説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】複数の機器の間でアプリケーションを転送する際に、手間と時間をかけずに全アプリケーションの転送を実現する。
【解決手段】ライセンス管理システムにおいて、ライセンスにより管理されるアプリケーションを備えた情報処理装置102,103と、ライセンス管理装置101をネットワークで接続する。装置102から装置103にライセンス情報を転送する際に、ライセンス管理装置101は、装置102から送信されたライセンス情報に基づいて、アプリケーションの無効化指示ファイルを発行する。装置102は、ライセンス管理装置101が発行した無効化指示ファイルに基づいて、ライセンスを受けたアプリケーションを無効化するとともに無効化証明ファイルを発行する。ライセンス管理装置101は無効化証明ファイルに基づいてライセンス情報を装置103に転送する。装置103はライセンス情報に基づいてアプリケーションを有効化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はライセンス管理に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関し、特に装置間のライセンス転送に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続される機器には、ライセンス付きアプリケーションをインストール可能な機器がある。また、ライセンスを発行する役目をもったライセンス情報発行サーバ(以下、発行サーバという)がネットワークに接続されたシステムが知られている。このシステムでは、アプリケーション及びそのライセンスを、ある機器から他の機器へと不正なく移譲できるようにするための処理が発行サーバを介して行われる。ネットワークに接続されてライセンス付きアプリケーションをインストール可能な機器と、ネットワーク上の発行サーバの連携動作については、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−217320号公報(第10ページ、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能周辺機器(Multifunction Peripheral、以下MFPと略記する)内の全アプリケーションの転送には、統合商品に含まれている全アプリケーションを個別に転送することで対応することがあった。アプリケーションを個別に転送する手段では、転送元におけるアプリケーションの確実なアンインストール及び転送先におけるアプリケーションのインストールを行う必要がある。このため、発行サーバへのアクセスや、ライセンスファイルのやり取りを伴う比較的複雑な手順を要する。よって、個別の転送処理をMFP内の全アプリケーションについて何回も行う必要があるので、1台のMFP内にある全アプリケーションを別のもう1台のMFPに転送するには、かなりの手間と時間がかかっていた。
【0005】
なお1台のMFPから別の1台に全アプリケーションを転送するための方法としては、既存の個別の転送手段によらずに、転送元から転送先へと全データをコピーする手段も考えられる。しかし、単純なコピーでは、発行サーバのデータベースに転送状態を確実に反映させることができない。
【0006】
複数のプログラムを含むアプリケーションパッケージの一例である統合商品によっては、対象機器で使用しないアプリケーションを含む場合もある。転送処理後に、未インストールのアプリケーションやライセンスがインストールされてしまうといったことを防止する必要がある。そこで、転送元のアプリケーションパッケージに含まれる全てのプログラムが無効化されたことを確認した上で、転送先でのアプリケーションパッケージの利用開始を許可する必要がある。そこで転送処理の際、未インストールのアプリケーションがある場合、これらを機器にインストールした上で、これらを無効化することで削除履歴を残すという手段を講じることも考えられる。ここで、アプリケーションはプログラムの一例である。しかしながら、この手順は非常に煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明に係る装置は、複数種類のプログラムを含むアプリケーションパッケージに含まれるプログラムの一部が有効化されている情報処理装置であって、以下の手段を備える。
・前記アプリケーションパッケージのライセンスを無効化する指示を入力する無効化指示入力手段。
・前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって、既に情報処理装置においてインストールされ、ライセンスが有効化されているプログラムのライセンスを無効化し、無効化証明データを生成し、さらに、前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって情報処理装置にインストールされていないプログラムをインストールすることなく、そのプログラムのライセンスの無効化証明データを生成する生成手段。
