説明

情報処理装置、情報処理装置と外部装置とを含むシステム、システムの制御方法、及びプログラム

【課題】 情報処理装置とそれに接続している外部装置で同じ操作画面を表示する場合、操作部に表示されたソフトキー操作による強調表示を行うと、秘匿情報が漏洩してしまう。かといって、ソフトキー操作による強調表示を止めてしまうと、デッドキー等の特殊なソフトキーについては操作されたのかどうかがわかりにくい。
【解決手段】 ネットワークを介して外部装置と接続された情報処理装置が備える操作部と、外部装置とに操作画面を表示させる場合、パスワードなどの機密情報の入力は状況に応じて押下したキーの強調表示を行うかどうかを切り替える。操作部での入力により操作部に文字を表示するかどうかを判定し、文字を表示する場合は強調表示を行わず、文字を表示しない場合は強調表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して外部装置と接続された情報処理装置であって、ソフトキーが配置された操作画面を操作部と外部装置に表示させる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、VNC(Virtual Network Computing:AT&Tケンブリッジ研究所)と呼ばれる技術を利用し、ある情報処理装置のディスプレイに表示する画像を、ネットワークを介して接続している他の情報処理装置(外部装置)に表示させることが可能となっている。
また別の技術として、ディスプレイにソフトキーボードを表示し、このソフトキーボード上のソフトキーを押下することで、情報処理装置において文字を入力することが可能となっている。
更に、ソフトキーボードを用いてソフトキーを押下すると、ソフトキーに対応する文字をディスプレイに表示するとともに、押下したソフトキー自体を強調表示(例えば、押下したソフトキーの色を変えるなど)することも可能である。ソフトキーの強調表示を行うと、ユーザはソフトキーを正しく押下できたことを確認できる。なお、ソフトキーボードは、ソフトウェアキーボード、仮想キーボード、スクリーンキーボードなどと呼ぶこともある。
VNCの技術を用いて情報処理装置に外部装置が接続されている状態で、情報処理装置でソフトキーボードを表示してソフトキーを押下すると、VNCで接続している外部装置のディスプレイでも同じようにソフトキーの強調表示が行われる。そのため、ソフトキーボードを操作していない装置(VNCで接続している外部装置)でもソフトキーが強調表示されてしまう。この結果、外部装置で操作しているユーザにどのソフトキーが操作されたのかが簡単に見られてしまう。
この問題を解決するため、特許文献1では、パスワードの入力のように秘匿性の高い情報を入力する場合にはソフトキーボードを介して入力した文字を“*”などの伏字にして表示する。これにより、何れかの文字が入力されたことは確認できるが実際に何の文字が入力されたのかまでは特定できないようにしている。更に、操作されたソフトキーの強調表示も行わないようにしている。特許文献1では、パスワードの入力時において、強調表示されているソフトキーを外部の装置を操作するユーザには見られて秘匿な情報が漏洩してしまうことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−284375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の情報処理装置は、ソフトキーボードが表示されており、入力対象がパスワードである場合には、どのソフトキーを押下した場合でも一律に強調表示を行わないようにしている。そのため、VNCにより画面を外部に転送した場合においても、情報処理装置を操作するユーザがどのソフトキーを押下したのかを外部装置に知られることはなくなる。しかし、ユーザがソフトキーボードで2回(2つ)以上のソフトキー押下を行って初めて1つの文字として認識するような場合には、1回目のソフトキー押下が本当に行われたかどうか、(強調表示を行わないようにした結果)そのユーザ自身がわからなくなってしまう。
例えば、欧州言語のハット付きアルファベット(「^」とアルファベットを組み合わせた文字)などを入力する場合を例にして説明する。「aハット」(「a」の上に「^」を付けた、ハット付きアルファベット文字)の文字を入力するために、ユーザは、最初に「^」のソフトキーを押下する。「^」が入力された時点では、操作画面は画面遷移しない。次にユーザは「a」のソフトキーを押下する。「a」のソフトキーが操作されたときに「aハット」を1つの文字として認識し、伏字「*」が操作画面に表示される。
「a」のソフトキーを押下して操作画面に伏字「*」が表示されると、ユーザは、少なくとも「a」のソフトキーが正しく押下されたことは確認できる。しかし、「^」のソフトキーが正しく押下されたかどうかは、強調表示も行われないし、伏字「*」も操作画面に表示されないので確認することができない。
