説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】日々の生活の中で変化する生体情報を用いた生体認証処理であっても、本人拒否率を増加させることなく認証処理を実施することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る情報処理装置は、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証部と、前記生体情報認証部により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発達に伴い、生体に固有な情報である生体情報を利用した個人認証である生体認証が実施されるようになってきている。従来の生体認証処理では、認証の元となる生体情報の登録は、個人認証処理を最初に実施する際に一度行われるのみであり、例えば、従来の購入した装置を最初に使用する際に、その時点における指紋や静脈パターンといった生体情報を測定し、得られた測定結果を認証の元となる情報として登録する。それ以降の認証動作の際には、登録された情報と、認証する際に改めて測定した生体情報とを比較することで、個人認証処理が行われる(例えば、以下の特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−152712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の生体情報は、日々の生活の中で刻々と変化するものであり、例えば、体調の善し悪しや、静止した状態と運動した直後との間や、疾患等により変化するものである。従って、上記特許文献1に開示された生体認証処理のように、一度だけ登録した生体情報を用いて認証を行う方法だと、本人拒否率が増加してしまう可能性がある。
【0005】
上記のような事情に鑑みれば、日々の生活の中で変化する生体情報を用いた生体認証処理であっても、本人拒否率を増加させることなく認証処理が実施されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証部と、前記生体情報認証部により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証することと、認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータに、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証機能と、前記生体情報認証機能により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張機能と、を実現させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本開示によれば、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報が、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証され、認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理が実施され、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報が拡張される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、日々の生活の中で変化する生体情報を用いた生体認証処理であっても、本人拒否率を増加させることなく認証処理を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理装置が有する登録生体情報拡張部の構成を示したブロック図である。
【図3】同実施形態に係る登録生体情報拡張処理の一例を示した説明図である。
【図4】同実施形態に係る登録生体情報拡張処理の一例を示した説明図である。
【図5】同実施形態に係る情報処理方法の流れを示した流れ図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置の変形例を示したブロック図である。
【図7】本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)情報処理装置の構成について
(1−2)情報処理方法の流れについて
(1−3)第1変形例
(2)本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
(3)まとめ
【0014】
(第1の実施形態)
<情報処理装置の構成について>
まず、図1を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を示したブロック図である。
【0015】
本実施形態に係る情報処理装置10は、測定された生体情報を利用して、かかる生体情報の認証を実施するとともに、認証に成功した生体情報を利用して、認証処理用に予め登録されている生体情報(以下、登録生体情報と称する。)を拡張する。
【0016】
ここで、本実施形態に係る情報処理装置10は、生体に固有な情報である生体情報として、生体の生命活動に伴って生体内で生じる動的に(ダイナミックに)変化する信号(以下、単に生体信号と称する。)に基づく生体情報を利用する。かかる生体信号としては、例えば、生体の心電波形、筋電波形、脳波等といった、生体の生命活動に伴い生体内で生じる微弱な振動や電気信号を挙げることができる。
