説明

情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム

【課題】直感的な操作入力を行うときの指の操作負荷を軽減し、操作しやすいデバイスを提供する。
【解決手段】本技術における情報処理装置は、ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関し、より詳細には、タッチセンサを用いて操作体の操作入力を検出する情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末等として普及しているGUI(Graphical User Interface)のコントローラとして、タッチパネルなどのセンサを用いた入力デバイスがある。
【0003】
従来の入力デバイスは、表示部が設けられた表面側のみ上記センサを設けた構成が主流であるが、このような入力デバイスにおいては表面から操作入力が行われるため、表示部に表示された情報を指で隠してしまい、操作性が悪化するという問題があった。近年の表示部の高解像度化によって、操作性はさらに悪化すると考えられる。また、表面からの入力操作は他人から見えやすく、例えば暗証番号のように機密性の高い情報を入力する際、入力する情報を隠すことが困難であった。さらに、近年のタッチ操作バリエーションの増加に伴い、入力操作時の動作(ジェスチャ)が競合して誤動作が生じやすくなり、操作性が悪化するという問題もあった。
【0004】
近年では、複数の指の接触を同時に検出できる、いわゆるマルチタッチを検出可能なタッチパネルも普及し始めている。また、デバイスに複数のセンサを備えることによって、操作性の向上を実現することも行われている(例えば、特許文献1、2)。このようなデバイスにおいて、センサの1つをデバイスの表示部と反対側の面(背面)に指の接触を検出するタッチセンサを備えることで、背面側で操作入力を行うことができるようになり、小型のデバイスであっても表示画面を指で隠すことがなくなる。また、複数のセンサを設けることで、従来のタッチパネルでは実現できなかったような直感的なインタラクションや、操作系の拡張を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108061号公報
【特許文献2】特開2009−157908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、使用時にはユーザの目に入らず、意識し難い背面にセンサを配置した場合、表示面に表示された特定のボタンを触るような操作や文字入力等のように、絶対座標で位置を指定する操作は難しい。このため、このようなセンサはジェスチャ等の直感的な操作入力の検出に用いるのが有効である。
【0007】
ここで、ユーザが使用時に直視できない位置にセンサとしてタッチパッドを配置し、操作入力としてドラッグ操作を行う場合を考えると、指の可動範囲が狭いときには直感的な操作とはいえ指の動きだけでドラッグ操作を行うのは指に大きな負荷がかかる。そこで、直感的な操作入力を行うときの指の操作負荷を軽減し、操作しやすいデバイスを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0009】
本開示によれば、ユーザが操作時に目視できない位置に接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部が配置されている。操作判定部が検出部の検出信号からタップ操作の入力があったと判定したとき、このタップ操作が行われた位置に応じて操作対象が操作される。
【0010】
また、本開示によれば、ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定するステップと、タップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0011】
さらに、本開示によれば、コンピュータを、ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、を備える、情報処理装置として機能させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本開示によれば、直感的な操作入力を行うときの指の操作負荷を軽減することの可能な、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施形態に係る、ユーザがスクロール操作を行う情報端末の構成を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理装置により提供するスクロール操作の概要を説明する説明図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】同実施形態に係るタップ操作によるスクロール処理を示すフローチャートである。
【図5】一般的なタップ操作の判定処理におけるタッチ点とリリース点との関係を示す説明図である。