本発明は、上記の課題に鑑みて、ユーザがソフトキーを押下したことを確認でき、かつ、外部装置に対しては入力された文字を特定されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による情報処理装置は、ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置であって、操作部と、複数のソフトキーが配置されている操作画面であって、秘匿情報を入力するための操作画面を、前記操作部と前記外部装置に表示させる表示手段と、前記操作画面を介してユーザにより押下されたソフトキーが、そのソフトキーを押下したことに応じて1つの文字が入力される第1ソフトキーである場合には、その第1ソフトキーを強調表示せずに、前記操作画面に配置された複数のソフトキーの何れかが操作されたことを前記ユーザが確認可能な情報を表示するように前記表示手段を制御し、前記操作画面を介してユーザにより操作されたソフトキーが、そのソフトキーと他のソフトキーとを押下したことに応じて1つの文字が入力される第2ソフトキーである場合には、その第2ソフトキーを強調表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、ユーザがソフトキーを押下したことを確認でき、かつ、外部装置に対しては入力された文字を特定されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態における第1の情報処理装置と第2の情報処理装置とが接続された情報処理システムのハードウェア構成を表すブロック図である。
【図2】各情報処理装置の操作部およびその周辺の構成を表すブロック図である。
【図3】情報処理装置の操作部に表示されるソフトキーボード画面の一例を表す図である。
【図4】ソフトキー入力時のソフトキーのキーアニメ処理を説明するための図である。
【図5】ソフトキーボード画面を介して文字を入力する時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】操作部106の入力文字表示エリア302に表示する内容を表すイメージ図である。
【図7】パスワード入力時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】押下したソフトキーの文字に対応づけられている文字を管理するテーブルを表す図である。
【図9】ソフトキーの強調表示の表示例を表す図である。
【図10】操作部における画面の強調表示の表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における情報処理システムの全体図である。この情報処理システムは、情報処理装置100と情報処理装置113とがネットワーク112を介して通信可能に接続されている。この情報処理システムにおいて、情報処理装置100の操作部106に表示する画像(表示画像)を、VNC(Virtual Network Computing:AT&Tケンブリッジ研究所)と呼ばれる技術を利用し、情報処理装置113に送信して表示させることが可能となっている。以降の説明では、表示画像を送信する側の装置である情報処理装置100を「サーバ」と呼ぶこととする。そして、表示画像を受信する側の装置である情報処理装置113を「クライアント」と呼ぶこととする。上述のVNCを利用することで、クライアント113を操作しているユーザは、サーバ100に表示されている画面と同じ画面を見ることができる。
【0010】
<サーバの内部構造>
まず、図1を参照してサーバ100のハードウェアの構成を説明する。
【0011】
CPU101は、ROM103に記憶された制御プログラムを読み出して各種制御処理を実行する。上述のVNCサーバ用のソフトウェアもHDD203に記憶されている。RAM102は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。また、RAM102は、一部の領域を仮想VRAMとしても使用する。VRAMは、操作部106に表示する画面を表示するための情報を保持する記憶領域である。HDD104には、上記各種制御プログラムが格納されるとともに、画像データや後述するネットワークI/F108が有するすべての通信手段に関する情報を格納する。
CPU101には、RAM102、ROM103、HDD104がシステムバス109を介して接続されている。さらにこのシステムバス109を介して、操作部I/F105、画像処理部107、ネットワークI/F108、音声I/F110も接続されている。
操作部I/F105は、操作部(ディスプレイ)106との間のインターフェイス部であり、操作部106に表示する画像データをRAM102から取得して転送する処理や、操作部106で発生した信号をCPU101へ転送する処理を行う。
操作部106は、文字や記号を入力するためのソフトキーの表示処理と、この表示部に表示された情報をユーザが選択した信号を検知する入力処理とを行う。
画像処理部107は、操作部106に表示する画面情報の生成や、ネットワークI/F108を介して送受信する画像データの生成や編集や、画像データの圧縮・伸長処理を行う。画像処理部107で利用する画像データはすべてHDD104もしくはRAM102に記憶している。
