説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】改変されたデータにおいても、改変が適正か否かを厳密に管理する。
【解決手段】改変・編集・引用適正判定部107は、データに対する改変が適正であるか否かを判定する。暗号化処理部108は、改変が適正であると判定された場合、各著作権者によって生成及び改変されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化する。コンテンツ復号処理・再構成処理部103は、暗号化されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号し、復号したデータを用いてデータの再構成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改変コンテンツの著作権を管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツのデジタル化に伴って著作権保護技術が開発されてきた。特に、商用のコンテンツデータである映画データ、音楽データに対しては、複製防止を主な目的として様々な著作権保護技術が開発され、広く使われるようになっている。一方、オフィスで扱う非商用のコンテンツデータに関しては単に閲覧するだけでなく、改変や編集等、二次加工されることも多い。このような場合、オリジナルコンテンツデータに対する著作権と同様に、改変されたコンテンツデータ、編集されたコンテンツデータにも二次著作権が付与されるが、厳密に管理されていないことが多い。また、コンテンツデータが他の著作権者が著作権をもつコンテンツデータからの引用部分を含んでいることも多い。
【0003】
従来、このように改変されたコンテンツデータの二次著作権の管理方法として、著作権履歴情報を作成し、コンテンツデータと合わせて管理する方法が知られている。即ち、オリジナルコンテンツデータ作成時から改変毎に著作権情報データを作成し、コンテンツデータと紐付けすることにより、オリジナルコンテンツデータから現在のコンテンツデータまでの著作権履歴を管理するものである。また、改変されたコンテンツデータに関するオリジナルコンテンツデータの著作権は、オリジナルコンテンツデータを改変する際の加工許可によって制御され、加工許可があった場合は改変されたコンテンツデータの二次著作権とともに扱われることもあった。また、特許文献1には、他の著作権者が著作権をもつコンテンツデータの使用可否情報やコンテンツデータのデータ量から引用が適正か否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−118324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、複数の著作権者によって複数回改変が行われた場合、著作権者毎に改変されたコンテンツデータを管理することができなかった。特に、オリジナルコンテンツデータが引用部分を含む場合、オリジナルコンテンツデータにおいて著作権上引用が適正であることが確認されていても、その後、改変されたコンテンツデータにおいては引用が適正か否かを厳密に管理することができなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、改変されたコンテンツデータにおいても、改変が適正か否かを厳密に管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、データに対する改変が適正であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により改変が適正であると判定された場合、各著作権者によって生成及び改変されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段により暗号化されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号する復号手段と、前記復号手段により復号されたデータを用いて、データの再構成を行う再構成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、改変されたデータにおいても、改変が適正か否かを厳密に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る改変コンテンツ二次著作権管理装置の構成を示す図である。
【図2】原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータを改変者B、Cが改変した場合のコンテンツデータの推移の一例を示す図である。
【図3】原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータ部分と、改変者B、C各々の改変部分とを示す図である。
【図4】表示・改変部の構成を示す図である。
【図5】コンテンツデータの改変処理を示すフローチャートである。
【図6】コンテンツデータベース上において格納されるコンテンツデータのデータフォーマットを示す図である。
【図7】コンテンツデータの再利用方法の例を示す図である。
【図8】コンテンツデータの編集内容を示す図である。
【図9】コンテンツデータの編集処理を示すフローチャートである。
【図10】再利用時においてオリジナルコンテンツデータe1及び編集コンテンツデータf1が復号される状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
