説明

情報処理装置、情報処理方法

【課題】 操作性の良い電子ホワイトボード操作環境を実現する為の技術を提供すること。
【解決手段】 座標制御部11は、コンピュータ装置30の表示画面に表示されている映像をフロントプロジェクタ20を用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する。そして指示位置がスクリーン上における映像の投影領域内であるのか投影領域外であるのかを判断する。指示位置が投影領域内である場合、指示位置をコンピュータ装置30に対して送信する。指示位置が投影領域外である場合、該指示位置を、投影領域外の位置を投影領域内の位置に変換するための変換情報を用いて変換することで、投影領域内の対応位置を求め、該求めた対応位置をコンピュータ装置30に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標入力技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、次のような座標入力装置がある。所謂電子ホワイトボード(ボード状の入力板に電子的にペン等で座標入力が可能な情報機器)のボード(スクリーン)面にフロントプロジェクタで画像(映像)を投影し、専用のペン等で指示を行った描画データを投影画像にフィードバックさせて投影表示する。これにより、あたかもホワイトボードにインクペンで描くがごとく使用できる。この座標入力装置の方式としては、光学方式、超音波方式、電磁誘導方式、感圧方式等がある。
【0003】
電子ホワイトボードの使用形態としては、上記の通り、電子ホワイトボードの投影スクリーンにコンピュータ(PC)の映像を投影し、投影画像上に上記ペンを用いて重畳的に描画するのが基本形態である。更に、上記投影画像領域のみではなく、投影画像領域以外の電子ホワイトボードの入力面にペンで入力し、投影画像と対応させて記録する構成も特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術は、次のようなものである。即ち、投影範囲内の画面情報とこれに対するコメント等の重畳的な描画情報を一つのファイルとし、これに対応する投影領域外の描画情報をまた別のファイルとし、この二つのファイルの内容を表示する際には、それぞれ入れ替えて投影表示する。更に、特許文献1には、電子ホワイトボードの全投影領域に対して、2つの(フロント)プロジェクタ及びPC用に分割し、それぞれの領域に割り当てて、保存、表示、制御を行う技術も開示されている。
【0004】
また、表示領域外の指示に対して、最初の入力座標との差分である相対座標を出力し、表示領域内のカーソル座標に対して、マウスで字を描くが如く描画を行うことができる技術が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-172422号公報
【特許文献2】特許第3952896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ホワイトボードにフロントプロジェクタで投影した画像に対してペン等で指示し描画しようとする場合に問題となるのは、その操作者が投影光を遮ることにより生じる影である。この影により、実際に投影画像上に指示しようとする画像を操作者が確認できないばかりでなく、入力した描画のフィードバック表示を確認することができないので、正確な文字、図形を描く場合の障害となる。更に、投影範囲に人が入ることは、その会議や授業に参加している人からも、視界の妨げになり、投影画像が確認しにくいといった不都合が生じるのも言うまでもない。
【0007】
一方、影にならない投影領域外で指示した場合、その情報を投影画像と独立して保存するよりも、その投影画像に重ねて描画した方が、その関連性において有用な場合も多い。例えば、投影画像の文章にアンダーラインを引いたり、丸で囲ったり、注釈として文字を加えたりする場合である。従来の電子ホワイトボードの技術では、投影領域外で入力した文字等は、投影領域の画像とファイルレベルで関連付けはされていても、内容レベルでの対応、及びリアルタイムなフィードバックによる重畳的描画をすることはできなかった。
【0008】
また、投影画像領域外での入力を投影画像に重畳的に描画する際には、簡単な注釈、線引きのみならず、投影画像の所定の空いたスペースに、まとまった文章を多量に書くことが必要になる場面もあると考えられる。その場合、文字、図形等の個々の描画筆跡の位置関係が、広範囲に保たれることが必須条件となる。つまり、投影領域外の電子ホワイトボード領域にインクが出るフェルトペン機能を備えた電子ペンで描画し、その領域の描画情報をその領域ごとそのまま、その横の投影画像領域の所定領域に重畳的に表示させるためには、次のようにすることが望ましい。即ち、マウスのような相対座標出力でなく、電子ホワイトボードの入力面を基準とした絶対座標に対し、描画される領域が、投影画像領域の所望の領域となるようにオフセットさせることが望ましい。
