説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】秘匿すべき情報を格納した保持手段を備えた情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段に格納された情報が他者に悪用されることを防ぐこと。
【解決手段】情報処理装置は、少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段と、無線信号を受信する受信手段と、前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定し、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関し、特に、非接触ICを搭載した携帯端末その他の情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の高性能化および多機能化は急速に進んできている。近年では、携帯端末に非接触IC(Integrated Circuit)を搭載することで、携帯端末の利用者に様々なサービスが提供されている。非接触ICを搭載した携帯端末によると、利用者は携帯端末を電子マネーの決済手段として利用し、さらに、ポイントカード、乗車券、社員証等として用いることも可能となる。
【0003】
非接触ICを搭載した携帯端末によると、利用者の利便性の向上を図ることはできるものの、携帯端末を紛失した場合や、携帯端末が盗難に遭った場合には、これらの機能を他者に不正使用されるおそれがある。
【0004】
特許文献1には、ICカードを搭載した携帯電子端末を置き忘れた場合や盗難に遭った場合に、ICカードの機能を停止しロックする技術が記載されている。
【0005】
一方、携帯端末が他人に取得されるケースとして、上記以外にも、次のようなケースが考えられる。例えば、携帯端末の利用者が地震、津波等の自然災害に遭遇した場合、交通事故等の事故に巻き込まれた場合等が考えられる。
【0006】
特許文献2には、災害発生時において、携帯電話の利用者が身動きを取れなくなったときに、利用者の位置を素早く探索するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−297315号公報
【特許文献2】特開2010−224851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0009】
携帯端末の利用者が災害や事故に遭遇した場合のように、携帯端末の利用者に緊急事態が発生した場合には、利用者が携帯端末を放置せざるを得ない状況が生じ得る。しかしながら、このような場合においても、利用者の過失によって携帯端末を置き忘れた場合や携帯端末が盗難に遭った場合と同様に、携帯端末が他人によって取得され、非接触ICに格納されたデータや非接触ICに基づいて提供されるサービスを他人に悪用されるリスクが生じる。
【0010】
また、携帯端末の利用者が災害や事故に遭遇した場合には、携帯端末のみならず、携帯端末に搭載された非接触ICも破損し、非接触ICの機能を回復することができなくなるおそれもある。
【0011】
特許文献1に記載された不正使用対策システムでは、置き忘れたり、盗難に遭ったりしたICカードと、このICカードとペアになっている他のICカードを搭載した携帯電子端末との距離が離れた場合に、ICカードの機能がロックされる。しかしながら、かかるシステムによると、ICカードまたはICカードを搭載した携帯電子端末のいずれか一方のみを所持している利用者が、所持しているICカードまたは携帯電子端末を置き忘れたり、盗難に遭ったりした場合に対処することができない。また、かかるシステムによると、非接触ICを搭載した携帯端末のみを所持している利用者が、上述の緊急事態に遭遇した場合に生じる問題を解決することができない。
【0012】
特許文献2に記載された携帯電話は、アンテナから災害情報を受信し、利用者が所定の段階以上の災害に遭遇したと判定した場合に救難信号を発信する。かかる携帯電話は、利用者の素早い救護に資する可能性がある。しかしながら、利用者が意識不明である場合や、利用者が身動きのとれない状況にある場合には、利用者の位置が特定されることで、他人に携帯電話を奪い取られるリスクも同時に高まるという問題がある。
【0013】
そこで、秘匿すべき情報を格納した保持手段を備えた情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段に格納された情報が他者に悪用されることを防ぐことが課題となる。本発明の目的は、かかる課題を解決する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の視点に係る情報処理装置は、
少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段と、
無線信号を受信する受信手段と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定し、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する制御手段と、を備える。
【0015】
本発明の第2の視点に係る情報処理方法は、
少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段を備えた情報処理装置が、無線信号を受信する工程と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定する工程と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する工程と、を含む。
【0016】
本発明の第3の視点に係るプログラムは、