ネットワークI/F108は、LANなどのネットワーク112に接続しており、ネットワーク112を介したデバイス(クライアント)と情報の入出力を行う。なお、図1では1つのクライアント113しか接続されていないが、複数のクライアントと接続してもよい。
音声I/F110は、スピーカ111との間のインターフェイス部であり、スピーカで鳴らす音を生成する処理や出力処理を行う。
また、サーバ100がスキャナやプリンタを備え、コピー機能やプリント機能やスキャン機能を実行することが可能なデジタル複合機であってもよい。
クライアント113のハードウェア構成については、本実施形態においては、上述のサーバ100のハードウェア構造と同じであり、図面に付した番号のみが異なるものである。そのため説明は省略する。ただし、クライアント113のHDD117には、VNCクライアント用のソフトウェアが記憶されている。
【0012】
<CPU101による操作部106の制御>
図2は、図1の操作部106および周辺の構成を示すブロック図である。
操作部106のタッチパネル203および各ハードキーのキー群202は、操作部I/F105の入力ポート201を介してCPU101に接続される。また、このタッチパネル203の押下位置を示す位置情報、およびキー群202の押下に対応するキー情報は、入力ポート201を介してCPU101に入力される。
操作部106のLED205およびLCD206は、操作部I/F105の出力ポート204を介してCPU101に接続され、LED205の点灯およびLCD206の表示はCPU101により制御される。通常、タッチパネル203は透明なシート状の感圧装置であり、LCD206の上に重なるように配置される。ユーザがLCD206上に表示された仮想的なボタンなどの操作対象物(以下、「ソフトキー」という)に対応するタッチパネル上の領域に触れる(以下、「ソフトキーを押下する」という)ことで、タッチパネル203がその位置情報(座標)を検知する。CPU101は、位置情報を検知すると、現在LCD206上に表示している対象物とその座標を元に、ユーザが押下した操作対象物(ソフトキー)が何であるかを検知する。そしてCPU101は、ROM103もしくはHDD104に予め記憶されている命令の中から、検知した操作対象物(ソフトキー)が押下されたときに実行すべき命令を検出し、必要に応じて押下されたソフトキーに対応する画面データを生成し、LCD206に表示する。この画面データは、CPU101が出力ポート204を経由してLCD206に送信することで、操作部106の表示を変更できる。更に、この画面データを、ネットワーク113を経由してクライアント113にも送信する。
なお、このようなLCD206でのユーザ操作時の内部処理は、これ以降の全ての説明で共通であり、以降では記載を省略する。また、以降の説明において特に明記がない場合、実行処理や判断は全てCPU101が行い、設定値や実行処理の結果やシステムの状態はHDD104に記憶することとする。
【0013】
<ソフトキーボード画面の説明>
図3は、本実施形態におけるサーバ100及びクライアント113に共通して操作部106のLCD206に表示されるソフトキーボード画面(キーボードの仮想的に表示した画面)の一例である。
ソフトキーボード画面には、タイトルエリア301があり、ここにはソフトキーボードで入力する文字や文字列が何のために入力するのかをユーザに示すための情報を表示する。図3の例では、ユーザがパスワードを入力するためのソフトキーボード画面であることを示すために「ユーザパスワード」と表示している。
なお、本実施形態では、秘匿性を有する情報を入力する一例としてパスワードを入力する形態を説明する。これ以外にも、個人情報を含む情報を入力する形態や、シリアル番号やフォルダのパス名、その他の機密情報を入力する形態について本実施形態を適用してもよい。
【0014】
ソフトキーボード画面には、入力文字表示エリア302があり、ここにはユーザがキーエリア304などのソフトキーを押下することで入力した文字列を表示する(詳細は後述する)。
またソフトキーボード画面には、キーエリア304があり、ここには入力可能な文字や記号やShiftを表すソフトキーを表示する。なお本実施形態では、図3のキーエリア304では、「^」のソフトキーがデッドキーであることを表すために、キーの枠を二重線で囲んでいる。ただし、デッドキーを表すのはこの方法に限らず、キーの背景色を変えたり、デッドキーであることを入力するまで何も表示しなかったりしてもよい。
