説明

情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム

【課題】ユーザに対し、画面に表示されている文章を読ませる意識を向上させることで業務漏れの低減を図ることが可能な、情報処理装置を提供する。
【解決手段】画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得部と、前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断部と、前記判断部による判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御部と、前記画面表示部が設定した前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定部と、を備え、前記判断部は、前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定部に判定させることを特徴とする、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行など金融機関の営業店舗窓口では日常的に、来店した顧客から依頼されて様々な業務が行われている。そのような業務の中には、例えば顧客に対して実施すべき事項が複数存在する場合がある。例えば、銀行の新規口座開設においては、顧客による帳票への氏名や住所等の記入、帳票への印鑑の押印、身分証明書の提示等の実施すべき事項が複数存在する。しかし、人間の力だけに頼ると、このような実施すべき事項の実施に漏れが出る場合がある。
【0003】
そこで、従来においては、例えば特許文献1〜3に記載された発明のように、業務での実施漏れを低減するために、実施すべき事項を業務の流れに沿って順番に画面に表示する技術が存在する。さらに、図1に示すように、画面に表示されているチェックボックスをマウスクリックによりチェックさせることで細い注意喚起を促すことが可能になり、業務漏れの低減に役立っている。また近年では、タブレットと言われる板状の情報表示装置に、電子ペン等で文字を記入させることで、金融機関における業務を顧客に行わせる取引システムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4228777号公報
【特許文献2】特開2008−107932号公報
【特許文献3】特開2007−241330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画面に表示されているチェックボックスをマウスクリックによりチェックさせるという方法では、実際にチェックボックスの横に表示されている説明文を読まなくても、顧客はチェックボックスにチェックをつけることが可能であるという問題があった。例えば、業務に慣れた人は、画面に表示されている文章を読まずにチェックボックスにチェックを付けてしまい、業務漏れの低減という効果が薄くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザに対し、画面に表示されている文章を読ませる意識を向上させることで業務漏れの低減を図ることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得部と、前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断部と、前記判断部による判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御部と、前記画面表示部が設定した前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定部と、を備え、前記判断部は、前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定部に判定させることを特徴とする、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記画面表示制御部は、前記画面に表示する所定の文章の下部に前記記入領域を、該所定の文章の行単位で設定するようにしてもよい。
【0009】
前記画面表示制御部は、前記記入領域の内部の所定の領域に始点領域及び終点領域を設定し、前記判定部は、前記記入領域に実線が引かれたことを、該実線の始点が前記始点領域に、終点が前記終点領域に存在しているかどうかで判定するようにしてもよい。
【0010】
前記画面表示制御部は、前記始点領域を、前記記入領域の左端から、前記画面に表示する前記所定の文章の先頭の文字と2文字目の間まで設定するようにしてもよい。
【0011】
前記画面表示制御部は、前記終点領域を、前記記入領域の右端から、前記画面に表示する前記所定の文章の最後の文字と右から2文字目の間まで設定するようにしてもよい。
【0012】
前記画面表示制御部は、前記所定の文章が句読点で区切られている場合に、前記記入領域を、該句読点に対応する位置で区切って設定するようにしてもよい。
【0013】