無線信号を受信する処理と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定する処理と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する処理と、をコンピュータに実行させる。なお、プログラムは、非トランジエントなコンピュータ読み取り可能な(non−transient computer−readable)記録媒体に記録されたプログラム製品として提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムによると、秘匿すべき情報を格納した保持手段を備えた情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段に格納された情報が他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る情報処理装置の構成を一例として示すブロック図である。
【図2】本発明に係る情報処理装置の構成を一例として示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の構成を一例として示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の動作を一例として示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の構成を一例として示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の動作を一例として示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の構成を一例として示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態に係る情報処理装置(携帯端末)の動作を一例として示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
はじめに、本発明の概要について説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る情報処理装置の概略構成を一例として示すブロック図である。図2を参照すると、情報処理装置は、少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段(13)と、無線信号を受信する受信手段(11)と、無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定し、無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、第1の保持手段(13)からの情報の読み出しを制限する制御手段(14)と、を備える。
【0021】
かかる情報処理装置によると、秘匿すべき情報を格納した保持手段(13)を備えた情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段(13)に格納された情報が他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。
【0022】
図2は、本発明に係る情報処理装置の概略構成を一例として示すブロック図である。図2を参照すると、情報処理装置は、情報を保持する第2の保持手段(16)をさらに備え、制御手段(14)は、無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、第1の保持手段(13)に格納された秘匿すべき情報を第2の保持手段(16)に退避させるようにしてもよい。
【0023】
かかる情報処理装置によると、秘匿すべき情報が第1の保持手段(13)から第2の保持手段(16)へと退避させられ、少なくとも第1の保持手段(13)から秘匿すべき情報を読み出すことが不可能となる。したがって、情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段(13)に格納された情報が他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。さらに、かかる情報処理装置によると、情報処理装置の利用者が災害や事故等の緊急事態に遭遇した場合に、情報処理装置に搭載された保持手段(13)が破損し、その機能を回復することができなくなったときにも、保持手段(16)に退避させた情報を読み出すことで、保持手段(13)に格納されていた秘匿すべき情報を回復することが可能となる。
【0024】
また、制御手段(14)は、無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、第1の保持手段(13)を非ロック状態からロック状態に遷移させるようにしてもよい。
【0025】
かかる情報処理装置によると、秘匿すべき情報を格納した保持手段(13)を備えた情報処理装置の利用者が緊急事態に遭遇した場合において、保持手段(13)に格納された情報の読み出しが不可能となり、他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。
【0026】
図2を参照すると、情報処理装置は、利用者からの入力を受け付ける入力手段(15)をさらに備え、制御手段(14)は、第1の保持手段(13)からの情報の読み出しを制限した場合に、入力手段(15)を介して所定の入力を受け付けたときには、第1の保持手段(13)からの情報の読み出しの制限を解除するようにしてもよい。ここで、制御手段(14)は、第1の保持手段(13)を非ロック状態からロック状態に遷移させた場合に、入力手段(15)を介して所定の入力を受け付けたときには、第1の保持手段(13)をロック状態から非ロック状態に遷移させるようにしてもよい。一方、制御手段(14)は、第1の保持手段(13)に格納された秘匿すべき情報を第2の保持手段(16)に退避させた場合に、入力手段(15)を介して所定の入力を受け付けたときには、第2の保持手段(16)に退避させた秘匿すべき情報を第1の保持手段(13)に書き戻すようにしてもよい。
【0027】