・前記生成手段が生成した無効化証明データを出力する出力手段。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数種類のプログラムを含むアプリケーションパッケージのライセンスの移行の手順を簡略化することができるという効果がある。例えば、転送元において、複数種類のプログラムの全てをインストール又は/及び有効化しなくても、アプリケーションパッケージのライセンスを他の機器へ移行できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図2乃至10と併せて本発明の一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】複合機の機能ブロック図である。
【図3】発行サーバ及び各端末装置を例示したブロック図である。
【図4】複合機でアプリケーションの無効化処理を開始する際のUI画面例を(A)に示し、転送先指定用のUI画面例を(B)に示し、転送時の確認用のUI画面例を(C)に示す図である。
【図5】複合機でアプリケーションの無効化処理を確認するためのUI画面例を(A)に示し、無効化処理中のUI画面例を(B)に示し、無効化処理完了時のUI画面例を(C)に示す図である。
【図6】複合機でアプリケーション転送時に統合商品を指定するためのUI画面例を(A)に示し、確認用のUI画面例を(B)に示し、インストール中のUI画面例を(C)に示す図である。
【図7】複合機でインストールの完了を確認するためのUI画面例を示す図である。
【図8】無効化指示ファイルの一例を(A)に示し、無効化証明ファイルの一例を(B)に示す図である。
【図9】一実施例のデバイス内の処理を示すフローチャートである。
【図10】変形例のデバイス内の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明に係るライセンス管理システム、ライセンス管理方法及びライセンス管理プログラムの好適な実施形態を詳説する。なお本実施形態に示す構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る情報処理装置を含むネットワークシステムの構成図である。本例では、発行サーバ101と2台の情報処理装置(第1の情報処理装置、第2の情報処理装置)、一例として、MFP102、103をネットワークで接続した構成を示す。
【0012】
発行サーバ101はライセンス情報の発行処理全般を司る情報処理装置(ライセンス管理装置)である。この発行サーバ101のコンピュータシステムにより、各種機能を実現するための手段が構成される。例えば、サーバアクセス手段や、装置番号の要求手段、装置番号の認識手段、ライセンス発行の確認要請手段、装置番号の検査手段が構成される。またライセンスキー(L
Key)の発行手段、オプション情報の登録手段、識別子の生成手段、及び識別子の送信手段等が構成される。
【0013】
MFP102、103には複数のアプリケーションとライセンス情報がインストール可能であり、各々に固有の機器ID(識別情報)を有する。
【0014】
本実施形態においてMFP102は、アプリケーション及びライセンスの転送元のMFPとする。また、MFP103はアプリケーション及びライセンスの転送先のMFPとする。
【0015】
符号104、105はインターネット等のコンピュータネットワークを表しており、MFP102はネットワーク104を介して発行サーバ101に接続されている。またMFP103は、ネットワーク105を介して発行サーバ101に接続されている。
【0016】
符号106はMFP102の操作者を指し、符号107はMFP103の操作者を指す。 操作者106はMFP102を操作し、ライセンス付きアプリケーションの転送時にはMFP102上で、転送の対象とするアプリケーションを選択する。また操作者107はMFP103を操作し、MFP102から転送されたライセンス付きアプリケーションをMFP103にインストールする。
【0017】
なお本発明の適用において、操作者106、107は別人でもよいし、同一人であってもよい。
【0018】
次に、システムを構成する情報処理装置について説明する。
図2は、本実施形態に係る装置例を示す、複合機の機能ブロック図である。複合機201は、符号202乃至209等に示す各種の機能部を有する。
【0019】