前記判定部は、前記記入領域に引かれた前記実線が該記入領域をはみ出していないことを、前記記入領域に実線が引かれたことの条件とするようにしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得ステップと、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断ステップと、前記判断ステップでの判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御ステップと、前記画面表示ステップで設定された前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定ステップと、を備え、前記判断ステップは、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定ステップで判定させることを特徴とする、情報処理方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得ステップと、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断ステップと、前記判断ステップでの判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御ステップと、前記画面表示ステップで設定された前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定ステップと、を実行させ、前記判断ステップは、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定ステップで判定させることを特徴とする、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、ユーザに対し、画面に表示されている文章を読ませる意識を向上させることで業務漏れの低減を図ることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の取引画面の例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1の構成例を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の機能構成を示す説明図である。
【図4A】タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図4B】タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100の動作を示す説明図である。
【図8】タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図9】タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.第1の実施形態>
[情報表示システムの構成例]
まず、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システムの構成例について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1の構成例を示す説明図である。以下、図2を用いて、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1の構成例について説明する。
【0020】
図2に示したように、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1は、制御用コンピュータ100と、タブレット200と、電子ペン300と、を含んで構成される。
【0021】
制御用コンピュータ100は、本発明の情報処理装置の一例であり、内部に有するコンピュータプログラム等によって、タブレット200への画面表示を制御する。タブレット200は、画面を表示する機能を有する板状の端末である。タブレット200は、VGA(Video Graphics Array)、DVI(Digital Visual Interface)その他の画像表示規格に則った画面表示用ケーブル11、およびUSBその他の規格に則った制御用ケーブル12によって制御用コンピュータ100と接続される。タブレット200は、制御用コンピュータ100の制御によって、画面に画像を表示する。
【0022】
電子ペン300は、タブレット200のポインティングデバイスである。電子ペン300のペン先を、タブレット200の画面に接触させることで、タブレット200は、電子ペン300のペン先が接触した座標位置や、電子ペン300のペン先の筆圧情報等の、電子ペン300のタブレット200の画面への接触に伴って発生する情報(以下「デバイス情報」とも称する)を取得することができる。
【0023】
以上、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1の構成例について説明した。続いて、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の機能構成について説明する。
【0024】
[制御用コンピュータおよびタブレットの機能構成]
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の機能構成を示す説明図である。以下、図3を用いて本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の機能構成について説明する。
【0025】
図3に示したように、本発明の第1の実施形態にかかる制御用コンピュータ100は、デバイス情報受信部110と、判断部120と、アンダーライン判定部130と、画面表示制御部140と、画面情報送信部150と、記憶部160と、を含んで構成される。
【0026】
また、図3に示したように、本発明の第1の実施形態にかかるタブレット200は、デバイス情報検知部210と、デバイス情報送信部220と、画面情報受信部230と、画面表示部240と、を含んで構成される。
【0027】
まず制御用コンピュータ100の構成について説明する。デバイス情報受信部110は、タブレット200のデバイス情報送信部220から制御用ケーブル12を介して送信されるデバイス情報を受信する。デバイス情報受信部110は、タブレット200から受信したデバイス情報を判断部120へ提供する。
【0028】