【0009】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、操作性の良い電子ホワイトボード操作環境を実現する為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の座標入力装置は以下の構成を備える。即ち、外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する手段と、前記指示位置が、前記スクリーン上における前記映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する判断手段と、前記指示位置が前記投影領域内である場合、前記指示位置を前記外部機器に対して送信し、前記指示位置が前記投影領域外である場合、該指示位置を、前記投影領域外の位置を前記投影領域内の位置に変換するための変換情報を用いて変換することで、前記投影領域内の対応位置を求め、該求めた対応位置を前記外部機器に対して送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、操作性の良い電子ホワイトボード操作環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る座標入力装置を説明する図。
【図2】座標制御部11による座標出力処理の切替を示す図。
【図3】座標制御部11が行う処理のフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る座標入力装置を説明する図。
【図5】第3の実施形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0014】
即ち、以下に説明する実施形態は、次のような構成の一例である。先ず、外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する。そして、指示位置が、スクリーン上における映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する。この判断の結果、指示位置が投影領域内である場合、この指示位置を外部機器に対して送信する。一方、指示位置が投影領域外である場合、該指示位置を、投影領域外の位置を投影領域内の位置に変換するための変換情報を用いて変換することで、投影領域内の対応位置を求め、該求めた対応位置を外部機器に対して送信する。
【0015】
なお、指示位置が投影領域内である場合、該指示位置を、スクリーン上の位置を表示画面内の対応する位置に変換する為の変換情報を用いて変換し、該変換後の指示位置を外部機器に対して送信しても良い。また、指示位置が投影領域外である場合、該指示位置を、投影領域外の位置を投影領域内の位置に変換するための情報を用いて変換することで投影領域内の対応位置を求め、該対応位置を変換情報を用いて変換し、該変換後の対応位置を外部機器に送信しても良い。
【0016】
[第1の実施形態]
先ず、図1を用いて、本実施形態に係る座標入力装置について説明する。
【0017】
パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータ装置30は周知の通りCRTや液晶画面などにより構成されている表示装置を有しており、この表示装置に表示する表示画面(映像信号)は、フロントプロジェクタ20に対して送出される。
【0018】
フロントプロジェクタ20はコンピュータ装置30から映像信号を受けると、この映像信号に応じた表示画面を座標入力板10に対して投影する。座標入力板10は、映像を投影するためのスクリーンと、このスクリーンに対して指示具40を用いて指示した位置(指示位置、座標)を検出するための機構(座標検出機構)と、で構成されている。
【0019】
図1では、フロントプロジェクタ20により投影された投影像(表示画面)がスクリーン上に占める領域を領域Aとしている。即ち、領域A内には、コンピュータ装置30の表示装置に表示されている表示画面が表示されていることになる。また、スクリーン上において領域A以外の領域を領域Bとしている。
【0020】
また、座標入力板10が有する座標検出機構には、光学方式、超音波方式、電磁誘導方式、感圧方式等の様々な方式が適用可能である。これらの方式については周知の技術であるため、これについての説明は省略する。
【0021】
座標入力板10が有する座標検出機構により検出された指示位置は、本実施形態に係る情報処理装置として機能する座標制御部11に入力される。座標制御部11は、この指示位置を受けると、この指示位置がスクリーン上に投影されている表示画面の領域(投影領域)の内部の位置であるのか外部の位置であるのかを判断する。そして座標制御部11は、この判断の結果、指示位置が投影領域の内部の位置であれば、この指示位置をそのままコンピュータ装置30に対して送出する。一方、指示位置が投影領域の外部の位置であれば、座標制御部11は、この指示位置を投影領域内の位置に変換し、変換した指示位置をコンピュータ装置30に対して送出する。図1の場合、座標制御部11は、指示位置が領域A内であれば、この指示位置をそのままコンピュータ装置30に送出し、領域A外(領域B内)であれば、この指示位置を領域A内の位置に変換し、変換した指示位置をコンピュータ装置30に送出する。