かかる情報処理装置によると、利用者が緊急事態から解放された場合には、情報処理装置に対して所定の入力を行うことで、保持手段(13)に掛けられた制限を素早く解除することが可能となる。
【0028】
制御手段(14)は、緊急事態が所定の基準以上の災害である場合に、第1の保持手段(13)からの情報の読み出しを制限するようにしてもよい。例えば、緊急事態が地震である場合には、地震の発生を知らせる情報に含まれる震度が所定の震度以上(例えば、震度5以上)である場合や、想定される津波の高さが所定の高さ(例えば、3メートル以上)である場合に、制御手段(14)は、第1の保持手段(13)からの情報の読み出しを制限するようにしてもよい。
【0029】
かかる情報処理装置によると、緊急事態の内容が、情報処理装置の利用者が重大な危険にさらされた可能性が高い場合に限り、保持手段(13)に格納された情報に制限をかけることが可能となる。
【0030】
なお、情報処理装置は、携帯電話、スマートフォン等に限らず、ゲーム機、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC等であってもよい。
【0031】
また、情報処理装置が携帯電話である場合において、第1の保持手段(13)は、携帯端末の利用者に様々なサービスが提供するための非接触ICであってもよい。また、この場合において、秘匿すべき情報は、携帯電話の利用者の個人情報等であってもよい。ただし、本発明において、第1の保持手段(13)、および、秘匿すべき情報は、これらに制限されない。
【0032】
本発明において、下記の形態が可能である。
[形態1]
上記第1の視点に係る情報処理装置のとおりである。
[形態2]
情報処理装置は、情報を保持する第2の保持手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させるようにしてもよい。
[形態3]
前記制御手段は、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させるようにしてもよい。
[形態4]
情報処理装置は、利用者からの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限した場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段からの情報の読み出しの制限を解除するようにしてもよい。
[形態5]
前記制御手段は、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段をロック状態から非ロック状態に遷移させるようにしてもよい。
[形態6]
前記制御手段は、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第2の保持手段に退避させた前記秘匿すべき情報を前記第1の保持手段に書き戻すようにしてもよい。
[形態7]
前記制御手段は、前記緊急事態が所定の基準以上の災害である場合に、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限するようにしてもよい。
[形態8]
上記第2の視点に係る情報処理方法のとおりである。
[形態9]
上記情報処理方法において、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を、情報を保持する第2の保持手段に退避させる工程を含んでいてもよい。
[形態10]
上記情報処理方法において、前記情報処理装置は、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させるようにしてもよい。
[形態11]
上記情報処理方法において、前記情報処理装置は、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限した場合に、利用者から所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段からの情報の読み出しの制限を解除するようにしてもよい。
[形態12]
上記情報処理方法において、前記情報処理装置は、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させた場合に、利用者から所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段をロック状態から非ロック状態に遷移させるようにしてもよい。
[形態13]
上記情報処理方法において、前記情報処理装置は、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第2の保持手段に退避させた前記秘匿すべき情報を前記第1の保持手段に書き戻すようにしてもよい。
[形態14]
上記情報処理方法において、前記情報処理装置は、前記緊急事態が所定の基準以上の災害である場合に、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限するようにしてもよい。
[形態15]
上記第3の視点に係るプログラムのとおりである。
[形態16]
上記プログラムにおいて、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を、情報を保持する第2の保持手段に退避させる処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
[形態17]
上記プログラムにおいて、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させる処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
[形態18]
上記プログラムにおいて、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限した場合に、利用者から所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段からの情報の読み出しの制限を解除する処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