スキャナ機能部202は、紙文書を読み取る機能と二値画像データへの変換機能を有する。プリント機能部203は、スキャナ機能部202で読み取って二値画像データに変換した画像について、プリンタに対するコマンドを付加してプリンタデバイスに出力する機能を有する。ファクシミリ機能部204は、スキャナ機能部202で読み取って二値画像データに変換した画像に関して、G3、G4等のファクシミリ規格に応じた符号化を行う。またファクシミリ機能部204は、ファクシミリ規格に準拠したプロトコルに従って外部ファクシミリ装置との間で画像通信を行う機能を有する。またファクシミリ機能部204は、外部ファクシミリ装置との間で前記ファクシミリ規格に応じてファクシミリ画像を送受信する機能を有する。
【0020】
ジョブ制御機能部205は、スキャナ機能部202から受信した二値画像データや、ファクシミリ機能部204が外部ファクシミリ装置から受信したファクシミリ画像データをプリントジョブとしてキューイングする。そしてジョブ制御機能部205は、順次に、プリント機能部203やファクシミリ機能部204、後述するネットワーク機能部206に対してデータを適宜出力する、ジョブ制御機能を有する。
【0021】
ネットワーク機能部206は、TCP/IP、HTTP、FTP、LDAP、SNMP、SMTP、SSL等の各種ネットワークプロトコル機能を有する。
UI(ユーザインタフェース)機能部207は、複合機201のオペレーションパネルを使ったユーザによる入出力を管理し、オペレーションパネル上に入力フィールド、出力メッセージフィールド等を表示する。またUI機能部207は、ユーザからの入力フィールドに対する入力値を受け取り、これを他の機能部に通知し、また他の機能部からのユーザに対するメッセージを予めデザインされた画面に表示する機能を有する。
【0022】
ユーザ認証機能部208は、UI機能部207やネットワーク上の情報端末(図示せず)を利用して、後述するアプリケーション機能部209内の各種アプリケーションのユーザ認証要求に対応する。即ち、ユーザ認証機能部208は各種ユーザ認証機能についてユーザ認証設定ファイルを用いてアプリケーション毎に設定する。またユーザ認証機能部208は、ネットワーク上のユーザ認証サーバや複合機内部のユーザ認証情報を用いて、複合機の各種機能を操作するユーザを認証する機能を有する。
【0023】
アプリケーション機能部209は、複合機201で動作する各種アプリケーションのインストール、ユーザ認証、実行、アンインストールの機能を有する。またアプリケーション機能部209は、アプリケーションのインストール時にその有効期限を設定する。そしてアプリケーション機能部209は、アプリケーションの実行時において、後述する時間管理機能部214を利用し、インストール時に予め設定された有効期限を判定することにより、有効期限付きアプリケーションを実現する。アプリケーション有効期限の設定については、アプリケーションのオブジェクト内部に有効期限情報を格納してもよい。あるいは有効期限情報をアプリケーションのインストール時においてその付加情報とし、別オブジェクトとして設定してもよい。また有効期限については、インストールの時点からアプリケーションが動作しなくなるまでの日数で示すことができる。この有効期限は、有効期間を示す日数でもよいし、あるいは何年何月何日まで、といった有効期限日であってもよい。有効期限日を用いる場合であっても、複合機201内部のシステム時計から有効期間を示す日数を計算できる。また日数よりさらに詳細な単位、例えば秒単位で有効期間を規定してもよい。これについてもシステム内部時計に係る時間の単位の範囲内であれば、有効期限を計算できる。有効期限を示す情報は、アプリケーションのインストール時において、インストール時刻設定関数に引数として渡され、複合機201内の不揮発性記憶領域に記憶される。
【0024】
MFP内のアプリケーションのうち、アプリケーション本体が既にインストールされているものについては、ライセンスキーのみのインストールによりアプリケーションの機能を有効化することができる。MFP上でアプリケーションを使用するためには、アプリケーションのインストール後、有効化の手順が必要である。アプリケーションの有効化のためには通常、UI機能部207から入力されるライセンスキーを用いる。このライセンスキーは、機能種別や、有効化する機器ID(識別情報)を含む。なお、ライセンスキーの入力についてはネットワーク機能部206を用いてネットワーク経由で行ってもよい。
【0025】
アプリケーションの有効化処理は、MFPにライセンスキーが入力されることで実行される。具体的には、各アプリケーションに対応した、MFP内部の不揮発性記憶領域に存在するライセンスビットを立ててオンにする。これとは逆にライセンスビットをオフにすることでアプリケーションを無効化できる。
【0026】
符号210乃至213は、アプリケーション機能部209で動作する複合機201のアプリケーション群を例示している。本例ではメール(Mail)アプリケーション210、遠隔操作アプリケーション211、文書フォーマット変換アプリケーション212、文書管理システムアプリケーション213がある。
【0027】