【0017】
かかる情報処理装置10は、パーソナルコンピュータや、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、携帯用ゲーム機、携帯用コンテンツプレーヤ、携帯用フラッシュメモリ等といった、ユーザが日常的に使用する機器に実装されていてもよい。また、かかる情報処理装置10は、時計や、ネックレス、指輪等といった、ユーザが日常的に身につける装飾品等に実装されていてもよい。
【0018】
本実施形態に係る情報処理装置10は、図1に例示したように、生体情報測定部101と、生体情報認証部103と、登録生体情報格納部105と、登録生体情報拡張部107と、認証結果出力部109と、記憶部111と、を主に備える。
【0019】
生体情報測定部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種センサ等により実現される。生体情報測定部101は、情報処理装置10のユーザから発せられる上記生体信号に基づく生体情報を測定し、測定した生体情報に関するデータ(以下、単に測定データとも称する。)を生成する。
【0020】
生体情報測定部101は、生体信号を測定するための各種センサが、ユーザに近接又は接触した時点から、上記生体情報の測定処理を開始する。その後、生体情報測定部101は、かかる生体情報の測定処理を、所定の時間間隔で間欠的に実施する。また、生体情報測定部101は、かかる生体情報の測定処理を連続的に実施してもよい。生体情報の測定間隔を短くすることで、情報処理装置10の取得する生体情報の個数を増加させることが可能となり、ユーザの日常生活(活動しているか睡眠中であるか、静止状態か運動状態か、等)に応じた生体情報の変化や、各種疾患の罹患に伴う生体情報の変化を詳細に測定することが可能となる。その結果、後述する登録生体情報拡張部107による統計処理において、登録生体情報の拡張処理の精度を更に向上させることが可能となる。
【0021】
生体情報測定部101は、測定した生体情報に関するデータを生成すると、生成した測定データを、後述する生体情報認識部103に出力する。また、生体情報測定部101は、測定データに、当該測定データを生成した日時等に関する時刻情報を関連付けて、履歴情報として後述する記憶部111に格納してもよい。
【0022】
生体情報認証部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。生体情報認証部103は、情報処理装置10のユーザが、当該装置を初めて利用する際には、生体情報測定部101から出力された生体情報に関する測定データを、認証処理に利用する登録生体情報として後述する登録生体情報格納部105に格納する。
【0023】
また、生体情報認証部103は、後述する登録生体情報格納部105に登録生体情報が格納されている場合、生体情報測定部101から生体情報に関する測定データが出力されると、登録生体情報格納部105から登録生体情報を取得する。そのうえで、生体情報認証部103は、取得した登録生体情報を利用して、生体情報測定部101から出力された生体情報の測定データに対する認証処理を実施する。
【0024】
測定された生体情報の認証処理は、公知の方法を用いて実施することが可能であるが、例えば、測定された生体情報と、登録生体情報格納部105に格納されている登録生体情報との類似度合いに着目することで実施される。具体的には、生体情報認証部103は、測定された生体情報と登録生体情報との類似度合いを示した評価値を算出し、算出した評価値が所定の閾値以上となっているか否かを判断する。算出した評価値が所定の閾値以上となり、測定された生体情報が登録生体情報に類似していると判断される場合には、生体情報認証部103は、測定された生体情報の認証に成功したと判断する。また、算出した評価値が所定の閾値未満である場合には、生体情報認証部103は、測定された生体情報の認証に失敗したと判断する。
【0025】
認証処理に利用される類似度合いを示した評価値は、公知のものを利用することが可能であるが、かかる評価値として、例えば、測定された生体信号と登録生体情報に対応する生体信号との間の相互相関係数等を挙げることができる。また、類似度合いを示した評価値として、差分二乗和(Sum of Squared Difference:SAD)や差分絶対値和(Sum of Absolute Difference:SAD)を利用することも可能である。なお、類似度合いを示した評価値として、差分二乗和や差分絶対値和等を利用する場合には、これらの評価値は、比較対象となる2つのデータが類似しているほど算出される値が小さな値となるものであるため、算出した評価値が所定の閾値以下となるか否かに応じて、認証の成否が判断される。認証処理に利用される以上のような評価値は、着目する生体信号の種別に応じて適宜設定することが可能である。
【0026】
生体情報認証部103は、生体情報測定部101から出力された生体情報の認証結果が確定すると、得られた認証結果を示したデータを、後述する認証結果出力部109に出力する。また、生体情報認証部103は、生体情報測定部101から出力された生体情報の認証に成功した場合には、認証に成功した生体情報のデータを、後述する登録生体情報拡張部107に出力する。
【0027】
