される。具体的に、商品情報DB12dには、商品ID、商品を販売する店舗の店舗ID、商品コード、商品が属するジャンルのジャンルID、関連商品リスト、商品名、商品画像のURL(Uniform Resource Locator)、商品説明、商品数量、商品価格、発売時期、商品の版数(バージョンナンバー)は、付与ポイント(ポイント付与率)、商品の在庫数、支払方法、配送方法、配送日数及び配送料金等の情報が、商品毎及び店舗毎に対応付けて記録される。ここで、商品IDは、商品毎に固有の識別情報であり、同一の商品であっても販売する店舗が異なれば商品IDも異なる。商品コードは、商品を識別するコード番号である。商品コードとしては、例えば、JAN(Japanese Article Number Code)コード等があり、販売する店舗が異なっても同一の商品であれば商品コードも同一である。商品が属するジャンルのジャンルIDは、例えば、最上位レベル1〜最下位レベル5における各ジャンルのジャンルIDである。
【0047】
また、関連商品リストは、出品された商品に関連する商品の情報(以下、「関連商品情報」という)を登録するリストである。関連商品情報には、例えば、関連する商品の商品コードが含まれる。なお、関連商品情報には、商品名及びジャンルIDが含まれてもよい。なお、関連する商品がない場合、関連商品リストには関連商品情報が登録されない(NULLとなる)。出品された商品に関連する商品としては、例えば、出品された商品との間で商品名が部分一致する商品で、且つジャンルが一致する商品が該当する。商品名が部分一致するかどうかの判定は、例えば、システム制御部14が商品名をデータマイニングすることで抽出したキーワードやパターンが一致するかどうかを判定することにより行われる。このキーワードは、例えば、商品名にアルファベットと数字からなる商品型番(例えば、ABC-301型)が含まれている場合、そのうちアルファベットの部分(例えば、ABC)が該当する。また、ジャンルが一致するかどうかの判定は、例えば、システム制御部14が、最上位レベル1〜最下位レベル5の間で、所定のレベル(例えば最下位レベル5)までのジャンルが一致するかどうかを判定することにより行われる。このような判定及び関連商品リストへの登録は、例えば所定時間毎に実行される。なお、出品された商品に関連する商品としては、例えば、ジャンルが一致するかどうかに拘らず、出品された商品との間で商品名が部分一致する商品が該当するものであってもよい。
【0048】
また、商品数量は、複数の商品がセットで販売されるセット商品(例えば、1巻〜10巻までの本)の場合、1セットに含まれる商品の数であり、この場合の商品価格は当該1セットあたりのセット商品の価格である。一方、セット商品でない場合、商品数量は1つであり、この場合の商品価格は当該1つあたりの商品の価格である。なお、商品数量に代えて商品重量が記録される商品もある(例えば、米の場合、1袋5kg)。商品の版数は、商品が改訂された場合に付与される番号であり、「いつ」の「何番目」の版であるか示すものである。付与ポイントは、商品を購入したユーザに対して付与されるポイントである。また、ポイント付与率は、購入された商品の価格に対して何ポイント付与(商品を購入したユーザに対して付与)されるかという割合である。例えば、1000円に対して1ポイント付与されるのであれば、ポイント付与率は0.1%ということになる。このようなポイントは、ユーザが商品の決済(支払い)に使用することができる。そのため、ポイント付与率が高い商品ほどユーザにとってお得な商品ということができる。配送方法には、メール便、宅配便、即日配送、郵便等がある。配送方法によって、配送料金、及び商品到着までの所要日数が異なる。なお、配送方法によって、補償の有無や額も異なる。なお、即日配送の場合、配送日数は原則として1日である。
【0049】
図3(e)は、閲覧履歴DB12eに記録される項目の一例を示す図である。閲覧履歴DB12eには、ユーザが閲覧したページ(商品情報が掲載されるWebページ)に配置された商品の閲覧履歴が記録される。具体的に、閲覧履歴DB12eには、閲覧したユーザのユーザID、閲覧されたページのURL、閲覧されたページに配置された商品の商品ID、商品コード、商品名、ジャンルID、該商品を販売(提供)する店舗の店舗ID、及び閲覧日時等の情報が、ユーザ毎に対応付けて記録される。なお、閲覧履歴は、ログインしているユーザの操作によりWebページがユーザ端末3に表示された場合に記録される。或いは、ユーザ端末3のWebブラウザにより保存されている閲覧履歴が、該ユーザ端末3のユーザのログイン時に情報提供サーバ1により取得され記録されてもよい。
【0050】
図3(f)は、購入履歴DB12fに記録される項目の一例を示す図である。購入履歴DB12fには、ユーザが購入した商品の購入履歴(取引履歴の一例)が記録される。具体的に、購入履歴DB12fには、購入したユーザのユーザID、購入された商品の商品ID、商品コード、商品名、ジャンルID、該商品を販売した店舗(購入先の店舗)の店舗ID、購入数量、購入価格、及び購入日時(注文日時)等の情報が、ユーザ毎に対応付けて記録される。なお、購入履歴は、商品の購入手続きを行うためのWebページにおいて、ユーザの操作により商品の購入手続きが確定した場合に記録される。
【0051】
図3(g)は、参照リスト登録履歴DB12gに記録される項目の一例を示す図である。参照リスト登録履歴DB12gには、所定の参照リストにユーザが登録した商品(例えば、商品IDが登録)の登録履歴が記録される。具体的に、参照リスト登録履歴DB12gには、参照リストに登録したユーザのユーザID、参照リストに登録された商品の商品ID、商品コード、商品名、ジャンルID、該商品を販売する店舗の店舗ID、及び登録日時等の情報が、ユーザ毎に対応付けて記録される。なお、所定の参照リストの例としては、お気に入りリスト、ブックマークリスト、買い物かごリスト、ウォッチリストなどが挙げられる。ユーザは、このような参照リストに、例えば購入対象または他のユーザへの推奨対象として、お気に入りの商品または気になる商品を登録することができる。なお、登録履歴は、ログインしているユーザの操作により所定の参照リストに商品が登録された場合に記録される。
【0052】
さらに、記憶部12には、オペレーティングシステム(OS)、WWW(World Wide Web)サーバプログラム、DBMS(Database Management System)、本発明の情報処理プログラム等の各種プログラム、さらには各種設定データ及びテーブルが記憶されている。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNWを介して取得されるようにしてもよいし、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0053】