【図6】タップ操作によるスクロール方向およびスクロールする操作量の決定方法を説明する説明図である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置の一ハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.スクロール操作の概要
2.情報処理装置の構成
3.タップ操作によるスクロール処理
4.ハードウェア構成例
【0016】
<1.スクロール操作の概要>
まず、図1および図2に基づいて、本開示の実施形態におけるスクロール操作の概要を説明する。なお、図1は、ユーザがスクロール操作を行う情報端末の構成を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る情報処理装置により提供するスクロール操作の概要を説明する説明図である。
【0017】
本実施形態に係る情報処理装置は、情報端末の表示部に表示されている操作対象を、ユーザがタップ操作を行った位置に基づき操作する装置である。当該情報処理装置を用いることで、一般的にドラッグ操作で行われていた、例えば表示部に表示された写真、映像や文書のサムネイル、アイコン等の一覧の送りや、映像の早送り/巻き戻し、ボリュームのアップダウン等を、タップ操作で行うことが可能となる。
【0018】
例えば、図1に示すように情報端末100の表面101a側に表示部200が設けられ、表面101aと反対側の面101bに背面タッチセンサ210が配置されているとする。背面タッチセンサ210は、ユーザは操作時に目視できない位置に配置されている。背面タッチセンサ210により情報端末100の背面101bに対する操作体の接触が検出されると、情報処理装置は、表示部200に表示されている操作対象を操作するイベントを発行する。
【0019】
背面101bでの操作は、情報端末100を保持しながら自由に動かすことのできる指で行うのが通常である。このため、指の可動範囲が狭く、操作負荷が高くなり易い。このような場合、情報端末100を持ち替えたり、手全体を動かしたりして、操作可能な状態にする必要があり、手間がかかる。そこで、本実施形態に係る情報端末100の情報処理装置は、操作負荷を軽減すべく、通常、ドラッグ操作で行われていたスクロール操作をタップ操作で行うことができるようにする。
【0020】
例えば、図2に示すように、表示部200に「A」〜「E」の5つの写真202が一列に配列されたリストが表示されているとする。このとき、本実施形態に係る情報処理装置は、背面タッチセンサ210の検出領域の左側でタップ操作が行われたことを検知すると、表示部200に表示されている写真202のリストを右側へスクロールさせる。一方、情報処理装置は、背面タッチセンサ210の検出領域の右側でタップ操作が行われたことを検知すると、表示部200に表示されている写真202のリストを左側へスクロールさせる。このように、タップ操作が行われた位置に応じてリストをスクロールさせることで、ドラッグ操作を繰り返してリストをスクロールさせる場合と比較して、格段にユーザの操作負荷を軽減することが可能となる。
【0021】
以下、図3〜図7に基づいて、本実施形態に係る情報端末100の情報処理装置の構成とそれによるタップ操作によるスクロール処理について詳細に説明していく。
【0022】
<2.情報処理装置の構成>
図3に、本実施形態に係る情報端末100の情報処理装置の機能構成を示す。情報処理装置は、図3に示すように、検出部110と、判定処理部120と、操作量制御部130と、イベント発行部140と、設定情報記憶部150と、メモリ160とを備える。
【0023】
検出部110は、ユーザが情報を入力する入力装置の1つであって、指等の操作体の位置の接触を検出する。検出部110としては、例えば、静電気による電気信号を感知することにより操作体の接触を検知する静電式タッチパネルや、背面への圧力の変化を感知して指の接触を検知する感圧式のタッチパネル等を用いることができる。検出部110は、操作体の接触を検出すると、当該操作体の接触を特定するために付与された検出ID、位置情報p0(x0、y0)、および接触時刻t0を検出信号として判定処理部120へ出力する。
【0024】
判定処理部120は、操作体の動きを解析してタップ操作が行われたか否かを判定する処理部であって、検出領域判定部122と、操作判定部124とからなる。
【0025】
検出領域判定部122は、検出部110からの検出信号の位置情報に基づいて、操作体が接触検出面に接触したか否かを判定する。検出領域判定部122は、設定情報記憶部140を参照して、接触検出面に対応して設けられた検出部110の検出領域210の範囲を取得する。そして、検出領域判定部122は、検出信号の位置情報より操作体の接触位置が検出領域210に含まれるか否かを判定する。
【0026】
ここで、検出領域210に対して、当該検出領域210の一部であって操作体の接触判定に用いる接触判定領域を設定してもよい。接触判定領域は、検出領域210からユーザが意図せず操作体を接触し易い位置を除外した領域である。このような接触判定領域を用いて操作体の接触を判定することで、ユーザが意図していないにも関わらずタップ操作が行われたと誤判定するのを防止することが可能となる。
【0027】