また、生体情報認証部103は、生体情報の認証結果を示したデータに、当該データを生成した日時等の時刻情報を関連付けて、後述する記憶部111に履歴情報として格納してもよい。
【0028】
登録生体情報格納部105は、いわゆるセキュアチップ等により実現されるものであり、生体情報認証部103による生体認証処理に利用される登録生体情報のデータがセキュアに格納されている。また、登録生体情報格納部105に格納されている登録生体情報は、後述する登録生体情報拡張部107による拡張処理により、その内容が随時更新される。更に、登録生体情報格納部105には、後述する登録生体情報拡張部107により算出された各種統計量が、登録生体情報に関連する関連情報として格納されていてもよい。
【0029】
登録生体情報拡張部107は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。登録生体情報拡張部107は、生体情報認証部103により認証された生体情報(認証に成功した生体情報)と登録生体情報とを利用して認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている登録生体情報を拡張する。
【0030】
より詳細には、登録生体情報拡張部107は、統計処理により、生体の活動に伴う認証された生体情報のゆらぎを特定し、特定した生体情報のゆらぎを登録生体情報からの偏差として利用する。その上で、登録生体情報拡張部107は、特定した登録生体情報からの偏差を用いて、予め登録されている登録生体情報を拡張する。
【0031】
これにより、ユーザの日常生活に伴う生体情報の変化や、ユーザの健康状態の変化が、登録生体情報に反映されることとなり、生体情報の認証処理も、反映後の登録生体情報を利用して実施されることとなるため、生体情報の変化に伴う本人拒否率を低下させることが可能となり、認証精度を更に向上させることができる。
【0032】
登録生体情報拡張部107は、予め登録生体情報格納部105に格納されている登録生体情報を拡張すると、拡張後の登録生体情報を、登録生体情報格納部105に格納する。また、登録生体情報拡張部107は、登録生体情報を拡張した際に、予め登録されている登録生体情報全体を更新してもよく、予め登録されている登録生体情報からの差分を新たに追加登録するようにしてもよい。
【0033】
なお、本実施形態に係る登録生体情報拡張部107については、以下で改めて詳細に説明する。
【0034】
認証結果出力部109は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。認証結果出力部109は、測定された生体情報に対する生体情報認証部103による認証処理結果を出力する。例えば、認証結果出力部109は、生体情報認証部103による認証結果を、情報処理装置10が備えるディスプレイ等の表示装置に出力してもよく、情報処理装置10の外部に設けられたディスプレイ等の表示装置に出力してもよい。また、認証結果出力部109は、生体情報認証部103による認証結果を示したデータそのものを、情報処理装置10の外部に設けられた各種機器に出力してもよい。また、認証結果出力部109は、生体情報認証部103による認証結果を、プリンタ等の出力装置を利用して印刷物として出力してもよい。
【0035】
なお、認証結果出力部109は、ユーザによる初期設定等に応じて、認証結果を常に出力しなくともよく、所定の期間毎(例えば、1週間毎や1カ月毎等)に出力するようにしてもよい。
【0036】
記憶部111は、本実施形態に係る情報処理装置10が備えるストレージ装置の一例である。記憶部111には、情報処理装置10が何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録されている。この記憶部111は、生体情報測定部101、生体情報認証部103、登録生体情報拡張部107、認証結果出力部109等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0037】
なお、図1に示した生体情報測定部101は、生体情報認証部103、登録生体情報格納部105、登録生体情報拡張部107、認証結果出力部109及び記憶部111を備える処理ユニットと一体に構成されていてもよく、かかる処理ユニットと生体情報測定部101とが分離されて構成されていてもよい。
【0038】
[登録生体情報拡張部の構成について]
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10が備える登録生体情報拡張部107の構成について、更に詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置10が備える登録生体情報拡張部107の構成を示したブロック図である。
【0039】
なお、以下では、生体情報として、図3に例示したような心電波形に基づく生体情報を利用する場合を例に挙げて、本実施形態に係る登録生体情報拡張部107の構成及びその機能について説明を行うものとする。しかしながら、本実施形態に係る情報処理装置10は、心電波形以外の生体信号(例えば、筋電波形や脳波等の生体信号)に対しても、同様の処理を実施することが可能である点に注意されたい。
【0040】
本実施形態に係る登録生体情報拡張部107は、図2に例示したように、生体情報特徴量算出部121と、統計処理部123と、生体活動状態分類部125と、登録生体情報変更部127と、を更に備える。
【0041】