以下では、会議におけるコンテンツデータの改変及び再利用を例に挙げて、本発明の実施形態について説明する。例えば、プロジェクタによりデータベース上のオリジナルコンテンツデータをホワイトボード上に投影し、ホワイトボードに投影されたオリジナルコンテンツデータに書き込みを行う場合を考える。ホワイトボード上には投影されたオリジナルコンテンツデータと書き込みデータとで合成された、改変されたコンテンツデータが作成される。以下、このように改変されたコンテンツデータを改変コンテンツデータと称することがある。
【0012】
次に、ホワイトボードに投影された改変コンテンツデータをカメラで画像データとして取り込むことにより、改変コンテンツデータが保存される。このとき、保存された改変コンテンツデータの著作権者は、オリジナルコンテンツデータの著作権者と追記部分の著作権者となる。また、プロジェクタにはPC(Personal Computer)が接続されており、プレゼンテーション用のファイルが投影されている場合、PC上でファイルの追記又は変更がされたときも改変コンテンツデータが作成される。
【0013】
本実施形態では、以下の手順で改変コンテンツデータの著作権を管理する。先ず、オリジナルコンテンツデータが改変された後、カメラの撮影により改変コンテンツデータが取り込まれ、取り込まれた改変コンテンツデータが各著作権者の著作権毎の部分に分離される。そして著作権毎に設定された暗号鍵により順次暗号化され、データベースに格納される。即ち、改変コンテンツデータは複数の著作権者の暗号鍵により多重暗号化されることになり、再利用される際には各著作権者が許可した部分のみ復号される。そして、再利用が許可された部分からコンテンツデータが再構成されることにより、改変コンテンツデータが再利用される。
【0014】
図2は、原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータを改変者B、Cが改変した場合のコンテンツデータの推移の一例を示す図である。先ず、原作者AのFigure1及び引用データ1が配置されたオリジナルコンテンツデータ(図2の2001)に対して改変者BがText1を追加する(図2の2002)。次に改変者CがFigure2を追加し(図2の2003)、そして再び改変者BがText2及び引用データ2を追加する(図2の2004)。次に、引用データ2については引用が適正ではないと判定されたため、改変者Bは引用データ2を削除する(図2の2005)。このとき、原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータ部分と、改変者B、C各々の改変部分とは、図3に示すようになる。即ち、図3の301は、原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータ部分を示しており、図3の302は、改変者Bの改変部分を示しており、図3の303は、改変者Cの改変部分を示している。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る改変コンテンツ二次著作権管理装置の構成を示す図である。図1において、100は、コンテンツデータの登録、再利用、改変、編集の際の著作権を管理する改変コンテンツ二次著作権管理装置である。101は、コンテンツデータを利用することができるか否かを判定するコンテンツ利用許可判定部である。102は、再利用されるコンテンツデータを格納するコンテンツデータベースである。103は、コンテンツ利用許可判定部101から出力される暗号化されたコンテンツデータを復号し、再構成するコンテンツ復号処理・再構成処理部である。104は、コンテンツデータの暗号化及び復号の際に利用される、コンテンツデータの著作権者の暗号鍵を格納する暗号鍵データベースである。105は、コンテンツデータを著作権毎に分離する改変・編集コンテンツ分離処理部である。106は、改変・編集コンテンツ分離処理部105によって著作権毎に分離されたコンテンツデータの改変量又は編集量を算出する改変量・編集量算出処理部である。107は、改変量・編集量算出処理部106によって算出された改変量又は編集量に基づいて、コンテンツデータの改変、編集又は引用が適正であるか否かを判定する改変・編集・引用適正判定部である。108は、著作権毎に分離されたコンテンツデータを、著作権毎に暗号化処理する暗号化処理部である。110は、コンテンツ復号処理・再構成処理部103から出力される再構成されたコンテンツデータを表示するとともに、改変を加えるための表示・改変部である。なお、図1に示す改変コンテンツ二次著作権管理装置は、情報処理装置の適用例となる構成である。
【0016】
図4は、表示・改変部110の構成を示す図である。図4に示すように、表示・改変部110は、プロジェクタ111、カメラ112及び著作権者設定部113により構成される。プロジェクタ111は、コンテンツデータをホワイトボード114に投影する。カメラ112は、ホワイトボード114に投影されたコンテンツデータを撮像する。著作権者設定部113は、コンテンツデータの著作権者を設定する。
【0017】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、コンテンツデータの改変処理について説明する。
【0018】