[形態19]
上記プログラムにおいて、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させた場合に、利用者から所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段をロック状態から非ロック状態に遷移させる処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
[形態20]
上記プログラムにおいて、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第2の保持手段に退避させた前記秘匿すべき情報を前記第1の保持手段に書き戻す処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
[形態21]
上記プログラムにおいて、前記緊急事態が所定の基準以上の災害である場合に、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する処理を、コンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0033】
(実施形態1)
第1の実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照して説明する。ここでは、一例として、情報処理装置が携帯端末である場合について説明する。本実施形態の携帯端末は、緊急災害情報を受信することによる非接触ICの活性、非活性機能を有する。
【0034】
図3を参照すると、携帯端末は、緊急災害情報受信回路21、非接触IC23、非接触IC23のロックを制御するロック制御回路22、入力部25、および、これらを制御するCPU(Central Processing Unit)24を備えている。なお、緊急災害情報受信回路21、入力部25、および、非接触IC23は、それぞれ、図2における受信手段11、入力手段15、および、第1の保持手段13に相当する。また、CPU24およびロック制御回路22は、図2における制御手段14に相当する。
【0035】
緊急災害情報受信回路21は、例えば、地震緊急速報等を検知する。
【0036】
非接触IC23は、一例として、携帯端末を財布の代わりとして用いるための機能が組み込まれた非接触型のICである。具体的には、非接触IC23によると、携帯端末の利用者に対して、電子マネー、会員証、乗車券、ポイントカード、チケット等のサービスが提供される。
【0037】
ロック制御回路22は、非接触IC23の電源やロック状態を制御する。
【0038】
CPU24は、緊急災害情報受信回路21で検知した情報を参照し、予め設定していた閾値以上の緊急災害情報である場合には、非接触IC23のロック制御回路22に指示して、非接触IC23をロック(すなわち、読み出しを禁止)する。
【0039】
携帯端末の利用者が携帯端末を使用してもよい状態であると判断した場合には、入力部25に対してパスワード等を入力する。CPU24は、入力部25を介して入力されたパスワード等を確認し、正しい場合には、非接触IC23のロックを解除し、活性化する。
【0040】
図4は、本実施形態の携帯端末の動作を一例として示すフローチャートである。図4のフローチャートを参照して、本実施形態の携帯端末の動作について説明する。
【0041】
緊急災害情報受信回路21は、緊急災害情報を受信すると、CPU24に出力する(ステップS1)。
【0042】
CPU24は、緊急災害情報が予め設定された所定の閾値以上の災害であるかどうかを判定する(ステップS2)。閾値以上の災害である場合には(ステップS2のYes)、CPU24は非接触IC23のロック制御回路22を動作させて、非接触IC23をロックする(ステップS3、S4)。
【0043】
CPU24は、非接触IC23をロックさせた後、入力部25を介して予め設定しておいたパスワード等が入力されるまで、ロック制御回路22に対して非接触IC23のロック状態を維持させる(ステップS5のNo)。
【0044】
一方、入力部25を介して予め設定したパスワード等が利用者等によって入力された場合には(ステップS5のYes)、CPU24は、非接触IC23を活性化させ、復帰させるようにロック制御回路22に指示する(ステップS6、S7)。
【0045】
本実施形態の携帯端末によると、災害等緊急情報を受信した場合に、情報保持手段(非接触IC23等)を自動的にロックすることが可能となる。特に、緊急(災害)情報の受信をトリガとして、携帯端末は、非接触IC23に格納された秘匿すべき情報を自動的にロックする。
【0046】
かかる携帯端末によると、携帯端末の利用者が自然災害等の緊急事態に遭遇した場合において、非接触ICに格納された秘匿すべき情報を他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。
【0047】
(実施形態2)
第2の実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照して説明する。ここでは、一例として、情報処理装置が携帯端末である場合について説明する。
【0048】
図5を参照すると、本実施形態の携帯端末は、緊急災害情報受信回路21、非接触IC33、非接触IC33のロックを制御するロック制御回路32、外部メモリ36、入力部25、および、これらを制御するCPU34を備えている。本実施形態の携帯端末は、第1の実施形態の携帯端末(図3)に対して、さらに外部メモリ36を備えている。外部メモリ6は、予め設定していた緊急災害情報を感知した際にデータを退避させるために用いられる。
【0049】
なお、緊急災害情報受信回路21、入力部25、非接触IC33、および、外部メモリ36は、それぞれ、図2における受信手段11、入力手段15、第1の保持手段13、および、第2の保持手段16に相当する。また、CPU34およびロック制御回路32は、図2における制御手段14に相当する。