生体情報特徴量算出部121は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。生体情報特徴量算出部121は、生体情報認証部103から出力された、認証された生体情報(認証に成功した生体情報)に基づいて、当該認証された生体情報を特徴づける特徴量である生体情報特徴量を算出する。
【0042】
本実施形態で着目する心電波形、筋電波形及び脳波といった生体信号は、図3に例示した心電波形のように、振動又は電気信号の大きさを縦軸にとり、時間変化を横軸にとったような波形として表されることが多い。そこで、本実施形態に係る生体情報特徴量算出部121は、認証された生体情報を特徴づける特徴量として、生体信号波形に現れるピークの高さや、ピーク間隔を算出する。なお、生体信号波形に現れるどのようなピークに着目するかについては、着目する生体信号の種別に応じて、適宜設定すればよい。また、生体情報特徴量算出部121は、特定のピークについて上述のようなピーク高さやピーク間隔を算出してもよいし、考えうる全てのピークの組み合わせについて、上述のようなピーク高さやピーク間隔を算出してもよい。
【0043】
また、ピーク高さやピーク間隔は、本実施形態に係る生体情報特徴量算出部121が算出する特徴量の一例であって、生体情報特徴量算出部121は、これら以外の特徴量を算出してもよい。
【0044】
図3に示した心電波形を例にとって、生体情報特徴量算出部121が算出する生体情報特徴量について、更に具体的に説明する。
人間の心電波形には、図3に例示したように、一つの鼓動に対応して、P波、Q波、R波、S波及びT波という5種類の波が存在していることが知られている。ここで、図3に例示したように、図3左側に示したP波〜T波までの一連のピーク群を、N回目の鼓動に対応した心電波形であるとし、図3右側に示したP’波〜T’波までの一連のピーク群を、(N+1)回目の鼓動に対応した心電波形であるとする。
【0045】
この際、生体情報特徴量算出部121は、N回目の鼓動に対応するP波〜T波のピークの高さ(波高)、及び、N+1回目の鼓動に対応するP’波〜T’波のピークの高さ(波高)をそれぞれ特定し、特徴量の一つとする。また、生体情報特徴量算出部121は、N回目の鼓動に対応するP波〜T波のピーク群と、N+1回目の鼓動に対応するP’波〜T’波のピーク群との間で、各波間のピーク間隔をそれぞれ特定し、特徴量の一つとする。この際、生体情報特徴量算出部121は、R−R’波間隔、P−P’波間隔など、ピーク群間で対応する波のピーク間隔だけでなく、R−P’波間隔のように、考えうる全ての組み合わせについて、波間隔を算出してもよい。また、生体情報特徴量算出部121は、例えばP−R波間隔などのように、着目するピーク群の中でのピーク間隔を算出してもよい。
【0046】
生体情報特徴量算出部121は、以上説明したようにして、生体信号に基づく生体情報を特徴づける各種の生体情報特徴量を算出すると、算出した生体情報特徴量を後述する統計処理部123及び生体活動状態分類部125に出力する。また、後述する登録生体情報変更部127は、生体情報特徴量算出部121により算出された生体情報特徴量そのものを登録生体情報に関連付けて登録生体情報格納部105に格納し、それ以降の認証処理や登録生体情報拡張処理に利用することが可能である。
【0047】
また、生体情報特徴量算出部121は、算出した生体情報特徴量のデータに、当該データを算出した日時等の時刻情報を関連付けて、記憶部111に履歴情報として格納してもよい。
【0048】
統計処理部123は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。統計処理部123は、生体情報特徴量算出部121により算出された生体情報特徴量を用いて、生体情報特徴量に対する統計処理を実施し、認証された生体情報の登録生体情報からの偏差を特定する。
【0049】
より詳細には、統計処理部123は、算出された生体情報特徴量に対する統計処理として、例えば、算出された生体情報特徴量を集計することにより生体情報特徴量の頻度分布を特定する。かかる頻度分布が、認証された生体情報の登録生体情報からの偏差に対応するものとなる。
【0050】
心電波形に基づく生体情報を例に挙げて説明すると、心臓の鼓動に起因して観測される心電波形は、当然のことながら、生体活動の状態によって時々刻々と変化している。そのため、本実施形態に係る情報処理装置10により測定された心電波形は、登録生体情報に対して、ある程度のゆらぎを生じることとなる。その結果、例えば図3に例示したような心電波形におけるR−R’波間隔に着目し、かかる波間隔の頻度分布を考慮すると、図4に示したような頻度分布を得ることができる。
【0051】
図4に例示したR−R’波間隔の場合、人間は睡眠時には鼓動が遅くなるため、ピーク群間の周期も長くなり、結果として、睡眠時におけるR−R’波間隔の分布は、図4に示したグラフ図の右端に位置することとなる。また、安静時(非睡眠時)には、睡眠時よりもR−R’波間隔が短くなるため、その頻度分布は図4に示したグラフ図の左側にシフトすることとなり、運動時には鼓動が早くなった分R−R’波間隔も短くなり、その頻度分布も図4に示したグラフ図の左端に位置することとなる。
【0052】
また、同様の統計処理は、疾患時と非疾患時(健康時)との間でも実施することが可能である。
【0053】
更に、統計処理部123は、ピーク間隔のみならず、ピーク高さについても、同様にして頻度分布を考慮することが可能である。
【0054】