メールアプリケーション210は、ネットワーク上の情報端末から送信される電子文書が添付された電子メールを、ネットワーク機能部206を用いて受信し、プリント機能部203を用いて印刷する機能を有する。またメールアプリケーション210は、スキャナ機能部202を用いて読み取った電子文書を電子メールに添付し、予め設定された転送先に送信する機能を有する。
【0028】
遠隔操作アプリケーション211は、ネットワークに繋がった情報端末(図示せず)に対し、UI機能部207を用いて複合機本体に表示する本体タッチパネルと同じユーザインタフェース画面を表示させる機能を有する。これにより遠隔での操作が可能となる。なお以下では、ユーザインタフェースを「UI」と略記し、その画面をUI画面と呼ぶことにする。
【0029】
文書フォーマット変換アプリケーション212は、予め設定した電子データフォーマットへの変換機能を有する。変換対象は、スキャナ機能部202で読み取った電子データや、ネットワーク上の情報端末から送信され、かつネットワーク機能部206を用いて受信された電子データである。
【0030】
文書管理システムアプリケーション213は、ネットワーク上や複合機本体内の予め設定した文書保管場所にファイルやデータを格納する機能を有する。操作者が複合機を操作することによりスキャナ機能部202で読み取った電子データや、ネットワーク上の情報端末から送信され、かつネットワーク機能部206を用いて受信された電子データが格納対象となる。
【0031】
これらのアプリケーション210乃至213については、ユーザ認証を行うことができる。いずれも操作者がアプリケーションを使用する際に、アプリケーション機能部209を通してユーザ認証機能部208によってユーザ認証が行われる。
【0032】
システムの時計情報を管理する上で時間管理機能部214が設けられる。この時間管理機能部214はシステム内蔵時計を有し、複合機201の全ての機能モジュールに対し、時刻設定、参照可能なシステム内蔵時計インターフェースを提供する。また時間管理機能部214は、システムスタート時からの累積設定差分時刻を、いわゆるフラッシュROM等の不揮発性記憶領域に保持する機能を有する。また時間管理機能部214は、複合機201が接続されたネットワーク上の時刻同期サービスによる時刻合わせ機能を有する。なお時刻同期サービスには、TIMEプロトコル(RFC868)、NTPプロトコル(RFC1305)、SNTPプロトコル(RFC1769)等で規定されるプロトコルを用いた時刻同期サービスが挙げられる。時間管理機能部214はさらに、有効期限付きアプリケーションについてその有効期限を判定するために、アプリケーションのインストール時におけるインストール時刻設定機能を有する。
【0033】
次に、ライセンス情報の発行処理全般を司る情報処理装置としての発行サーバについて図3を用いて説明する。
図3では、発行サーバ301、ユーザ端末302、販売者端末303、製造者端末304、複合機380乃至382がネットワーク305によって通信可能に接続されている。図3の発行サーバ301は、図1の符号101のサーバに対応する。
【0034】
発行サーバ301では、各種機能を実現するための手段がCPU(中央演算処理装置)とこれによって解釈及び実行されるプログラムを用いて構成され、その詳細については後述する。
【0035】
ユーザ端末302はユーザが管理する情報処理装置であり、表示部323及び入力部324を備える。パーソナルコンピュータ、携帯端末、プリンタや複写機等、ネットワークに接続可能であってアプリケーションをインストール可能な、あらゆる情報処理装置がユーザ端末302となり得る。なおユーザ端末302のコンピュータシステムにより、本実施形態におけるサーバアクセス手段、装置番号の送信手段及びライセンス情報の確認手段等が構成される。
【0036】
販売者端末303は販売会社が管理する情報処理装置であり、表示部325及び入力部326を備える。また製造者端末304はソフトウェア開発業者(製造者)が管理する情報処理装置であり、表示部327及び入力部328を備える。例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等が、販売者端末303や製造者端末304となり得る。
【0037】
ユーザ端末302、販売者端末303、及び製造者端末304は、ネットワーク305を介して発行サーバ301と通信可能に接続される。
複合機380乃至382は、発行サーバ301から発行されるライセンスをインストールすることにより各種アプリケーションが動作する。これらの複合機はネットワーク305を通じてユーザ端末302と通信する。複合機380、381、382に設けられているコンピュータシステムにより、図2に示した各機能部やライセンス管理手段、Webアプリケーション手段等が構成される。
【0038】