【0050】
図5において、図3と同一の符号を付した構成要素の動作は、第1の実施形態における構成要素の動作と同一であることから、説明を省略する。
【0051】
CPU34は、緊急災害情報受信回路21で検知した情報を参照し、予め設定していた閾値以上の緊急災害情報である場合には、非接触IC33のロック制御回路32に指示して、非接触IC23に格納された秘匿すべき情報を、外部メモリ36に退避させる。
【0052】
携帯端末の利用者が携帯端末を使用してもよい状態であると判断した場合には、入力部25に対してパスワード等を入力する。CPU34は、入力部25を介して入力されたパスワード等を確認し、正しい場合には、非接触IC33から外部メモリ36に退避させた情報を外部メモリから非接触IC33へと書き戻す。
【0053】
図6は、本実施形態の携帯端末の動作を一例として示すフローチャートである。図6のフローチャートを参照して、本実施形態の携帯端末の動作について説明する。
【0054】
緊急災害情報受信回路21は、緊急災害情報を受信すると、CPU34に出力する(ステップS1)。
【0055】
CPU34は、緊急災害情報が予め設定された所定の閾値以上の災害であるかどうかを判定する(ステップS2)。閾値以上の災害である場合には(ステップS2のYes)、CPU34は非接触IC33のロック制御回路32を動作させて、非接触IC33に格納された秘匿すべき情報を、外部メモリ36に退避させる(ステップS11)。
【0056】
次に、CPU34は、非接触IC3をロックする(ステップS4)。以降の動作は、第1の実施形態の携帯端末と同様である。
【0057】
本実施形態の携帯端末によると、秘匿すべき情報が非接触IC33から外部メモリ36へと退避させられ、少なくとも非接触IC33から秘匿すべき情報を読み出すことが不可能となる。したがって、携帯端末の利用者が自然災害等に遭遇した場合において、非接触IC33に格納された個人情報等が他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。さらに、本実施形態の携帯端末によると、利用者が災害や事故等の緊急事態に遭遇した場合に、非接触IC33が破損して機能を回復することができなくなったときにも、外部メモリ36に退避させた情報を読み出すことで、利用者へのサービスを再開することが可能となる。
【0058】
なお、非接触IC33に格納された情報を外部メモリ36に退避させた場合には、非接触IC33をロックしないときでも、非接触IC33からの情報の読み出しは不可能となる。したがって、外部メモリ36に退避させた情報の読み出しが困難である場合には、非接触IC33をロックしたのと同等の効果をもたらすことができる。
【0059】
(実施形態3)
第3の実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照して説明する。ここでは、一例として、情報処理装置が携帯端末である場合について説明する。
【0060】
図7を参照すると、本実施形態の携帯端末は、緊急災害情報受信回路21、非接触IC43、非接触IC43のロックを制御するロック制御回路42、送信回路47、入力部25、および、これらを制御するCPU44を備えている。本実施形態の携帯端末は、第1の実施形態の携帯端末(図3)に対して、さらに送信回路47を備えている。送信回路47は、予め設定していた緊急災害情報を感知した際に、非接触IC43に格納されたデータを携帯端末の外部装置へ退避させるために用いられる。
【0061】
図7において、図3と同一の符号を付した構成要素の動作は、第1の実施形態における構成要素の動作と同一であることから、説明を省略する。
【0062】
CPU44は、緊急災害情報受信回路21で検知した情報を参照し、予め設定していた閾値以上の緊急災害情報である場合には、非接触IC43のロック制御回路42に指示して、非接触IC43に格納された秘匿すべき情報を、送信回路47を経由して携帯端末の外部の装置へ送信させる。
【0063】
図8は、本実施形態の携帯端末の動作を一例として示すフローチャートである。図8のフローチャートを参照して、本実施形態の携帯端末の動作について説明する。
【0064】
緊急災害情報受信回路21は、緊急災害情報を受信すると、CPU44に出力する(ステップS1)。
【0065】
CPU44は、緊急災害情報が予め設定された所定の閾値以上の災害であるかどうかを判定する(ステップS2)。閾値以上の災害である場合には(ステップS2のYes)、CPU44は非接触IC43のロック制御回路42を動作させて、非接触IC43に格納された秘匿すべき情報を、送信回路47を経由して、携帯端末の外部装置へ退避させる(ステップS41)。
【0066】
次に、CPU44は、非接触IC43をロックする(ステップS4)。以降の動作は、第1の実施形態の携帯端末と同様である。
【0067】
本実施形態の携帯端末によると、秘匿すべき情報が非接触IC43から、図示しない外部装置へと退避させられ、非接触IC43から秘匿すべき情報を読み出すことが不可能となる。したがって、携帯端末の利用者が自然災害等に遭遇した場合において、非接触IC43に格納された個人情報等が他者に悪用されることを防ぐことが可能となる。さらに、本実施形態の携帯端末によると、利用者が災害や事故等の緊急事態に遭遇した場合に、非接触IC43が破損して機能を回復することができなくなったときにも、外部装置に退避させた情報を読み出すことで、第2の実施形態と同様に、利用者へのサービスを再開することが可能となる。
【0068】
なお、非接触IC43に格納された情報を外部装置に退避させた場合には、非接触IC43をロックしないときでも、非接触IC43からの情報の読み出しは不可能となる。したがって、外部装置に退避させた情報の読み出しが困難である場合には、非接触IC43をロックしたのと同等の効果をもたらすことができる。
【0069】