入出力インターフェース13は、通信部11及び記憶部12とシステム制御部14との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0054】
システム制御部14は、CPU14a、ROM(Read Only Memory)14b、RAM(Random Access Memory)14c等により構成されている。そして、システム制御部14は、コンピュータとしてのCPU14aが、各種プログラムを読み出し実行することにより、本発明における特定手段、抽出手段、提示手段、第1制限手段、第2制限手段、通知手段、集計手段、及び項目特定手段として機能し(つまり、本発明の情報処理プログラムが、CPU14aに上記手段を実行させる)、後述する処理を行う。
【0055】
以上の構成において、情報提供サーバ1は、ユーザ端末3のユーザにより選択されようとする商品と同一又は関連し、且つ該商品より有利な条件が対応付けられる商品を、ユーザにより過去に参照された商品に関する情報を記憶する記憶部12から抽出して、該抽出された商品(以下、「有利な商品」という)を該ユーザに提示するようになっている。これにより、ユーザに、過去に参照された、有利な商品の存在を知らせ、ユーザにとって不利な取引や不利な商品の登録を未然に防ぐことが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態において、商品のそれぞれには、1以上の取引条件項目毎に条件(言い換えれば、取引条件項目に対応する具体的内容)が対応付けられている。取引条件項目の例としては、上述した商品数量、商品価格、発売時期、商品の版数(バージョンナンバー)、付与ポイント(ポイント付与率)、商品の在庫数、支払方法、配送方法、配送日数、配送料金、及び商品を販売する店舗に対する評価情報等、複数種類が挙げられる。ただし、これら複数種類の取引条件項目のうち、全部の取引条件項目が対応付けられている商品もあれば、一部(少なくとも1以上)の取引条件項目が対応付けられている商品もある。また、本実施形態において、ユーザにより過去に参照された商品に関する情報の例としては、上述した閲覧履歴、購入履歴、及び登録履歴の少なくとも何れかの一つの履歴に含まれる情報が該当する。このような履歴に示される商品は、ユーザが過去に少なくとも1回は参照することで目にふれている商品と言うことができる。
【0057】
[2.情報提供システムの動作]
次に、情報提供システムSの動作について、図4乃至図6を用いて説明する。図4(A)は、情報提供サーバ1のシステム制御部14における情報提供処理を示すフローチャートであり、図4(B)は、情報提供サーバ1のシステム制御部14における商品登録処理を示すフローチャートである。図5は、商品一覧を掲載するWebページの表示例を示す図である。図6は、ユーザにより選択されようとする商品より有利な商品が抽出される様子を示す図である。
【0058】
なお、以下の説明において、ユーザ端末3は、情報提供サーバ1との間でセッションが確立し、図5(A)に示すようなWebページを情報提供サーバ1から取得して表示しているものとする。また、情報提供サーバ1のログイン処理によりユーザ端末3のユーザはログインしているものとする。これにより、情報提供サーバ1により発行されたクッキー(該ユーザのユーザIDを含む)がユーザ端末3に保存される。このようなクッキーは、ユーザ端末3から情報提供サーバ1へ送信されるリクエストに付加される。
【0059】
図5(A)に示すWebページに表示された商品一覧に含まれる商品には、それぞれ、商品を選択してお気に入りリストに登録するための選択ボタン51が対応付けられて表示されている。この選択ボタン51は、例えば、画像やテキストにより構成される。また、選択ボタン51には情報提供サーバ1へのリンク(ハイパーリンク)が設定されている。そして、ユーザにより該選択ボタン51が選択されるとWebブラウザによりこれが検知され、該選択ボタン51に対応する商品をお気に入りリストへ登録する要求が情報提供サーバ1に送信され、その結果、選択された商品がお気に入りリストに登録されることになる。ここで、商品の選択(つまり、選択ボタン51の選択)は、例えば、ユーザ端末3のポインティングデバイス(例えばマウス)のポインタ52が選択ボタン51を指し示している(例えばポインタ52が選択ボタン51の表示範囲内にマウスオーバー(重畳)される)状態でユーザにより選択操作がなされる(例えばマウスのボタンが押される(クリックされる))と実行される。一方、ユーザ端末3のポインティングデバイスのポインタ52が選択ボタン51を指し示しているがユーザによる選択操作がなされていない状態を、「商品が選択されようとしている」状態と定義する。本実施形態では、「商品が選択されようとしている」状態がWebブラウザにより検知されると、商品が選択されようとしていることを示す情報(以下、「商品選択直前情報」という)が情報提供サーバ1に送信され、なおかつ当該選択ボタン51の近傍または選択ボタン51上(つまり重畳)に情報提供サーバ1からの有利な商品の情報がポップアップ表示されるように構成される。これは、Webページを構成する構造化文書内で、例えば、スクリプト(例えば、JavaScript(登録商標))で規定することにより実現される。なお、各商品に対応する選択ボタン51を含む表示データは、例えば、Webページを構成する構造化文書で例えばdivタグ(<div>・・・</div>)により商品毎に纏められた要素として記述される。また、選択ボタン51の近傍とは、例えば、選択ボタン51の表示領域の外縁から所定ピクセル(例えば、30ピクセル)以内の位置をいう。これは、ユーザが選択ボタン51を注視しているときに、一目でただちに視認できる位置(言い換えれば、選択ボタン51の選択を躊躇することが可能な位置)であればよい。また、上記表示データには、例えば商品の商品ID、該商品を販売する店舗の店舗ID、及び選択ボタン51のボタン属性等が含まれる。ボタン属性は、商品の購入のための選択であるか、或いは上記参照リストへの商品の登録のための選択であるかを示す。図5(A)に示す選択ボタン51のボタン属性は、参照リストへの商品の登録のための選択であることを示す。なお、商品の購入のための選択ボタンは、商品の購入手続きを行うためのWebページにおいて、例えば「商品注文手続きへ」ボタンとして設けられる。
【0060】
そして、図5(A)に示すような表示状態において、ユーザが、ポインティングデバイスを操作することでそのポインタ52により、気になる商品に対応する選択ボタン51が指し示されると、ユーザ端末3のWebブラウザは、これを検知し、上述した商品選択直前情報を含むリクエストを情報提供サーバ1へ送信する。このリクエストは、例えばAJAXリクエストとして情報提供サーバ1へ送信(例えば"onmouseover"のイベント発生により送信)される。また、商品選択直前情報には、例えば、該商品の商品ID、店舗ID、及び上記指し示された(マウスオーバーされた)選択ボタン51のボタン属性等の情報が含まれる。なお、リクエストには、ユーザのログインによりユーザ端末3に保存されたクッキーが付加される。