ライセンス情報管理DB(データベース)306は発行サーバ301に接続されている。このDBには例えば、アプリケーション情報、ライセンス情報を含む商品情報、アクター情報、ソフトウェア識別コード(以下SIDと記す)情報、デバイスシリアル番号(以下DS#と記す)情報、デバイス商品情報、機番データバンド情報、が格納される。該DBにはさらに、アプリケーションID、デバイス商品コード関連付け情報、オプション商品情報、ライセンスアクセス番号(以下LA#と記す)情報、ライセンスキー(以下「LKey」と記す)情報、オプション情報、顧客情報等が格納される。
【0039】
次に、発行サーバ301における主要な構成部として、商品登録部307、SID発行部314、ライセンスファイル(LF)発行部317、LA#発行部360、LKey発行部354を説明する。
【0040】
商品登録部307は、アプリケーション指定モジュール308、商品タイプ指定モジュール309、商品登録画面の表示モジュール310、商品情報の入力モジュール311、ライセンス条件の指定モジュール312を有する。そして、商品登録モジュール313、オプション機能名の登録モジュール350、オプション商品の登録モジュール351、デバイス登録モジュール352が設けられている。
【0041】
SID発行部314はSIDの発行処理に関与し、商品選択モジュール315、SID発行モジュール316、オプションコードの指定モジュール353を有する。
【0042】
LF発行部317は、SIDの入力モジュール318、DS#の入力モジュール319、商品選択モジュール320、ライセンス条件の指定モジュール321、LF発行モジュール322を有する。
【0043】
LA#発行部360はライセンスアクセス番号(LA#)の発行に関与する。LA#の発行のためのオプションを指定するオプションコード指定モジュール361と、取得したい数を入力してLA#を発行するLA#発行モジュール362が設けられている。
【0044】
LKey(ライセンスキー)発行部354は、LA#の入力モジュール355、DS#の入力モジュール356、LKeyの発行モジュール357を有する。
【0045】
本システムで管理されるソフトウェアを、ユーザが管理する情報処理装置にインストールするためには常に、発行サーバ301が発行したライセンス情報が必要である。発行サーバ301は、ネットワーク305を介した適正なアクセスがあった場合、必要に応じてライセンス情報を発行する。このライセンス情報には、ソフトウェアのインストール先の情報処理装置に固有の識別情報を含めることができ、その場合、他の装置に対して同じソフトウェアをインストールする際には、異なるライセンス情報が必要となる。つまり、他の情報処理装置に固有の識別情報を含むライセンス情報がないと該ソフトウェアのインストールを行うことができない。これにより、ソフトウェアの無断複製を防止できる。
【0046】
以下、本実施形態におけるライセンス転送について詳述する。
図4A〜C、図5A〜Cは、アプリケーションやライセンスの転送元であるMFP102におけるUI画面を例示した図である。
【0047】
ライセンス転送は先ず、転送元のMFP102内にインストールされている統合商品のアプリケーションについて全ライセンスを無効化することから始まる。すなわちMFP102はライセンスを受けたアプリケーションの無効化を行う無効化手段を備える。
【0048】
図4Aは転送元MFP102のライセンスを無効化するためのUI画面を示す。つまり符号401は、転送元MFP102においてUI機能部207に表示される、ライセンス無効化のためのUI画面を表している。
【0049】
操作者106は、転送元MFP102のUI機能部207により、転送したいアプリケーションを選択する。本例では、UI画面において符号402に示すチェックボックスを利用してアプリケーションを選択することができる。その後、操作者106は、OKボタン403を操作することにより、転送元MFP102にインストールされているアプリケーションのうちで転送したいアプリケーションを確定する。また操作者106はキャンセルボタン404を操作することで、アプリケーションの転送処理を取り消すことができる。
【0050】
図4Bは転送先のDS#を入力するUI画面501の一例を示す。
操作者106は、入力枠502に転送先のDS#を入力する。そして操作者106はOKボタン503を操作することにより、転送元のデバイスを確定する。また操作者106はキャンセルボタン504を操作することで、アプリケーションの転送処理を取り消すことができる。
【0051】
図4Cは、UI画面401、501で入力した項目を確認するためのUI画面601について一例を示す。
操作者106は、表示枠602内に表示された情報、つまりUI画面401で選択したアプリケーション名と、UI画面501で入力した転送先DS#の表示を見てそれらを確認する。そして操作者106は、OKボタン603を操作することにより、発行サーバ101に対して、入力済み情報を送信する。また操作者106はキャンセルボタン604を操作することで、アプリケーションの転送処理を取り消すことができる。