【0022】
詳しくは後述するが、座標制御部11は予めコンピュータ装置30に対して、スクリーン上の座標位置をコンピュータ装置30の表示装置の表示画面上の対応する座標位置に変換するための変換情報を送出しておく。これによりコンピュータ装置30は、座標制御部11から指示位置を受けると、この指示位置をこの変換情報を用いて変換し、表示装置の表示画面上における指示位置を得ることができる。
【0023】
なお、本実施形態では、スクリーン上への座標入力は指示具40を用いて行うものとするが、これに限るものではなく、例えば、ユーザの指などを代わりに用いても良い。即ち、座標検出機構により座標検出を可能にする座標入力用機器であれば、如何なるものを用いても良い。
【0024】
ここで、上記の領域A及び領域Bは何れもスクリーン内の領域であるので、指示具40が何れの領域内に位置していても、その位置は上記の座標検出機構により検出可能である。しかし、コンピュータ装置30の表示装置に表示されている画面を閲覧しているユーザにとっては、この画面が投影されている領域Aが閲覧対象となり、領域Bについては興味の対象外となる。このような領域Bは、例えば次のようなケースにおいて発生する。例えば、スクリーンの横と縦のサイズの比が2:1であり、アスペクト比が4:3の画面をこのスクリーン上に投影すると、この画面を投影した領域の横側に、上記の領域Bが発生することになる。この領域Bは換言すれば、何等映像は投影されないものの、指示具40が領域B内に位置していれば、その座標位置は検出可能であるような領域である。
【0025】
本実施形態では、この点を利用し、例え投影領域外の位置を指示具40により指示したとしても、その指示位置を検出し、検出した位置を投影領域内の位置に変換することを1つの特徴とする。これにより、スクリーン上において、何等映像が投影されていない領域も座標入力用に用いることができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る座標入力装置の動作について説明する。ユーザが指示具40を手に把持して文字50を記すべく図1(a)に示す点aの位置を指示したとする。すると座標入力板10が有する上記の座標検出機構はこの点aの位置を(x1,y1)として検出し、検出した位置(x1,y1)を座標制御部11に対して送出する。ここで、この位置(x1,y1)は、スクリーン上に定義された座標位置(例えばスクリーンの左上隅の位置を原点とし、横軸方向をx座標、縦方向をy座標とする座標系における座標位置)であることに注意されたい。
【0027】
座標制御部11は、この位置(x1,y1)を受けると、この位置(x1,y1)が領域Aの内部の位置であるのか、それとも外部の位置であるのかを判断する。スクリーン上における領域Aは、座標入力板10やフロントプロジェクタ20を設置したときに既に定義可能なものであり、スクリーン上における領域Aを規定する情報(領域情報)は、例えば、以下のようにして予め取得しておく。
【0028】
先ず、コンピュータ装置30は表示装置の表示画面上に矩形を表示すると共に、この矩形の四隅の表示画面上における座標位置を座標制御部11に対して送出する。この表示画面はフロントプロジェクタ20によりスクリーン上に投影されるため、ユーザは指示具40を用いて、スクリーン上に投影されているこの矩形の四隅の位置(若しくは対向する2つの隅の座標位置)を順次指示する。指示したそれぞれの位置は座標制御部11に入力されるので、結果として座標制御部11は、矩形のそれぞれの隅について、表示画面上の位置とスクリーン上の位置と、を得ることができる。然るに座標制御部11は、表示画面上の位置とスクリーン上の位置と、の間の関係から、周知の技術により、スクリーン上の座標位置を表示装置の表示画面上における座標位置に変換(若しくはその逆の変換)する為の上記の変換情報を生成することができる。この変換情報は予め生成して座標制御部11に登録しておくと共に、コンピュータ装置30にも送出しておく。
【0029】
また、予め座標制御部11に、表示装置の表示画面上におけるこの表示画面の四隅の座標位置を入力しておくと、座標制御部11は、この四隅の座標位置を上記の変換情報を用いてスクリーン上の座標位置に変換することができる。この変換したそれぞれの座標位置が領域Aの各頂点のスクリーン上の座標位置となる。この領域Aの各頂点のスクリーン上の座標位置は予め生成し、「スクリーン上における領域Aを規定する情報」として座標制御部11が保持しておく。
【0030】
上記の変換情報を得るための処理、「スクリーン上における領域Aを規定する情報」の構成や取得方法、については一例であり、これに限るものではない。即ち、結果として同様の情報を得ることができるのであれば、様々な取得方法、様々な情報構成を採用することも可能である。