【0061】
なお、上記「商品が選択されようとしている」状態は、商品に対応する選択ボタン51をポインタ52が指し示す直前の状態、つまり、選択ボタン51の表示範囲外であるが該表示範囲の近傍範囲(この近傍範囲は予め設定される)内にポインティングデバイスのポインタ52が位置する状態としてもよい。この場合、選択ボタン51の表示範囲の近傍範囲内にポインティングデバイスのポインタ52が位置すると、ユーザ端末3のWebブラウザは、これを検知し、商品選択直前情報を含むリクエストを情報提供サーバ1へ送信することになる。
【0062】
そして、情報提供サーバ1は、ユーザ端末3から上記商品選択直前情報を含むリクエストを受信すると、図4(A)に示す処理を開始する。図4(A)に示すステップS1では、情報提供サーバ1のシステム制御部14は、受信されたリクエストに含まれる商品選択直前情報から、商品ID、店舗ID、及びボタン属性等の情報を取得する。
【0063】
次いで、システム制御部14は、ステップS1で取得された商品IDに基づき、ユーザにより選択されようとする商品を特定する(ステップS2)。次いで、システム制御部14は、上記リクエストを送信したユーザ端末3のユーザの履歴(つまり、受信されたリクエストに付加されたユーザIDに対応付けられた履歴)であって、購入履歴DB12fに記録されている購入履歴、参照リスト登録履歴DB12gに記録されている登録履歴、及び閲覧履歴DB12eに記録されている閲覧履歴のうち少なくとも何れか一つの履歴を参照する(ステップS3)。そして、システム制御部14は、ステップS2で特定した商品と同一の商品と、ステップS2で特定した商品に関連する商品とのうち少なくとも何れか一方の商品を、ステップS3で参照した履歴から特定できるか否かを判定する(ステップS4)。そして、当該商品を履歴から特定できないと判定された場合には(ステップS4:NO)、図4(A)に示す処理が終了される。つまり、この場合、ユーザにより選択されようとしている商品が最も有利な商品であるため、それ以外の有利な商品の提示は行われず、ユーザは安心して選択しようとしている商品を選択することができる。
【0064】
一方、システム制御部14は、当該商品を履歴から特定できると判定した場合には(ステップS4:YES)、図6に示すように、当該商品を履歴から特定(例えば商品IDで特定)する(ステップS5)。図6に示す例では、ステップS5の処理により、6件の商品が特定されている。ここで、例えば、ステップS2で特定された商品の商品コードと同一の商品コードが(商品名の全部及びジャンルが同一でもよい)、購入履歴、登録履歴、及び閲覧履歴の少なくとも何れかの一つの履歴に含まれていれば、該履歴に含まれている商品コードを持つ商品が、ステップS2で特定された商品と同一の商品として特定される。なお、ステップS2で特定された商品を販売する店舗と、該商品と同一の商品を販売する店舗とが同一(店舗IDが同一)の場合、ステップS2で特定された商品と同一の商品についてはステップS3における特定から除外するように構成してもよい。一方、ステップS2で特定された商品に関連する商品は次のように特定される。すなわち、ステップS2で特定された商品の商品IDに対応付けられた関連商品リスト(つまり、商品情報DB12dに記録された関連商品リスト)に登録されている商品関連情報(例えば、商品コード(或いは、商品名及びジャンルIDでもよい))が、購入履歴、登録履歴、及び閲覧履歴の少なくとも何れかの一つの履歴に含まれていれば、該履歴に含まれている商品関連情報を持つ商品が、ステップS2で特定された商品に関連する商品として特定される。
【0065】
なお、システム制御部14は、上記ステップS1で取得されたボタン属性に基づいて上記履歴の参照優先順位を決定し、決定した参照優先順位にしたがって履歴を参照し、該参照した履歴から商品を特定できるか否かを判定するように構成してもよい。例えば、上記ステップS1で取得されたボタン属性が上記参照リストへの商品の登録のための選択であることを示す場合、システム制御部14は、参照優先順位を、登録履歴→購入履歴→閲覧履歴という順で決定する。そして、システム制御部14は、決定した参照優先順位にしたがって、先ず、登録履歴を参照して、上述した商品を登録履歴から特定できるか否かを判定する。そして、システム制御部14は、該商品を登録履歴から特定できると判定した場合には、該商品を登録履歴から特定して、ステップS6へ進む。一方、システム制御部14は、該商品を登録履歴から特定できないと判定した場合には、次に、購入履歴を参照して、上述した商品を購入履歴から特定できるか否かを判定する。そして、システム制御部14は、該商品を購入履歴から特定できると判定した場合には、該商品を購入履歴から特定して、ステップS6へ進む。一方、システム制御部14は、該商品を購入履歴から特定できないと判定した場合には、次に、閲覧履歴を参照して、上述した商品を閲覧履歴から特定できるか否かを判定する。そして、システム制御部14は、該商品を閲覧履歴から特定できると判定した場合には、該商品を閲覧履歴から特定して、ステップS6へ進む。一方、システム制御部14は、該商品を閲覧履歴から特定できないと判定した場合には、図4(A)に示す処理が終了される。このような構成によれば、ユーザが参照リストへ商品を登録しようとする際には、該商品より有利な商品を、より効果的に該ユーザへ提示することが可能となる。
【0066】
一方、例えば、上記ステップS1で取得されたボタン属性が商品の購入のための選択であることを示す場合、システム制御部14は、参照優先順位を、購入履歴→登録履歴→閲覧履歴という順で決定する。そして、システム制御部14は、決定した参照優先順位にしたがって、先ず、購入履歴を参照して、上述した商品を購入履歴から特定できるか否かを判定する。そして、システム制御部14は、該商品を購入履歴から特定できると判定した場合には、該商品を購入履歴から特定して、ステップS6へ進む。一方、システム制御部14は、該商品を購入履歴から特定できないと判定した場合には、次に、登録履歴を参照して、上述した商品を登録履歴から特定できるか否かを判定する。そして、システム制御部14は、該商品を登録履歴から特定できると判定した場合には、該商品を登録履歴から特定して、ステップS6へ進む。一方、商品を登録履歴から特定できない場合、上記ボタン属性が上記参照リストへの商品の登録のための選択であることを示す場合と同様である。このような構成によれば、ユーザが商品を購入しようとする際には、該商品より有利な商品を、より効果的に該ユーザへ提示することが可能となる。
【0067】