検出領域判定部122は、操作体の接触位置が検出領域210または接触判定領域に含まれていると判定したとき、操作判定部124に対して当該操作体の接触動作に付与された検出IDの検出信号を継続して監視するよう指示する。この際、検出領域判定部122は、検出部110から受けた検出信号に含まれる情報、すなわち、検出ID、位置情報および接触時刻をメモリ150に記録する。
【0028】
操作判定部124は、検出領域210または接触判定領域内で接触している操作体の動きから、ユーザが行う操作入力を判定する。操作判定部124は、例えば後述するタップ操作判定処理に基づいて操作体の動きを監視し、タップ操作が行われたが否かを判定する。そして、タップ操作が行われたと判定したとき、操作判定部124は、操作量制御部130に対して操作対象をスクロールさせる操作量を算出するよう指示する。なお、操作判定部124は、タッチ操作が行われなかったと判定した場合には、操作量制御部130に対して操作量の算出指示は行わない。
【0029】
操作処理部120によるタップ操作の判定処理の詳細については、後に図4および図5に基づき詳細に説明する。
【0030】
操作量制御部130は、タップ操作が行われた接触位置に基づいて、操作対象の操作量を算出する。操作量制御部130は、例えば、操作体の接触位置が検出領域の中心から離隔するほど操作量が大きくなるように、接触位置に応じた操作量を都度算出する。操作制御部130は、算出した操作量を、タッチ操作により実行されるイベントの発行指示とともに、イベント発行部140へ出力する。なお、操作量制御部130は、タップ操作を行った操作体の接触位置と検出領域の中心との距離に応じて操作体の操作量を変化させる場合にのみ機能させればよい。
【0031】
イベント発行部140は、操作量制御部130の指示に基づきイベントを発行する。本実施形態では、イベント発行部140は、操作量制御部130からの操作量およびイベント発行指示を受けて、タップ操作に関連付けられたイベント、すなわち操作対象のスクロール処理のイベントを発行する。
【0032】
設定情報記憶部150は、タップ操作の判定処理や操作対象のスクロール操作に必要な各種設定情報を記憶する。設定情報記憶部150には、例えば検出部110の検出領域の範囲を示す領域情報や、タップ操作を判定するためのタップ判定距離Dおよびタップ判定時間T等が記録されている。これらの情報は、設定情報記憶部150に予め記憶させておいてもよく、ユーザによって適宜設定して記憶させてもよい。
【0033】
メモリ160は、タップ操作の判定処理に必要な情報を一時的に記憶する記憶部である。メモリ160には、例えば検出部110から受信した検出信号に含まれる情報が記録される。
【0034】
<3.タップ操作によるスクロール処理>
このような情報処理装置は、図4に示すフローチャートに従って、タップ操作によるスクロール処理を行う。ここで、検出部110は、接触検出面に対する操作体の接触の有無を継続的に監視しているものとする(S100)。検出部110は、接触検出面に対する操作体の接触を検出するまで繰り返しステップS100の処理を行っている。そして、検出部110は、接触検出面に対する操作体の接触を検出すると、検出領域判定部122に対して検出信号を出力する。
【0035】
検出領域判定部122は、検出部110より検出信号を受信すると、接触検出面に対する操作体の接触位置が検出領域210または接触判定領域内にあるか否かを判定する(S110)。本実施形態では、接触判定領域を用いて操作体の接触を判定するものとする。上述したように、接触判定領域は、検出部110の検出領域210の一部の領域であり、検出領域210からユーザが意図せず指等を接触させてしまう可能性の高い領域を除外して設定することができる。検出領域判定部122は、当該接触判定領域内に操作体の接触位置がないと判定したとき、図4に示す処理を終了し、ステップS100からの処理を繰り返す。すなわち、ステップS110の処理により、接触判定領域から除外された検出領域210にユーザが意図せず操作体を接触させても、その操作体の接触は無視され、誤ってイベントが発行される可能性を低減することができる。
【0036】
一方、ステップS110にて接触判定領域内に操作体の接触位置があると判定したとき、検出領域判定部122は、メモリ160に操作体の接触位置および接触時刻を検出IDと関連付けて記録する(S120)。そして、操作判定部124は、当該検出IDの検出信号を継続して監視して、当該操作体が接触検出面から離隔された(リリースされた)か否かを判定する(S130)。操作体のリリースが検出されるまではステップS130の処理が繰り返される。
【0037】
ステップS130にて操作体のリリースが検出されると、操作判定部124は、当該操作体の接触位置と離隔位置との距離、および操作体が接触検出面に接触してから離隔するまでの時間に基づいて、タップ操作が行われたか否かを判定する(S140)。
【0038】