判断部120は、デバイス情報受信部110がタブレット200から受信したデバイス情報の提供を受けて、そのデバイス情報を基に次に実行すべき動作を判断する。例えば、判断部120がデバイス情報受信部110から取得したデバイス情報が、タブレット200に電子ペン300で記入されたアンダーラインの判定処理を実行するためのボタンが押されたものであると判断すれば、判断部120は、タブレット200に電子ペン300で記入されたアンダーラインの判定をアンダーライン判定部130に指示する。また判断部120は、デバイス情報受信部110から取得したデバイス情報に基づいて、タブレット200に表示すべき内容を決定し、画面表示制御部140に対して、タブレット200に表示する情報の作成を指示する。
【0029】
アンダーライン判定部130は、判断部120からの指示に基づいて、タブレット200に電子ペン300で記入されたアンダーラインの判定処理を実行するものである。アンダーライン判定部130は、例えば判断部120の指示により、タブレット200に電子ペン300で記入されたアンダーラインが所定の記入領域内に記入されたものであるかを判断する処理を実行する。
【0030】
画面表示制御部140は、判断部120の指示に基づいて、タブレット200に表示する情報(画面情報)を作成する。画面表示制御部140は、例えば、アンダーライン判定部130によるアンダーライン判定の結果をタブレット200に表示させるための情報の作成の指示を判断部120から受けて、判断部120の指示に基づいて、アンダーライン判定部130によるアンダーライン判定の結果をタブレット200に表示させるための情報を生成する。画面表示制御部140は、作成した情報を画面情報送信部150に送る。
【0031】
画面情報送信部150は、画面表示制御部140が作成した、タブレット200に表示する情報(画面情報)を、画面表示用ケーブル11を介してタブレット200に送信する。タブレット200は、画面情報送信部150から画面表示用ケーブル11を介して送られてきた情報(画面情報)を受信することで、制御用コンピュータ100が生成した情報(画面情報)を表示することができる。
【0032】
記憶部160は、デバイス情報受信部110が、タブレット200から受信したデバイス情報を記憶する。記憶部160に記憶されたデバイス情報は、判断部120によるアンダーライン判定処理に用いられる。
【0033】
続いてタブレット200の構成について説明する。デバイス情報検知部210は、電子ペン300のペン先がタブレット200の画面表示部240に接触した際に、その接触した座標や電子ペン300の筆圧などのデバイス情報を検知する。デバイス情報検知部210は、電子ペン300のペン先の、画面表示部240への接触により得られるデバイス情報を、デバイス情報送信部220に送る。
【0034】
デバイス情報送信部220は、デバイス情報検知部210が検知して取得したデバイス情報を受け取り、受け取ったデバイス情報を、制御用ケーブル12を介して制御用コンピュータ100へ送信する。
【0035】
画面情報受信部230は、制御用コンピュータ100の画面情報送信部160から画面表示用ケーブル11を介して送信されて来る情報(画面情報)を受信する。画面情報受信部230は、画面情報送信部160から送信されて来る画面情報を画面表示部240へ送る。
【0036】
画面表示部240は、画面情報受信部230から送られて来る画面情報に基づいて画像を表示する。画面表示部240は、画面情報受信部230から送られて来る画面情報に基づいて画像を表示することで、制御用コンピュータ100の画面表示制御部140が生成した情報(画面情報)を表示することができる。また画面表示部240は、電子ペン300のペン先の接触を検知することができるよう構成されている。画面表示部240が、電子ペン300のペン先の接触を検知することができるよう構成されていることで、デバイス情報検知部210が電子ペン300のデバイス情報を検知することができる。
【0037】
制御用コンピュータ100とタブレット200とが、図3に示したような構成を有することで、タブレット200の画面表示部240に電子ペン300を接触させてアンダーラインを記入すると、制御用コンピュータ100は、入力されたアンダーラインを判定して、アンダーラインが所定の記入領域内に記入されたかどうかを判定することが出来る。
【0038】
図4Aは、タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。図4Aに示したのは、画面表示部240に電子ペン300のペン先を接触させてアンダーラインを記入させるための画面の一例である。図4Aに示した画面には、アンダーライン記入部410、420、430と、確定ボタン440と、が含まれている。
【0039】
アンダーライン記入部410、420、430は、ユーザに電子ペン300のペン先を画面表示部240に接触させてアンダーラインを記入させるための領域である。アンダーライン記入部410、420、430は、それぞれ、ユーザに対して確認を促すための文章の下部に表示されている。ユーザは、電子ペン300のペン先を画面表示部240に接触させて、アンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインを記入することができる。
【0040】
もちろん、アンダーライン記入部410、420、430の位置や数は、かかる例に限定されるものではないことは言うまでもない。例えば、アンダーライン記入部410、420、430の位置は、文章の下部ではなく、上部に設けられるようにしてもよい。アンダーライン記入部410、420、430の位置を、文章の上部に設ける場合であっても、画面に表示されている文章を読ませる意識を向上させるという目的は達成できる。
【0041】
また、図4Aでは、アンダーライン記入部410、420、430に実線で枠を設けていたが、本発明はかかる例に限定されるものではないことは言うまでもなく、枠の線種を破線や点線としても良く、また枠自体を表示しないようにしてもよい。枠自体を表示しないようにすることで、文章をより注意してユーザに読ませることができる。