また、システム制御部14は、例えばステップS5において、ステップS3で参照した履歴における商品の中で、現時点(つまり、ステップS5の処理を行っている時)から過去所定時間(例えば、2週間)以内にユーザにより参照された商品を特定対象から除外するように構成してもよい。つまり、現時点から過去所定時間以内にユーザにより参照された商品のユーザへの提示を制限するのである。これは、商品の参照からそれほど時間が経っていなければ、該商品をユーザは覚えていると想定されるためである。例えば、システム制御部14は、購入履歴から商品を特定する場合、購入履歴に含まれる該商品の購入日時が現時点から過去所定時間以内にあれば、該商品を特定対象から除外する。また、例えば、システム制御部14は、登録履歴から商品を特定する場合、登録履歴に含まれる該商品の登録日時が現時点から過去所定時間以内にあれば、該商品を特定対象から除外する。また、例えば、システム制御部14は、閲覧履歴から商品を特定する場合、閲覧履歴に含まれる該商品の閲覧日時が現時点から過去所定時間以内にあれば、該商品を特定対象から除外する。これにより、ユーザに対して商品が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。また、商品が必要以上に提示されることを防止することができるので、当該商品に関するデータ要求を低減できるため、システム負荷を軽減できる。
【0068】
また、システム制御部14は、例えばステップS5において、ステップS3で参照した履歴における商品の中で、現時点から過去に遡って所定件数(例えば、30件)以内の商品を特定対象から除外するように構成してもよい(例えば、現時点から過去所定時間以内にユーザにより参照された商品を除外する構成とのOR条件)。つまり、現時点から過去に遡って所定件数以内の商品のユーザへの提示を制限するのである。このような商品も、ユーザの参照からそれほど時間が経っていない商品と見做すことができる。この構成によっても、ユーザに対して商品が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。また、商品が必要以上に提示されることを防止することができるので、当該商品に関するデータ要求を低減できるため、システム負荷を軽減できる。
【0069】
次に、システム制御部14は、ステップS2で特定された商品の複数種類の取引条件項目のうち比較対象となる取引条件項目に対応する条件と、ステップS5で特定された商品の複数種類の取引条件項目のうち上記比較対象となる取引条件項目に対応する条件を、例えばそれぞれの商品IDをキーとして、商品情報DB12dと店舗情報DB12cの少なくとも何れか一方から取得する(ステップS6)。ここで、比較対象となる取引条件項目は、例えば電子商店街の管理者或いはユーザにより1以上、任意に設定される。例えば、上記比較対象となる取引条件項目が商品価格である場合、上記特定された商品の商品価格に対応する条件(商品に対応付けられた条件:例えば、1,300円)が取得される。なお、図6(A)に示す例には、比較対象となる取引条件項目が商品価格である場合について示しているが、比較対象となる取引条件項目が複数設定される場合もある(例えば、商品価格と商品の在庫数など)。
【0070】
次いで、システム制御部14は、ステップS6で取得された各条件(つまり、ステップS2で特定された商品に対応付けられた条件と、ステップS5で特定された商品に対応付けられた条件)とを比較し、ステップS2で特定された商品よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品が、ステップS5で特定された商品中にあるか否かを判定する(ステップS7)。そして、システム制御部14は、ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品がステップS5で特定された商品中にないと判定した場合には(ステップS7:NO)、図4(A)に示す処理が終了される。つまり、この場合、ユーザにより選択されようとしている商品が最も有利な商品であるため、それ以外の有利な商品の提示は行われず、ユーザは安心して選択しようとしている商品を選択することができる。
【0071】
一方、システム制御部14は、ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品がステップS5で特定された商品中にあると判定した場合には(ステップS7:YES)、ステップS2で特定された商品よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品を、ステップS5で特定された商品の中から抽出(例えば、有利な商品の商品ID、商品名等を抽出)する(ステップS8)。ここで、どのような条件がユーザにとって取引上有利であるかは、取引条件項目毎に予め設定される。例えば、比較対象となる取引条件項目が商品価格である場合、商品価格が高い商品より商品価格が安い商品の方が、ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。図6に示す例では、ユーザにより選択されるようとする商品(商品名:Food-abc、商品価格:1,300円)よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品として、3つの商品が抽出されている。なお、各商品の商品価格に各商品の配送料金を加算し、加算された総額を各商品の条件として比較するように構成してもよい。また、商品価格が同一であるときには、商品数量が少ない商品(例えば、1巻〜10巻までの本)より商品数量が多い商品(例えば、1巻〜15巻までの本)の方が、ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定されてもよい。
【0072】
また、比較対象となる取引条件項目がポイント付与率である場合、ポイント付与率が低い商品よりポイント付与率が高い商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。また、比較対象となる取引条件項目が商品の在庫数である場合、在庫数が少ない商品より在庫数が多い商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。また、比較対象となる取引条件項目が商品を販売する店舗に対する評価情報である場合、評価が低い店舗で販売される商品より評価が高い店舗で販売される商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。また、比較対象となる取引条件項目が発売時期である場合、発売時期がより新しい商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。また、比較対象となる取引条件項目が版数である場合、版数が小さい商品より版数が大きい商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。また、比較対象となる取引条件項目が配送日数である場合、配送日数が多い商品より配送日数が少ない商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。なお、比較対象となる取引条件項目が複数設定される場合において、ユーザにとって取引上有利な条件(つまり、組合せの条件)の判定方法については後述する。