ここで、図5に基づいて、一般的なタップ操作の判定処理について説明する。図5は、一般的なタップ操作の判定処理におけるタッチ点とリリース点との関係を示す説明図である。タッチセンサは、接触検出面に対する操作体の接触を検出すると、操作体の接触状態を示す検出信号を情報処理装置に対して出力する。検出信号には、当該操作体の接触を特定するために付与された固有の情報である検出ID、接触検出面における操作体の接触位置を表す位置情報p0(x0、y0)、および接触時刻t0が含まれる。情報処理装置は、タッチセンサから受けた検出信号の各情報をメモリ160に記録する。
【0039】
情報処理装置は、接触検出面に接触している操作体に付与された検出IDの検出信号を継続して監視する。そして、操作体が接触位置p0から所定の距離(タップ判定距離)D以上移動されたとき、情報処理装置は、当該操作体はタップ操作を行っていないと判定し、当該検出IDの検出信号の監視を停止する。一方、操作体が接触検出面から離隔したとき、情報処理装置は、接触位置p0からの移動距離がタップ判定距離D未満であり、かつ操作体が接触検出面に接触してから離隔するまでの接触時間が所定時間(タップ判定時間)T未満であれば、当該操作体により行われた一連の動きがタップ操作であると判定する。すなわち、図5に示すタッチ点p0を中心とする半径Dの円形のタップ判定領域220内においてタップ判定時間T内に操作体が接触検出面から離隔されたとき、情報処理装置は、当該操作をタップ操作と判定する。
【0040】
このようなタップ操作判定処理を用いて、図4のステップS140の処理が行われる。本実施形態では、操作判定部124は、メモリ160に記憶されている操作体が接触検出面に接触したときの検出信号と、操作体のリリースが検出されたときの検出信号とから、移動距離および接触時間を算出する。そして、操作判定部124は、設定情報記憶部140よりタップ判定距離Dおよびタップ判定時間Tを取得して、算出した移動距離および接触時間との比較をそれぞれ行う。
【0041】
操作体の移動距離がタップ判定距離D未満であり、かつ操作体の接触時間がタップ判定時間T未満であるという条件を満たさないとき、操作判定部124は図4に示す処理を終了し、ステップS100からの処理を繰り返す。一方、操作体の移動距離がタップ判定距離D未満であり、かつ操作体の接触時間がタップ判定時間T未満であるとき、操作判定部124は、タップ操作が行われたと判定し、タップ操作に対応するイベントの発行を決定する。
【0042】
イベントの発行が決定されると、操作量制御部130により操作対象の操作量が算出される(S150)。例えば図6に示すように、情報端末100に背面タッチセンサ210が設けられているとする。背面タッチセンサ210の検出領域は、検出領域の中心Cを境界に、紙面右側に位置する右領域210Rと、紙面左側に位置する左領域210Lとからなる。例えば、図2に示した例では、ステップS140にて右領域210Rでのタップ操作が検出されていれば、表示部に表示された操作対象である写真202のリストは左方向にスクロールされる。一方、左領域210Lでのタップ操作が検出されていれば、表示部に表示された操作対象である写真202のリストは右方向にスクロールされる。
【0043】
操作量制御部130は、ステップS140にて決定されたスクロール方向に加えて、スクロールする操作量を、操作体の接触位置と背面タッチセンサ210の検出領域の中心Cとの距離に基づき決定する。例えば、図6に示すように、検出領域の外周に近い接触位置P1と、検出領域の中心Cに近い接触位置P2とがあるとする。接触位置P1と中心Cとの距離はL1、接触位置P2と中心Cとの距離はL2(<L1)である。このとき、操作量制御部130は、接触位置が検出領域の中心Cから離隔しているほど操作量を大きくすることができる。
【0044】
図6では、接触位置P2より接触位置P1の方が検出領域の中心Cから離れた位置にあるため、接触位置P1でのタップ操作によるリストのスクロール操作の操作量が、接触位置P2での処理と比較して大きい。すなわち、接触位置P1での1回のタップ操作によるスクロール量の方が、接触位置P2での1回のタップ操作によるスクロール量より大きい。このようにタップ操作を行う位置によって、操作対象の操作量も変更可能とすることで、操作性をより高めることができる。検出領域の中心Cから操作体の接触位置までの距離に応じた操作量の増加は、例えば当該距離に比例して増加させてもよく、加速度的に増加させてもよい。
【0045】
操作量制御部130により、操作対象をスクロールさせる操作量が算出されると、イベント発行部140は、タップ操作に基づき操作対象をスクロールさせるイベントを発行する(S160)。このとき、イベント発行部140は、検出領域の中心Cに対する操作体の接触位置から決定されたスクロール方向に、検出領域の中心Cから接触位置までの距離から算出された操作量だけ操作対象をスクロールさせる。
【0046】
以上、本実施形態に係るタップ操作による操作対象のスクロール処理について説明した。このように、通常ドラッグ操作で行われるスクロール処理をタップ操作により行うことが可能となる。これにより、ユーザは、情報端末100を保持しているために可動範囲の狭くなった指でも、端末を持ち替えたりて全体を動かすことなく、容易に操作対象をスクロールさせることが可能となり、ユーザの操作負荷を軽減することができる。
【0047】