【0042】
確定ボタン440は、アンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインを記入した後に押下するためのボタンである。ユーザが、電子ペン300のペン先を画面表示部240に接触させて確定ボタン440を押下すると、制御用コンピュータ100は、アンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインが正確に記入されているかどうかを判定する処理を実行する。
【0043】
制御用コンピュータ100は、アンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインが正確に記入されているかどうかを判定するに際して、例えば、アンダーライン記入部410、420、430に始点領域と終点領域とを設定し、その始点領域と終点領域とが一本のアンダーラインで結ばれているかどうか、かつ、そのアンダーラインがアンダーライン記入部410、420、430をはみ出していないかどうかで判定しても良い。
【0044】
図4Bは、タブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図であり、図4Aに示した画面の一例のうち、アンダーライン記入部410のみを抽出して示したものである。
【0045】
図4Bには、アンダーライン記入部410に始点領域410aおよび終点領域410bが設けられている状態を示している。なお、始点領域410aおよび終点領域410bは、画面表示部240に現れないようにすることが望ましい。始点領域410aおよび終点領域410bの存在をユーザに意識させないためである。
【0046】
制御用コンピュータ100は、アンダーライン記入部410にアンダーラインが正確に記入されているかどうかを判定するに際して、アンダーラインの始点がアンダーライン記入部410の始点領域410aに、終点が終点領域410bに存在し、かつ、アンダーラインが一本で結ばれているかどうかを判断し、かつ、そのアンダーラインがアンダーライン記入部410をはみ出していないかどうか判断する。
【0047】
制御用コンピュータ100は、このようにアンダーラインを判定することで、アンダーライン記入部410にアンダーラインが正確に記入されているかどうかを判定することができる。
【0048】
以上、図3を用いて本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の機能構成について説明した。次に、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作について説明する。
【0049】
[制御用コンピュータおよびタブレットの動作]
図5は、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示す説明図である。図5に示した流れ図は、ユーザが電子ペン300を用いてタブレット200の画面表示部240に表示されている画面へ線を引く場合の、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示したものである。以下、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作について説明する。
【0050】
タブレット200に、図4Aに示したような画面が画面表示部240に表示されている場合において、ユーザが電子ペン300のペン先をタブレット200の画面表示部240に接触させてペン先を移動させると(ステップS101)、デバイス情報検知部210は、電子ペン300のデバイス情報を検知し、デバイス情報送信部220は、デバイス情報検知部210が検知したデバイス情報を制御用コンピュータ100に送信する(ステップS102)。ここでデバイス情報検知部210は、電子ペン300の接触座標や筆圧、接触を開始した座標位置、接触を終了した座標位置などの情報を、デバイス情報として検出する。
【0051】
制御用コンピュータ100では、タブレット200から送信されてきたデバイス情報をデバイス情報受信部110が受信し、デバイス情報受信部110が受信したデバイス情報は判断部120が取得する。判断部120は、取得したデバイス情報と、タブレット200に表示されている内容とから、デバイス情報の判定を行う(ステップS103)。
【0052】
ここで、判断部120が実行するデバイス情報の判定は、取得したデバイス情報から、電子ペン300のペン先の座標位置が記入領域内にあるかどうかを判定して、記入領域内にあれば、タブレット200の画面表示部へ、ペン先の移動に伴って線(アンダーライン)を表示する処理である。また、電子ペン300のペン先の座標位置が記入領域内にあれば、デバイス情報は記憶部160に送られ、記憶部160に記憶される。
【0053】
上記ステップS103で、タブレット200に線(アンダーライン)を表示することを判断部120が決定すると。判断部120は、タブレット200に線(アンダーライン)を表示するための情報を画面表示制御部140に作成させる。画面表示制御部140は、判断部120からの指示に基づいて、タブレット200に線(アンダーライン)を表示するための情報を生成する。生成した情報は、画面情報送信部150からタブレット200に送られる(ステップS104)。
【0054】
タブレット200は、画面情報送信部150から送信されてくる、線(アンダーライン)を画面表示部240に表示するための情報を画面情報受信部230で受信し、受信した情報に基づいて、線(アンダーライン)を画面表示部240に表示する(ステップS105)。
【0055】
このように一連の動作が制御用コンピュータ100及びタブレット200で行われることで、ユーザが電子ペン300を用いてタブレット200の画面表示部240に表示されている画面へ線を引くことができる。
【0056】