【0031】
座標制御部11は、座標位置(x1,y1)が領域A内部の位置であるのか、それとも外部の位置であるのかを判断する為には、この「スクリーン上における領域Aを規定する情報」を参照する。そして参照した情報が示す「各頂点のスクリーン上の座標位置」で囲まれた領域Aの内部に座標位置(x1,y1)が位置するのか否かを判断する。
【0032】
図1(a)の場合、座標位置(x1,y1)は領域Aの外部(領域Bの内部)に位置している為、座標制御部11は、この座標位置(x1,y1)を領域A内の点a’の座標位置(x1’,y1’)に変換する。この変換については様々なものが考え得るが、本実施形態では、座標位置(x1,y1)に対して、予め定められたオフセット(p、q)を加えた座標位置(x1+p,y1+q)を座標位置(x1’,y1’)とする。
【0033】
そして座標制御部11は、このようにして変換した領域A内の座標位置(x1’,y1’)を、コンピュータ装置30に対して送出する。コンピュータ装置30は、この座標位置(x1’,y1’)を受けると、この座標位置(x1’,y1’)を先の変換情報を用いて変換することで、スクリーン上の座標位置(x1’,y1’)に対応する表示装置の表示画面上における座標位置を求める。
【0034】
これにより、文字50を記すべく指示具40を用いてスクリーン上をなぞった場合、スクリーン上における指示具40の軌跡を構成する各点の座標位置は、コンピュータ装置30側で、表示装置の表示画面上における座標位置に変換される。然るに変換されたそれぞれの座標位置に黒ドットを配置すると、図1(a)に示す如く、この黒ドットで構成される文字60が得られることになる。
【0035】
図1(b)の場合も同様に、指示具40による指示位置が領域A外の座標位置(x2,y2)であれば、座標制御部11はこの座標位置(x2,y2)を領域A内の座標位置(x2’,y2’)に変換する。この変換におけるオフセットは上記の通りである。なお、座標位置(x1,y1)が領域A内の位置であれば、座標制御部11は、この座標位置(x1,y1)をそのままコンピュータ装置30に対して送出する。
【0036】
また、図1(c)に示す如く、「ABC」なる文字から改行して「D」なる文字を指示具40を用いてスクリーン上に記した場合、この改行時に上記のプロキシミティの連続性は途切れてしまう可能性は高い。しかし本実施形態によれば、このような状態でも指示位置(x3,y3)を領域A内の位置(x3’,y3’)に変換するので、領域B内で改行前に記した文字「ABC」と改行後の文字「D」との位置関係を保ったまま、それぞれの文字を領域A内に写像できる。
【0037】
次に、座標制御部11による座標出力処理の切替について図2を用いて説明する。本実施形態では、図2(a)に示す如く、ボタン画像80を投影表示する。投影位置やボタン画像の形状、表示形態についてはこれに限るものではない。そして指示具40がボタン画像80内にあることを座標制御部11が検出すると(検出方法は領域Aに対するものと同様)、第1のモードを設定する。なお、モードの切り替えのための機構についてはこれに限るものではなく、コンピュータ装置30が有するキーボードを用いてモードの選択を行うようにしても良い。
【0038】
第1のモードが設定されると、座標制御部11は、座標検出機構により検出された座標位置若しくはこの座標位置を領域A内の位置に変換した座標位置をコンピュータ装置30に対して送出する。即ち、図2(c)に示す如く、領域A内を指示具40を用いて指示すると、座標制御部11はその指示位置をコンピュータ装置30に送出するので、結果としてその指示位置に対して何らかの処理(図2(c)では描画処理)を行うことができる。一方、図2(a)に示す如く、領域B内を指示具40を用いて指示すると、座標制御部11はその指示位置を領域A内の位置に変換してコンピュータ装置30に送出する。そのため、結果として、その変換された位置に対して何らかの処理(図2(a)では描画処理)を行うことができる。
【0039】
なお、座標制御部11は、何れのモードが設定されているのかを示すフラグもコンピュータ装置30に対して送出する。これによりコンピュータ装置30は、このフラグを参照して、座標制御部11から受け取った座標位置の取り扱いを切り替えることができる。
【0040】
次に、座標制御部11が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図3を用いて説明する。なお、図3のフローチャートに従った処理は、座標制御部11が有するCPU等のコントローラが実行する。このコントローラは、座標制御部11内のメモリに格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行するものであり、これにより、図3のフローチャートに従った処理がなされる。もちろん、このメモリには、上記の変換情報や領域情報など、既知の情報として説明した様々な情報が格納されている。
【0041】