なお、統計処理部123が実施する統計処理は上述のような頻度分布の特定に限定されるわけではなく、統計処理部123は、算出された生体情報特徴量を利用して、公知のあらゆる統計処理を実施することが可能である。
【0055】
統計処理部123は、生体情報特徴量に対する統計処理を実施すると、得られた統計処理結果を、後述する生体活動状態分類部125に出力する。また、後述する登録生体情報変更部127は、統計処理部123による統計処理結果そのものを登録生体情報に関連付けて登録生体情報格納部105に格納し、それ以降の認証処理や登録生体情報拡張処理に利用することが可能である。更に、また、統計処理部123は、得られた統計処理結果のデータを、当該データを生成した日時等の時刻情報に関連付けて、記憶部111等に履歴情報として格納してもよい。
【0056】
生体活動状態分類部125は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。生体活動状態分類部125は、統計処理部123による統計処理結果を用いて、生体の活動状態を分類する。具体的には、生体活動状態分類部125は、図4に例示したような統計処理結果に関する知見を利用することで、生体情報認証部103から出力された生体情報(認証された生体情報)に対応する生体の活動状態を判定して分類することが可能となる。
【0057】
生体活動状態分類部125は、生体活動状態の分類結果を示したデータを、後述する登録情報変更部127に出力する。また、生体活動状態分類部125は、分類結果を示したデータを、当該データを生成した日時等の時刻情報に関連付けて、記憶部111等に履歴情報として格納してもよい。
【0058】
登録生体情報変更部127は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。登録生体情報変更部127は、生体活動状態分類部125による生体活動状態の分類結果に応じて、登録生体情報として未だ登録されていない生体活動状態での認証された生体情報を含むように、登録生体情報格納部105に登録されている登録生体情報を変更する。
【0059】
このようにして登録生体情報変更部127が登録生体情報の内容を変更することにより登録生体情報を拡張することで、登録生体情報格納部105には、ユーザが最初に登録した登録生体情報以外に、様々な生体活動状態に分類される生体情報(認証された生体情報)が記録され、予め登録されている登録生体情報を補完することとなる。その結果、登録生体情報に類似していると判定された、登録生体情報に対応する生体活動状態以外の生体情報が随時追加されることとなるため、生体がどのような活動状態であっても適切な登録生体情報を用いて認証をスムーズに行うことが可能となる。
【0060】
この際、それぞれの生体活動状態に分類される生体情報の登録個数は、1個に限定されるわけではなく、各生体活動状態に複数個の生体情報(認証された生体情報)が登録されてもよい。
【0061】
また、生体情報特徴量算出部121により算出された生体情報特徴量や統計処理部123による統計処理結果自体にも個人差が存在するため、かかるデータそのものを、認証精度を向上させるための情報として利用することも可能である。従って、登録生体情報変更部127は、これらのデータについても、登録生体情報を補完・拡張させる新たなデータとして、登録生体情報に関連付けて登録生体情報格納部105に格納してもよい。
【0062】
以上、図2〜図4を参照しながら、本実施形態に係る登録生体情報拡張部107の構成について、具体的に説明した。
【0063】
なお、本実施形態に係る登録生体情報拡張部107は、上記の登録生体情報拡張処理以外の方法を用いて、登録生体情報の拡張を実施してもよい。例えば、登録生体情報拡張部107は、認証に成功した生体情報を利用して、登録生体情報に対応する生体信号波形を構成するデータ点の位置を修正してもよい。具体的には、登録生体情報拡張部107は、認証に成功した生体情報と、登録生体情報とを用いて、いわゆる機械学習技術を実施し、生体信号波形を構成するデータ点の位置を修正するようにしてもよい。これにより、登録生体情報拡張部107は、登録生体情報格納部105に格納されている登録生体情報を、生体情報の変動に応じたより確からしい登録生体情報へと更新することが可能となる。
【0064】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0065】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0066】
<情報処理方法の流れについて>
続いて、図5を参照しながら、本実施形態に係る情報処理方法の流れの一例について説明する。図5は、本実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
【0067】
まず、情報処理装置10の生体情報測定部101は、当該生体情報測定部に近接又は接触しているユーザから、生体情報を測定し(ステップS101)、得られた生体情報の測定データを、生体情報認証部103に出力する(ステップS103)。
【0068】
生体情報認証部103は、生体情報測定部101から生体情報の測定データが出力されると、まず、登録生体情報格納部105から、その時点で登録されている登録生体情報を取得する(ステップS105)。その後、生体情報認証部103は、生体情報測定部101から出力された生体情報の測定データと、登録生体情報とを利用して、測定データの認証処理を実施する(ステップS107)。生体情報認証部103は、測定された生体情報の認証に成功すると、認証された生体情報を、登録生体情報拡張部107に出力する(ステップS109)。