また、ソフトキーボード画面にはキャンセルボタン307があり、これを押下するとソフトキーボード画面で入力した内容を取り消し、ソフトキーボード画面を表示する前の画面に戻す。さらにまた、ソフトキーボード画面にはOKボタン308があり、これを押下するとソフトキーボード画面で入力した文字列をHDD104に記憶し、ソフトキーボード画面を表示する前の画面に戻す。さらにまた、ソフトキーボード画面にはカーソルボタンエリア305があり、ここには入力文字表示エリア302に表示するカーソル303(ユーザが入力する位置を表すカーソル303)を移動するためのボタンを表示する。図3では上、下、左、右の4つのボタンを表示している。さらにまた、ソフトキーボード画面には入力モード306があり、これを押下すると「alphanum」や「定型文」や「ローマ字」などの入力方法を変えるための入力モードをプルダウン表示する(不図示)。このプルダウンから入力モードを指定することで、入力方法やキーエリア304に表示する内容や変更することが可能である。例えば、「alphanumm」入力モードは図3のように一般的なアルファベットや記号を入力するためのモードであるが、「定型文」入力モードに変えると、HDD104に予め記憶されている定型文をキーエリア304に表示する(不図示)。
ソフトキーボード画面は、サーバ100の設定やソフトキーボード画面を表示する前の画面を介して設定により、異なるキーボード設定で開くことができる。これは、CPU101が状況に応じたキーボード設定をHDD104から読み出し、読み出したキーボード設定で開くことにより行われる。なお、このキーボード設定には、タイトルエリア301に表示する文字や、入力モード306に表示する入力モードがあり、これらの設定はソフトキーボード画面ごとにHDD104に記憶されている。またキーボード設定には、パスワードを入力するソフトキーボード画面か否かを示すパスワードフラグもあり、このパスワードフラグもHDD104に記憶されている。
【0015】
次に、パスワードフラグが無効になっている場合と有効になっている場合との動作の違いを説明する。
パスワードフラグが無効になっている場合、キーエリア304に表示されているソフトキーを押下すると、CPU101は押下したキーに対応する文字をHDD104から抽出する(例えば、「a」のソフトキーを押下すると、文字“a”を抽出する)。そして、抽出した文字をHDD104に記憶すると共に、入力文字表示エリア302に抽出した文字をそのまま表示する。例えば、「a」キーと「b」キーを入力すると、HDD104には文字列”ab”を記憶し、入力文字表示エリア302には文字列”ab”を入力文字表示エリア302に表示する。なお本明細書では、便宜上、ソフトキーボード画面でソフトキーに表示されている文字を「」内に記載し、操作画面の入力文字表示エリア302に表示される文字(又は文字列)又はHDD103に記憶される文字(又は文字列)については””内に記載することとしている。
【0016】
一方、パスワードフラグが有効である場合、キーエリア304に表示されているソフトキーを押下すると、CPU101は押下したキーに対応する文字をHDD104から抽出する。そして、抽出した文字をHDD104に記憶すると共に、入力文字表示エリア302に文字”*”を表示する。例えば、「a」キーと「b」キーと「c」キーと「d」キーを入力すると、HDD104には文字列”abcd”を記憶し、入力文字表示エリア302には図3のように文字列”****”を表示する。
【0017】
なお以降の説明では、パスワードフラグが有効になっているソフトキーボード画面を、パスワードソフトキーボード画面という。
【0018】
<ソフトキーボード画面のソフトキー押下時の強調表示>
図4を参照しながら、ソフトキーボード画面に表示されるソフトキーを押下したときの強調表示の一例について詳細に説明する。強調表示は、押下したソフトキーをユーザが明確にわかるようにするための表示である。このような目的を達成するために様々な方法を取り得るが、本実施形態では、一例として、後述のようなキーアニメ処理により強調表示を実現することとする。このキーアニメ処理は次のとおりである。
【0019】
前述のように(「CPU101による操作部106の制御」に記載のように)、CPU101は、ユーザが押下した位置情報を検知するとROM103もしくはHDD104に予め記憶されている命令を実行する。ソフトキーボード画面のソフトキーの場合、この命令は押下したソフトキーに対応する文字をHDD104に記憶する処理と、キーアニメ処理である。このキーアニメ処理は、押下した位置に存在するソフトキーを表す画像を、別の画像に一瞬変えて表示し、再度元のソフトキーを表す画像を表示する動作である。具体例を、図4(ソフトキーボード画面のキーエリア304に表示している「a」のソフトキーの動作を表す図)を用いて説明する。「a」のソフトキーを押下すると、「a」のソフトキーを表す画像を消して(図4では点線で表示)、別の画像(表示位置は「a」のソフトキーの画像よりも右下で、かつ異なる色がついた「a」のソフトキーの画像)を表示し、すぐに元の「a」のソフトキーの画像を表示する。このような処理をキーアニメ処理という。なお本明細書では、特に明記しない限り、操作部106と操作部119に表示されたソフトキーを押下した場合、常にキーアニメ処理を行うこととする。
なお、ここで説明したキーアニメ処理は、ソフトキーを強調表示する一例であり、もちろん他の方法でソフトキーを強調表示してもよいし、強調表示以外の方法でソフトキーの押下をユーザに確認可能な構成としてもよい。
【0020】