【0052】
UI画面601にて発行サーバ101に送信された情報に基づき、発行サーバ101上ではアプリケーションが含まれる統合商品を検索して特定する。そして、統合商品に含まれる全アプリケーションの無効化を指示するためのファイル(無効化指示ファイル)を生成し、該ファイルを転送元MFP102に送信する。つまり、発行サーバ101は無効化指示ファイルの発行手段を備えており、該ファイルを用いてMFP102にアプリケーションの無効化を指示する。
【0053】
図8Aに本実施形態における無効化指示ファイル1401の構造例を示しており、該ファイルには例えば、以下の情報が含まれる(括弧内の数字は符号を示す)。
・無効化指示ファイル1401を一意に特定するための識別情報である、無効化指示ファイルID(1402)。
・統合商品に含まれているアプリケーション数(1403)。
・統合商品に含まれるアプリケーションの識別情報である、アプリケーションID(1404,1405,1406)。
・対応するLA#(1407)。
・アプリケーションの無効化対象となるデバイスのDS#(1408)。
・前記情報、つまり符号1402乃至1408で示す情報から生成したハッシュ値(1409)。
【0054】
なお、無効化指示ファイル1401については、フィールドの内容を隠蔽するために、共通鍵等を用いて暗号化してもよい。
【0055】
図5Aは、発行サーバ101から無効化指示ファイル1401を受信した際に表示されるUI画面701の一例を示す。
表示枠702には、転送されるアプリケーションの一覧が表示される。操作者106はOKボタン703を操作することにより、転送元のデバイスを確定する。また操作者106はキャンセルボタン704を操作することで、アプリケーションの転送処理を取り消すことができる。
【0056】
図5Bは、無効化処理の実行中に表示されるUI画面801の一例を示す。バーグラフ802により処理の進捗状況が表示される。
図5Cは、無効化処理が終了し、無効化証明ファイルを作成した後に表示される確認用のUI画面901を示す。
【0057】
表示枠902には、無効化したアプリケーションの一覧が表示される。操作者106は、送信ボタン903を操作することにより、無効化証明ファイル1501を発行サーバ101に送信する。なお無効化証明ファイル1501は、MFP102が受け取った無効化指示ファイル1401に基づいて、アプリケーションを無効化したことを証明するファイルである。
【0058】
なおUI画面901では、既にアプリケーションの無効化処理を終えているので、この時点でアプリケーションの転送処理を取り消すことはできない。
【0059】
図8Bに、本実施形態における無効化証明ファイル1501の一例を示す。該ファイルには、無効化指示ファイル1401を一意に特定するための識別情報である、無効化指示ファイルID1502(図8Aの1402に対応する)と、このIDから生成したハッシュ値1503を含む。なお、無効化証明ファイルについては、フィールドの内容を隠蔽するために、共通鍵等を用いて暗号化してもよい。
【0060】
図5Cに示す送信ボタン903の操作によって送信された無効化証明ファイル1501は発行サーバ101が受信し、転送元MFP102にて統合商品内のアプリケーションが全て無効化されていることを確認する。そして、発行サーバ101では、図4Bの入力枠502に入力した転送先DS#に対してライセンスを発行する。
【0061】
図6Aは、転送元MFP102で無効化したアプリケーションを転送先MFP103にインストールするためのUI画面1001の一例を示す。操作者107は入力枠1002に無効化指示ファイルIDを入力する。そして操作者107はOKボタン1003を操作することにより、発行サーバ101に対して入力済み情報を送信する。また操作者107はキャンセルボタン1004を操作することで、アプリケーションのインストール処理を取り消すことができる。
【0062】
図6Bは、発行サーバ101から受信した情報に基づき、インストールされるアプリケーションの一覧を表示するUI画面1101の一例を示す。
表示枠1102にはインストールされるアプリケーションの一覧が表示される。操作者107はOKボタン1103を操作することにより、インストール処理を開始する。また操作者107はキャンセルボタン1104を操作することで、アプリケーションのインストール処理を取り消すことができる。
【0063】
図6Cは、アプリケーションのインストール中に表示されるUI画面1201の一例を示す。バーグラフ1202によってインストールの進捗状況が表示される。
図7は、インストールされたアプリケーションの一覧を表示するUI画面1301の一例を示す。表示枠1302にはインストール済みアプリケーションの一覧が表示される。操作者107はOKボタン1303を操作することにより、インストール処理の完了を確認することができる。転送先MFP103は発行サーバ101から転送されたライセンス情報に基づいてアプリケーションを有効化するための有効化手段を備えている。よって、操作者107は上記のようにインストールされたアプリケーションを起動して動作させることができる。