【0073】
ところで、比較対象となる取引条件項目が配送方法等のように、どのような条件である場合にユーザにとって取引上有利であるかを一律に決めることが困難な取引条件項目もある。例えば、配送方法に対応する条件が、メール便と、即日配送とを比較すると、商品を早く欲しいユーザにとっては即日配送の方がユーザにとって取引上有利(好都合)である一方、安い送料で商品を欲しいユーザにとってはメール便の方がユーザにとって取引上有利であると推定される。そのため、この場合、どのような条件がユーザにとって取引上有利であるかは、例えば、システム制御部14が該ユーザの購入履歴を参照して該ユーザが過去に選択した条件の統計をとり、その統計結果に基づいて設定するように構成してもよい。例えば、ユーザが最も多く選択している条件が該ユーザにとって取引上有利な条件であると設定される。これにより、例えば、比較対象となる取引条件項目が配送方法である場合、上記設定された例えば配送方法として即日配送が対応付けられていない商品より、即日配送が対応付けられた商品の方がユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品であると判定されるように設定される。
【0074】
次いで、システム制御部14は、ステップS8で抽出された有利な商品をユーザに提示する提示処理を行う(ステップS9)。例えば、システム制御部14は、ステップS7で抽出された有利な商品の情報を含むポップアップ表示用データを生成してユーザ端末3へ送信する。なお、有利な商品の情報には、例えば、該商品の商品ID、商品名、及び比較対象となった取引条件項目に対応する条件等が含まれる。こうして送信されたポップアップ表示用データをユーザ端末3が受信すると、Webブラウザによりポップアップ表示用データに含まれる有利な商品の情報が、図5(B)に示すように、マウスオーバーされている選択ボタン51の近傍にポップアップ表示される。図5(B)に示す例では、ポップアップ表示として、ポップアップウィンドウW内に有利な商品の商品名53が表示されている。そして、図5(B)に示す例では、ポップアップウィンドウWの表示領域の外縁の一部が、選択ボタン51の表示領域の外縁の一部と接するように構成(或いは、お互いの表示領域の一部重ならせるように構成)することで、有利な商品の情報を選択ボタン51の近傍にポップアップ表示させている。これにより、ユーザが選択しようとする商品より有利な商品が提示される。ポップアップ表示された有利な商品の商品名53には、リンクが設定されている。なお、有利な商品の情報は、ポップアップ表示されるのではなく、Webページ内の所定の表示領域に挿入されて表示されてもよい。
【0075】
なお、ユーザ端末3に表示されているWebページが商品の購入手続きを行うためのWebページである場合、ポップアップ表示用データに含まれる有利な商品の情報が、例えば「商品注文手続きへ」ボタンの近傍にポップアップ表示されることになる。
【0076】
そして、図5(B)に示すような表示状態において、ユーザにより、有利な商品の商品名53が選択(つまり、有利な商品が選択)されるとWebブラウザによりこれが検知され、選択された商品を参照リスト(例えばお気に入りリスト)へ登録する処理を要求するリクエスト(以下、「有利な商品の登録リクエスト」という)が情報提供サーバ1に送信される。また、ユーザ端末3に表示されているWebページが商品の購入手続きを行うためのWebページである場合、ポップアップ表示された有利な商品の商品名が選択(つまり、有利な商品が選択される)されるとWebブラウザによりこれが検知され、選択された商品の購入手続を行う処理を要求するリクエスト(以下、「有利な商品の購入手続リクエスト」という)が情報提供サーバ1に送信されることになる。なお、ユーザにより、有利な商品の商品名53が選択(つまり、有利な商品が選択)されるとWebブラウザによりこれが検知され、選択された商品の詳細情報を表示するWebページへ表示遷移するように構成してもよい。つまり、この場合、選択された商品を参照リストへ登録する処理、又は選択された商品の購入手続を行う処理が行われることに代えて、選択された商品の詳細情報がユーザへ提示されることになる。
【0077】
一方、図5(B)に示すように、ユーザにより選択されようとする商品より有利な商品がユーザに提示されたにも拘らず、該ユーザにより選択ボタン51が選択(つまり、不利な商品が選択)されるとWebブラウザによりこれが検知され、該選択ボタン51に対応する商品を参照リスト(例えばお気に入りリスト)へ登録する処理を要求するリクエスト(以下、「不利な商品の登録リクエスト」という)が情報提供サーバ1に送信される。また、ユーザ端末3に表示されているWebページが商品の購入手続きを行うためのWebページである場合、ユーザにより例えば商品注文手続きへボタンが選択(つまり、不利な商品が選択)されるとWebブラウザによりこれが検知され、選択された商品の購入手続処理を要求するリクエスト(以下、「不利な商品の購入手続リクエスト」という)が情報提供サーバ1に送信される。
【0078】
なお、上記登録リクエストまたは上記購入手続リクエストには、不利な商品(マウスオーバーされた選択ボタン51に対応する商品)の商品ID、及び該商品より有利な商品(ポップアップ表示された有利な商品)の商品IDが含まれる。
【0079】
そして、情報提供サーバ1は、ユーザ端末3へのポップアップ表示用データの送信後、上記登録リクエストを受信すると、図4(B)に示す処理を開始する。なお、図4に示す処理は、上記購入手続リクエストが受信されたときも同様である。
【0080】
図4(B)に示すステップS10では、システム制御部14は、受信された登録リクエストから不利な商品の商品ID、及び該商品より有利な商品の商品IDを取得する。次いで、システム制御部14は、受信された登録リクエストが、有利な商品の登録リクエストであるか否かを判定する(ステップS11)。そして、システム制御部14は、受信された登録リクエストが、有利な商品の登録リクエストであると判定した場合には(ステップS11:YES)、不利な商品の代わりに該商品より有利な商品がユーザにより選択されたことを示す情報を、上記不利な商品を販売する店舗(提供者)に対して通知する(ステップS12)。そして、システム制御部14は、上記リクエストに応じた処理(例えば、選択された商品を参照リストへ登録する処理、或いは、選択された商品の購入手続処理)へ移行する。