<操作部106変更時の処理(サーバ変更時の処理)>
次に、サーバ側の操作部106とクライアント側の操作部119とで同じ画面の表示を行うための内部処理について説明する。操作部106と操作部119で同じ画面表示を行うための処理については、操作部106変更時の処理と操作部119変更時の処理に分けて説明する。
サーバ100にクライアント113が接続している場合、サーバ100の操作部106に表示している画像情報がユーザの操作もしくはシステム条件により変更されると、クライアント113の操作部119の画像情報も同じように変更する。
CPU101は、操作部106に表示している画像情報を変更すると判断した場合、操作部106でユーザが行った操作やHDD104に記憶されている情報を元に、画像処理部107で操作部106に表示する画像を作成し、RAM102に記憶する。そしてCPU101は、RAM102の画像を操作部106で表示すると共に、RAM102の画像をクライアント113にネットワークI/F108を介して送信する。
CPU114は、ネットワークI/F121で画像データを受信したのを検知すると、この画像をRAM115内の仮想VRAMに記憶し、仮想VRAMの画像を操作部I/F118に送信することで操作部119に表示する。
【0021】
<操作部119変更時の処理(クライアント変更時の処理)
サーバ100にクライアント113が接続している場合、クライアント113の操作部119をユーザが操作(押下)すると、サーバ100の操作部106の画像情報を以下のようにして変更する。
CPU114は、ユーザ操作により発生した操作部119でのイベント(操作部119の押下イベント)を検知すると、このイベントを操作部I/F118に送る。そしてCPU114は、操作部I/F118でイベントの受信を検知すると 、ネットワークI/F121を介して接続されているサーバ100のネットワークI/F108へイベントを送る。ユーザ操作を表す情報は多数あるが、本実施例では、操作部119でユーザが押下した座標を押下イベントとして送ることとする。
CPU101は、ネットワークI/F108で押下イベントを受信したことを検知すると、受信した押下イベントから押下座標を検出する。そしてCPU101は、操作部106がユーザ操作により押下されたときと同じように、操作部106に表示する画面情報の変更を行う。具体的には、CPU101が現在LCD206上に表示している対象物と受信した押下座標を元に、ユーザが押下した操作対象が何であるかを検知し、実行すべき命令をHDD104から検出し、この命令を実行することで画面情報の変更を行う。そして前記の「操作部106変更時の処理」と同じように、サーバ100のRAM102内の仮想VRAMの画像情報をクライアント113のRAM115内のVRAMに送ることで、操作部106と同じ内容を操作部119に表示する。
【0022】
以上説明したシステムにおいて、ソフトキーボード画面を介して入力される文字列の情報漏洩を防止しつつ、操作性を向上するキー入力の具体例を、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
図5は、本実施形態のサーバ100による処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、ソフトキーボード画面を介して文字を入力する場合の処理を説明するフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、HDD104に記憶されたプログラムに従ってCPU101によって実行される。
【0024】
まずCPU101は、ソフトキーボード画面のソフトキー押下を検知すると(ステップ501)、表示されているソフトキーボード画面に対応づけて管理している設定を抽出し、抽出した設定をもとにパスワードフラグが有効であるか否かを判定する(ステップ502)。そして、このパスワードフラグが有効である場合、パスワードキーボードである、即ち、パスワードを入力するためにソフトキーボードが表示されているものと判定する(ステップ502)。ステップ502でパスワードフラグが有効ではないと判定した場合は、通常のソフトキー押下処理として、押下したソフトキーの強調表示と、入力した文字のHDD104への記憶を行う(ステップ503)。
一方、ステップ502でパスワードフラグが有効であると判定した場合は、CPU101はネットワークI/F108を通してクライアント113が接続しているかどうかを判定する(ステップ504)。この判定方法は複数あるが、本実施形態では、クライアント113がサーバ100にアクセスしてサーバ100との接続を開始すると、クライアント113がサーバ100と接続中であることを示す情報をクライアント113のIPアドレスとともに接続情報としてHDD104に記憶する。そして、HDD104に記憶された接続情報を参照する。そして、接続中であることを示す接続情報があれば、ステップS504でYESと判定する。また、クライアント113がサーバ100との接続を終了する要求を行うと、サーバ100はクライアント113との接続を終了してHDD104に記憶されている接続情報を削除あるいは無効にする。また、クライアント113からRFBプロトコルでの接続があるか否かを判定し、RFBプロトコルでの接続がある場合にはクライアント113と接続中であると判定してもよい。