【0069】
登録生体情報拡張部107は、生体情報認証部103から認証された生体情報が出力されると、まず、登録生体情報格納部105から、その時点で登録されている登録生体情報を取得する(ステップS111)。続いて、登録生体情報拡張部107は、認証された生体情報と、取得した登録生体情報とを利用して、登録生体情報の拡張処理を実施する(ステップS113)。その後、登録生体情報拡張部107は、登録生体情報の拡張処理結果に基づいて、登録生体情報格納部105に格納されている登録生体情報を変更する(ステップS115)。
【0070】
以上説明したような一連の処理が繰り返し実施されることで、登録生体情報が随時更新されることとなる。
【0071】
<第1変形例>
以上説明した本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置10は、生体情報の測定を実施する生体情報測定部を含むものであった。しかしながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置10は、以下で説明するように、生体情報測定部を備えていなくともよい。かかる場合には、情報処理装置10は、生体情報を測定可能な測定ユニット20から出力された生体情報を利用して、登録生体情報の拡張処理を実施する。
【0072】
以下、図6を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の第1変形例について、簡単に説明する。図6は、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の第1変形例について示したブロック図である。
【0073】
本変形例に係る情報処理装置10は、図6に例示したように、生体情報認証部103と、登録生体情報格納部105と、登録生体情報拡張部107と、認証結果出力部109と、記憶部111と、生体情報取得部151と、を主に備える。
【0074】
ここで、本変形例に係る生体情報認証部103は、生体情報取得部151から出力された生体情報に対して生体認証処理を実施する以外は、第1の実施形態に係る情報処理装置10が備える生体情報認証部103と同様の構成を有し、同様の効果を奏するものである。また、本変形例に係る登録生体情報格納部105、登録生体情報拡張部107、認証結果出力部109及び記憶部111は、第1の実施形態に係る情報処理装置10が備える各処理部と同様の構成を有し、同様の効果を奏するものである。従って、以下では、これらの処理部に関する詳細な説明は省略する。
【0075】
生体情報取得部151は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。生体情報取得部151は、後述する測定ユニット20により測定された生体情報のデータを、測定ユニット20から取得する。その後、生体情報取得部151は、測定ユニット20から取得した生体情報の測定データを、生体情報認証部103に出力する。
【0076】
また、生体情報取得部151は、取得した生体情報の測定データに、当該データを取得した日時等の時刻情報を関連付けて、記憶部111に履歴情報として格納してもよい。
【0077】
以上、本変形例に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0078】
なお、上述のような本変形例に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0079】
本変形例に係る測定ユニット20は、当該測定ユニット20に近接又は接触しているユーザの生体信号を測定することで生体信号に基づく生体情報を生成し、情報処理装置10に出力する。
【0080】
かかる測定ユニット20は、図6に例示したように、生体情報測定部201と、生体情報出力部203と、を主に備える。
【0081】
生体情報測定部201は、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置10が備える生体情報測定部101と同様の構成を有し、同様の効果を奏するものである。従って、以下では、詳細な説明は省略する。
【0082】
生体情報出力部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。生体情報出力部203は、生体情報測定部201により生成された生体情報の測定データを、情報処理装置10に対して出力する。この際、生体情報出力部203は、生体情報の測定データを、情報処理装置10と測定ユニット20とを直接接続する接続ケーブルを介して出力してもよいし、ローカルネットワークやインターネット等といった各種のネットワークを介して、有線通信又は無線通信により出力してもよい。
【0083】
本変形例に係る情報処理装置10では、生体情報の測定機能を情報処理装置10の外部に設けられた測定ユニット20によって実現することで、例えば、ユーザが操作するコンピュータや各種携帯機器やユーザが身につける装飾品等に測定ユニット20のみを実装しておき、生体認証処理や登録生体情報の拡張処理を異なる機器で実現する等といったユースケースを実現することが可能となる。また、情報処理装置10は、生体情報を測定するための測定ユニットを備えていなくとも良いため、情報処理装置10を更に小型化することが可能となる。