【0081】
ステップS12で通知される情報には、不利な商品の商品名及び該商品の取引条件項目(例えば、商品価格)に対応する条件と、有利な商品の商品名及び該商品の取引条件項目(例えば、商品価格)に対応する条件とが含まれる。これにより、当該通知を受けた店舗は出品した商品が、他の商品にどのような条件で負けたかを迅速に把握することができる。そのため、当該店舗は、負けた商品に対応付けられる条件を、ユーザに興味が惹かれるように迅速に改善することが可能となる。なお、不利な商品を販売する店舗(提供者)への上記情報の通知は、例えば電子メールにより行われる。この場合、例えば、システム制御部14は、上記ステップS10で取得された不利な商品(上記ステップS2で特定された商品)の商品IDに対応付けられた店舗IDをキーとして、該商品を販売する店舗の電子メールアドレスを店舗情報DB12cから取得する。そして、システム制御部14は、上記不利な商品の代わりに該商品より有利な商品がユーザにより選択されたことを示す情報を記述する電子メールを、該不利な商品を販売する店舗の電子メールアドレス宛に送信することで該店舗へ通知する。或いは、システム制御部14は、上記不利な商品の代わりに該商品より有利な商品がユーザにより選択されたことを示す情報を上記不利な商品を販売する店舗の店舗IDに対応付けて保存しておき、当該店舗が店舗端末2からログインしたときに当該保存されている情報を店舗端末2に表示されるWebページ上で通知するように構成してもよい。
【0082】
一方、システム制御部14は、受信された登録リクエストが、有利な商品の登録リクエストでないと判定した場合には(ステップS11:NO)、ステップS10で取得された有利な商品(以下、「第2の商品」という)の商品IDに対して、ステップS2で特定された商品(以下、「第1の商品」という)に対応付けられた条件(例えば、商品価格が1,300円)を示す情報を対応付けて例えば商品情報DB12dに記録する(ステップS13)。そして、システム制御部14は、上記リクエストに応じた処理(例えば、選択された商品を参照リストへ登録する処理、或いは、選択された商品の購入手続処理)へ移行する。
【0083】
そして、上記ステップS13で、第2の商品の商品IDに対して該第2の商品(例えば、商品価格が1,000円)より不利な第1の商品の条件(例えば、商品価格が1,300円)が対応付けられて記録された後(言い換えれば、ステップS2で特定された商品が選択された後)に、ユーザにより新たに選択されようとする商品(以下、「第3の商品」という)がステップS2で特定されたとき、ステップS3〜S7を経て、ステップS8で、当該新たに選択されようとする第3の商品(例えば、商品価格が1,100円)よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品として、以前にステップS2で特定された第1の商品のときと同一の第2の商品(例えば、商品価格が1,000円)が抽出されたとする。この場合、システム制御部14は、上記抽出された第2の商品の商品IDに対応付けられた第1の商品の条件(例えば、商品価格が1,300円)より有利な条件(例えば、商品価格が1,100円)がステップS2で特定された第3の商品に対応付けられる場合には、上記抽出された第2の商品の提示を制限するように構成してもよい。第2の商品の提示の制限は、例えば、第2の商品がユーザへ提示されないように該商品の情報をポップアップ表示用データに含ませないことで実現される。或いは、ステップS7の処理で、このような第2の商品を抽出対象外とすることにより第2の商品の提示を制限するように構成してもよい。このような第2の商品の提示を制限するのは、ユーザが、第2の商品より不利な第1の商品を敢えて選択して第2の商品を選択しなかったのであるから、例えばその直後に、該ユーザが第1の商品より有利な第3の商品を選択しようとする場合に、第3の商品よりたとえ有利な第2の商品を提示しても、当該第2の商品は選択される可能性は低いと考えられるためである。このように、上記第1の商品より有利な第2の商品が提示されたにも拘らず該第1の商品がユーザにより選択された後に、該ユーザにより新たに選択されようとする第3の商品が特定されたとき、該第3の商品が第2の商品よりユーザにとって取引上不利な条件が対応付けられ且つ第1の商品よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる場合に、第2の商品の提示を制限するように構成すれば、 ユーザに対して商品が必要以上に提示されることを防止することができ、ユーザに対して煩雑さを与えたり混乱させたりすることを回避することができる。
【0084】
以上説明したように、上記実施形態によれば、情報提供サーバ1がユーザ端末3のユーザにより選択されようとする商品と同一又は関連し、且つ該商品より有利な条件が対応付けられる商品を、ユーザにより過去に参照された商品に関する情報を記憶する記憶部12から抽出して、該抽出された有利な商品を該ユーザに提示するように構成したので、ユーザが過去に参照した商品数が多くて覚えていられない、或いは忘れている場合であっても、そのような商品の中から有利な商品の存在を知らせ、ユーザにとって不利な商品の購入や不利な商品の登録を未然に防ぐことができる。また、ユーザにとって取引上不利な商品を参照リストへ登録することを未然に防ぐことができるので、当該取引上不利な商品を該参照リストから削除する工程を減らすことができるため、システム負荷を軽減できる。
【0085】
次に、上記実施形態において、比較対象となる取引条件項目が複数設定される場合において、ユーザにとって取引上有利な条件の判定方法については説明する。この場合、システム制御部14は、上記ステップS6において、ステップS2で特定された商品の複数種類の取引条件項目のうち比較対象となる複数の取引条件項目に対応する条件と、ステップS5で特定された商品の複数種類の取引条件項目のうち上記比較対象となる複数の取引条件項目に対応する条件を取得する。続いて、システム制御部14は、上記取得された、各取引条件項目に対応する条件に応じた値(以下、「点数」という)を決定し、決定した点数を商品毎に集計して商品毎に例えば総合点数(スコア)を算出する。なお、条件から点数を決定するには、例えば条件から点数を算出する計算式を用いてもよいし、或いは条件と点数との対応関係を示すテーブルを用いてもよい。
【0086】