ステップ504でクライアント113が接続中ではないと判定した場合は、通常のソフトキー押下処理として強調表示を行う(ステップ503)。一方、ステップ504でクライアント113が接続中であると判定した場合は、押下されたソフトキーが入力文字表示エリア302に文字を表示するソフトキーであるかどうかの判定を行う(ステップ505)。
【0025】
本実施形態において、ソフトキーが押下されたことに応じて入力文字表示エリア302に文字が表示される場合のそのソフトキーのことを、以降では「文字表示キー」と呼ぶことにする。例えば通常の英数字が割り当てられたソフトキーなどが文字表示キーにあたる。そして、文字表示キー以外のソフトキーのことを、以降では「特殊キー」と呼ぶことにする。例えば、欧州言語等で用いられる、アルファベットの上に付く「ハット」や「ウムラウト」等がこれにあたる。なお文字表示キーかどうかの判定は、ソフトキーボード画面の入力モードやキーの押下状態によっても変わる。具体的な例を図3(操作部106に表示されるソフトキーボード画面)を用いて説明する。図では「^」キー(押下した時点では何も表示されず、次に文字表示キーを押下した時点で、文字表示キーと合成した文字を表示するキーのこと)になっており、この「^」キーは、1回押下しただけでは入力文字表示エリア302に何も表示されない。そのため、この場合における「^」キーは文字表示キーではなく特殊キーである。ただし、「^」キーを押下した後に再度「^」キーを押下すると、入力文字表示エリア302に”^^”を表示する。そのため、2回目の「^」キーが押下された状態においては、2回目に押下した「^」キーは例外的に文字表示キーとして扱う。
【0026】
ステップ505の判定により文字表示キーではないと判断した場合、通常のソフトキー押下処理として強調表示を行う(ステップ503)。一方、ステップ505の判定により文字表示キーであると判断した場合は、強調表示を行わずに、ソフトキーの押下処理を行う(入力した文字をHDD104に記憶し、入力文字表示エリア302への表を行う。ステップ506)。
なお、ステップ503もしくはステップ506での強調表示や、入力文字表示エリア302への文字表示により、操作部106の画像情報は変わる。このとき、クライアント113が接続中の場合は、前述の<操作部106変更時の処理(サーバ変更時の処理)>によりクライアント113の操作部119にも画像情報が反映される。
【0027】
図6は、入力文字表示エリア302の状態を示す図である。最初に、サーバ100の操作部106に表示されているパスワードソフトキーボード画面でユーザが文字表示キーの1つである「a」のソフトキーを押下した場合を説明する。なお操作部106に表示しているソフトキーボード画面の入力文字表示エリア302には何も表示されていないこととする(図6の表示601の状態)。
【0028】
CPU101が「a」のソフトキーの押下を検知すると、HDD104に入力文字として”a”を記憶し、入力文字表示エリア302に”*”を表示する(表示602)。以上が「a」のソフトキーを押下したときの処理である。このように文字表示キーの1つである「a」のソフトキーが押下されると、入力文字表示エリア302に“*”が表示される。そのため、「a」のソフトキーを強調表示しなくてもユーザは文字が入力されたことを認識できる。
続いてユーザが「b」を入力すると、前述した「a」のソフトキーの入力処理と同じ処理により、HDD104に入力文字として”ab”を記憶する。さらに、「b」の入力により入力文字表示エリア302に”*”が1つ増えるため、入力文字表示エリア302の表示を”**”にする(表示603)。
続いてユーザが「c」を入力した場合を説明する。CPU101がソフトキーの押下を検知すると、HDD104に入力文字として”abc”を記憶し、入力文字表示エリア302の表示を”***”とする(ステップ506、表示605)。
【0029】
その後にユーザがデッドキーである「^」を入力した場合を説明する。CPU101がソフトキーの押下を検知するとデッドキー「^」は文字表示キーではなく特殊キーであると判断する。そのため、“*”の数は変更しない。そして、「^」のソフトキーの強調表示を行い、HDD104に入力文字として”abc^”を記憶する(ステップ503、表示606)。なおデッドキーの入力の場合は、HDD104に入力文字として”abc^”を記憶しているが、最後の文字”^”がデッドキーである情報も合わせてHDD104に記憶しておく。
【0030】
その後にユーザが「e」を入力した場合を説明する。CPU101が「e」のソフトキーの押下を検知すると、「e」のソフトキーの強調表示は行わずに、HDD104に入力文字として
【0031】
【数1】

【0032】