ここで、上述のようにタップ操作のみで操作対象をスクロールさせることも可能であるが、通常のドラッグ操作とタップ操作とをともにスクロール処理に割り当て、2つの操作を共存させることもできる。このとき、例えばスクロールの操作量を細かく制御したい場合にはドラッグ操作を用い、一方操作対象を大きくスクロールさせたい場合にはタップ操作を用いるといった使い分けをすることが可能となる。
【0048】
また、上述の例では、検出領域の左領域210Lをタップしたとき操作対象を右スクロールし、検出領域の右領域210Rをタップしたとき操作対象を左スクロールさせたが、本技術はかかる例に限定されない。タップ操作の位置と操作対象のスクロール方向との関係は画面の形状やユーザの好みに応じて設定可能である。したがって、例えば検出領域の右領域210Rをタップしたとき操作対象を右スクロールし、検出領域の左領域210Lをタップしたとき操作対象を左スクロールさせてもよい。また、操作対象を画面の上下方向にスクロールさせたい場合には、例えば検出領域の上領域をタップすると操作対象が下スクロールし、下領域をタップすると操作対象が上スクロールするようにしてもよい。もちろん、タップ操作の位置と操作対象のスクロール方向との関係は逆であってもよい。
【0049】
さらに、表示部200に表示されている操作対象のリスト構造によって、操作判定部124により自動的にスクロール方向が左右方向であるか上下方向であるかを判別するようにしてもよい。また、情報端末100の向きが変更され、画面の向きに応じて動的にリスト構造が変更された場合にも、リスト構造の変更に応じてタップ操作による接触位置とスクロール方向との関係を変更するようにしてもよい。
【0050】
また、操作対象が地図等のような二次元構造である場合、タップ操作が行われた位置に応じて、操作対象を平面上で移動させるようにすることもできる。
【0051】
さらに、本実施形態の背面タッチセンサ210のように、操作時にはユーザが直視できない位置にセンサが設けられている場合、操作に対応してユーザにフィードバックを行う通知部を設けることで操作性を高めることができる。フィードバックとしては、例えば操作が行われたとき表示部200に表示されている表示情報に揺らぎを与えたり、タップ操作が行われた位置に波紋を立たせたりする、視覚的なフィードバック方法がある。あるいは、操作が行われたときに音声を出力するなど、聴覚的にフィードバックを行ってもよい。
【0052】
<4.ハードウェア構成例>
本実施形態に係る情報処理装置による処理は、ハードウェアにより実行させることもでき、ソフトウェアによって実行させることもできる。この場合、情報処理装置は、図7に示すように構成することもできる。以下、図7に基づいて、本実施形態に係る情報処理装置の一ハードウェア構成例について説明する。
【0053】
本実施形態に係る情報処理装置は、上述したように、コンピュータ等の処理装置により実現することができる。情報処理装置は、図7に示すように、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904aとを備える。また、情報処理装置は、ブリッジ904と、外部バス904bと、インタフェース905と、入力装置906と、出力装置907と、ストレージ装置(HDD)908と、ドライブ909と、接続ポート911と、通信装置913とを備える。
【0054】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904aにより相互に接続されている。
【0055】
ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904および外部バス904bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0056】
入力装置906は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。出力装置907は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置を含む。
【0057】
ストレージ装置908は、情報処理装置の記憶部の一例であり、データ格納用の装置である。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置908は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置908は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0058】
ドライブ909は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ909は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。
【0059】