図7は、特定された商品の各取引条件項目に対応する条件に応じた点数を集計した結果を示す図である。図7に示す例では、比較対象となる取引条件項目として、商品価格、ポイント付与率、商品の在庫数、配送日数、及び配送方法が設定されており、それぞれの取引条件項目に対応する条件及び点数を示している。また、図7に示す例において、配送方法に対応する条件に応じた点数は、即日配送が対応可能でない商品よりも即日配送が対応可能である商品の方が高くなっている。なお、商品の購入のために選択されようとする商品より有利な商品を提示する場合、商品の在庫数が”0”の商品が有利な商品として抽出されないように、例えば、商品の在庫数が”0”に応じた点数は、例えばマイナスとすることが望ましい。そして、システム制御部14は、上記ステップS7において、ステップS2で特定された商品に対して集計された総合点数と、ステップS5で特定された商品に対して集計された総合点数とを比較することにより、ステップS2で特定された商品よりユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられた有利な商品が、ステップS5で特定された商品中にあるか否かを判定する。これにより、例えば、ステップS2で特定された商品の総合点数より大きい総合点数の商品が上記有利な商品として抽出されることになる。例えば、図7に示す例では、ユーザにより選択されるようとする商品(商品名:Food-abc、総合点数:32点)より有利な商品として、1つの商品(商品名:Food-stu、総合点数:33点)が抽出される。このような構成によれば、複数の異なる取引条件項目全体を考慮した観点から、ユーザが選択しようとしている商品よりユーザにとって取引上有利な商品の存在を該ユーザに知らせることができる。
【0087】
更に、上記実施形態において、比較対象となる取引条件項目に対応する条件に応じた点数に対して、該取引条件項目の重要度等に応じた重みを設定するように構成してもよい。この場合、システム制御部14は、上記取得された、各取引条件項目に対応する条件に応じた点数に対して、取引条件項目毎に決められた重みを設定(例えば点数に重みを乗算)してから、該重みが設定された点数を商品毎に集計して商品毎に例えば総合点数を算出する。例えば、デフォルト設定では、商品価格、ポイント付与率、商品の在庫数、配送日数及び配送方法の重みをそれぞれ”1”に設定するが、変更設定では、これらの取引条件項目のうち、例えばポイント付与率の重みだけを”3”に変更するように構成してもよい(この場合、図7に示す例では、有利な商品として、商品名がFood-xyzの商品が抽出される)。このように、重みは、例えば季節やキャンペーン等に応じて電子商店街の管理者等により変更されるように構成すれば効果的である。例えば、ポイント増量キャンペーン期間中には、ポイント付与率の重みを他の取引条件項目より大きくするように構成すれば、ポイント付与率が高い商品を有利な商品としてユーザへ提示することが可能となる。また、例えば、即日配送キャンペーン期間中には、即日配送を条件として含む(つまり、即日配送が対応可能な)配送方法の重みを、他の取引条件項目より大きくするように構成すれば、即日配送が対応可能な商品を有利な商品としてユーザへ提示することが可能となる。
【0088】
更に、上記取引条件項目毎の重みは、ユーザの好みに合わせてカスタマイズするように構成してもよい。この場合、システム制御部14は、ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報(例えばユーザの購入履歴)に基づいて、比較対象となる取引条件項目中で該ユーザが重視する取引条件項目を特定する。ここで、ユーザが重視する取引条件項目は、例えば、ユーザの購入履歴から該ユーザが過去に選択した条件の統計をとり、その統計結果に基づいて決定される。このような統計結果から、例えばユーザが複数の同一の商品の中で商品価格が高くても配送日数が少ない商品を選択していることが判定されれば(ユーザは配送日数重視派である場合)、配送日数が重視する取引条件項目として特定される。一方、例えばユーザが複数の同一の商品の中で配送日数が多くても商品価格が低い商品を選択していることが判定されれば(ユーザは商品価格重視派である場合)、商品価格が重視する取引条件項目として特定される。一方、例えばユーザが複数の同一の商品で且つ商品価格が同一の商品の中でポイント付与率が高い商品を選択していることが判定されれば(ユーザは付与ポイント重視派である場合)、ポイント付与率が重視する取引条件項目として特定される。そして、システム制御部14は、上記特定された取引条件項目に対応する条件に応じた点数に対する重みを、特定されない取引条件項目に対応する条件に応じた値に対する重みよりも高く設定して上記集計を行う。このような構成によれば、ユーザが重視する取引条件項目の観点から、ユーザが選択しようとしている商品よりユーザにとって取引上有利な商品の存在を該ユーザに知らせることができる。つまり、ユーザが重視する取引条件項目に対応する条件が有利な商品の存在をユーザに知らせることができる。
【0089】
上記実施形態において、情報提供サーバ1は、図5(A)に示すようなWebページのリクエストをユーザ端末3から受信したときに、このWebページに掲載される全部又は一部の商品(例えば、Webページを構成する構造化文書内で例えばdivタグ(<div>・・・</div>)により規定された商品)を「ユーザにより選択されようとする商品」と見做して特定するように構成してもよい。この場合、情報提供サーバ1は、該特定した商品ごとに、図4(A)に示すステップS3〜S8の処理を実行し、該特定した商品ごと抽出された有利な商品の情報を、Webページを構成する構造化文書内に含めてユーザ端末3へレスポンスとして送信する。これにより、ユーザ端末3は、Webページを受信することで、該特定された商品ごと抽出された有利な商品の情報を事前に(つまり、商品がユーザにより選択されようとする前に)保持(つまり、記憶手段としてのメモリに記憶)することができる。そして、受信されたWebページが表示されている状態で、ユーザにより所望の商品の選択ボタン51が指し示される(つまり、選択されようとする)と、ユーザ端末3のWebブラウザは、選択されようとする商品を特定する。そして、ユーザ端末3のWebブラウザは、該特定した商品と同一又は関連し、且つ該商品より有利な条件が対応付けられる有利な商品(つまり、事前に情報提供サーバ1により抽出された商品)をメモリから抽出して、該抽出された有利な商品を該ユーザに提示する。このような構成によれば、選択されようとする商品より有利な商品の存在を、より迅速に知らせることができる。なお、この構成の場合、ユーザ端末3が本発明の情報処理装置として機能(ユーザ端末3のCPUが特定手段、抽出手段、及び提示手段として機能)するということもできる。
【0090】