図2の2001に示すように、原作者Aが作成したオリジナルコンテンツデータa1には、Figure1と引用データ1とが配置されており、引用データ1が著作権上適正であることが確認されているものとする。オリジナルコンテンツデータa1は、予め原作者Aによって設定された暗号鍵KeyAにより暗号化され、コンテンツデータベース102に格納されている。また、暗号鍵KeyAは暗号鍵データベース104に格納されている。ここで、オリジナルコンテンツデータa1を暗号鍵KeyAで暗号化し、暗号化されたコンテンツデータCa1を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Ca1=E(KeyA、a1)
【0019】
ステップS501において、表示・改変部110は、オリジナルコンテンツデータa1に対するコンテンツ利用許可申請201をコンテンツ利用許可判定部101に対して出力する。コンテンツデータベース102上においてコンテンツデータCa1は、引用データと引用データ以外のコンテンツデータのほか、鍵ID、利用許可情報、引用データ情報とともに図6に示すデータフォーマットで格納されている。
【0020】
コンテンツ利用許可判定部101は、コンテンツデータベース102から、暗号化されたコンテンツデータCa1、及び、オリジナルコンテンツデータa1の原作者Aの利用許可情報203を取得する。そしてステップS502において、コンテンツ利用許可判定部101は、オリジナルコンテンツデータa1を利用することができるか否かを判定する。オリジナルコンテンツデータa1の利用が許可されていない場合、ここで処理は終了となる。一方、オリジナルコンテンツデータa1の利用が許可されている場合、処理はステップS503に移行する。ステップS503において、コンテンツ利用許可判定部101は、図6に示すデータフォーマットのコンテンツデータCa1(205)をコンテンツ復号処理・再構成処理部103に対して出力する。コンテンツ復号処理・再構成処理部103は、暗号鍵データベース104から暗号鍵KeyA207を取得し、暗号化されたコンテンツデータCa1を復号する。ここで、暗号化されたコンテンツデータCa1を暗号鍵KeyAで復号し、オリジナルコンテンツデータa1を得る復号処理Dを次のように表す。
a1=D(KeyA、Ca1)
【0021】
コンテンツ復号処理・再構成処理部103は、オリジナルコンテンツデータa1(208)を表示・改変部110に対して出力する。これにより、オリジナルコンテンツデータa1は、プロジェクタ111によってホワイトボード114に投影される。
【0022】
ステップS504において、図2の2002に示すように、改変者Bによりオリジナルコンテンツデータa1にText1が追加される。そして、カメラ112よって改変コンテンツデータ209が撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。また、改変部分の著作権者情報210も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。ステップS505において、改変・編集コンテンツ分離処理部105は、表示・改変部110から入力される改変コンテンツデータ209を著作権毎に分離し、分離した改変コンテンツデータ211を改変量・編集量算出処理部106に出力する。
【0023】
ステップS506において、改変量・編集量算出処理部106は、著作権毎に分離された改変コンテンツデータから改変コンテンツデータの改変量を算出する。そして改変量・編集量算出処理部106は、算出した改変コンテンツデータの改変量212を、改変コンテンツデータ及び改変コンテンツデータの著作権情報とともに、改変・編集・引用適正判定部107に対して出力する。ステップS507において、改変・編集・引用適正判定部107は、改変コンテンツデータにおいて改変が適正であるか否かを判定し、その判定結果を適正判定結果データ213として出力する。改変が適正であるか否かの判定基準は予め設定されており、例えば改変量が設定値以下であるか否かが判定基準となる。適正判定結果データ213は、改変・編集・引用適正判定部107から表示・改変部110に出力される。改変が適正ではないという判定結果を示す適正判定結果データ213が出力されると、処理はステップS509に移行する。一方、改変が適正であるという判定結果を示す適正判定結果データ213が出力されると、処理はステップS508に移行する。
【0024】
ステップS509において、改変コンテンツデータはコンテンツデータベース102に登録されず、表示・改変部110は、改変者Bの操作に応じて改変の修正を行う。ここでは、改変者Bによる改変は適正と判定されたものとする。従って、処理はステップS508に移行し、ステップS508において、改変・編集・引用適正判定部107は、改変コンテンツデータに引用データが存在するか否かを判定する。改変コンテンツデータに引用データが存在する場合、処理はステップS510に移行する。一方、改変コンテンツデータに引用データが存在しない場合、処理はステップS510、S511をスキップして、ステップS512に移行する。
【0025】
ステップS510において、改変・編集・引用適正判定部107は、改変コンテンツデータにおいて引用が適正であるか否かを判定し、その判定結果を適正判定結果データ214として出力する。適正判定結果データ214において引用が適正であるとの判定結果が示されていた場合、処理はステップS512に移行する。一方、適正判定結果データ214において引用が適正ではないとの判定結果が示されていた場合、処理はステップS511に移行する。ステップS511において、改変コンテンツデータはコンテンツデータベース102に登録されず、表示・改変部110は、改変者Bの操作に応じて引用の修正を行う。