【0064】
図9に、デバイスでの処理の流れを示す。ステップ1601で、ライセンス情報発行サーバから無効化指示ファイルを受信することで処理が開始する。以下の主語は、特に断らない限り、ライセンス情報発行サーバのLKey発行部354である。
ステップ1602では、該当するライセンスがデバイスにインストールされているか否かをチェックする。もし、ライセンスがインストールされている場合は、ライセンスを無効化し(1603)、ライセンスを無効化した履歴をデバイスに記録する(1604)。また、ライセンスがインストールされていない場合は、ライセンスのインストールをせずに、ライセンスを無効化した履歴をデバイスに記録する(1604)。その後、チェックしていないライセンスの存否をチェックする(1605)。もしチェックしていないライセンスがあれば、再度ステップ1602の処理に戻る。またチェックしていないライセンスがなければ、無効化証明ファイルを作成する(1606)。そしてライセンス情報発行サーバに無効化証明ファイルを送信する(1607)。そして、処理が終了する(1608)。これにより、ライセンスのインストール処理の手番を省略して、ライセンス委譲を高速化できる。
【0065】
以上では複数種類のプログラムを含むアプリケーションパッケージに含まれるプログラムの一部が有効化されている情報処理装置の一例として、ライセンス情報発行サーバ301を説明した。そして、アプリケーションパッケージのライセンスを無効化する指示を入力する無効化指示入力部の一例として、入力部35を説明した。また、生成部が、アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって、既に複合機においてインストールされ、ライセンスが有効化されているプログラムのライセンスを無効化し、無効化証明データを生成することを説明した。さらにアプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって情報処理装置の一例である複合機にインストールされていないプログラムをインストールすることなく該プログラムのライセンスの無効化証明データをLKey発行部354が生成することを説明した。
【0066】
なお、LKey発行部354が生成した無効化証明データをネットワークやファイルへ出力することもできる。またLKey発行部354は、無効化証明データを生成するごとに記録を行うようにしてもよい。
LKey発行部354は、アプリケーションパッケージに含まれる全てのプログラムのライセンスを無効化するのに応答して、その無効化結果を記録し、無効化証明データを生成するようにし、そして、LKey発行部354は、無効化証明データを出力してもよい。
LKey発行部354は、前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって、複合機にインストールされていないプログラムがインストールされていないのにも関わらず、そのプログラムを削除したことを示す履歴を無効化結果として記録する。
【0067】
次に、変形例について説明する。前記実施例では、ライセンスの転送のために無効化指示ファイル、無効化証明ファイルを使用していた。変形例では、図9の無効化指示ファイルの代わりにアプリケーションをインストールする際に使用する通常のライセンス情報を使用する方法である。以下の主語は、特に断らない限りLKey発行部354である。
【0068】
図10にデバイスでの処理の流れを示す。ライセンス情報発行サーバから統合商品の複数LFを受信して処理を開始する(1701)。そしてライセンス情報発行サーバサーバから受信したLFがデバイスですでにインストールされているかどうかを調べる(1702)。もし受信したLFがインストールされていないものであれば、ユーザの明示的な指示が無い場合であっても、自動的にインストールする(1703)。一方、受信したLFがインストールされているものであれば、受信したLFの中にチェックしていないLFがあるかどうかを調べる(1704)。もしチェックしていないLFがあればステップ1702の処理を再度始める。もしチェックしていないLFがなければ、統合商品のライセンスすべてを無効化し(1705)、ライセンスを無効化した履歴をデバイスに記憶する(1706)。その後、無効化証明ファイルを生成し(1707)、ライセンス情報発行サーバに無効化証明ファイルを送信する(1708)。そして処理を終了する(1709)。
以上の変形例では、前記実施例に加えてインストール処理は行うので、手順がひとつ増えるが、ユーザの指示なしに、ステップ1703を自動実行することで、ライセンス委譲のユーザの手番を効率化できる。