なお、上記実施形態においては、本発明における取引対象を商品に適用したが、取引対象がサービスに適用されてもよい。そして、サービスの予約が可能なシステムに対して本発明が適用されてもよい。サービスの予約としては、例えば、宿泊施設の宿泊予約、ゴルフ場等の競技施設の利用予約、交通機関の座席の予約等がある。この場合、情報提供サーバ1は、ユーザ端末3のユーザにより選択されようとするサービスと同一又は関連し、且つ該サービスより有利な条件が対応付けられるサービスを、ユーザにより過去に参照されたサービスに関する情報を記憶する記憶部から抽出して、該抽出されたサービスを該ユーザに提示することになる。
【符号の説明】
【0091】
1 情報提供サーバ
2 店舗端末
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
12a 会員情報DB
12b ジャンル情報DB
12c 店舗情報DB
12d 商品情報DB
12e 閲覧履歴DB
12f 購入履歴DB
12g 参照リスト登録履歴DB
13 入出力インターフェース
14 システム制御部
14a CPU
14b ROM
14c RAM
15 システムバス
NW ネットワーク
S 情報提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段における前記取引対象の中で、現時点から過去所定時間以内に前記ユーザにより参照された前記取引対象の提示を制限する第1制限手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段における前記取引対象の中で、現時点から過去に遡って所定件数以内の前記取引対象の提示を制限する第1制限手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定手段により特定された第1の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる前記第2の前記取引対象が前記提示手段により前記ユーザに提示されたにも拘らず該第1の前記取引対象が前記ユーザにより選択された後に、前記ユーザにより新たに選択されようとする第3の前記取引対象が前記特定手段により特定されたとき、前記第3の前記取引対象が前記第2の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上不利な条件が対応付けられ且つ前記第1の前記取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる場合に、前記第2の前記取引対象の提示を制限する第2制限手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示手段により提示された前記取引対象が前記ユーザにより選択された場合、前記特定手段により特定された前記取引対象の提供者に対して、該取引対象の代わりに前記提示手段により提示された前記取引対象が選択されたことを示す情報を通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取引対象に関する情報は、前記ユーザが取引した取引対象の取引履歴、所定の参照リストにユーザが登録した取引対象の登録履歴、及び前記ユーザが閲覧したページに配置された取引対象の閲覧履歴のうちの少なくとも何れか一つの履歴に含まれており、
前記特定手段は、前記取引又は前記登録のために前記選択されようとする前記取引対象を特定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取引のために前記選択されようとする前記取引対象が特定される場合、前記抽出手段は、該特定される取引対象と同一又は関連し且つ該取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を前記取引履歴から優先して抽出することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記登録のために前記選択されようとする前記取引対象が特定される場合、前記抽出手段は、該特定される取引対象と同一又は関連し且つ該取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を前記登録履歴から優先して抽出することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取引対象のそれぞれには、1以上の項目毎に条件が対応付けられており、
前記取引対象に対応付けられる前記項目のうちの1以上の前記項目に対応する条件に応じた値を集計する集計手段を更に備え、
前記抽出手段は、前記特定手段により特定される取引対象に対して前記集計手段により集計される値と、該特定される取引対象と同一又は関連する前記取引対象であって前記記憶手段における前記取引対象に対して前記集計手段により集計される値とを比較することにより、前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる前記取引対象を抽出することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報に基づいて、複数種類の前記項目中で該ユーザが重視する項目を特定する項目特定手段を更に備え、
前記集計手段は、前記項目特定手段により特定される項目に対応する条件に応じた値に対する重みを、前記項目特定手段により特定されない項目に対応する条件に応じた値に対する重みよりも高く設定して前記集計を行うことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定ステップにより特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段、
前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段、及び、
前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
ユーザにより選択されようとする取引対象を特定する特定手段、
前記特定手段により特定される取引対象と同一又は関連し、且つ前記特定手段により特定される取引対象より前記ユーザにとって取引上有利な条件が対応付けられる取引対象を、前記ユーザにより過去に参照された取引対象に関する情報を記憶する記憶手段から抽出する抽出手段、及び、
前記抽出手段により抽出される前記取引対象を前記ユーザに提示する提示手段として機能させる情報処理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記憶されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114356(P2013−114356A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258230(P2011−258230)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)