【0026】
なお、ステップS510における引用が適正であるか否かの判定基準は予め設定されており、例えば、投影される画面サイズに対して引用データ部分の占める面積の割合が一定値以下であるか否かが判定基準となる。ここでは、改変者Bによる改変後も引用は適正と判定されたものとする。このように、改変者Bによる改変に対して改変、引用ともに適正と判定された場合、改変者Bによる改変が確定し、著作権毎に分離された改変コンテンツデータは一時的に保持される。
【0027】
ステップS512において、表示・改変部110は、コンテンツデータの改変が終了したか否かを判定する。コンテンツデータの改変が終了した場合、処理はステップS513に移行する。一方、コンテンツデータの改変が終了していない場合、処理はステップS504に移行する。ここでは、改変者Cによりオリジナルコンテンツデータa1にFigure2が追加されたものとする。従って、処理はステップS512からS504に移行する。そして、カメラ112によって改変コンテンツデータ209が撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。また、改変部分の著作権者情報210も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。以下、上述した改変者Bによる改変の場合と同様の処理が行われ、改変が適正と判定されると、改変者Cによる改変が確定する。
【0028】
次に、改変者Bによりオリジナルコンテンツデータa1にText2及び引用データ2が追加されたものとする。従って、処理はステップS512からS504に移行する。そして、カメラ112によって改変コンテンツデータ209が撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。また、改変部分の著作権者情報210も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。その後、これまでの改変と同様に、改変コンテンツデータの著作権毎の分離処理(ステップS505)、改変適正の判定処理(ステップS507)が行われ、改変が適正であると判定されると、ステップS510において引用が適正であるか否かの判定処理が行われる。今回の改変者Bによる改変では引用データ2が追加されたが、ここでは、投影される画面サイズに対して引用データ2の占める割合が一定値を超え、引用が適正ではないと判定されたものとする。従って、改変・編集・引用適正判定部107は、引用が適正でないことを示す適正判定結果データ214を表示・改変部110に対して出力し、改変者Bによる改変が確定しない。
【0029】
ステップS511において、改変者Bにより引用を適正にするために引用データ2が削除されると、カメラ112によって改変コンテンツデータ209が撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。また、改変部分の著作権者情報も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。その後、これまでの改変と同様に、改変コンテンツデータの著作権毎の分離処理(ステップS505)、改変適正の判定処理(ステップS507)、引用適正の判定処理(ステップS510)が行われ、改変及び引用が適正と判定されることになり、改変者Bによる改変が確定する。
【0030】
このようにコンテンツデータが改変される度に改変及び引用の適正判定が繰り返し行われる。最終的に改変が確定すると、著作権毎に分離された改変コンテンツデータ及び著作権者情報215は、改変・編集・引用適正判定部107から暗号化処理部108に出力される。暗号化処理部108は、各著作権者によって予め設定された暗号鍵217を暗号鍵データベース104から取得し、著作権毎に分離された改変コンテンツデータを該当する著作権者の暗号鍵で順次暗号化する。ここで、オリジナルコンテンツデータa1を暗号鍵KeyAで暗号化し、暗号化されたコンテンツデータCa1を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Ca1=E(KeyA、a1)
改変者Bによる改変部分b1を暗号鍵Bで暗号化した後、暗号鍵Aでさらに暗号化することにより、暗号化された改変部分Cb1を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Cb1=E(KeyA、E(KeyB、b1))
改変者Cによる改変部分c1を暗号鍵Cで暗号化した後、暗号鍵Aでさらに暗号化することにより、暗号化された改変部分Cc1を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Cc1=E(KeyA、E(KeyC、c1))
【0031】
このようにして改変コンテンツデータは著作権毎に分離され、著作権毎に多重暗号化される。その後、ステップS513において、著作権毎に分離された改変コンテンツデータ216はコンテンツデータベース102に格納される。
【0032】