【0069】
以上のように、本システムによればアプリケーション及びそのライセンスを、ある機器から他の機器へと不正なく移譲することができる。この場合、従来のシステムでは単一のアプリケーションを対象にしているのに対し、本システムでは転送元の機器内における統合商品に関する全アプリケーションの移譲を対象とする。そして発行サーバと各機器との間でやり取りされる通信情報に関して本システムでは、疎な通信状況であっても問題なくアプリケーション転送を実現できる。特に複数アプリケーションの移譲において、個別の転送手段による従来システムでは移譲数の分だけ手間が増えるのに対して、本システムではそのような弊害を伴わないという効果を奏する。
【0070】
なお、本実施形態で説明したライセンス管理方法は、予め用意されたプログラムをコンピュータ(例えば発行サーバ101内のCPU)で実行することにより実現することができる。図3の各機能や図9、図10の処理を実現するプログラムは、ハードディスクをはじめとする、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
101 ライセンス管理装置
102,103 情報処理装置
104,105 ネットワーク
1401 無効化指示ファイル
1501 無効化証明ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のプログラムを含むアプリケーションパッケージに含まれるプログラムの一部が有効化されている情報処理装置であって、
前記アプリケーションパッケージのライセンスを無効化する指示を入力する無効化指示入力手段と、
前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって、既に情報処理装置においてインストールされ、ライセンスが有効化されているプログラムのライセンスを無効化し、無効化証明データを生成し、さらに、前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって情報処理装置にインストールされていないプログラムをインストールすることなく、そのプログラムのライセンスの無効化証明データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した無効化証明データを出力する出力手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記無効化証明データを生成するごとに記録を行うことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記アプリケーションパッケージに含まれる全てのプログラムのライセンスを無効化することに応答して、その無効化結果を記録し、無効化証明データを生成し、前記出力手段は、無効化証明データを出力することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって情報処理装置にインストールされていないプログラムがインストールされていないのにも関わらず、そのプログラムを削除したことを示す履歴を無効化結果として記録することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数種類のプログラムを含むアプリケーションパッケージに含まれるプログラムの一部が有効化されている情報処理装置における情報処理方法であって、
前記アプリケーションパッケージのライセンスを無効化する指示を入力する無効化指示ステップと、
前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって、既に情報処理装置においてインストールされ、ライセンスが有効化されているプログラムのライセンスを無効化し、無効化証明データを生成し、さらに、前記アプリケーションパッケージに含まれるプログラムであって情報処理装置にインストールされていないプログラムをインストールすることなく、そのプログラムのライセンスの無効化証明データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにて生成した無効化証明データを出力するステップを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置で用いるプログラムであって、
コンピュータを前記無効化指示入力手段、前記生成手段、前記出力手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−211469(P2010−211469A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56365(P2009−56365)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】