先ず、ステップS102では、座標検出機構から送出された指示具40による指示位置(x1,y1)を受けると、この指示位置(x1,y1)が領域Aの内部の位置であるのか、それとも外部の位置であるのかを判断する。
【0042】
この判断の結果、領域Aの内部の位置であれば、処理はステップS111に進み、領域Aの外部の位置であれば、処理はステップS106に進む。ステップS111では、この指示位置(x1,y1)をコンピュータ装置30に対して送出する。
【0043】
ステップS106では、指示位置(x1,y1)を領域A内の座標位置(x1’,y1’)に変換すべく、指示位置(x1,y1)にオフセット(p1、q1)を加えた座標位置(x1+p1,y1+q1)を座標位置(x1’,y1’)とする。そしてステップS109では、このようにして変換した領域A内の座標位置(x1’,y1’)を、コンピュータ装置30に対して送出する。
【0044】
なお、ステップS109及びステップS111では、第1のモードを示すフラグをコンピュータ装置30に対して送出する。
【0045】
以上の説明により、本実施形態によれば、領域A内を指示した場合は、従来通り、その領域に、もとの表示オブジェクトとの位置関係を重視するアンダーラインやマーキング等の重畳的な描画表示を行うことができる。一方、領域A外を指示した場合は、操作者の目的とする入力形態により、まとまった文章、描画等を所定の表示領域に、操作上の影を生じさせることなく表示したい場合には、第1のモードで動作させる。これにより、操作者の多様なニーズに対応できる電子ホワイトボード環境を構築できる。
【0046】
<変形例1>
本実施形態では、座標制御部11は予め変換情報をコンピュータ装置30に送出しておき、その後、座標位置(上記の差分を除く)をコンピュータ装置30に送出し、コンピュータ装置30はこの変換情報を用いてこの座標位置を変換していた。しかし、座標制御部11側で変換情報を用いて変換した座標位置をコンピュータ装置30に送出するようにしても良い。この場合、予めコンピュータ装置30に変換情報を送出する必要はないし、コンピュータ装置30側に変換情報を用いた変換処理を行わせずにすむため、コンピュータ装置30側の処理負担は軽くなる。
【0047】
<変形例2>
上記の実施形態では、領域A外の指示位置にオフセットを加算することで、領域A内の位置を求めていた。しかし上記の通り、領域A外の位置を領域A内の位置に変換するための方法については様々なものがある。例えば、線形写像を用いて領域A外の位置を領域A内の位置に写像させても良いし、指示位置が領域A外であると判断されると座標制御部11がその旨をコンピュータ装置30に通知し、コンピュータ装置30がこのオフセットの入力をユーザに促しても良い。即ち、オフセットをユーザに入力させても良い。
【0048】
[第2の実施形態]
第1の実施形態における座標入力装置の操作性を向上させた座標入力装置について、図4を用いて説明する。なお、本実施形態においても第1の実施形態に係る座標入力装置を用いる。
【0049】
本実施形態では、図4(a)に示す如く、ボタン領域95を領域B内に配置する。このボタン領域とは、例えば、ボタンの画像を印刷した紙であっても良いし、スクリーン上に記した矩形であっても良い。そして指示具40がボタン領域95内にあることを座標制御部11が検出すると(検出方法は領域Aに対するものと同様)、第3のモードを設定する。なお、モードの設定のための機構についてはこれに限るものではなく、コンピュータ装置30が有するキーボードを用いてモードの選択を行うようにしても良い。
【0050】
第3のモードが設定されると、座標制御部11は第3のモードが設定された旨をコンピュータ装置30に通知するので、コンピュータ装置30は、領域B内に記したものを領域A内のどこに写像させるのかを示す領域Cを領域Aに重ねて配置する。この領域Cは領域Bと同サイズの領域で、例えば、スクリーンの横と縦の寸法比が2:1で、領域Aのアスペクト比が4:3の場合、スクリーンの面積から領域Aの面積を差し引いた残りの面積が領域Bの面積であり、領域Cの面積である。つまり、領域Cの面積は領域Aの面積の約半分となる。
【0051】
つまり、領域Aと領域Bと領域Cの縦寸法は共通であるとすると、横方向の寸法が領域Aの半分である領域Cが、図4(a)に示されるように、例えば、領域Aの表示内容にハーフトーンでオーバーレイされて表示される。
【0052】
更に、図4(a)に示されるように、領域Aの下部に、スライダDを表示させる。スライダDのスライドストロークの中のスライドつまみ部分の幅、位置は、領域Aにおける領域Cの横方向の幅、位置関係に対応している。ユーザは、スライダDを左右に移動させることで、領域A上で領域Cを左右に移動させることができる。スライダDの操作は、コンピュータ装置30が有するキーボードを用いて行っても良いし、他の機器を用いて行っても良い。然るにユーザは、このスライダDを左右に移動させて、領域Bと同サイズの領域Cを領域A上の適当な位置に移動させる。これにより、領域B内に記したものはそのまま領域C内に重畳されることになる。例えば、図4(b)に示すように、領域A内で文字などが記されていない空き領域に領域Cを移動させると良い。