図6は、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示す説明図である。図6に示した流れ図は、図4Aに示したような画面が表示されている場合に、ユーザによって確定ボタン440が電子ペン300で押下されたときの、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作を示したものである。以下、本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する、制御用コンピュータ100およびタブレット200の動作について説明する。
【0057】
ユーザが、電子ペンを用いてアンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインを記入して、電子ペン300で確定ボタン440を押下すると(ステップS201)、デバイス情報検知部210は、電子ペン300のデバイス情報を検知し、デバイス情報送信部220は、デバイス情報検知部210が検知したデバイス情報を制御用コンピュータ100に送信する(ステップS202)。ここでデバイス情報検知部210は、電子ペン300の接触座標や筆圧、接触を開始した座標位置、接触を終了した座標位置などの情報を、デバイス情報として検出する。
【0058】
制御用コンピュータ100では、タブレット200から送信されてきたデバイス情報をデバイス情報受信部110が受信し、デバイス情報受信部110が受信したデバイス情報は判断部120が取得する。判断部120は、取得したデバイス情報と、タブレット200に表示されている内容とから、アンダーライン記入部410、420、430にアンダーラインが正確に記入されているかどうかの判定をアンダーライン判定部130に行わせる(ステップS203)。
【0059】
そして判断部120は、アンダーライン判定部130による判定の結果から次にタブレット200の画面表示部240に表示すべき画面を決定し、その画面を表示するための情報を画面表示制御部140に作成させる。例えば、アンダーライン判定部130による判定の結果、アンダーラインがアンダーライン記入部410、420、430に正確に記入されていれば次の業務の画面を、正確に記入されていなければエラー表示する画面を画面表示制御部140に作成させる。
【0060】
画面表示制御部140は、判断部120からの指示に基づいて、タブレット200の画面表示部240に表示する画面の情報を生成する。生成した情報は、画面情報送信部150からタブレット200に送られる(ステップS204)。
【0061】
タブレット200は、画面情報送信部150から送信されてくる、画面表示部240に表示する画面の情報を画面情報受信部230で受信し、受信した情報に基づいて、画面表示制御部140が生成した画面を画面表示部240に表示する(ステップS205)。
【0062】
図7は、アンダーライン判定部130による、アンダーライン記入部410へのアンダーラインの記入判定処理を示す流れ図である。アンダーライン判定部130は、記憶部160に記憶されているデバイス情報から、引かれた線の最も左の点がアンダーライン記入部410のある一定の領域内(例えば、始点領域410aの中)にあり、また、最も右の点がアンダーライン記入部410の別の一定の領域内(例えば、終点領域410bの中)にあるかどうかを判定する(ステップS301)。
【0063】
上記ステップS301の判定の結果、引かれた線の最も左の点がアンダーライン記入部410のある一定の領域内(例えば、始点領域410aの中)にあり、また、最も右の点がアンダーライン記入部410の別の一定の領域内(例えば、終点領域410bの中)にあれば、続いて、アンダーライン判定部130は、アンダーライン記入部410に一筆書きで線が引かれているかどうかを判定する(ステップS302)。具体的には、アンダーライン判定部130は、アンダーライン記入部410に対して記憶部160に記憶されているデバイス情報を全て判定し、接触を開始した座標位置と、接触が終了した座標位置とが1つずつであれば、アンダーライン記入部410に一筆書きで線が引かれていると判定する。
【0064】
上記ステップS302の判定の結果、アンダーライン記入部410に一筆書きで線が引かれていると判定した場合は、アンダーライン判定部130はアンダーラインがアンダーライン記入部410に正しく引かれたと判定する(ステップS303)。一方、上記ステップS301の判定の結果、引かれた線の最も左の点がアンダーライン記入部410のある一定の領域内(例えば、始点領域410aの中)に無いか、もしくは最も右の点がアンダーライン記入部410の別の一定の領域内(例えば、終点領域410bの中)に無い場合、または、上記ステップS302の判定の結果、アンダーライン記入部410に一筆書きで線が引かれていないと判定した場合は、アンダーライン判定部130はアンダーラインがアンダーライン記入部410に正しく引かれていないと判定する(ステップS304)
【0065】
なお、アンダーライン判定部130は、上述の処理に加え、記憶部160に記憶されているデバイス情報を全て判定し、線がアンダーライン記入部410からはみ出ていないかどうかで、アンダーラインがアンダーライン記入部410に正しく引かれているかどうかを判定してもよい。
【0066】
制御用コンピュータ100は、このようにアンダーラインが正確に引かれているかどうかの判定を実行することで、ユーザにアンダーラインを正確に引かせることができ、ユーザに対し、文章を読む意識を向上させることが出来る。従って、制御用コンピュータ100は、ユーザに対して文章をよく読まずにチェックを付ける行為を低減することが可能になり、業務漏れの低減を図ることが出来る。
【0067】
また、ユーザに引かせるアンダーラインは一筆書きとすることで、アンダーラインを引かずに、アンダーライン記入部410の左端と右端の定められた領域に触れただけでアンダーラインを引いたように見せかける行為を防止でき、業務漏れの低減を図ることが出来る。