次に、改変コンテンツデータの再利用について説明する。コンテンツデータベース102に格納されている暗号化されたコンテンツデータ群Ca1、Cb1、Cc1は著作権者A、B、Cの利用許可状況により、復号及び再構成処理が許可される。ここで、著作権者B、Cは、上記改変者B、Cと同一人物である。再利用者Dが再利用する場合、著作権者A、B、Cの再利用者Dに対する利用許可状況により、図7に示すように、4通りでコンテンツデータを再利用することが可能である。即ち、著作権者Aのみが再利用者Dに対して利用許可を与えている場合、図7の701に示すように、オリジナルコンテンツデータa1のみを利用することができる。著作権者A、Bのみが再利用者Dに対して利用許可を与えている場合、図7の702に示すように、オリジナルコンテンツデータa1と改変部分b1とから成る改変コンテンツデータを利用することができる。著作権者A、Cのみが再利用者Dに対して利用許可を与えている場合、図7の703に示すように、オリジナルコンテンツデータa1と改変部分c1とから成る改変コンテンツデータを利用することができる。著作権者全員が再利用者Dに対して利用許可を与えている場合、図7の704に示すように、オリジナルコンテンツデータa1と改変部分b1と改変部分c1とから成る改変コンテンツデータを利用することができる。なお、著作権者Aが再利用者Dに対して利用許可を与えていない場合、図7に示す何れのコンテンツデータも利用することができない。
【0033】
次に、オリジナルコンテンツデータに対して編集が行われる場合について説明する。図8は、コンテンツデータの編集内容を示す図である。編集処理も、図1に示す改変コンテンツ二次著作権管理装置によって行われる。また、コンテンツデータの編集処理は、図9に示すフローチャートに従って行われる。
【0034】
原作者Eが作成したオリジナルコンテンツデータe1には、図8の801に示すように、Text11、Text12、Text13、Text14、Figure11、引用データ11が配置されている。また、引用データ11が著作権上適正であることが確認されている。このようなオリジナルコンテンツデータe1は、予め原作者Eによって設定された暗号鍵KeyEにより暗号化され、コンテンツデータCe1としてコンテンツデータベースに102に格納されている。また、暗号鍵KeyEは暗号鍵データベース104に格納されている。
【0035】
ステップS901において、表示・改変部110は、オリジナルコンテンツデータe1に対するコンテンツ利用許可申請201をコンテンツ利用許可判定部101に出力する。コンテンツデータベース102上でコンテンツデータCe1は引用データと引用データ以外のコンテンツデータの他、鍵ID、利用許可情報、引用データ情報とともに図6に示すようなデータフォーマットで格納されている。
【0036】
コンテンツ利用許可判定部101は、コンテンツデータベース102から暗号化されたコンテンツデータCe1、及び、コンテンツデータCe1の著作権者E(原作者E)の利用許可情報203を取得する。そしてステップS902において、コンテンツ利用許可判定部101は、オリジナルコンテンツデータe1を利用することができるか否かを判定する。オリジナルコンテンツデータe1の利用が許可されていない場合、ここで処理は終了となる。一方、オリジナルコンテンツデータe1の利用が許可されている場合、処理はステップS903に移行する。ステップS903において、コンテンツ利用許可判定部101は、図6に示すデータフォーマットのコンテンツデータCe1(205)をコンテンツ復号処理・再構成処理部103に対して出力する。コンテンツ復号処理・再構成処理部103は、暗号鍵データベース104から暗号鍵KeyE207を取得し、暗号化されたコンテンツデータCe1を復号する。ここで、暗号化されたコンテンツデータCe1を暗号鍵KeyEで復号し、オリジナルコンテンツデータe1を得る復号処理Dを次のように表す。
e1=D(KeyE、Ce1)
【0037】
コンテンツ復号処理・再構成処理部103は、オリジナルコンテンツデータe1(208)を表示・改変部110に対して出力する。これにより、オリジナルコンテンツデータe1は、プロジェクタ111によってホワイトボード114に投影される。
【0038】
ステップS904において、表示・改変部110は、編集者Fの操作に応じて、原作者Eによって作成されたオリジナルコンテンツデータe1に対してText12、Text14を削除し、Text11、Text13の配置を変更する処理を行う。また、表示・改変部110は、編集者Fの操作に応じて、Figure11、引用データ11をそれぞれ拡大し、配置を変更することにより、コンテンツデータf1を作成する(図8の802)。
【0039】
このように編集が終わると、編集されたコンテンツデータf1(209)がカメラ112によって撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。また、編集されたコンテンツデータf1の著作権者情報210も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に出力される。以下、このように編集されたコンテンツデータを編集コンテンツデータと称することがある。ステップS905において、改変・編集コンテンツ分離処理部105は、表示・改変部110から入力される編集コンテンツデータf1を著作権毎に分離し、著作権毎に分離された編集コンテンツデータ211を改変量・編集量算出処理部106に出力する。
【0040】