【0053】
そして領域Cの位置が決定すると、ユーザはキーボードなどを用いて領域Cの位置が決定した旨をコンピュータ装置30に入力するので、コンピュータ装置30は、領域Bと領域Cとの位置関係を上記のオフセットとして求める。図4の場合、領域Bの右端(左端)から領域Cの右端(左端)への(横(X)方向の)オフセットを求める。このオフセットは、座標制御部11に送出される。
【0054】
これにより、図4(c)に示す如く、指示具40を用いて領域B内を指示すると、その指示位置は上記のオフセット分だけ移動した位置に変換され、変換された位置は領域C内の位置となる。しかも、領域B内における指示位置、領域C内における変換後の位置、は何れも、領域内では同じ位置となる。
【0055】
なお、指示具40により領域B内に何を記したのかをスクリーン上でも確認することができるように、指示具40には、フェルトペン、ボールペン等のインク吐出機能を有するものを用いても良い。これは他の実施形態でも同じである。またこれに伴い、スクリーンは、ホワイトボードなどのインクペンにより筆記が可能なもの(且つインクのふき取りも可能なもの)が好ましい。
【0056】
なお、上記の例では、ユーザによる操作で、領域A内で文字などが記されていない空き領域に領域Cを移動させた。しかし、この空き領域をコンピュータ装置30により検出させ、領域Cを移動させるようにしても良い。また、領域Cの移動に関しては、領域Cと別領域に表示したスライダDを操作するのではなく、領域Cの一部の領域を直にドラッグして移動させても良い。
【0057】
[第3の実施形態]
次に、領域B内で行った操作を領域A内に反映させる実施形態について説明する。より具体的には、領域A内に表示されているカーソル位置に対して領域B内で行った操作を反映させる。本実施形態は、前述の第1のモードに関しても同様に当てはめても良い。なお、本実施形態においても第1の実施形態に係る座標入力装置を用いる。
【0058】
図5(a)に示す如く、ボタン領域99を領域B内に配置する。このボタン領域とは、例えば、ボタンの画像を印刷した紙であっても良いし、スクリーン上に記した矩形であっても良いし、メンブレンスイッチであっても良い。そして指示具40がボタン領域99内にあることを座標制御部11が検出すると(検出方法は領域Aに対するものと同様)、第4のモードを設定する。なお、モードの設定のための機構についてはこれに限るものではなく、コンピュータ装置30が有するキーボードを用いてモードの選択を行うようにしても良い。
【0059】
第4のモードが設定されると、コンピュータ装置30は、この時点でカーソルが位置している箇所に対して、領域B内で行った操作、例えばメニュー選択や描画などの処理を反映させる。このカーソルの位置は、指示具40を用いて変更可能である。例えば、座標検出機構がプロキシミティが検出可能である場合、図5(b)に示す如く、そのプロキシミティ−状態(指示具40を入力面から少し浮かした状態)で、所望の位置まで指示具40(カーソル)を移動させる。そして、所望の位置にカーソルが移動したのを確認した時点で、ペンダウン(指示具40を入力面に接触)させて、その後の操作は、図5(a)の場合と同様である。
【0060】
なお、ボタン領域99は、上記のボタン画像80と兼用しても良い。この場合、ボタン画像80の代わりに、ボタン領域99と同様の領域を領域B内に配置しても良い。
【0061】
例えば、座標制御部11は、ボタン領域99の機能と兼用するボタン画像80が指示されたことを検知すると、この時点におけるカーソルのスクリーン上における座標位置を記憶する。そして、最初に領域B内で指示具40のペンダウンが検知されたときの指示具40のスクリーン上の指示位置を取得すると、この指示位置と、先に記憶したカーソルのスクリーン上における座標位置と、の差分を以降で用いるオフセットとして求める。以降は上記の実施形態と同様である。
【0062】
なお、このオフセットを解除したい場合、即ち、オフセットを再設定したい場合は、コンピュータ装置30のキーボードを操作することでその旨を座標制御部11に通知しても良いし、座標制御部11に備わっている操作部により再設定する旨を入力しても良い。もちろん、オフセットを再設定する為の操作方法については特に限定するものではない。
【0063】
また、第4のモードが設定されているときと、第4のモードが設定されていないときとで、カーソルの表示形態(カーソルの点滅パターンやカーソルのアニメーション、形状等)を変化させても良い。
【0064】
[第4の実施形態]
上記の実施形態では、座標制御部11とコンピュータ装置30とを別個の装置としているが、座標制御部11をコンピュータ装置30に組み込むようにしても良い。その結果、このコンピュータ装置30は、座標制御部11が行うものとして上述した処理、コンピュータ装置30が行うものとして上述した処理、を行うことになり、結果としてこのコンピュータ装置30は、上記の各実施形態と同様の効果を奏することができる。もちろん、コンピュータ装置30を2台以上のコンピュータ装置で構成しても良いし、座標入力装置の構成は当業者であれば、様々な変形例が考え得る。なお、上記の各実施形態(変形例を含む)は適宜組み合わせて用いても良い。