を記憶し、入力文字表示エリア302には伏字として”****”で表示する(ステップ506、表示607)。なお”eハット(eの上に^を付けたハット付きアルファベット文字)”は一般的なデッドキーの入力と同じであり、予めデッドキーと次に対応する文字の組み合わせ表をHDD104に持っており、この組み合わせ表から”^”と”e”に対応する文字として”eハット(eの上に^を付けたハット付きアルファベット文字)”をCPU101が抽出する。
【0033】
以上がサーバ100の操作部106でユーザがソフトキーを押下したときの処理である。なお、クライアント113の操作部119でユーザがソフトキーを押下する場合もある。この場合、ステップ501の前処理として、CPU101によりネットワークI/F108で受信したクライアント113の押下イベントを操作部106の押下イベントに変換する処理が入る。しかし、それ以外のサーバ100の処理は図5と同じである。
【0034】
以上のように、サーバ100にクライアント113が接続しており、両方の装置のディスプレイで同じ操作画面が表示される場合は、文字表示キーのみ強調表示を行わず、デッドキーなどの文字表示を行わないキーのみ強調表示を行う。これにより、サーバ100でユーザがパスワードを入力している最中に、クライアント113のディスプレイを見ているユーザがいたとしても、この見ているユーザに入力したパスワードが知られることはない。更に、特殊キーの強調表示を行うことで、デッドキーのような複数のソフトキー押下で1つの文字が入力される場合でも入力されたことをユーザが確認することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、文字表示キーの押下により強調表示を行わないことにより(ステップ506により)、パスワードなどの機密情報の漏えいを防ぐことを可能とした。
第2の実施形態では、この方法とは別の方法により機密情報の漏えいを防ぐ手段を、図7を参照して説明する。なお、基本的な操作や制御内容は前記の第1の実施形態と同じであるため、異なる点のみを説明する。
【0036】
図7のステップ505において、CPU101が文字表示キー押下ではないと判断した場合は、押下したソフトキーの強調表示を行い、押下した文字に対応する文字をHDD104に文字列として記憶する(ステップ503)。一方、ステップ505において、CPU101が文字表示キー押下であると判断した場合は、HDD104から押下したソフトキーに関係する1つまたは複数のソフトキーを取得する。そして、この取得したソフトキーの強調表示を行い、ステップ501で押下したソフトキーに対応する文字をHDD104に文字列として記憶する(ステップ701)。
【0037】
<具体例>
この具体例を以下で示す。なお、HDD104には、図8のように各ソフトキーに対して、関連する複数のソフトキーが記憶されていることとする。
【0038】
サーバ100にクライアント113が接続している状態で、サーバ100の操作部106に表示されているパスワードソフトキーボード画面でユーザが「a」のソフトキーを押下した場合を説明する。なお操作部106に表示しているソフトキーボード画面の入力文字表示エリア302には何も表示されていないこととする(図6の表示601の状態)。
【0039】
CPU101がソフトキーの押下を検知すると(ステップ501)、HDD104のパスワードフラグが有効かどうかの判定を行う(ステップ502)。ここではパスワードフラグが有効なので、続いてクライアント113が接続中であるかどうかの判定を行う(ステップ504)。ここではクライアント113は接続しているため、押下されたソフトキーが文字表示キーかどうかの判定を行う(ステップ505)。ここまでは第一の実施形態と同じである。
【0040】
ここで、ステップ505の判定により文字表示キーが押下されたと判断されるため、CPU101はHDD104から「a」のソフトキーに関係するキーとして「a」「b」「c」「d」のソフトキーを検出する。そして、検出した全てのソフトキーに対して強調表示を行う。「a」「b」「c」「d」のソフトキーを全て強調表示することにより、操作部106は図9のような状態になる。なお、強調表示以外のソフトキー押下処理(HDD104に入力した文字を記憶するなど)は、第一の実施形態と同じであるため、省略する。なお、本実施形態では、「a」のソフトキーに関係するキーとして「a」「b」「c」「d」のソフトキーを検出するが、押下されたソフトキー「a」とは無関係なソフトキーをランダムに抽出する方法であってもよい。
【0041】
これにより、クライアント113の操作部119を見ているユーザがいても、「a」「b」「c」「d」のどのソフトキーを操作部106で押下したか正確にはわからないため、セキュリティを向上することが可能となる。また、サーバ100の操作部106でソフトキーを押下したユーザはキー押下で強調表示が行われるため、ソフトキーの押下が正しく行えたことがわかり、操作性が向上する。
【0042】
<派生形>
押下したソフトキーに関連するキーは、一意に決まっており、どのソフトキーが押下されても、常に同じソフトキーを強調表示することも可能である。