ステップS906において、改変量・編集量算出処理部106は、著作権毎に分離された編集コンテンツデータf1から編集量を算出する。そして改変量・編集量算出処理部106は、算出した編集コンテンツデータf1の編集量212を、編集コンテンツデータf1及び編集コンテンツデータf1の著作権情報とともに、改変・編集・引用適正判定部107に対して出力する。ステップS907において、改変・編集・引用適正判定部107は、編集コンテンツデータf1において編集が適正であるか否かを判定し、その判定結果を適正判定結果データ213として出力する。編集が適正であるか否かの判定基準は予め設定されており、例えば編集量が設定値以下であるか否かが判定基準となる。適正判定結果データ213は、改変・編集・引用適正判定部107から表示・改変部110に出力される。編集が適正でないという判定結果を示す適正判定結果データ213が出力されると、処理はステップS909に移行する。一方、編集が適正であるという判定結果を示す適正判定結果データ213が出力されると、処理はステップS908に移行する。
【0041】
ステップS909において、編集コンテンツデータf1はコンテンツデータベース102に登録されず、表示・改変部110は、編集者Fの操作に応じて編集の修正を行う。ここでは、編集者Fによる編集は適正と判定されたものとする。従って、処理はステップS908に移行し、ステップS908において、改変・編集・引用適正判定部107は、編集コンテンツデータf1に引用データが存在するか否かを判定する。編集コンテンツデータf1に引用データが存在する場合、処理はステップS910に移行する。一方、編集コンテンツデータf1に引用データが存在しない場合、処理はステップS910、S911をスキップして、ステップS912に移行する。
【0042】
ステップS910において、改変・編集・引用適正判定部107は、編集コンテンツデータf1において引用が適正であるか否かを判定し、その判定結果を適正判定結果データ214として出力する。適正判定結果データ214において引用が適正であるとの判定結果が示されていた場合、処理はステップS912に移行する。一方、適正判定結果データ214において引用が適正ではないとの判定結果が示されていた場合、処理はステップS911に移行する。ステップS911において、編集コンテンツデータf1はコンテンツデータベース102に登録されず、表示・改変部110は、編集者Eの操作に応じて編集の修正を行う。
【0043】
なお、ステップS910における引用が適正であるか否かの判定基準も予め設定されており、例えば、投影される画面サイズに対して引用データ部分の占める面積の割合が一定値以下であるか否かが判定基準となる。ここでは、編集者Fによる編集後、引用データ11が拡大されたため、引用データ11の部分の面積が判定基準を越え、適正ではないと判定されたものとする。この場合、引用が適正でないとことを示す適正判定結果データ214が表示・改変部110に入力され、編集者Fによる編集が無効になる。次に、表示・改変部110は、編集者Fの操作に応じて、引用を適正にするために引用データ11を縮小し、面積を判定基準以下にし、編集コンテンツデータf1´を作成する(図8の803)。
【0044】
このように編集が終わると、編集コンテンツデータf1´(209)がカメラ112によって撮像され、表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に対して出力される。また、改変部分の著作権者情報210も表示・改変部110から改変・編集コンテンツ分離処理部105に対して出力される。その後、これまでの編集と同様に、編集コンテンツデータf1´の著作権毎の分離処理(ステップS905)、編集適正判定処理(ステップS907)、引用適正判定処理(ステップS910)が行われ、編集及び引用が適正と判定され、編集者Fによる編集が有効になる。編集終了後、オリジナルコンテンツデータe1は著作権者Eの暗号鍵KeyEによって暗号化処理される。ここで、オリジナルコンテンツデータe1を暗号鍵KeyAで暗号化し、暗号化されたコンテンツデータCe1を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Ce1=E(KeyE、e1)
【0045】
同様にして、編集者Fによって編集されたコンテンツデータf1´は、著作権者E、Fの暗号鍵KeyE、KeyFにより順次暗号化される。ここで、コンテンツデータf1´を暗号鍵KeyEで暗号化し、さらに暗号鍵KeyFで暗号化することにより、暗号化されたコンテンツデータCf1´を得る暗号化処理Eを次のように表す。
Cf1´=E(KeyF、E(KeyE、f1´))
【0046】
暗号化されたコンテンツデータCe1、Cf1´は、コンテンツデータベース102に格納される。このようにして得られた編集コンテンツデータf1´は、原作者E及び編集者Fによって利用許可が与えられていれば再利用可能である。図10は、再利用時においてオリジナルコンテンツデータe1及び編集コンテンツデータf1が復号される状態を模式的に示す図である。図10の1001に示すように、オリジナルコンテンツデータe1は、編集者Eによって設定された暗号鍵Eによって復号される。また、図10の1002に示すように、オリジナルコンテンツデータf1´は、編集者Eによって設定された暗号鍵Eと編集者Fによって設定された暗号鍵Fとによって復号される。
【0047】
なお、図5に示すフローチャートと図9に示すフローチャートとは結合することが可能である。即ち、図5のステップS502とS503との間に、改変であるか、編集であるかの判定処理を挿入し、改変である場合、図5のステップS503以降の処理を実行するようにし、編集である場合、図9のステップS903以降の処理を実行すればよい。