【0065】
以上の各実施形態によれば、投影像の領域外に記した文字、図形等の個々の描画筆跡の位置関係が広範囲に保たれたまま、投影像の領域内に重畳的にリアルタイムに表示することができ、操作性の良い電子ホワイトボード操作環境が実現できる。更に、投影像の領域外での入力で上記重畳表示が可能となるので、投影像の領域内に指示することによる影の発生を防ぐことができる。
【0066】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する手段と、
前記指示位置が、前記スクリーン上における前記映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する判断手段と、
前記指示位置が前記投影領域内である場合、前記指示位置を前記外部機器に対して送信し、
前記指示位置が前記投影領域外である場合、該指示位置を、前記投影領域外の位置を前記投影領域内の位置に変換するための変換情報を用いて変換することで、前記投影領域内の対応位置を求め、該求めた対応位置を前記外部機器に対して送信する送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記送信手段は、更に、前記スクリーン上の位置を前記表示画面内の対応する位置に変換するための情報を前記外部機器に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記スクリーン上における前記投影領域を規定する領域情報を用いて、前記指示位置が投影領域内であるのか投影領域外であるのかを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する手段と、
前記指示位置が、前記スクリーン上における前記映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する判断手段と、
前記指示位置が前記投影領域内である場合、該指示位置を、前記スクリーン上の位置を前記表示画面内の対応する位置に変換する為の変換情報を用いて変換し、該変換後の指示位置を前記外部機器に対して送信し、
前記指示位置が前記投影領域外である場合、該指示位置を、前記投影領域外の位置を前記投影領域内の位置に変換するための情報を用いて変換することで前記投影領域内の対応位置を求め、該対応位置を前記変換情報を用いて変換し、該変換後の対応位置を前記外部機器に対して送信する送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の取得手段が、外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する工程と、
前記情報処理装置の判断手段が、前記指示位置が、前記スクリーン上における前記映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する判断工程と、
前記情報処理装置の送信手段が、前記指示位置が前記投影領域内である場合、前記指示位置を前記外部機器に対して送信し、
前記指示位置が前記投影領域外である場合、該指示位置を、前記投影領域外の位置を前記投影領域内の位置に変換するための変換情報を用いて変換することで、前記投影領域内の対応位置を求め、該求めた対応位置を前記外部機器に対して送信する送信工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の取得手段が、外部機器の表示画面に表示されている映像をプロジェクタを用いてスクリーン上に投影している際に該スクリーン上で指示された位置を指示位置として取得する工程と、
前記情報処理装置の判断手段が、前記指示位置が、前記スクリーン上における前記映像の投影領域内であるのか、投影領域外であるのかを判断する判断工程と、
前記情報処理装置の送信手段が、前記指示位置が前記投影領域内である場合、該指示位置を、前記スクリーン上の位置を前記表示画面内の対応する位置に変換する為の変換情報を用いて変換し、該変換後の指示位置を前記外部機器に対して送信し、
前記指示位置が前記投影領域外である場合、該指示位置を、前記投影領域外の位置を前記投影領域内の位置に変換するための情報を用いて変換することで前記投影領域内の対応位置を求め、該対応位置を前記変換情報を用いて変換し、該変換後の対応位置を前記外部機器に対して送信する送信工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−238120(P2012−238120A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105648(P2011−105648)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】