【0068】
<2.第2の実施形態>
上述した本発明の第1の実施形態では、1行につき1つのアンダーライン記入部を設けて、ユーザに対し、そのアンダーライン記入部にアンダーラインを記入させていた。以下で説明する本発明の第2の実施形態では、アンダーライン記入部を句読点に対応する位置で区切っておく。これにより、ユーザの文章を読む意識をより向上させることが出来る効果が期待できる。
【0069】
本発明の第2の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する装置、および各装置の構成は、図1および図2に示した本発明の第1の実施形態にかかる情報表示システム1を構成する制御用コンピュータ100およびタブレット200と同一であるので、構成についての詳細な説明は省略する。
【0070】
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる情報表示システム1のタブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。図8に示したのは、画面表示部240に電子ペン300のペン先を接触させてアンダーラインを記入させるための画面の一例である。図8に示した画面には、アンダーライン記入部510a、510b、520a、520b、530a、530bと、確定ボタン540と、が含まれている。
【0071】
図8に示したように、本発明の第2の実施形態では、各アンダーライン記入部は句読点に対応する位置で区切られている。そして、各アンダーライン記入部に対するアンダーラインの記入判定は、上述した本発明の第1の実施形態でのアンダーライン判定部130による判定と同様に行われる。このように、各アンダーライン記入部を、句読点に対応する位置で区切り、各アンダーライン記入部へアンダーラインをユーザに引かせることで、ユーザの文章を読む意識をより向上させることが出来る。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる情報表示システム1のタブレット200の画面表示部240に表示される画面の一例を示す説明図である。図9に示したのは、画面表示部240に電子ペン300のペン先を接触させてアンダーラインを記入した状態の画面を示したものである。
【0073】
図9に示した画面は、いずれも、各アンダーライン記入部に正確にアンダーラインが記入されていない例を示したものである。アンダーライン記入部510a、510bに記入されたアンダーラインは、アンダーライン記入部510aにおいて、終点が所定の領域内に含まれておらずアンダーライン記入部510aからはみ出しており、アンダーライン記入部510bにおいて、始点が所定の領域内に含まれておらずアンダーライン記入部510bからはみ出している。アンダーライン記入部520a、520bに記入されたアンダーラインについても同様である。
【0074】
また、アンダーライン記入部530aに記入されたアンダーラインは、始点も終点も所定の領域内に含まれているが、アンダーラインがアンダーライン記入部530aからはみ出している。そしてアンダーライン記入部530bに記入されたアンダーラインは、始点が所定の領域内に含まれておらずアンダーライン記入部530bからはみ出している。
【0075】
制御用コンピュータ100は、各アンダーライン記入部を、句読点に対応する位置で区切り、各アンダーライン記入部にアンダーラインが正確に引かれているかどうかの判定を実行することで、ユーザにアンダーラインを正確に引かせることができ、ユーザに対し、文章を読む意識をさらに向上させることが出来る。従って、制御用コンピュータ100は、ユーザに対して文章をよく読まずにチェックを付ける行為を低減することが可能になり、業務漏れの低減を図ることが出来る。
【0076】
また、ユーザに引かせるアンダーラインは一筆書きとすることで、アンダーラインを引かずに、各アンダーライン記入部の左端と右端の定められた領域に触れただけでアンダーラインを引いたように見せかける行為を防止でき、業務漏れの低減を図ることが出来る。そして、各アンダーライン記入部を、句読点に対応する位置で区切ることで、ユーザの文章を読む意識をより向上させることが出来る。
【0077】
なお、本発明においてはかかる例に限定されるものではない。例えば、各アンダーライン記入部を、図8や図9のように明確に句読点に対応する位置で区切るのではなく、図4Aに示したように行単位で1つずつ設け、アンダーラインの記入判定の際に、アンダーラインが句読点に対応する位置で区切られているかどうかを判定することで、句読点の下でアンダーラインがきちんと途切れているかを判断しても良い。
【0078】
<3.まとめ>
以上説明したように本発明の各実施形態によれば、ユーザに対し、重要な文章を読ませる意識を向上させるために、タブレット200に表示される文章の下部に、電子ペン300を用いてアンダーラインを引かせる。制御用コンピュータ100は、タブレット200で業務が進められようとしている際に、設定した所定のアンダーライン記入部に、正確にアンダーラインが引かれたかどうかを判定する。制御用コンピュータ100は、アンダーラインが正確に記入されていればタブレット200で業務を進め、正確に記入されていなければ業務を進めないようにする。
【0079】
このように、タブレット200で表示される文章に電子ペン300でアンダーラインが正確に引かれたかどうかを制御用コンピュータ100が判定することで、ユーザが文章をよく読まずに処理を進めることを防ぐ効果が期待でき、ユーザの文章を読む意識を向上させることが出来る。
【0080】
さらに、本発明の第2の実施形態では、ユーザに対し、重要な文章を読ませる意識をより一層向上させるために、タブレット200に表示される文章の下部に、電子ペン300を用いて、句読点で区切るようにアンダーラインを引かせる。これにより、ユーザが文章をよく読まずにただアンダーラインを引くという動作を防ぐ効果が期待でき、ユーザの文章を読む意識をより一層向上させることが出来る。