【0084】
以上、図6を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置の第1変形例について説明した。
【0085】
(ハードウェア構成について)
次に、図7を参照しながら、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図7は、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0086】
情報処理装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インターフェース913、センサ914、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923および通信装置925を備える。
【0087】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0088】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0089】
センサ914は、例えば、ユーザに固有の生体情報、又は、かかる生体情報を取得するために用いられる各種情報を検出する検出手段である。このセンサ914として、例えば、生体で生じる心電波形を測定するための心電波形測定センサや、生体で生じる筋電波形を測定するための筋電波形測定センサや、生体で発生する脳波を測定するための脳波測定センサ等を挙げることができる。また、センサ914は、これらのセンサ以外にも、生体の生命活動に伴って生体内で生じる動的に変化する信号を測定するための各種センサであってもよい。
【0090】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0091】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0092】
ストレージ装置919は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種データなどを格納する。
【0093】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0094】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
【0095】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0096】
以上、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0097】
(まとめ)
以上説明したように、本開示の実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法では、使用者(ユーザ)が情報処理装置を使用又は装着している間、継続して生体信号を利用した生体認証処理が実施されることとなる。これにより、使用者の日常生活における生体信号の変化や、健康状態の変化に伴う生体信号の変化が、登録生体情報に反映されることとなる。その後の生体情報の認証処理には、反映後の登録生体情報が使用されるため、生体情報の変化に伴う本人拒否率を低減することが可能となり、ひいては、生体認証処理の認証精度を向上させることが可能となる。
【0098】
また、本開示の実施形態に係る情報処理装置を搭載又は利用する他の装置は、現在の使用者が正当な使用者かどうかを、情報処理装置による認証結果を用いて継続的に把握することが可能となる。従って、本開示の実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法を利用することで、認証されている間だけ動作するような装置を実現することが可能となる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証部と、前記生体情報認証部により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張部と、を備える、情報処理装置。
(2)前記登録生体情報拡張部は、前記統計処理により、前記生体の活動に伴う前記認証された生体情報の前記登録生体情報からの偏差を特定し、特定した前記登録生体情報からの偏差を用いて前記登録生体情報を拡張する、(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記登録生体情報拡張部は、前記認証された生体情報に基づいて、当該認証された生体情報を特徴づける特徴量である生体情報特徴量を算出する生体情報特徴量算出部と、前記生体情報特徴量算出部により算出された前記生体情報特徴量を用いて、前記生体情報特徴量に対する統計処理を実施し、前記登録生体情報からの偏差を特定する統計処理部と、前記統計処理部による統計処理結果を用いて、前記生体の活動状態を分類する生体活動状態分類部と、前記生体活動状態分類部による前記生体の活動状態の分類結果に応じて、前記登録生体情報として未だ登録されていない前記生体の活動状態における前記認証された生体情報を含むように、前記予め登録されている登録生体情報を変更する登録生体情報変更部と、を更に備える、(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記生体情報は、生体の心電波形に基づく生体情報、生体の筋電波形に基づく生体情報、又は、生体の脳波に基づく生体情報である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(5)前記生体情報は、生体の心電波形に基づく生体情報であり、前記生体情報特徴量算出部は、前記心電波形におけるP波、Q波、R波、S波、T波それぞれの波高に関する特徴量、及び、波間の間隔に関する特徴量の少なくとも何れか一方を算出し、前記統計処理部は、前記波高に関する特徴量、及び、波間の間隔に関する特徴量の出現頻度を算出する、(4)に記載の情報処理装置。