また、ソフトキー押下により関連するキーを強調表示するのではなく、図10のようにメッセージエリア1001に「key pressed」等のメッセージを表示することで、ユーザに正しくキー押下できたことを示すことも可能である。
また、ソフトキーの強調表示やメッセージエリアへの表示のどちらか一つだけではなく、両方を行うことで正しくキー押下できたことを示すことも可能である。
【0043】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0044】
100 サーバ
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 HDD
106 操作部
113 クライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置であって、
操作部と、
複数のソフトキーが配置されている操作画面であって、秘匿情報を入力するための操作画面を、前記操作部と前記外部装置に表示させる表示手段と、
前記操作画面を介してユーザにより押下されたソフトキーが、そのソフトキーを押下したことに応じて1つの文字が入力される第1ソフトキーである場合には、その第1ソフトキーを強調表示せずに、前記操作画面に配置された複数のソフトキーの何れかが操作されたことを前記ユーザが確認可能な情報を表示するように前記表示手段を制御し、前記操作画面を介してユーザにより操作されたソフトキーが、そのソフトキーと他のソフトキーとを押下したことに応じて1つの文字が入力される第2ソフトキーである場合には、その第2ソフトキーを強調表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記秘匿情報とはパスワードであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作画面を介してユーザにより押下されたソフトキーが前記第1ソフトキーである場合には、所定の表示エリアに伏字を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、VNC(Virtual Network Computing)を用いて前記操作画面を前記外部装置に表示させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1ソフトキーは、英数字が割り当てられたキーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2ソフトキーは、デッドキーが割り当てられたキーであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作画面の情報を記憶する記憶手段とを有し、
前記表示手段は、
前記記憶手段に記憶された操作画面の情報を前記操作部に出力するとともに前記ネットワークを介して通信する外部装置に送信することにより、前記操作部と前記外部装置に前記操作画面を表示させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記外部装置が前記ネットワークを介して接続されているか否かを判定する判定手段を有し、
前記外部装置が接続されていないと前記判定手段が判定した場合には、前記第1ソフトキーを強調表示することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示手段は、複数のソフトキーが配置されている操作画面であって、秘匿情報ではない情報を入力するための操作画面である第2の操作画面を表示させることが可能であり、
前記表示手段により表示された第2の操作画面を介してユーザによりソフトキーが押下された場合には、前記第1ソフトキーを強調表示することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置を制御する制御方法であって、
複数のソフトキーが配置されている操作画面であって、秘匿情報を入力するための操作画面を、前記情報処理装置が備える操作部と前記外部装置に表示させる表示ステップと、
前記操作画面を介してユーザにより押下されたソフトキーが、そのソフトキーを押下したことに応じて1つの文字が入力される第1ソフトキーである場合には、その第1ソフトキーを強調表示せずに、前記操作画面に配置された複数のソフトキーの何れかが操作されたことを前記ユーザが確認可能な情報を表示するように制御し、前記操作画面を介してユーザにより操作されたソフトキーが、そのソフトキーと他のソフトキーとを押下したことに応じて1つの文字が入力される第2ソフトキーである場合には、その第2ソフトキーを強調表示するように前記表示手段を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−238101(P2012−238101A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105414(P2011−105414)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】