【0081】
なお、上記実施形態における各種動作は、ハードウェア的な処理によって実行されるようにしてもよく、ソフトウェア的な処理によって実行されるようにしてもよい。ソフトウェア的な処理によって上記各実施形態における各種動作を実行する場合には、コンピュータプログラムが格納された記録媒体及びコンピュータプログラムを実行するプロセッサその他の制御手段を制御用コンピュータ100に設け、係る記録媒体からコンピュータプログラムを読み出し、係る制御手段において順次実行するようにしてもよい。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0083】
1 情報表示システム
11 画面表示用ケーブル
12 制御用ケーブル
100 制御用コンピュータ
110 デバイス情報受信部
120 判断部
130 アンダーライン判定部
140 画面表示制御部
150 画面情報送信部
160 記憶部
200 タブレット
210 デバイス情報検知部
220 デバイス情報送信部
230 画面情報受信部
240 画面表示部
300 電子ペン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得部と、
前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断部と、
前記判断部による判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御部と、
前記画面表示部が設定した前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定部と、
を備え、
前記判断部は、前記接触状況取得部が取得した前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定部に判定させることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記画面表示制御部は、前記画面に表示する所定の文章の下部に前記記入領域を、該所定の文章の行単位で設定することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画面表示制御部は、前記記入領域の内部の所定の領域に始点領域及び終点領域を設定し、
前記判定部は、前記記入領域に実線が引かれたことを、該実線の始点が前記始点領域に、終点が前記終点領域に存在しているかどうかで判定することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画面表示制御部は、前記始点領域を、前記記入領域の左端から、前記画面に表示する前記所定の文章の先頭の文字と2文字目の間まで設定することを特徴とする、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画面表示制御部は、前記終点領域を、前記記入領域の右端から、前記画面に表示する前記所定の文章の最後の文字と右から2文字目の間まで設定することを特徴とする、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画面表示制御部は、前記所定の文章が句読点で区切られている場合に、前記記入領域を、該句読点に対応する位置で区切って設定することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記記入領域に引かれた前記実線が該記入領域をはみ出していないことを、前記記入領域に実線が引かれたことの条件とすることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得ステップと、
前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断ステップと、
前記判断ステップでの判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御ステップと、
前記画面表示ステップで設定された前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定ステップと、
を備え、
前記判断ステップは、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定ステップで判定させることを特徴とする、情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
画面への筆記具の接触状況を取得する接触状況取得ステップと、
前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況に応じて実行する処理を判断する判断ステップと、
前記判断ステップでの判断に基づいて前記画面に表示する内容を制御するとともに、前記筆記具を用いて前記画面に実線を引かせる記入領域を設定する画面表示制御ステップと、
前記画面表示ステップで設定された前記記入領域に実線が引かれたことを判定する判定ステップと、
を実行させ、
前記判断ステップは、前記接触状況取得ステップで取得された前記筆記具の接触状況を取得して、前記記入領域に実線が引かれたことを前記判定ステップで判定させることを特徴とする、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105420(P2013−105420A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250631(P2011−250631)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】