(6)前記情報処理装置は、前記生体から前記生体情報を測定する生体情報測定部を更に備え、前記生体情報測定部は、前記生体情報を間欠的又は連続的に測定する、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(7)生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証することと、認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張することと、を含む、情報処理方法。
(8)コンピュータに、生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証機能と、前記生体情報認証機能により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張機能と、を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0101】
10 情報処理装置
101 生体情報測定部
103 生体情報認証部
105 登録生体情報格納部
107 登録生体情報拡張部
109 認証結果出力部
111 記憶部
121 生体情報特徴量算出部
123 統計処理部
125 生体活動状態分類部
127 登録生体情報変更部
151 生体情報取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証部と、
前記生体情報認証部により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記登録生体情報拡張部は、
前記統計処理により、前記生体の活動に伴う前記認証された生体情報の前記登録生体情報からの偏差を特定し、特定した前記登録生体情報からの偏差を用いて前記登録生体情報を拡張する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記登録生体情報拡張部は、
前記認証された生体情報に基づいて、当該認証された生体情報を特徴づける特徴量である生体情報特徴量を算出する生体情報特徴量算出部と、
前記生体情報特徴量算出部により算出された前記生体情報特徴量を用いて、前記生体情報特徴量に対する統計処理を実施し、前記登録生体情報からの偏差を特定する統計処理部と、
前記統計処理部による統計処理結果を用いて、前記生体の活動状態を分類する生体活動状態分類部と、
前記生体活動状態分類部による前記生体の活動状態の分類結果に応じて、前記登録生体情報として未だ登録されていない前記生体の活動状態における前記認証された生体情報を含むように、前記予め登録されている登録生体情報を変更する登録生体情報変更部と、
を更に備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報は、生体の心電波形に基づく生体情報、生体の筋電波形に基づく生体情報、又は、生体の脳波に基づく生体情報である、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生体情報は、生体の心電波形に基づく生体情報であり、
前記生体情報特徴量算出部は、前記心電波形におけるP波、Q波、R波、S波、T波それぞれの波高に関する特徴量、及び、波間の間隔に関する特徴量の少なくとも何れか一方を算出し、
前記統計処理部は、前記波高に関する特徴量、及び、波間の間隔に関する特徴量の出現頻度を算出する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記生体から前記生体情報を測定する生体情報測定部を更に備え、
前記生体情報測定部は、前記生体情報を間欠的又は連続的に測定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証することと、
認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
生体の生命活動に伴い生体内で生じる動的な信号である生体信号に基づく生体情報を、予め登録されている前記生体情報である登録生体情報を利用して認証する生体情報認証機能と、
前記生体情報認証機能により認証された前記生体情報と前記登録生体情報とを利用して前記認証された生体情報に関する統計処理を実施し、統計処理結果に基づいて予め登録されている前記登録生体情報を拡張する登録生体情報拡張機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212362(P2012−212362A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78314(P2011−78314)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】