接続ポート911は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置913は、例えば、通信網10に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置913は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記実施形態では、検出部としてタッチセンサを端末の背面側に設ける例について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、本技術の情報処理装置によるタップ操作判定処理は、端末の側面や表面に設けられたタッチセンサに対して適用してもよい。
【0062】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、
前記操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記タップ操作が行われたときに前記操作対象をスクロールさせるとき、
前記操作判定部は、前記タップ操作が行われた位置に応じて前記操作対象のスクロール方向を決定する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記検出部の検出領域の中心と前記タップ操作が行われた位置との関係に基づいて、前記操作対象を操作する操作量を制御する操作量制御部をさらに備える、前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記操作量制御部は、前記検出部の検出領域の中心と前記タップ操作が行われた位置との距離が大きくなるほど、前記操作量を大きくする、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたときに、ユーザに対してフィードバックを通知する通知部をさらに備える、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(6)
前記操作判定部は、
前記検出信号に基づいて、前記操作体の接触位置から離隔位置までの移動距離および前記操作体が前記接触検出面に接触してから離隔するまでの接触時間を算出し、
前記移動時間が所定距離未満であり、かつ前記接触時間が所定時間未満であるとき、前記操作体の動きがタップ操作であると判定する、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0063】
100 情報処理装置
110 検出部
120 判定処理部
122 検出領域判定部
124 操作判定部
130 操作量制御部
140 イベント発行部
150 設定情報記憶部
160 メモリ
200 表示部
210 検出領域
220 タップ判定領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、
前記操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記タップ操作が行われたときに前記操作対象をスクロールさせるとき、
前記操作判定部は、前記タップ操作が行われた位置に応じて前記操作対象のスクロール方向を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部の検出領域の中心と前記タップ操作が行われた位置との関係に基づいて、前記操作対象を操作する操作量を制御する操作量制御部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作量制御部は、前記検出部の検出領域の中心と前記タップ操作が行われた位置との距離が大きくなるほど、前記操作量を大きくする、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたときに、ユーザに対してフィードバックを通知する通知部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記操作判定部は、
前記検出信号に基づいて、前記操作体の接触位置から離隔位置までの移動距離および前記操作体が前記接触検出面に接触してから離隔するまでの接触時間を算出し、
前記移動時間が所定距離未満であり、かつ前記接触時間が所定時間未満であるとき、前記操作体の動きがタップ操作であると判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定するステップと、
タップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザの操作時に目視できない位置に配置された接触検出面に対する操作体の接触を検出する検出部からの検出信号に基づいて、タップ操作の入力の有無を判定する操作判定部と、
前記操作判定部によりタップ操作が行われたと判定されたとき、当該タップ操作が行われた位置に基づいて操作対象を操作するイベントを発行するイベント発行部と、
を備える、情報処理装置として機能させる、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80374(P2013−80374A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219947(P2011−219947)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】