【0048】
上述した実施形態においては、プロジェクタ111で投影される画像データを例に挙げて説明したが、直視型のディスプレイに表示される画像データを用いても同様の処理が可能である。なお、本発明に適用可能なディスプレイの種類は、直視型のものに限定されるわけではない。また、上述した実施形態においては、改変コンテンツデータや編集コンテンツデータは、カメラ112によって撮像された画像データから生成しているが、改変コンテンツデータや編集コンテンツデータの生成方法はこれに限定されるものではない。例えば、ディスプレイに表示される画像データから、改変コンテンツデータや編集コンテンツデータを生成するようにしてもよい。
【0049】
上述した実施形態においては、改変コンテンツデータ又は編集コンテンツデータにおいても厳密な改変、引用、編集管理が可能になる。また、改変コンテンツデータ又は編集コンテンツデータの著作権と暗号鍵とが対応しているため、各著作権者の許可状況に応じたコンテンツデータの再構成を行うことができる。また、上述した実施形態においては、コンテンツデータに複数回の改変又は編集が行われていても、著作権履歴を隠蔽したまま、必要な改変又は編集を対象としているため、コンテンツデータの再利用が可能となる。
【0050】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
100:改変コンテンツ二次著作権管理装置、101:コンテンツ利用許可判定部、102:コンテンツデータベース、103:コンテンツ復号処理・再構成処理部、104:暗号鍵データベース、105:改変・編集コンテンツ分離処理部、106:改変量・編集量算出処理部、107:改変・編集・引用適正判定部、108:暗号化処理部、110:表示・改変部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データに対する改変が適正であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により改変が適正であると判定された場合、各著作権者によって生成及び改変されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号する復号手段と、
前記復号手段により復号されたデータを用いて、データの再構成を行う再構成手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、データの改変量又は編集量に基づいて、当該データに対する改変が適正であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、データに対する引用が適正であるか否かを判定することにより、当該データに対する改変が適正であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、引用されたデータの面積に基づいて、当該データに対する改変が適正であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
各著作権者によって生成及び改変されたデータを、著作権毎に分離する分離手段を更に有し、
前記暗号化手段は、前記分離手段により分離された各データを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化し、前記復号手段は、前記暗号化手段により暗号化されたデータのうち、著作権者によって利用が許可されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
データに対する改変が適正であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより改変が適正であると判定された場合、各著作権者によって生成及び改変されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップにより暗号化されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号する復号ステップと、
前記復号ステップにより復号されたデータを用いて、データの再構成を行う再構成ステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
データに対する改変が適正であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより改変が適正であると判定された場合、各著作権者によって生成及び改変されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップにより暗号化されたデータを、該当する著作権者の暗号鍵を用いて復号する復号ステップと、
前記復号ステップにより復号されたデータを用いて、データの再構成を行う再構成ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−38515(P2013−38515A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171290(P2011−171290)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】