以上、第1ないし第3の実施形態において、本発明に係る情報処理装置が携帯端末である場合について具体的に説明した。
【0070】
すなわち、携帯端末は、緊急事態の発生に関する情報を受信した場合に、予め設定しておいた閾値以上の緊急事態であると判定したときには、自動的に非接触ICをロック状態に移行させる。また、携帯端末は、緊急事態の発生に関する情報を受信した場合に、予め設定しておいた閾値以上の緊急事態であると判定したときには、外部メモリまたは外部装置に非接触ICの情報を退避させるようにしてもよい。さらに、携帯端末は、緊急事態の発生に関する情報を受信し、予め設定しておいた閾値以上の緊急事態であると判定し、非接触ICをロック状態とした状態において、パスワード等の入力を受けることで、非接触ICの機能を復旧させるようにしてもよい。
【0071】
かかる携帯端末によると、例えば、大震災、津波等により、利用者の手元を離れた携帯端末の非接触ICに残された、電子マネー情報、利用者情報等のデータを、緊急災害情報受信時に自動的にロックすることで、第三者の悪用を防ぐことが可能となる。また、携帯端末は、緊急災害情報を検知回路にて監視し、災害の程度が予め設定しておいた閾値以上となった場合には、非接触ICの情報を外部メモリ等に退避させることで、携帯端末が破損した場合にもデータ保護し、復旧することが可能となる。さらに、利用者にパスワード等を入力させることで、ロックされた非接触ICを速やかに使用できる状態へと復帰させることも可能となる。
【0072】
すなわち、本発明によると、利用者が携帯端末を手放してしまうような環境にさらされたとしても、非接触ICをロック状態にすることにより第三者が非接触IC内の情報を悪用することを防止することが可能となる。また、予め設定しておいた災害情報を受信した場合に非接触ICのデータを外部メモリに退避を行うことにより、外部メモリが正常である場合、携帯端末本体の破損状態を問わずデータ復旧することも可能となる。さらに、ロックされた非接触ICについては利用者が災害状況を把握した後に、予め設定しておいたパスワードを入力することにより非接触ICを活性化させ、装置を復旧させることが可能となる。
【0073】
なお、上記の特許文献等の先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲および図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
11 受信手段
13、16 保持手段
14 制御手段
15 入力手段
21 緊急災害情報受信回路
22、32、42 ロック制御回路
23、33、43 非接触IC
24、34、44 CPU
25 入力部
36 外部メモリ
47 送信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段と、
無線信号を受信する受信手段と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定し、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
情報を保持する第2の保持手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
利用者からの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限した場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段からの情報の読み出しの制限を解除することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の保持手段を非ロック状態からロック状態に遷移させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第1の保持手段をロック状態から非ロック状態に遷移させることを特徴とする、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を前記第2の保持手段に退避させた場合に、前記入力手段を介して所定の入力を受け付けたときには、前記第2の保持手段に退避させた前記秘匿すべき情報を前記第1の保持手段に書き戻すことを特徴とする、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記緊急事態が所定の基準以上の災害である場合に、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段を備えた情報処理装置が、無線信号を受信する工程と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定する工程と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する工程と、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、前記第1の保持手段に格納された前記秘匿すべき情報を、情報を保持する第2の保持手段に退避させる工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
無線信号を受信する処理と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示すか否かを判定する処理と、
前記無線信号が緊急事態の発生を示す場合には、少なくとも秘匿すべき情報を保持する第1の保持手段からの情報の読み出しを制限する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69218(P2013−69218A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208879(P2011−208879)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】